1 00:02:32,760 --> 00:02:34,760 2 00:02:38,633 --> 00:02:41,302 (ひかる)ウサギ。 (猛)ケガしてるんだ。 3 00:02:41,302 --> 00:02:45,973 本当? どうしても 助けてやりたいんだ。 4 00:02:45,973 --> 00:02:48,309 俺を横浜に連れてくだと!? 5 00:02:48,309 --> 00:02:50,978 俺に 「猛」って名前 付けたよな? 6 00:02:50,978 --> 00:02:55,983 絶対に帰って来て ウサギを 治してあげるって。 約束よ。 7 00:02:55,983 --> 00:02:59,283 猛君。 ウサギと待っているわ。 8 00:03:00,988 --> 00:03:05,993 <3年前に亡くなった 三枝家の次男と同じ⇒ 9 00:03:05,993 --> 00:03:08,663 猛と名付けられた少年は⇒ 10 00:03:08,663 --> 00:03:12,333 三枝家には居場所が 見つけられないままに⇒ 11 00:03:12,333 --> 00:03:16,733 再び 横浜に 連れて来られました> 12 00:03:18,339 --> 00:03:22,343 (琴子)へえ。 ひかるちゃんって 女の子と 野ウサギをね。 13 00:03:22,343 --> 00:03:27,014 うん。 田舎だし ほかに することないしな。 14 00:03:27,014 --> 00:03:29,350 何を こしらえてんだよ? 15 00:03:29,350 --> 00:03:32,286 (琴子)旦那さまの好きな けんちん汁。 16 00:03:32,286 --> 00:03:35,956 なるほど。 手作りの味ってヤツか。 17 00:03:35,956 --> 00:03:39,960 何てったって あっちは 女中が三人だもんな。 18 00:03:39,960 --> 00:03:42,296 奥さんが飯を作ることは ないみたいだぜ。 19 00:03:42,296 --> 00:03:45,633 (琴子)わたしは 自分の手で こしらえてあげたいの。 20 00:03:45,633 --> 00:03:48,969 分かんねえな 女心ってヤツは。 21 00:03:48,969 --> 00:03:50,971 ナマ 言うんじゃないの。 22 00:03:50,971 --> 00:03:52,973 美人だぜ あっちの奥さん。 23 00:03:52,973 --> 00:03:58,312 何て言うのかな 落ち着いてて 品があるっていうか⇒ 24 00:03:58,312 --> 00:04:01,649 まあ ご大家の 奥さんって感じだな。 25 00:04:01,649 --> 00:04:04,318 俺とあんたのことを…。 えっ? 26 00:04:04,318 --> 00:04:06,654 ≪(欣造)ごめんなすって! 欣造でございます! 27 00:04:06,654 --> 00:04:08,654 あっ。 はーい ただいま! 28 00:04:13,327 --> 00:04:16,997 (欣造)旦那さまは? (琴子)今 横浜市の関係者に…。 29 00:04:16,997 --> 00:04:18,666 (欣造)あっ そうですか。⇒ 30 00:04:18,666 --> 00:04:22,336 実は あの 頼まれていた ガキの身寄りについて。 31 00:04:22,336 --> 00:04:24,338 何か つかめたの? (欣造)ええ。 32 00:04:24,338 --> 00:04:29,009 あいつは 根岸の愛育園という 孤児院…。 いるのよ。 33 00:04:29,009 --> 00:04:31,278 (欣造)ヤツがですか? ええ。 34 00:04:31,278 --> 00:04:36,617 その孤児院を脱走した鳥居捨松って いうガキに間違いありません。 35 00:04:36,617 --> 00:04:38,619 それは お手柄ね。 36 00:04:38,619 --> 00:04:40,919 ≪(戸の音) 37 00:04:43,624 --> 00:04:45,960 あの子。 38 00:04:45,960 --> 00:04:49,260 逃げやがったか。 とっ捕まえてやる! 