1 00:02:32,597 --> 00:02:33,465 2 00:02:33,465 --> 00:02:35,133 (ひかる)あっ 痛い! (猛)どうしました? 3 00:02:35,133 --> 00:02:38,470 トゲが…。 見せてください。 4 00:02:38,470 --> 00:02:41,473 ダメです。 トゲを抜かないと うんだら大変です。 5 00:02:41,473 --> 00:02:59,157 ♪ 6 00:02:59,157 --> 00:03:02,494 (絹)猛。 お前は この屋敷で育ちましたが⇒ 7 00:03:02,494 --> 00:03:05,163 ひかるとは兄妹ではありません。 8 00:03:05,163 --> 00:03:09,167 このこと 分かっていますね。 はい。 9 00:03:09,167 --> 00:03:13,171 お前は16。 ひかるは女学校の1年生です。 10 00:03:13,171 --> 00:03:16,174 もう子供ではありません。 11 00:03:16,174 --> 00:03:20,512 昔なら 「男女七歳にして 席を同じうせず」です。 12 00:03:20,512 --> 00:03:25,183 (絹)ですから ひかるには 近づかぬよう心得なさい。 13 00:03:25,183 --> 00:03:27,852 はい。 かしこまりました。 14 00:03:27,852 --> 00:03:33,124 お前には お前の分。 ひかるには ひかるの分というものがあります。 15 00:03:33,124 --> 00:03:39,130 それをわきまえて行動するように。 分かっています。 16 00:03:39,130 --> 00:03:43,134 くれぐれも 自分の行動を慎むように。 17 00:03:43,134 --> 00:03:46,137 はい。 18 00:03:46,137 --> 00:03:51,476 ♪『Delight of my love』 19 00:03:51,476 --> 00:04:06,491 ♪ 20 00:04:06,491 --> 00:04:26,511 ♪ 21 00:04:26,511 --> 00:04:46,464 ♪ 22 00:04:46,464 --> 00:05:06,484 ♪ 23 00:05:06,484 --> 00:05:15,484 ♪ 24 00:05:17,462 --> 00:05:21,466 <山梨県は このころは 大雨が降れば 洪水があり⇒ 25 00:05:21,466 --> 00:05:24,469 日照りが続けば 干ばつとなることが多く⇒ 26 00:05:24,469 --> 00:05:27,138 伝衛門は白部村のために⇒ 27 00:05:27,138 --> 00:05:31,743 灌漑用水路の工事を 進めていたのです> 28 00:05:31,743 --> 00:05:35,079 (八幡)今までの計画では 白部村は治水されますが⇒ 29 00:05:35,079 --> 00:05:39,083 上の山田村と 下の大木村には 水が回りにくくなるんです。 30 00:05:39,083 --> 00:05:41,085 (伝衛門)それが障害となって 今までは⇒ 31 00:05:41,085 --> 00:05:43,087 この辺りは 灌漑工事が できんかったんじゃ。 32 00:05:43,087 --> 00:05:49,093 (高島)もう20年来の悲願じゃ。 どうしたものかの 三枝さん。 33 00:05:49,093 --> 00:05:53,431 この10日間 猛と二人で この辺り一帯を歩いてみたんじゃ。 34 00:05:53,431 --> 00:05:57,101 (高島)ほう。 (伝衛門)そしたら 地図には載っていなかったんだが⇒ 35 00:05:57,101 --> 00:05:59,437 釜無川上流のこの谷間に⇒ 36 00:05:59,437 --> 00:06:03,107 鹿や猪が よく集まる 沼地があったんじゃ。 37 00:06:03,107 --> 00:06:06,444 工事費用は多少かさむが ここに貯水池を作り⇒ 38 00:06:06,444 --> 00:06:10,448 3つの村に平等に水が行くように 用水路を掘るんじゃ。⇒ 39 00:06:10,448 --> 00:06:12,450 これなら どこからも文句は出ん。 40 00:06:12,450 --> 00:06:14,786 (八幡)なるほど。 これは盲点でした。 41 00:06:14,786 --> 00:06:17,455 さすが三枝さん 目の付けどころが違いますね。 42 00:06:17,455 --> 00:06:23,127 いや。 ここを発見したのは 猛だ。 なあ 猛。 ええ まあ。 43 00:06:23,127 --> 00:06:26,130 どうして こんなところの 沼地を知ってたのかね。 