1 00:02:45,580 --> 00:02:47,449 2 00:02:47,449 --> 00:02:52,454 ♪ 3 00:02:52,454 --> 00:02:57,459 <あれから 7年の時が流れて ひかるは 14歳。⇒ 4 00:02:57,459 --> 00:03:03,465 女学校の1年生になって 初めての夏休みになりました。⇒ 5 00:03:03,465 --> 00:03:08,470 猛は16歳。 三枝家の使用人として 働いていました> 6 00:03:08,470 --> 00:03:12,140 (ひかる)これで 汗をふきなさい。 (猛)結構です。 7 00:03:12,140 --> 00:03:15,143 猛。 先に行ってはなりません。 8 00:03:15,143 --> 00:03:18,814 <昭和9年。 この年 日本は 凶作に襲われ⇒ 9 00:03:18,814 --> 00:03:22,514 庶民の生活は 苦しくなっていました> 10 00:03:24,152 --> 00:03:29,157 ♪『Delight of my love』 11 00:03:29,157 --> 00:03:42,838 ♪ 12 00:03:42,838 --> 00:04:02,791 ♪ 13 00:04:02,791 --> 00:04:22,811 ♪ 14 00:04:22,811 --> 00:04:42,831 ♪ 15 00:04:42,831 --> 00:04:52,531 ♪ 16 00:04:55,444 --> 00:04:58,113 <伝衛門は 1年前に⇒ 17 00:04:58,113 --> 00:05:02,451 白部村の郊外に所有していた蔵を 改築して⇒ 18 00:05:02,451 --> 00:05:08,123 音楽や美術のために アトリエとして開放しました> 19 00:05:08,123 --> 00:05:13,795 (バイオリンの音色) 20 00:05:13,795 --> 00:05:17,095 (崇子)ひかるさん。 もっと弓を大きく使って。 21 00:05:18,800 --> 00:05:23,138 (崇子)音符を一つずつ弾かずに フレーズを歌うのよ。⇒ 22 00:05:23,138 --> 00:05:26,808 そうそう。 それで いいのよ。 23 00:05:26,808 --> 00:05:32,108 (バイオリンの音色) 24 00:05:36,485 --> 00:05:40,155 たった1年で 随分 上達したわね。 25 00:05:40,155 --> 00:05:42,157 (ひかる)崇子先生のおかげです。 26 00:05:42,157 --> 00:05:46,094 先生にお会いしなければ とっくに バイオリンをやめていたと思います。 27 00:05:46,094 --> 00:05:49,764 ありがとう。 甲府に来たかいが あったというものだわ。 28 00:05:49,764 --> 00:05:54,102 猛君も こちらに来て 一緒に お紅茶にしましょうよ。 29 00:05:54,102 --> 00:05:55,770 (猛)自分は 立場が違いますから。 30 00:05:55,770 --> 00:05:58,440 猛は 1年たっても 変わりません。 31 00:05:58,440 --> 00:06:02,444 固くて固くて 全然 おもしろくないんです。 32 00:06:02,444 --> 00:06:06,114 いいじゃない。 猛君は ひかるちゃんのお供でしょう。 33 00:06:06,114 --> 00:06:09,784 だったら 固くて 頑固じゃないと 勤まらないわ。 34 00:06:09,784 --> 00:06:12,787 子供のときは こんなんじゃなかったんです。 35 00:06:12,787 --> 00:06:17,792 もっと よく話をしたし 一緒に よく遊んだんです。 36 00:06:17,792 --> 00:06:20,492 そうだったの 猛君? 37 00:06:22,130 --> 00:06:27,135 「沈黙は金なり」か。 徹底してるわね。 38 00:06:27,135 --> 00:06:30,138 でしょう? 退屈で つまらないんです。 39 00:06:30,138 --> 00:06:34,476 (崇子)ウフフフッ。 ≪(お滝)崇子先生。 お邪魔いたします。 40 00:06:34,476 --> 00:06:38,146 (絹)絹でございます。 ごぶさたいたしております。 41 00:06:38,146 --> 00:06:41,149 絹さま。 