1 00:02:05,106 --> 00:02:09,110 <出羽の国 六郷藩士 松葉刑部> 2 00:02:09,110 --> 00:02:15,116 <忠誠を誓う主君に 愛する妻を殺され脱藩した> 3 00:02:15,116 --> 00:02:20,121 <流浪の果て江戸に着き 大道で 武芸を売る浪人と なり果てた> 4 00:02:20,121 --> 00:02:26,127 <しかし 刑部には もう一つ 裏の顔があった> 5 00:02:26,127 --> 00:02:38,127 ・~ 6 00:02:51,152 --> 00:02:54,155 (親船頭)おう 今夜は寝ずの番だ 朝まで長えぜ 7 00:02:54,155 --> 00:02:56,157 (一同)へい (留)頭 8 00:02:56,157 --> 00:02:58,092 (親船頭)おう (留)三次と伊兵衛は裏口で・ 9 00:02:58,092 --> 00:03:00,092 詰めてやす (親船頭)よし 10 00:03:04,098 --> 00:03:07,101 ・(男性)渡海屋 開けろ 越前新村藩だ 11 00:03:07,101 --> 00:03:09,103 留 旦那様を (留)へい 12 00:03:09,103 --> 00:03:12,103 常 (常)へへい 13 00:03:14,108 --> 00:03:17,108 あっ うわっ 14 00:03:25,119 --> 00:03:29,119 (男性)行け 後は始末組が掃除する 行くぞ 15 00:03:39,133 --> 00:03:41,133 (伊十郎)神隠し? 16 00:03:46,140 --> 00:03:48,142 (伊十郎)今の世の中 そんな ばかなこと・ 17 00:03:48,142 --> 00:03:51,145 あるわけねえだろう 18 00:03:51,145 --> 00:03:54,148 (文次)だって 与力の神崎様が (伊十郎)神崎様が? 19 00:03:54,148 --> 00:03:56,150 (文次)へい (伊十郎)ほう 20 00:03:56,150 --> 00:03:59,087 (文次)あっ 下がれ 押すな 押すんじゃねえ・ 21 00:03:59,087 --> 00:04:03,091 ああ こら 押すんじゃねえ 22 00:04:03,091 --> 00:04:05,093 (伊十郎)叩かれ屋 23 00:04:05,093 --> 00:04:08,096 (刑部)おう どうした 24 00:04:08,096 --> 00:04:12,100 ちょいと 面を貸しな (刑部)えっ? 25 00:04:12,100 --> 00:04:14,102 (鐘の音) 26 00:04:14,102 --> 00:04:17,105 (伊十郎)相変わらず 騒ぎがあると現れるじゃねえか 27 00:04:17,105 --> 00:04:19,107 通りがかりだ 28 00:04:19,107 --> 00:04:23,111 それで どうした あの店の騒ぎは 29 00:04:23,111 --> 00:04:27,115 渡海屋な 一晩で きれいさっぱり消えちまった 30 00:04:27,115 --> 00:04:29,117 消えた? 31 00:04:29,117 --> 00:04:31,119 てことは亡くなったのかい 32 00:04:31,119 --> 00:04:33,121 とぼけやがって 33 00:04:33,121 --> 00:04:35,123 まあ いいや 34 00:04:35,123 --> 00:04:37,125 あの店は回船問屋でな・ 35 00:04:37,125 --> 00:04:43,131 船荷が着くと 取引先から一斉に銭が集まる 36 00:04:43,131 --> 00:04:45,133 ゆんべは荷が着いた明くる日だ 37 00:04:45,133 --> 00:04:49,137 てことは 蔵に しこたま 金があったに違えねえ 38 00:04:49,137 --> 00:04:54,142 うーん そんなに集まるのかい 39 00:04:54,142 --> 00:04:58,079 その大金と あるじ一家 奉公人・ 40 00:04:58,079 --> 00:05:01,082 それに 寝ずの番をしていた船頭たちが・ 41 00:05:01,082 --> 00:05:04,085 きれいに消えちまったわけだ 42 00:05:04,085 --> 00:05:07,088 ひょっとして その船頭たちが起こしたとは 43 00:05:07,088 --> 00:05:09,090 それはねえ 44 00:05:09,090 --> 00:05:14,095 おかしいじゃねえか 船頭たちは 親の代から何十年も仕え・ 45 00:05:14,095 --> 00:05:18,099 それに ずっと 金蔵の番もしてきた連中だ 46 00:05:18,099 --> 00:05:20,101 それが いきなり魔が差し・ 47 00:05:20,101 --> 00:05:23,101 女房 子供を置いて どろんしますかってんだ 48 00:05:25,106 --> 00:05:31,112 与力様は 神隠しだと おっしゃってるそうだ 49 00:05:31,112 --> 00:05:35,116 笑うぜ この世の中で神隠しなんてよ 50 00:05:35,116 --> 00:05:38,119 まあ 俺には関わりのないことだ 51 00:05:38,119 --> 00:05:41,122 そうか? 52 00:05:41,122 --> 00:05:46,127 どういうことだ お主と 因縁 浅からぬ闇法師 53 00:05:46,127 --> 00:05:48,129 闇法師? 54 00:05:48,129 --> 00:05:52,133 あの店は 昨日まで 人が出入りし にぎわってたんだぜ 55 00:05:52,133 --> 00:05:57,071 それが 今じゃ 全く人のにおいがしねえ 56 00:05:57,071 --> 00:06:00,074 前にも似たようなことがあった・ 57 00:06:00,074 --> 00:06:03,077 覚えてねえか? 