1 00:01:27,582 --> 00:01:28,449 2 00:01:28,449 --> 00:01:42,463 ♬~ 3 00:01:42,463 --> 00:01:56,463 ♬~ 4 00:01:58,446 --> 00:02:04,452 ♬~ 5 00:02:04,452 --> 00:02:09,457 (千代の母)<天下を切り従えて 628万石の秀吉さまと➡ 6 00:02:09,457 --> 00:02:15,463 東海の覇王といわれた 138万石の徳川家康さまとの➡ 7 00:02:15,463 --> 00:02:20,468 運命の戦いは 名人同士の対局を思わせて➡ 8 00:02:20,468 --> 00:02:24,405 それは見事なものでございました> 9 00:02:24,405 --> 00:02:29,410 <双方 ついに勝負がつかずに 和議となったあと➡ 10 00:02:29,410 --> 00:02:33,414 一豊さまには どういうわけか ご加増があり➡ 11 00:02:33,414 --> 00:02:35,414 7000石となられました> 12 00:02:37,418 --> 00:02:56,437 ♬~ 13 00:02:56,437 --> 00:03:07,448 ♬~ 14 00:03:07,448 --> 00:03:10,451 (よね)お母さま 早く早く! 15 00:03:10,451 --> 00:03:13,454 (千代)そんなに走ると 転んで けがをしますよ 16 00:03:13,454 --> 00:03:18,459 よね姫! これ! よねったら… もう しょうのない子 17 00:03:18,459 --> 00:03:20,461 (芳野)親譲りですわ 18 00:03:20,461 --> 00:03:23,464 おてんばぶりは 千代さまに そっくりやがね 19 00:03:23,464 --> 00:03:26,401 まあ そうでしょうか? そうやがね 20 00:03:26,401 --> 00:03:28,403 親子2代にわたって お仕え申し上げた➡ 21 00:03:28,403 --> 00:03:31,406 この芳野の言うことに 間違いございません 22 00:03:31,406 --> 00:03:37,412 そやからね 嫁入りのときは 母上の真似など なさらぬように➡ 23 00:03:37,412 --> 00:03:42,417 どっかの 「ぼろぼろさま」でなく 立派な若殿に嫁がれますようにと 24 00:03:42,417 --> 00:03:45,420 それだけが 芳野の願いでございますわ 25 00:03:45,420 --> 00:03:48,423 まあ それはそれは! 26 00:03:48,423 --> 00:03:51,426 (六平太)さあさあ お茶 いかがかな? 1服1銭 27 00:03:51,426 --> 00:03:57,426 (六平太)1服1銭 1服1銭 さあさあ お茶 いかがかな? 28 00:04:03,438 --> 00:04:09,444 望月六平太 思いがけない所で会いましたね 29 00:04:09,444 --> 00:04:12,444 少し話がありますから 先にお行きなさい 30 00:04:18,453 --> 00:04:23,458 よね姫さま 大きゅう 美しゅうなられましたな 31 00:04:23,458 --> 00:04:28,396 ええ もう山内家の宝物です 32 00:04:28,396 --> 00:04:30,398 生まれたとき そなたが➡ 33 00:04:30,398 --> 00:04:34,402 戦場の一豊さまに 知らせてくれたのですね 34 00:04:34,402 --> 00:04:37,405 あれから そのまま毛利へ行ったのでしょう 35 00:04:37,405 --> 00:04:42,410 なに… 今 時の流れが 渦を巻いているのは➡ 36 00:04:42,410 --> 00:04:46,414 三河… そして 京 大坂 37 00:04:46,414 --> 00:04:50,414 つまりは徳川家康と秀吉じゃ 38 00:04:52,420 --> 00:04:59,427 毛利の山中に引きこもっていては 世の中の動きが見えませぬからな 39 00:04:59,427 --> 00:05:03,431 本当に 徳川さまは思いがけないお方 40 00:05:03,431 --> 00:05:06,434 和議が整った以上は 素直に➡ 41 00:05:06,434 --> 00:05:10,438 秀吉さまに従われるものとばかり 思っておりましたのに 42 00:05:10,438 --> 00:05:13,441 東海の地に引きこもって➡ 43 00:05:13,441 --> 00:05:16,444 さざえが蓋を閉じたように お動きになられませぬ 44 00:05:16,444 --> 00:05:20,448 先の先まで 見通してるのでござろう 45 00:05:20,448 --> 00:05:24,385 いずれは従うにしても できるだけ じらせて➡ 46 00:05:24,385 --> 00:05:29,390 その間に 方々を切り取って 領地を増やし 47 00:05:29,390 --> 00:05:33,394 対等に近い形まで 持っていくつもりなのであろう 48 00:05:33,394 --> 00:05:36,397 ご自分の値を つり上げているのですね 49 00:05:36,397 --> 00:05:39,400 うまいことを言う 50 00:05:39,400 --> 00:05:46,407 恐らく 天下の武将は 今 油断なく 徳川の動きを見ているはずだ 51 00:05:46,407 --> 00:05:50,411 一豊どのも もはや7000石の大身 52 00:05:50,411 --> 00:05:53,414 大名には程遠いとしても➡ 53 00:05:53,414 --> 00:05:56,417 そうしたことにも 関心を持ったほうがいい 54 00:05:56,417 --> 00:06:00,421 ええ そうすれば そなたも稼ぎにありつける 55 00:06:00,421 --> 00:06:05,426 フフッ… そのために毛利から 舞い戻ってきたのでしょう? 56 00:06:05,426 --> 00:06:09,430 いやいや それだけではござらん 57 00:06:09,430 --> 00:06:14,435 久しぶりに お美しい奥方のお顔を 拝見したくなったためでもござる 58 00:06:14,435 --> 00:06:18,435 フフッ… まあ うれしいこと フフッ… 59 00:06:21,442 --> 00:06:25,379 (一豊)千代! 千代! 60 00:06:25,379 --> 00:06:27,379 ≪ 千代! 61 00:06:29,383 --> 00:06:32,386 ハハハッ… 千代 ハハハハッ… 62 00:06:32,386 --> 00:06:36,390 大名じゃ! 城持ちの大名じゃ! えっ? 63 00:06:36,390 --> 00:06:39,393 驚いたか? フフッ… わしも驚いた 64 00:06:39,393 --> 00:06:42,396 今度ばかりは 寝耳に水じゃ 65 00:06:42,396 --> 00:06:45,399 何のことやら さっぱり分かりませぬ 66 00:06:45,399 --> 00:06:48,402 一豊さま ちゃんと話してくださりませ 67 00:06:48,402 --> 00:06:53,407 あっ うむ… 実はな こたび 7月11日をもって➡ 68 00:06:53,407 --> 00:06:57,411 上さまは 従一位 関白となられたのだ 69 00:06:57,411 --> 00:07:02,416 それに伴い 古参の武将たちにも それぞれ 加増が行われた 70 00:07:02,416 --> 00:07:05,419 わしにも内示があってのぅ 71 00:07:05,419 --> 00:07:09,423 「近江2万石 長浜の城をたまう」とな 72 00:07:09,423 --> 00:07:13,427 近江 長浜2万石の城主に? 73 00:07:13,427 --> 00:07:16,430 夢だと思うのか? 