1 00:02:32,496 --> 00:02:34,496 2 00:02:38,368 --> 00:02:42,372 <伝衛門と みなしごの少年の 偶然ではない出会い。⇒ 3 00:02:42,372 --> 00:02:47,377 そして 猛と ひかるを結ぶ 目には見えない きずな。⇒ 4 00:02:47,377 --> 00:02:51,715 しかし 伝衛門の 金無垢の 懐中時計がなくなり⇒ 5 00:02:51,715 --> 00:02:56,386 その疑いが 猛に向けられたのでした> 6 00:02:56,386 --> 00:02:59,056 (猛)俺は金時計なんか 持ち出してない! 7 00:02:59,056 --> 00:03:03,456 (伝衛門)信じていいんだな? 信じられないなら それでもいい。 8 00:03:06,396 --> 00:03:08,696 分かった。 信じよう。 9 00:03:12,402 --> 00:03:14,404 もう いいか? 10 00:03:14,404 --> 00:03:18,004 ああ。 すまなかった。 11 00:03:29,686 --> 00:03:31,386 (伝衛門)出かける。 12 00:03:37,694 --> 00:03:42,699 ♬『Delight of my love』 13 00:03:42,699 --> 00:03:56,713 ♬~ 14 00:03:56,713 --> 00:04:16,733 ♬~ 15 00:04:16,733 --> 00:04:36,687 ♬~ 16 00:04:36,687 --> 00:04:56,707 ♬~ 17 00:04:56,707 --> 00:05:06,707 ♬~ 18 00:05:07,718 --> 00:05:12,389 どうせ俺のことなんか 誰も信じてないんだ。 19 00:05:12,389 --> 00:05:14,689 あんな金時計…。 20 00:05:17,728 --> 00:05:19,730 ちくしょう! 21 00:05:19,730 --> 00:05:21,430 (ひかる)猛君! 22 00:05:23,066 --> 00:05:25,068 ああ。 もう 帰りかい? 23 00:05:25,068 --> 00:05:28,071 (ひかる)時計のことで 気になることがあるのよ。 24 00:05:28,071 --> 00:05:32,342 もう いいよ。 どうせ 俺が盗んだって疑われてんだ。 25 00:05:32,342 --> 00:05:34,344 だから 疑いを晴らすのよ。 26 00:05:34,344 --> 00:05:36,344 えっ? 27 00:05:43,020 --> 00:05:45,355 (ひかる)ねえ。 時計があるでしょう? 28 00:05:45,355 --> 00:05:47,691 いや。 何もないよ。 29 00:05:47,691 --> 00:05:54,031 本当? おかしいな。 今朝 お兄様が何かしていたのよ。 30 00:05:54,031 --> 00:05:57,034 本当にモズの卵を 心配してたんだよ。 31 00:05:57,034 --> 00:05:59,036 そうかなあ。 32 00:05:59,036 --> 00:06:01,371 そんなこと 誰にも言っちゃダメだよ。 33 00:06:01,371 --> 00:06:02,971 うん。 34 00:06:04,708 --> 00:06:15,719 ♪ 35 00:06:15,719 --> 00:06:25,729 ♪ 36 00:06:25,729 --> 00:06:27,729 ≪(足音) 37 00:06:31,668 --> 00:06:34,671 (文彦)お前に ないしょの話があるんだ。 38 00:06:34,671 --> 00:06:37,674 (猛)どうぞ。 39 00:06:37,674 --> 00:06:41,678 お前がお父様の金時計を 盗んだのは分かってるんだ。 40 00:06:41,678 --> 00:06:46,349 へえ。 どうして そんなことが言えるんですか? 41 00:06:46,349 --> 00:06:50,353 証拠はある。 警察を呼んで しょっぴいてもらったっていいんだ。 42 00:06:50,353 --> 00:06:52,022 怖いな それは。 43 00:06:52,022 --> 00:06:54,357 だったら 今すぐ この家から出てけ。 44 00:06:54,357 --> 00:06:57,360 そうすれば 俺が穏便に済むように 取り計らってやる。 45 00:06:57,360 --> 00:06:59,362 それは 俺のせりふだよ。 46 00:06:59,362 --> 00:07:03,033 もう 金時計は 鳥の巣箱にはないぜ。 えっ? 47 00:07:03,033 --> 00:07:08,371 そんな素直に青ざめんなよ。 