1 00:02:47,676 --> 00:02:49,676 2 00:02:53,548 --> 00:02:55,884 (黒岩)あれだけ元気じゃ 高く売れるぞ。 3 00:02:55,884 --> 00:02:59,221 (坂本・黒岩)ハハハハハハ。 4 00:02:59,221 --> 00:03:02,557 (猛)先生。 何 笑ってんだよ? (黒岩)何だ? それは。 5 00:03:02,557 --> 00:03:05,560 ダメだ! それは…。 6 00:03:05,560 --> 00:03:10,232 (黒岩)さすが 三枝家だ。 ガキに こんな大金 渡してやがる。 7 00:03:10,232 --> 00:03:13,632 (二人の笑い声) 8 00:03:17,572 --> 00:03:22,577 ♪『Delight of my love』 9 00:03:22,577 --> 00:03:35,590 ♪ 10 00:03:35,590 --> 00:03:55,543 ♪ 11 00:03:55,543 --> 00:04:15,563 ♪ 12 00:04:15,563 --> 00:04:35,583 ♪ 13 00:04:35,583 --> 00:04:45,583 ♪ 14 00:04:48,530 --> 00:04:52,867 (坂本)あのガキで 18人目だな。 先生に頼まれて売り飛ばすのは。 15 00:04:52,867 --> 00:04:55,203 (黒岩)来年は 女の子が二人だ。 16 00:04:55,203 --> 00:05:00,208 ほう。 それは 南方の売春宿が 大喜びで高く買うぜ。 17 00:05:00,208 --> 00:05:03,545 ああ。 女のほうが 商品価値は上だからな。 18 00:05:03,545 --> 00:05:06,881 (二人の笑い声) 売り飛ばした みんなを返せ! 19 00:05:06,881 --> 00:05:11,219 (坂本)ほう。 ガキ。 威勢がいいな。 もう一度 言ってみな。 20 00:05:11,219 --> 00:05:13,219 この人買いめ! 21 00:05:15,223 --> 00:05:19,561 ウーッ。 (黒岩・坂本)ハハハハハハ。 22 00:05:19,561 --> 00:05:29,571 ♪ 23 00:05:29,571 --> 00:05:31,239 (伝衛門)ひかる。 どこへ行っていたんだ? 24 00:05:31,239 --> 00:05:34,239 (ひかる)お父さま! 猛君が! 25 00:05:35,910 --> 00:05:37,912 どうしたんじゃ!? 26 00:05:37,912 --> 00:05:39,914 やめろ! クソ野郎! 27 00:05:39,914 --> 00:05:45,854 まだ泣かねえか。 いい根性だ。 やられて たまるかよ! 28 00:05:45,854 --> 00:05:50,191 仕込みしだいで いい馬賊に なるぞ。 もう少し 値を弾め。 29 00:05:50,191 --> 00:05:52,591 ハハハ。 アイテッ! 30 00:05:55,530 --> 00:05:58,867 イテッ! おい。 ケガさせるな。 31 00:05:58,867 --> 00:06:00,867 (伝衛門)猛! おじさん! 32 00:06:02,537 --> 00:06:05,537 (黒岩)これは これは 三枝さん。 園長先生。 33 00:06:08,543 --> 00:06:12,543 この金で 猛を買い戻したい。 34 00:06:15,216 --> 00:06:16,885 (坂本)おっ。 こんなに! 35 00:06:16,885 --> 00:06:22,585 (黒岩)おい。 この旦那の 懐を探ってみろ。 ウッ。 36 00:06:28,897 --> 00:06:30,597 オッ! 37 00:06:34,903 --> 00:06:39,240 この金を持って さっさと 甲州から出ていけ! 38 00:06:39,240 --> 00:06:42,911 間もなく 警官隊が到着するぞ。 39 00:06:42,911 --> 00:06:46,611 (黒岩)クソッ! (坂本)一人で行くな! 40 00:06:48,516 --> 00:06:51,519 おじさん。 助かったぜ。 ありがとう。 41 00:06:51,519 --> 00:06:53,521 謝るのは わしのほうだ。 42 00:06:53,521 --> 00:06:57,525 あんなヤツらの言うことを信じて すまん。 43 00:06:57,525 --> 00:07:00,195 それより 俺の前にも 大勢 売られたんだ。 44 00:07:00,195 --> 00:07:03,531 それを 何とかしてくれ! 