頬をつねってみろ 74 00:07:16,430 --> 00:07:18,432 あっ… フフッ… 75 00:07:18,432 --> 00:07:24,372 おめでとうございます 一豊さま 心からお喜び申し上げまする 76 00:07:24,372 --> 00:07:26,374 うむ… 77 00:07:26,374 --> 00:07:30,378 ついてはのぅ 奥方さまが格別に そなたに会うて 78 00:07:30,378 --> 00:07:33,381 話がしたいと 仰せられてるそうじゃ 79 00:07:33,381 --> 00:07:36,384 近々 大坂城へまいらねばならんぞ 80 00:07:36,384 --> 00:07:40,388 奥方さま… お寧々さまが? うむ… 81 00:07:40,388 --> 00:07:45,393 それでのぅ 上さまが関白になられたと同時に 82 00:07:45,393 --> 00:07:49,397 朝廷より 従三位 北政所という 称号をお受けになった 83 00:07:49,397 --> 00:07:52,397 北政所さま… 84 00:07:54,402 --> 00:07:57,405 おお… 心配することはないぞ 85 00:07:57,405 --> 00:08:00,408 あのお方だけは 昔と ちっとも変わっとらん 86 00:08:00,408 --> 00:08:03,411 上さまとな 満座の中で➡ 87 00:08:03,411 --> 00:08:06,414 尾張弁丸出しの 口げんかをするほどじゃ 88 00:08:06,414 --> 00:08:11,419 気を遣うことはない ハハハハッ… ハハハッ… 89 00:08:11,419 --> 00:08:15,423 <いわば 現代の サラリーマン社会における➡ 90 00:08:15,423 --> 00:08:18,426 夫人外交と 同じことでございます> 91 00:08:18,426 --> 00:08:22,430 <けれども 一豊さまが何とおっしゃろうと➡ 92 00:08:22,430 --> 00:08:28,369 北政所さまは 今で いうならば 日本のファースト・レディー> 93 00:08:28,369 --> 00:08:31,372 <わざわざ 呼ばれるということさえ➡ 94 00:08:31,372 --> 00:08:35,376 体の震えるほどの 光栄なのでございました> 95 00:08:35,376 --> 00:08:38,376 (北政所)おや 太りましたね 96 00:08:43,384 --> 00:08:45,386 北政所さまも➡ 97 00:08:45,386 --> 00:08:49,390 お太りあそばしたように思います (北政所)まあ… 98 00:08:49,390 --> 00:08:54,395 <この時代 女性のふくよかさは 美人の条件のひとつですから➡ 99 00:08:54,395 --> 00:08:58,399 「太った」というのは 褒め言葉なのでございます> 100 00:08:58,399 --> 00:09:05,406 千代どのも変わりませぬな よね姫は大きくなりましたか? 101 00:09:05,406 --> 00:09:09,410 はい 10歳になりました 102 00:09:09,410 --> 00:09:13,414 岐阜のころ 私は 子のないことを嘆いて➡ 103 00:09:13,414 --> 00:09:19,420 嘆く度に 千代どのも そうじゃと 思うて 自分を慰めておりました 104 00:09:19,420 --> 00:09:22,423 今では負けましたな 105 00:09:22,423 --> 00:09:24,358 いいえ そのような… 106 00:09:24,358 --> 00:09:29,363 私は 思いもかけぬ天運にて かような身の上になりましたが 107 00:09:29,363 --> 00:09:34,368 そのようなことは 女子として何の意味もありませぬ 108 00:09:34,368 --> 00:09:40,374 それよりも 子を持つこそ 女子の幸せのように思います 109 00:09:40,374 --> 00:09:46,380 フフッ… 北政所さま 私のような者が➡ 110 00:09:46,380 --> 00:09:49,383 返事に困るようなことを 申されてはなりませぬ 111 00:09:49,383 --> 00:09:51,385 そうでした 112 00:09:51,385 --> 00:09:56,390 あっ… 申し遅れまして 相すみませぬ 113 00:09:56,390 --> 00:10:01,395 この度 山内伊右衛門一豊 長浜2万石と賜りまして➡ 114 00:10:01,395 --> 00:10:05,399 諸侯に列せられましたこと ありがたき幸せに存じまする 115 00:10:05,399 --> 00:10:08,402 対馬守になられたそうな はい 116 00:10:08,402 --> 00:10:10,404 「山内対馬守」とは➡ 117 00:10:10,404 --> 00:10:14,408 なかなか語呂もよいし 字面も よいようですね 118 00:10:14,408 --> 00:10:17,411 恐れ入ります 119 00:10:17,411 --> 00:10:20,414 千代どの 長浜城に入れば➡ 120 00:10:20,414 --> 00:10:25,352 季節ごとに1度ずつは 私を訪ねてくれませぬか? 121 00:10:25,352 --> 00:10:28,355 はい あのお城だけは➡ 122 00:10:28,355 --> 00:10:32,359 ほかの人には入ってもらいたく ありませんでした 123 00:10:32,359 --> 00:10:34,361 伊右衛門どのが お入りくださると聞いて➡ 124 00:10:34,361 --> 00:10:38,365 こんなに うれしいと思ったことは ありません 125 00:10:38,365 --> 00:10:42,369 同じ尾張の出 血縁同然ですもの 126 00:10:42,369 --> 00:10:44,369 はい 127 00:10:48,375 --> 00:10:50,377 この長浜2万石は➡ 128 00:10:50,377 --> 00:10:53,380 北政所さまのお口添えでは なかったのでしょうか? 129 00:10:53,380 --> 00:10:57,384 お会いして なんとなく そんな気が… 130 00:10:57,384 --> 00:11:01,388 そうか… いや そうかもしれんな 131 00:11:01,388 --> 00:11:04,391 こうした人事について 奥方さまが➡ 132 00:11:04,391 --> 00:11:07,394 意見を述べられることがあると 聞いたことがある 133 00:11:07,394 --> 00:11:13,400 「誰それを大名に」と申されて 即日 そうなったこともあるそうだ 134 00:11:13,400 --> 00:11:18,405 でも なぜ今 一豊さまなのでしょう? 135 00:11:18,405 --> 00:11:24,411 う~む… お茶々さまのせいかもしれんな 136 00:11:24,411 --> 00:11:28,415 お茶々さま… あの浅井さまのご息女の? 137 00:11:28,415 --> 00:11:30,417 浅井長政を滅ぼし➡ 138 00:11:30,417 --> 00:11:33,420 お茶々さまをおそばに 置かれるようになってから➡ 139 00:11:33,420 --> 00:11:38,425 上さまは しきりに近江の侍を お取り立てになるようになった 140 00:11:38,425 --> 00:11:44,431 尾張育ちの奥方さまは それが気に入られんのだ 141 00:11:44,431 --> 00:11:48,435 それで 尾張以来の一豊さまを? 