1 00:02:32,399 --> 00:02:33,267 2 00:02:33,267 --> 00:02:34,935 (吾作)おっ。 猛 おかえり。 3 00:02:34,935 --> 00:02:37,271 お嬢さま! どうも! 4 00:02:37,271 --> 00:02:39,607 (猛)留守の間 何もなかったか? 5 00:02:39,607 --> 00:02:41,942 (吾作)大丈夫だ。 今から 水路の発動機を動かすわ。 6 00:02:41,942 --> 00:02:43,611 よし。 じゃ 俺が行って 動かすよ。 7 00:02:43,611 --> 00:02:45,279 お嬢さま これ…。 (ひかる)嫌よ。 8 00:02:45,279 --> 00:02:48,616 わたし お前に話があるって 言ったでしょ。 お嬢さま。 9 00:02:48,616 --> 00:02:50,618 猛。 お嬢さまのお話を 聞けよ。 10 00:02:50,618 --> 00:02:52,620 発動機だったら おらが回すから 大丈夫だ。 11 00:02:52,620 --> 00:02:57,625 なっ 鍵よこせよ。 猛。 吾作に頼みなさい。 12 00:02:57,625 --> 00:02:59,293 でも。 すぐです。 13 00:02:59,293 --> 00:03:02,963 鍵を渡しなさい。 ほら。 14 00:03:02,963 --> 00:03:06,634 じゃあ 頼む。 任せておけって! 15 00:03:06,634 --> 00:03:10,971 やっぱり 発動機は 俺が…。 猛。 聞きなさいよ。 16 00:03:10,971 --> 00:03:15,976 何でしょう? 命がけで人を愛するって・ 17 00:03:15,976 --> 00:03:18,979 どんな気持ちだったら できるのかしら? 18 00:03:18,979 --> 00:03:23,984 さあ? 猛は 誰かのためだったら 命をかけることができる? 19 00:03:23,984 --> 00:03:26,654 今は 仕事に命をかけなきゃ いけないときです。 20 00:03:26,654 --> 00:03:28,954 つまんない答え。 21 00:03:33,260 --> 00:03:38,599 あらゆる束縛を越えて 自分の気持ちに 自由に恋愛する。 22 00:03:38,599 --> 00:03:41,602 すてきだと思わない? 23 00:03:41,602 --> 00:03:43,938 猛は 自由恋愛を どう思うの? 24 00:03:43,938 --> 00:03:46,273 とにかく 仕事をさせてください。 25 00:03:46,273 --> 00:03:49,944 (爆発音) 26 00:03:49,944 --> 00:03:53,644 ・(治平)吾作が。 吾作が! 27 00:03:55,282 --> 00:03:57,282 (ひかる)猛! 28 00:03:59,286 --> 00:04:00,886 (爆発音) 29 00:04:02,623 --> 00:04:06,627 (猛)吾作 大丈夫か! (吾作)何でもないって。 ううっ! 30 00:04:06,627 --> 00:04:08,295 治平さん。 診療所へ行って 先生 呼んできてください! 31 00:04:08,295 --> 00:04:09,964 (治平)分かった。 行ってくる。 32 00:04:09,964 --> 00:04:11,632 (ひかる)吾作。 大丈夫!? ひかるさん。 33 00:04:11,632 --> 00:04:13,300 川から 水くんできてください。 分かったわ。 34 00:04:13,300 --> 00:04:14,969 とにかく やけどは 冷やすのが いちばんだ。 35 00:04:14,969 --> 00:04:17,638 うっ うん。 吾作 許してくれ。 俺のせいだ。 36 00:04:17,638 --> 00:04:19,974 そんなこと ないってば。 もうすぐ 医者が来るからな。 37 00:04:19,974 --> 00:04:21,642 うん。 頑張れよ。 38 00:04:21,642 --> 00:04:24,645 (ひかる)猛。 くんできたわよ。 お嬢さま ありがとうございます。 39 00:04:24,645 --> 00:04:30,345 吾作 頑張るのよ。 はい…。 