1 00:01:35,082 --> 00:01:39,086 <出羽の国 六郷藩士 松葉刑部> 2 00:01:39,086 --> 00:01:43,090 <忠誠を誓う主君に 愛する妻を奪われたあげく・ 3 00:01:43,090 --> 00:01:47,094 謀反人に仕立て上げられ 藩を追われた> 4 00:01:47,094 --> 00:01:52,099 <そして 江戸で武芸を売る浪人に 成り果てた> 5 00:01:52,099 --> 00:01:57,099 <だが 刑部には もう一つ 裏の顔があった> 6 00:02:16,123 --> 00:02:18,123 ・(女性の悲鳴) 7 00:02:20,127 --> 00:02:25,132 (女性)さき様が さき様が 8 00:02:25,132 --> 00:02:30,070 (徳松)えー 頼み主は 10万2, 000石の西国大名・ 9 00:02:30,070 --> 00:02:35,075 新名藩家老 江戸お留守居役 遠山内膳 10 00:02:35,075 --> 00:02:38,075 (内膳)あっ あっ さき 11 00:02:41,081 --> 00:02:44,084 (内膳)一体 誰が (腰元)はっ 12 00:02:44,084 --> 00:02:46,086 (内膳)何だ 13 00:02:46,086 --> 00:02:52,086 (腰元)その懐剣は のえさんの物 14 00:02:54,094 --> 00:02:56,096 (内膳)のえの? 15 00:02:56,096 --> 00:03:00,100 (徳松)この遠山の奥方が ひとつきほど前・ 16 00:03:00,100 --> 00:03:04,104 のえって腰元に刺し殺された 17 00:03:04,104 --> 00:03:08,108 (徳松)実は 遠山と のえ 出来ていたそうで・ 18 00:03:08,108 --> 00:03:11,111 なに 武家屋敷で 主人と腰元が出来ちまうのは・ 19 00:03:11,111 --> 00:03:16,116 珍しいこっちゃございませんが それを奥方に知られちまって 20 00:03:16,116 --> 00:03:20,120 奥方が のえを 亭主から遠ざけたところ・ 21 00:03:20,120 --> 00:03:23,123 のえが それを逆恨み・ 22 00:03:23,123 --> 00:03:28,061 遠山が お役目で留守の夜に奥方を 23 00:03:28,061 --> 00:03:30,063 (さき)《はっ あっ》・ 24 00:03:30,063 --> 00:03:32,063 《うっ》 25 00:03:34,067 --> 00:03:36,069 (さき)《うっ》 26 00:03:36,069 --> 00:03:41,074 (徳松)そのまま のえは 屋敷から逐電したそうでやす 27 00:03:41,074 --> 00:03:44,077 (刑部)表沙汰にはできぬ話よな 28 00:03:44,077 --> 00:03:47,080 へい もし 国元のお殿様でも 知られた日にゃ・ 29 00:03:47,080 --> 00:03:51,084 御身は切腹 遠山家は お取り潰しってことに 30 00:03:51,084 --> 00:03:53,086 そこで のえに刺客を放ち・ 31 00:03:53,086 --> 00:03:57,090 奥方の敵を 討ってほしいという頼みか 32 00:03:57,090 --> 00:03:59,092 ちそうになった 33 00:03:59,092 --> 00:04:02,095 断る 34 00:04:02,095 --> 00:04:05,098 旦那 俺が女を斬らんのは・ 35 00:04:05,098 --> 00:04:07,100 お主も承知のことと思っていたが 36 00:04:07,100 --> 00:04:12,105 けどね 旦那 この頼み 旦那しか果たせねえ 37 00:04:12,105 --> 00:04:19,112 この のえって女 和久半大夫が ついておりやしてね 38 00:04:19,112 --> 00:04:21,114 名前だけは知ってる 39 00:04:21,114 --> 00:04:27,054 心 技 体 天下無双と評判を取った すご腕の剣客 40 00:04:27,054 --> 00:04:30,057 へい 遠山内膳の追っ手は・ 41 00:04:30,057 --> 00:04:34,061 全て 和久半大夫に 返り討ちにされておりやす 42 00:04:34,061 --> 00:04:39,066 のえって女 和久半大夫の妹でやしてね 43 00:04:39,066 --> 00:04:43,070 ヘヘ 旦那 あっしの知るかぎり・ 44 00:04:43,070 --> 00:04:46,073 和久半大夫に 互角に立ち向かえるのは・ 45 00:04:46,073 --> 00:04:50,077 旦那 お前さんだけだよ 46 00:04:50,077 --> 00:04:53,080 おだてるな 徳松 ヘヘ こちらへ 47 00:04:53,080 --> 00:04:55,082 さあ さあ 48 00:04:55,082 --> 00:05:01,088 えー 手付けとして えー 10両 49 00:05:01,088 --> 00:05:07,094 のえを討った暁には はあ もう20両 合わせて 30両の大仕事 50 00:05:07,094 --> 00:05:09,094 いかがでやす? 旦那 51 00:05:13,100 --> 00:05:18,105 しかしな 徳松 えっ? 52 00:05:18,105 --> 00:05:24,111 腰元と 江戸お留守居役とでは 普通に考えて はなから身分が違う 53 00:05:24,111 --> 00:05:27,047 色恋が ばれ 仲を裂かれたからといって・ 54 00:05:27,047 --> 00:05:31,051 恨んで奥方を刺したというのが どうも げせんが 55 00:05:31,051 --> 00:05:34,054 ・(お六)本気で 男に ほれちまったら・ 56 00:05:34,054 --> 00:05:37,057 身分の違いなんぞ 見えなくなる 57 00:05:37,057 --> 00:05:39,057 (お六)それが女ですよ 旦那 58 00:05:42,062 --> 00:05:49,062 女の恨みは女に向かう かわいい男を飛び越してね 59 00:05:52,072 --> 00:05:55,075 (徳松)何だかと言うと すごみがありやすね 60 00:05:55,075 --> 00:05:58,078 ふん (徳松)えー で お六・ 61 00:05:58,078 --> 00:06:02,082 のえの居所は つかんだかい? 