分かった。 45 00:07:03,531 --> 00:07:07,531 できるだけのことは してやる。 任せておけ。 46 00:07:12,540 --> 00:07:16,140 結局 俺の母ちゃんは いなかったんだ。 47 00:07:20,882 --> 00:07:23,218 どうして あそこが分かったんだ? 48 00:07:23,218 --> 00:07:27,555 ひかるは ここで おまんに 別れを言おうと 待っていて⇒ 49 00:07:27,555 --> 00:07:29,891 あの二人の悪だくみを聞いたんだ。 50 00:07:29,891 --> 00:07:33,591 それを わしに伝えようと 必死で走って…。 51 00:07:36,231 --> 00:07:38,233 (伝衛門)信玄公の言葉に⇒ 52 00:07:38,233 --> 00:07:41,569 「人は石垣。 人は城」 というのがある。 53 00:07:41,569 --> 00:07:43,905 どういう意味だ? 54 00:07:43,905 --> 00:07:49,511 国をつくるのは人。 それを守るのも人ということだ。 55 00:07:49,511 --> 00:07:52,180 この 生まれ故郷の甲斐の国を⇒ 56 00:07:52,180 --> 00:07:58,186 日本一豊かで 幸せに満ちた国に したいと思っている。 57 00:07:58,186 --> 00:08:01,186 分かるか? わしの思いが。 58 00:08:02,857 --> 00:08:05,557 俺には故郷がないから…。 59 00:08:07,529 --> 00:08:11,199 ここを 故郷とせんか? 60 00:08:11,199 --> 00:08:14,536 うん。 故郷にしたい。 いいか? 61 00:08:14,536 --> 00:08:20,875 わしは地主だ。 この村に住む 人々を 幸せにする責任がある。 62 00:08:20,875 --> 00:08:25,213 そして それは わし一代で できることではない。 63 00:08:25,213 --> 00:08:31,553 やがては 文彦が受け継ぐ 大事業だ。 64 00:08:31,553 --> 00:08:35,890 猛。 わしは おまんに 将来⇒ 65 00:08:35,890 --> 00:08:41,563 文彦を補佐し 助けてやってほしいんじゃ。 66 00:08:41,563 --> 00:08:45,563 うん。 約束してくれるか? 67 00:08:48,169 --> 00:08:52,173 俺 ずっと ここに居ていいんだね? 68 00:08:52,173 --> 00:08:54,173 もちろんじゃ。 69 00:08:57,512 --> 00:08:59,512 だったら 約束する。 70 00:09:02,183 --> 00:09:03,883 そうか。 71 00:09:05,520 --> 00:09:08,520 猛。 深呼吸をしよう。 72 00:09:13,194 --> 00:09:20,535 どうじゃ。 これが 日本一うまい 甲斐の国の空気じゃ。 73 00:09:20,535 --> 00:09:32,547 ♪ 74 00:09:32,547 --> 00:09:35,216 何をしてる? 猛。 こっちへ来い。 75 00:09:35,216 --> 00:09:36,916 はい。 76 00:09:41,222 --> 00:09:43,622 (伝衛門)そこに 正座をしろ。 77 00:09:46,494 --> 00:09:51,499 今日から 鳥居猛は わが三枝家の一員となる。 78 00:09:51,499 --> 00:09:53,501 (文彦)どういうことです? お父さま。 79 00:09:53,501 --> 00:09:58,506 平たく言えば わしの家族だ。 だから 食事をする席はここだ。 80 00:09:58,506 --> 00:10:01,509 (文彦)そこはダメです! 僕は絶対に反対です! 81 00:10:01,509 --> 00:10:03,845 だったら わたしの隣に来ればいいわ。 82 00:10:03,845 --> 00:10:06,180 (絹)ひかる。 席を決めるのは お父さまよ。 83 00:10:06,180 --> 00:10:10,852 今日から猛は わしの家族だ。 だから 席はここだ。 84 00:10:10,852 --> 00:10:13,521 いいよ。 おじさん。 俺は あそこでいい。 85 00:10:13,521 --> 00:10:15,523 なぜだ? 遠慮することはないんだぞ。 86 00:10:15,523 --> 00:10:17,859 そんなところで 飯を食うと 緊張するし⇒ 87 00:10:17,859 --> 00:10:20,528 足が疲れて 飯の味も分からなくなる。 