よく おいでくださいました。 42 00:06:41,149 --> 00:06:44,085 このお花 飾らせていただいて よろしいですか? 43 00:06:44,085 --> 00:06:47,756 ええ。 ちょうど あの花瓶が 空いたところですわ。 44 00:06:47,756 --> 00:06:49,424 (お滝)じゃ 生けさせていただきます。 45 00:06:49,424 --> 00:06:53,094 どうぞ。 さあ 絹さま。 腰を下ろしになって。 46 00:06:53,094 --> 00:06:56,097 (絹)フフッ。 そんな呼び方 なさらないでくださいませ。⇒ 47 00:06:56,097 --> 00:06:58,767 中条男爵さまの お姫さまに⇒ 48 00:06:58,767 --> 00:07:01,102 ひかるが バイオリンを 教えていただいているだけでも⇒ 49 00:07:01,102 --> 00:07:03,104 おそれおおいことと 思っておりますのに。 50 00:07:03,104 --> 00:07:07,108 いいえ。 私こそ 三枝さまには 感謝をしているんです。 51 00:07:07,108 --> 00:07:09,110 伝衛門さまに お招きいただき⇒ 52 00:07:09,110 --> 00:07:11,446 願ってもない場を 与えていただいて⇒ 53 00:07:11,446 --> 00:07:13,782 充実した時間を 送らせてもらっていますわ。 54 00:07:13,782 --> 00:07:16,082 (絹)とんでもございません。 (スプーンの落ちる音) 55 00:07:17,786 --> 00:07:21,122 猛。 洗ってきてくれる? 承知しました。 56 00:07:21,122 --> 00:07:24,459 (絹)洗い物は 女の仕事です。 お滝。 57 00:07:24,459 --> 00:07:27,759 (お滝)はい。 かしこまりました。 58 00:07:30,465 --> 00:07:35,136 絹さま。 私 いつも猛君には 感心しておりますのよ。 59 00:07:35,136 --> 00:07:38,139 どうしてですか? 退屈なだけです。 60 00:07:38,139 --> 00:07:40,475 (崇子)今どき これだけ 分をわきまえ⇒ 61 00:07:40,475 --> 00:07:44,079 するべきことを さきざきにできる 若者は貴重ですわ。 62 00:07:44,079 --> 00:07:46,479 そんなものかしら。 63 00:07:51,086 --> 00:07:54,422 (伝衛門)そうか。 ひかるは 1年で そんなに バイオリンの腕を上げたのか。 64 00:07:54,422 --> 00:07:57,092 崇子先生は とても 褒めてくださいました。 65 00:07:57,092 --> 00:08:01,096 夏休みになって 毎日 通えたのが よかったのよ。 66 00:08:01,096 --> 00:08:04,766 (絹)先生への感謝の気持ちを 忘れてはなりませんよ。 67 00:08:04,766 --> 00:08:08,103 パリに 3年も 留学されてたんですって。 68 00:08:08,103 --> 00:08:09,771 うらやましいわ。 69 00:08:09,771 --> 00:08:12,774 おいおい。 留学させてくれなんて 言わんでくれよ。 70 00:08:12,774 --> 00:08:16,111 あちらは 内閣官房長官まで 務められた男爵さまだ。 71 00:08:16,111 --> 00:08:18,113 わしらとは 格が違う。 72 00:08:18,113 --> 00:08:21,116 それぐらいのことは 分かっています。 お父さま。 73 00:08:21,116 --> 00:08:24,119 ≪(末)文彦坊ちゃまのお帰りです。 おお。 帰ったか。 74 00:08:24,119 --> 00:08:26,454 (文彦)お父さま お母さま。 ただいま帰りました。 75 00:08:26,454 --> 00:08:30,125 おかえりなさい。 どうだ 文彦。 高等学校の生活は? 76 00:08:30,125 --> 00:08:33,128 はい。 弓道部に入り 文武両道に励みました。 77 00:08:33,128 --> 00:08:36,131 弓道部? 剣道はやめたのか? 78 00:08:36,131 --> 00:08:39,134 ええ。 弓道のほうが 僕に合ってます。 