44 00:06:26,130 --> 00:06:28,800 俺は この甲府の山々が 大好きなんです。 45 00:06:28,800 --> 00:06:32,070 だから 毎朝 歩き回ってます。 それだけです。 46 00:06:32,070 --> 00:06:34,072 なるほど。 47 00:06:34,072 --> 00:06:37,742 三枝さん 僕からの提案です。 猛君に⇒ 48 00:06:37,742 --> 00:06:41,079 この工事の予備調査の責任者に なってもらっては どうでしょうか。 49 00:06:41,079 --> 00:06:45,083 猛が予備調査の責任者か。 無理です。 50 00:06:45,083 --> 00:06:47,085 調査と測量の仕方は 僕が教える。 51 00:06:47,085 --> 00:06:49,087 君は 5、6人の調査班を 編成して⇒ 52 00:06:49,087 --> 00:06:52,423 僕の指示どおりに してくれればいい。 どうでしょう? 53 00:06:52,423 --> 00:06:55,426 三枝さん わしは賛成じゃ。 ハハハ。 54 00:06:55,426 --> 00:06:59,430 これを機会に 猛君には もっと力を付けてもらいましょう。 55 00:06:59,430 --> 00:07:01,766 高島さんに そう言っていただけるのなら⇒ 56 00:07:01,766 --> 00:07:06,437 猛。 お前が予備調査班の班長だ。 いいな。 57 00:07:06,437 --> 00:07:10,108 はい。 やらせていただきます。 ただし 治平さんには⇒ 58 00:07:10,108 --> 00:07:13,778 何事につけても相談に 乗っていただかないと できません。 59 00:07:13,778 --> 00:07:18,449 治平 よいな。 (治平)旦那様の 言いつけどおりにいたします。 60 00:07:18,449 --> 00:07:22,453 よろしく お願いします。 では 予備調査に必要な道具と⇒ 61 00:07:22,453 --> 00:07:25,453 機材を見積もってくれ。 かしこまりました。 62 00:07:29,394 --> 00:07:31,062 猛 聞いたわよ。 63 00:07:31,062 --> 00:07:34,732 工事の予備調査の責任者に なったんですって? (猛)はい。 64 00:07:34,732 --> 00:07:37,735 おめでとう。 いえ。 そんな 大したことじゃないんです。 65 00:07:37,735 --> 00:07:41,072 すべて技師さんから言われたこと するだけですから。 66 00:07:41,072 --> 00:07:43,741 お父様は すごく 期待しているようだったわ。 67 00:07:43,741 --> 00:07:45,743 猛が一段と成長するのが⇒ 68 00:07:45,743 --> 00:07:48,079 楽しみだって おっしゃっているわよ。 69 00:07:48,079 --> 00:07:49,779 そうですか。 70 00:07:51,416 --> 00:07:55,420 猛って勉強家だから また こつこつとやるんでしょう。 71 00:07:55,420 --> 00:07:57,088 はい 頑張ります。 72 00:07:57,088 --> 00:08:00,091 分からないことがあったら 相談してね。 73 00:08:00,091 --> 00:08:01,791 ありがとうございます。 74 00:08:05,763 --> 00:08:09,434 ところで ちょっと河原まで つきあってくれない? 75 00:08:09,434 --> 00:08:14,439 今 仕事中ですし。 実は すごいことを発見したのよ。 76 00:08:14,439 --> 00:08:16,774 何ですか? ひょっとすると これは⇒ 77 00:08:16,774 --> 00:08:20,111 今度の灌漑工事の 役に立つかもしれないわよ。 78 00:08:20,111 --> 00:08:22,113 ホントですか? それって何です? 79 00:08:22,113 --> 00:08:25,450 だから 教えてあげるから いらっしゃいよ。 80 00:08:25,450 --> 00:08:30,721 ホントに 工事に役立つんですか? わたしは嘘はつきません。 81 00:08:30,721 --> 00:08:32,421 待ってください。 82 00:08:40,398 --> 00:08:44,068 (ひかる)ほら。 猛 ここよ ここ。 (猛)何があるんですか? 83 00:08:44,068 --> 00:08:46,404 もっと川に近づかないと 見えないわよ。 84 00:08:46,404 --> 00:08:48,004 はい。 