39 00:04:55,636 --> 00:05:00,641 ♪『Delight of my love』 40 00:05:00,641 --> 00:05:14,655 ♪ 41 00:05:14,655 --> 00:05:34,608 ♪ 42 00:05:34,608 --> 00:05:54,628 ♪ 43 00:05:54,628 --> 00:06:14,648 ♪ 44 00:06:14,648 --> 00:06:24,648 ♪ 45 00:06:25,659 --> 00:06:27,661 (ひかる)ウサギさん。 どうしたの? 46 00:06:27,661 --> 00:06:29,961 どうして動かないの? 47 00:06:31,599 --> 00:06:35,199 病気なの? どうしたらいいの? 48 00:06:37,938 --> 00:06:41,275 治平さん。 ウサギさんが病気みたい。 49 00:06:41,275 --> 00:06:43,975 (治平)大丈夫ですよ お嬢さま。 50 00:06:45,946 --> 00:06:49,617 お竹さん。 ウサギがね…。 (竹)すいません。 51 00:06:49,617 --> 00:06:51,917 お使いで 隣村まで 行きますでね。 52 00:06:58,292 --> 00:07:02,630 お母さま。 ウサギさんの 様子がおかしいの。 53 00:07:02,630 --> 00:07:04,965 何も食べようとしないの。 54 00:07:04,965 --> 00:07:10,304 もし死なせたら 猛君との約束を 破ってしまうわ。 どうしよう。 55 00:07:10,304 --> 00:07:12,640 (絹)あとで 誰かに 見ていただきましょう。 56 00:07:12,640 --> 00:07:14,240 お願いします。 57 00:07:15,976 --> 00:07:19,313 猛君 どこで 何をしているのかしら。 58 00:07:19,313 --> 00:07:21,982 ≪(伝衛門)誰か いないか! はい! 59 00:07:21,982 --> 00:07:26,654 おかえりなさいませ。 どうかなさったんですか? 60 00:07:26,654 --> 00:07:28,656 猛君は? (伝衛門)詳しいことは あとだ。 61 00:07:28,656 --> 00:07:31,258 (伝衛門)電話は なかったか? どなたからも まだ。 62 00:07:31,258 --> 00:07:33,958 ≪[℡] わしが出る。 わしが出る。 63 00:07:35,596 --> 00:07:40,601 はい 三枝です。 大崎さんですか? あいつは 見つかりましたか? 64 00:07:40,601 --> 00:07:42,603 えっ? (伝衛門)そうですか。⇒ 65 00:07:42,603 --> 00:07:46,941 分かりました。 何分 よろしくお願いいたします。 66 00:07:46,941 --> 00:07:50,277 ひょっとして 猛君が いなくなったの? 67 00:07:50,277 --> 00:07:54,281 消えてしまったんだ。 猛君はどこなの? 68 00:07:54,281 --> 00:07:56,951 お父さま。 猛君を 絶対に見つけて! 69 00:07:56,951 --> 00:07:59,286 うるさい! 今 手を尽くしてるとこだ! 70 00:07:59,286 --> 00:08:02,957 (泣き声) ああ。 滝。 頼む。 71 00:08:02,957 --> 00:08:06,657 (お滝)はい。 お嬢さま。 奥 行きましょう お嬢さま。 72 00:08:08,295 --> 00:08:10,965 愛育園という孤児院には 帰っていなかった。 73 00:08:10,965 --> 00:08:14,301 近ごろの横浜の港は 人が多い。 74 00:08:14,301 --> 00:08:18,305 大崎さんが 市役所や警察に 手配をしてくれているが⇒ 75 00:08:18,305 --> 00:08:21,976 簡単には見つからんだろう。 さようでございますか。 76 00:08:21,976 --> 00:08:25,312 わしは これから寄り合いだ。 (絹)承知しております。 77 00:08:25,312 --> 00:08:28,315 横浜から何か言ってきたら 人をよこしてくれ。 78 00:08:28,315 --> 00:08:30,918 (絹)かしこまりました。 ≪(少年たち)やーっ! 79 00:08:30,918 --> 00:08:34,922 文彦か。 申し訳ありません。 80 00:08:34,922 --> 00:08:36,924 すぐに静かにするように 申して参ります。 81 00:08:36,924 --> 00:08:38,592 いや かまわん。 82 00:08:38,592 --> 00:08:43,931 男子たる者 元気すぎるぐらいが ちょうどいい。 はい。 83 00:08:43,931 --> 00:08:48,602 (文彦)俺が 宮本武蔵だ。 吉岡道場など 皆殺しにしてやる。 84 00:08:48,602 --> 00:08:51,271 (太郎)文彦さん。 本気で たたかないでくださいよ。 85 00:08:51,271 --> 00:08:53,273 (吾作)こっちは たたいちゃ いけないんでしょう? 86 00:08:53,273 --> 00:08:56,944 あたりまえだ。 武蔵は 生涯 負けたことがないんだ。 87 00:08:56,944 --> 00:09:00,948 行くぞ! やっ! やっ! やっ…! 88 00:09:00,948 --> 00:09:03,283 やっ! やっ! おりゃ! 89 00:09:03,283 --> 00:09:04,952 (3人)うわっ! やっ! やっ! やっ! 90 00:09:04,952 --> 00:09:08,622 (孝一)やめて…! (伝衛門)文彦! お前 何をしている! 91 00:09:08,622 --> 00:09:11,959 お父さま。 これは 宮本武蔵ごっこです。 92 00:09:11,959 --> 00:09:15,629 バカ者! お前のしていることは 弱い者いじめだ!⇒ 93 00:09:15,629 --> 00:09:20,300 剣道とは 己を鍛えるために するものだ。 遊びに使うな! 94 00:09:20,300 --> 00:09:22,636 申し訳ありません。 95 00:09:22,636 --> 00:09:24,236 行くぞ。 96 00:09:29,576 --> 00:09:31,912 旦那さまも おしかりすぎでございます。 97 00:09:31,912 --> 00:09:36,917 ええ。 お滝。 はい。 98 00:09:36,917 --> 00:09:39,920 里の父の部下だった 上坂さん。 99 00:09:39,920 --> 00:09:43,257 横浜で 警察署長なさってるんじゃ なかったかしら。 100 00:09:43,257 --> 00:09:47,594 ああ。 ご実家の敏之さまが そう おっしゃってらっしゃいました。 101 00:09:47,594 --> 00:09:50,931 上坂さんに あの子のこと お願いしようかしら。 102 00:09:50,931 --> 00:09:55,936 奥さま。 人が良いのも ほどほどになさいませ。 103 00:09:55,936 --> 00:09:57,604 あの子がいなくなって⇒ 104 00:09:57,604 --> 00:10:01,275 このウチも やっと静かに なったんでございますから。 105 00:10:01,275 --> 00:10:05,946 でも あの子が これから先 独りで生きていけるかどうか。 106 00:10:05,946 --> 00:10:10,951 三枝家の幸せを いちばんに 考えてくださいませ。⇒ 107 00:10:10,951 --> 00:10:15,956 文彦坊ちゃんも やっと元どおり 明るくなられたんですから。 108 00:10:15,956 --> 00:10:21,962 そうよね。 この家が 以前のように 静かになるのが いちばん。 109 00:10:21,962 --> 00:10:24,298 これで よかったのよね。 110 00:10:24,298 --> 00:10:27,698 (お滝)はい。 さようでございます。 111 00:10:31,905 --> 00:10:37,244 (ひかる)ウサギさん。 どうして 食べないの? どこか悪いの? 112 00:10:37,244 --> 00:10:39,944 猛君じゃなきゃ 嫌なの? 113 00:10:41,582 --> 00:10:44,882 どうしよう。 約束 守れなくて。 114 00:10:46,587 --> 00:10:48,589 (吾作)やった! 