1 00:01:27,216 --> 00:01:28,084 2 00:01:28,084 --> 00:01:42,098 ♬~ 3 00:01:42,098 --> 00:01:56,098 ♬~ 4 00:01:58,114 --> 00:02:03,119 (ほら貝の音) 5 00:02:03,119 --> 00:02:05,121 (馬の いななき) 6 00:02:05,121 --> 00:02:09,125 (ほら貝の音) (馬の いななき) 7 00:02:09,125 --> 00:02:16,132 (千代の母)<秀吉さまの死から 5か月を経た慶長4年1月> 8 00:02:16,132 --> 00:02:23,132 <一豊さまが伏見から大坂に移って まもない夜のことでございます> 9 00:02:42,091 --> 00:02:45,091 ≪(笑右衛門)殿! 殿! 10 00:02:47,096 --> 00:02:49,098 (笑右衛門) 奉行の石田三成さまが➡ 11 00:02:49,098 --> 00:02:51,100 徳川さまを 討伐なされるとの噂が飛び 12 00:02:51,100 --> 00:02:54,103 徳川さまのお屋敷では ただいま戦支度を整え➡ 13 00:02:54,103 --> 00:02:56,105 ゆゆしき状況になっておりまする 14 00:02:56,105 --> 00:03:00,109 (一豊)では おびただしい表周りの人馬は… 15 00:03:00,109 --> 00:03:04,113 (笑右衛門) 恐らく 徳川さまの加勢に赴かれし 大名方の軍勢でござりまする 16 00:03:04,113 --> 00:03:09,113 <戦国の世が 再び やって来たのでございます> 17 00:03:12,121 --> 00:03:17,126 <秀吉さま亡きあとの 豊臣家の大黒柱は➡ 18 00:03:17,126 --> 00:03:22,131 五奉行筆頭の 石田三成さまでございます> 19 00:03:22,131 --> 00:03:25,067 (淀殿)三成 (三成)はっ… 20 00:03:25,067 --> 00:03:32,074 (淀殿)そなたが 徳川どのを 討伐するという噂を聞きました 21 00:03:32,074 --> 00:03:34,076 それは誠か? 22 00:03:34,076 --> 00:03:39,076 恐らく 何かの間違いでござりましょう 23 00:03:41,083 --> 00:03:44,086 確かか? (三成)ははっ… 24 00:03:44,086 --> 00:03:49,091 しかし 全く根も葉もないことでは ござりませぬ 25 00:03:49,091 --> 00:03:54,096 太閤殿下お隠れになってのちの 徳川どののお振る舞い 26 00:03:54,096 --> 00:03:57,099 目に余るものがございまする 27 00:03:57,099 --> 00:04:04,106 「諸大名縁組みの儀 御意をもって相定むべきこと」 28 00:04:04,106 --> 00:04:08,110 太閤殿下の ご遺言とも言うべき法度を➡ 29 00:04:08,110 --> 00:04:11,113 徳川どのは公然と破り 30 00:04:11,113 --> 00:04:16,118 福島正則 伊達政宗などと 婚儀を交わし 31 00:04:16,118 --> 00:04:21,123 血縁の関係を しきりに取り結んでおります 32 00:04:21,123 --> 00:04:27,063 これは 明らかに 豊臣家に対する謀反の表れ 33 00:04:27,063 --> 00:04:31,067 いずれは 討伐いたさねばなりますまい 34 00:04:31,067 --> 00:04:35,071 謀反… 徳川どのが? 35 00:04:35,071 --> 00:04:42,078 徳川どのは 豊臣家の大老という立場を利用し 36 00:04:42,078 --> 00:04:47,083 秀頼さまの天下を 奪おうとなされております 37 00:04:47,083 --> 00:04:50,086 事態は楽観を許しません 38 00:04:50,086 --> 00:04:56,092 昨夜の噂を聞きつけて 徳川どのの加勢に赴いた大名は➡ 39 00:04:56,092 --> 00:04:59,095 加藤清正 福島正則… 40 00:04:59,095 --> 00:05:03,099 黒田長政 池田輝正 藤堂高虎… 41 00:05:03,099 --> 00:05:08,104 (芳野) 加藤清正 福島正則さまといえば➡ 42 00:05:08,104 --> 00:05:14,110 秀吉さまに拾われて 一人前の 武将に育ててもらった方々 43 00:05:14,110 --> 00:05:17,113 それが 真っ先に徳川さまに つこうとは➡ 44 00:05:17,113 --> 00:05:20,116 思いもかけぬことで ございましたがね 45 00:05:20,116 --> 00:05:24,053 それも皆 三成への反目のなせる業じゃ 46 00:05:24,053 --> 00:05:27,056 石田三成さまというのは それほどまでに➡ 47 00:05:27,056 --> 00:05:30,059 憎々しいお方なのですか? う~ん… 48 00:05:30,059 --> 00:05:35,064 加藤清正などは 朝鮮の陣で決死の働きをしたが 49 00:05:35,064 --> 00:05:39,068 監察役の三成が 過小に評価したがために➡ 50 00:05:39,068 --> 00:05:42,071 秀吉さまに 全く認めてもらえなんだわ 51 00:05:42,071 --> 00:05:45,074 なるほど それでは… 52 00:05:45,074 --> 00:05:50,079 加藤さまが恨みを持たれるのも 無理からぬことでございますわね 53 00:05:50,079 --> 00:05:55,084 それにな 我ら尾張出身の大名は➡ 54 00:05:55,084 --> 00:05:58,087 織田家の一武将であった 秀吉さまをもり立て➡ 55 00:05:58,087 --> 00:06:01,090 天下を取らせたという自負がある 56 00:06:01,090 --> 00:06:07,096 それが 槍働きひとつなく 奉行に納まった新参者の三成に➡ 57 00:06:07,096 --> 00:06:12,101 あれこれ指図を受けるのは 決して よい気持ちではない 58 00:06:12,101 --> 00:06:15,104 ≪(新右衛門)殿! 59 00:06:15,104 --> 00:06:18,107 (新右衛門)殿… 何じゃ? 60 00:06:18,107 --> 00:06:21,110 容易ならん事態が… (千代)どうしたのです? 61 00:06:21,110 --> 00:06:27,049 はっ… 今朝方 大坂城では重臣方ご協議の末 62 00:06:27,049 --> 00:06:31,053 徳川どのを糾弾し 豊臣家の大老職から罷免すべく➡ 63 00:06:31,053 --> 00:06:35,057 伏見に使者を差し向けたところ 徳川どのは これを追い返し 64 00:06:35,057 --> 00:06:39,061 戦の準備などしてる由に ございます 65 00:06:39,061 --> 00:06:41,063 なんと… 66 00:06:41,063 --> 00:06:45,067 殿さま かくなるうえは 悠長に構えておられませんがね 67 00:06:45,067 --> 00:06:49,071 さよう 戦が起こるのは もはや避けられませぬ 68 00:06:49,071 --> 00:06:53,075 (芳野)豊臣か 徳川か どちらにつくか ご決断なされませ 69 00:06:53,075 --> 00:06:56,078 徳川ですか? いや… 徳川につけば➡ 70 00:06:56,078 --> 00:07:00,082 秀頼さまを裏切ることになる それでは豊臣でございますね 71 00:07:00,082 --> 00:07:03,085 豊臣につけば 三成に くみすることになる 72 00:07:03,085 --> 