85 00:08:51,075 --> 00:08:53,411 わたしが教えたかったのは これよ。 86 00:08:53,411 --> 00:08:57,081 あっ! 世の中は 暑い夏になっているのよ。 87 00:08:57,081 --> 00:09:00,418 それを忘れているんでしょう。 やめてください。 88 00:09:00,418 --> 00:09:04,088 16歳だからって 大人ぶらないの。 89 00:09:04,088 --> 00:09:08,426 やったな この! ハハハ。 負けるもんですか。 90 00:09:08,426 --> 00:09:28,112 ♪ 91 00:09:28,112 --> 00:09:38,055 ♪ 92 00:09:38,055 --> 00:09:39,724 わたしたちを見かけたのなら⇒ 93 00:09:39,724 --> 00:09:41,726 どうして 声を掛けてくれなかったのです? 94 00:09:41,726 --> 00:09:45,062 恥ずかしさのあまり 顔から火花が出るところでした。 95 00:09:45,062 --> 00:09:48,399 せめてもの救いは 他人様に見られなかったことだけ。 96 00:09:48,399 --> 00:09:50,067 そんな…。 97 00:09:50,067 --> 00:09:54,405 あなたは 三枝家の一人娘としての 自覚が足りなさすぎます。 98 00:09:54,405 --> 00:09:58,075 あんな はしたない娘に 育てた覚えはありません! 99 00:09:58,075 --> 00:10:01,078 あしたからは バイオリンのお稽古には 末に付き添ってもらいます。 100 00:10:01,078 --> 00:10:04,749 猛ではダメなのですか? あんな光景を見て⇒ 101 00:10:04,749 --> 00:10:09,086 猛に節度ある行動が できると思えますか? 102 00:10:09,086 --> 00:10:12,089 分かりました。 わたし 明日から⇒ 103 00:10:12,089 --> 00:10:15,092 誰もお供を付けずに お稽古に行きます。 なりません。 104 00:10:15,092 --> 00:10:16,761 あなたは三枝家の一人娘です。 105 00:10:16,761 --> 00:10:21,098 下手なバイオリンをこの家の 女中に聞かれるのは嫌なのです! 106 00:10:21,098 --> 00:10:24,498 わたしは一人で行きますから。 ひかる! 107 00:10:33,044 --> 00:10:37,048 猛! ダメです。 ここへ来ては。 108 00:10:37,048 --> 00:10:41,052 わたし お母様に言われたの。 あしたからバイオリンのお稽古に⇒ 109 00:10:41,052 --> 00:10:45,056 末をお供にするようにって。 そうですか。 110 00:10:45,056 --> 00:10:46,724 それだけなの? 111 00:10:46,724 --> 00:10:49,393 奥様が決めたのなら しかたがありません。 112 00:10:49,393 --> 00:10:52,063 本当に そう思うの? はい。 113 00:10:52,063 --> 00:10:56,463 意気地なし! そんな猛は大嫌いよ! 114 00:11:01,405 --> 00:11:06,077 <ひかるは 自分の言った言葉に 驚いていました。⇒ 115 00:11:06,077 --> 00:11:11,415 猛を嫌いだなんて思ったことは 一度もなかったのですから> 116 00:11:11,415 --> 00:11:26,415 ♪ 117 00:11:35,373 --> 00:11:37,973 (お花)お茶でございます。 (伝衛門)うむ。 118 00:11:41,045 --> 00:11:45,383 ぬるいぞ。 入れ直せ。 (お花)申し訳ございません。 119 00:11:45,383 --> 00:11:49,983 絹! 絹はおらんか! はい 旦那様。 120 00:11:51,722 --> 00:11:54,058 文彦は ゆうべ 帰ってはこなかったのか? 121 00:11:54,058 --> 00:11:57,728 (絹)はい。 申し訳ございません。 お前が謝ることはない。 122 00:11:57,728 --> 00:12:01,065 バカ者が。 どこで遊びほうけておるんだ。 123 00:12:01,065 --> 00:12:06,737 多分 お友達のお宅にでも。 結局 連絡はなかったんだな? 124 00:12:06,737 --> 00:12:09,740 ええ。 体でも悪くして⇒ 125 00:12:09,740 --> 00:12:12,743 連絡ができないのではと 気をもんでおります。 