岩戸屋の蔵屋敷だ・ 58 00:06:03,077 --> 00:06:08,082 押し込んで荒らしても 別の仲間が痕跡を消す 59 00:06:08,082 --> 00:06:10,084 やり口が一緒だってのか 60 00:06:10,084 --> 00:06:14,088 (伊十郎)そうだ 今度も やつらに違えねえ 61 00:06:14,088 --> 00:06:18,092 そう言われてもな 何も知らんのだ 62 00:06:18,092 --> 00:06:23,097 おい これだけ しゃべらせといて お前 愛想の一つもなしかい 63 00:06:23,097 --> 00:06:25,099 愛想がないのは生まれつきだ 64 00:06:25,099 --> 00:06:28,099 商売があるんでな 御免 65 00:06:42,116 --> 00:06:45,119 おやじ 何をしてるんだ 66 00:06:45,119 --> 00:06:51,125 (嘉助)ええ 先ほどまで 元気にしてたんですがね 67 00:06:51,125 --> 00:06:54,128 そうか それは残念だな 68 00:06:54,128 --> 00:07:00,068 (嘉助)ええ かわいそうなんでね ここへ埋めてやろうかと ええ 69 00:07:00,068 --> 00:07:02,070 なるほど 70 00:07:02,070 --> 00:07:04,072 (嘉助)ああ 旦那 お掛けなさいやし ええ 71 00:07:04,072 --> 00:07:06,074 何か冷たい物でも 72 00:07:06,074 --> 00:07:10,078 ああ すまんのう (嘉助)いえ・ 73 00:07:10,078 --> 00:07:13,078 えー なんまんだ なんまんだ 74 00:07:25,093 --> 00:07:27,095 (徳松)ヘヘ わざわざ お呼び立てして・ 75 00:07:27,095 --> 00:07:29,097 誠に申し訳ありませんね・ 76 00:07:29,097 --> 00:07:32,100 旦那向きの 楽な仕事がありましてね・ 77 00:07:32,100 --> 00:07:36,104 えー 僅か四半時で20両という 78 00:07:36,104 --> 00:07:38,106 四半時で20両? (徳松)ええ 79 00:07:38,106 --> 00:07:42,110 そんな うまい話が この世に? (徳松)あるんですよ 80 00:07:42,110 --> 00:07:47,115 切腹のね 介しゃくを頼みたいそうで 81 00:07:47,115 --> 00:07:50,118 これか へい 越前新村藩・ 82 00:07:50,118 --> 00:07:54,122 江戸家老 酒井左京様 じきじきの御依頼で 83 00:07:54,122 --> 00:07:58,059 なぜ 藩内で済ませず 外に人を求める 84 00:07:58,059 --> 00:08:01,062 切腹を命じられたのが 何でも 名うての剣豪で 85 00:08:01,062 --> 00:08:03,064 エヘヘ まあ とにかく いいじゃありませんか 86 00:08:03,064 --> 00:08:06,067 旦那に うってつけの仕事なんだ 遠慮しておこう 87 00:08:06,067 --> 00:08:08,069 えっ? つまらぬ武家のしがらみには・ 88 00:08:08,069 --> 00:08:10,071 関わりたくないのだ では またな 89 00:08:10,071 --> 00:08:14,075 いや 旦那 あの じゃ 夕飯でも一緒に ねえ 旦那 90 00:08:14,075 --> 00:08:18,075 それも またな よう 旦那! 91 00:08:21,082 --> 00:08:24,085 締めて50両の仕事だってのに ばか! 92 00:08:24,085 --> 00:08:26,087 さあ さあ さあ さあ さあ 93 00:08:26,087 --> 00:08:29,090 腕に覚えのある者は 拙者と立ち合ってみられよ 94 00:08:29,090 --> 00:08:35,096 得物は 木刀 たんぽ槍 棒 己の得手とする物 何でもよろしい 95 00:08:35,096 --> 00:08:39,100 拙者は この扇子1本で お相手つかまつる 96 00:08:39,100 --> 00:08:41,102 胴か面を取れば… (お六)旦那 旦那 97 00:08:41,102 --> 00:08:44,105 あっ? (お六)妙なのが来るよ 98 00:08:44,105 --> 00:09:00,054 (お囃子) 99 00:09:00,054 --> 00:09:02,054 (お囃子) 100 00:09:12,066 --> 00:09:14,068 (藤崎)10文でお相手願えるのか? 101 00:09:14,068 --> 00:09:17,071 あっ? 102 00:09:17,071 --> 00:09:19,071 さようで 103 00:09:21,075 --> 00:09:24,075 お願いいたす (滝)何? 104 00:09:30,084 --> 00:09:34,088 では 好きな得物を お選びいただきたい 105 00:09:34,088 --> 00:09:37,091 旦那 下がってろ 106 00:09:37,091 --> 00:09:39,091 あいよ 107 00:09:46,100 --> 00:09:48,102 (藤崎)貴公も木刀でお願いしたい 108 00:09:48,102 --> 00:09:50,104 いや 拙者は扇子で 109 00:09:50,104 --> 00:09:54,104 (藤崎)是非 木刀で それでは叩かれ屋にならぬ 110 00:09:56,110 --> 00:10:01,110 (藤崎)さようか ならば 111 00:10:03,050 --> 00:10:05,052 (藤崎)いざ! 112 00:10:05,052 --> 00:10:24,071 ・~ 113 00:10:24,071 --> 00:10:26,073 ・~ 114 00:10:26,073 --> 00:10:30,077 (田崎)藤崎長十郎 何故 決着をつけん 115 00:10:30,077 --> 00:10:32,079 拙者も訳を聞きたい 116 00:10:32,079 --> 00:10:35,082 貴公 柔らの心得がござろう 117 00:10:35,082 --> 00:10:37,084 いささか 118 00:10:37,084 --> 00:10:41,084 されば あのまま踏み込めば 119 00:10:45,092 --> 00:10:48,095 (藤崎)それがしは 手痛い当て身を 食らっておったはず 120 00:10:48,095 --> 00:10:54,101 さて ねらってはいたが うまくいったかどうか 121 00:10:54,101 --> 00:10:57,038 (藤崎)御謙遜を ハハハ… 122 00:10:57,038 --> 00:11:02,043 それがしは 藤崎長十郎 123 00:11:02,043 --> 00:11:04,043 松葉刑部でござる 124 00:11:12,053 --> 00:11:16,053 松葉殿 お会いできてよかった 125 00:11:18,059 --> 00:11:20,061 こちらこそ 126 00:11:20,061 --> 00:11:34,061 ・~ 127 00:11:36,077 --> 00:11:40,081 ・(お静)刑部様 よろしいでしょうか 128 00:11:40,081 --> 00:11:42,081 お静さんか 129 00:11:44,085 --> 00:11:46,085 どうぞ 130 00:11:48,089 --> 00:11:50,091 (お静)いらしたんですね 131 00:11:50,091 --> 00:11:54,095 ああ 今日は雨なんでな (お静)そうでしたか 132 00:11:54,095 --> 00:11:58,095 あの お客さんです どうぞ 133 00:12:00,101 --> 00:12:02,103 (おしま)失礼いたします 134 00:12:02,103 --> 00:12:05,106 はて どこかでお会いしたかな? 