あーっ! 40 00:04:31,986 --> 00:04:36,590 ・『Delight of my love』 41 00:04:36,590 --> 00:04:50,938 ・~ 42 00:04:50,938 --> 00:05:10,958 ・~ 43 00:05:10,958 --> 00:05:30,978 ・~ 44 00:05:30,978 --> 00:05:50,931 ・~ 45 00:05:50,931 --> 00:06:00,331 ・~ 46 00:06:02,276 --> 00:06:04,611 (伝衛門)吾作。 大事にならずに 良かったな。 47 00:06:04,611 --> 00:06:07,281 (吾作) はい。 ありがとうございます。・ 48 00:06:07,281 --> 00:06:10,284 医者が言うには すぐに冷やしたのが幸いだったと。 49 00:06:10,284 --> 00:06:13,954 (絹)吾作。 費用のことは考えずに 手当て なさい。 50 00:06:13,954 --> 00:06:16,290 すべてはこの 三枝の家が 面倒を見ます。 51 00:06:16,290 --> 00:06:18,292 ありがとうございます。 52 00:06:18,292 --> 00:06:21,295 治平。 事故の原因は 何だった? 53 00:06:21,295 --> 00:06:24,631 (治平)発動機に 入っていたのが ガソリンでした。 54 00:06:24,631 --> 00:06:26,967 そのために 引火したようです。 55 00:06:26,967 --> 00:06:30,904 猛。 なぜガソリンが 発動機に入っていた? 56 00:06:30,904 --> 00:06:33,574 自分が 見落としました。 申し訳ありません。 57 00:06:33,574 --> 00:06:35,242 そうじゃねえです。 58 00:06:35,242 --> 00:06:37,244 おらが 軽油とガソリンを まちがえて 入れたんです。 59 00:06:37,244 --> 00:06:40,581 そのために事故が…。 いいえ。 自分が班長なのに・ 60 00:06:40,581 --> 00:06:42,916 発動機を 自分で 動かさなかったのが 原因です。 61 00:06:42,916 --> 00:06:46,587 猛。 聞きますが お前ほど 責任感の強い人間が・ 62 00:06:46,587 --> 00:06:49,256 どうして 現場に いなかったのですか? 63 00:06:49,256 --> 00:06:52,259 (伝衛門)わしも それを 聞きたいと思っていた。 64 00:06:52,259 --> 00:06:56,597 おまんは そのとき いったい どこで 何をしていたんだ? 65 00:06:56,597 --> 00:06:58,265 番小屋にいました。 66 00:06:58,265 --> 00:07:01,935 わたしが 仕事に行く猛を 引き止めたのです。 67 00:07:01,935 --> 00:07:04,938 ひかる。 どうして お前が 番小屋にいたのです? 68 00:07:04,938 --> 00:07:09,610 今日 崇子先生と話したことを 猛に 話していたのです。 69 00:07:09,610 --> 00:07:12,279 だから 事故は わたしのせいです。 70 00:07:12,279 --> 00:07:18,285 (伝衛門)ひかる。 さがっていなさい。 はい。 71 00:07:18,285 --> 00:07:21,622 (吾作)旦那さま! 猛は何も悪くはありません。・ 72 00:07:21,622 --> 00:07:23,624 おらが 軽はずみに まちがえたんです。・ 73 00:07:23,624 --> 00:07:26,960 猛のおかげで おらのやけどは 軽くて済んだんです。 74 00:07:26,960 --> 00:07:28,962 (伝衛門)分かっている。・ 75 00:07:28,962 --> 00:07:33,901 猛。 お前には あとで話がある。 さがっていなさい。 76 00:07:33,901 --> 00:07:38,572 はい。 吾作 悪かったな。 77 00:07:38,572 --> 00:07:41,241 (吾作)旦那さま。 (伝衛門)もうよい。 78 00:07:41,241 --> 00:07:45,841 吾作も 帰って養生しろ。 (吾作)はい。 79 00:07:49,917 --> 00:07:53,921 あなた。 うむ。 80 00:07:53,921 --> 00:07:56,590 (絹)ひかる。 正直に言いなさい。