79 00:08:39,134 --> 00:08:42,737 お母さま。 今日も古川知春君が 泊まりに来てくれました。 80 00:08:42,737 --> 00:08:45,073 (絹)まあ。 おい! 古川! 81 00:08:45,073 --> 00:08:48,076 (知春)こんにちは。 また ずうずうしく来てしまいました。 82 00:08:48,076 --> 00:08:50,078 (伝衛門)やあ 君なら いつでも歓迎だ。 83 00:08:50,078 --> 00:08:52,414 (絹)わが家では 古川さんが いつ来てくださるかと⇒ 84 00:08:52,414 --> 00:08:54,749 噂しておりました。 光栄です。 85 00:08:54,749 --> 00:08:58,086 ひかるさん。 これ 珍しくもありませんが⇒ 86 00:08:58,086 --> 00:09:00,755 松本で買って来ました お土産です。 87 00:09:00,755 --> 00:09:04,092 ありがとうございます。 お久しぶりです。 88 00:09:04,092 --> 00:09:07,095 僕は早く ひかるさんに お会いしたいと思っていました。 89 00:09:07,095 --> 00:09:09,095 うれしいですわ。 90 00:09:10,765 --> 00:09:15,437 (絹)ひかる。 知春さんを 座敷に ご案内して。 91 00:09:15,437 --> 00:09:18,773 はい。 どうぞ。 こちらでございます。 92 00:09:18,773 --> 00:09:33,455 ♪ 93 00:09:33,455 --> 00:09:37,792 (知春)これに 僕の気持ちが 書いてあります。 読んでください。 94 00:09:37,792 --> 00:09:40,128 えっ? これ。 95 00:09:40,128 --> 00:09:44,128 返事 聞かせてください。 お願いします。 96 00:09:47,736 --> 00:09:52,073 ラブレターだ。 どうしよう。 97 00:09:52,073 --> 00:10:12,093 ♪ 98 00:10:12,093 --> 00:10:13,762 どうしたの? ひかる。 99 00:10:13,762 --> 00:10:18,433 えっ? まあ…。 あら。 それは 何かしら? 100 00:10:18,433 --> 00:10:22,771 ええ。 あっ お手紙です。 知春さんから頂いたの。 101 00:10:22,771 --> 00:10:25,440 まあ! すてきじゃないの。 うん。 102 00:10:25,440 --> 00:10:27,108 読んでみて どうなの? 103 00:10:27,108 --> 00:10:32,108 何だか 恥ずかしい気持ち。 あっ そう。 104 00:10:35,784 --> 00:10:40,484 男の人って どうして 同じことばかり 書くのかしら? 105 00:10:42,123 --> 00:10:46,523 あらあら。 ぜいたくな悩みだこと。 106 00:10:53,067 --> 00:10:56,738 はぁ。 恋って 何かしら? 107 00:10:56,738 --> 00:11:00,074 今年の夏は 雨が少ないから 心配だな。 108 00:11:00,074 --> 00:11:03,077 (吾作)ブドウも 稲も 畑も 雨が降らねえと 大変だ。 109 00:11:03,077 --> 00:11:06,080 さて あした まく 消毒液でも 用意するか。 110 00:11:06,080 --> 00:11:08,082 ここが片づいたら 行くから 頼むよ。 111 00:11:08,082 --> 00:11:10,418 おう。 あっ どうも。 112 00:11:10,418 --> 00:11:15,418 猛。 ちょっと いいかしら? 何でしょう? 113 00:11:19,761 --> 00:11:24,461 猛は 恋って何だと思う? えっ? 114 00:11:26,100 --> 00:11:28,100 わたしには 分かりません。 115 00:11:30,104 --> 00:11:32,774 (お花)助けてください! どうしたの? 116 00:11:32,774 --> 00:11:34,776 大丈夫だ。 何があったんだ? 117 00:11:34,776 --> 00:11:38,780 わたし 売られるんです! 売春宿に連れて行かれるんです! 