142 00:11:48,435 --> 00:11:52,439 奥方さまは 我らの恩人ということになるな 143 00:11:52,439 --> 00:11:56,443 <つまりは 側室のお茶々さまに対抗する➡ 144 00:11:56,443 --> 00:12:01,448 北政所さまの派閥の中に 組み入れられたということですが 145 00:12:01,448 --> 00:12:06,453 そのことが のちのち どれほど重大な意味を持つのか➡ 146 00:12:06,453 --> 00:12:11,458 このときの2人は まだ 気がついてはおりませんでした> 147 00:12:11,458 --> 00:12:17,464 <秀吉さまが 越中の 佐々成政さまの征伐を開始すると 148 00:12:17,464 --> 00:12:21,468 この長浜城は 地理的に後方陣地となりました> 149 00:12:21,468 --> 00:12:27,408 <そのため 一豊さまは ご自身は戦に行くことなく➡ 150 00:12:27,408 --> 00:12:31,412 千代と共に 毎日のように 通過していく軍勢のための➡ 151 00:12:31,412 --> 00:12:35,416 武器や食料の調達に 専念されたのでございます> 152 00:12:35,416 --> 00:12:38,419 (家臣) 高山右近さま500名 ご到着! 153 00:12:38,419 --> 00:12:41,422 湯を沸かしなさい それから お米と干し飯を 154 00:12:41,422 --> 00:12:44,425 (女中たち)はい 足りなかったら 蔵から出しなさい 155 00:12:44,425 --> 00:12:47,428 一の蔵が空になったら 二の蔵 開けなさい 156 00:12:47,428 --> 00:12:51,432 千代… 千代! 157 00:12:51,432 --> 00:12:54,435 どうしたというのじゃ? そんなに蔵の物をどんどん出せば 158 00:12:54,435 --> 00:12:57,438 いざ この城が合戦というときに 負けるしかないわ 159 00:12:57,438 --> 00:12:59,440 フフッ… 何が おかしい? 160 00:12:59,440 --> 00:13:04,445 いえ ここ当分 この辺りで 大きな戦はございますまい 161 00:13:04,445 --> 00:13:08,449 あったとしても 大坂の関白さまが 後ろに控えておられます 162 00:13:08,449 --> 00:13:10,451 米ひと粒なくなっても➡ 163 00:13:10,451 --> 00:13:13,454 関白さまに おすがり申し上げれば よろしゅうございましょう 164 00:13:13,454 --> 00:13:17,458 それは そうだが… 将来の蓄えということもある 165 00:13:17,458 --> 00:13:20,461 あの… まさか 一豊さまは将来かけて➡ 166 00:13:20,461 --> 00:13:23,464 2万石に納まっておしまいになる おつもりではないでしょう? 167 00:13:23,464 --> 00:13:25,399 いや… まあ そ… それはな 168 00:13:25,399 --> 00:13:28,402 それならば よろしいではありませぬか 169 00:13:28,402 --> 00:13:32,406 末は きっと国主さまですもの 170 00:13:32,406 --> 00:13:38,412 ♬~ 171 00:13:38,412 --> 00:13:40,414 アッ! (女中)奥方さま! 172 00:13:40,414 --> 00:13:44,418 大丈夫でございますか!? 奥方さま 千代… 173 00:13:44,418 --> 00:13:48,422 大丈夫か? ケガはないか? これしきのこと 何とも 174 00:13:48,422 --> 00:13:52,426 このところ張り切りすぎて どうも お前らしくもない 175 00:13:52,426 --> 00:13:55,429 生傷の絶え間がないであろう どうかしたのか? 176 00:13:55,429 --> 00:13:57,431 いいえ 普通でございます 千代は落ち着いております 177 00:13:57,431 --> 00:14:00,434 それじゃ それ… それを わざわざ言うことが おかしい 178 00:14:00,434 --> 00:14:04,438 以前のそなたは 早口の 繰り返し言葉なぞ 言わなかった 179 00:14:04,438 --> 00:14:06,440 フフッ… 180 00:14:06,440 --> 00:14:11,440 こんな忙しい目に遭うたのは 初めてでござりますから 181 00:14:13,447 --> 00:14:16,450 <初めての城主夫人の経験は➡ 182 00:14:16,450 --> 00:14:21,450 確かに千代を多少の興奮状態に 置いたようでございます> 183 00:14:24,458 --> 00:14:29,463 <佐々成政さまは 小牧・長久手の合戦以来➡ 184 00:14:29,463 --> 00:14:34,468 徳川さまと手を結ぶべく 画策なさっておられました> 185 00:14:34,468 --> 00:14:40,474 <天正13年8月 秀吉さまは ついに これを降伏せしめ➡ 186 00:14:40,474 --> 00:14:45,479 将来への災いを 取り除かれたのでございます> 187 00:14:45,479 --> 00:14:50,484 <とにかく 千代は幸せでした> 188 00:14:50,484 --> 00:14:52,486 <けれども この年の冬➡ 189 00:14:52,486 --> 00:14:56,490 その幸せが一瞬にして 覆るような異変が起きようとは➡ 190 00:14:56,490 --> 00:14:59,493 一体 誰が想像できたことでしょう> 191 00:14:59,493 --> 00:15:03,497 ≪(鳥の鳴き声) 192 00:15:03,497 --> 00:15:05,499 きじですね 193 00:15:05,499 --> 00:15:10,504 おおかた きつねにでも 襲われているのでございま… 194 00:15:10,504 --> 00:15:13,507 合いました! フフフフッ… 195 00:15:13,507 --> 00:15:19,513 よね姫も芳野も 今夜は私の寝所で休みませぬか? 196 00:15:19,513 --> 00:15:22,449 このところ 城中から ねずみがいなくなったり 197 00:15:22,449 --> 00:15:28,455 池の鯉が騒いだりして 気味が悪うてなりませぬ 198 00:15:28,455 --> 00:15:33,460 お父上は 京の関白さまのもとに おいでで お留守だし 199 00:15:33,460 --> 00:15:38,465 寂しゅうてならぬのです フフッ… お母さま 弱虫やねえ 200 00:15:38,465 --> 00:15:40,467 それでしたら お母さま 201 00:15:40,467 --> 00:15:44,471 夜になったら 私のお部屋へ お泊まりに来てください 202 00:15:44,471 --> 00:15:49,476 まあ よね姫のお部屋へ? うれしい 203 00:15:49,476 --> 00:15:53,480 それでは そうさせてもらいます 204 00:15:53,480 --> 00:15:58,485 ♬~ 205 00:15:58,485 --> 00:16:01,488 <千代は おどけて 旅人の真似をして➡ 206 00:16:01,488 --> 00:16:07,494 庭を回って よね姫の別棟を訪ねました> 207 00:16:07,494 --> 00:16:11,498 よね姫さま 208 00:16:11,498 --> 00:16:13,500 ≪ よね姫さま 209 00:16:13,500 --> 00:16:18,505 ここは よね姫さまのお家でございますか 210 00:16:18,505 --> 00:16:21,442 はいはい どなたでございます? 211 00:16:21,442 --> 00:16:25,446 行き暮れて 難渋している者でございます 212 00:16:25,446 --> 00:16:29,450 どうか ひと夜の宿を お貸し願えませぬか? 213 00:16:29,450 --> 00:16:33,454 生国は どこでございますか? 