・ 81 00:07:56,590 --> 00:07:59,259 番小屋で猛と 何をしていたのです? 82 00:07:59,259 --> 00:08:02,262 ですから 崇子先生が 話してくれたことを・ 83 00:08:02,262 --> 00:08:04,598 猛と 話していたのです。 84 00:08:04,598 --> 00:08:07,935 そんなに急いで 話をしなければ ならないことですか? 85 00:08:07,935 --> 00:08:09,937 わたしのわがままです。 86 00:08:09,937 --> 00:08:13,273 新しい時代のことや ヨーロッパのことを聞いて・ 87 00:08:13,273 --> 00:08:15,275 誰かに話したくて 行ったんです。 88 00:08:15,275 --> 00:08:18,946 これからは 猛に話しに行くことは やめなさい。 89 00:08:18,946 --> 00:08:22,282 わたしが 猛と話すことさえ ダメなのですか? 90 00:08:22,282 --> 00:08:24,284 必要なことだけにしなさい。 91 00:08:24,284 --> 00:08:27,621 お母さま。 わたしをもっと 信用してください。 92 00:08:27,621 --> 00:08:30,321 だったら 言いつけを 守りなさい。 93 00:08:39,900 --> 00:08:46,300 猛。 申し訳ありませんでした。 94 00:08:50,911 --> 00:08:53,580 予備調査の支度は 整ったか? 95 00:08:53,580 --> 00:08:55,249 必要な物は ここに書き出したので・ 96 00:08:55,249 --> 00:08:58,849 あとで 見ていただこうと 思っていました。 これか。 97 00:09:01,922 --> 00:09:03,590 だいたいは こんなとこだろう。 98 00:09:03,590 --> 00:09:09,596 はい。 明日には 全部そろえて 明後日から予備調査に入ります。 99 00:09:09,596 --> 00:09:14,268 責任を持った仕事をしろよ。 はい。 100 00:09:14,268 --> 00:09:18,939 わしはな この国の先行きを 案じているのだ。 101 00:09:18,939 --> 00:09:22,609 今の日本には 本物の男が 少なくなった。 102 00:09:22,609 --> 00:09:26,280 誰も彼も 考えることは 目先の利益ばかりじゃ。 103 00:09:26,280 --> 00:09:28,949 男子たるもの それでは あまりにも情けない。 104 00:09:28,949 --> 00:09:35,556 はい。 おまんには 本物の男に なってほしいんだ。 105 00:09:35,556 --> 00:09:39,893 すべてを言わなくても おまんなら 分かると思うが・ 106 00:09:39,893 --> 00:09:45,232 己の分をわきまえ 男として なすべきことを 貫く。 107 00:09:45,232 --> 00:09:50,237 そんな生き方を してほしいのだ。 はい。 108 00:09:50,237 --> 00:09:53,574 (絹)知春さん。 よく おいでくださいました。 109 00:09:53,574 --> 00:09:56,243 (知春)お招きいただき ありがとうございます。 110 00:09:56,243 --> 00:09:58,245 お茶を 召し上がって いただきたくて・ 111 00:09:58,245 --> 00:10:02,249 おいでいただきました。 ありがとうございました。 112 00:10:02,249 --> 00:10:05,919 (絹)一度 ひかるの勉強を 見てやってくださいませんか? 113 00:10:05,919 --> 00:10:08,589 (文彦)ひかる。 古川は抜群の秀才でな・ 114 00:10:08,589 --> 00:10:11,592 帝大の医学部 まちがいなしと 言われてるんだぞ。 115 00:10:11,592 --> 00:10:14,595 機会がありましたら お願いします。 116 00:10:14,595 --> 00:10:17,598 (知春) 僕でよければ いつでもどうぞ。 117 00:10:17,598 --> 00:10:19,266 (絹)ありがとうございます。 118 00:10:19,266 --> 00:10:21,602 ひかる。 