62 00:06:02,082 --> 00:06:07,087 本所 徳右衛門町の裏店 富松長屋に・ 63 00:06:07,087 --> 00:06:12,087 兄貴の和久半大夫の浪宅に 身を寄せてましたよ 64 00:06:14,094 --> 00:06:16,094 (戸を開ける音) 65 00:06:20,100 --> 00:06:22,100 (お静)刑部様 66 00:06:24,104 --> 00:06:26,106 刑部様 67 00:06:26,106 --> 00:06:29,042 あっ どうして こちらに? 68 00:06:29,042 --> 00:06:32,045 あっ いや なに 69 00:06:32,045 --> 00:06:37,050 ウフフ… ハハハ… 70 00:06:37,050 --> 00:06:39,050 ありがとうございました 71 00:06:41,054 --> 00:06:44,057 (お静)おいしそう あっ でも いいんですか? 72 00:06:44,057 --> 00:06:48,061 ああ ちょっと実入りがあってのう 73 00:06:48,061 --> 00:06:51,064 お静殿には いつも 世話になっておるし 74 00:06:51,064 --> 00:06:56,069 (お静)お世話なんて じゃ 遠慮なく いただきます 75 00:06:56,069 --> 00:06:58,069 ああ (お静)ウフ 76 00:07:00,073 --> 00:07:03,076 ウフフ… 77 00:07:03,076 --> 00:07:06,079 んっ? (お静)アハハ 78 00:07:06,079 --> 00:07:10,083 何か おかしいかい? わさび お好きなんですね 79 00:07:10,083 --> 00:07:15,088 ああ そう言われれば そうだのう (お静)ウフフ… 80 00:07:15,088 --> 00:07:17,090 お静殿は? 81 00:07:17,090 --> 00:07:21,094 じゃ ちょっとだけ ああ 82 00:07:21,094 --> 00:07:26,099 ・(白玉売り)えー 白玉ー・ 83 00:07:26,099 --> 00:07:31,038 甘くて冷たい白玉はいかが・ 84 00:07:31,038 --> 00:07:36,043 白玉ー 85 00:07:36,043 --> 00:07:39,046 (お静)ウフ ところで・ 86 00:07:39,046 --> 00:07:42,049 お静殿は 富松長屋に 知り合いでもいるのかね 87 00:07:42,049 --> 00:07:46,053 あっ はい 前に お裁縫を教えていた子がいて 88 00:07:46,053 --> 00:07:49,056 のえさんというんですけど 89 00:07:49,056 --> 00:07:51,058 のえ? (お静)ええ 90 00:07:51,058 --> 00:07:54,061 元は お武家の娘さんなんですけど・ 91 00:07:54,061 --> 00:07:57,064 お家騒動か何かで 藩が お取り潰しになって 92 00:07:57,064 --> 00:07:59,066 それで のえさん・ 93 00:07:59,066 --> 00:08:03,070 新名藩の 何とかっていう お偉い人のお屋敷に・ 94 00:08:03,070 --> 00:08:07,074 腰元として奉公に・ 95 00:08:07,074 --> 00:08:14,081 でも お兄さんが あんなだから 今は付きっきりで看病を 96 00:08:14,081 --> 00:08:17,084 兄上を看病とは? 97 00:08:17,084 --> 00:08:22,089 お兄さん このところ 持病の労咳が悪くって 98 00:08:22,089 --> 00:08:24,091 どのくらい悪いんだい? 99 00:08:24,091 --> 00:08:29,029 (お静)ここ数日は もう 枕も上がらないくらいです 100 00:08:29,029 --> 00:08:31,031 ふーん 101 00:08:31,031 --> 00:08:33,033 刑部様? 102 00:08:33,033 --> 00:08:35,035 ああ いや 103 00:08:35,035 --> 00:08:38,038 日々の糧や薬代は では どうやって? 104 00:08:38,038 --> 00:08:40,040 仕立物の内職で何とか・ 105 00:08:40,040 --> 00:08:45,045 あっ 私が日本橋の呉服屋さんに 紹介したんです・ 106 00:08:45,045 --> 00:08:50,050 のえさん 仕事が丁寧だから ほら 見てください 107 00:08:50,050 --> 00:08:53,053 針目が まっすぐで きれいでしょ?・ 108 00:08:53,053 --> 00:08:56,053 こういうのって 人柄が出るんですよね 109 00:09:00,060 --> 00:09:04,064 のう お静殿 (お静)はい 110 00:09:04,064 --> 00:09:08,068 若い女が 道ならぬ恋に落ちたとしたら 111 00:09:08,068 --> 00:09:10,070 (お静)はっ?・ 112 00:09:10,070 --> 00:09:12,072 あっ 何ですか 突然 113 00:09:12,072 --> 00:09:15,075 それを 男の女房が邪魔したら・ 114 00:09:15,075 --> 00:09:19,075 女の恨みは その女房に向かうものかね? 115 00:09:22,082 --> 00:09:26,086 女によっても違うと思いますよ 116 00:09:26,086 --> 00:09:30,023 でも 私なら 117 00:09:30,023 --> 00:09:32,025 お静殿なら? 