1 00:02:32,760 --> 00:02:34,760 2 00:02:38,600 --> 00:02:41,269 (琴子)キャー。 3 00:02:41,269 --> 00:02:43,271 (捨松)ちくしょう。 (伝衛門)この泥棒猫め。 4 00:02:43,271 --> 00:02:44,939 俺は猫じゃねえや! 5 00:02:44,939 --> 00:02:47,275 バカヤロー! 俺は人間だ! 6 00:02:47,275 --> 00:02:50,278 そうだ 人間だ。 人間だぞ。 7 00:02:50,278 --> 00:02:54,282 おまん わしをつけてきたのか? 8 00:02:54,282 --> 00:02:57,285 親のない者などない。 いねえんだから しかたねえだろ。 9 00:02:57,285 --> 00:02:59,954 名前は? そんなもんねえよ。 10 00:02:59,954 --> 00:03:03,291 年は? 9歳ぐらい。 11 00:03:03,291 --> 00:03:06,628 (ひかる)お地蔵様のお供えを とったら 罰があたるわよ。 12 00:03:06,628 --> 00:03:09,631 何だよ お前。 おめえも一口食えよ。 13 00:03:09,631 --> 00:03:11,633 ほら 食えよ。 やめなさいよ。 14 00:03:11,633 --> 00:03:13,635 そんな物 食べません。 15 00:03:13,635 --> 00:03:18,306 <昭和2年は 大きな時代の 変わり目でした。⇒ 16 00:03:18,306 --> 00:03:22,644 伝衛門が横浜から連れて帰った 名もない みなしごは⇒ 17 00:03:22,644 --> 00:03:25,647 穏やかで幸せだった三枝家に⇒ 18 00:03:25,647 --> 00:03:29,317 小さな嵐を 引き起こしたのでした> 19 00:03:29,317 --> 00:03:33,017 俺の母ちゃんは琴子って名だ! (竹)おめえ。 そ… そりゃ。 20 00:03:36,257 --> 00:03:38,657 やっぱり けだものだわ。 21 00:03:43,264 --> 00:03:49,270 ♪『Delight of my love』 22 00:03:49,270 --> 00:04:03,618 ♪ 23 00:04:03,618 --> 00:04:23,638 ♪ 24 00:04:23,638 --> 00:04:43,591 ♪ 25 00:04:43,591 --> 00:05:00,608 ♪ 26 00:05:00,608 --> 00:05:10,608 ♪ 27 00:05:14,622 --> 00:05:33,574 (赤ん坊の泣き声) 28 00:05:33,574 --> 00:05:47,255 (泣き声) 29 00:05:47,255 --> 00:05:55,596 (捨松)母ちゃん。 母ちゃん。 母ちゃん。 30 00:05:55,596 --> 00:05:57,196 母ちゃん! 31 00:05:58,933 --> 00:06:00,633 また あの夢だ。 32 00:06:04,605 --> 00:06:06,274 あっ。 33 00:06:06,274 --> 00:06:20,621 ♪ 34 00:06:20,621 --> 00:06:26,294 あの子だ。 ハハ。 また あいつか。 35 00:06:26,294 --> 00:06:28,963 (文彦)あいつ 屋根の上なんか登りやがって。 36 00:06:28,963 --> 00:06:32,567 (治平)小僧! 危ねえから降りてこう! 37 00:06:32,567 --> 00:06:35,236 (捨松)おいらは平気だ。 ほっといてくれ。 38 00:06:35,236 --> 00:06:38,573 (伝衛門)おまん。 そこで何やってるんだ? 39 00:06:38,573 --> 00:06:41,909 浜っ子なんで 海が見たくて上がったんだ。 40 00:06:41,909 --> 00:06:45,913 本当に海が見えるの? 41 00:06:45,913 --> 00:06:50,251 こっからじゃ見えねえや。 もうちょっと高けりゃな。 42 00:06:50,251 --> 00:06:53,254 (治平)徹 頼んだぞ。 (徹)へい。 