あなたには 過ぎたことですよ。 119 00:10:21,602 --> 00:10:25,939 感謝しなさい。 はい。 ありがとうございます。 120 00:10:25,939 --> 00:10:29,876 僕と古川君は あしたから八ヶ岳で 弓道部の合宿がありますので・ 121 00:10:29,876 --> 00:10:32,212 支度をしてきます。 まあ。 急な合宿ですね。 122 00:10:32,212 --> 00:10:36,216 ええ。 先輩の気まぐれも あるのでしょう。 なあ 古川君。 123 00:10:36,216 --> 00:10:41,221 ええ。 「八ヶ岳登山で 鍛え直す」なんて 言ってました。 124 00:10:41,221 --> 00:10:44,558 お母さま。 あとで 軍資金の 相談をさせてください。 125 00:10:44,558 --> 00:10:48,562 分かりました。 ひかる。 知春さんを ご案内して。 126 00:10:48,562 --> 00:10:51,231 はい。 どうぞ お上がりください。 127 00:10:51,231 --> 00:10:53,231 お邪魔いたします。 128 00:11:04,578 --> 00:11:07,247 たいへん おいしゅうございました。 129 00:11:07,247 --> 00:11:10,584 わざわざ お運びいただき ありがとうございます。 130 00:11:10,584 --> 00:11:15,255 お招きいただき 光栄です。 ところで ひかるさん。 131 00:11:15,255 --> 00:11:16,923 バイオリンのおけいこは いかがですか? 132 00:11:16,923 --> 00:11:20,594 先生も すばらしい方だし とても楽しいですわ。 133 00:11:20,594 --> 00:11:23,930 一度 ひかるさんの弾くバイオリンを 聞かせてください。 134 00:11:23,930 --> 00:11:27,267 まだまだ 人さまにお聞かせ するようなものではありません。 135 00:11:27,267 --> 00:11:30,871 ひかる。 一度 知春さんに 聞いていただきましょう。 136 00:11:30,871 --> 00:11:34,541 はい。 崇子先生のお許しが 出てからにしてください。 137 00:11:34,541 --> 00:11:37,544 楽しみに 待ってます。 はい。 138 00:11:37,544 --> 00:11:40,547 ところで お兄さまは どうしたのでしょう? 139 00:11:40,547 --> 00:11:43,216 何か 支度してくると 言ってました。 140 00:11:43,216 --> 00:11:46,219 知春! 支度ができた。 アユ釣りに行こう! 141 00:11:46,219 --> 00:11:49,890 文彦。 お手前中ですよ。 不作法です。 142 00:11:49,890 --> 00:11:54,227 申し訳ありません。 じゃあ 向こうで待ってるよ。 143 00:11:54,227 --> 00:11:56,229 もう18だと言うのに。 144 00:11:56,229 --> 00:11:57,898 いいじゃありませんか お母さま。 145 00:11:57,898 --> 00:12:00,233 わたしが アユ釣りに 行きたいぐらいだわ。 146 00:12:00,233 --> 00:12:02,903 まあ。 おてんばは いけませんよ。 147 00:12:02,903 --> 00:12:04,905 今度 アユ釣りも いっしょにしましょう。 148 00:12:04,905 --> 00:12:08,241 ありがとうございます。 でも 今度にしてください。 149 00:12:08,241 --> 00:12:10,577 お母さまが にらんでますから。 150 00:12:10,577 --> 00:12:13,580 はい。 承知しました。 (2人の笑い声) 151 00:12:13,580 --> 00:12:16,917 (お滝)奥さま。 お似合いの お二人じゃございませんか。 152 00:12:16,917 --> 00:12:18,917 ホントね。 153 00:12:24,257 --> 00:12:26,857 これで 大丈夫だ。 154 00:12:28,929 --> 00:12:34,267 やあ。 猛君だったよね。 はい。 155 00:12:34,267 --> 00:12:37,938 釣りに 飽きちゃったんで 少し 休ませてもらうよ。 