118 00:09:32,025 --> 00:09:36,029 道ならぬ恋だと 最初から分かっているなら・ 119 00:09:36,029 --> 00:09:39,032 相手のおかみさんに 邪魔されても しかたがない 120 00:09:39,032 --> 00:09:46,039 むしろ 申し訳ない わびたいって 思う気持ちが先に立つかも 121 00:09:46,039 --> 00:09:51,039 でも そう思うか思わないかは 相手の男しだいです 122 00:09:55,048 --> 00:10:00,053 男に大切にされていれば わびたいと思うだろうし・ 123 00:10:00,053 --> 00:10:02,053 そうでなければ… 124 00:10:04,057 --> 00:10:07,057 恨む気持ちが先に立つかも 125 00:10:12,065 --> 00:10:14,065 難しいものだのう 126 00:10:17,070 --> 00:10:21,074 ・(あめ売り) ・ 赤いの 赤いの どうだいな 127 00:10:21,074 --> 00:10:25,078 ・(あめ売り・子供たち) ・ 赤いの 赤いの どうだいな 128 00:10:25,078 --> 00:10:27,013 ・(あめ売り)・ 青いの 青いの… 129 00:10:27,013 --> 00:10:29,015 御免つかまつる 130 00:10:29,015 --> 00:10:33,019 ・(あめ売り・子供たち) ・ 青いの 青いの どうだいな 131 00:10:33,019 --> 00:10:37,023 ・(あめ売り) ・ げんこつあめは どうだいな 132 00:10:37,023 --> 00:10:42,023 ・(あめ売り・子供たち) ・ げんこつあめは どうだいな 133 00:10:46,032 --> 00:10:48,034 のえ殿でござるか? 134 00:10:48,034 --> 00:10:50,036 (のえ)どちら様ですか? 135 00:10:50,036 --> 00:10:54,040 それがし 松葉刑部と申す者 136 00:10:54,040 --> 00:10:58,044 ひとつき前 遠山内膳の屋敷を 逐電された事情・ 137 00:10:58,044 --> 00:11:03,044 故あって 御本人より 直接 承りたく まかり越した次第 138 00:11:06,052 --> 00:11:08,054 待たれよ 139 00:11:08,054 --> 00:11:10,056 和久半大夫殿でござるか 140 00:11:10,056 --> 00:11:13,059 (半大夫)妹を 手込めにしておきながら・ 141 00:11:13,059 --> 00:11:19,065 刺客を放って 口を塞ごうという どぶねずみに名乗る名は持たぬ 142 00:11:19,065 --> 00:11:23,069 手込め? 遠山内膳の刺客であろう 143 00:11:23,069 --> 00:11:43,089 ・~ 144 00:11:43,089 --> 00:11:51,097 ・~ 145 00:11:51,097 --> 00:11:55,097 (のえ)兄上 今です 私ごと刺して! 146 00:11:57,103 --> 00:12:01,107 (のえ)兄上! (半大夫の せきこみ) 147 00:12:01,107 --> 00:12:05,107 兄上 お気を確かに 兄上 148 00:12:08,114 --> 00:12:11,117 すまぬ 149 00:12:11,117 --> 00:12:17,123 兄上 ごめんなさい 150 00:12:17,123 --> 00:12:20,123 ごめんなさい 兄上 151 00:12:22,128 --> 00:12:25,131 お手合わせは これまで 152 00:12:25,131 --> 00:12:28,131 さあ 休まれよ 153 00:12:45,085 --> 00:12:52,092 遠山内膳と私が通じていたなど 真っ赤なうそ 154 00:12:52,092 --> 00:12:59,099 私は 無理やり 内膳に 辱めを受けたのでございます 155 00:12:59,099 --> 00:13:03,103 内膳は 生まれながらの女たらし 156 00:13:03,103 --> 00:13:11,111 料亭や色里にも足しげく通い 遊び慣れた通人を自負している男 157 00:13:11,111 --> 00:13:14,114 その内膳と通じていたのは・ 158 00:13:14,114 --> 00:13:24,124 参勤交代の折にしか殿に会えぬ 新名藩 藩主の御正室 北のお方様 159 00:13:24,124 --> 00:13:27,060 藩主の御正室と? 160 00:13:27,060 --> 00:13:30,063 (のえ)その火遊びに 気付かれたのが・ 161 00:13:30,063 --> 00:13:33,063 内膳の奥方 さき様 162 00:13:36,069 --> 00:13:39,072 家中に知られれば一大事・ 163 00:13:39,072 --> 00:13:46,079 内膳は ひそかに私の懐剣を盗み あの夜 さき様を 164 00:13:46,079 --> 00:13:48,079 《はっ》 165 00:13:56,089 --> 00:13:58,089 その足で… 166 00:14:02,095 --> 00:14:06,099 内膳は私を裏庭に呼び出し 167 00:14:06,099 --> 00:14:08,099 (刀を抜く音) 168 00:14:12,105 --> 00:14:16,109 《なぜでございます なぜ私を》 169 00:14:16,109 --> 00:14:18,111 《嫉妬に狂い・ 170 00:14:18,111 --> 00:14:22,115 我が妻を刺し殺したる罪で 成敗してくれる》 171 00:14:22,115 --> 00:14:26,115 《さき様を殺した? 私が?》 172 00:14:31,057 --> 00:14:33,057 遠山内膳 173 00:14:35,061 --> 00:14:38,064 なんという恥知らず 174 00:14:38,064 --> 00:14:43,069 主君の妻と通じ 自作自演で我が妻を殺し・ 175 00:14:43,069 --> 00:14:48,069 その罪を 辱めた女子にかぶせて 刺客まで放つとは 176 00:14:50,076 --> 00:14:52,076 許せぬ 177 00:14:54,080 --> 00:14:58,080 その刺客が お主であろうが 178 00:15:02,088 --> 00:15:06,092 まあ そうだ 179 00:15:06,092 --> 00:15:08,092 妙な刺客だな 180 00:15:12,098 --> 00:15:20,098 しかし いまわの際に お主と立ち合えたのは… 181 00:15:22,108 --> 00:15:25,108 剣客としての幸せだった 182 00:15:50,069 --> 00:15:57,076 これで精のつく物を食べ 養生し 病を癒やされよ 183 00:15:57,076 --> 00:15:59,076 (のえ)松葉様 184 00:16:03,082 --> 00:16:08,082 音に聞こえし和久半大夫が 病などに負け申すな 185 00:16:12,091 --> 00:16:18,091 刺客に金を恵まれたのは 初めてでござる 186 00:16:41,054 --> 00:16:48,054 (半大夫)1両だけ 俺の葬式代に もらい受ける 187 00:16:53,066 --> 00:16:57,066 松葉刑部殿 188 00:16:59,072 --> 00:17:01,074 何でござる? 