00:07:06,088 大丈夫でございますよ ゆっくりとご思案なさりませ 73 00:07:06,088 --> 00:07:08,090 (芳野)まあ 千代さま 74 00:07:08,090 --> 00:07:11,093 そんなに のんきなことを おっしゃっていては… 75 00:07:11,093 --> 00:07:14,096 時勢に乗り遅れまするぞ 慌てることはありませぬ 76 00:07:14,096 --> 00:07:18,100 6万石の一豊さまが 今 どちらにつこうと➡ 77 00:07:18,100 --> 00:07:20,102 多分 向こうさまのほうでは➡ 78 00:07:20,102 --> 00:07:23,102 さして ありがたいとも思わぬでしょう 79 00:07:27,042 --> 00:07:34,049 <しかし 家康さまの行動は 誠に速やかでございました> 80 00:07:34,049 --> 00:07:41,056 <旗本たちを引き連れて 突然 大坂城へ乗り込んできたのです> 81 00:07:41,056 --> 00:07:53,068 ♬~ 82 00:07:53,068 --> 00:07:57,072 徳川さまが大坂城に? うむ… 83 00:07:57,072 --> 00:07:59,074 千代なら どっちにつく? 84 00:07:59,074 --> 00:08:04,079 フフッ… 私は 一豊さまの ご決断に従うだけでございます 85 00:08:04,079 --> 00:08:07,082 それでは返事になっておらん ずるいぞ 千代 86 00:08:07,082 --> 00:08:15,090 フフッ… だって 私は 戦のことなど何も存じませぬもの 87 00:08:15,090 --> 00:08:18,093 私に分かるのは ひとつだけでございます 88 00:08:18,093 --> 00:08:21,096 大戦というものは➡ 89 00:08:21,096 --> 00:08:25,034 なかなか 自分のほうからは 仕掛けにくいものでございます 90 00:08:25,034 --> 00:08:31,040 うむ… 先に仕掛けたほうが 負けるということは よくある 91 00:08:31,040 --> 00:08:37,046 徳川さまも石田さまも そのことは 十分に ご承知なされているはず 92 00:08:37,046 --> 00:08:42,051 では 先に仕掛けたほうが負けると? 93 00:08:42,051 --> 00:08:46,055 いいえ 私が思うのは その反対でございます 94 00:08:46,055 --> 00:08:51,060 万全の手を打って 勝てると見極めた者のほうが➡ 95 00:08:51,060 --> 00:08:54,063 先に 戦のきっかけを起こすでしょう 96 00:08:54,063 --> 00:09:00,069 千代 そなたの考え 単純じゃのぅ 97 00:09:00,069 --> 00:09:06,069 フフッ… 私は難しいことほど 単純に考えることにしております 98 00:09:09,078 --> 00:09:12,081 <翌慶長5年の元旦は➡ 99 00:09:12,081 --> 00:09:17,086 新年の挨拶も 一風変わったものになりました> 100 00:09:17,086 --> 00:09:24,026 ♬~ 101 00:09:24,026 --> 00:09:30,032 <諸大名は まず 例年どおり 本丸の天下さまに拝謁し➡ 102 00:09:30,032 --> 00:09:36,038 すぐ その足で 西の丸の家康さまのもとへ> 103 00:09:36,038 --> 00:09:55,057 ♬~ 104 00:09:55,057 --> 00:09:58,060 (家康)方々に申し上げる 105 00:09:58,060 --> 00:10:05,067 このごろ 徳川家に対して 不穏な動きがあると聞く 106 00:10:05,067 --> 00:10:10,072 近く 討伐の軍勢を催すゆえ➡ 107 00:10:10,072 --> 00:10:15,077 おのおの方も 戦の支度をなさるように 108 00:10:15,077 --> 00:10:21,083 ♬~ 109 00:10:21,083 --> 00:10:24,019 ((勝てると見極めたほうが➡ 110 00:10:24,019 --> 00:10:27,019 先に 戦のきっかけを起こすでしょう)) 111 00:10:29,024 --> 00:10:31,026 どうしました? 112 00:10:31,026 --> 00:10:35,030 (小りん)奥方さま いよいよです まもなく大乱が起こります 113 00:10:35,030 --> 00:10:37,032 えっ? 大乱? 114 00:10:37,032 --> 00:10:41,036 会津100万石の上杉が 徳川の野望を阻むべく➡ 115 00:10:41,036 --> 00:10:45,040 反旗を翻したそうでございます 上杉さまが? 116 00:10:45,040 --> 00:10:49,044 六平太が申すには 上杉家では 領内に出城を築き 117 00:10:49,044 --> 00:10:53,048 道をつけ 浪人を大量に召し抱えている由 118 00:10:53,048 --> 00:10:56,051 六平太に会ってきたのですか? 119 00:10:56,051 --> 00:11:00,055 「奥方さまに よろしく」とのことでございます 120 00:11:00,055 --> 00:11:03,058 (小りん) 六平太によれば 徳川さまは➡ 121 00:11:03,058 --> 00:11:08,063 上杉征伐という名目のもとに 大軍を擁し その勢いに乗じて➡ 122 00:11:08,063 --> 00:11:11,066 一気に天下を覆そうとするに 違いあるまいとのこと 123 00:11:11,066 --> 00:11:13,066 恐らく そうなりましょう 124 00:11:15,070 --> 00:11:21,070 奥方さま 大丈夫です 私が おそばについています 125 00:11:23,078 --> 00:11:30,085 そなたは やはり 六平太と同じ 甲賀の出なのですね? 126 00:11:30,085 --> 00:11:32,087 私が 甲賀の忍びだとしたら➡ 127 00:11:32,087 --> 00:11:36,091 奥方さまは 私のことをお嫌いになりますか? 128 00:11:36,091 --> 00:11:41,096 いいえ 頼もしく思います 129 00:11:41,096 --> 00:11:44,099 このようなときに そなたが そばにいてくれて➡ 130 00:11:44,099 --> 00:11:48,103 こんなに心強いことはありませぬ 131 00:11:48,103 --> 00:11:51,103 もったいないお言葉 132 00:11:57,112 --> 00:11:59,114 おかえりなさいませ 133 00:11:59,114 --> 00:12:04,114 奥に大事な話がある では 私は退散いたします 134 00:12:08,123 --> 00:12:10,125 お話とは? 135 00:12:10,125 --> 00:12:15,130 千代 わしは決めたぞ 136 00:12:15,130 --> 00:12:20,135 どうお決めなさいました? いざ合戦ということになったら➡ 137 00:12:20,135 --> 00:12:23,138 わしは ためらわずに徳川どのにつく 138 00:12:23,138 --> 00:12:27,075 千代も さよう心得ておけ 承知いたしました 139 00:12:27,075 --> 00:12:31,079 結局のところ 鎌倉以来 武士という者は➡ 140 00:12:31,079 --> 00:12:36,084 自分の土地を安堵してくれる側に つくのが 本筋じゃ 141 00:12:36,084 --> 00:12:39,087 「一所懸命」と いう言葉がございます 142 00:12:39,087 --> 00:12:43,091 「一所」とは 自分の所領のこと 143 00:12:43,091 --> 00:12:47,095 「その一所に命を懸ける」 それこそが武士の鉄則 144 00:12:47,095 --> 00:12:49,097 それじゃ ハハッ… 145 00:12:49,097 --> 00:12:53,101 わしは いろいろ考え過ぎて その鉄則を忘れておったわ 146 00:12:53,101 --> 00:12:59,107 掛川6万石を預けるに足るお人は 徳川どのしかおらん 147 00:12:59,107 --> 00:13:03,111 千代も そう思うだろう? はい 私も そう思います 148 00:13:03,111 --> 00:13:10,118 <その年の6月に 家康さまは 豊臣家大老の資格をもって➡ 149 00:13:10,118 --> 00:13:15,123 諸大名に 上杉征伐に出陣せよと お命じになりました> 150 00:13:15,123 --> 00:13:20,128 千代 今度こそ必ず 功名 手柄を立ててみせるわ! 