156 00:12:37,938 --> 00:12:40,273 汚いところですが どうぞ。 157 00:12:40,273 --> 00:12:45,278 君は 7年前に 三枝家に 拾われたんだってね。 158 00:12:45,278 --> 00:12:47,280 はい そうです。 159 00:12:47,280 --> 00:12:52,953 ひかるさんと 兄妹みたいに 仲がいいんだってね。 160 00:12:52,953 --> 00:12:57,958 隠すことないよ。 文彦君から 聞いているんだから。 161 00:12:57,958 --> 00:13:00,293 それだけ ひかるさんに親しい君に・ 162 00:13:00,293 --> 00:13:05,593 どうしても 頼みたいことが あるんだ。 何ですか? 163 00:13:08,301 --> 00:13:11,972 この手紙を ひかるさんに 渡してほしいんだ。 164 00:13:11,972 --> 00:13:13,974 直接 お渡しになれば いいじゃないですか。 165 00:13:13,974 --> 00:13:16,643 ちゃんと 読んでくれなきゃ 困るんだ。 166 00:13:16,643 --> 00:13:20,943 君の口から 読むように 言ってくれないか? 167 00:13:23,650 --> 00:13:26,653 僕は まじめな気持ちで つきあいたいんだ。 168 00:13:26,653 --> 00:13:29,589 もちろん 将来のことも 考えている。 169 00:13:29,589 --> 00:13:32,259 まず 帝大の医学部に入る。 170 00:13:32,259 --> 00:13:38,265 そして 卒業したら 甲府の病院の 後を継ぐつもりだ。 171 00:13:38,265 --> 00:13:42,936 希望に満ちた将来を ひかるさんに 与えたいんだ。 172 00:13:42,936 --> 00:13:49,276 こんなことは 使用人の君には 想像もつかないだろうけどね。 173 00:13:49,276 --> 00:13:54,276 承知しました。 お預かりします。 頼んだよ。 174 00:14:15,969 --> 00:14:18,638 どうして そんな物を預かったの!? 175 00:14:18,638 --> 00:14:22,309 お客さまから 頼まれ事をして お断りは できません。 176 00:14:22,309 --> 00:14:26,980 古川さんからの手紙は 初めてではないのよ。 177 00:14:26,980 --> 00:14:29,249 もう二度と 読む気はないのに。 178 00:14:29,249 --> 00:14:31,585 ちゃんと 読んでほしいと おっしゃっていました。 179 00:14:31,585 --> 00:14:34,254 そんなことまで 言われて 受け取ったの? 180 00:14:34,254 --> 00:14:36,923 いったい 猛は どういうつもりなのよ。 181 00:14:36,923 --> 00:14:40,927 別に つもりなんて ありません。 182 00:14:40,927 --> 00:14:45,265 わたしは 読む気持ちは ありませんから 猛 読みなさい。 183 00:14:45,265 --> 00:14:47,267 俺がですか!? 嫌です。 184 00:14:47,267 --> 00:14:52,867 古川さんの言うとおりに ふるまった罰です。 読みなさい。 185 00:15:03,617 --> 00:15:07,954 大きな声で 読むのよ。 186 00:15:07,954 --> 00:15:12,292 「ひかるさん。 僕は あなたが 恋しくてたまりません。・ 187 00:15:12,292 --> 00:15:13,960 毎晩 あなたの…」 188 00:15:13,960 --> 00:15:16,630 わたしの 言うことだったら 何でも聞くの? 189 00:15:16,630 --> 00:15:20,330 はい。 もういい! 190 00:15:26,973 --> 00:15:30,243 (お滝)「ひかるさんの 白魚のような指が・ 191 00:15:30,243 --> 00:15:35,248 まぶたに浮かびます。 あなたは 僕の天女です」・ 192 00:15:35,248 --> 00:15:39,252 アハハ…。 名文ですわ。 193 00:15:39,252 --> 00:15:41,922 そんな物 読まなくても。 