地雷 踏んだ。 115 00:10:48,589 --> 00:10:51,592 (文彦)あっ。 ちっと待った。 待った。 今のは なしだろ。 116 00:10:51,592 --> 00:10:54,928 文彦さん。 これで もう3回 待ったですよ。 117 00:10:54,928 --> 00:10:58,599 今日のおやつは大福なんだけど 要らないのかな。 118 00:10:58,599 --> 00:11:03,937 (太郎)吾作。 待ったでいいよな? なっ? いいです。 119 00:11:03,937 --> 00:11:07,941 お前ら 本当にいい友達だよな。 俺は ずっと大切にするよ。 120 00:11:07,941 --> 00:11:10,944 (絹)さあさあ。 みなさん。 おやつですよ。 121 00:11:10,944 --> 00:11:13,614 (文彦)そうだ。 裏山で 野いちご 採って来て⇒ 122 00:11:13,614 --> 00:11:16,283 おやつと一緒に食べようぜ。 (絹)それもいいわね。 123 00:11:16,283 --> 00:11:18,285 じゃ ちょっと行ってきます。 124 00:11:18,285 --> 00:11:20,985 元気でよしとしましょうか。 125 00:11:23,624 --> 00:11:25,626 ひかる。 126 00:11:25,626 --> 00:11:28,962 猛君 どこへ 行っちゃったのかしら。 127 00:11:28,962 --> 00:11:33,901 ですから それは お父さまが 大勢の人に捜していただいてます。 128 00:11:33,901 --> 00:11:35,903 でも…。 129 00:11:35,903 --> 00:11:38,238 その『ピーターパン』 読んであげましょうか? 130 00:11:38,238 --> 00:11:39,907 いらない。 131 00:11:39,907 --> 00:11:52,252 ♪ 132 00:11:52,252 --> 00:11:56,590 お地蔵さま。 猛君 どこにいるんですか? 133 00:11:56,590 --> 00:12:01,929 どうか どうか また 猛君に会えますように。 134 00:12:01,929 --> 00:12:03,597 お願いします! 135 00:12:03,597 --> 00:12:08,936 (猛)その願い かなえてつかわそう。 えっ!? 136 00:12:08,936 --> 00:12:14,274 今の お地蔵さまですか? そんなわけねえだろう。 137 00:12:14,274 --> 00:12:17,674 猛君! 俺が猛だ! 138 00:12:21,615 --> 00:12:25,953 ウサギのケガを治す約束だから 帰って来た。 うん。 139 00:12:25,953 --> 00:12:40,300 ♪ 140 00:12:40,300 --> 00:12:42,636 留守にして 悪かったな。 141 00:12:42,636 --> 00:12:47,636 この草は 薬草みたいなもんだから いっぺんに元気になるさ。 142 00:12:51,979 --> 00:12:54,648 (猛)ああ。 腹減ってたんだ。 143 00:12:54,648 --> 00:12:57,985 はあ。 おいしい? ああ! 144 00:12:57,985 --> 00:13:00,320 (むせる声) 大丈夫? 145 00:13:00,320 --> 00:13:02,990 何だ お前? お前。 どうして ここにいる! 146 00:13:02,990 --> 00:13:05,993 (太郎)あっ! おやつの大福 食ってます。 泥棒だ! 147 00:13:05,993 --> 00:13:08,996 ここは 泥棒の家じゃない。 出てけ! うるせえ! 148 00:13:08,996 --> 00:13:11,999 やっつけろ! たたき出せ! やられてたまるか! 149 00:13:11,999 --> 00:13:14,334 (太郎)この野郎! おう! (文彦)やれ! 150 00:13:14,334 --> 00:13:16,670 えい! (吾作)やーっ! 151 00:13:16,670 --> 00:13:20,007 (文彦)おい 負けんな! こっちから行くぞ! 