151 00:13:20,128 --> 00:13:23,131 私は一豊さまを信じております うむ… 152 00:13:23,131 --> 00:13:27,069 掛川城の兵糧は 手付かずで残っておりますか? 153 00:13:27,069 --> 00:13:30,072 3年分 蓄えてある 3年分も? 154 00:13:30,072 --> 00:13:33,075 千代は 「2年分 蓄えよ」と申したがのぅ 155 00:13:33,075 --> 00:13:36,078 わしは 念のために3年分 蓄えておいたわ 156 00:13:36,078 --> 00:13:40,082 まあ 用心深うございますこと あっ その3年分の兵糧は➡ 157 00:13:40,082 --> 00:13:44,086 徳川さまの軍勢が 掛川をお通りになるときに➡ 158 00:13:44,086 --> 00:13:46,088 接待用として 全てお出しになるのが➡ 159 00:13:46,088 --> 00:13:48,090 よろしゅうございましょう なに? 全てか? 160 00:13:48,090 --> 00:13:52,094 ええ ひと粒も余さず 161 00:13:52,094 --> 00:13:56,098 それに 家康さまや旗本衆を お泊めする宿所には➡ 162 00:13:56,098 --> 00:13:59,101 お城の本丸をお充てになるのが よろしゅうございましょう 163 00:13:59,101 --> 00:14:04,106 <たとえ ひと晩でも 城の本丸を明け渡すというのは➡ 164 00:14:04,106 --> 00:14:09,111 武将の常識にない 思い切った考えでございます> 165 00:14:09,111 --> 00:14:13,115 分かった! お味方すると決めた以上➡ 166 00:14:13,115 --> 00:14:16,118 なりふりかまわず 徳川どのに懸けてみよう! 167 00:14:16,118 --> 00:14:20,122 (芳野) 殿さま 殿さま! 新右衛門どのを 連れていかないのでございますか 168 00:14:20,122 --> 00:14:23,125 新右衛門はのぅ この大坂屋敷の 留守を守ってもらうわ 169 00:14:23,125 --> 00:14:27,062 大戦を前にして 留守の心配など なさいますな! 170 00:14:27,062 --> 00:14:30,065 しかし 屋敷の警備のために➡ 171 00:14:30,065 --> 00:14:32,067 多少の人数は 残しておかねばならん 172 00:14:32,067 --> 00:14:36,071 一豊さま この大坂屋敷には もはや人数は要りませぬ 173 00:14:36,071 --> 00:14:39,074 しかし屋敷を空にして 奥方どのに 万一のことがございますれば… 174 00:14:39,074 --> 00:14:42,077 千代さまは この芳野が お守りいたしますがね 175 00:14:42,077 --> 00:14:46,081 (新右衛門) なれど 石田どのが この大坂で 兵を挙げるとの噂もございます 176 00:14:46,081 --> 00:14:49,084 さすれば 奥方は 人質に取られるやもしれませんぞ 177 00:14:49,084 --> 00:14:52,087 そのときは戦うのみです しかし 女だけの小勢では… 178 00:14:52,087 --> 00:14:54,089 どこまで馬鹿なんで ございましょう 新右衛門どのは 179 00:14:54,089 --> 00:14:56,091 なに? (芳野)石田の軍勢が攻めてくれば 180 00:14:56,091 --> 00:14:59,094 誰が ここの屋敷にいようと同じこと 181 00:14:59,094 --> 00:15:02,097 どっちみち かなうはずがありませんがね 182 00:15:02,097 --> 00:15:05,100 芳野の言うとおりです 同じことなら➡ 183 00:15:05,100 --> 00:15:08,103 死ぬ人数が少ないほうが よいではありませんか 184 00:15:08,103 --> 00:15:11,106 何を言うか 千代! ご心配なさいますな 185 00:15:11,106 --> 00:15:15,110 万一のときは私は この屋敷を 捨てて さっさと逃げます 186 00:15:15,110 --> 00:15:18,113 ですから 一豊さまも 大坂に何が起ころうと➡ 187 00:15:18,113 --> 00:15:23,118 後ろ髪など 決して引かれず 戦に専念なさってください 188 00:15:23,118 --> 00:15:26,054 (芳野)新右衛門どのの ご出陣のお支度を! 189 00:15:26,054 --> 00:15:28,054 (新右衛門)芳野どの! 190 00:15:36,064 --> 00:15:40,068 ご出陣なさるやろう? 新右衛門どの 武士ならば➡ 191 00:15:40,068 --> 00:15:45,073 ぐずぐずせんと 戦場に行かなあかんわ 192 00:15:45,073 --> 00:15:47,073 新右衛門 193 00:15:50,078 --> 00:15:57,085 一豊さま 山内家の将来は この一戦に懸かっております 194 00:15:57,085 --> 00:15:59,085 新右衛門 195 00:16:01,089 --> 00:16:04,092 行くぞ はっ! 196 00:16:04,092 --> 00:16:12,100 ♬~ 197 00:16:12,100 --> 00:16:14,102 ンッ! 198 00:16:14,102 --> 00:16:18,106 新右衛門 武者震いか? ハハハッ… 199 00:16:18,106 --> 00:16:23,106 ♬~ 200 00:16:26,047 --> 00:16:30,051 (三成)今こそ 立つ時である! 201 00:16:30,051 --> 00:16:36,057 会津の上杉と呼応して 我らは大坂で挙兵し 202 00:16:36,057 --> 00:16:40,061 東西同時に兵を進め 203 00:16:40,061 --> 00:16:44,065 徳川勢を挟み撃ちにすれば 必ずや勝てる! 204 00:16:44,065 --> 00:16:48,069 (武将)しかし 徳川方の軍勢は 5万を超えましょう! 205 00:16:48,069 --> 00:16:52,073 (武将)果たして 数において かなうかどうか… 206 00:16:52,073 --> 00:16:57,078 待て待て待て 5万の軍勢の中には➡ 207 00:16:57,078 --> 00:17:04,085 徳川につくか否かで いまだに迷うている大名もいる 208 00:17:04,085 --> 00:17:12,093 その者たちの妻子を人質に取れば こちらに寝返る者も出てこよう 209 00:17:12,093 --> 00:17:17,098 徳川討伐の機は 今をおいて ほかにはない! 210 00:17:17,098 --> 00:17:20,101 (武将)さよう 戦いは兵の数ではござらん! 