こっちが戸惑うぜ。 48 00:07:08,371 --> 00:07:13,043 親父様の金時計を盗んで 鳥の巣箱に隠し➡ 49 00:07:13,043 --> 00:07:15,712 この蔵のどこかに 隠し直して➡ 50 00:07:15,712 --> 00:07:20,050 俺に罪を着せようと 思ってたんだろ? 51 00:07:20,050 --> 00:07:24,721 浅知恵だな。 そんなこと とっくにお見通しさ。 52 00:07:24,721 --> 00:07:26,389 どうして…? 53 00:07:26,389 --> 00:07:29,059 だから お坊ちゃんは甘いんだよ。 54 00:07:29,059 --> 00:07:34,331 俺が親父様に かくかくしかじかと 話せば お前は どうなる? 55 00:07:34,331 --> 00:07:36,666 心配すんなよ。 56 00:07:36,666 --> 00:07:40,337 ここは 俺が罪をかぶっても いいと思ってるんだ。 えっ? 57 00:07:40,337 --> 00:07:42,672 俺が犯人だと名のり出れば➡ 58 00:07:42,672 --> 00:07:46,343 親父様は 俺を この家から 追い出そうとするだろう? 59 00:07:46,343 --> 00:07:48,678 そこで お前の出番だ。 60 00:07:48,678 --> 00:07:51,348 「それじゃ あまりに かわいそうだ。➡ 61 00:07:51,348 --> 00:07:55,352 この猛を一人前にするまでは この家に置くべきです。➡ 62 00:07:55,352 --> 00:07:58,688 身を立つようにすると言ったのは お父様です」って➡ 63 00:07:58,688 --> 00:08:01,024 お前が言えばいいんだ。 64 00:08:01,024 --> 00:08:04,027 そうすれば 褒められるのは お坊ちゃまだ。 65 00:08:04,027 --> 00:08:07,364 罰を受けるのは俺だ。 66 00:08:07,364 --> 00:08:09,964 悪い取り引きじゃないぜ。 67 00:08:15,705 --> 00:08:17,374 もう一度言ってみろ。 68 00:08:17,374 --> 00:08:20,377 (猛)旦那様の金時計は 俺が持ち出しました。 69 00:08:20,377 --> 00:08:22,045 たいへん申し訳ありません。 70 00:08:22,045 --> 00:08:25,715 (伝衛門)さっきお前は 絶対に自分ではないと言った。 71 00:08:25,715 --> 00:08:27,384 わしは それを信じた。 72 00:08:27,384 --> 00:08:31,984 嘘をつきました。 申し訳ありませんでした。 73 00:08:35,325 --> 00:08:37,327 本当にお前が盗んだのか? 74 00:08:37,327 --> 00:08:39,996 はい。 わたしです。 75 00:08:39,996 --> 00:08:41,665 まちがいないんだな? 76 00:08:41,665 --> 00:08:44,668 嘘でしょう!? 申し訳ありませんでした。 77 00:08:44,668 --> 00:08:46,368 (伝衛門)なぜ わしに嘘をついた? 78 00:08:58,014 --> 00:09:01,414 これは 時計を盗んだ罰だ。 79 00:09:03,353 --> 00:09:05,021 うっ…。 80 00:09:05,021 --> 00:09:07,721 これは わしを裏切った罰だ。 81 00:09:09,359 --> 00:09:11,027 (絹)よく見ているのです。 82 00:09:11,027 --> 00:09:14,030 (伝衛門)今すぐこの家から出てけ。 83 00:09:14,030 --> 00:09:16,700 えっ…? (伝衛門)二度と顔も見たくない。 84 00:09:16,700 --> 00:09:18,368 お父様…。 85 00:09:18,368 --> 00:09:20,370 旦那様。 86 00:09:20,370 --> 00:09:23,039 この子を追い出すのだけは おやめください。 87 00:09:23,039 --> 00:09:24,708 (伝衛門)何? 88 00:09:24,708 --> 00:09:26,710 (絹)金時計は 戻ってまいりましたし➡ 89 00:09:26,710 --> 00:09:28,712 この子も名のり出て 非を認めました。➡ 90 00:09:28,712 --> 00:09:30,981 罰も十分に受けました。 91 00:09:30,981 --> 00:09:32,649 わしを裏切ったのが許せんのだ。 