88 00:10:20,528 --> 00:10:23,865 それに こっちのほうが 好きなんだよ。 89 00:10:23,865 --> 00:10:26,200 ならば 勝手にしろ。 90 00:10:26,200 --> 00:10:33,207 治平。 小作たちにも 今日から猛は 三枝家の一員だと伝えといてくれ。 91 00:10:33,207 --> 00:10:36,544 (治平)承知しました。 (徹)今夜は失礼します。 92 00:10:36,544 --> 00:10:40,882 うん。 さあ。 飯だ 飯だ。 (竹)ただいま すぐに。 93 00:10:40,882 --> 00:10:44,582 (伝衛門)わしは 酒じゃ。 (末)ただいま すぐに。 94 00:10:49,490 --> 00:10:53,494 (伝衛門)自然の恵みと 米や野菜を こしらえてくれた者たちに⇒ 95 00:10:53,494 --> 00:10:58,494 感謝し いただきます。 (一同)いただきます。 96 00:11:02,503 --> 00:11:05,840 うめえ! 今日の飯は 一段と うめえぜ。 97 00:11:05,840 --> 00:11:08,509 ホントだ。 おいしい! 98 00:11:08,509 --> 00:11:11,846 おい 文彦。 今夜は わしと一緒に風呂に入ろう。 99 00:11:11,846 --> 00:11:13,848 (文彦)本当ですか? お父さま。 ああ。 100 00:11:13,848 --> 00:11:15,516 わしが お前の背中を流してやる。 101 00:11:15,516 --> 00:11:18,853 やったあ! 僕が お父さまの背中を流します。 102 00:11:18,853 --> 00:11:20,855 (伝衛門)おお。 頼むぞ。 103 00:11:20,855 --> 00:11:22,857 (ひかる)お父さま。 わたしも 一緒に入りたい。 104 00:11:22,857 --> 00:11:24,525 いけません。 ひかる。 105 00:11:24,525 --> 00:11:29,525 「男女七歳にして 席を同じうせず」 ですよ。 つまんない。 106 00:11:35,536 --> 00:11:39,540 (文彦)お父さまの背中は 広いですね。 洗いがいがあります。 107 00:11:39,540 --> 00:11:41,542 (伝衛門)ハハハ。 そうだろう。 108 00:11:41,542 --> 00:11:44,212 (文彦)早く お父さまのように なりたいです。 109 00:11:44,212 --> 00:11:47,482 (伝衛門)なれるさ。 (文彦)はい。 110 00:11:47,482 --> 00:11:51,152 (伝衛門)もっと 力を入れろ。 (文彦)はい。 111 00:11:51,152 --> 00:11:53,552 (伝衛門)そうだ そうだ。 112 00:11:56,824 --> 00:11:59,827 <ひかるは 何の夢を見ているのか⇒ 113 00:11:59,827 --> 00:12:04,499 寝ながら ほほえみを浮かべていました。⇒ 114 00:12:04,499 --> 00:12:08,169 伝衛門は 猛を 三枝家の一人として⇒ 115 00:12:08,169 --> 00:12:12,569 育てていく楽しみを 思っていました> 116 00:12:15,510 --> 00:12:20,515 (絹)文彦は あなたのお気持ちが 本当に うれしかったんですわ。 117 00:12:20,515 --> 00:12:24,185 今まで 文彦に 厳しすぎたのかもしれん。 118 00:12:24,185 --> 00:12:28,189 しかるだけでは 子育てはダメだということだな。 119 00:12:28,189 --> 00:12:33,528 11歳になっても 子供は子供です。 あの子に あなたを⇒ 120 00:12:33,528 --> 00:12:37,198 取られてしまうのかもしれないと 思ったのかもしれません。 121 00:12:37,198 --> 00:12:41,536 猛にか? ええ。 あの子が来てから⇒ 122 00:12:41,536 --> 00:12:46,541 ウチの中は ひっかき回されて 大騒ぎ続きでした。 123 00:12:46,541 --> 00:12:49,544 にぎやかになって 良かったじゃないか。 124 00:12:49,544 --> 00:12:54,549 文彦も いろいろと 考えるところがあったろう。 125 00:12:54,549 --> 00:12:57,885 まだまだ幼いと思っていた ひかるも⇒ 126 00:12:57,885 --> 00:13:00,888 猛を助けるために走った。