189 00:17:01,074 --> 00:17:11,074 俺の死は 遠山内膳の間者によって すぐさま 内膳に伝わるであろう 190 00:17:13,086 --> 00:17:22,095 のえが奉公に出たのは 本はといえば 俺の薬代を稼ぐため 191 00:17:22,095 --> 00:17:28,095 俺は のえを守ってやれなかった 192 00:17:35,041 --> 00:17:44,041 刑部殿 のえを 妹を頼む 193 00:17:48,054 --> 00:17:53,059 (北の方)遠山内膳 大儀 194 00:17:53,059 --> 00:17:57,063 (内膳)北の方様には 御機嫌 麗しゅう 195 00:17:57,063 --> 00:18:00,066 (北の方)挨拶はよい・ 196 00:18:00,066 --> 00:18:07,073 のえという腰元の一件 その後 どうなっておるのじゃ 197 00:18:07,073 --> 00:18:09,075 (内膳)ははっ 198 00:18:09,075 --> 00:18:14,080 (北の方)国元の 殿のお耳に入らぬうちに・ 199 00:18:14,080 --> 00:18:22,088 のえを討つことが遠山家の安泰 違うかの? 200 00:18:22,088 --> 00:18:24,088 仰せのとおりにて 201 00:18:32,031 --> 00:18:39,038 そもそもは 腰元風情に手を付けた その方の落ち度じゃ 202 00:18:39,038 --> 00:18:41,038 仰せのとおりにて 203 00:18:43,042 --> 00:18:49,048 女を泣かせた報いは いつか 男に返る 204 00:18:49,048 --> 00:18:54,053 その方には 良い薬になったであろう 205 00:18:54,053 --> 00:18:58,053 誠に仰せのとおりにて 206 00:19:06,065 --> 00:19:14,073 その方には分かるまい 奥向きは 気が ふさぐのじゃ 207 00:19:14,073 --> 00:19:20,073 では かごなど仕立てて 芝居見物は いかがです? 208 00:19:23,082 --> 00:19:26,085 (北の方)よいのか? 209 00:19:26,085 --> 00:19:32,085 早速 出し物を調べさせ 良き日を選び奉りましょう 210 00:19:41,033 --> 00:19:43,035 (徳松)えー 211 00:19:43,035 --> 00:19:47,039 9両ある 1両は借りだ 212 00:19:47,039 --> 00:19:50,042 (徳松)ハァ 213 00:19:50,042 --> 00:19:53,045 てことは ここ数日 旦那は・ 214 00:19:53,045 --> 00:20:00,052 和久半大夫の葬式を出してやって 細かな後始末もしてやって・ 215 00:20:00,052 --> 00:20:04,056 やっと 私のところに 戻ってきたと思ったら・ 216 00:20:04,056 --> 00:20:08,060 のえ殺しは断ると こういうこってすかい? 217 00:20:08,060 --> 00:20:12,064 遠山内膳は うそをついておった 218 00:20:12,064 --> 00:20:15,067 お主も この頼み 断るがいい 219 00:20:15,067 --> 00:20:19,067 へい どうも 御苦労さんでございやした 220 00:20:22,074 --> 00:20:27,013 俺に代わって 別の刺客を のえ殿に差し向ける気なら・ 221 00:20:27,013 --> 00:20:30,013 やめた方がいいぞ えっ? 222 00:20:32,018 --> 00:20:35,021 旦那 まさか また悪い癖が 223 00:20:35,021 --> 00:20:42,028 和久半大夫殿に代わり のえ殿は俺が守ることにした 224 00:20:42,028 --> 00:20:46,032 へいへい 分かりやした 降りやすよ 225 00:20:46,032 --> 00:20:51,037 これで 30両の いや あっしの取り分も合わせて・ 226 00:20:51,037 --> 00:20:56,042 60両の大仕事が ふいだい おい 227 00:20:56,042 --> 00:20:58,044 えっ? ついては 徳松・ 228 00:20:58,044 --> 00:21:02,044 のえ殿を隠す どこか良い場所はないか? 229 00:21:05,051 --> 00:21:13,059 旦那 この上 それを あっしに お尋ねになるんですかい? 230 00:21:13,059 --> 00:21:18,064 蛇の道は蛇だろう 力を貸せい 231 00:21:18,064 --> 00:21:23,069 言っときますけどね 旦那 あっしが この仕事 断ったら・ 232 00:21:23,069 --> 00:21:28,074 遠山は この話 闇猫に持ってきますぜ 233 00:21:28,074 --> 00:21:32,078 いや もう頼んでいるのかも 234 00:21:32,078 --> 00:21:35,081 お吉か 235 00:21:35,081 --> 00:21:40,081 (お吉)《今後は きっぱり 敵と敵》 236 00:21:42,088 --> 00:21:45,091 だとすりゃ こりゃ ちょいと やっかいだ 237 00:21:45,091 --> 00:21:48,094 どこに隠したって 隠しおおせるもんじゃねえ 238 00:21:48,094 --> 00:21:51,097 きっと においで嗅ぎつけて 239 00:21:51,097 --> 