43 00:06:53,254 --> 00:06:55,590 (伝衛門) 徹 ケガをさせてはならん。 44 00:06:55,590 --> 00:06:58,926 手荒なまねはするなよ。 (徹)はい。 45 00:06:58,926 --> 00:07:00,595 (お滝)どうして お旦那さまは⇒ 46 00:07:00,595 --> 00:07:03,598 あんな子を かばったりなさるんでしょう? 47 00:07:03,598 --> 00:07:05,266 (絹)ご気性です。 48 00:07:05,266 --> 00:07:08,269 (徹)このヤロー。 (竹)早く捕まえとくれ。 49 00:07:08,269 --> 00:07:15,610 鬼さん こちら 手の鳴るほうへ。 鬼さん こちら 手の鳴るほう…。 50 00:07:15,610 --> 00:07:18,613 (徹)おっ。 あっ。 51 00:07:18,613 --> 00:07:21,949 ひゃ~! (女たち)あ~! ハハハハ…。 52 00:07:21,949 --> 00:07:25,286 (竹)危ねえら! あいつは猿の子け? 53 00:07:25,286 --> 00:07:28,289 ハハハ。 まるで ピーターパンだな。 54 00:07:28,289 --> 00:07:31,225 ピーターパンは あんなに汚くはありません。 55 00:07:31,225 --> 00:07:35,229 そうか。 あいつは汚いか。 ハハハハハ。 56 00:07:35,229 --> 00:07:39,233 (治平)このガキが! 木から降りてこう! やだねえ。 57 00:07:39,233 --> 00:07:42,570 (徹)こいつ 寝小便した布団を 乾かしてたんだわ。 58 00:07:42,570 --> 00:07:45,573 寝小便じゃねえや。 汗だ。 (一同の笑い声) 59 00:07:45,573 --> 00:07:50,578 (文彦)親なし子 寝小便垂れか。 どうしようもないな。 黙れ! 60 00:07:50,578 --> 00:07:54,578 (一同の笑い声) 61 00:07:57,919 --> 00:07:59,587 (お滝)奥様の お情けで⇒ 62 00:07:59,587 --> 00:08:01,589 文彦坊ちゃんの お古をくだされたんだ。 63 00:08:01,589 --> 00:08:04,592 感謝の気持ちを 忘れちゃならないよ。 64 00:08:04,592 --> 00:08:09,263 こんな新品同様で お古か。 ぜいたくしてんだな。 65 00:08:09,263 --> 00:08:13,267 おまんのような野良犬と 三枝家の お坊ちゃんとでは⇒ 66 00:08:13,267 --> 00:08:16,267 天と地ほどの差が あるんだからね! 67 00:08:24,946 --> 00:08:27,615 (末)お嬢様のお帰りです。 (竹)はい。⇒ 68 00:08:27,615 --> 00:08:31,552 奥様。 お嬢様のお帰りです。 69 00:08:31,552 --> 00:08:40,561 ♪ 70 00:08:40,561 --> 00:08:44,231 おかえり ひかる。 (ひかる)帰りました お母様。 71 00:08:44,231 --> 00:08:46,567 学校は いかがでした? 音楽の時間が⇒ 72 00:08:46,567 --> 00:08:49,570 とても楽しかったです。 そう。 73 00:08:49,570 --> 00:08:55,576 おまんは 音楽が好きなのですね。 やはり 私の子供です。 74 00:08:55,576 --> 00:08:57,912 (捨松)♪「三千世界の~」 75 00:08:57,912 --> 00:09:00,247 (お滝)これ! 下品な歌 歌うんじゃない! 76 00:09:00,247 --> 00:09:03,250 それ 歌なの? お嬢様 こんなものは…。 77 00:09:03,250 --> 00:09:06,253 わたしは この子に聞いているのよ。 78 00:09:06,253 --> 00:09:09,590 これは 芸者さんが 好きな人を 帰したくないって歌った⇒ 79 00:09:09,590 --> 00:09:11,592 有名な都々逸なんだ。 80 00:09:11,592 --> 00:09:14,929 わたし 都々逸より シューベルトが好きだわ。 