126 00:12:12,743 --> 00:12:16,080 お前は過保護でいかん。 文彦は お前の その甘さにつけ込んで…。 127 00:12:16,080 --> 00:12:18,080 ≪(末)お嬢様のお出かけです。 128 00:12:21,085 --> 00:12:24,422 本屋まで 予約しておいた楽譜を 買いに行きます。 129 00:12:24,422 --> 00:12:27,422 末についてきてもらいます。 いいでしょうか? 130 00:12:30,761 --> 00:12:33,764 ええ。 末。 お供 お願いしますよ。 131 00:12:33,764 --> 00:12:37,768 (末)はい かしこまりました。 いってらっしゃい。 132 00:12:37,768 --> 00:12:39,770 気をつけて行ってくるんだぞ。 はい。 133 00:12:39,770 --> 00:12:42,470 お父様 お母様 行ってきます。 134 00:12:48,446 --> 00:12:50,114 (猛)よし。 ここの沢の入口から⇒ 135 00:12:50,114 --> 00:12:52,450 この辺りまで 測量しよう。 (吾作)そうだな。 136 00:12:52,450 --> 00:12:55,119 ここから始めるのがいいな。 よし 決まりだ。 137 00:12:55,119 --> 00:12:57,455 あっ 思い出した。 そこの用水路の⇒ 138 00:12:57,455 --> 00:13:00,458 発動機の油が切れてるんだ。 どうしようか? 139 00:13:00,458 --> 00:13:02,793 あとで注文しとくよ。 必要なのは あしただよな。 140 00:13:02,793 --> 00:13:05,129 あしたの昼までにあればいいんだ。 了解。 141 00:13:05,129 --> 00:13:06,829 ≪(徹)猛。 142 00:13:08,466 --> 00:13:11,135 (徹)お前 予備調査の 班長さんなんだってな。 143 00:13:11,135 --> 00:13:12,803 はい。 よろしく お願いします。 144 00:13:12,803 --> 00:13:16,474 あんな山の上の沼地のところに 貯水池を作るなんて⇒ 145 00:13:16,474 --> 00:13:20,144 大変な工事になるぞ。 分かってますが 最善の方法です。 146 00:13:20,144 --> 00:13:22,813 土地っ子じゃねえから いつでも逃げ出せると思って⇒ 147 00:13:22,813 --> 00:13:26,150 いいかげんなこと言いやがって。 えっ? 班長さんよ。 148 00:13:26,150 --> 00:13:29,550 あの場所を選んだのは 旦那様だってよ。 149 00:13:31,422 --> 00:13:34,091 (徹)さすがだな。 150 00:13:34,091 --> 00:13:38,429 猛。 失敗したら班長の責任だぞ。 分かってます。 151 00:13:38,429 --> 00:13:41,766 全力で働きますから よろしくお願いします。 152 00:13:41,766 --> 00:13:45,436 吾作。 ちょっと来う。 話がある。 うん。 153 00:13:45,436 --> 00:13:47,036 ちょっと行ってくるから。 154 00:13:50,441 --> 00:13:55,446 (お花)猛さん。 弁当 持ってきたよ。 ありがとう。 155 00:13:55,446 --> 00:13:57,448 今 食べるんだったら お茶 入れるけど。 156 00:13:57,448 --> 00:13:59,448 あとにするからいいよ。 157 00:14:02,119 --> 00:14:06,123 猛さんが班長さんなんだって。 偉いわ。 158 00:14:06,123 --> 00:14:08,125 仕事ができなきゃ意味ないよ。 159 00:14:08,125 --> 00:14:12,463 わたし ここで猛さんに会わなきゃ 今ごろ どうしていたかしら。 160 00:14:12,463 --> 00:14:17,134 うん。 感謝してるんだ。 161 00:14:17,134 --> 00:14:23,140 わたし 人に優しくされたの 初めてだ。 最高に うれしかった。 162 00:14:23,140 --> 00:14:27,478 わたし 猛さんのためだったら…。 悪いけど⇒ 163 00:14:27,478 --> 00:14:33,417 今 仕事に集中したいんだ。 ごめんなさい。 気が利かなくて。 164 00:14:33,417 --> 00:14:35,417 失礼します。 165 00:14:54,805 --> 00:14:58,809 ≪(戸をたたく音) どなたですか? 166 00:14:58,809 --> 00:15:02,109 (文彦)俺だ。 