211 00:17:20,101 --> 00:17:22,103 (武将)何を申すか! 212 00:17:22,103 --> 00:17:25,040 ♬~ 213 00:17:25,040 --> 00:17:28,043 <掛川の一豊さまは➡ 214 00:17:28,043 --> 00:17:34,043 風雲 急を告げる大坂の情勢を 知る由もございませんでした> 215 00:17:36,051 --> 00:17:38,051 (門をたたく音) 216 00:17:40,055 --> 00:17:43,058 (新右衛門)殿! 徳川どのは まだか? 217 00:17:43,058 --> 00:17:47,062 既に 浜松をおたちになられた由 今しばらくの辛抱でございます 218 00:17:47,062 --> 00:17:51,066 城内の米は 全て出してあるな? はい! 219 00:17:51,066 --> 00:17:54,069 ひと粒残さず 徳川どのに差し上げるのじゃ 220 00:17:54,069 --> 00:17:56,071 ご懸念には及びませぬ 221 00:17:56,071 --> 00:17:58,073 草鞋1万足の用意も できていような? 222 00:17:58,073 --> 00:18:03,078 万端 整うております 殿 少しは落ち着きなされ 223 00:18:03,078 --> 00:18:09,084 ♬~ 224 00:18:09,084 --> 00:18:12,087 うん… 番士には 槍の代わりに棒を持たせよう 225 00:18:12,087 --> 00:18:15,090 そのほうが 徳川どのも ご安心なさる 226 00:18:15,090 --> 00:18:21,090 <さすがは苦労人だけあって 実に こまやかでございます> 227 00:18:31,106 --> 00:18:35,110 (家康) 今宵の宿所は 掛川城本丸とのこと 228 00:18:35,110 --> 00:18:40,115 山内どの 何から何まで 行き届いた手厚いもてなし 229 00:18:40,115 --> 00:18:42,117 かたじけのうござる 230 00:18:42,117 --> 00:18:45,120 いや これしきのことで 礼など申されては… 231 00:18:45,120 --> 00:18:51,126 いやいや さすがは亡き太閤殿下が 信頼なされたとおりのお人柄と➡ 232 00:18:51,126 --> 00:18:55,130 感じ入っております 恐れ入りましてござりまする 233 00:18:55,130 --> 00:19:01,136 山内どののお人柄ゆえ この家康も本心を申すが 234 00:19:01,136 --> 00:19:05,140 実は 大坂から江戸へ 無事 帰りつけるかどうか➡ 235 00:19:05,140 --> 00:19:09,144 この道中 ひやひやものでござった 236 00:19:09,144 --> 00:19:12,147 掛川より江戸までの道中 237 00:19:12,147 --> 00:19:16,151 山内家を是非とも 軍勢の端にお加えくだされ 238 00:19:16,151 --> 00:19:18,153 されば それがしが➡ 239 00:19:18,153 --> 00:19:21,089 及ばずながら 徳川どのを ご守護つかまつりましょう 240 00:19:21,089 --> 00:19:25,093 これは頼もしいお言葉 241 00:19:25,093 --> 00:19:33,101 山内どのは 我が一門も同然のお人 以後は さよう心得まするぞ 242 00:19:33,101 --> 00:19:38,106 ははっ! ありがたく存じまする 243 00:19:38,106 --> 00:19:44,112 <一豊さまが 徳川さまと共に江戸へ入ったころ 244 00:19:44,112 --> 00:19:48,116 大坂城下では ついに三成さまが挙兵し➡ 245 00:19:48,116 --> 00:19:52,120 市中は大混乱に陥りました> 246 00:19:52,120 --> 00:20:01,129 ♬~ 247 00:20:01,129 --> 00:20:07,135 <やがて 大坂城から 三成さまの使者 福原玄蕃が➡ 248 00:20:07,135 --> 00:20:10,138 「内府違いの条々」という➡ 249 00:20:10,138 --> 00:20:15,143 家康さまを弾劾する宣戦布告の 文書を携えて➡ 250 00:20:15,143 --> 00:20:17,145 押しかけてまいりました> 251 00:20:17,145 --> 00:20:25,086 ♬~ 252 00:20:25,086 --> 00:20:29,090 ご使者の口上は? (芳野)ええ 何やら まあ… 253 00:20:29,090 --> 00:20:35,096 難しいことを長々と まあ… 私は もう退屈で退屈で もう… 254 00:20:35,096 --> 00:20:39,100 あくび こらえるのが やっとでございましたわ 255 00:20:39,100 --> 00:20:45,106 では 何も覚えていないのですか? いや まあ 要するに➡ 256 00:20:45,106 --> 00:20:49,110 豊臣方にお味方せよと 脅しでございましょう 257 00:20:49,110 --> 00:20:51,112 まあ とにかく その書状を➡ 258 00:20:51,112 --> 00:20:56,117 殿さまに 送れとのことでございますわ 259 00:20:56,117 --> 00:21:01,122 この書状は 封をしたまま 関東の一豊さまにお送りします 260 00:21:01,122 --> 00:21:05,126 でも 一応 目を 通しておいたほうが よろしいがね 261 00:21:05,126 --> 00:21:10,131 いいえ これは一豊さまにも 封を 開けぬようにしていただきます 262 00:21:10,131 --> 00:21:13,134 あれ… では 何のために送るんやろう? 263 00:21:13,134 --> 00:21:16,137 封のまま 徳川さまに差し出すのです 264 00:21:16,137 --> 00:21:18,139 お味方すると決めた以上は➡ 265 00:21:18,139 --> 00:21:20,141 そうするのが 当然ではありませぬか 266 00:21:20,141 --> 00:21:23,144 中身を見てから どうこうと いうのは不純に取られます 267 00:21:23,144 --> 00:21:32,144 まあ そんな細かいお心遣い… 通じますかねえ? 家康さまに 268 00:21:34,155 --> 00:21:36,157 小りんをここへ呼んでください えっ? 269 00:21:36,157 --> 00:21:39,157 小りんをここへ はい 270 00:21:41,162 --> 00:21:44,162 小りんをここへ… うん 271 00:21:48,169 --> 00:21:55,176 <山内家の運命を決定づけたのは この千代の機転でございました> 272 00:21:55,176 --> 00:22:00,181 ♬~ 273 00:22:00,181 --> 00:22:03,184 (小りん) 大切なお役目なのでございますね 274 00:22:03,184 --> 00:22:09,190 ええ 途中の大津 水口 佐和山には 大坂方が関所を設けて➡ 275 00:22:09,190 --> 00:22:13,194 関東への往来を 厳しく取り締まっています 276 00:22:13,194 --> 00:22:16,197 危険で難しい役目です 277 00:22:16,197 --> 00:22:20,201 関所を破るぐらい お茶の子です ご安心ください 278 00:22:20,201 --> 00:22:24,139 お役目は必ず果たしてみせます 279 00:22:24,139 --> 00:22:31,146 この書状と 私の手紙は 封を開けずに➡ 280 00:22:31,146 --> 00:22:35,150 この状挟みに挟んだまま➡ 281 00:22:35,150 --> 00:22:38,153 徳川さまにお渡しするようにと➡ 282 00:22:38,153 --> 00:22:42,157 一豊さまに 必ず… 必ず伝えてください 283 00:22:42,157 --> 00:22:48,163 「封を開けずに」ですね? 