135 00:12:05,106 --> 00:12:10,111 (おしま)しまと申します 藤崎長十郎の妹にございます 136 00:12:10,111 --> 00:12:15,116 ふじさ… ああ 昨日の木刀の御仁か 137 00:12:15,116 --> 00:12:17,118 (おしま)はい 138 00:12:17,118 --> 00:12:22,123 あのあと 兄は身まかりました 139 00:12:22,123 --> 00:12:24,123 亡くなられた? 140 00:12:31,132 --> 00:12:34,132 (おしま)いい子だから あちらに (男の子)うん 141 00:12:41,142 --> 00:12:43,142 ありがとうございました 142 00:12:45,146 --> 00:12:48,149 藤崎殿は笛も? 143 00:12:48,149 --> 00:12:50,151 はい 144 00:12:50,151 --> 00:12:52,153 拝見しても よろしいか? 145 00:12:52,153 --> 00:12:54,153 どうぞ 146 00:13:02,096 --> 00:13:06,100 素朴ながら品がある 147 00:13:06,100 --> 00:13:11,105 その笛のために 兄は切腹に追い込まれました 148 00:13:11,105 --> 00:13:13,107 切腹? 149 00:13:13,107 --> 00:13:17,111 (おしま)《兄上 このような場所で 口惜しゅうございます》 150 00:13:17,111 --> 00:13:19,113 (藤崎)《かまわぬ》・ 151 00:13:19,113 --> 00:13:24,118 《しま 後を頼んだぞ》 (おしま)《兄上》 152 00:13:24,118 --> 00:13:28,118 (藤崎)《田崎殿 よろしくお願いいたす》 153 00:13:34,128 --> 00:13:36,130 いずれの御家中だ 154 00:13:36,130 --> 00:13:40,134 越前新村藩でございます 155 00:13:40,134 --> 00:13:42,134 越前新村藩? 156 00:13:47,141 --> 00:13:51,145 新村藩で切腹といえば 157 00:13:51,145 --> 00:13:53,145 何の因果だ 158 00:13:56,150 --> 00:14:01,088 申し上げにくいが 実は拙者 159 00:14:01,088 --> 00:14:03,090 存じております 160 00:14:03,090 --> 00:14:08,095 御家老 酒井左京様より 兄の介しゃく人を所望され・ 161 00:14:08,095 --> 00:14:10,097 それをお断りになられたことも 162 00:14:10,097 --> 00:14:15,102 では 藤崎殿も それを承知で 昨日 拙者と 163 00:14:15,102 --> 00:14:18,105 はい 164 00:14:18,105 --> 00:14:21,108 それは なんということを 165 00:14:21,108 --> 00:14:26,113 兄は武芸一筋 武骨そのものにございました 166 00:14:26,113 --> 00:14:29,116 (藤崎の気合い) 167 00:14:29,116 --> 00:14:41,128 (笛) 168 00:14:41,128 --> 00:14:46,133 (おしま)ですが 8年前 あるお方に出会いました・ 169 00:14:46,133 --> 00:14:51,138 おみや様と申される 笛の名人にございました・ 170 00:14:51,138 --> 00:14:55,142 兄は弟子入りしました 171 00:14:55,142 --> 00:15:01,081 (笛) 172 00:15:01,081 --> 00:15:06,086 (おしま)やがて 2人は 祝言を約束する仲となり・ 173 00:15:06,086 --> 00:15:11,091 先月 殿の御前で 笛を披露したのでございます 174 00:15:11,091 --> 00:15:14,094 (笛) 175 00:15:14,094 --> 00:15:20,100 (おしま)2人にとっては まさに 至福のときにございました・ 176 00:15:20,100 --> 00:15:27,107 でも それは 同時に 不幸の始まりとなりました 177 00:15:27,107 --> 00:15:34,114 (笛) 178 00:15:34,114 --> 00:15:37,117 (藤崎)《あっ これは 御家老様》 179 00:15:37,117 --> 00:15:39,117 (酒井)《藤崎》 180 00:15:43,123 --> 00:15:46,126 (おみや)《長十郎様》 181 00:15:46,126 --> 00:15:49,129 《おみやは 殿のお眼鏡にかのうた》 182 00:15:49,129 --> 00:15:52,132 《おそば近くで御奉公せよとの お内意である》 183 00:15:52,132 --> 00:16:00,074 《で… では 殿の御側室に?》 (酒井)《そうじゃ》 184 00:16:00,074 --> 00:16:02,074 《長十郎様》 185 00:16:06,080 --> 00:16:08,080 《お待ちください》 186 00:16:10,084 --> 00:16:12,086 《我ら2人は 殿より祝言のお許しを得て・ 187 00:16:12,086 --> 00:16:14,088 既に日取りまで…》 (酒井)《控えよ!》・ 188 00:16:14,088 --> 00:16:16,088 《上意である》 189 00:16:19,093 --> 00:16:21,095 《御家老》 (酒井)《滝》 190 00:16:21,095 --> 00:16:23,097 (滝)《さあ 参りましょう》 191 00:16:23,097 --> 00:16:25,099 (おみや)《お許しください 御家老様》 192 00:16:25,099 --> 00:16:27,099 (藤崎)《おみや!》 193 00:16:32,106 --> 00:16:37,106 ・(おみや)《長十郎様! 