214 00:16:33,454 --> 00:16:37,458 ≪ はい 美濃でございます 215 00:16:37,458 --> 00:16:42,463 まあまあ 美濃から まいられたのでございますか 216 00:16:42,463 --> 00:16:44,465 はい 217 00:16:44,465 --> 00:16:50,471 ≪(よね)それはそれは 大変なことでございましたね 218 00:16:50,471 --> 00:16:54,475 よね姫さま 早よう中へ入れてくだされ 219 00:16:54,475 --> 00:16:58,475 ここは寒うございますから 220 00:17:01,482 --> 00:17:03,484 早ようお上がりください 221 00:17:03,484 --> 00:17:07,488 (鳥の鳴き声) 222 00:17:07,488 --> 00:17:11,492 「竜宮城で 月日を忘れて 楽しく暮らしているうちに➡ 223 00:17:11,492 --> 00:17:15,496 人の世では100年も たってしまっていたのです」 224 00:17:15,496 --> 00:17:18,499 ≪(鳥の鳴き声) 225 00:17:18,499 --> 00:17:21,435 (芳野)さあさあ さあさあ… まあまあまあ 226 00:17:21,435 --> 00:17:24,438 芳野 はい 227 00:17:24,438 --> 00:17:29,438 胸騒ぎがしませんか? そのようなことはございません 228 00:17:31,445 --> 00:17:35,445 よね姫は どう? 何がです? 229 00:17:40,454 --> 00:17:44,458 千代さま 大丈夫ですがね 230 00:17:44,458 --> 00:17:49,463 一豊さまが お留守でも 家は女が守ります 231 00:17:49,463 --> 00:17:52,466 びくびくなさらずとも よろしゅうございますわ 232 00:17:52,466 --> 00:17:55,469 あっ! 火の用心 (芳野)えっ? 233 00:17:55,469 --> 00:17:58,472 一豊さまから言われていたのを 思い出しました 234 00:17:58,472 --> 00:18:02,472 火の始末を見回らねばなりません 235 00:18:05,479 --> 00:18:08,479 誰かある! 誰か! 236 00:18:11,485 --> 00:18:15,489 3人ひと組で 奥の内外を見回りましょう すぐに 237 00:18:15,489 --> 00:18:18,492 あっ それから長刀を (侍女)かしこまりました 238 00:18:18,492 --> 00:18:20,494 (芳野) まあ ご自分で回られるんですか? 239 00:18:20,494 --> 00:18:22,429 そうしなければ… 240 00:18:22,429 --> 00:18:26,433 (よね)お母さま 今晩だけは 姫と一緒にいてくださいませ 241 00:18:26,433 --> 00:18:29,436 胸騒ぎがして 妙に気になるのです 242 00:18:29,436 --> 00:18:34,436 すぐに戻ってきますから よね姫は 先にお休みなさい 243 00:18:51,458 --> 00:18:53,460 (地鳴り) 244 00:18:53,460 --> 00:18:55,462 (衝撃音) アッ! 245 00:18:55,462 --> 00:18:59,466 (地鳴り) 246 00:18:59,466 --> 00:19:03,470 (鳥の羽ばたきの音) 247 00:19:03,470 --> 00:19:06,470 (侍女たちの悲鳴) 248 00:19:19,486 --> 00:19:25,425 <のちの世に 「天正地震」と 呼ばれる大地震が起きたのは➡ 249 00:19:25,425 --> 00:19:32,432 天正13年11月29日の 夜のことでございました> 250 00:19:32,432 --> 00:19:35,435 (侍女)奥方さま おけがは? (侍女)しっかりなさいませ 251 00:19:35,435 --> 00:19:38,438 よね姫! ≪(物の落ちる音) 252 00:19:38,438 --> 00:19:41,441 奥方さま よね姫! 253 00:19:41,441 --> 00:19:44,444 ≪(物の落ちる音) 254 00:19:44,444 --> 00:19:47,444 (侍女)大丈夫でございますか? お気をつけくださいませ 255 00:19:50,450 --> 00:19:53,450 よね姫! 256 00:19:56,456 --> 00:19:59,459 よね姫 257 00:19:59,459 --> 00:20:01,461 (新右衛門) 奥方さま! ご無事ですか 258 00:20:01,461 --> 00:20:06,466 よね姫が… 捜してください! (新右衛門たち)はっ! 259 00:20:06,466 --> 00:20:09,466 (物の落ちる音) 260 00:20:16,476 --> 00:20:20,480 ハァハァハァ… 261 00:20:20,480 --> 00:20:28,422 ♬~ 262 00:20:28,422 --> 00:20:38,432 (泣き叫ぶ声) 263 00:20:38,432 --> 00:20:47,441 (泣き声) 264 00:20:47,441 --> 00:20:55,449 (千代と芳野の泣き声) 265 00:20:55,449 --> 00:21:00,454 <「禍福は糾える縄のごとし」と 申します> 266 00:21:00,454 --> 00:21:06,460 <一豊さまと千代は 大名となって 大きな幸せを得た代わりに➡ 267 00:21:06,460 --> 00:21:10,464 天は よね姫を奪ったのでした> 268 00:21:10,464 --> 00:21:25,479 ♬~ 269 00:21:25,479 --> 00:21:39,479 ♬~ 270 00:21:41,495 --> 00:21:44,495 よね… よね! 271 00:21:46,500 --> 00:21:48,502 よね! 272 00:21:48,502 --> 00:21:51,505 よね… 273 00:21:51,505 --> 00:21:53,507 (泣き声) 274 00:21:53,507 --> 00:21:56,510 <京から戻ってきた一豊さまは➡ 275 00:21:56,510 --> 00:22:01,510 それから ひと月余り 廃人同様になられました> 276 00:22:04,518 --> 00:22:12,526 僅か10歳の娘が ただひとり あの世では寂しかろう 277 00:22:12,526 --> 00:22:17,526 このわしが 共に連れ添うてやりたい 278 00:22:19,533 --> 00:22:24,471 お気を丈夫にお持ちくださりませ 279 00:22:24,471 --> 00:22:26,473 そのようにお嘆きあそばすと➡ 280 00:22:26,473 --> 00:22:30,477 死んだ者が 成仏できぬと申しまする 281 00:22:30,477 --> 00:22:36,483 しかしな 千代 よねを亡くして… 282 00:22:36,483 --> 00:22:44,491 この先は わしは 誰のために生き 誰のために働く? 283 00:22:44,491 --> 00:22:50,497 一豊さま そのように仰せられずに 284 00:22:50,497 --> 00:22:53,500 よねは泣いてるやもしれぬ 285 00:22:53,500 --> 00:22:58,505 ただひとり 黄泉路に至る暗闇の中で➡ 286 00:22:58,505 --> 00:23:07,505 道に迷い わしらの名を呼んで… 泣いてるやもしれぬ 287 00:23:15,522 --> 00:23:18,525 <けれども こうした悲しみの中でも➡ 288 00:23:18,525 --> 00:23:23,463 時代は激しく動いておりました> 289 00:23:23,463 --> 00:23:28,468 <あれほど かたくなに東海の地を 動かなかった徳川家康さまが➡ 290 00:23:28,468 --> 00:23:33,473 ついに大坂城を訪れることに なったのでございます> 291 00:23:33,473 --> 00:23:36,476 徳川どののもとへ? (秀吉)うむ… 292 00:23:36,476 --> 00:23:43,483 ちとな 明日の対面の前に お願いすべき儀があってのぅ 293 00:23:43,483 --> 00:23:47,487 一緒に来てくれぬか? それがしがでございますか? 