分かりました 284 00:22:48,163 --> 00:22:52,167 訳を聞かれたら この書きつけを見せてください 285 00:22:52,167 --> 00:22:55,167 これに全てが したためてあります 286 00:23:00,175 --> 00:23:02,177 <そのころ 江戸では➡ 287 00:23:02,177 --> 00:23:07,177 会津へ攻め入る準備の 真っ最中でございました> 288 00:23:12,187 --> 00:23:15,190 (山城)殿 お呼びですか 289 00:23:15,190 --> 00:23:18,193 山城 そちを男と見込んで頼みがある 290 00:23:18,193 --> 00:23:22,130 急ぎ 大坂へ戻ってくれ 大坂へ? 291 00:23:22,130 --> 00:23:25,133 (新右衛門)ああ… 大坂で石田が 兵を挙げているのではないかと➡ 292 00:23:25,133 --> 00:23:28,136 専らの噂でな 殿が そのことを心配なされておる 293 00:23:28,136 --> 00:23:31,139 三成が挙兵したとでもいう 確報でもあるのか? 294 00:23:31,139 --> 00:23:34,142 いや 噂にすぎん しかし 音信不通で➡ 295 00:23:34,142 --> 00:23:36,144 上方からの知らせが 何も入ってこんのじゃ 296 00:23:36,144 --> 00:23:40,148 ハハハハッ… では 心配することはござるまい 297 00:23:40,148 --> 00:23:45,153 いや そう言わずに頼む! のう? 千代を守ってくれ 298 00:23:45,153 --> 00:23:49,157 (山城)殿! この市川山城は武士でござるぞ! 299 00:23:49,157 --> 00:23:52,160 未曽有の戦場を目の前にしながら 300 00:23:52,160 --> 00:23:55,163 それを捨てて おめおめと 後ろへ下がれと申されるか! 301 00:23:55,163 --> 00:23:57,165 そちが怒るのも もっともじゃ 302 00:23:57,165 --> 00:24:01,169 じゃがのぅ それを承知で頼んでおる 303 00:24:01,169 --> 00:24:05,173 無茶を申されるな! 誰か ほかの者をやってくだされ 304 00:24:05,173 --> 00:24:10,178 いや! この役目はのぅ そちでなければ務まらん! 305 00:24:10,178 --> 00:24:16,178 頼む 千代を死なせてはならん このとおりじゃ! 306 00:24:22,123 --> 00:24:25,126 断固 お断り申し上げる! (新右衛門)山城! 307 00:24:25,126 --> 00:24:28,129 殿の たっての頼みであるぞ 308 00:24:28,129 --> 00:24:34,135 それほど大坂が気にかかるならば お手前が戻られればよいのだ! 309 00:24:34,135 --> 00:24:37,138 いや わしは ちと… (山城)なにが 「ちと」だ! 310 00:24:37,138 --> 00:24:43,144 ♬~ 311 00:24:43,144 --> 00:24:47,148 新右衛門 すまぬのぅ いえいえ 似合いますか? 312 00:24:47,148 --> 00:24:50,151 うん? ああ… 似合う似合う うん 313 00:24:50,151 --> 00:24:54,151 千代を頼むぞ 分かりました では… 314 00:24:57,158 --> 00:25:00,158 くれぐれも気をつけて行けよ! 315 00:25:03,164 --> 00:25:06,167 <一豊さまの心配は➡ 316 00:25:06,167 --> 00:25:10,171 決して 取り越し苦労では ございませんでした> 317 00:25:10,171 --> 00:25:13,174 お役目 ご苦労に存じまする 318 00:25:13,174 --> 00:25:18,179 家の者に聞きましたが 私が 当屋敷に住むことは ならぬとか 319 00:25:18,179 --> 00:25:22,116 (玄蕃)さよう 大坂城に移っていただきます 320 00:25:22,116 --> 00:25:26,120 つまり 大坂方の人質になれと いうことでございますか? 321 00:25:26,120 --> 00:25:29,123 はっきり申せば そういうことでござる 322 00:25:29,123 --> 00:25:31,125 どなたの お言いつけでございましょう? 323 00:25:31,125 --> 00:25:34,128 中納言秀頼さまの お言いつけでござる! 324 00:25:34,128 --> 00:25:39,133 ウフッ… ご冗談を… 私を からかっていらっしゃるのですか 325 00:25:39,133 --> 00:25:42,136 からかってる? これは けしからぬ! 326 00:25:42,136 --> 00:25:44,138 だって そうでございましょう? 327 00:25:44,138 --> 00:25:49,143 福原どの そなたは 今 どこに座っておられます? 328 00:25:49,143 --> 00:25:53,147 そこは下座でございましょう 秀頼さまのお使者ならば➡ 329 00:25:53,147 --> 00:25:56,150 お座りあそばすのは 下座ではございますまい 330 00:25:56,150 --> 00:25:58,152 これは お分かりの悪いこと 331 00:25:58,152 --> 00:26:02,156 つまり 秀頼さまのお言葉を受けた 奉行の石田三成さまが➡ 332 00:26:02,156 --> 00:26:04,158 それがしを遣わしたわけでござる 333 00:26:04,158 --> 00:26:06,160 すると 秀頼さまのお言いつけではなくて 334 00:26:06,160 --> 00:26:09,163 石田さまのお言いつけですね? いやいや 335 00:26:09,163 --> 00:26:12,166 石田さまが秀頼さまのお言葉を… お黙りなさい 336 00:26:12,166 --> 00:26:14,168 秀頼さまのお名前を 乱用なさるのは➡ 337 00:26:14,168 --> 00:26:18,172 不届きでございましょう 不届き? 不届きとは! 338 00:26:18,172 --> 00:26:24,112 要するに 何もかも石田さまの お言葉ではありませぬか 339 00:26:24,112 --> 00:26:29,117 御年8つの秀頼さまが 大名の妻女を人質に取れなどと➡ 340 00:26:29,117 --> 00:26:32,120 お命じになられるわけが ございませぬ 341 00:26:32,120 --> 00:26:36,124 とにかく これは 私の一存では決められませぬ 342 00:26:36,124 --> 00:26:39,127 なんですと? 関東におります旦那さまに➡ 343 00:26:39,127 --> 00:26:43,131 意向を問い合わせたうえで 私は 進退を決めることにいたします 344 00:26:43,131 --> 00:26:47,135 それは なりませぬ 飛脚の往来を 待っていては どうにもならぬ 345 00:26:47,135 --> 00:26:52,140 でも 私は 山内一豊の妻でございますから 346 00:26:52,140 --> 00:26:55,143 山内一豊の 言いつけしか聞きませぬ 347 00:26:55,143 --> 00:26:57,145 お奉行の命令でござるぞ 348 00:26:57,145 --> 00:27:01,149 私にとっては 旦那さまのみが大事で➡ 349 00:27:01,149 --> 00:27:04,152 お奉行さまなどは 何の関わりもございませぬ 350 00:27:04,152 --> 00:27:06,154 あくまで従われぬおつもりなら➡ 351 00:27:06,154 --> 00:27:09,157 人数を引き連れて 押しかけることになるが➡ 352 00:27:09,157 --> 00:27:13,161 それでも よろしゅうござるか? どうぞ ご随意に 353 00:27:13,161 --> 00:27:17,165 後悔しても知りませぬぞ! 