92 00:09:32,649 --> 00:09:36,319 (絹)でも この子の身を立つように してやりたいと➡ 93 00:09:36,319 --> 00:09:39,656 おっしゃったのは旦那様です。➡ 94 00:09:39,656 --> 00:09:41,992 人はまちがいを犯すもの。 95 00:09:41,992 --> 00:09:46,329 反省し 改めるのなら それを許し 見守ってやるのが➡ 96 00:09:46,329 --> 00:09:49,666 旦那様の生き方では なかったのですか? 97 00:09:49,666 --> 00:09:53,670 本当に そう思うのか? はい。 98 00:09:53,670 --> 00:09:59,342 分かった。 今回は お前に免じて許そう。 99 00:09:59,342 --> 00:10:01,678 (絹)ありがとうございます。 100 00:10:01,678 --> 00:10:04,347 (伝衛門)絹への感謝を 忘れるでないぞ。 101 00:10:04,347 --> 00:10:07,350 はい。 ありがとうござい…。 イテテテ。 102 00:10:07,350 --> 00:10:10,687 猛君! (絹)大丈夫よ。 わたしが手当てします。⇒ 103 00:10:10,687 --> 00:10:12,355 大丈夫? 104 00:10:12,355 --> 00:10:15,358 あっ イテテテ。 あっ イテテテ。 105 00:10:15,358 --> 00:10:19,696 (絹)お前は 本当に強い子です。 106 00:10:19,696 --> 00:10:22,699 もうちょっと 優しくやってくれよ。 107 00:10:22,699 --> 00:10:27,370 そしてお前は 本当に怖い子です。 何がさ? 108 00:10:27,370 --> 00:10:31,308 わたしが さっき お前をかばったのは➡ 109 00:10:31,308 --> 00:10:35,979 文彦に屈辱を 味わわせたくなかったから。 110 00:10:35,979 --> 00:10:39,983 文彦はこの家の長男。 跡取りです。 お前に脅されて⇒ 111 00:10:39,983 --> 00:10:42,319 こびるようなまねを させるわけには まいりません。 112 00:10:42,319 --> 00:10:47,657 イテテテ…。 何もかも知ってたんだ。 113 00:10:47,657 --> 00:10:49,326 ええ。 114 00:10:49,326 --> 00:10:53,997 旦那様はああいう方だから お前が 取り入るのは簡単でしょうが➡ 115 00:10:53,997 --> 00:10:58,335 この家の子供を守るのは 私の務めです。 116 00:10:58,335 --> 00:11:00,337 おっかないなあ。 117 00:11:00,337 --> 00:11:02,339 当たり前です。 118 00:11:02,339 --> 00:11:07,010 母というものは子供のためには 鬼にも夜叉にもなるものです。 119 00:11:07,010 --> 00:11:10,347 忘れては なりませんよ。 120 00:11:10,347 --> 00:11:15,685 怖い顔だ。 あぁ イテテテ…。 121 00:11:15,685 --> 00:11:17,985 ああ 痛いよ。 122 00:11:21,691 --> 00:11:25,691 お父様。 どうしてお酒なんか 飲んでいるんですか? 123 00:11:29,632 --> 00:11:31,634 猛君のこと? 124 00:11:31,634 --> 00:11:33,970 あんなヤツを 猛などと呼ぶな。 125 00:11:33,970 --> 00:11:36,970 金時計を盗んだのは 猛君じゃないわ。 126 00:11:44,647 --> 00:11:47,984 (絹)情けのうございます。 127 00:11:47,984 --> 00:11:49,984 あまりに情けなくて。 128 00:11:53,656 --> 00:11:59,356 (伝衛門)しかし どうして猛は 自分が罪をかぶるようなまねを? 129 00:12:01,664 --> 00:12:08,964 (絹)文彦は逆手に取られ屈服し 情けのうございます。 130 00:12:11,341 --> 00:12:14,641 それで おまんが…。 (絹)ええ。 131 00:12:17,347 --> 00:12:21,647 分かった。 この件は これまでだ。 132 00:12:23,353 --> 00:12:25,688 文彦を おとがめに ならないのですか? 133 00:12:25,688 --> 00:12:29,988 おまんから 自分を振り返るように 言い聞かせてくれ。 134 00:12:31,694 --> 00:12:35,365 (伝衛門)わしの怒りの矛先を 文彦に向けることは➡ 135 00:12:35,365 --> 00:12:38,368 あいつの芽を摘むことになる。 