⇒ 127 00:13:00,888 --> 00:13:05,560 生まれて初めて 人のために何かをしたんだ。⇒ 128 00:13:05,560 --> 00:13:09,564 わしも 家族というものを 考える きっかけになった。 129 00:13:09,564 --> 00:13:11,566 それはそうでございますが⇒ 130 00:13:11,566 --> 00:13:13,901 女の子は おてんばになっては 困ります。 131 00:13:13,901 --> 00:13:16,237 お嫁のもらい手が なくなります。 132 00:13:16,237 --> 00:13:19,240 ハハハ。 まだまだ 先の話だ。 133 00:13:19,240 --> 00:13:24,912 それに 元気で芯の通った淑女に 育てるのは 母親の役目じゃ。 134 00:13:24,912 --> 00:13:29,584 ずるうございます。 あなたは いつも身勝手で。 135 00:13:29,584 --> 00:13:31,584 身勝手か。 136 00:13:33,254 --> 00:13:36,591 大学4年で 親父が死んで⇒ 137 00:13:36,591 --> 00:13:41,929 何も分からぬまま 何でも一人で決めて生きてきた。 138 00:13:41,929 --> 00:13:48,202 ええ。 台風で 大きな被害にあっても⇒ 139 00:13:48,202 --> 00:13:50,538 あなた どなたにも相談なさらずに⇒ 140 00:13:50,538 --> 00:13:54,208 私たちや小作たちが困らぬように 手を打ってくださいました。 141 00:13:54,208 --> 00:13:59,213 小作たちのために生きる。 それが わしの仕事だ。 142 00:13:59,213 --> 00:14:01,549 そう信じている。 143 00:14:01,549 --> 00:14:05,219 私は ただ あなたに ついていけば良いと⇒ 144 00:14:05,219 --> 00:14:07,219 思っております。 145 00:14:08,890 --> 00:14:12,590 なら これで良かったんだな? はい。 146 00:14:19,233 --> 00:14:24,238 (猛)おじさん。 俺に何かやらせてくれないか? 147 00:14:24,238 --> 00:14:26,240 どういうことだ? 148 00:14:26,240 --> 00:14:29,577 タダ飯を食うわけには いかないんだ。 149 00:14:29,577 --> 00:14:33,581 お前は家族の一員なんだ。 遠慮することはない。 150 00:14:33,581 --> 00:14:38,581 だから俺は この家の使用人として 役に立ちたいんだ。 151 00:14:41,589 --> 00:14:45,526 屋敷は広い。 雑事は たくさんあるぞ。 152 00:14:45,526 --> 00:14:49,126 分かった。 自分で見つけて やるよ。 153 00:14:54,535 --> 00:14:57,538 (竹)すっかり このウチの 子供になったつもりで 鼻歌だよ。 154 00:14:57,538 --> 00:15:01,542 (末)下手なこと言って 旦那さまに 言いつけられたら 事ですよ。 155 00:15:01,542 --> 00:15:04,545 (お滝)おやおや。 どういう風の吹き回しだい? 156 00:15:04,545 --> 00:15:08,215 掃除なんかして。 雪でも降るんじゃないかねえ。 157 00:15:08,215 --> 00:15:11,886 ひょっとして 槍でも 降ってくんじゃねえのか? 158 00:15:11,886 --> 00:15:15,556 よし。 廊下掃除 終わりっと。 159 00:15:15,556 --> 00:15:18,559 (末と竹の悲鳴) 160 00:15:18,559 --> 00:15:21,559 旦那さまも旦那さまだよ。 まったく! 161 00:15:23,564 --> 00:15:40,564 (山海の読経) 162 00:15:42,917 --> 00:15:48,522 ありがとうございました。 和尚。 猛の いい供養になりました。 163 00:15:48,522 --> 00:15:54,195 (山海)いやあ。 月日のたつのは 早いもんじゃのう。 もう3年か。 164 00:15:54,195 --> 00:15:57,198 ええ。 今でも 目を閉じると⇒ 165 00:15:57,198 --> 00:15:59,533 あの子の笑顔が 浮かんでまいります。 