294 00:23:47,487 --> 00:23:50,490 (秀吉)うむ… あまり大げさにならぬがよい 295 00:23:50,490 --> 00:23:53,493 供は5~6人でいい 296 00:23:53,493 --> 00:23:56,496 いや しかしながら 徳川どのは➡ 297 00:23:56,496 --> 00:24:00,500 酒井忠次 本多忠勝ら 1万の軍勢を率いております 298 00:24:00,500 --> 00:24:03,503 それでは お命が… フフッ… 299 00:24:03,503 --> 00:24:06,506 …といって こちらも軍勢を率いて 行くというわけにもいくまい? 300 00:24:06,506 --> 00:24:09,509 それでは合戦になってしまうわ 301 00:24:09,509 --> 00:24:12,512 のう? ハハハハッ… 302 00:24:12,512 --> 00:24:14,514 ンッ! (鈴に当たる音) 303 00:24:14,514 --> 00:24:18,518 (侍女)お見事でございます! (秀吉)おお! 見よ アハハハッ… 304 00:24:18,518 --> 00:24:21,454 さあさあさあ 当たったぞ そちが飲め 305 00:24:21,454 --> 00:24:30,463 ♬~ 306 00:24:30,463 --> 00:24:35,468 (酒井)あっ! ははっ! (秀吉)三河どのは無事 ご到着か? 307 00:24:35,468 --> 00:24:37,470 (酒井) これは関白さま 不意のお越し 308 00:24:37,470 --> 00:24:41,474 お迎えの支度もなく 申し訳ござりませぬ 309 00:24:41,474 --> 00:24:45,478 ただいま 主 家康 ご挨拶に まいりますれば 今しばらく… 310 00:24:45,478 --> 00:24:48,481 いやいや いやいや 挨拶は明日 311 00:24:48,481 --> 00:24:51,484 今宵は この秀吉 昔の藤吉郎に戻って➡ 312 00:24:51,484 --> 00:24:55,488 軽々と徳川どのに 頼み事をしにまいっただけじゃ 313 00:24:55,488 --> 00:24:58,491 迎えの支度など 無用 無用 ンッ… 314 00:24:58,491 --> 00:25:00,493 (酒井たち)はぁ… 315 00:25:00,493 --> 00:25:10,493 ♬~ 316 00:25:12,505 --> 00:25:15,508 ああ… お手を上げられい 317 00:25:15,508 --> 00:25:20,513 うむ… この度のご上洛 かたじけのうござる 318 00:25:20,513 --> 00:25:22,449 おかげさまにて この秀吉 319 00:25:22,449 --> 00:25:27,454 名実ともに 天下を取ったことになり申す 320 00:25:27,454 --> 00:25:30,457 いや… 取らせていただいた 321 00:25:30,457 --> 00:25:32,457 おう 322 00:25:48,475 --> 00:25:52,479 うむ… さあ まずは一献 323 00:25:52,479 --> 00:25:54,479 (家康)恐れ入ります 324 00:26:09,496 --> 00:26:15,502 されば 今宵 単身 お伺い申した訳は… 325 00:26:15,502 --> 00:26:20,502 明日の大坂城での 対面の儀についてでござる 326 00:26:22,442 --> 00:26:24,444 ンッ… 327 00:26:24,444 --> 00:26:29,449 まあ ご存じのとおり この秀吉は➡ 328 00:26:29,449 --> 00:26:33,453 匹夫より上がって 今日の地位を得た 329 00:26:33,453 --> 00:26:40,460 なるほど 官位は人臣を極め 天下の兵馬の権を握り 330 00:26:40,460 --> 00:26:47,467 四海の英雄 豪傑の半ばを 家来としたとは申せ 331 00:26:47,467 --> 00:26:53,473 ありようは 皆 織田どのの旧臣ばかり 332 00:26:53,473 --> 00:26:56,476 昔の同僚 朋輩たちでござる 333 00:26:56,476 --> 00:27:06,476 そのため 彼らは 心から 秀吉を敬うという実がござらん 334 00:27:08,488 --> 00:27:14,488 されば そこでお助け願いたい 335 00:27:17,497 --> 00:27:22,435 明日の対面には 諸大名が列席いたしまする 336 00:27:22,435 --> 00:27:25,438 そのとき 徳川どのは➡ 337 00:27:25,438 --> 00:27:35,448 是非 是非 ご慇懃なる体にて 敬礼してくださらぬか 338 00:27:35,448 --> 00:27:40,453 (家康) いたしまするとも そのつもりで 上洛したのでござりまするので 339 00:27:40,453 --> 00:27:43,456 うんうん それはそれは ありがたい 340 00:27:43,456 --> 00:27:46,459 そのとき この秀吉は➡ 341 00:27:46,459 --> 00:27:52,465 すこぶる尊大なる体にて 答礼いたしまするゆえ➡ 342 00:27:52,465 --> 00:27:57,470 お気を悪くしてくださるな 諸大名から見れば➡ 343 00:27:57,470 --> 00:28:03,476 「徳川どのでさえ あれほど丁重に敬礼しなさる」 344 00:28:03,476 --> 00:28:07,480 「秀吉は これを家来のように扱う」 345 00:28:07,480 --> 00:28:17,480 「されば 秀吉は敬うべきかな」と 皆が得心いたすでござりましょう 346 00:28:19,492 --> 00:28:21,427 ははっ… 347 00:28:21,427 --> 00:28:24,430 頼みまいらせまするぞ 348 00:28:24,430 --> 00:28:28,434 そのこと あらかじめ 打ち合わせいたしたく まいった 349 00:28:28,434 --> 00:28:33,439 何事も 天下を鎮めるためと存ぜられ➡ 350 00:28:33,439 --> 00:28:38,444 ひとえに頼み申すぞ (家康)痛み入ります 351 00:28:38,444 --> 00:28:42,448 それがし こうして お膝元に 上ってまいりました以上は➡ 352 00:28:42,448 --> 00:28:48,454 何事も関白殿下のよきように 計らうつもりでござりまする 353 00:28:48,454 --> 00:28:52,458 それで安心いたし申した 354 00:28:52,458 --> 00:28:56,462 (秀吉と家康の笑い声) 355 00:28:56,462 --> 00:29:00,462 さあさあ いま一献 もう一献 オホホホッ… 356 00:29:02,468 --> 00:29:06,472 フフフフッ… うむ… ホホホッ… 357 00:29:06,472 --> 00:29:09,475 <徳川さまは このとき初めて➡ 358 00:29:09,475 --> 00:29:13,475 秀吉さまに 好意を持たれたのでございます> 359 00:29:15,481 --> 00:29:18,484 <その証拠に 徳川さまは➡ 360 00:29:18,484 --> 00:29:23,423 十分に へりくだった臣下の姿を お見せになったばかりでなく➡ 361 00:29:23,423 --> 00:29:29,429 更に見事な演技を お示しになられました> 362 00:29:29,429 --> 00:29:36,436 関白殿下 恐れながら この家康 今日のご対面の思い出草に➡ 363 00:29:36,436 --> 00:29:39,439 是非とも いただきたき物がござりまする 364 00:29:39,439 --> 00:29:44,444 なに? 