81 00:09:14,929 --> 00:09:22,937 ♪「童は見たり 野中のバラ」 生意気 言いやがって。 82 00:09:22,937 --> 00:09:31,545 ♪「清らに 咲ける その色 愛でつ…」 83 00:09:31,545 --> 00:09:34,215 芸者だの 都々逸だのと⇒ 84 00:09:34,215 --> 00:09:37,615 ひょっとして あの子は あの横浜の…。 お滝。 85 00:09:43,557 --> 00:09:49,897 (絹)猛。 おまんが亡くなって3年。 86 00:09:49,897 --> 00:09:55,569 心に開いた穴は まだ ふさがりません。 87 00:09:55,569 --> 00:10:00,241 ここにおったか。 おかえりなさいませ。 88 00:10:00,241 --> 00:10:04,245 うん。 間もなく 横浜で買い入れた 品物が届くぞ。 89 00:10:04,245 --> 00:10:08,582 その中にはだな。 あっ。 90 00:10:08,582 --> 00:10:10,582 荷ほどきをしてからの 楽しみにしよう。 91 00:10:15,589 --> 00:10:18,259 一つ お伺いしても よろしいでしょうか? 92 00:10:18,259 --> 00:10:22,263 (伝衛門)うん。 何だ? あの野良犬のような子⇒ 93 00:10:22,263 --> 00:10:25,266 どうして横浜から お連れになったのですか? 94 00:10:25,266 --> 00:10:30,204 だから わしを頼って…。 あなたは あの子が何をしても⇒ 95 00:10:30,204 --> 00:10:31,872 ただ笑って 見ておられるだけなのは⇒ 96 00:10:31,872 --> 00:10:33,541 どうしてでございます? 97 00:10:33,541 --> 00:10:37,545 おもしろいとは思わんか? 思いません。 98 00:10:37,545 --> 00:10:41,215 ひかるは けだものと言って 嫌がっております。 99 00:10:41,215 --> 00:10:48,222 うん。 絹。 3年前まで我が家は⇒ 100 00:10:48,222 --> 00:10:51,225 おもちゃ箱をひっくり返したような 騒ぎだった。⇒ 101 00:10:51,225 --> 00:10:53,625 毎日が 活気にあふれていた。 102 00:10:55,563 --> 00:11:00,234 あなた まさか。 そうだ。 103 00:11:00,234 --> 00:11:04,572 猛が生きていたころの にぎわいが 戻ったような気がしているのだ。 104 00:11:04,572 --> 00:11:06,574 文彦も あいつに触発されて⇒ 105 00:11:06,574 --> 00:11:10,244 芯の強い男に育ってくれればと 思っている。 106 00:11:10,244 --> 00:11:14,915 あいつの目は 猛の目に似ていると 思わんか? そんな。 107 00:11:14,915 --> 00:11:20,254 (伝衛門)負けず嫌いの強い目だ。 思いません。 108 00:11:20,254 --> 00:11:23,257 猛の目は あんな野獣のような目は しておりませんでした。 109 00:11:23,257 --> 00:11:28,262 猛も生きていたら あいつと同じような年ごろだ。 110 00:11:28,262 --> 00:11:30,197 猛も野獣のように 激しいところがあった。 111 00:11:30,197 --> 00:11:32,199 おやめください。 112 00:11:32,199 --> 00:11:35,870 氏素性も分からぬ子と 猛を一緒になさるの?⇒ 113 00:11:35,870 --> 00:11:40,207 この三枝家は 武田信玄公の 家臣だった由緒ある家柄。 114 00:11:40,207 --> 00:11:44,879 私の実家も 徳川家の旗本の家柄でございます。 115 00:11:44,879 --> 00:11:47,882 猛は由緒ある血筋を引いた子。 それを…。 116 00:11:47,882 --> 00:11:50,217 何も猛の生まれ変わりと 言っているわけではない。 117 00:11:50,217 --> 00:11:54,221 でしたら…。 ≪(文彦)お父様。 118 00:11:54,221 --> 00:11:57,558 お父様。 横浜から荷物が届きました。 119 00:11:57,558 --> 00:12:01,858 おう そうか。 文彦。 絹。 来い。 120 00:12:09,570 --> 00:12:12,573 (使用人たち)うわあ! 121 00:12:12,573 --> 00:12:16,243 (竹)旦那さま これは? (伝衛門)それは絹にだ。 はい。 122 00:12:16,243 --> 00:12:18,245 (治平)これは? (伝衛門)地球儀じゃ。⇒ 123 00:12:18,245 --> 00:12:21,582 それと この望遠鏡。 これは文彦だ。 124 00:12:21,582 --> 00:12:23,918 (文彦)お父様 ありがとうございます。 125 00:12:23,918 --> 00:12:25,920 (伝衛門)それと その英語の教本もな。 126 00:12:25,920 --> 00:12:28,589 ありがとうございます。 勉強します。 (伝衛門)うん。 127 00:12:28,589 --> 00:12:32,259 (絹)あら。 すてきなルビーの指輪。 ほら。 128 00:12:32,259 --> 00:12:34,259 (伝衛門)どれ。 わしがはめてやろう。 129 00:12:36,931 --> 00:12:39,600 (治平)あれが 本物の夫婦ってもんずら。 130 00:12:39,600 --> 00:12:42,603 お父様 わたしにはないの? (伝衛門)んっ? 131 00:12:42,603 --> 00:12:45,272 あっ。 うっかりしていた。 132 00:12:45,272 --> 00:12:52,947 ハハハ。 そんなことはないぞ。 これが ひかるに。 ドレスだ。 133 00:12:52,947 --> 00:12:57,284 まるで シンデレラが着ている ドレスみたい。 着てみたい。 134 00:12:57,284 --> 00:12:59,954 (お滝)お嬢様。 じゃ 奥で着てみましょうね。⇒ 135 00:12:59,954 --> 00:13:01,956 はい 行きましょう。 (伝衛門)治平。⇒ 136 00:13:01,956 --> 00:13:05,960 それと その箱だが それは カステーラだ。⇒ 137 00:13:05,960 --> 00:13:08,295 小作一軒につき一本ある。 あとで配ってやってくれ。 138 00:13:08,295 --> 00:13:10,631 (治平)どうも ありがとうございます。 139 00:13:10,631 --> 00:13:13,968 みんなに見え張って この家はつぶれねえのか? 140 00:13:13,968 --> 00:13:17,304 (徹)バカヤロウ。 三枝家は白部村に⇒ 141 00:13:17,304 --> 00:13:19,974 何百町歩の田畑と山を いくつも持ってんだ。 142 00:13:19,974 --> 00:13:24,274 こんなことじゃビクリともしねえ。 ふん そうかよ。 143 00:13:26,313 --> 00:13:29,917 (竹)小憎らしいヤツだねえ。 144 00:13:29,917 --> 00:13:33,254 (お滝)皆さん。 お嬢様の お召し替えができました。⇒ 145 00:13:33,254 --> 00:13:36,924 はい お嬢様。 (一同の歓声) 146 00:13:36,924 --> 00:13:41,929 お父様。 お母様。 いかがでしょう? わあ きれいだ。 147 00:13:41,929 --> 00:13:45,266 シンデレラ姫みたいだ。 (絹)とても すてきよ。 148 00:13:45,266 --> 00:13:50,604 (伝衛門)そうだ そうだ。 頼まれていた童話と絵本だ。 149 00:13:50,604 --> 00:13:53,607 お父様 ありがとう。 うれしいわ。 150 00:13:53,607 --> 00:13:55,609 (絹)よかったわね。 151 00:13:55,609 --> 00:14:07,955 ♪ 152 00:14:07,955 --> 00:14:17,965 ♪ 153 00:14:17,965 --> 00:14:21,302 (伝衛門)よいか。 わしと戦うと思うな。 