118 00:11:38,780 --> 00:11:40,782 そんな! どうして? 119 00:11:40,782 --> 00:11:43,051 ≪(大岩)こっちだろ! 逃げたのは。⇒ 120 00:11:43,051 --> 00:11:46,054 逃がしたら 指を詰めるで すまねえぞ! 121 00:11:46,054 --> 00:11:47,754 隠れろ! 122 00:11:54,395 --> 00:11:57,398 (大岩)ここに 娘が 逃げ込んで来たろう。 123 00:11:57,398 --> 00:12:00,735 隠すと ためにならねえぞ。 (欣造)ちょっと 兄貴。 124 00:12:00,735 --> 00:12:03,071 やめろ! 何のまねだ 欣造さん! 125 00:12:03,071 --> 00:12:06,074 小沼のお花が 八王子の女郎屋に売られたんだよ。 126 00:12:06,074 --> 00:12:09,744 それが逃げたのさ。 ここには お花さんなんて 来なかったわ。 127 00:12:09,744 --> 00:12:13,081 あっ そうですか。 お嬢さまが そう言われるんなら。 128 00:12:13,081 --> 00:12:15,750 兄貴。 別を捜しましょう。 ふざけるな! 129 00:12:15,750 --> 00:12:19,754 俺は すぐそこで見失ったんだ。 ここいらに 違いねえ。 130 00:12:19,754 --> 00:12:23,091 出て行ってください! ここは 三枝の土地です。 131 00:12:23,091 --> 00:12:27,762 よし。 代わりに この娘でいい。 連れて行くぜ。 132 00:12:27,762 --> 00:12:30,765 いや。 その子はまずいですよ! (大岩)お前は どいてろ! 133 00:12:30,765 --> 00:12:33,768 娘。 来い。 134 00:12:33,768 --> 00:12:35,770 やめて! おい! 135 00:12:35,770 --> 00:12:40,108 (大岩)ふざけんな。 なめんなよ ガキ。 136 00:12:40,108 --> 00:12:43,508 この野郎! おう! おい 離せ! 137 00:12:47,115 --> 00:12:50,115 あっ! やめて! 138 00:12:52,120 --> 00:12:54,820 (大岩)野郎! やめて! 139 00:13:02,130 --> 00:13:05,800 (大岩)あっ! 痛っ! 痛たたた! ひかるちゃん! 逃げろ! 140 00:13:05,800 --> 00:13:08,500 (大岩)痛っ! 離せ! 141 00:13:15,143 --> 00:13:18,479 (欣造)兄貴。 なあ 頼む。 もう やめてくれ。 なあ 頼む。 142 00:13:18,479 --> 00:13:21,149 欣造! (欣造)ああっ!? 143 00:13:21,149 --> 00:13:24,152 てめえ。 責任を持って あの娘 連れて来い! 144 00:13:24,152 --> 00:13:26,821 (欣造)いや…。 期限は 明日いっぱいだ。 145 00:13:26,821 --> 00:13:28,489 (欣造)うわっ。 146 00:13:28,489 --> 00:13:32,160 しくじったときには 命はないと思えよ。 147 00:13:32,160 --> 00:13:36,160 (欣造)分かってますよ 兄貴! 穏便に願いますよ。 148 00:13:39,167 --> 00:13:41,567 猛。 大丈夫? 149 00:13:43,104 --> 00:13:47,108 何があっても お嬢さまを守ります。 150 00:13:47,108 --> 00:13:49,444 ありがとう。 151 00:13:49,444 --> 00:13:53,444 もういいよ お花さん。 もう大丈夫よ。 152 00:13:57,118 --> 00:14:00,455 ありがとうございます! 助かりました。 でも…。 153 00:14:00,455 --> 00:14:04,125 何も心配は いらないわよ。 絶対に助けてあげる。 154 00:14:04,125 --> 00:14:06,794 そうでしょ 猛? はい。 155 00:14:06,794 --> 00:14:10,131 猛は 命がけで 守ってくれるわ。 156 00:14:10,131 --> 00:14:12,467 ありがとうございます! 