00:21:54,097 (猫の鳴きまね) 240 00:21:56,102 --> 00:21:58,102 殺しに来やすぜ 241 00:22:02,108 --> 00:22:04,108 ハァ 242 00:22:06,112 --> 00:22:26,132 ・~ 243 00:22:26,132 --> 00:22:31,070 ・~ 244 00:22:31,070 --> 00:22:37,070 (お吉)隠し事は なしですよ 遠山内膳様 245 00:22:40,079 --> 00:22:43,082 (お吉)和久半大夫が死んだなら・ 246 00:22:43,082 --> 00:22:51,090 残った女をやるのは 赤子の手を ひねるより たやすきこと・ 247 00:22:51,090 --> 00:22:58,090 そんなものに 50両も出して頼む本当の理由 248 00:23:00,099 --> 00:23:02,101 聞かせてもらいましょう 249 00:23:02,101 --> 00:23:07,106 なんと妖艶な声よのう 250 00:23:07,106 --> 00:23:13,112 一目でよい ちらと その顔 見せてはくれぬか? 251 00:23:13,112 --> 00:23:17,112 (信次)頭の問いに 答えていただきやしょう 252 00:23:19,118 --> 00:23:25,124 和久半大夫は死んだが 入れ違いで 腕の立つ浪人者がついたのだ 253 00:23:25,124 --> 00:23:29,124 名前を 確か 松葉刑部と 254 00:23:33,065 --> 00:23:36,068 (信次)松葉刑部 255 00:23:36,068 --> 00:23:44,076 (お吉)松葉刑部が相手なら その50両は手付け・ 256 00:23:44,076 --> 00:23:49,081 女をやった暁には 100両 257 00:23:49,081 --> 00:23:53,085 100両? そんな法外な 258 00:23:53,085 --> 00:23:59,085 (信次)国元のお殿様に この不始末が知られでもしたら? 259 00:24:02,094 --> 00:24:06,094 (内膳)分かった 100両 出す 260 00:24:08,100 --> 00:24:10,100 受けましょう 261 00:24:16,108 --> 00:24:18,108 松葉刑部 262 00:24:24,116 --> 00:24:27,116 どこまでも 目障りなやつ 263 00:24:36,062 --> 00:24:40,066 (お静)ねえ のえさん (のえ)はい 264 00:24:40,066 --> 00:24:44,066 (お静)刑部様とは どういう知り合いなの? 265 00:24:46,072 --> 00:24:51,072 (お静)あっ あっ ごめんね 急に アハ ごめん 忘れて 266 00:24:53,079 --> 00:24:58,084 (のえ)すみません お静さんにまで 御迷惑をおかけして 267 00:24:58,084 --> 00:25:00,086 迷惑なんて とんでもない 268 00:25:00,086 --> 00:25:02,088 うちなら いいのよ いつまでいてくれても 269 00:25:02,088 --> 00:25:04,090 それに 刑部様も そうおっしゃってるし 270 00:25:04,090 --> 00:25:06,090 ねっ? のえさん 271 00:25:15,101 --> 00:25:19,105 (お静)おとっつぁんには ないしょなんだけど・ 272 00:25:19,105 --> 00:25:24,110 この着物 刑部様に縫ってるの (のえ)えっ? 273 00:25:24,110 --> 00:25:30,049 私が刑部様に縫うの のえさん 嫌? 274 00:25:30,049 --> 00:25:33,052 あっ 違いますよ お静さん 275 00:25:33,052 --> 00:25:36,055 刑部様と私は そういうのじゃなくて 276 00:25:36,055 --> 00:25:42,061 刑部様は 兄との約束を果たそうと されているだけなんです 277 00:25:42,061 --> 00:25:45,064 本当? 278 00:25:45,064 --> 00:25:47,064 本当です 279 00:25:51,070 --> 00:25:55,074 あっ ああ よかった 280 00:25:55,074 --> 00:25:59,074 ごめんね 変なこと聞いて 281 00:26:06,085 --> 00:26:13,092 幸せですよね 好きなお人の着物を縫うのは 282 00:26:13,092 --> 00:26:19,092 そんな女の気持ちを羽織って 男の人は悪さばかり 283 00:26:21,100 --> 00:26:26,105 あっ 刑部様は違いますよ きっと 284 00:26:26,105 --> 00:26:28,040 のえさん 285 00:26:28,040 --> 00:26:30,042 御免なさいよ (お静)お六さん 286 00:26:30,042 --> 00:26:33,045 のえさん 刑部の旦那がね・ 287 00:26:33,045 --> 00:26:35,047 新しい家を見っけたから そっちに お移りくださいってさ 288 00:26:35,047 --> 00:26:37,049 (お静)新しい家? (お六)ああ・ 289 00:26:37,049 --> 00:26:40,052 私が道案内するから とりあえず 荷物をまとめて 290 00:26:40,052 --> 00:26:45,057 (お静)ねえ お六さん 刑部様は のえさんを 一体 どこに? 291 00:26:45,057 --> 00:26:47,059 気になる? 292 00:26:47,059 --> 00:26:51,063 (お静)気になるってほどじゃ 293 00:26:51,063 --> 00:26:54,066 気になる (お六)残念だけど・ 294 00:26:54,066 --> 00:26:57,069 お静さんには言えないのよね 295 00:26:57,069 --> 00:27:01,073 刑部の旦那から 口止めされてんのよね 296 00:27:01,073 --> 00:27:04,076 なんて嫌みな言い方かしら 297 00:27:04,076 --> 00:27:07,079 あっ 膨れた 298 00:27:07,079 --> 00:27:12,084 やかない やかない 私はさ ただのお使いなんだから・ 299 00:27:12,084 --> 00:27:14,086 刑部の旦那のね・ 300 00:27:14,086 --> 00:27:16,088 危なっ (お静)旦那 旦那って・ 301 00:27:16,088 --> 00:27:18,090 気安く言わないでください 302 00:27:18,090 --> 00:27:38,090 ・~ 303 00:28:10,075 --> 00:28:12,075 (才助)つけられてますぜ 304 00:28:46,045 --> 00:28:48,047 遠山内膳の間者か? 