欲しい物があるとな? 申してみよ 365 00:29:44,444 --> 00:29:50,450 されば ただいま殿下ご着用の その陣羽織を➡ 366 00:29:50,450 --> 00:29:55,455 いただきとうござりまする (秀吉)な… なに? これを? 367 00:29:55,455 --> 00:30:02,462 いや この陣羽織はのぅ 長年 わしが着用いたし➡ 368 00:30:02,462 --> 00:30:06,466 共に合戦の矢弾の下を くぐってまいった品じゃ 369 00:30:06,466 --> 00:30:11,471 まあ いわば わしの鎧兜も同じこと 370 00:30:11,471 --> 00:30:14,474 こればかりは くれてやれぬわ 371 00:30:14,474 --> 00:30:16,476 いやいや… 372 00:30:16,476 --> 00:30:21,414 それがしが幕下に はべって 犬馬の労を取りまする以上 373 00:30:21,414 --> 00:30:26,419 殿下には もはや鎧兜は着せませぬ 374 00:30:26,419 --> 00:30:29,419 (どよめき) 375 00:30:31,424 --> 00:30:35,428 申された! いや お言葉じゃ! 376 00:30:35,428 --> 00:30:39,432 お言葉じゃ お言葉じゃ! よう申された 377 00:30:39,432 --> 00:30:44,437 三河どのが そこまで 申してくだされたうえからは➡ 378 00:30:44,437 --> 00:30:51,444 槍も鉄砲も要らん 陣羽織も お授け申そうぞ 379 00:30:51,444 --> 00:30:54,447 ウホホホッ… 380 00:30:54,447 --> 00:30:56,449 ンッ… 381 00:30:56,449 --> 00:31:07,460 ♬~ 382 00:31:07,460 --> 00:31:10,463 <いかがです?> 383 00:31:10,463 --> 00:31:15,463 <まるで 名優同士の大舞台を 見ているようではございませんか> 384 00:31:20,473 --> 00:31:24,477 ともあれ 徳川どのを味方に引き入れ 385 00:31:24,477 --> 00:31:27,480 もはや天下は上さまのもの 386 00:31:27,480 --> 00:31:32,485 残るは九州 関東 387 00:31:32,485 --> 00:31:40,493 だが こたびの島津攻め わしは また京都留守居役だそうだ 388 00:31:40,493 --> 00:31:44,497 京に屋敷を作らねばならんな 389 00:31:44,497 --> 00:31:46,499 いいではありませぬか 390 00:31:46,499 --> 00:31:49,502 一豊さまには そのほうが 合っているように思います 391 00:31:49,502 --> 00:31:56,509 ハハッ… かもしれんが ご加増の見込みはないぞ 392 00:31:56,509 --> 00:32:01,514 いや よね姫を亡くした今 393 00:32:01,514 --> 00:32:06,519 出世もご加増も 我らにとっては 何の意味合いもなくなったがな 394 00:32:06,519 --> 00:32:12,525 一豊さま 京のお屋敷は うんと大きなものを建てましょう 395 00:32:12,525 --> 00:32:15,528 それも よかろう 396 00:32:15,528 --> 00:32:18,464 上さまは豪放なことが お好きじゃ 397 00:32:18,464 --> 00:32:23,469 ご自身も今 大内裏跡に 極楽のような城を造っておられる 398 00:32:23,469 --> 00:32:28,474 聚楽第のことですね もう どのくらいできたのですか? 399 00:32:28,474 --> 00:32:32,478 金銀を惜しまず 夜を日に継いでの 普請を行っている 400 00:32:32,478 --> 00:32:36,482 京の者は 公家から庶民に至るまで 401 00:32:36,482 --> 00:32:41,487 「この世で極楽浄土が拝める」と 今から楽しみにしておるわ 402 00:32:41,487 --> 00:32:45,491 ハハハハッ… 豪気なこと 403 00:32:45,491 --> 00:32:49,495 でも それで 人は皆 戦が 終わったことを知るのでしょう 404 00:32:49,495 --> 00:32:55,501 戦で すさんだ心も 和らぐことでしょう 405 00:32:55,501 --> 00:33:00,506 贅沢なようでも それが関白さまの政なのですね 406 00:33:00,506 --> 00:33:04,510 ハァ… 正に そうであろうな 407 00:33:04,510 --> 00:33:07,513 眠くなった もう寝るぞ 408 00:33:07,513 --> 00:33:11,513 あっ お気をつけあそばして 409 00:33:23,463 --> 00:33:30,470 姫御前のこと 聞いたぞ さぞ つらかったろうな 410 00:33:30,470 --> 00:33:33,473 都暮らしも よかろう 411 00:33:33,473 --> 00:33:38,478 華やかな京の都で この美しい小袖を着れば➡ 412 00:33:38,478 --> 00:33:43,483 少しは 心の憂さも晴れようからな 413 00:33:43,483 --> 00:33:47,487 いいえ 私は着ませぬ 414 00:33:47,487 --> 00:33:50,490 着もせぬものを なぜ作る? 415 00:33:50,490 --> 00:33:56,496 道楽… 京には 美しい娘御が たくさんおりましょうから 416 00:33:56,496 --> 00:34:00,500 似合う人を見つけて 着せてあげます 417 00:34:00,500 --> 00:34:02,502 着せて どうする? 418 00:34:02,502 --> 00:34:06,506 差し上げます そのまま なに? 419 00:34:06,506 --> 00:34:09,509 よね姫が大きくなれば➡ 420 00:34:09,509 --> 00:34:15,509 私は たくさんの小袖を 縫うてやるつもりでした 421 00:34:17,517 --> 00:34:22,455 婚儀のときの衣装も皆 この母の手で仕立ててやろうと… 422 00:34:22,455 --> 00:34:26,459 そう思うておりました 423 00:34:26,459 --> 00:34:30,463 でも 今は みんな夢 424 00:34:30,463 --> 00:34:33,466 ですから そうしてあげれば➡ 425 00:34:33,466 --> 00:34:36,469 よね姫の 供養にもなると思うのです 426 00:34:36,469 --> 00:34:42,475 供養… 小袖供養というわけか 427 00:34:42,475 --> 00:34:49,482 それはよい 亡き姫も きっと喜ばれよう 428 00:34:49,482 --> 00:34:54,487 ♬~ 429 00:34:54,487 --> 00:35:00,493 <やがて 千代は 一豊さまが 京都留守居役を賜ると➡ 430 00:35:00,493 --> 00:35:04,497 共に 京の屋敷へ移り住んだのでした> 431 00:35:04,497 --> 00:35:21,447 ♬~ 432 00:35:21,447 --> 00:35:23,447 あの娘を… 433 00:35:30,456 --> 00:35:32,458 (新右衛門)おかえりなさいませ 434 00:35:32,458 --> 00:35:36,462 千代は どうした? また街を出歩いてるのか? 