154 00:14:21,302 --> 00:14:29,576 剣の道は 己との戦いだ。 来い 文彦。 (文彦)はい。⇒ 155 00:14:29,576 --> 00:14:32,579 やあ!⇒ 156 00:14:32,579 --> 00:14:35,916 やあ! やあ! あっ。 157 00:14:35,916 --> 00:14:38,252 (伝衛門)そんなことで 主将が務まるか。⇒ 158 00:14:38,252 --> 00:14:43,924 腰だ。 腰を据えて かかってこい。 はい。 159 00:14:43,924 --> 00:14:47,261 (文彦)やあ。 やあ! 面! 160 00:14:47,261 --> 00:14:51,598 ハハハ。 ざまあねえや。 161 00:14:51,598 --> 00:14:56,603 戦う人間をあざ笑うのは 卑しい人間のすることだ。 162 00:14:56,603 --> 00:14:59,273 だって そいつは 戦う気のないヤツだから。 163 00:14:59,273 --> 00:15:01,608 (文彦)そんなこと言うんだったら お前がやってみろ。 164 00:15:01,608 --> 00:15:03,944 ああ。 やってやるよ。 165 00:15:03,944 --> 00:15:07,281 (伝衛門)文彦。 竹刀を貸してやりなさい。 166 00:15:07,281 --> 00:15:11,285 そんな かったるい物いらねえよ。 お前は剣道が苦手か。 167 00:15:11,285 --> 00:15:15,685 本当の男の戦いはな 武器なんか持たねえんだ。 168 00:15:17,958 --> 00:15:21,658 そう来るか。 なら 素手でいこう。 169 00:15:23,297 --> 00:15:24,965 ほーら こっち こっち。 170 00:15:24,965 --> 00:15:27,634 ホントだ。 ピーターパンみたい。 おら おら。 171 00:15:27,634 --> 00:15:31,572 こざかしいヤツめ。 あっ。 172 00:15:31,572 --> 00:15:34,908 キャッ。 あっ いて! いてててて…! 173 00:15:34,908 --> 00:15:37,911 あっ すまん。 ケガはないか? 気に入ったぜ。 174 00:15:37,911 --> 00:15:40,914 本気になったところがいいぜ。 あ いててて…。 175 00:15:40,914 --> 00:15:44,251 (伝衛門)すまん。 あ いて。 176 00:15:44,251 --> 00:15:49,923 お父様と本気で戦うなんて すごいわ。 ああ。 177 00:15:49,923 --> 00:15:53,623 (文彦)バカ。 痛い目に遭って当然ですよ。 178 00:16:01,268 --> 00:16:06,607 (文彦)「ジス イズ ア ペン」 分かるか? (一同)分かりません。 179 00:16:06,607 --> 00:16:08,275 (文彦) 「これはペンです」っていうんだ。 180 00:16:08,275 --> 00:16:11,612 覚えておけよ。 じゃ 次。 181 00:16:11,612 --> 00:16:17,618 「ジス イズ マイ ペット ドッグ」 182 00:16:17,618 --> 00:16:19,620 無学だというのは 恐ろしいことだ。 183 00:16:19,620 --> 00:16:23,624 「こいつは俺の犬だ」と言ったのに 喜んで笑ってやがる。 184 00:16:23,624 --> 00:16:30,230 (捨松)♪「Oh when the saints go marching in…」 185 00:16:30,230 --> 00:16:35,569 (文彦)そんなインチキ英語。 文彦。⇒ 186 00:16:35,569 --> 00:16:39,573 こいつが今 歌っていたのは ジャズというアメリカの音楽だ。⇒ 187 00:16:39,573 --> 00:16:44,578 英語も間違っちゃいない。 お前 その歌 どこで覚えた? 188 00:16:44,578 --> 00:16:48,582 横浜で荷揚げの手伝いをして 稼いでたことがある。 189 00:16:48,582 --> 00:16:51,919 そんときに アメリカの船員が よく口ずさんでたんだ。 