305 00:28:48,047 --> 00:28:51,050 闇猫の手の者か 306 00:28:51,050 --> 00:29:07,050 ・~ 307 00:29:23,082 --> 00:29:25,082 のえ殿! 308 00:29:29,021 --> 00:29:32,024 のえ殿 ここを動かずに 309 00:29:32,024 --> 00:29:45,024 ・~ 310 00:30:11,063 --> 00:30:14,063 (男性)ありがとうございました いらっしゃいやし 311 00:30:20,072 --> 00:30:25,077 のえ殿の新しい隠れが 抜かりはないだろうな 徳松 312 00:30:25,077 --> 00:30:29,014 (徳松)御浪人様 ここでは 主人と呼んでくださいやし 313 00:30:29,014 --> 00:30:34,019 ハッ いいかげん 機嫌を直してはどうだ 314 00:30:34,019 --> 00:30:40,025 闇猫 相手に ただ働き あの猫は しつこいですからね 315 00:30:40,025 --> 00:30:43,028 ああ ったく そろばんが合わねえ 316 00:30:43,028 --> 00:30:48,033 その しつこい猫を どうすれば追い払える 317 00:30:48,033 --> 00:30:56,041 隠している かつお節を いっそのこと やっちまったら? 318 00:30:56,041 --> 00:30:58,043 徳松 319 00:30:58,043 --> 00:31:03,048 あの猫は 御浪人様の腕っぷしも 勘定に入れたでしょうね 320 00:31:03,048 --> 00:31:09,054 ちきしょう 80両 いや 100両は 吹っかけただろうな 321 00:31:09,054 --> 00:31:11,054 えっ? 322 00:31:23,068 --> 00:31:27,072 やれるかな? 御主人 323 00:31:27,072 --> 00:31:32,072 やらなきゃ こちとら 赤字が膨らむ一方だ 324 00:31:43,088 --> 00:31:45,090 実は そうなんですよ 325 00:31:45,090 --> 00:31:47,092 へえ あの遠山様がね 326 00:31:47,092 --> 00:31:51,096 へえ そりゃ お方様は よっぽどの芝居好きだね 327 00:31:51,096 --> 00:31:53,098 (腰元)やあ もう (腰元)特に 團十郎が 328 00:31:53,098 --> 00:31:55,100 團十郎? (腰元)はい 329 00:31:55,100 --> 00:31:57,102 もう どんどん食べて あっ ところてんもいる? 330 00:31:57,102 --> 00:31:59,104 (腰元)あっ (腰元)うん うれしい 331 00:31:59,104 --> 00:32:01,106 すいません ところてん 3つ 332 00:32:01,106 --> 00:32:05,110 調べさせましたるところ 今月20日より 上野にて・ 333 00:32:05,110 --> 00:32:09,110 新しい芝居が かかる由にございます 334 00:32:11,116 --> 00:32:17,122 上野か で いつがよいのじゃ 335 00:32:17,122 --> 00:32:20,122 (内膳)やはり 初日が 336 00:32:22,127 --> 00:32:26,131 具合が よろしいかと・ 337 00:32:26,131 --> 00:32:30,068 久しぶりに羽を伸ばされ ごゆるりと 338 00:32:30,068 --> 00:32:32,068 初日じゃの 339 00:32:34,072 --> 00:32:39,077 待ち遠しゅうございますな 340 00:32:39,077 --> 00:32:42,080 憎いのう 341 00:32:42,080 --> 00:33:02,100 ・~ 342 00:33:02,100 --> 00:33:05,103 ・~ 343 00:33:05,103 --> 00:33:13,111 (北の方)芝居見物を口実に かご抜けをして茶屋に来る苦労・ 344 00:33:13,111 --> 00:33:16,114 一度でも 思ってくれたことはあるか?・ 345 00:33:16,114 --> 00:33:18,116 内膳 346 00:33:18,116 --> 00:33:22,120 (内膳)我が妻 さきを 手にかけたのは・ 347 00:33:22,120 --> 00:33:27,059 あなた様のためですぞ お方様 348 00:33:27,059 --> 00:33:29,061 (北の方)おあいこと申すか 349 00:33:29,061 --> 00:33:35,067 のえに刺客を放ったのも あなた様のためですぞ 350 00:33:35,067 --> 00:33:42,074 憎い物言いを その口 ひねって差し上げます 351 00:33:42,074 --> 00:33:54,086 ・~ 352 00:33:54,086 --> 00:33:58,090 (北の方)あっ (内膳)何者… お前は 353 00:33:58,090 --> 00:34:01,093 (徳松)頼みを 受けたり降りたりと・ 354 00:34:01,093 --> 00:34:05,097 申し訳ねえことでござんした 遠山様・ 355 00:34:05,097 --> 00:34:09,101 それにしても 武家の家臣が主君の女房と・ 356 00:34:09,101 --> 00:34:13,105 昼日中から乳繰り合い・ 357 00:34:13,105 --> 00:34:16,108 こりゃ 腹 いくつ切っても 足りやせんぜ 358 00:34:16,108 --> 00:34:19,111 松葉刑部と申す 359 00:34:19,111 --> 00:34:23,115 それだけ言えば お分かりであろう 360 00:34:23,115 --> 00:34:25,117 くせ者だ 出合え 361 00:34:25,117 --> 00:34:29,054 (戸の開く音) 362 00:34:29,054 --> 00:34:31,056 この期に及んで・ 363 00:34:31,056 --> 00:34:34,059 それがしらの口まで 塞ぐおつもりか 364 00:34:34,059 --> 00:34:52,077 ・~ 365 00:34:52,077 --> 00:34:57,077 (徳松)ヘヘヘ… おお 来た来た こっちだ こっちだ 366 00:35:05,090 --> 00:35:07,092 のえ 367 00:35:07,092 --> 00:35:12,092 のえ殿が生き証人 遠山内膳 368 00:35:16,101 --> 00:35:21,106 (内膳)望みは金か? 