文彦だ。 開けろ。 167 00:15:10,154 --> 00:15:13,491 文彦さん。 (文彦)おう。 このゴマすり男が。 168 00:15:13,491 --> 00:15:15,491 まだ起きてたか。 169 00:15:18,162 --> 00:15:23,501 (織江)あら。 あんた誰? どうも わざわざ ご苦労さまです。 170 00:15:23,501 --> 00:15:25,169 文彦さんは もう大丈夫ですから。 171 00:15:25,169 --> 00:15:30,441 あら。 わたしを追い返そうっての? そうはいかないわよ 坊や。 172 00:15:30,441 --> 00:15:37,114 織江。 そんな下男にかまうな。 お前は俺様の女だ。 173 00:15:37,114 --> 00:15:42,514 絶対に離さない。 ううん。 言葉だけでは嫌よ。 174 00:15:48,125 --> 00:15:49,825 文彦。 175 00:15:52,129 --> 00:15:55,466 この方が かの有名な大地主様なの? 176 00:15:55,466 --> 00:15:59,136 すごい迫力。 アハハハ。 177 00:15:59,136 --> 00:16:02,139 (絹)あなたさまは どちらさまでございますか? 178 00:16:02,139 --> 00:16:07,811 はじめまして。 私は 織江と申す しがない女給です。 179 00:16:07,811 --> 00:16:10,481 文彦坊ちゃまを お送りしてきました。 180 00:16:10,481 --> 00:16:12,149 まあ ご苦労さまでございます。 181 00:16:12,149 --> 00:16:16,153 もう大丈夫でございますから どうぞ お引き取りくださいませ。 182 00:16:16,153 --> 00:16:19,823 私 お坊ちゃまが ご命じなさるのでしたら⇒ 183 00:16:19,823 --> 00:16:24,828 早速 引き上げますが。 そ… それは…。 184 00:16:24,828 --> 00:16:27,431 はっきりせえ! 185 00:16:27,431 --> 00:16:31,769 文彦様。 今夜は ここで退散しますわ。 186 00:16:31,769 --> 00:16:36,469 皆さま お騒がせしました。 失礼します。 187 00:16:38,108 --> 00:16:43,508 これ お坊ちゃまのお勘定だから あとで奥様に お願いして。 188 00:16:47,785 --> 00:16:55,125 うーっ! 僕 酔いすぎで 気分悪くて お先に。 189 00:16:55,125 --> 00:16:58,462 文彦! 貴様 何様のつもりじゃ。 190 00:16:58,462 --> 00:17:00,464 旦那様 おやめください! お前が口を出すな。 191 00:17:00,464 --> 00:17:02,466 文彦さんは お酔いです! 今は おやめください! 192 00:17:02,466 --> 00:17:05,466 あなた どうか落ち着いてくださいませ。 193 00:17:11,475 --> 00:17:14,144 許さん。 絶対に許さん。 うわー! 194 00:17:14,144 --> 00:17:17,815 (ひかる)お父様! (伝衛門)この うつけ者が! 195 00:17:17,815 --> 00:17:20,515 文彦さん。 井戸端で 吐いたほうがいいですよ。 196 00:17:25,155 --> 00:17:28,425 母屋で寝かすことは まかりならん! 197 00:17:28,425 --> 00:17:30,025 はい。 198 00:17:37,101 --> 00:17:40,104 まじめに こんな本も 読んでいるのか。 199 00:17:40,104 --> 00:17:43,440 親父が お前のことを 信用しているわけだ。 200 00:17:43,440 --> 00:17:49,113 平気なんですか? 芝居だよ 芝居。 えっ? 201 00:17:49,113 --> 00:17:53,117 親父が一度キレたら 収まりがきかないことくらい⇒ 202 00:17:53,117 --> 00:17:55,517 お前にだって よく分かってんだろう。 203 00:17:57,121 --> 00:18:01,521 いくら頑固でも 病人にはムチ打てまい。 204 00:18:03,127 --> 00:18:06,797 俺は遊び人だよ。 高等学校に行って⇒ 205 00:18:06,797 --> 00:18:13,470 この家 出れて 清々してるのさ。 お前は相変わらずだな。 206 00:18:13,470 --> 00:18:17,470 そんなに仕事ばかりして 人生 何が楽しい? 