長十郎様!》 194 00:16:41,115 --> 00:16:43,117 《できかねます》 195 00:16:43,117 --> 00:16:46,120 (酒井)《何?》 196 00:16:46,120 --> 00:16:50,124 《終生 添い遂げると誓った おみやに・ 197 00:16:50,124 --> 00:16:55,129 別れを告げることなど それがしには できかねます》 198 00:16:55,129 --> 00:16:58,065 (酒井)《藤崎》・ 199 00:16:58,065 --> 00:17:01,068 《藤崎 上意に刃向かうか》・ 200 00:17:01,068 --> 00:17:04,071 《目を覚ませ 長十郎》・ 201 00:17:04,071 --> 00:17:11,078 《女一人に血迷うて 藤崎の家を潰すつもりか》・ 202 00:17:11,078 --> 00:17:13,078 《あれを見よ》 203 00:17:22,089 --> 00:17:24,091 《兄上》 (藤崎)《おしま》 204 00:17:24,091 --> 00:17:28,095 (酒井)《己の一存で 親類縁者に累を及ぼすか》・ 205 00:17:28,095 --> 00:17:31,098 《追って沙汰があるまで 謹慎いたせ》 206 00:17:31,098 --> 00:17:33,100 なんと 207 00:17:33,100 --> 00:17:37,104 (おしま)おみや様も いずこかに連れ去られ・ 208 00:17:37,104 --> 00:17:41,104 最期の最期まで 兄は会えませんでした 209 00:17:46,113 --> 00:17:51,118 昨日 上屋敷から 切腹の場へ移る途中・ 210 00:17:51,118 --> 00:17:54,118 松葉様をお見かけしたのです 211 00:17:56,123 --> 00:18:01,061 多額の報酬に目もくれず 介しゃくを断ったお方と聞いて・ 212 00:18:01,061 --> 00:18:05,065 兄は好意を寄せたようです 213 00:18:05,065 --> 00:18:10,070 《松葉殿 お会いできてよかった》 214 00:18:10,070 --> 00:18:14,074 つきましては 兄の遺言がございます 215 00:18:14,074 --> 00:18:16,074 それは? 216 00:18:23,083 --> 00:18:27,087 新村藩に 一矢 報いたい 217 00:18:27,087 --> 00:18:32,092 一期一会ながら 剣の友と見込んだ松葉刑部殿に・ 218 00:18:32,092 --> 00:18:34,094 意趣返しを願いたいと 219 00:18:34,094 --> 00:18:36,096 意趣返しを拙者に? 220 00:18:36,096 --> 00:18:38,098 お断りくださいますな 221 00:18:38,098 --> 00:18:41,101 私は非力な女 222 00:18:41,101 --> 00:18:44,101 何とぞ 亡き兄の無念を 223 00:18:46,106 --> 00:18:50,106 僅かな蓄えにございますが どうか これを 224 00:18:52,112 --> 00:18:54,112 お願いいたします 225 00:18:56,116 --> 00:18:59,052 これで頼む 226 00:18:59,052 --> 00:19:03,056 旦那も生臭いお侍さんだね 227 00:19:03,056 --> 00:19:06,059 何だと? だって そうじゃありませんか 228 00:19:06,059 --> 00:19:08,061 いつも あっしの仕事は袖にして・ 229 00:19:08,061 --> 00:19:10,063 色っぽい後家さんの頼みだったら 二つ返事だい 230 00:19:10,063 --> 00:19:12,065 嫌なら他の助っ人屋に頼む 231 00:19:12,065 --> 00:19:17,070 あっ ちょい ちょい ちょい 冗談ですよ 232 00:19:17,070 --> 00:19:20,073 すぐに すねんだから 233 00:19:20,073 --> 00:19:24,077 すねてんのは 徳松 お前の方だろう 234 00:19:24,077 --> 00:19:28,081 おや 聞こえやしたか ヘヘヘ… で? 235 00:19:28,081 --> 00:19:31,084 越前新村藩を探ってくれ 236 00:19:31,084 --> 00:19:33,086 ようがす 237 00:19:33,086 --> 00:19:38,091 でも 旦那 御自分の境遇に 似た話を聞かされたからって・ 238 00:19:38,091 --> 00:19:40,093 仕事は仕事だ 239 00:19:40,093 --> 00:19:43,096 のめりこみ過ぎは禁物ですぜ 240 00:19:43,096 --> 00:19:46,099 へい 御忠告まで 241 00:19:46,099 --> 00:19:49,102 忠告は肝に銘じておく 242 00:19:49,102 --> 00:19:52,102 お六! 才助! ・(才助)へい 243 00:19:55,108 --> 00:20:00,047 (笛) 244 00:20:00,047 --> 00:20:19,047 ・~ 245 00:20:24,071 --> 00:20:26,073 ゆい 246 00:20:26,073 --> 00:20:32,073 (近習)《殿には その方の妻女 ゆい殿を見初められてな》 247 00:20:34,081 --> 00:20:41,088 (近習)《何としても 殿のおそばに 召し上げたいとの仰せである》・ 248 00:20:41,088 --> 00:20:46,093 《上意に逆らうことはなるまい》 249 00:20:46,093 --> 00:20:51,098 (ゆい)《私 側室に上がります》 250 00:20:51,098 --> 00:20:56,103 (笛) 251 00:20:56,103 --> 00:21:12,103 ・~ 252 00:21:16,056 --> 00:21:20,060 刑部様 なぜ およしに? 253 00:21:20,060 --> 00:21:24,064 ああ お静殿 254 00:21:24,064 --> 00:21:28,064 近所迷惑だったな いえ そんな 255 00:21:31,071 --> 00:21:35,075 聞き入っておりましたのに そうか 256 00:21:35,075 --> 00:21:38,078 きれいな音って あるもんなんですね 257 00:21:38,078 --> 00:21:43,083 本当に心が洗われるような きれいな音色で 258 00:21:43,083 --> 00:21:45,085 戦国乱世の折・ 259 00:21:45,085 --> 00:21:51,091 笛の音は 荒ぶる男たちの ぶりょうを慰めたそうでな 260 00:21:51,091 --> 00:21:54,094 武家のたしなみとして 父に仕込まれた 261 00:21:54,094 --> 00:21:56,094 そうでしたか 262 00:21:59,099 --> 00:22:01,101 さあ さあ さあ さあ 263 00:22:01,101 --> 00:22:04,104 腕に覚えのある者は 拙者と立ち合ってみられよ 264 00:22:04,104 --> 00:22:06,106 (お六)旦那 あっ? 265 00:22:06,106 --> 00:22:09,109 何だ 暑いんだからよ (お六)客寄せだ 266 00:22:09,109 --> 00:22:11,111 えっ? (お六)ここに座っとくれ 267 00:22:11,111 --> 00:22:17,117 さあ 見てやろう うわっ 入ってる 入ってる 268 00:22:17,117 --> 