190 00:16:51,919 --> 00:16:57,257 ねえ。 その歌 教えてくれない? いいよ。 191 00:16:57,257 --> 00:17:01,929 あなた 名前はないの? ねえよ。 192 00:17:01,929 --> 00:17:03,931 じゃあ わたし 今日から あなたのことを⇒ 193 00:17:03,931 --> 00:17:06,600 猛君て呼ぶことに決めたわ。 194 00:17:06,600 --> 00:17:08,602 何だと? 195 00:17:08,602 --> 00:17:12,940 死んだ猛お兄様は 木登りが得意で 身が軽くて⇒ 196 00:17:12,940 --> 00:17:16,944 英語の歌が好きだったのよね。 そうでしょう? お父様。 197 00:17:16,944 --> 00:17:18,946 ああ。 ダメだ! 198 00:17:18,946 --> 00:17:21,949 死んだ猛は こんな卑しい目つきを していなかった。 199 00:17:21,949 --> 00:17:25,285 猛なんて呼ぶことは 僕は絶対に反対だ。⇒ 200 00:17:25,285 --> 00:17:30,224 お父様。 僕は絶対に反対ですから。 覚えておいてください。 201 00:17:30,224 --> 00:17:34,561 俺だって 死んだヤツの名前なんて 験が悪くて嫌だね。 202 00:17:34,561 --> 00:17:36,561 (文彦)表でベーゴマやろうぜ。 203 00:17:38,899 --> 00:17:42,599 やっぱり 猛君と呼んじゃダメかしら。 204 00:17:45,572 --> 00:17:47,872 つまんないの。 205 00:17:58,619 --> 00:18:01,622 (ひかる)死んだ猛お兄様は 木登りが得意で 身が軽くて⇒ 206 00:18:01,622 --> 00:18:03,922 英語の歌が好きだったのよね 207 00:18:05,626 --> 00:18:09,630 (ひかる)今日からあなたのことを 猛君って呼ぶことに決めたわ 208 00:18:09,630 --> 00:18:24,978 ♪ 209 00:18:24,978 --> 00:18:32,586 いかんな。 治平。 旦那様 どういたしました? 210 00:18:32,586 --> 00:18:35,255 土の状態がよくない。 肥料をまいてくれ。 211 00:18:35,255 --> 00:18:37,591 病気が怖い。 はい 承知しました。 212 00:18:37,591 --> 00:18:39,259 (治平)皆に通達じゃ。 へい。 213 00:18:39,259 --> 00:18:41,595 じゃあ わたしは早速 肥料を持って参ります。 214 00:18:41,595 --> 00:18:43,597 うん。 215 00:18:43,597 --> 00:18:47,267 (欣造)旦那様! 欣造でございます。 216 00:18:47,267 --> 00:18:52,272 今年も白部村に 薬と化粧品を売りに参りました。 217 00:18:52,272 --> 00:18:56,610 欣造。 去年のように偽物の 化粧品を売りつけたりしたら⇒ 218 00:18:56,610 --> 00:18:59,613 二度と この村の土は 踏ませんからな。 219 00:18:59,613 --> 00:19:02,616 肝に銘じまして 二度とございません。 220 00:19:02,616 --> 00:19:05,619 失礼いたします。 待て。 221 00:19:05,619 --> 00:19:11,291 (欣造)ですから あの 肝に銘じまして。 違う。 222 00:19:11,291 --> 00:19:14,294 へい。 223 00:19:14,294 --> 00:19:20,300 へい。 お前 横浜には明るかったな? 224 00:19:20,300 --> 00:19:23,971 はあ。 あっしの 裏庭みたいなもんで。 へい。 225 00:19:23,971 --> 00:19:27,574 ある子供の身元を 探ってほしいんだ。 226 00:19:27,574 --> 00:19:29,574 あっ…。 へい。 227 00:19:31,578 --> 00:19:35,249 あっ 奥様。 