207 00:18:19,476 --> 00:18:24,815 さっきの様子といい お前は まだ女を知らんな。 208 00:18:24,815 --> 00:18:28,085 何が言いたいんですか。 ひかるとは どうなんだ? 209 00:18:28,085 --> 00:18:31,088 何もありません。 俺は使用人ですから。 210 00:18:31,088 --> 00:18:34,488 嘘をつけ。 女として意識をしているはずだ。 211 00:18:37,761 --> 00:18:42,433 三枝家の跡継ぎ 総領息子として言うが⇒ 212 00:18:42,433 --> 00:18:44,768 お前と ひかるの間には⇒ 213 00:18:44,768 --> 00:18:51,068 越えることのできない 絶望的な 溝があるんだ。 忘れんなよ。 214 00:18:53,444 --> 00:18:55,446 寝るぞ。 215 00:18:55,446 --> 00:19:07,458 ♪ 216 00:19:07,458 --> 00:19:26,410 ♪ 217 00:19:26,410 --> 00:19:29,413 <その翌日 ひかるは お供を付けずに⇒ 218 00:19:29,413 --> 00:19:34,752 バイオリンの稽古に出かけました。 寂しく 不安でしたが⇒ 219 00:19:34,752 --> 00:19:38,422 自分で選んだことですから しかたありません> 220 00:19:38,422 --> 00:19:53,103 ♪ 221 00:19:53,103 --> 00:19:54,772 (吾作)どうした 猛? 222 00:19:54,772 --> 00:19:57,441 思いつめた顔して。 何でもない。 223 00:19:57,441 --> 00:20:15,125 ♪ 224 00:20:15,125 --> 00:20:18,525 猛。 どうしたのよ。 225 00:20:21,465 --> 00:20:23,465 猛。 226 00:20:31,074 --> 00:20:37,074 バイオリン持つのは俺です。 そうよ。 よく思い出しました。 227 00:20:40,083 --> 00:20:44,755 (崇子)猛君。 今日こそ一緒に お紅茶をいただきましょうね。 228 00:20:44,755 --> 00:20:46,423 自分は立場がありますから。 229 00:20:46,423 --> 00:20:50,093 猛。 せっかく来てくれたんだから いただいたら。 230 00:20:50,093 --> 00:20:55,098 結構です。 先生。 こういう頑固者なんです。 231 00:20:55,098 --> 00:20:59,102 (崇子)猛君。 私とあなたは同じ人間よ。 232 00:20:59,102 --> 00:21:03,106 心のままに もっと自由に ふるまったらどう? 233 00:21:03,106 --> 00:21:06,443 自由にふるまうのですか? 234 00:21:06,443 --> 00:21:10,443 ひかるちゃんに有島武郎の 『或女』を貸してあげるわ。 235 00:21:12,449 --> 00:21:17,120 この本には すべての恋愛は 自由だと書かれているわ。 236 00:21:17,120 --> 00:21:21,458 この主人公の女性は あらゆる 束縛をものともせずに⇒ 237 00:21:21,458 --> 00:21:25,462 自分の気持ちのままに 恋愛をしたわ。 238 00:21:25,462 --> 00:21:29,399 すごい。 大胆ですね。 239 00:21:29,399 --> 00:21:32,402 今 甲府に 「自由舞台」という劇団が⇒ 240 00:21:32,402 --> 00:21:36,073 この『或女』のお芝居の 公演に来ているわ。 241 00:21:36,073 --> 00:21:44,081 すごく感動して 泣いちゃったわ。 これ お芝居のチラシですか? 242 00:21:44,081 --> 00:21:49,753 ええ。 それは差し上げるわ。 わあ。 このお芝居 見たいな。 243 00:21:49,753 --> 00:21:53,423 きっと感動するわよ。 ええ。 244 00:21:53,423 --> 00:21:57,094 愛のためなら 死ぬことさえも いとわない。 245 00:21:57,094 --> 00:22:01,765 私は そういう恋愛を もう一度したいと願っているわ。 246 00:22:01,765 --> 00:22:06,103 もう一度とは 命がけの 恋愛をしたことがあるのですか? 247 00:22:06,103 --> 00:22:10,440 さあ どうかしら。 フフフ。 248 00:22:10,440 --> 00:22:16,446 今の私の楽しみは 一度でいいから 猛君に 「はい」と言わせて⇒ 249 00:22:16,446 --> 00:22:19,783 一緒に紅茶をいただいてみたいわ。 