157 00:14:12,467 --> 00:14:15,136 (お花の腹の鳴る音) 158 00:14:15,136 --> 00:14:20,536 (笑い声) 159 00:14:26,481 --> 00:14:30,485 <命を懸けて 自分を守ってくれた猛に⇒ 160 00:14:30,485 --> 00:14:33,488 ひかるは 胸が熱くなるのを 感じました。⇒ 161 00:14:33,488 --> 00:14:38,088 これが 恋。 ひかるは そのとき 思いました> 162 00:14:41,462 --> 00:14:43,131 (ひかる)さあ 食べて。 わたしが こしらえたから⇒ 163 00:14:43,131 --> 00:14:47,802 少し不格好だけど 何とか 食べられると思うわ。 さあ。 164 00:14:47,802 --> 00:14:50,471 お嬢さまの気持ちだ。 遠慮なく食べなよ。 165 00:14:50,471 --> 00:14:56,144 こんな 白いごはん 何か月ぶりか。 ありがとうございます。 166 00:14:56,144 --> 00:15:00,544 このご恩は 一生忘れません。 いただきます! 167 00:15:02,150 --> 00:15:04,819 しばらく ここに 隠れてるといいわ。 168 00:15:04,819 --> 00:15:09,119 猛は その間 番小屋で 寝泊まりしなさい。 はい。 169 00:15:11,492 --> 00:15:13,494 お前は…? 170 00:15:13,494 --> 00:15:18,833 旦那さま。 お父さま。 お花さんを助けてあげて。 171 00:15:18,833 --> 00:15:21,836 旦那さま。 この子は あまりに かわいそうです。 172 00:15:21,836 --> 00:15:23,836 何とかしてやってください。 173 00:15:27,175 --> 00:15:33,181 (太吉)三枝の旦那さま。 わしは 腰を痛めて 満足に働けません。⇒ 174 00:15:33,181 --> 00:15:36,184 女房は 11人目を はらんでおります。⇒ 175 00:15:36,184 --> 00:15:39,187 お花の妹や弟が 生きていくためには⇒ 176 00:15:39,187 --> 00:15:41,789 どうしても 金が要るんです。 177 00:15:41,789 --> 00:15:46,127 旦那さま。 このままじゃ あっしも ただじゃ済みません。 178 00:15:46,127 --> 00:15:50,465 八王子の「千人組」の連中に 山の中に埋められてしまいます。 179 00:15:50,465 --> 00:15:53,801 (太吉)ウチは 一家心中 するしかねえです。 180 00:15:53,801 --> 00:15:57,138 旦那さまは 7年前に 満州へ 売られそうになった俺を⇒ 181 00:15:57,138 --> 00:15:59,807 助けてくれました。 ぜひ お花さんを…。 182 00:15:59,807 --> 00:16:03,144 下がっていろ 猛。 はい。 183 00:16:03,144 --> 00:16:08,816 お前が 八王子の色街へ行けば すべて 丸く収まるんだ。 184 00:16:08,816 --> 00:16:11,152 (欣造)お花ちゃん。 それしかねえよ。 185 00:16:11,152 --> 00:16:15,156 ダメよ! 色街は この世の地獄でしょう。 186 00:16:15,156 --> 00:16:18,826 そんな所へ 子供を 追いやるなんて 何て人なの! 187 00:16:18,826 --> 00:16:20,495 ひかる。 お前は 口を出すんじゃない。 188 00:16:20,495 --> 00:16:23,831 嫌です! ひかる。 奥へ行きなさい。 189 00:16:23,831 --> 00:16:30,171 お父さま お母さま。 もし ウチが 貧しければ わたしを売りますか!? 190 00:16:30,171 --> 00:16:34,842 牛や馬と同じように わたしを売るのですか? 191 00:16:34,842 --> 00:16:38,179 それは…。 それとは別の話だ。 192 00:16:38,179 --> 00:16:39,781 お前は 下がっていなさい。 193 00:16:39,781 --> 00:16:43,785 お嬢さま。 ありがとうございます。 もう いいのです。 194 00:16:43,785 --> 00:16:45,453 何がいいのよ。 