435 00:35:36,462 --> 00:35:40,466 いえいえ お戻りになっておりますが ちと… 436 00:35:40,466 --> 00:35:42,468 「ちと」何だ? 437 00:35:42,468 --> 00:35:47,473 ちと 困ったことに… 困ったこと? 438 00:35:47,473 --> 00:35:50,476 だから 何をしているのだ? 千代は 439 00:35:50,476 --> 00:35:53,479 ええ いつものように 娘に小袖を着せております 440 00:35:53,479 --> 00:35:56,482 フフッ… それが どうしたというのだ? 441 00:35:56,482 --> 00:35:58,482 いや… あの… うん? 442 00:36:00,486 --> 00:36:02,488 いや… 殿! 443 00:36:02,488 --> 00:36:07,493 (侍女)はい できました (侍女)よくお似合いですよ 444 00:36:07,493 --> 00:36:09,493 (新右衛門)殿… 445 00:36:11,497 --> 00:36:13,499 ウッ… 446 00:36:13,499 --> 00:36:22,441 ♬~ 447 00:36:22,441 --> 00:36:25,444 一豊さま うん? 448 00:36:25,444 --> 00:36:27,446 どうなさったのです? 449 00:36:27,446 --> 00:36:31,450 いや 今日の小袖は また一段と… 450 00:36:31,450 --> 00:36:34,453 着ている人が よいからです 451 00:36:34,453 --> 00:36:39,458 ♬~ 452 00:36:39,458 --> 00:36:42,461 とてもよく似合う 453 00:36:42,461 --> 00:36:48,467 さあ これをあなたに差し上げます 折に触れて 袖を通してください 454 00:36:48,467 --> 00:36:51,470 (小りん)よろしいのですか? こんなに きれいな物を… 455 00:36:51,470 --> 00:36:54,473 私のほうこそ お礼を言いたいくらいです 456 00:36:54,473 --> 00:36:58,477 もろうてくれれば 私も うれしいのです 457 00:36:58,477 --> 00:37:09,488 ♬~ 458 00:37:09,488 --> 00:37:12,491 <さまざまな色を持つ 折り紙のことを➡ 459 00:37:12,491 --> 00:37:15,494 「千代紙」と申しますが➡ 460 00:37:15,494 --> 00:37:21,434 千代の この色鮮やかな小袖が その名の由来との説もございます> 461 00:37:21,434 --> 00:37:24,434 (新右衛門) こっちへ… こっちへ来い 462 00:37:26,439 --> 00:37:29,442 どういうことなのじゃ? なぜ お前が ここにいる? 463 00:37:29,442 --> 00:37:32,445 街で 奥方さまに拾われたのさ 嘘をつけ 464 00:37:32,445 --> 00:37:35,448 お前のことじゃ 何か術でも使って➡ 465 00:37:35,448 --> 00:37:38,451 千代の目を たぶらかしたのであろう 466 00:37:38,451 --> 00:37:41,454 これ 小りん この小袖は すぐに脱げ 467 00:37:41,454 --> 00:37:44,457 お前ごときが着れる物ではない (小りん)やだ! 私がもらったんだ 468 00:37:44,457 --> 00:37:47,460 奥方さまだって 似合うって言ってくれたんだ 469 00:37:47,460 --> 00:37:49,462 おぬしは 一体 何をたくらんどる? 470 00:37:49,462 --> 00:37:51,464 奥方さまに近づいて 何をするつもりじゃ? 471 00:37:51,464 --> 00:37:54,467 お顔が見たかっただけさ 472 00:37:54,467 --> 00:37:57,470 顔を見る? なぜじゃ? 何のために? 473 00:37:57,470 --> 00:38:01,474 惚れた男の女房の顔 な… 何を… 474 00:38:01,474 --> 00:38:04,477 これ 小りん 身の程を知るがいいぞ 475 00:38:04,477 --> 00:38:07,480 一豊さまは2万石のお大名 476 00:38:07,480 --> 00:38:09,482 そなたごときが 軽々と近づける相手ではないのだ 477 00:38:09,482 --> 00:38:12,485 だって 先に手を出したのは そっちじゃないか! 478 00:38:12,485 --> 00:38:15,488 なっ… 馬鹿な これ 小りん 479 00:38:15,488 --> 00:38:19,425 今言うたようなことを 決して 人に漏らしてはならんぞ 480 00:38:19,425 --> 00:38:22,428 そうでのうても 姫さまを亡くされたお悲しみの中 481 00:38:22,428 --> 00:38:25,431 そのようなことが 奥方さまの耳に入れば➡ 482 00:38:25,431 --> 00:38:28,434 それこそ二重の苦しみじゃ お2人の仲は崩れる 483 00:38:28,434 --> 00:38:32,438 いやいや 山内家そのものが 崩壊するやもしれんのじゃ 484 00:38:32,438 --> 00:38:34,440 知るもんか そんなこと 485 00:38:34,440 --> 00:38:38,444 崩れるなら崩れちまえ 私の知ったこっちゃないよ! 486 00:38:38,444 --> 00:38:41,447 あっ! 小り… 小りん! 487 00:38:41,447 --> 00:38:44,450 アア… 488 00:38:44,450 --> 00:38:46,452 (ため息) 489 00:38:46,452 --> 00:38:59,465 ♬~ 490 00:38:59,465 --> 00:39:12,478 ♬~ 491 00:39:12,478 --> 00:39:17,478 (六平太)どうした? 小りん 機嫌が悪いようだな 492 00:39:19,418 --> 00:39:22,421 私のこと まるっきり馬鹿にしてるんだもん 493 00:39:22,421 --> 00:39:26,425 癪に障るじゃないか (六平太)フフッ… 494 00:39:26,425 --> 00:39:31,430 でも この小袖 やっぱり もらっちゃいけないのかな? 495 00:39:31,430 --> 00:39:33,432 ほう? 496 00:39:33,432 --> 00:39:39,438 あいつらの言うとおり 奥方さまを たぶらかしたのは本当だもん 497 00:39:39,438 --> 00:39:44,443 奥方さま 会ってみたら 私の想像と随分 違ってた 498 00:39:44,443 --> 00:39:50,449 人のよい一豊さまをお尻の下に 敷くような怖い女かと思ってたら 499 00:39:50,449 --> 00:39:55,449 私に こんな物を着せて 溶け入るような優しい目で… 500 00:39:57,456 --> 00:40:01,460 前に 六平太が言ってたとおりだ 501 00:40:01,460 --> 00:40:06,465 悔しいけど あんな人とじゃ けんかなんか できやしない 502 00:40:06,465 --> 00:40:09,465 引き下がるつもりか? 