152 00:13:20,007 --> 00:13:22,342 (文彦)おりゃ! あっ! キャーッ! 153 00:13:22,342 --> 00:13:25,345 やめろ! やめて! やめて! 154 00:13:25,345 --> 00:13:28,682 (吾作)やめろ 痛っ! やめて! やめて! 155 00:13:28,682 --> 00:13:34,288 (吾作)うわっ! 離せ! 離せ! (太郎)離しやがれ! この野郎! 156 00:13:34,288 --> 00:13:37,291 申し訳ない。 このとおりじゃ。 157 00:13:37,291 --> 00:13:38,959 (お筆)旦那さま。 もったいのうございます。⇒ 158 00:13:38,959 --> 00:13:40,961 おやめください! (伝衛門)いや。⇒ 159 00:13:40,961 --> 00:13:42,963 この家の者が 犯した過ちは⇒ 160 00:13:42,963 --> 00:13:46,967 戸主である この三枝伝衛門の責任だ。⇒ 161 00:13:46,967 --> 00:13:50,971 治療費は もちろんのこと それ相応のことは させてもらう。 162 00:13:50,971 --> 00:13:54,308 (お筆)そのお言葉だけで 十分でございます。 163 00:13:54,308 --> 00:13:58,979 猛。 こっちへ来い。 はい。 164 00:13:58,979 --> 00:14:00,981 吾作に謝れ。 165 00:14:00,981 --> 00:14:02,983 悪かった。 166 00:14:02,983 --> 00:14:06,987 貴様! 謝り方も分からんのか! 頭を下げるんじゃ 頭を! 167 00:14:06,987 --> 00:14:10,287 分かったよ! 離せよ! もう! 168 00:14:13,327 --> 00:14:16,330 悪うございました。 お許しください。 169 00:14:16,330 --> 00:14:19,330 (お筆)もういい! 吾作。 帰るぞ。 170 00:14:21,001 --> 00:14:24,671 治平。 これで いいようにしてやってくれ。 171 00:14:24,671 --> 00:14:26,671 へい。 行って参ります。 172 00:14:29,943 --> 00:14:35,615 (伝衛門)猛。 分かっている。 もういい。 立て。 173 00:14:35,615 --> 00:14:38,618 (文彦)お父さま。 こいつを家に入れずに⇒ 174 00:14:38,618 --> 00:14:41,621 警察に引き渡すか しかるべき施設に入れてください。 175 00:14:41,621 --> 00:14:44,291 お兄さま。 (文彦)人を平気で 傷つけるなんて⇒ 176 00:14:44,291 --> 00:14:46,960 こいつの親は きっと 人殺しかなんかです。⇒ 177 00:14:46,960 --> 00:14:50,297 こいつと僕とでは 生まれも 育ちも すべて違います。 178 00:14:50,297 --> 00:14:52,299 一緒に住むなんてできません。 179 00:14:52,299 --> 00:14:54,301 (伝衛門)バカ者! (たたく音) (お滝・絹)あっ! 180 00:14:54,301 --> 00:14:56,636 文彦! 触るな! 181 00:14:56,636 --> 00:15:01,975 文彦。 お前と この子とは どこが違う? 182 00:15:01,975 --> 00:15:04,644 違いがあるのか! 183 00:15:04,644 --> 00:15:07,981 たとえ どんなに育った 境遇が違っていても⇒ 184 00:15:07,981 --> 00:15:10,317 人間一人一人の価値は 同じだ。⇒ 185 00:15:10,317 --> 00:15:13,320 同じ赤い血の通った人間なんだ。 186 00:15:13,320 --> 00:15:17,324 それが分からんようでは 人の上に立つ資格はない!⇒ 187 00:15:17,324 --> 00:15:20,024 猛。 立て。 188 00:15:22,329 --> 00:15:26,029 文彦。 猛に謝るんだ。 189 00:15:28,001 --> 00:15:29,701 謝れ! 190 00:15:31,271 --> 00:15:33,607 できません。 (伝衛門)文彦! 191 00:15:33,607 --> 00:15:37,907 あとで 私が言い聞かせます。 今は 興奮しております。 192 00:15:40,947 --> 00:15:45,247 (伝衛門)分かった。 風呂に入る。 (お滝)はい。 193 00:15:48,288 --> 00:15:52,959 猛君! 猛君は ケガない? 194 00:15:52,959 --> 00:15:56,630 ああ。 あれくらい何ともないよ。 本当? 195 00:15:56,630 --> 00:16:00,300 はぁ。 それより 腹 減っちゃったよ。 196 00:16:00,300 --> 00:16:03,970 ああ。 金むくの時計か。 197 00:16:03,970 --> 00:16:07,974 こりゃ たたき売っても 一財産にはなるな。 198 00:16:07,974 --> 00:16:10,644 それは お父さまの宝物よ。 199 00:16:10,644 --> 00:16:12,644 だろうな。 200 00:16:23,990 --> 00:16:25,990 文彦。 201 00:16:28,261 --> 00:16:31,932 お母さま。 僕は悔しいのです。 202 00:16:31,932 --> 00:16:34,601 お父さまが あんなヤツを また この家に入れて⇒ 203 00:16:34,601 --> 00:16:37,938 猛と呼ぶなんて 本当に悔しい。 204 00:16:37,938 --> 00:16:40,638 私も同じ気持ちです。 205 00:16:42,275 --> 00:16:43,944 猛がふびんで。 206 00:16:43,944 --> 00:16:46,947 (文彦)お父さまは 横暴すぎます。⇒ 207 00:16:46,947 --> 00:16:49,947 もう少し お母さまの気持ちを 考えてくれなきゃ。 208 00:16:54,955 --> 00:16:57,655 おまんは 心の優しい子です。 209 00:16:59,292 --> 00:17:01,962 でも この家のあるじは お父さま。 210 00:17:01,962 --> 00:17:04,631 お父さまが すべてを お決めになるのです。 211 00:17:04,631 --> 00:17:06,967 分かってます。 でも…。 212 00:17:06,967 --> 00:17:09,302 あの方は 立派な方です。 213 00:17:09,302 --> 00:17:14,641 お前も学び 成長して 立派な 三枝家の跡取りになるのですよ。 214 00:17:14,641 --> 00:17:16,309 はい。 215 00:17:16,309 --> 00:17:19,980 おまんの主張は 間違ってはおりません。 216 00:17:19,980 --> 00:17:22,315 人には それぞれ 分というものがあり⇒ 217 00:17:22,315 --> 00:17:25,652 それを守ってこそ 人の道です。 218 00:17:25,652 --> 00:17:30,252 私は どんなことがあろうとも お前の味方ですよ。 219 00:17:38,265 --> 00:17:43,665 (猛)早く元気になって 山にいる親のところに帰るんだ。 220 00:17:45,272 --> 00:17:49,943 俺は知らないけど 親っていいもんみたいだな。 221 00:17:49,943 --> 00:17:54,948 ≪(伝衛門)おい! 誰か まきを くべてくれ。 風呂がぬるい。⇒ 222 00:17:54,948 --> 00:17:58,248 誰も おらんのか? はい。 たきます! 223 00:17:59,953 --> 00:18:02,953 (伝衛門)猛か? はい。 224 00:18:04,958 --> 00:18:09,258 (伝衛門)よく帰って来たな。 まあな。 225 00:18:10,964 --> 00:18:13,264 (伝衛門)さっきは 悪かったな。 226 00:18:15,635 --> 00:18:20,640 おじさん。 これから 毎晩 俺が風呂たきしてやるよ。 227 00:18:20,640 --> 00:18:25,940 (伝衛門)そうか。 頼んだぞ。 任せなって。 