00:22:20,120 やめろ 269 00:22:20,120 --> 00:22:23,123 例の新村藩だけどさ ああ 270 00:22:23,123 --> 00:22:26,126 下屋敷は空き家同然で めったに 人が出入りしないらしいけど・ 271 00:22:26,126 --> 00:22:30,130 そこに ちょいと きれいな若い女がいてね 272 00:22:30,130 --> 00:22:33,133 きれいな女? (お六)上等な着物 着て・ 273 00:22:33,133 --> 00:22:36,136 日がな一日 ぼんやりしているんだって 274 00:22:36,136 --> 00:22:38,138 何者だ 275 00:22:38,138 --> 00:22:41,141 (お六)そこまでは あたしゃ知らないよ 276 00:22:41,141 --> 00:22:44,144 《きれいな女か》 277 00:22:44,144 --> 00:22:46,144 《よし》 278 00:22:50,150 --> 00:22:53,153 (滝)何用だ 拙者 松葉刑部と申す 279 00:22:53,153 --> 00:22:55,155 (滝)おお 貴様は・ 280 00:22:55,155 --> 00:22:58,091 藤崎長十郎と手合わせした 叩かれ屋か 281 00:22:58,091 --> 00:23:01,094 いかにも その 藤崎殿の いいなずけだった・ 282 00:23:01,094 --> 00:23:04,097 おみや殿というお方が こちらに 283 00:23:04,097 --> 00:23:07,100 (滝)知らん そのような者は知らん 参ろう 284 00:23:07,100 --> 00:23:10,103 (藩士)おう (田崎)いかがなされた 285 00:23:10,103 --> 00:23:12,103 (滝)あの者が 286 00:23:15,108 --> 00:23:17,110 (田崎)ここは お主のような者が 来る所ではない・ 287 00:23:17,110 --> 00:23:19,110 立ち去れ 288 00:23:33,126 --> 00:23:36,129 ・(伊十郎)よう 叩かれ屋・ 289 00:23:36,129 --> 00:23:40,133 妙な所で会うじゃねえか んっ? ちょいとな 290 00:23:40,133 --> 00:23:42,135 おう 文次 後 頼んだぜ (文次)へい 291 00:23:42,135 --> 00:23:46,139 (風鈴の音) 292 00:23:46,139 --> 00:23:49,142 (伊十郎)新村藩 下屋敷に何の用だ 293 00:23:49,142 --> 00:23:53,146 人を訪ねた (伊十郎)ほう? 誰を 294 00:23:53,146 --> 00:23:56,149 人違いだった まあ ちょっと つきあいな 295 00:23:56,149 --> 00:23:58,085 例の渡海屋の件なんだがよ 296 00:23:58,085 --> 00:24:00,087 俺には関わりがないことだ そうか? 297 00:24:00,087 --> 00:24:06,093 渡海屋は 今 お主が訪ねた 越前新村藩の御用達で・ 298 00:24:06,093 --> 00:24:09,096 双方 格別な間柄だったんだぜ 299 00:24:09,096 --> 00:24:12,099 新村藩と渡海屋が? そうよ 300 00:24:12,099 --> 00:24:16,103 それに新たに分かったことが 2つ 3つある 301 00:24:16,103 --> 00:24:19,106 隣の店の奉公人が 夜中 小便に立ったとき・ 302 00:24:19,106 --> 00:24:24,111 渡海屋の表戸をたたく音を 聞いたってんだ 303 00:24:24,111 --> 00:24:27,114 じゃ あの晩 客が? ああ 304 00:24:27,114 --> 00:24:33,120 しかし 来客があったのが 事実だとしても夜中だぞ 305 00:24:33,120 --> 00:24:37,120 大金の番をしていた者が すんなり 戸を開けるか? 306 00:24:39,126 --> 00:24:42,129 (伊十郎)「新村藩だ」と 言ってもか? 307 00:24:42,129 --> 00:24:45,132 どういう意味だ 308 00:24:45,132 --> 00:24:48,135 (伊十郎)渡海屋は 新村藩の御用達になってから・ 309 00:24:48,135 --> 00:24:50,137 繁盛したんだぜ 310 00:24:50,137 --> 00:24:52,139 新村藩だと言われりゃ・ 311 00:24:52,139 --> 00:24:55,142 戸を開けねえわけには いかねえだろう 312 00:24:55,142 --> 00:24:58,078 しかし 大名家が ぬすっとの片棒を担ぐとは・ 313 00:24:58,078 --> 00:25:02,082 いくら何でも信じられん 314 00:25:02,082 --> 00:25:04,084 闇法師がらみだと 俺は にらんでる 315 00:25:04,084 --> 00:25:06,086 やつら 途方もなく大がかりで・ 316 00:25:06,086 --> 00:25:10,086 これまでにも 大名家と つるんだって うわさだ 317 00:25:12,092 --> 00:25:14,094 それで? 新村藩の江戸家老・ 318 00:25:14,094 --> 00:25:17,097 酒井左京ってやつが どうにも怪しい 319 00:25:17,097 --> 00:25:23,103 渡海屋が消えた途端 麹町の 備前屋と つながりやがった 320 00:25:23,103 --> 00:25:27,107 手回しが良すぎるぜ・ 321 00:25:27,107 --> 00:25:31,111 何が起きるか 先刻 承知のようにな 322 00:25:31,111 --> 00:25:36,116 新村藩 江戸家老 酒井左京か 323 00:25:36,116 --> 00:25:56,136 ・~ 324 00:25:56,136 --> 00:26:09,082 ・~ 325 00:26:09,082 --> 00:26:13,086 (道八)ばか わし 殺す気か・ 326 00:26:13,086 --> 00:26:16,086 ああ 慌てるな 327 00:26:19,092 --> 00:26:21,092 ほれ 328 00:26:39,112 --> 00:26:41,114 (お吉)どうした 329 00:26:41,114 --> 00:26:48,121 (道八)闇猫のお頭 このガキ あと少しで ハハハ…・ 330 00:26:48,121 --> 00:26:54,127 串刺しにされるところでした ハハハ… 331 00:26:54,127 --> 00:26:56,129 (お吉)何の話だい 332 00:26:56,129 --> 00:26:58,064 (道八)藤次郎の旦那の 後をつければ・ 333 00:26:58,064 --> 00:27:02,068 闇法師のお頭の正体が・ 334 00:27:02,068 --> 00:27:06,072 分かるとでもお考えですかい? ヘッ 335 00:27:06,072 --> 00:27:11,077 (お吉)雀 ばかだね 336 00:27:11,077 --> 00:27:14,080 後なんか つけなくたって・ 337 00:27:14,080 --> 00:27:19,085 親切な道八さんが 知らないことは 何でも教えてくれる・ 338 00:27:19,085 --> 00:27:24,085 そういうことだよね? 