金なら いくらでも出す・ 369 00:35:21,106 --> 00:35:23,106 待て! 要らぬ 370 00:35:26,111 --> 00:35:31,049 やっと押さえた不義の現場 お六 伊三次 371 00:35:31,049 --> 00:35:35,053 (伊三次・お六)へい 新名藩 上屋敷に走り・ 372 00:35:35,053 --> 00:35:37,055 家中の者を連れてまいれ (お六)へい 373 00:35:37,055 --> 00:35:40,058 (伊三次)へい (内膳)待て 待て! 374 00:35:40,058 --> 00:35:47,065 全て表沙汰にし のえ殿の ぬれぎぬを晴らすのだ 行け 375 00:35:47,065 --> 00:35:49,067 (内膳)待たれよ・ 376 00:35:49,067 --> 00:35:55,067 頼む 頼む (北の方)どうか お情けを 377 00:35:57,075 --> 00:36:02,075 助けてくれ 何でも言うことを聞く このとおりじゃ 378 00:36:06,084 --> 00:36:08,084 お慈悲を 379 00:36:20,098 --> 00:36:23,101 私からも お願い申し上げます 380 00:36:23,101 --> 00:36:26,104 どうか お慈悲を 381 00:36:26,104 --> 00:36:28,104 のえ殿 382 00:36:30,041 --> 00:36:32,043 事が表沙汰になっても・ 383 00:36:32,043 --> 00:36:37,048 さき様の命も 兄の命も返りませぬ 384 00:36:37,048 --> 00:36:41,052 もし 幕府の知るところとなれば 新名藩は お取り潰し 385 00:36:41,052 --> 00:36:46,057 多くの家臣と その家族が 路頭に迷います 386 00:36:46,057 --> 00:36:51,062 兄のような浪人を もう つくりたくないのです 387 00:36:51,062 --> 00:36:57,068 何とぞ 穏便に 内聞に済まされますよう 刑部様 388 00:36:57,068 --> 00:37:02,073 しかし あなたは この男に 389 00:37:02,073 --> 00:37:07,078 それに 兄上が命を縮められたのも この男が 390 00:37:07,078 --> 00:37:12,083 (のえ)兄上が命を縮めたのは 私のせい 391 00:37:12,083 --> 00:37:16,087 のえ殿 私の気持ちなら もう十分 392 00:37:16,087 --> 00:37:18,087 十分でございます 393 00:37:21,092 --> 00:37:23,094 (内膳)どうぞ 御内聞に・ 394 00:37:23,094 --> 00:37:26,097 何でも お手前方の おっしゃるとおりにいたしまする 395 00:37:26,097 --> 00:37:28,033 (徳松)ヘヘヘ・ 396 00:37:28,033 --> 00:37:33,038 それじゃ 手付けの10両 お返ししやせんが いいですかい? 397 00:37:33,038 --> 00:37:35,040 (内膳)かまわん・ 398 00:37:35,040 --> 00:37:39,044 あっ いや どうぞ お受け取りを (徳松)えー それと・ 399 00:37:39,044 --> 00:37:43,048 この日を押さえるために かかった手間賃 50両ほど・ 400 00:37:43,048 --> 00:37:46,051 後ほど頂きに上がりやすが いいですかい? 401 00:37:46,051 --> 00:37:49,054 (内膳)用意しておきまする 402 00:37:49,054 --> 00:37:54,059 (徳松)ヘヘ それと 二度と刺客を雇わねえこと・ 403 00:37:54,059 --> 00:37:59,064 闇猫への頼み きっぱり取り下げていただきやす 404 00:37:59,064 --> 00:38:03,064 (内膳)相分かった 必ず そのようにする 405 00:38:05,070 --> 00:38:11,076 本当じゃ 武士に二言はござらん 406 00:38:11,076 --> 00:38:17,076 武士の言など それがし 信じてはおらぬ 407 00:38:21,086 --> 00:38:23,088 (徳松)あっ 408 00:38:23,088 --> 00:38:25,088 (内膳)あっ 409 00:38:29,027 --> 00:38:34,032 このまげは本日の証しの品 410 00:38:34,032 --> 00:38:38,036 この後 のえ殿に また 追っ手を出すことがあれば・ 411 00:38:38,036 --> 00:38:43,041 このまげを添え 新名藩 藩主に必ず申し出る 412 00:38:43,041 --> 00:38:46,044 よいか? 413 00:38:46,044 --> 00:38:49,047 (内膳)承知いたしました 414 00:38:49,047 --> 00:39:09,067 ・~ 415 00:39:09,067 --> 00:39:13,067 ・~ 416 00:39:17,075 --> 00:39:22,080 (お吉)ふーん そうですか 417 00:39:22,080 --> 00:39:25,083 のえ殺しは もうよいと 418 00:39:25,083 --> 00:39:28,019 (内膳)いろいろ事情があっての 419 00:39:28,019 --> 00:39:31,022 (信次)手付けは お返しできませんが 420 00:39:31,022 --> 00:39:34,025 (内膳)かまわぬ どうぞ お受け取りを 421 00:39:34,025 --> 00:39:38,029 (信次)取り下げ料も頂かなければ (内膳)取り下げ料? 