228 00:18:32,252 --> 00:18:38,652 わしが大学4年のとき 親父が病気で急死した。 229 00:18:40,594 --> 00:18:48,602 弱冠22歳で親父の跡を継ぎ 三枝家の当主となった。 230 00:18:48,602 --> 00:18:55,942 そして この田畑 山林を受け継いだ。 231 00:18:55,942 --> 00:19:00,614 だが 本当に受け継ぐべきものが 何だったのか⇒ 232 00:19:00,614 --> 00:19:03,614 理解するまでに 時間がかかった。 233 00:19:06,953 --> 00:19:13,960 三枝家の田畑で働き 生きている 小作の家族は 200人以上だ。 234 00:19:13,960 --> 00:19:21,301 この者たちの生活を守ること。 わしが受け継いだことだ。 235 00:19:21,301 --> 00:19:23,701 わし 一人でだ。 236 00:19:26,306 --> 00:19:32,579 最近まで 甲州の川は大雨になると 荒れて 大洪水になった。 237 00:19:32,579 --> 00:19:35,579 そのたびに 苦労するのは小作たちだ。 238 00:19:37,250 --> 00:19:40,250 彼らに 余分な蓄えはない。 239 00:19:41,921 --> 00:19:45,921 冬が来れば 年を越せない者まで出てくる。 240 00:19:47,927 --> 00:19:52,627 わし一人で どうにもならない時もあった。 241 00:19:57,937 --> 00:20:01,237 (伝衛門)この一大事業を 文彦が受け継ぐ。 242 00:20:02,942 --> 00:20:08,615 だから 文彦に弟が出来たときは 大いに喜んだ。 243 00:20:08,615 --> 00:20:13,953 これで 文彦に良き相談相手が 出来たと思った。 244 00:20:13,953 --> 00:20:23,963 それが 3年前 風邪をこじらせ あっけなく死んでしまった。 245 00:20:23,963 --> 00:20:27,263 あっけなくだ。 246 00:20:29,235 --> 00:20:35,575 それで お前だ。 俺? 247 00:20:35,575 --> 00:20:39,913 くだらん理由で 一度は 他人にゆだねたが⇒ 248 00:20:39,913 --> 00:20:43,213 お前は 自分の意志で 帰って来てくれた。 249 00:20:44,918 --> 00:20:47,587 わしは 確信した。 250 00:20:47,587 --> 00:20:52,592 お前との出会いは 単なる偶然じゃない。 251 00:20:52,592 --> 00:20:56,930 運命に導かれたんだとな。 252 00:20:56,930 --> 00:21:00,630 へえ。 運命か。 253 00:21:02,268 --> 00:21:06,272 鎌倉の鶴岡八幡宮って 神社を知ってるか? 254 00:21:06,272 --> 00:21:07,941 ああ。 知ってる。 255 00:21:07,941 --> 00:21:12,278 そこの鳥居の下に 捨てられてたんだってさ。 256 00:21:12,278 --> 00:21:14,278 お前がか? 257 00:21:19,953 --> 00:21:26,953 それで 鳥居捨松か。 うん。 258 00:21:31,898 --> 00:21:38,198 今日から お前は鳥居猛だ。 いいな。 259 00:21:39,906 --> 00:21:42,909 うん…。 やっ いや。 はい。 260 00:21:42,909 --> 00:21:49,609 フッフフフフ。 ハハハハハッ。 261 00:21:58,258 --> 00:22:02,929 お兄さま! 何をしているのですか? 262 00:22:02,929 --> 00:22:06,266 (文彦)モズが卵を 産んだかどうか 見てみたのさ。 263 00:22:06,266 --> 00:22:10,966 どうでした? 残念ながら まだ何もないよ。 264 00:22:14,607 --> 00:22:18,907 お前は 危ないから 登るんじゃないぞ。 はい。 265 00:22:27,620 --> 00:22:29,956 (絹)今日は お早いのですか? 