166 00:15:59,533 --> 00:16:05,206 じゃろうなあ。 活発で おもしろい子じゃった。⇒ 167 00:16:05,206 --> 00:16:09,210 伝衛門。 噂じゃ 威勢のいい野良犬を拾うて⇒ 168 00:16:09,210 --> 00:16:11,545 それで 「猛」と付けたそうじゃのう。 169 00:16:11,545 --> 00:16:16,550 ハハハ。 ゆくゆくは 文彦を もり立ててくれるような男に⇒ 170 00:16:16,550 --> 00:16:18,552 育ってほしいと思っております。 171 00:16:18,552 --> 00:16:21,555 絹さんは承知だったのかの? 172 00:16:21,555 --> 00:16:25,226 あの子のことは 旦那さまに お任せしております。 173 00:16:25,226 --> 00:16:26,894 あっ お酒の用意をしてまいります。 174 00:16:26,894 --> 00:16:30,898 いやいやいや。 それには及ばんよ。 ハハハハハハ。 175 00:16:30,898 --> 00:16:36,570 檀家から もろうた酒じゃ。 まあ。 176 00:16:36,570 --> 00:16:41,575 では 利き酒とまいりますか。 おう。 ハハハハハ。 177 00:16:41,575 --> 00:16:44,575 お二人とも ご用意のいいことで。 178 00:16:50,184 --> 00:16:54,188 ほお。 これが 伝衛門が拾ってきた野良犬か。 179 00:16:54,188 --> 00:16:56,857 なかなか いい面構えだ。 180 00:16:56,857 --> 00:17:00,194 猛と名付けた気持ち お分かりいただけましたか? 181 00:17:00,194 --> 00:17:02,594 (山海)ハハハハハ。 182 00:17:12,540 --> 00:17:15,876 あとは お前の育て方しだいだ。 183 00:17:15,876 --> 00:17:18,546 うるせえな。 人のこと ごちゃごちゃ言うなよ! 184 00:17:18,546 --> 00:17:22,216 お? 目上の者に対する 口のきき方も知らんのう。 185 00:17:22,216 --> 00:17:23,884 ほっといてくれ! 186 00:17:23,884 --> 00:17:26,887 もう一度 よく顔を見せろ。 ん? 187 00:17:26,887 --> 00:17:29,557 うっ。 臭え! 酒臭えよ! ハハハハハ。 188 00:17:29,557 --> 00:17:33,894 これがな 上等の酒のにおいだ。 じゃ 濃いヤツを。 ハアーッ。 189 00:17:33,894 --> 00:17:38,594 うわっ。 やめろ! 生臭坊主! (山海と伝衛門の笑い声) 190 00:17:42,837 --> 00:17:44,505 よいしょ。 191 00:17:44,505 --> 00:17:47,174 猛君。 何をしているの? 192 00:17:47,174 --> 00:17:50,177 うん。 頼まれて 漬物樽を探してるんだ。 193 00:17:50,177 --> 00:17:54,849 そんなことしなくてもいいのに。 何かしてないと退屈だし。 194 00:17:54,849 --> 00:17:56,517 じゃあ わたしも手伝う。 195 00:17:56,517 --> 00:17:59,186 じゃあ こっちのほう 探してくれよ。 196 00:17:59,186 --> 00:18:00,886 うん。 197 00:18:15,536 --> 00:18:17,136 危ない! 198 00:18:21,208 --> 00:18:23,608 早く。 早く出て。 199 00:18:31,218 --> 00:18:33,220 (猛の うめき声) 200 00:18:33,220 --> 00:18:39,894 猛君! 猛君! 誰か助けて! 猛君! 誰か早く来て! 201 00:18:39,894 --> 00:18:41,829 ひかる。 何があったんだ? 202 00:18:41,829 --> 00:18:43,831 猛君が下敷きになっちゃったの。 203 00:18:43,831 --> 00:18:49,531 えっ!? どうしたんだ!? これ。 おい! 猛! 204 00:18:51,839 --> 00:18:55,539 猛君! (うめき声) 205 00:18:59,513 --> 00:19:02,516 あーっ! (山海)どうした! 206 00:19:02,516 --> 00:19:05,853 ああ。 生臭坊主か。 207 00:19:05,853 --> 00:19:09,523 葬式を出そうったって 問屋が卸さんぞ。 