道八さん 339 00:27:33,099 --> 00:27:36,099 ハハハ… 340 00:27:40,106 --> 00:27:43,106 (お吉)いい風だ 341 00:27:49,115 --> 00:27:53,115 (お吉)これから面白くなる 342 00:28:03,063 --> 00:28:05,065 (田崎)何用か 343 00:28:05,065 --> 00:28:08,068 (藤次郎)刀研ぎの 研藤にございます・ 344 00:28:08,068 --> 00:28:14,074 御家老様からお預かりしていた お刀をお届けに参りました 345 00:28:14,074 --> 00:28:18,074 (田崎)そうか 御苦労であった 中へ入れ 346 00:28:22,082 --> 00:28:25,085 (酒井)大名家に 盗みの片棒を担がせるとは・ 347 00:28:25,085 --> 00:28:29,089 さすが 闇法師 目の付けどころが違うのう 348 00:28:29,089 --> 00:28:32,092 (藤次郎)フフフ… それをおっしゃいますな・ 349 00:28:32,092 --> 00:28:34,094 ハハハ… 350 00:28:34,094 --> 00:28:38,098 (藤次郎)どちら様にも 出入りのあきんどがございます 351 00:28:38,098 --> 00:28:45,105 どこそこのお店に 今なら 大層な金子が眠っておるぞと・ 352 00:28:45,105 --> 00:28:50,110 そっと ささやいていただければ 後は手前どもが・ 353 00:28:50,110 --> 00:28:55,115 藩の名を借りて 押し込むまでのこと・ 354 00:28:55,115 --> 00:29:00,053 渡海屋の蔵にありましたのは 締めて8, 000両・ 355 00:29:00,053 --> 00:29:04,057 そのうち 半金 4, 000両 御指示どおり こちらに 356 00:29:04,057 --> 00:29:08,061 (酒井)うん 金は確かに受け取った 357 00:29:08,061 --> 00:29:10,063 それは それは 358 00:29:10,063 --> 00:29:14,067 で 麹町の備前屋の方は? 359 00:29:14,067 --> 00:29:19,072 心配いたすな 事は うまく運んでおる 360 00:29:19,072 --> 00:29:25,078 備前屋は渡海屋の倍 いや 3倍はいくぞ ハハハ… 361 00:29:25,078 --> 00:29:29,078 それは楽しみなことで ハハハ… 362 00:29:38,091 --> 00:29:47,100 でも この一件 もしや 他言されるようなことがあれば・ 363 00:29:47,100 --> 00:29:50,103 殿様 364 00:29:50,103 --> 00:29:54,107 わ… 分かっておる 365 00:29:54,107 --> 00:29:56,107 はい 366 00:30:09,055 --> 00:30:12,055 (酒井)みや 入るぞ 367 00:30:14,060 --> 00:30:16,060 (酒井)おみや 368 00:30:18,064 --> 00:30:23,064 (酒井)何だ おるではないか なぜ返事をせん 369 00:30:26,072 --> 00:30:31,077 確かに 酒井左京は おみやと呼んだのか? 370 00:30:31,077 --> 00:30:33,077 (才助)間違いありません 371 00:30:35,081 --> 00:30:40,086 さすれば 藤崎殿のいいなずけ おみや殿は・ 372 00:30:40,086 --> 00:30:46,092 藩主の側室ではなく 家老の酒井に囲われていたのか 373 00:30:46,092 --> 00:30:50,096 恐れ入谷の鬼子母神 殿様の上前 はねるたあ・ 374 00:30:50,096 --> 00:30:52,098 なんて家老だ 375 00:30:52,098 --> 00:30:54,100 これで はっきりした 376 00:30:54,100 --> 00:31:02,041 藩主の名をかたり 藤崎長十郎を 切腹に追い込んだ張本人は・ 377 00:31:02,041 --> 00:31:04,043 酒井左京だ 378 00:31:04,043 --> 00:31:09,048 (笛) 379 00:31:09,048 --> 00:31:24,063 ・~ 380 00:31:24,063 --> 00:31:28,067 まさしく あの笛の音は 381 00:31:28,067 --> 00:31:33,072 (笛) 382 00:31:33,072 --> 00:31:53,092 ・~ 383 00:31:53,092 --> 00:32:13,112 ・~ 384 00:32:13,112 --> 00:32:22,121 ・~ 385 00:32:22,121 --> 00:32:25,121 (おみや)もしや その笛は 386 00:32:28,127 --> 00:32:30,129 おみや殿でござるか? 387 00:32:30,129 --> 00:32:32,131 はい 388 00:32:32,131 --> 00:32:37,136 この笛は 藤崎長十郎の遺品にござる 389 00:32:37,136 --> 00:32:41,140 やはり 長十郎様の 390 00:32:41,140 --> 00:33:01,094 ・~ 391 00:33:01,094 --> 00:33:04,097 受け取れません 392 00:33:04,097 --> 00:33:10,097 私は 長十郎様とお別れしたとき 笛を捨てました 393 00:33:12,105 --> 00:33:18,111 笛は 妹御 おしま様に お守りいただきたく 394 00:33:18,111 --> 00:33:24,111 お手数ですが 私の笛も おしま様にお届けください 395 00:33:27,120 --> 00:33:30,123 めおとを誓った2人の笛を預け・ 396 00:33:30,123 --> 00:33:34,127 おしまさんを 墓守役になさるおつもりか 397 00:33:34,127 --> 00:33:37,127 何を申されます 398 00:33:39,132 --> 00:33:42,135 死なれては困ります 399 00:33:42,135 --> 00:33:45,138 あなたに死なれては・ 400 00:33:45,138 --> 