266 00:22:29,956 --> 00:22:32,292 (伝衛門)県庁のあと 農事試験所に寄って来る。 267 00:22:32,292 --> 00:22:34,627 (絹)はい。 ブドウは 海外のものではなくて⇒ 268 00:22:34,627 --> 00:22:37,297 甲州の土地に合った品種を 開発すべきなんだ。 269 00:22:37,297 --> 00:22:39,299 そのお説は ごもっともでしょうが⇒ 270 00:22:39,299 --> 00:22:41,634 旦那さまのご予定を 伺っているんですけど。 271 00:22:41,634 --> 00:22:43,636 ああ そうか。 夕飯までには 帰りたいと思っている。 272 00:22:43,636 --> 00:22:45,305 (絹)承知いたしました。 273 00:22:45,305 --> 00:22:48,305 あっ。 時計だ。 (絹)あっ。 はい ただいま。 274 00:22:49,976 --> 00:22:55,315 (絹)あら。 見当たりませんが。 うん? そんなことはないだろう。 275 00:22:55,315 --> 00:22:56,983 わしは いつも ここに置いてるんだ。 276 00:22:56,983 --> 00:22:59,986 お滝さん。 あのね…。 277 00:22:59,986 --> 00:23:02,989 誰か わしの懐中時計を知らんか? 278 00:23:02,989 --> 00:23:07,327 (お滝)あの そのことなんですが。 どうかしたか? 279 00:23:07,327 --> 00:23:08,995 (竹)ゆうべ あの子が⇒ 280 00:23:08,995 --> 00:23:11,331 「たたき売っても 一財産になる」 とか言ってました。 281 00:23:11,331 --> 00:23:14,667 お父さま。 違います。 猛君じゃありません。 282 00:23:14,667 --> 00:23:16,336 ほかの者は どうだ? 283 00:23:16,336 --> 00:23:18,671 徹。 (徹)はい。 お前は 心当たりないか? 284 00:23:18,671 --> 00:23:20,340 (徹)いいえ。 わしは。 285 00:23:20,340 --> 00:23:22,342 旦那さま。 それは違います。 286 00:23:22,342 --> 00:23:25,345 このウチの者は 皆 信用のおける者ばかりです。 287 00:23:25,345 --> 00:23:27,947 このウチの者より まずは あの子を問いただすべきです。 288 00:23:27,947 --> 00:23:29,616 お父さま。 お母さま。 289 00:23:29,616 --> 00:23:32,285 (お滝)お嬢さま。 学校に遅れますよ。 290 00:23:32,285 --> 00:23:33,953 (文彦)ひかる。 行くぞ。 291 00:23:33,953 --> 00:23:37,290 (絹)二人とも 出かけなさい。 学校が第一です。 でも! 292 00:23:37,290 --> 00:23:39,990 (絹)お末。 (末)さあ 参りましょう。 293 00:23:44,631 --> 00:23:46,631 猛を呼べ。 294 00:23:52,639 --> 00:23:54,307 (末)お嬢さま? 295 00:23:54,307 --> 00:24:05,318 ♪ 296 00:24:05,318 --> 00:24:08,321 俺は 金時計なんか 持ち出してない! 297 00:24:08,321 --> 00:24:10,990 本当に お前じゃないんだな? 298 00:24:10,990 --> 00:24:12,990 俺じゃない! 299 00:24:15,995 --> 00:24:18,665 信じていいんだな? 300 00:24:18,665 --> 00:24:21,665 信じられないなら それでもいい! 301 00:24:27,607 --> 00:24:33,947 <世の中で ただ一人 信じる事が 出来る大人だと思った伝衛門に⇒ 302 00:24:33,947 --> 00:24:36,950 身に覚えのない 疑いをかけられ⇒ 303 00:24:36,950 --> 00:24:40,950 猛の心には 嵐が吹き荒れていました>