422 00:39:38,029 --> 00:39:40,031 (信次)のえ殺しの依頼を・ 423 00:39:40,031 --> 00:39:43,034 そちらの事情で ほごにしたんだ・ 424 00:39:43,034 --> 00:39:45,034 取り下げ料 425 00:39:58,049 --> 00:40:01,052 (信次)ほう 用意のいいことで 426 00:40:01,052 --> 00:40:06,052 (内膳)これで お前たちとは 一切 関わりを断った よいな 427 00:40:20,071 --> 00:40:26,077 アハハ… 428 00:40:26,077 --> 00:40:37,077 (お吉・信次の笑い声) 429 00:40:45,030 --> 00:40:51,036 こうして 改めて見ると 雨も おつなものだな 430 00:40:51,036 --> 00:40:53,038 (徳松)でやしょ? 431 00:40:53,038 --> 00:40:57,042 こういう雨の日には とっくりと雨を眺めて・ 432 00:40:57,042 --> 00:41:03,042 浮世のあか 闇の汚れを 洗い流しちまうんでさ 433 00:41:09,054 --> 00:41:14,054 しかしのう せっかくの雨を 434 00:41:16,061 --> 00:41:20,065 俺のような無骨者と見て 楽しいかい? 435 00:41:20,065 --> 00:41:23,068 雨見の いちばんの連れは・ 436 00:41:23,068 --> 00:41:27,068 雨ん中に消えちまえる 旦那のような男だ 437 00:41:29,074 --> 00:41:35,080 間違っても 女は いけねえ ありゃ 消えないからね 438 00:41:35,080 --> 00:41:38,083 女は消えぬか ああ 消えないね 439 00:41:38,083 --> 00:41:42,087 いつまでも どこまでも ついてきやがる 440 00:41:42,087 --> 00:41:46,087 女は 死んだって 化けて出やがるからね 441 00:41:49,094 --> 00:41:55,100 ヘヘ あの のえって女は まさにそうだ 442 00:41:55,100 --> 00:41:58,103 のえ殿が? 443 00:41:58,103 --> 00:42:01,103 遠山内膳を見たときの目 444 00:42:06,111 --> 00:42:10,111 ありゃ 手込めにされた女の目じゃねえ 445 00:42:13,118 --> 00:42:17,122 (徳松)情を通じて 納得の上で 道ならぬ恋ってのに落ちた・ 446 00:42:17,122 --> 00:42:19,122 女の目でやしたよ 447 00:42:30,068 --> 00:42:33,071 (徳松)ところが 内膳は 気の多い男・ 448 00:42:33,071 --> 00:42:36,074 のえを抱きながら 北の方とも通じた・ 449 00:42:36,074 --> 00:42:42,080 腹を立てた のえは もしかして 内膳の女房に告げ口を 450 00:42:42,080 --> 00:42:44,082 (内膳)《さき》・ 451 00:42:44,082 --> 00:42:47,085 《あっ 落ち着くのじゃ》 452 00:42:47,085 --> 00:42:51,089 (徳松)逆上した女房は 事を表沙汰にしようとし・ 453 00:42:51,089 --> 00:42:58,096 慌てた内膳は女房を殺し その罪を のえに かぶせて 斬ろうとした・ 454 00:42:58,096 --> 00:43:01,096 一石二鳥の口封じ 455 00:43:05,103 --> 00:43:10,108 (徳松)そこで のえは 手込めにされたと 兄貴に うそを 456 00:43:10,108 --> 00:43:14,112 半大夫殿に 内膳を斬らせるつもりでか 457 00:43:14,112 --> 00:43:30,061 ・~ 458 00:43:30,061 --> 00:43:32,061 (のえ)《兄上》 459 00:43:47,078 --> 00:43:49,080 (半大夫の せきこみ) 460 00:43:49,080 --> 00:43:51,082 《すまぬ》 461 00:43:51,082 --> 00:43:53,084 (せきこみ) 462 00:43:53,084 --> 00:43:59,084 《兄上 兄上 ごめんなさい》 463 00:44:13,104 --> 00:44:20,111 のえ殿の気持ちに けりはついたと思うかい? 徳松 464 00:44:20,111 --> 00:44:28,111 多分ね まげを斬られた内膳の あの ぶさまな姿は駄目押しだ 465 00:44:32,056 --> 00:44:37,061 どんな女も気持ちが冷める 冷めりゃ女は早いからね 466 00:44:37,061 --> 00:44:42,061 ほんに 女は恐ろしい 御用心 御用心 467 00:44:44,068 --> 00:44:47,068 しかしのう へい 468 00:44:49,073 --> 00:44:55,073 鬼になるか ぼさつになるかは 結局 相手の男しだい 469 00:44:57,081 --> 00:44:59,081 気の毒なのは… 470 00:45:02,086 --> 00:45:07,086 やはり 女だとは思わぬか? 471 00:45:11,095 --> 00:45:14,098 へい 旦那 へい へいへい 472 00:45:14,098 --> 00:45:34,052 ・~ 473 00:45:34,052 --> 00:45:37,055 ・~ 474 00:45:37,055 --> 00:45:39,057 (瓦版売り)つじ斬りが出たぜ 475 00:45:39,057 --> 00:45:42,060 (徳松)つじ斬りを斬ってほしいと 頼みが 476 00:45:42,060 --> 00:45:46,064 私をつじ斬りどもの餌に お前が生きられる道は 477 00:45:46,064 --> 00:45:49,064 (又五郎)ない 俺は 今夜 退路を断ったのだ