00:33:51,144 あなたの身を案じ 心ならずも 切腹して果てた藤崎長十郎が・ 401 00:33:51,144 --> 00:33:53,146 あまりに ふびん 402 00:33:53,146 --> 00:34:07,093 ・~ 403 00:34:07,093 --> 00:34:14,100 長十郎様が 私のために 死に追い込まれたことは・ 404 00:34:14,100 --> 00:34:17,103 重々 承知しております 405 00:34:17,103 --> 00:34:23,103 それが申し訳なく 残念でなりません 406 00:34:25,111 --> 00:34:34,120 でも それも また 私たち2人が この新村藩で出会った不幸 407 00:34:34,120 --> 00:34:36,122 定めにございます 408 00:34:36,122 --> 00:34:40,122 それは違う 断じて違う 409 00:34:42,128 --> 00:34:47,133 あなたが 家老 酒井の 汚い罠に捕らわれたことを・ 410 00:34:47,133 --> 00:34:49,133 藤崎殿は知らぬ 411 00:34:53,139 --> 00:34:55,141 お聞き及びか? 412 00:34:55,141 --> 00:35:01,080 酒井めが 藤崎殿に引導を渡した折の言葉を 413 00:35:01,080 --> 00:35:06,085 《藤崎 身どもとて 情においては忍び難い》 414 00:35:06,085 --> 00:35:13,092 《さりながら 情の通らぬのが 我ら家臣の定めじゃ》 415 00:35:13,092 --> 00:35:15,094 さようなことを 416 00:35:15,094 --> 00:35:20,099 ぬけぬけと申した酒井の たくらみを知っておれば・ 417 00:35:20,099 --> 00:35:24,099 藤崎殿は命の限りに戦ったはず 418 00:35:26,105 --> 00:35:31,105 あなたと共に 生きる道を切り開いたはずだ 419 00:35:34,113 --> 00:35:42,121 そつじながら 拙者の妻も あなたと似た境遇だった 420 00:35:42,121 --> 00:35:49,128 上意の名の下に引き裂かれながら 拙者は何もできなんだ 421 00:35:49,128 --> 00:35:58,128 そして 城に上がった日に 妻は自害した 422 00:36:02,074 --> 00:36:04,074 松葉様 423 00:36:12,084 --> 00:36:16,088 お恥ずかしい話だが 拙者は 理不尽に怒り・ 424 00:36:16,088 --> 00:36:21,093 神仏さえ呪いながら 我が身を嘆くばかりで・ 425 00:36:21,093 --> 00:36:25,093 妻の気持ちを 思いやれなかったのでござる 426 00:36:33,105 --> 00:36:36,105 妻には生きてもらいたかった 427 00:36:42,114 --> 00:36:45,114 あなたにも生きてもらいたい 428 00:37:18,084 --> 00:37:20,086 (伊十郎)これじゃ 中の様子が分からねえや 429 00:37:20,086 --> 00:37:22,088 (文次)旦那 この文次に 抜かりありませんや・ 430 00:37:22,088 --> 00:37:27,093 ちょいとお待ちを (笛) 431 00:37:27,093 --> 00:37:30,096 (伊十郎)おう 文次 裏 回るぞ (文次)へい 432 00:37:30,096 --> 00:37:35,101 (笛) 433 00:37:35,101 --> 00:37:39,105 (酒井)ハハ おみやも やっと 笛を吹く気になったようじゃのう 434 00:37:39,105 --> 00:37:42,108 (田崎)そのようで (酒井)ハハハ 御苦労であった 435 00:37:42,108 --> 00:37:44,110 (伊十郎)ここだ 文次 (文次)へい 436 00:37:44,110 --> 00:37:50,116 (笛) 437 00:37:50,116 --> 00:37:53,119 (文次)旦那 何か見えますかい? (伊十郎)しー 438 00:37:53,119 --> 00:38:04,063 (笛) 439 00:38:04,063 --> 00:38:06,065 (酒井)おみや 開けるぞ 440 00:38:06,065 --> 00:38:09,068 (笛) 441 00:38:09,068 --> 00:38:14,073 (酒井)どうした 明かりもつけずに・ 442 00:38:14,073 --> 00:38:18,077 ハハ 何をそう恥ずかしがっておる・ 443 00:38:18,077 --> 00:38:20,077 誰だ 444 00:38:22,081 --> 00:38:24,083 松葉刑部 445 00:38:24,083 --> 00:38:27,086 何? 446 00:38:27,086 --> 00:38:33,092 酒井左京 貴様が 藩主の名をかたったとも知らず・ 447 00:38:33,092 --> 00:38:40,099 上意を奉じて腹を切った 藤崎長十郎殿の無念 思い知れ 448 00:38:40,099 --> 00:38:43,102 まだ 些少なりとも 人の心が残っておれば・ 449 00:38:43,102 --> 00:38:47,106 潔く腹を切れ 黙れ! 450 00:38:47,106 --> 00:38:52,111 くせ者じゃ 出合え 出合え 出合え 451 00:38:52,111 --> 00:38:55,114 (滝)何事だ 452 00:38:55,114 --> 00:38:57,049 (文次)どうしやした? (伊十郎)こっからじゃ・ 453 00:38:57,049 --> 00:39:01,053 何が起こったか全く分からねえよ (文次)旦那 いっそのこと中へ 454 00:39:01,053 --> 00:39:03,055 (伊十郎)ばか野郎 それができりゃ苦労するか・ 455 00:39:03,055 --> 00:39:05,057 大名屋敷ってのはな・ 456 00:39:05,057 --> 00:39:07,059 江戸にあっても 国元の城と同じだ・ 457 00:39:07,059 --> 00:39:11,063 忍び込んで見つかったら 殺されても文句は言えねえんだよ 458 00:39:11,063 --> 00:39:14,063 (酒井)くせ者じゃ 斬れ 斬れ 459 00:39:18,070 --> 00:39:24,076 よせ 悪党の手先として 命を失うことなど・ 460 00:39:24,076 --> 00:39:26,076 貴公らの本望であるまい 461 00:39:30,082 --> 00:39:32,084 (滝)こしゃくな 462 00:39:32,084 --> 00:39:51,103 ・~ 463 00:39:51,103 --> 00:39:53,105 ・~ 464 00:39:53,105 --> 00:39:56,108 (酒井)斬れ! 