136 00:12:38,368 --> 00:12:44,668 ありがとうございます。 文彦には よく申しておきます。 137 00:12:49,379 --> 00:12:55,385 猛は 芯の強いヤツだ。 わしが一から仕込み➡ 138 00:12:55,385 --> 00:13:00,723 将来は 文彦を補佐する人間に なってもらいたいと思っている。➡ 139 00:13:00,723 --> 00:13:06,396 そんな思いを込めて あいつを猛と名付けたいのだ。 140 00:13:06,396 --> 00:13:08,064 どうだろう 絹? 141 00:13:08,064 --> 00:13:09,764 でも あの子は 怖い子でもあります。 142 00:13:13,403 --> 00:13:16,406 (伝衛門)武田信玄公の昔から➡ 143 00:13:16,406 --> 00:13:21,411 甲斐の国を治めるには 何よりも治水が大事じゃった。 144 00:13:21,411 --> 00:13:29,085 ごく当たり前のことだが 農業の基本は土と水だ。 145 00:13:29,085 --> 00:13:31,085 何が言いたいんだよ? 146 00:13:35,024 --> 00:13:38,024 やめろ! 土なんか食えねえぜ! 147 00:13:40,363 --> 00:13:44,367 地主だ 旦那様だと言われても しょせん わしは百姓だ。 148 00:13:44,367 --> 00:13:47,967 だから こうして 毎日 土に尋ねるんだ。 149 00:13:49,706 --> 00:13:55,406 今日は水が欲しいのか 肥料は何がいいのか とな。 150 00:13:58,047 --> 00:14:01,050 土に? 151 00:14:01,050 --> 00:14:05,388 自然は正直だ。 嘘は言わん。 152 00:14:05,388 --> 00:14:09,688 こちらが謙虚に尋ねれば 何でも正直に語ってくれる。 153 00:14:13,396 --> 00:14:19,068 金時計の件 絹からすべて聞いた。 154 00:14:19,068 --> 00:14:22,071 お前が三枝家にいたいのなら➡ 155 00:14:22,071 --> 00:14:24,471 なぜ正直に そう言ってくれなかったんだ? 156 00:14:26,075 --> 00:14:28,475 なぜ わしにまで嘘をついた? 157 00:14:30,680 --> 00:14:32,682 申し訳ありません! 158 00:14:32,682 --> 00:14:36,982 文彦さんがいいと言えば この家に ずっといられると思ったのです。 159 00:14:38,688 --> 00:14:43,693 男たるもの 物事には 真正面から全力でぶつかれ。 160 00:14:43,693 --> 00:14:47,363 そうすれば 必ず道は開ける。 161 00:14:47,363 --> 00:14:49,363 はい。 162 00:14:54,704 --> 00:14:58,708 猛。 わしはな この村を この国を➡ 163 00:14:58,708 --> 00:15:02,712 誰もが豊かで住みやすい国に したいと願っている。 164 00:15:02,712 --> 00:15:07,412 わし一代で成し遂げられるほど なまやさしい仕事ではない。 165 00:15:12,388 --> 00:15:14,724 (伝衛門)そうか。 読み書きは できるのか。 166 00:15:14,724 --> 00:15:16,392 うん。 167 00:15:16,392 --> 00:15:19,729 そろばんは どうだ? むちゃくちゃ苦手だ。 168 00:15:19,729 --> 00:15:21,397 じゃあ 明日から猛特訓だな。 169 00:15:21,397 --> 00:15:24,067 ええっ? 勘弁してくれよ。 フフフ。 170 00:15:24,067 --> 00:15:27,737 (欣造)ごめんくださいまし。 (伝衛門)おお 欣造か。 171 00:15:27,737 --> 00:15:30,340 旦那様。 いい知らせでございますよ。 172 00:15:30,340 --> 00:15:33,009 うん? このガキの身元が分かりました。 173 00:15:33,009 --> 00:15:34,677 俺の身元だって? 174 00:15:34,677 --> 00:15:36,679 (欣造)そのことで 愛育園の園長先生が➡ 175 00:15:36,679 --> 00:15:39,015 お越しくださったんです。 176 00:15:39,015 --> 00:15:43,353 (伝衛門)そうか。 お通ししろ。 (欣造)はい。 177 00:15:43,353 --> 00:15:45,353 (欣造)黒岩先生。 どうぞ。 178 00:15:50,693 --> 00:15:54,364 (黒岩)はじめまして。 黒岩重五郎と申します。➡ 179 00:15:54,364 --> 00:15:56,699 鳥居捨松が たいへんお世話になりまして➡ 180 00:15:56,699 --> 00:15:58,701 恐縮しております。 181 00:15:58,701 --> 00:16:02,705 (伝衛門)ああ。 顔をお上げ ください。 (黒岩)はあ。 182 00:16:02,705 --> 00:16:06,042 三枝伝衛門と申します。 183 00:16:06,042 --> 00:16:08,442 とりあえず お上がりください。 (黒岩)はい。 184 00:16:12,348 --> 00:16:14,684 (伝衛門)なるほど。 親への感謝の気持ちが➡ 185 00:16:14,684 --> 00:16:17,353 人としての基本的な心構えだと。 186 00:16:17,353 --> 00:16:22,358 はい。 わが子を捨てたくて 捨てる親は どこにもおりません。 187 00:16:22,358 --> 00:16:26,295 親が産んでくれたからこそ この子たちは 今 いるのです。 188 00:16:26,295 --> 00:16:31,968 まさに そのとおり。 すばらしい教育方針ですな。➡ 189 00:16:31,968 --> 00:16:34,971 で この子の身元は? 190 00:16:34,971 --> 00:16:38,975 (黒岩)幸いなことに 母親が名のり出てきたのです。 191 00:16:38,975 --> 00:16:40,643 えっ? 192 00:16:40,643 --> 00:16:49,318 (黒岩)姓名 平井英恵。 年齢 33歳。 本籍地 神奈川県三崎村。 193 00:16:49,318 --> 00:16:53,322 この子は 裕太と名付けられたそうです。 194 00:16:53,322 --> 00:16:54,991 平井裕太か…。 195 00:16:54,991 --> 00:16:57,994 (黒岩)捨てた理由は 父無し子で貧困から。➡ 196 00:16:57,994 --> 00:17:04,694 大正7年で 今から9年前。 鶴岡八幡宮の鳥居の下。 197 00:17:06,669 --> 00:17:12,341 相分かった。 が なぜ 母親は ここに来ないのですか? 198 00:17:12,341 --> 00:17:18,347 母親はもちろん来ると言いました。 しかし 過去には➡ 199 00:17:18,347 --> 00:17:21,684 いきなり母親に殴りかかった子も おりましたもので。 200 00:17:21,684 --> 00:17:25,384 まずは 子供の気持ちを 確かめてからということですな。 201 00:17:27,623 --> 00:17:33,296 (黒岩)捨松。 いや 裕太。 お前の気持ちが聞きたい。➡ 202 00:17:33,296 --> 00:17:35,631 母親に会いたくはないか?➡ 203 00:17:35,631 --> 00:17:38,634 母親といっしょに 暮らすことは考えられんか? 204 00:17:38,634 --> 00:17:40,634 俺は…。 205 00:17:44,307 --> 00:17:55,651 ♬~ 206 00:17:55,651 --> 00:18:00,351 俺に おっかさんがいただなんて 信じられないんだ。 207 00:18:02,325 --> 00:18:06,662 (伝衛門)気持ちは分かるが 奇跡が起きたんだ。 208 00:18:06,662 --> 00:18:09,332 ためらわずに会いに行け。 209 00:18:09,332 --> 00:18:11,632 俺に おっかさんと 暮らせと言うのかい? 210 00:18:13,669 --> 00:18:15,669 それが いちばんだろう? 211 00:18:26,282 --> 00:18:31,282 お前も山へ帰りたいのか? 親に会いたいのか? 212 00:18:34,957 --> 00:18:39,657 よし。 傷は もう治った。 親のところへ帰ろう。 213 00:18:43,299 --> 00:18:46,299 (ひかる)猛君。 ウサギさんを どうするの? 214 00:18:49,639 --> 00:18:51,339 猛君! 215 00:18:56,979 --> 00:18:59,649 (絹)お茶が入りました。 216 00:18:59,649 --> 00:19:01,984 うん。 217 00:19:01,984 --> 00:19:04,654 しかし ようございましたねえ。 