195 00:16:45,453 --> 00:16:49,457 わたし 自分のことしか 考えていなかったんです。 196 00:16:49,457 --> 00:16:52,794 おっ母さんや いつも 腹すかせて泣いている⇒ 197 00:16:52,794 --> 00:16:58,132 弟や妹のこと 考えたら いい着物 着て 酒飲んで⇒ 198 00:16:58,132 --> 00:17:01,135 うまい物 食えるなんて 地獄じゃありません。 199 00:17:01,135 --> 00:17:03,471 お花ちゃん。 200 00:17:03,471 --> 00:17:06,808 (お花)弟や妹にも 仕送りしてやりたいし。 201 00:17:06,808 --> 00:17:11,145 欣造さん。 すいませんでした。 202 00:17:11,145 --> 00:17:15,817 やっと分かってくれたか。 それじゃ 行こうか。 はい。 203 00:17:15,817 --> 00:17:17,819 (伝衛門)欣造。 (欣造)へい。 204 00:17:17,819 --> 00:17:23,491 千人組から受け取った前金は いかほどじゃ? これですが。 205 00:17:23,491 --> 00:17:28,162 その分と 倍額をお前に渡すから うまく話がつけられんか? 206 00:17:28,162 --> 00:17:32,166 (欣造)へい。 ですが あの あっしの手間は? 207 00:17:32,166 --> 00:17:34,502 (伝衛門)丸く収めてくれたら 存分にしてやる。 208 00:17:34,502 --> 00:17:36,170 (欣造)ありがとうございます。 209 00:17:36,170 --> 00:17:37,839 ちょっと待ってくだせえ。 210 00:17:37,839 --> 00:17:41,776 それじゃ ウチの暮らしが 成り行きません。 211 00:17:41,776 --> 00:17:44,111 花は 女中として雇う。 212 00:17:44,111 --> 00:17:47,782 下の子供たちも 学校に 行けるようにしてやろう。 213 00:17:47,782 --> 00:17:52,119 ウチの旦那さまの 細川さまが 何と言うか。 214 00:17:52,119 --> 00:17:54,789 細川さんとは わしが話をつける。 215 00:17:54,789 --> 00:18:01,128 おありがとうございます。 旦那さま。 花の給金の前借りを。 216 00:18:01,128 --> 00:18:03,130 お父っちゃん! 何てこと! 217 00:18:03,130 --> 00:18:04,830 よい。 218 00:18:08,469 --> 00:18:12,139 この財布ごと やろう。 本当で? 219 00:18:12,139 --> 00:18:16,143 この中には 3年は遊んで 暮らせる分が入ってるぞ。 220 00:18:16,143 --> 00:18:19,843 花は 喜んで差し上げます。 221 00:18:23,150 --> 00:18:36,850 (泣き声) 222 00:18:45,439 --> 00:18:48,442 猛を助けた日のこと⇒ 223 00:18:48,442 --> 00:18:51,442 きのうのことのように 思い出しました。 224 00:18:53,447 --> 00:19:00,121 (伝衛門)もう7年か。 早いものだなあ。 225 00:19:00,121 --> 00:19:03,457 正直言って ひかるが 「もし このウチが貧乏なら⇒ 226 00:19:03,457 --> 00:19:08,462 私を売りますか」と 聞いたとき 震えるほど 驚きました。 227 00:19:08,462 --> 00:19:13,462 あいつは 困った人を見ると 黙っていられなくなる。 228 00:19:15,136 --> 00:19:18,472 人の身になって ものを考えられるようになった。 229 00:19:18,472 --> 00:19:21,809 感心したよ。 ええ。 230 00:19:21,809 --> 00:19:27,148 曲がったことの嫌いな 正義感の 強い娘に成長いたしました。 231 00:19:27,148 --> 00:19:30,151 おまんの育て方が よかったからだ。 232 00:19:30,151 --> 00:19:34,155 でも 私には いつも心配が 先立ってしまいます。 233 00:19:34,155 --> 00:19:37,825 ひかるは いつも 「猛 猛」なんですから。 