208 00:19:09,523 --> 00:19:11,859 ああ。 そうか そうか。 しっかりしろ! 猛! 209 00:19:11,859 --> 00:19:14,195 どうしました!? 大変なことになった。 210 00:19:14,195 --> 00:19:16,197 医者を すぐに呼んでくれ! (徹)はい! 211 00:19:16,197 --> 00:19:17,865 おい。 頑張れ! 頑張れ。 おい! 212 00:19:17,865 --> 00:19:20,534 お兄さまが。 文彦が? 213 00:19:20,534 --> 00:19:23,537 お兄さまが やったんです。 何だって!? 214 00:19:23,537 --> 00:19:29,543 違う。 やったのは 俺だ。 いいな…。 猛君! 215 00:19:29,543 --> 00:19:33,543 おい! 猛! おい おい! 猛! おい! 216 00:19:47,494 --> 00:19:50,831 (ひかる)猛君。 わたしを 助けてくれて ありがとう。 217 00:19:50,831 --> 00:19:53,500 本当に感謝してるわ。 218 00:19:53,500 --> 00:19:56,503 礼を言わなきゃならないのは 俺のほうさ。 219 00:19:56,503 --> 00:19:58,839 ひかるちゃんが 走って知らせてくれたおかげで⇒ 220 00:19:58,839 --> 00:20:05,179 俺は 人買いから助けられたんだ。 あのときは 本当にありがとう。 221 00:20:05,179 --> 00:20:09,516 痛くないの? 入院しなくても大丈夫なの? 222 00:20:09,516 --> 00:20:11,852 こんなの かすり傷だよ。 ほら…。 イテッ! 223 00:20:11,852 --> 00:20:16,523 無理しちゃダメ! 何針も縫った 大ケガなんだから。 224 00:20:16,523 --> 00:20:21,528 男はな こんなので 弱音を吐かねえんだ。 覚えとけ。 225 00:20:21,528 --> 00:20:23,128 へーえ。 226 00:20:24,865 --> 00:20:27,868 <ひかると猛は お互いの心に⇒ 227 00:20:27,868 --> 00:20:33,568 お互いのことを 命の恩人として 刻み込んだのでした> 228 00:20:35,542 --> 00:20:37,878 文彦。 許せん! 229 00:20:37,878 --> 00:20:40,214 (山海)静まれ。 伝衛門。 230 00:20:40,214 --> 00:20:43,817 わしの言うことが 耳に入らんのか? しかし 和尚。 231 00:20:43,817 --> 00:20:45,819 私からも お願いいたします。 232 00:20:45,819 --> 00:20:49,519 和尚さまの お言葉に 耳をお傾けくださいませ。 233 00:20:52,826 --> 00:20:56,163 いいか? よく聞け。 234 00:20:56,163 --> 00:20:59,500 猛は 文彦のせいではないと 言っておる。⇒ 235 00:20:59,500 --> 00:21:02,503 ひかるは 自分の目で見たと 言っておるが⇒ 236 00:21:02,503 --> 00:21:06,173 猛は 絶対にそうでないと 言い張るのだ。 237 00:21:06,173 --> 00:21:11,512 猛なりに 大事にならんように 考えておるのだ。 238 00:21:11,512 --> 00:21:15,182 この家で暮らしていくには どうしたらよいか⇒ 239 00:21:15,182 --> 00:21:22,523 必死で考えておるのじゃ。 そこのところを くみ取ってやれ。 240 00:21:22,523 --> 00:21:28,195 いいか? お前のように いちいち 目くじらを立てて怒っていたら⇒ 241 00:21:28,195 --> 00:21:30,864 文彦は卑屈になる。⇒ 242 00:21:30,864 --> 00:21:35,202 誰だって 兄弟に比較をされて 怒られたら 傷がつく。 243 00:21:35,202 --> 00:21:39,540 ましてや 他人と比べられたら たまったもんではないよ。 244 00:21:39,540 --> 00:21:44,144 分かりました。 この件は 和尚に お預けいたします。 245 00:21:44,144 --> 00:21:46,480 よろしくお願いいたします。 246 00:21:46,480 --> 00:21:50,150 一度 寺のほうに 文彦をよこしなさい。 