218 00:19:04,654 --> 00:19:06,656 何が? 219 00:19:06,656 --> 00:19:09,992 実の母親が見つかって 再会できるなんて➡ 220 00:19:09,992 --> 00:19:12,995 すばらしいことでは ありませんか? 221 00:19:12,995 --> 00:19:14,664 まあな。 222 00:19:14,664 --> 00:19:16,999 あら。 あの子に 出て行ってほしくない➡ 223 00:19:16,999 --> 00:19:19,669 ご様子ですこと。 224 00:19:19,669 --> 00:19:21,337 うん…。 225 00:19:21,337 --> 00:19:25,675 母親に再会でき 共に暮らすことが できるのは➡ 226 00:19:25,675 --> 00:19:28,675 あの子にとって いちばんの幸せです。 227 00:19:30,947 --> 00:19:33,950 (伝衛門)分かっておる。 228 00:19:33,950 --> 00:19:36,950 (絹)がっかりした ご様子ですこと。 229 00:19:39,288 --> 00:19:45,294 (絹)正直言って 私は 心からほっとしております。➡ 230 00:19:45,294 --> 00:19:49,966 これで三枝の家も 以前どおりに。 231 00:19:49,966 --> 00:19:55,638 心の中では やはり横浜の 琴子さんの子ではないかと。 232 00:19:55,638 --> 00:19:57,638 それも 杞憂に終わりました。 233 00:20:00,309 --> 00:20:02,609 わしを信用しろ。 234 00:20:06,983 --> 00:20:08,985 おい。 お前 よかったじゃないか。 235 00:20:08,985 --> 00:20:11,654 人間 何がいいって おふくろがいちばんだぞ。 236 00:20:11,654 --> 00:20:13,322 うるせえな。 237 00:20:13,322 --> 00:20:16,325 お父様は 気まぐれでお前を置いただけだ。 238 00:20:16,325 --> 00:20:18,661 お前がこの家にいることを 望んでる人間は➡ 239 00:20:18,661 --> 00:20:20,661 一人としていないんだ。 240 00:20:22,331 --> 00:20:26,631 安心しろ。 俺は出て行くことに決めたから。 241 00:20:31,274 --> 00:20:33,609 (ひかる)猛君。 242 00:20:33,609 --> 00:20:35,945 もう その名前も終わりだ。 243 00:20:35,945 --> 00:20:38,948 どうして ウサギを 勝手に放したの? 244 00:20:38,948 --> 00:20:42,952 もう 傷は治ってたし あいつは野生のウサギだ。 245 00:20:42,952 --> 00:20:46,622 山で生きていくのが いちばんなんだ。 246 00:20:46,622 --> 00:20:48,291 親ウサギだって いるだろうし。 247 00:20:48,291 --> 00:20:51,961 わたしは ずっとずっと 育てようと思っていたのに。 248 00:20:51,961 --> 00:20:54,297 それは ひかるちゃんの勝手だよ。 249 00:20:54,297 --> 00:20:56,299 だって すごく好きになったんだもの。 250 00:20:56,299 --> 00:21:01,299 ずっと いっしょにいたかったわ。 それを何の断りもなく…。 ひどい。 251 00:21:02,972 --> 00:21:04,640 ごめん…。 252 00:21:04,640 --> 00:21:08,311 猛君も やっぱり行ってしまうの? 253 00:21:08,311 --> 00:21:11,981 嫌だ。 いなくなるなんて 嫌だ。 254 00:21:11,981 --> 00:21:14,984 もう決めたんだ。 何も言わないでくれ。 255 00:21:14,984 --> 00:21:16,652 嫌だ! 嫌だ! 256 00:21:16,652 --> 00:21:20,990 (絹)ひかる。 わがままを言ってはいけません。 257 00:21:20,990 --> 00:21:24,660 この人には 平井裕太という名前が ちゃんとあるのです。 258 00:21:24,660 --> 00:21:26,262 猛君だもの! 259 00:21:26,262 --> 00:21:29,932 せっかく お母さんに会えるのよ。 いっしょに暮らせるの。 260 00:21:29,932 --> 00:21:33,936 私たちは 祝って 送ってあげなければいけません。 261 00:21:33,936 --> 00:21:36,936 さあ。 皆で笑顔で送ってあげましょう。 