困ります。 250 00:22:19,783 --> 00:22:23,453 猛 何を照れてるの? 251 00:22:23,453 --> 00:22:29,453 猛君て ホントに純情なのね。 お嬢様 自分は外で待ってます。 252 00:22:31,461 --> 00:22:35,799 猛君て ホントにかわいいわね。 本当ね。 253 00:22:35,799 --> 00:22:41,471 照れちゃってるの。 おかしい。 ハハハ…。 254 00:22:41,471 --> 00:22:44,808 (ひかる)猛。 どうして さっきから口をきかないのよ。 255 00:22:44,808 --> 00:22:47,144 二人で俺をからかうからです。 256 00:22:47,144 --> 00:22:49,813 じゃあ 聞くけど どうして 顔を赤くしたの? 257 00:22:49,813 --> 00:22:52,482 俺 仕事に戻ります。 ここで。 嫌よ。 258 00:22:52,482 --> 00:22:58,155 わたし 崇子先生のことを 猛と話したいの。 困ります。 259 00:22:58,155 --> 00:23:03,160 おっ 猛 おかえり。 お嬢様! どうも。 260 00:23:03,160 --> 00:23:05,495 留守の間に何もなかったか? 大丈夫だ。 261 00:23:05,495 --> 00:23:08,832 今から水路の発動機を動かすわ。 よし。 じゃあ 俺が行って動かすよ。 262 00:23:08,832 --> 00:23:10,500 お嬢様 これ。 嫌よ。 263 00:23:10,500 --> 00:23:13,837 わたし お前に話があるって 言ったでしょ。 お嬢様。 264 00:23:13,837 --> 00:23:16,173 猛。 お嬢様のお話を聞けよ。 265 00:23:16,173 --> 00:23:20,177 発動機だったら おらが回すから 大丈夫だ。 なっ 鍵よこせよ。 266 00:23:20,177 --> 00:23:23,847 猛。 吾作に頼みなさい。 でも…。 267 00:23:23,847 --> 00:23:28,452 すぐです。 鍵を渡しなさい。 ほら。 268 00:23:28,452 --> 00:23:32,456 じゃあ頼む。 任せておけって! 269 00:23:32,456 --> 00:23:36,460 やっぱり発動機は俺が…。 猛。 聞きなさいよ。 270 00:23:36,460 --> 00:23:42,132 何でしょう? 命がけで人を愛するって⇒ 271 00:23:42,132 --> 00:23:44,468 どんな気持ちだったら できるのかしら。 272 00:23:44,468 --> 00:23:49,473 さあ。 猛は誰かのためだったら 命をかけることができる? 273 00:23:49,473 --> 00:23:52,476 今は 仕事に命をかけなきゃ いけないときです。 274 00:23:52,476 --> 00:23:54,476 つまんない答え。 275 00:23:59,149 --> 00:24:04,154 あらゆる束縛を越えて 自分の気持ちに自由に恋愛する。 276 00:24:04,154 --> 00:24:06,823 すてきだと思わない? 277 00:24:06,823 --> 00:24:12,162 猛は自由恋愛をどう思うの? とにかく 仕事をさせてください。 278 00:24:12,162 --> 00:24:13,862 (爆発音) 279 00:24:15,499 --> 00:24:19,499 ≪(治平)吾作が! 吾作が! 280 00:24:21,171 --> 00:24:22,871 猛! 281 00:24:24,841 --> 00:24:26,841 (爆発音) 282 00:24:33,450 --> 00:24:35,118 わたしが 猛と話すことさえ ダメなのですか? 283 00:24:35,118 --> 00:24:38,121 (知春)希望に満ちた将来を ひかるさんに 与えたいんだ。 284 00:24:38,121 --> 00:24:42,125 使用人の君には 想像もつかないだろうけどね。 285 00:24:42,125 --> 00:24:44,795 わたしの 言うことだったら 何でも聞くの? 286 00:24:44,795 --> 00:24:47,798 はい。 もういい! 287 00:24:47,798 --> 00:24:52,135 (番頭)お客さま おやめください。 警察 呼びますよ! 288 00:24:52,135 --> 00:24:53,804 (文彦)やめてください! 289 00:24:53,804 --> 00:24:57,104 (戸田)警察だ。 逆らうと 逮捕するぞ!