それはフランス製の 化粧水でして⇒ 228 00:19:35,249 --> 00:19:38,252 もう抜群の香りでございます。 どうぞ かいでみてください。 229 00:19:38,252 --> 00:19:40,587 そう。 (欣造)はい。 230 00:19:40,587 --> 00:19:42,589 (お滝)欣造さん。 頓服と胃散 お願いしますよ。 231 00:19:42,589 --> 00:19:44,591 (欣造)へい。 毎度ありがとうございます。 232 00:19:44,591 --> 00:19:48,262 欣造さんは 横浜のウチには よく出入りしているのでしょう? 233 00:19:48,262 --> 00:19:51,932 (欣造)ええ。 そりゃもう ごひいきいただいて…。 234 00:19:51,932 --> 00:19:59,273 琴子さんは芸者さんですね? (欣造)それは…。 へい。 235 00:19:59,273 --> 00:20:02,673 旦那様とは どれくらい以前からか 知っているのでしょ? 236 00:20:04,611 --> 00:20:06,280 (欣造)勘弁してください。 237 00:20:06,280 --> 00:20:09,616 正直に言わないと お出入り禁止にするよ。 でも。 238 00:20:09,616 --> 00:20:13,287 どんな方がいようが それは旦那様の甲斐性です。 239 00:20:13,287 --> 00:20:14,955 でも 何も知らないでは⇒ 240 00:20:14,955 --> 00:20:17,958 いざというときに 妻の役目が果たせません。 241 00:20:17,958 --> 00:20:20,294 お願いです。 このとおりです。 242 00:20:20,294 --> 00:20:23,964 ちょっと おやめください 奥様。 分かりました。 243 00:20:23,964 --> 00:20:27,567 旦那様には ぜひ ご内聞にお願いいたします。 244 00:20:27,567 --> 00:20:30,904 当たり前です。 へい。 245 00:20:30,904 --> 00:20:36,243 旦那様と琴子さんは かなり長い間の仲と。 246 00:20:36,243 --> 00:20:39,913 (欣造)琴子さんは 横浜一の売れっ子芸者でして⇒ 247 00:20:39,913 --> 00:20:42,916 伊勢佐木町の裏通りに こぢんまりとした お宅を⇒ 248 00:20:42,916 --> 00:20:44,918 旦那様が構えさせて。 249 00:20:44,918 --> 00:20:47,921 年は? えー 27か28。 250 00:20:47,921 --> 00:20:51,925 いや もう 匂わんばかりの お色気でして。⇒ 251 00:20:51,925 --> 00:20:56,596 あっ。 実は明日 旦那さんの御用で 横浜に参りやす。 ええ。⇒ 252 00:20:56,596 --> 00:21:00,600 あのガキの身元を捜してこいって おっしゃるんですが⇒ 253 00:21:00,600 --> 00:21:04,271 何か眉唾もんじゃないかと。 どういうことです? 254 00:21:04,271 --> 00:21:07,607 旦那様と 琴子さんの間にできたガキ…。 255 00:21:07,607 --> 00:21:10,610 (お滝)欣造。 よけいなことを言うんじゃない。 256 00:21:10,610 --> 00:21:13,910 そんなはずは ありません。 ご苦労でした。 257 00:21:22,289 --> 00:21:25,292 何だよ。 俺に用って。 258 00:21:25,292 --> 00:21:28,895 (文彦)お前に おもしろい遊びを 教えてやろうと思ってな。 259 00:21:28,895 --> 00:21:37,571 おもしろい遊び? (文彦)よーし いくぞ。 それ。 260 00:21:37,571 --> 00:21:40,907 へえ。 おもしろそうじゃん。 (徹)坊ちゃん。⇒ 261 00:21:40,907 --> 00:21:43,577 そろばんで そんなことすると 旦那様に しかられます。 262 00:21:43,577 --> 00:21:47,577 大丈夫さ。 今日は遅くなるって言ってた。 