234 00:19:37,825 --> 00:19:40,094 あの二人は 血はつながっていなくても⇒ 235 00:19:40,094 --> 00:19:44,432 兄妹のように育ったんだ。 仲がいいのは しかたがない。 236 00:19:44,432 --> 00:19:46,767 ひかるは もう女学校へ 通っております。 237 00:19:46,767 --> 00:19:49,437 いつまでも 子供ではございません。 238 00:19:49,437 --> 00:19:55,037 それに 二人とも大人になりかけの 難しい年ごろです。 239 00:19:56,777 --> 00:19:59,113 (伝衛門)難しい年ごろか。 240 00:19:59,113 --> 00:20:03,784 あなたからも猛に 使用人としての 分をわきまえて 接するように⇒ 241 00:20:03,784 --> 00:20:07,484 お話しくださいませ。 使用人としての分か。 242 00:20:09,123 --> 00:20:12,126 あいつは十分に わきまえておる。 243 00:20:12,126 --> 00:20:14,526 でも…。 244 00:20:16,130 --> 00:20:20,134 <猛は 心から ひかるに恋していました。⇒ 245 00:20:20,134 --> 00:20:24,138 しかし 自分が 三枝家の使用人であり⇒ 246 00:20:24,138 --> 00:20:26,474 伝衛門への恩義を思い⇒ 247 00:20:26,474 --> 00:20:31,074 そのことを口にしてはいけないと 苦しんでいました> 248 00:20:35,483 --> 00:20:39,153 (崇子)では アトリエの鍵は 猛君。 閉めておいてくださいね。 249 00:20:39,153 --> 00:20:43,090 承知しました。 では ひかるちゃん。 ごきげんよう。 250 00:20:43,090 --> 00:20:44,790 いってらっしゃいませ。 251 00:20:53,434 --> 00:20:56,103 猛。 はい。 252 00:20:56,103 --> 00:20:59,440 きのう 番小屋で お前に 話そうと思ったのはね。 253 00:20:59,440 --> 00:21:03,778 何でしょう? 古川知春さんから 手紙を渡されたのよ。 254 00:21:03,778 --> 00:21:06,113 そうですか。 ラブレターなのよ。 255 00:21:06,113 --> 00:21:10,785 はい。 何よ。 何の興味もないの? 256 00:21:10,785 --> 00:21:14,455 別に。 意地悪ね。 257 00:21:14,455 --> 00:21:19,055 ところで 猛は今までに 恋をしたことはないの? 258 00:21:20,795 --> 00:21:24,465 猛。 お前は 自分の感情がないの? 259 00:21:24,465 --> 00:21:26,133 屋敷に戻る時間ですから。 260 00:21:26,133 --> 00:21:28,533 そんなこと 聞いてないでしょう! 261 00:21:30,805 --> 00:21:34,141 きのう 番小屋で わたしを 守ろうとしてくれたときは⇒ 262 00:21:34,141 --> 00:21:37,812 うれしかったけど 今は つまんない。 263 00:21:37,812 --> 00:21:41,415 さぁ アトリエの鍵を掛けます。 出てください。 264 00:21:41,415 --> 00:21:44,752 どうしたの? わたしと おしゃべりをしたくないの? 265 00:21:44,752 --> 00:21:47,421 俺は使用人ですから。 266 00:21:47,421 --> 00:21:50,091 猛。 バイオリンを出して! 267 00:21:50,091 --> 00:21:52,760 もう 帰る時間ですが。 練習したいのよ! 268 00:21:52,760 --> 00:21:57,060 言われたとおりにするのよ。 はい。 269 00:22:10,111 --> 00:22:12,113 ちゃんと聞いてるのよ。 270 00:22:12,113 --> 00:22:16,113 音楽のことは 分かりません。 とにかく 聞いてればいいのよ! 271 00:22:19,787 --> 00:22:28,087 (バイオリンの音色) 272 00:22:33,134 --> 00:22:35,469 猛。 