斬れ 斬れ! 465 00:39:56,108 --> 00:40:10,056 ・~ 466 00:40:10,056 --> 00:40:13,059 まさか 叩かれ屋 (文次)えっ 叩かれ屋? 467 00:40:13,059 --> 00:40:33,079 ・~ 468 00:40:33,079 --> 00:40:40,086 ・~ 469 00:40:40,086 --> 00:40:48,086 酒井 悪行の報い 思い知れ 470 00:40:59,038 --> 00:41:03,038 文次 表門 回れ 俺は ここで張る (文次)へい 471 00:41:05,044 --> 00:41:07,044 おみや殿 472 00:41:10,049 --> 00:41:12,051 お気持ちは変わらぬか? 473 00:41:12,051 --> 00:41:16,051 はい 尼寺へ参ります 474 00:41:21,060 --> 00:41:27,060 では お送りいたそう ありがとうございます 475 00:41:33,072 --> 00:41:35,072 まさか 476 00:41:45,084 --> 00:41:48,087 野郎 ふけやがったか 477 00:41:48,087 --> 00:41:51,090 おう 文次・ 478 00:41:51,090 --> 00:41:55,094 文次! 文次 文次 起きろ・ 479 00:41:55,094 --> 00:42:00,094 文次 叩かれ屋だな? 叩かれ屋にやられたんだな? 480 00:42:03,102 --> 00:42:05,104 あの野郎 481 00:42:05,104 --> 00:42:25,124 ・~ 482 00:42:25,124 --> 00:42:31,130 ・~ 483 00:42:31,130 --> 00:42:34,133 (藤次郎)新村藩の酒井とは これから・ 484 00:42:34,133 --> 00:42:38,137 数万両の取り引きをする 手はずでした 485 00:42:38,137 --> 00:42:40,139 それが お頭・ 486 00:42:40,139 --> 00:42:47,146 そっくり 泡の藻くずと 消えたんでございますよ 487 00:42:47,146 --> 00:42:49,146 松葉刑部 488 00:42:52,151 --> 00:42:54,153 もう堪忍ならねえ 489 00:42:54,153 --> 00:42:57,089 一刻も早く始末いたしましょう 490 00:42:57,089 --> 00:43:00,089 (鈴の音) 491 00:43:07,099 --> 00:43:11,099 (藤次郎)では 早速 手配を 492 00:43:17,109 --> 00:43:23,109 (お吉)いよいよだね 白蝮の道八さん 493 00:43:42,134 --> 00:43:55,147 ・~ 494 00:43:55,147 --> 00:43:58,147 (お吉)フフフ… 495 00:44:00,085 --> 00:44:04,085 そういうことだったのか 496 00:44:10,095 --> 00:44:15,100 (徳松)藤崎長十郎さんの お妹さんからのお礼で 497 00:44:15,100 --> 00:44:17,102 エヘヘ… おしまさんから? 498 00:44:17,102 --> 00:44:19,104 ええ ありがたい ありがたい エヘヘ… 499 00:44:19,104 --> 00:44:21,106 こんなに? ヘヘヘ 500 00:44:21,106 --> 00:44:23,108 なぜだ 501 00:44:23,108 --> 00:44:27,112 恐らく その金の出どころは お殿様の筋でやしょう 502 00:44:27,112 --> 00:44:31,116 なるほど では これは口止め料か 503 00:44:31,116 --> 00:44:36,121 極悪人の家老が急に病死 これにて一件落着だ アハハ… 504 00:44:36,121 --> 00:44:39,124 病死 ヘヘ 505 00:44:39,124 --> 00:44:43,128 ならば これは 尼寺にでも寄進するか 506 00:44:43,128 --> 00:44:48,133 めっぽう 笛のうまい 色っぽい尼さんがいるそうですね 507 00:44:48,133 --> 00:44:51,136 んっ? 徳松 えっ? 508 00:44:51,136 --> 00:44:54,139 罰が当たるぞ フフ そんな罰ならね・ 509 00:44:54,139 --> 00:44:57,076 私も当たりたいもんだよ アハハ… 510 00:44:57,076 --> 00:44:59,076 ハハハ… 511 00:45:10,089 --> 00:45:12,089 ・(伊十郎)叩かれ屋 512 00:45:14,093 --> 00:45:17,093 酒井左京 殺したのは お主だ 513 00:45:19,098 --> 00:45:22,101 まるで見ていたような口ぶりだな 514 00:45:22,101 --> 00:45:25,104 見たさ 一部始終をこの目でな 515 00:45:25,104 --> 00:45:30,109 お主 怪しげな剣を使う用心棒に すね 斬られたろう 516 00:45:30,109 --> 00:45:32,111 あっ? 身に覚えがねえってんなら・ 517 00:45:32,111 --> 00:45:35,111 裾をめくって 足 見せてもらおうか 518 00:45:37,116 --> 00:45:40,119 お主も すねに 一つや二つの傷は持ってんだろう 519 00:45:40,119 --> 00:45:42,121 何だと? 520 00:45:42,121 --> 00:45:49,128 それはそれとして 酒井左京は 下屋敷で病死したと聞いた 521 00:45:49,128 --> 00:45:53,132 病死だ? ああ 522 00:45:53,132 --> 00:45:55,134 あの くそ大名め 523 00:45:55,134 --> 00:45:57,069 俺の知らねえところで・ 524 00:45:57,069 --> 00:46:00,072 しゃんしゃんと そんなお開きにしやがったか 525 00:46:00,072 --> 00:46:02,074 くそ! 526 00:46:02,074 --> 00:46:04,074 そういうことだ 527 00:46:06,078 --> 00:46:12,084 病死じゃ お前 殺しもねえ 下手人もいねえってことにならあ 528 00:46:12,084 --> 00:46:16,084 あきれ返って笑うしかねえや なあ? 叩かれ屋 529 00:46:23,095 --> 00:46:26,098 (伊十郎)おやじ殺しを 烏丸屋に頼まれたからだ・ 530 00:46:26,098 --> 00:46:29,101 違うとは言わせねえぞ (烏丸屋)動くな 531 00:46:29,101 --> 00:46:32,104 (銃声) (お吉)これが闇法師のやり口かい 532 00:46:32,104 --> 00:46:35,104 お吉 王手だ