247 00:21:50,150 --> 00:21:52,486 わたしからも 諭しておこう。 248 00:21:52,486 --> 00:21:56,156 和尚さま。 ありがとうございます。 249 00:21:56,156 --> 00:21:59,159 文彦も きっと後悔していると 思います。 250 00:21:59,159 --> 00:22:04,832 でも 私には 文彦の嫉妬心も 分かるような気がいたします。 251 00:22:04,832 --> 00:22:09,169 (山海)うん。 わしにも分かるよ。 252 00:22:09,169 --> 00:22:13,507 拾ってきた子供を 家族として 育てていくということは⇒ 253 00:22:13,507 --> 00:22:15,175 結構なことじゃ。 254 00:22:15,175 --> 00:22:20,848 が 文彦 ひかる 猛。 皆 それぞれ 個性がある。 255 00:22:20,848 --> 00:22:25,853 その個性に見合った 育て方をせねばならん。⇒ 256 00:22:25,853 --> 00:22:30,524 子供たちは これから芽が出る年ごろじゃ。 257 00:22:30,524 --> 00:22:32,526 さようでございますとも。 258 00:22:32,526 --> 00:22:35,863 それを 同じやり方で 強引にやってしまっては⇒ 259 00:22:35,863 --> 00:22:38,532 その芽を 摘んでしまうということじゃ。⇒ 260 00:22:38,532 --> 00:22:41,532 どうだな? 伝衛門。 261 00:22:44,204 --> 00:22:46,540 うーむ。 (山海)ハハハ。⇒ 262 00:22:46,540 --> 00:22:52,212 そのように 難しそうな 顔をしていては 何も解決せん。 263 00:22:52,212 --> 00:22:56,550 絹さん。 酒じゃよ。 酒。 はい。 ただいま ご用意を。 264 00:22:56,550 --> 00:23:03,550 (山海の笑い声) 265 00:23:15,903 --> 00:23:18,906 お兄さま。 猛君に謝りなさいよ。 266 00:23:18,906 --> 00:23:21,575 な… 何のことだ? 267 00:23:21,575 --> 00:23:25,579 ひかるちゃん。 約束だよ。 でも…。 268 00:23:25,579 --> 00:23:30,579 いいんだよ。 これで いいのさ。 269 00:23:32,920 --> 00:23:35,589 どうして そんなに我慢強いの? 270 00:23:35,589 --> 00:23:38,258 慣れだよ。 慣れちまったのさ。 271 00:23:38,258 --> 00:23:41,862 悲しいとか 寂しいとかも 我慢できるの? 272 00:23:41,862 --> 00:23:44,865 数え切れないぐらい 我慢してきたさ。 273 00:23:44,865 --> 00:23:48,869 親も兄弟もいない みなしごなんだから。 274 00:23:48,869 --> 00:23:53,207 寂しくって泣きそうになると 俺は いつも 海を見に行ってたんだ。 275 00:23:53,207 --> 00:23:56,543 海? 海は いいぜ。 276 00:23:56,543 --> 00:24:01,548 時には 荒々しく吠えるんだ。 でも 穏やかな海は⇒ 277 00:24:01,548 --> 00:24:04,885 俺の寂しい心を いつも 包んでくれた。 278 00:24:04,885 --> 00:24:08,555 海は一度も見たことないから 分からないわ。 279 00:24:08,555 --> 00:24:10,555 そうだ。 これだ。 280 00:24:14,228 --> 00:24:16,897 これを こうして耳に当てるんだ。 281 00:24:16,897 --> 00:24:20,597 そうすると 波の音が聞こえるよ。 ホント!? 282 00:24:24,238 --> 00:24:27,574 これが 波の音なの? 283 00:24:27,574 --> 00:24:32,579 俺 これ ひかるちゃんに あげるよ。 ありがとう! 284 00:24:32,579 --> 00:24:40,587 ♪ 285 00:24:40,587 --> 00:24:44,525 <ひかるは その貝殻から 聞こえてくる音を⇒ 286 00:24:44,525 --> 00:24:50,531 波の音だと信じました。 まだ見ぬ海を想像して⇒ 287 00:24:50,531 --> 00:24:54,531 ひかるは 胸をときめかせていました>