354 00:27:17,165 --> 00:27:23,165 <…とは申せ やはり 女だけでは心細うございます> 355 00:27:27,108 --> 00:27:29,108 (番卒)次! 356 00:27:35,116 --> 00:27:39,120 (番卒) 荷物の中身は あちらで点検する 357 00:27:39,120 --> 00:27:41,120 (男性)はい 358 00:27:43,124 --> 00:27:46,127 (組頭)待てい! 359 00:27:46,127 --> 00:27:50,131 そのほう 誠は武士であろう? 360 00:27:50,131 --> 00:27:53,134 (新右衛門) いや それがしは見てのとおり➡ 361 00:27:53,134 --> 00:27:57,138 尾張 熱田神宮の神主でござる (組頭)嘘をつけ! 362 00:27:57,138 --> 00:28:00,141 その顔には見覚えがある (新右衛門)はて… 363 00:28:00,141 --> 00:28:03,144 こちらは お手前を 一向に存じ上げませぬが… 364 00:28:03,144 --> 00:28:10,151 そのほう 山内一豊の家来 祖父江新右衛門どのでござろう? 365 00:28:10,151 --> 00:28:13,154 いえいえ そのような者ではございませぬ 366 00:28:13,154 --> 00:28:16,157 他人の空似でございましょう (組頭)いや! 367 00:28:16,157 --> 00:28:22,096 紛れもなく祖父江新右衛門 皆の者 ひっ捕らえい! 368 00:28:22,096 --> 00:28:24,096 (番卒たち)はっ! 369 00:28:31,105 --> 00:28:35,109 (組頭)おお… これは望月どの 370 00:28:35,109 --> 00:28:37,109 (六平太)この男 何者か? 371 00:28:39,113 --> 00:28:45,119 (組頭)山内家の家老 祖父江新右衛門という男でござる 372 00:28:45,119 --> 00:28:52,126 ♬~ 373 00:28:52,126 --> 00:28:56,130 (六平太)この男の取り調べ それがしに任せてくださらんか? 374 00:28:56,130 --> 00:29:02,136 (組頭)おお… 望月どのであれば願ってもない 375 00:29:02,136 --> 00:29:09,143 ♬~ 376 00:29:09,143 --> 00:29:11,145 (番卒)入れ 377 00:29:11,145 --> 00:29:18,152 ♬~ 378 00:29:18,152 --> 00:29:21,088 あとは わしひとりに任せろ (番卒たち)はっ! 379 00:29:21,088 --> 00:29:30,097 ♬~ 380 00:29:30,097 --> 00:29:34,101 (新右衛門)六平太… おぬしが なぜ ここにおる? 381 00:29:34,101 --> 00:29:37,104 わしは 今 石田三成の間者を務めている 382 00:29:37,104 --> 00:29:44,111 三成の? まったく おぬしは 敵か味方か分からん男じゃ 383 00:29:44,111 --> 00:29:52,119 ♬~ 384 00:29:52,119 --> 00:29:55,122 逃げろ 385 00:29:55,122 --> 00:29:58,125 それでは おぬしに迷惑がかかるであろう 386 00:29:58,125 --> 00:30:03,130 遠慮は要らん おぬしが死ねば 奥方が悲しむ 387 00:30:03,130 --> 00:30:07,134 それゆえ わしは おぬしを逃がすのじゃ 388 00:30:07,134 --> 00:30:11,138 奥方のために ひたすら逃げ延びよ 389 00:30:11,138 --> 00:30:21,138 ♬~ 390 00:30:26,087 --> 00:30:29,090 (蹴飛ばす音) (番卒)オッ!? 391 00:30:29,090 --> 00:30:33,094 (銃声) (斬る音) 392 00:30:33,094 --> 00:30:35,096 (番卒たち)おのれ! 393 00:30:35,096 --> 00:30:37,098 (斬る音) 394 00:30:37,098 --> 00:30:39,100 逃げろ! (新右衛門)いや しかし! 395 00:30:39,100 --> 00:30:42,103 逃げろ! (番卒)ヤーッ! 396 00:30:42,103 --> 00:30:44,105 (銃声) 397 00:30:44,105 --> 00:30:46,105 (番卒)ウワッ! 398 00:30:48,109 --> 00:30:52,113 (組頭)望月どの 寝返ったな! 399 00:30:52,113 --> 00:30:55,116 (六平太)忍びに 敵も味方もない 400 00:30:55,116 --> 00:31:00,121 (組頭)ハハハハッ… 401 00:31:00,121 --> 00:31:03,124 申し残すことはないか? 402 00:31:03,124 --> 00:31:08,129 フッ… 人の一生など 風のようなものだ 403 00:31:08,129 --> 00:31:12,129 吹き抜けて 跡形もなく消え去るのみ 404 00:31:14,135 --> 00:31:16,137 それ! (銃声) 405 00:31:16,137 --> 00:31:20,141 (銃声) 406 00:31:20,141 --> 00:31:22,143 (侍女)奥方さま! 奥方さま! 407 00:31:22,143 --> 00:31:26,147 (侍女)奥方さま 火事でございます (侍女)南の空に赤い煙が! 408 00:31:26,147 --> 00:31:30,151 (男性)おい 細川さまじゃ! 細川さまのお屋敷が燃えとるぞ! 409 00:31:30,151 --> 00:31:32,153 (男性たちの騒ぎ声) 410 00:31:32,153 --> 00:31:35,156 (侍女) 大坂方が 細川家に押しかけて➡ 411 00:31:35,156 --> 00:31:37,158 合戦が 始まったのではございますまいか 412 00:31:37,158 --> 00:31:39,160 もし そうならば 当家にも➡ 413 00:31:39,160 --> 00:31:42,163 おっつけ 敵の軍勢が 押し寄せてまいりましょう 414 00:31:42,163 --> 00:31:48,169 ♬~ 415 00:31:48,169 --> 00:31:52,169 直ちに屋敷に引き返しまする (侍女たち)はい! 416 00:31:54,175 --> 00:31:57,178 何をしているのです 早く門を閉めなさい! 417 00:31:57,178 --> 00:32:01,178 はっ! 門を閉じよ! (侍女たち)はっ! 418 00:32:03,184 --> 00:32:07,188 (新右衛門)いや… いやいやいや… (侍女たち)何奴!? 何者!? 419 00:32:07,188 --> 00:32:12,193 待て待て待て! わしじゃ わしじゃ 新右衛門じゃ 420 00:32:12,193 --> 00:32:16,197 新右衛門!? 一体 どうしたのです? 