503 00:40:13,472 --> 00:40:18,410 <千代の小袖作りと その奇妙な発表方法は➡ 504 00:40:18,410 --> 00:40:23,415 洛中 洛外から あふれるような 好意で迎えられました> 505 00:40:23,415 --> 00:40:29,421 <今でいう服飾デザイナーの はしりでございましょう> 506 00:40:29,421 --> 00:40:36,421 <噂は 九州征伐中の秀吉さまの 耳にまで届いたのでございます> 507 00:40:38,430 --> 00:40:41,430 本当に美しい… 508 00:40:43,435 --> 00:40:46,438 そなたたちも そう思うであろう? 509 00:40:46,438 --> 00:40:50,442 (侍女)はい この世のものとは思えませぬ 510 00:40:50,442 --> 00:40:55,447 (北政所)無理なお願いを 聞いてもろうて うれしく思います 511 00:40:55,447 --> 00:40:59,451 失った よね姫の 供養だという話を耳にして➡ 512 00:40:59,451 --> 00:41:03,455 どうしても この小袖が欲しくなったのです 513 00:41:03,455 --> 00:41:06,458 お気に召していただいて 光栄に存じます 514 00:41:06,458 --> 00:41:11,458 でも どうでしょう この美しさは… 515 00:41:13,465 --> 00:41:18,470 千代どのは 天にいる織姫の 生まれ変わりかもしれませんね 516 00:41:18,470 --> 00:41:21,473 織姫では つまりませぬ 517 00:41:21,473 --> 00:41:26,478 天の川を隔てて 年に1度しか 夫の牽牛に会えませぬもの 518 00:41:26,478 --> 00:41:29,481 そうじゃ 千代どの… 519 00:41:29,481 --> 00:41:35,487 ♬~ 520 00:41:35,487 --> 00:41:40,492 京の聚楽第が出来上がれば 関白さまも帰ってまいります 521 00:41:40,492 --> 00:41:43,495 その折には 後陽成の帝をお招きして➡ 522 00:41:43,495 --> 00:41:46,498 盛大な儀式を 催すことになっておりますが 523 00:41:46,498 --> 00:41:52,504 どうでしょう? この小袖を 帝に お目にかけませぬか? 524 00:41:52,504 --> 00:41:57,509 えっ? 天子さまに これを? ええ 525 00:41:57,509 --> 00:42:01,513 これ1枚でなく 今までに作り置いた物の中からも 526 00:42:01,513 --> 00:42:04,516 よりすぐって 何枚か 527 00:42:04,516 --> 00:42:09,521 アア… でも 天子さまやお公家さま方が➡ 528 00:42:09,521 --> 00:42:13,525 私の作った物など お気に召されましょうか? 529 00:42:13,525 --> 00:42:18,464 お気に召しますとも それどころか 合戦ばかりしている侍の母どのが 530 00:42:18,464 --> 00:42:22,468 このような技を持っていると 知ったら びっくりなさるでしょう 531 00:42:22,468 --> 00:42:25,471 それは 関白さまにとっても➡ 532 00:42:25,471 --> 00:42:28,474 名誉なことなのです はぁ… 533 00:42:28,474 --> 00:42:36,482 <後陽成天皇の聚楽第行幸は 天正16年4月のこと> 534 00:42:36,482 --> 00:42:38,484 <秀吉さまは➡ 535 00:42:38,484 --> 00:42:41,487 この行幸を史上最大の 規模にすることによって➡ 536 00:42:41,487 --> 00:42:44,490 天下の平定を示し➡ 537 00:42:44,490 --> 00:42:48,494 重ねて ご自分が 天子さまの次の位であることを➡ 538 00:42:48,494 --> 00:42:53,499 人々に実感させようと なさったのでございます> 539 00:42:53,499 --> 00:42:56,502 <一種の個展でございました> 540 00:42:56,502 --> 00:43:02,508 <美術や工芸の作品展の最初と いってよいものでございましょう> 541 00:43:02,508 --> 00:43:07,513 (秀吉) 寧々よ あれは成功じゃったのぅ 542 00:43:07,513 --> 00:43:13,519 何もかも千代どののおかげです (秀吉)おう… よい妻女じゃ 543 00:43:13,519 --> 00:43:19,458 頭がいいばかりではない かわいげがあって 美しい 544 00:43:19,458 --> 00:43:21,460 ほれぼれするのぅ 545 00:43:21,460 --> 00:43:27,466 夫の一豊は そろばんは 石田三成に はるかに及ばず 546 00:43:27,466 --> 00:43:33,472 武勇は 加藤清正の 指ほどにもない平凡な男じゃが 547 00:43:33,472 --> 00:43:38,477 あの妻女だけは日本一じゃのぅ 548 00:43:38,477 --> 00:43:43,482 日本一… さようでございましょうとも 549 00:43:43,482 --> 00:43:48,487 お近くには それほどの女性は おりませぬものね 550 00:43:48,487 --> 00:43:50,489 アッ… いやいや いやいやいや! 551 00:43:50,489 --> 00:43:54,493 (笑い声) 552 00:43:54,493 --> 00:44:00,499 な… 何を言うのじゃ のう? 「そなたを除けば」じゃ 553 00:44:00,499 --> 00:44:04,499 のう? ウフフフッ… 554 00:44:06,505 --> 00:44:10,509 これは 一体 どうしたのじゃ? 555 00:44:10,509 --> 00:44:16,509 あの娘が置いていったのです せっかく差し上げると言ったのに 556 00:44:18,450 --> 00:44:22,454 何も言わずにか? ええ 何も言わずに 557 00:44:22,454 --> 00:44:27,459 そうか いや… さもあろう 558 00:44:27,459 --> 00:44:32,464 貧しく育った女子というものは かえって 欲のないもの 559 00:44:32,464 --> 00:44:35,467 心根の清らかなものじゃ 560 00:44:35,467 --> 00:44:38,470 美しい よい娘御でございましたね 561 00:44:38,470 --> 00:44:43,475 うむ… ハハッ… ハァ… 562 00:44:43,475 --> 00:44:47,479 <よね姫の 供養のための この小袖が➡ 563 00:44:47,479 --> 00:44:54,479 悲しみを忘れさせ 幸せを再び 呼び込んでくれたのでございます> 564 00:44:57,489 --> 00:45:17,509 ♬~ 565 00:45:17,509 --> 00:45:37,462 ♬~ 566 00:45:37,462 --> 00:45:57,482 ♬~ 567 00:45:57,482 --> 00:46:12,497 ♬~ 568 00:46:12,497 --> 00:46:26,497 ♬~ 569 00:55:12,604 --> 00:55:13,471 570 00:55:13,471 --> 00:55:17,475 「時代劇専門チャンネル」の 全てが分かる番組情報誌 571 00:55:17,475 --> 00:55:19,475 『時代劇専門チャンネルガイド』 572 00:55:25,483 --> 00:55:27,485 番組表・コラム 573 00:55:27,485 --> 00:55:31,489 時代劇クロスワードなど読み応え十分! 574 00:55:31,489 --> 00:55:33,489 更に… 575 00:55:36,494 --> 00:55:38,494 いま お問い合わせ いただくと… 576 00:56:06,524 --> 00:56:08,526 そして もうひとつは ホームページ 577 00:56:08,526 --> 00:56:11,526 お申し込み お待ちしております