263 00:21:49,249 --> 00:21:53,649 やってみろよ。 うん。 よし。 264 00:21:56,256 --> 00:21:57,924 バカヤロー! いてえ。 265 00:21:57,924 --> 00:22:01,595 (徹)この そろばんはな 三枝家の身代を支える物だ。⇒ 266 00:22:01,595 --> 00:22:04,264 正月は 神棚に お供えする大事な物だ。 267 00:22:04,264 --> 00:22:07,267 それを足蹴にするなんて とんでもねえガキだ。 268 00:22:07,267 --> 00:22:10,270 だけど さっき あいつは! 坊ちゃんは 坊ちゃんだ! 269 00:22:10,270 --> 00:22:11,970 バカヤロー。 270 00:22:14,274 --> 00:22:16,674 大人は汚ねえ。 271 00:22:27,954 --> 00:22:34,654 3年前の お正月には 猛も含め 5人家族が そろっていたのに。 272 00:22:36,963 --> 00:22:39,299 旦那様は どうして あんな子を。 273 00:22:39,299 --> 00:22:43,637 (お滝)さっきの欣造の話 ドキッとしました。 274 00:22:43,637 --> 00:22:46,306 どういうことです? はい。 275 00:22:46,306 --> 00:22:51,311 あの 実は あの子が言ったんです。 276 00:22:51,311 --> 00:22:54,314 母親の名前は琴子だって…。 まさか。 277 00:22:54,314 --> 00:22:57,651 (お滝)旦那様も旦那様です。 それならそうと⇒ 278 00:22:57,651 --> 00:23:00,654 しかるべきお話が 奥様にあってもいいはず。 279 00:23:00,654 --> 00:23:03,990 それを策を弄して…。 お滝。 280 00:23:03,990 --> 00:23:07,661 想像で ものを言ってはなりません。 281 00:23:07,661 --> 00:23:12,261 旦那様は 断じて そのような方ではありません。 282 00:23:19,673 --> 00:23:22,342 (伝衛門)今日は県庁での 会合のあと⇒ 283 00:23:22,342 --> 00:23:24,344 陸軍関係者との寄り合いがある。 284 00:23:24,344 --> 00:23:26,346 遅くなるから 食事は先に済ませるように。 285 00:23:26,346 --> 00:23:32,285 承知いたしました。 それから 名無しのゴンベイ。 286 00:23:32,285 --> 00:23:34,955 あなたのことよ。 俺? 287 00:23:34,955 --> 00:23:38,291 (伝衛門)そうだ。 何だよ。 288 00:23:38,291 --> 00:23:40,293 みんな よく聞いてくれ。 289 00:23:40,293 --> 00:23:45,298 今日から こいつを 猛と名付けることにした。⇒ 290 00:23:45,298 --> 00:23:50,303 だから みんなも こいつのことを 猛と呼んでくれ。 よいな。 291 00:23:50,303 --> 00:23:52,305 (使用人たち)はい。 承知しました。 292 00:23:52,305 --> 00:23:58,311 僕は反対です。 いいな。 お前の名前は 猛だ。 293 00:23:58,311 --> 00:24:03,316 今日から あなたは 猛君なのよ。 うん。 294 00:24:03,316 --> 00:24:06,316 よし。 (一同)いってらっしゃいませ。 295 00:24:11,658 --> 00:24:13,658 わたしが名付け親よ。 296 00:24:15,662 --> 00:24:24,662 猛君。 あなたのお名前は何? うん。 俺は猛だ。 297 00:24:26,940 --> 00:24:28,608 猛。 298 00:24:28,608 --> 00:24:31,945 <絹の心の中に この少年に対する⇒ 299 00:24:31,945 --> 00:24:36,283 大きな疑惑と憎しみが 沸き上がってきました。⇒ 300 00:24:36,283 --> 00:24:41,683 そして それは愛の嵐の 始まりだったのです>