421 00:32:16,197 --> 00:32:20,201 はい 奥方さまをお守りしろと 殿の命を受け 422 00:32:20,201 --> 00:32:22,136 関東より戻ってまいりました 423 00:32:22,136 --> 00:32:26,140 殿さまが… はい 424 00:32:26,140 --> 00:32:29,143 新右衛門も よう戻られました はぁ… 425 00:32:29,143 --> 00:32:33,147 途中 近江 水口の関所で 危うく殺されそうになりましたが 426 00:32:33,147 --> 00:32:37,151 六平太が助けてくれました 六平太が? 427 00:32:37,151 --> 00:32:40,154 六平太は元気でしたか? はい… 428 00:32:40,154 --> 00:32:44,154 いや しかし… しかし? 429 00:32:46,160 --> 00:32:49,163 それがしを助けるために 身代わりになったやもしれず 430 00:32:49,163 --> 00:32:53,167 逃げる途中 多くの銃声を聞きましたから… 431 00:32:53,167 --> 00:32:56,170 六平太が… 432 00:32:56,170 --> 00:32:58,172 ≪(男性)火は消えたのか? 433 00:32:58,172 --> 00:33:00,174 ≪(男性) まだ燃え上がっております! 434 00:33:00,174 --> 00:33:02,176 ≪(男性)どんどん 燃え広がっておりまする! 435 00:33:02,176 --> 00:33:04,178 ≪(どなり声) 436 00:33:04,178 --> 00:33:09,183 奥方さま 道々 聞いたのですが この火事は細川さまのお屋敷で➡ 437 00:33:09,183 --> 00:33:13,187 細川家の御台さまが 人質になるのを拒まれ 438 00:33:13,187 --> 00:33:18,192 奉行たちの手勢の目の前で 屋敷に 火を放ち 自害なされたためとか 439 00:33:18,192 --> 00:33:23,130 これでは 細川家に向かって 徳川につけと言ってるようなもの 440 00:33:23,130 --> 00:33:25,132 強行策が裏目に出て➡ 441 00:33:25,132 --> 00:33:28,132 今ごろ 奉行どもは うろたえておるでしょう 442 00:33:30,137 --> 00:33:34,141 新右衛門 我が家も 細川家に習いますゆえ 443 00:33:34,141 --> 00:33:37,144 枯れ木と わらの束を集めて 火薬樽を用意してください 444 00:33:37,144 --> 00:33:41,148 なりませぬぞ それは! 奥方が自害あそばされては➡ 445 00:33:41,148 --> 00:33:45,152 それがしが 大坂へ 戻ってきた意味がござりませぬ 446 00:33:45,152 --> 00:33:48,155 黙って 私の言うとおりになさい 447 00:33:48,155 --> 00:33:53,160 <そのころ 総勢5万8000の征伐軍は➡ 448 00:33:53,160 --> 00:34:00,167 会津に向けて 奥州街道を 一路 北上中でございました> 449 00:34:00,167 --> 00:34:05,172 殿! 殿! 大坂屋敷より ただいま 使者が到着いたしました 450 00:34:05,172 --> 00:34:09,172 なに? 使者が? はっ! 451 00:34:13,180 --> 00:34:16,183 小りん! 452 00:34:16,183 --> 00:34:19,186 一体 何事じゃ? 殿さま… 453 00:34:19,186 --> 00:34:21,121 あっあっ! 小りんどの! (小りん)あっ 大丈夫です 454 00:34:21,121 --> 00:34:24,124 笑右衛門 湯など沸かしてきてやれ ははっ! 455 00:34:24,124 --> 00:34:28,128 小りん どうしたというのじゃ? 小りん 456 00:34:28,128 --> 00:34:33,128 奥方さまから 大切な物を預かってまいりました 457 00:34:35,135 --> 00:34:38,138 その中には 奥方さまの手紙と➡ 458 00:34:38,138 --> 00:34:42,142 大坂の奉行から遣わされた書状が 入っています 459 00:34:42,142 --> 00:34:44,144 駄目です! これは開けずに➡ 460 00:34:44,144 --> 00:34:48,148 そのまま 徳川さまに差し出せとのことです 461 00:34:48,148 --> 00:34:52,152 千代が そう申したのか? 一体 どういう訳じゃ? 462 00:34:52,152 --> 00:34:55,155 訳は この書きつけに… 463 00:34:55,155 --> 00:35:15,175 ♬~ 464 00:35:15,175 --> 00:35:25,119 ♬~ 465 00:35:25,119 --> 00:35:30,124 小りん ご苦労であった 466 00:35:30,124 --> 00:35:32,126 笑右衛門! はっ! 467 00:35:32,126 --> 00:35:34,126 わしは これから徳川どのの陣屋へ まいる 468 00:35:36,096 --> 00:35:47,107 ♬~ 469 00:35:47,107 --> 00:35:58,118 ♬~ 470 00:35:58,118 --> 00:36:03,123 (家康)山内どの 夜中に ご苦労でありますな 471 00:36:03,123 --> 00:36:06,126 ただいま 大坂表にある妻 千代より 472 00:36:06,126 --> 00:36:13,133 それなる状挟みが届きました どうか ご披見願います 473 00:36:13,133 --> 00:36:33,087 ♬~ 474 00:36:33,087 --> 00:36:44,098 ♬~ 475 00:36:44,098 --> 00:36:46,100 お手前の妻女の文を➡ 476 00:36:46,100 --> 00:36:50,104 他人である わしが 先に読むわけにもまいるまい 477 00:36:50,104 --> 00:36:56,110 どうか ご披見を… 我ら夫婦の間には➡ 478 00:36:56,110 --> 00:37:00,114 徳川どのに知られて 困るようなことは➡ 479 00:37:00,114 --> 00:37:03,117 何もござりませぬ 480 00:37:03,117 --> 00:37:09,117 それほどまでに この家康に 忠節を尽くしてくださるか 481 00:37:38,085 --> 00:37:54,101 ♬~ 482 00:37:54,101 --> 00:37:57,101 「内府違いの条々」… 483 00:38:00,107 --> 00:38:05,107 山内どののご厚意 確かに受けました 484 00:38:08,115 --> 00:38:11,118 この千代どのの文は➡ 485 00:38:11,118 --> 00:38:16,123 山内どのが開け 声を出して 読んでくだされ 486 00:38:16,123 --> 00:38:18,058 (家康)これ (家臣)はっ… 487 00:38:18,058 --> 00:38:28,068 ♬~ 488 00:38:28,068 --> 00:38:30,070 されば… 489 00:38:30,070 --> 00:38:50,090 ♬~ 490 00:38:50,090 --> 00:38:58,090 「大坂表にては 石田三成さま 挙兵なされ候」 491 00:39:00,100 --> 00:39:09,109 <これが 大坂方の挙兵を関東へ 知らせた第一報でございました> 492 00:39:09,109 --> 00:39:16,116 (家康)やはり 三成が兵を挙げたか 山内どの その先を… 493 00:39:16,116 --> 00:39:18,116 は… はっ… 494 00:39:20,053 --> 00:39:24,057 「城下の騒擾 甚だしく➡ 495 00:39:24,057 --> 