262 00:21:38,274 --> 00:21:40,609 おばさん 本当にうれしそうだな。 263 00:21:40,609 --> 00:21:44,613 当たり前です。 お前のためにも この三枝家のためにも➡ 264 00:21:44,613 --> 00:21:46,615 いちばんいい答えが 出たんですから➡ 265 00:21:46,615 --> 00:21:49,952 うれしくないわけが ありません。 266 00:21:49,952 --> 00:21:54,623 ひかるちゃん。 そういうわけで 俺は行くから 元気でな。 267 00:21:54,623 --> 00:21:58,627 あっ。 これは 文彦が去年のお誕生日に➡ 268 00:21:58,627 --> 00:22:01,297 一度だけ手を通した シャツとズボンです。 269 00:22:01,297 --> 00:22:03,632 お母さんに会えるのだから これに着替えて。 270 00:22:03,632 --> 00:22:05,632 悪いが いらねえよ。 271 00:22:07,303 --> 00:22:09,638 遠慮は いりません。 272 00:22:09,638 --> 00:22:14,643 貧乏で俺を捨てた おっかさんだぜ。 今も貧乏してるのに決まってる。 273 00:22:14,643 --> 00:22:17,643 こんなもん 着て行っちゃ 釣り合いが取れねえよ。 274 00:22:20,316 --> 00:22:22,916 気持ちだけもらっておこう。 ありがとう。 275 00:22:24,987 --> 00:22:27,687 ひかるちゃん。 元気出せ。 276 00:22:31,994 --> 00:22:34,997 (伝衛門)猛。 これを持って行け。 277 00:22:34,997 --> 00:22:36,665 何だよ? 278 00:22:36,665 --> 00:22:40,669 金だ。 何かと必要になる。 279 00:22:40,669 --> 00:22:42,369 ありがと。 280 00:22:45,007 --> 00:22:49,011 何かあったら 必ず連絡をよこすんだぞ。 281 00:22:49,011 --> 00:22:52,411 どんなことでも 絶対に力になってやる。 282 00:22:56,352 --> 00:22:57,952 達者でな。 283 00:23:00,356 --> 00:23:03,356 おじさん。 飲みすぎんなよ。 284 00:23:08,030 --> 00:23:12,430 名残は尽きぬ。 ここで見送らせてくれ。 285 00:23:16,038 --> 00:23:18,707 ひかるちゃんは? 286 00:23:18,707 --> 00:23:22,044 (伝衛門)どうした? (絹)さっきまでおりましたのに➡ 287 00:23:22,044 --> 00:23:25,381 きっと別れがつらくて 出てこないのでしょう。 288 00:23:25,381 --> 00:23:29,981 (伝衛門)そうか。 それほどまでに 猛のことを…。 289 00:23:32,321 --> 00:23:33,921 じゃあ 俺 行くよ。 290 00:23:36,992 --> 00:23:38,692 あばよ! 291 00:23:46,335 --> 00:23:49,672 (坂本)汽車の時間まで 駅前の旅館で一杯やりましょう。 292 00:23:49,672 --> 00:23:51,674 (黒岩)ああ。 293 00:23:51,674 --> 00:23:55,678 (黒岩)飛んで火に入る夏の虫とは あの小僧のことだ。 294 00:23:55,678 --> 00:23:58,013 (坂本) 先生もなかなかのワルだぜ。⇒ 295 00:23:58,013 --> 00:24:01,350 ガキが大きくなれば 親が見つかったと言っちゃ➡ 296 00:24:01,350 --> 00:24:03,352 満州の馬賊に 売ってるんだから。 297 00:24:03,352 --> 00:24:07,022 おお。 来た来た。 298 00:24:07,022 --> 00:24:10,359 (黒岩)あれだけ元気じゃ 高く売れるぞ。 299 00:24:10,359 --> 00:24:13,362 フフフフ。 ハハハハ。 300 00:24:13,362 --> 00:24:16,365 先生。 何 笑ってんだよ? 301 00:24:16,365 --> 00:24:20,369 (黒岩)何だ それは? ダメだ! それは…。 302 00:24:20,369 --> 00:24:24,707 (黒岩)さすが三枝家だ。 ガキに こんな大金 渡してやがる。 303 00:24:24,707 --> 00:24:27,707 (黒岩)ハハハ。 (坂本)ハハハ。 304 00:24:30,980 --> 00:24:41,380 ♬~