ひと休みしなさい。 273 00:22:35,469 --> 00:22:37,805 わたしが スイカを 切って来たんだから。 274 00:22:37,805 --> 00:22:39,807 ありがとうございます。 275 00:22:39,807 --> 00:22:43,811 お前と一緒に食べようと思って 切って来たのよ。 276 00:22:43,811 --> 00:22:45,479 もう少しですから⇒ 277 00:22:45,479 --> 00:22:47,148 仕事を片づけてから 食べさせてもらいます。 278 00:22:47,148 --> 00:22:49,848 先に食べちゃうわよ。 どうぞ。 279 00:22:59,160 --> 00:23:04,560 きのう 番小屋で「ひかるちゃん」と 呼んでくれて うれしかったわ。 280 00:23:09,170 --> 00:23:13,570 恋の話だけど どうして避けるのよ? 281 00:23:17,511 --> 00:23:20,811 猛! 手を止めて わたしを見て! 282 00:23:22,850 --> 00:23:25,519 はい。 ちゃんと答えて。 283 00:23:25,519 --> 00:23:27,855 恋の話とか そういう はしたないことを⇒ 284 00:23:27,855 --> 00:23:30,524 人前で話すのは おかしいからです。 お嬢さま。 285 00:23:30,524 --> 00:23:34,195 今は わたしとお前のほかには 誰もいないわ。 286 00:23:34,195 --> 00:23:37,865 だから わたしのことは ひかるって 名前で呼ぶ約束でしょう。 287 00:23:37,865 --> 00:23:39,466 はい。 288 00:23:39,466 --> 00:23:43,804 お前は 16年間 一度も恋を したことがないって 言えるの? 289 00:23:43,804 --> 00:23:45,472 言えます。 誓える? 290 00:23:45,472 --> 00:23:48,809 はい。 ですから 仕事をさせてください。 291 00:23:48,809 --> 00:23:51,145 仕事 仕事って つまんない。 292 00:23:51,145 --> 00:23:54,148 でも 早く 終わらせるために 手伝う。 293 00:23:54,148 --> 00:23:56,817 大丈夫です。 もう少しですから。 294 00:23:56,817 --> 00:24:02,156 猛の心をつかんで離さない 仕事ってものをしてみたいのよ。 295 00:24:02,156 --> 00:24:04,491 ここを押さえてればいいの? 296 00:24:04,491 --> 00:24:07,161 ありがとうございます。 助かります。 297 00:24:07,161 --> 00:24:09,163 最初から 素直になればいいのよ。 298 00:24:09,163 --> 00:24:11,832 よし。 力を入れ直すぞ! 299 00:24:11,832 --> 00:24:15,169 あっ! 痛い! どうしました!? 300 00:24:15,169 --> 00:24:17,838 トゲが。 見せてください。 301 00:24:17,838 --> 00:24:22,176 ダメです。 トゲを抜かないと うんだら 大変です。 302 00:24:22,176 --> 00:24:26,847 <ひかるの手をつかむ 猛の手の温かさを感じて⇒ 303 00:24:26,847 --> 00:24:29,183 ひかるの胸は ドキンと鳴り⇒ 304 00:24:29,183 --> 00:24:33,883 胸のときめきは 止まりそうもありませんでした> 305 00:24:46,467 --> 00:24:50,137 猛は誰かのためだったら 命をかけることができる? 306 00:24:50,137 --> 00:24:52,139 お前と ひかるの間には⇒ 307 00:24:52,139 --> 00:24:58,145 越えることのできない 絶望的な 溝があるんだ。 忘れんなよ。 308 00:24:58,145 --> 00:25:00,814 貴様 何様のつもりじゃ。 旦那様 おやめください! 309 00:25:00,814 --> 00:25:02,483 お前が口を出すな。 文彦さんは お酔いです! 310 00:25:02,483 --> 00:25:04,485 そんな猛は大嫌いよ! 311 00:25:04,485 --> 00:25:10,085 ♪