00:39:31,064 留守屋敷の妻子など 人質に 取られ候との風説 しきりなれど➡ 496 00:39:31,064 --> 00:39:38,071 右様の事態に立ち至らば この一身 自害いたす覚悟に候間➡ 497 00:39:38,071 --> 00:39:43,076 旦那さまには くれぐれも お心乱しなど これなく➡ 498 00:39:43,076 --> 00:39:51,084 常日ごろ申されし お言葉どおり ひとえに 徳川さまへのご忠節➡ 499 00:39:51,084 --> 00:39:56,089 よくよく お尽くしあそばしまするように」 500 00:39:56,089 --> 00:40:05,098 ♬~ 501 00:40:05,098 --> 00:40:09,102 (家康)三成挙兵のこと 即刻 諸大名の陣中に伝えよ 502 00:40:09,102 --> 00:40:12,105 (家臣たち)はっ! (家康)更に! 503 00:40:12,105 --> 00:40:18,045 山内どのの奥方の 「我は自害せん」という覚悟の程も 504 00:40:18,045 --> 00:40:21,048 くまなく伝えよ! (家臣たち)はっ! 505 00:40:21,048 --> 00:40:27,054 ♬~ 506 00:40:27,054 --> 00:40:30,057 (家康)山内どの ははっ… 507 00:40:30,057 --> 00:40:33,060 そこもとのお心配り… 508 00:40:33,060 --> 00:40:38,060 徳川家あるかぎり 未来永劫 忘れませぬぞ 509 00:40:43,070 --> 00:40:46,070 (門をたたく音) 510 00:40:48,075 --> 00:40:52,079 (玄蕃)それがし 石田三成さまの手の者にて 511 00:40:52,079 --> 00:40:54,081 (新右衛門) 福原玄蕃どのでござるな 512 00:40:54,081 --> 00:40:57,084 いつ まいられるかと 首を 長うして お待ちしておりました 513 00:40:57,084 --> 00:40:59,084 ささあ どうぞ 514 00:41:07,094 --> 00:41:10,097 これは何事でござる? (新右衛門)いや 存じませぬ 515 00:41:10,097 --> 00:41:15,102 奥方が かようにせよと 申されましたのでな 516 00:41:15,102 --> 00:41:17,102 (玄蕃)オオッ… 517 00:41:21,108 --> 00:41:25,112 お役目 ご苦労に存じまする 518 00:41:25,112 --> 00:41:28,115 今日こそは お城に移っていただきますぞ 519 00:41:28,115 --> 00:41:30,117 急ぎ ご支度なされい! 520 00:41:30,117 --> 00:41:34,121 でも 関東の旦那さまから まだ何の指図も届いておりませぬ 521 00:41:34,121 --> 00:41:37,121 秀頼さまのご命令でござるぞ! 522 00:41:49,136 --> 00:41:51,136 (玄蕃)何をしておられる? 523 00:41:55,142 --> 00:41:58,145 何をしておられる!? 524 00:41:58,145 --> 00:42:01,148 (新右衛門) 火縄を吹いておりました 525 00:42:01,148 --> 00:42:03,150 (玄蕃)何のために? 526 00:42:03,150 --> 00:42:08,155 福原どの これ以上 強談判なさるについては➡ 527 00:42:08,155 --> 00:42:12,159 もはや 覚悟がございます 覚悟とは? 528 00:42:12,159 --> 00:42:17,164 屋敷に火を放ち あなたさまを 道連れに 死ぬばかりでございます 529 00:42:17,164 --> 00:42:21,164 さよう 死ぬばかりでござる 530 00:42:25,105 --> 00:42:28,108 (新右衛門)火薬樽に… 531 00:42:28,108 --> 00:42:30,110 (玄蕃)おい 引き揚げろ! (家臣たち)はっ! 532 00:42:30,110 --> 00:42:36,116 ウフフフッ… 新右衛門 見事 533 00:42:36,116 --> 00:42:42,122 <この日を境に 人質の沙汰は やみました> 534 00:42:42,122 --> 00:42:48,128 <一方 下野国 小山に 在陣中の一豊さまは➡ 535 00:42:48,128 --> 00:42:52,132 大戦を前にして 家臣の心をひとつにすべく➡ 536 00:42:52,132 --> 00:42:55,135 軍議を開きました> 537 00:42:55,135 --> 00:42:58,138 おのおのに申し渡しておく 538 00:42:58,138 --> 00:43:01,141 当家としては いかなることがあろうとも➡ 539 00:43:01,141 --> 00:43:05,145 徳川どのと 命運を共にするつもりである 540 00:43:05,145 --> 00:43:10,145 それについて 存念のある者は この場で遠慮なく申せ 541 00:43:14,154 --> 00:43:16,156 (山城)申し上げまする 542 00:43:16,156 --> 00:43:19,092 徳川どのにお味方して 勝てるという見込みが➡ 543 00:43:19,092 --> 00:43:23,096 殿には ござりまするか? 544 00:43:23,096 --> 00:43:26,099 山城 そちの考えを申してみよ 545 00:43:26,099 --> 00:43:32,105 徳川どのが いかに百戦錬磨の武将とは申せ 546 00:43:32,105 --> 00:43:37,110 西に石田 東に上杉と 前後から同時に攻められては➡ 547 00:43:37,110 --> 00:43:43,116 必ずしも勝算ありとは 申されますまい 548 00:43:43,116 --> 00:43:46,119 押して申し上げまする 549 00:43:46,119 --> 00:43:52,119 殿には 徳川どのが必ず勝つという 見通しがござりまするか? 550 00:43:54,127 --> 00:43:58,131 殿 ご返答を… 551 00:43:58,131 --> 00:44:02,131 ない… 勝算などはない! 552 00:44:04,137 --> 00:44:07,140 「徳川どのが 勝つかどうか」ではない 553 00:44:07,140 --> 00:44:11,144 我らの手で 徳川どのを勝たせるのじゃ 554 00:44:11,144 --> 00:44:15,148 勝利を信じきって働くのじゃ! 555 00:44:15,148 --> 00:44:18,085 わしは この一戦で 山内家の家運を開く 556 00:44:18,085 --> 00:44:23,090 そのほうどもも この戦で家運を開け 557 00:44:23,090 --> 00:44:27,094 討ち死にする者あらば 必ず その子を立ててやる 558 00:44:27,094 --> 00:44:31,098 子がなければ 兄弟を立ててつかわす 559 00:44:31,098 --> 00:44:35,102 兄弟もなくば 親族を尋ね探してでも➡ 560 00:44:35,102 --> 00:44:37,104 その功に報いよう 561 00:44:37,104 --> 00:44:44,104 わしも死力を尽くす おのおのも死を決せよ 562 00:44:46,113 --> 00:44:54,113 <天下分け目の大戦は いよいよ 目前に迫ってまいりました> 563 00:44:57,124 --> 00:45:17,144 ♬~ 564 00:45:17,144 --> 00:45:37,097 ♬~ 565 00:45:37,097 --> 00:45:57,117 ♬~ 566 00:45:57,117 --> 00:46:12,132 ♬~ 567 00:46:12,132 --> 00:46:26,132 ♬~