194 00:15:41,922 --> 00:15:45,592 どうして ひかるお嬢さまは こんなに いいご縁なのに・ 195 00:15:45,592 --> 00:15:49,262 手紙を 破ったり なさったんでしょう? 196 00:15:49,262 --> 00:15:53,266 (お滝)古川さまは 甲府で第一の 病院の 院長さまで・ 197 00:15:53,266 --> 00:15:55,936 それに 県会議員までなさって・ 198 00:15:55,936 --> 00:15:58,271 三枝家とも 釣り合いが 取れますのに。 199 00:15:58,271 --> 00:16:00,941 ひかるには 自覚がないのです。 200 00:16:00,941 --> 00:16:06,279 奥さま。 古川さまとのご縁談を お進めになったらいかがですか? 201 00:16:06,279 --> 00:16:09,282 せめて 女学校ぐらいは 出てもらいたいのです。 202 00:16:09,282 --> 00:16:11,952 ですから 許嫁ということで・ 203 00:16:11,952 --> 00:16:14,955 あちらさまが 大学を出られてから・ 204 00:16:14,955 --> 00:16:18,959 晴れて ご婚礼を あげればいいんです。 205 00:16:18,959 --> 00:16:21,962 お滝。 お前は 本当に 気が早いのね。 206 00:16:21,962 --> 00:16:23,964 そうでしょうか? 207 00:16:23,964 --> 00:16:28,964 今は 昭和の世の中です。 昔のようには まいりません。 208 00:16:35,241 --> 00:16:39,541 「何ものにも束縛されない恋愛」か。 209 00:16:50,256 --> 00:16:53,593 (崇子)この本には すべての恋愛は自由だと・ 210 00:16:53,593 --> 00:16:56,930 書かれているわ。 この主人公の女性は・ 211 00:16:56,930 --> 00:16:59,599 あらゆる束縛を 物ともせずに・ 212 00:16:59,599 --> 00:17:02,899 自分の気持ちのままに 恋愛をしたわ 213 00:17:14,614 --> 00:17:16,282 あと 何もないかな。 214 00:17:16,282 --> 00:17:18,952 (末)台所の用事は 終わりだ。 ご苦労さん。 215 00:17:18,952 --> 00:17:20,954 (お滝)旦那さま 奥さまの お出かけですよ。 (末)はい。 216 00:17:20,954 --> 00:17:22,956 お花。 履物の支度は できてるかい? 217 00:17:22,956 --> 00:17:24,624 (お花)はい。 そろえておきました。 218 00:17:24,624 --> 00:17:27,227 猛。 人力車は まだか? はい。 見てまいります。 219 00:17:27,227 --> 00:17:31,231 いいな。 お兄さまは さっき 合宿に行ったし・ 220 00:17:31,231 --> 00:17:34,234 お父さまと お母さまは 今夜は 湯村温泉に・ 221 00:17:34,234 --> 00:17:36,903 お泊まりなんでしょう。 ひかる。 ごめんなさい。 今日は・ 222 00:17:36,903 --> 00:17:40,240 親戚の法事なので どうしても お父さまと 行かねばなりません。 223 00:17:40,240 --> 00:17:43,243 夏休みの間に 東京へ 連れて行ってやる。 224 00:17:43,243 --> 00:17:46,246 銀座で 洋食を食べさせてやるから 我慢しとけ。 225 00:17:46,246 --> 00:17:48,581 はい。 分かりました。 226 00:17:48,581 --> 00:17:52,585 お滝。 今夜は 女中たち 皆 母屋で寝るように。 227 00:17:52,585 --> 00:17:56,589 はい。 何事が起きようとも お嬢さまを お守りいたします。 228 00:17:56,589 --> 00:17:58,925 (竹)命に代えましても お守りいたします。 229 00:17:58,925 --> 00:18:02,595 たいそうな 覚悟じゃな。 この家には 妖怪など出はせん。 230 00:18:02,595 --> 00:18:04,264 そんな 悲壮な顔をするな。 231 00:18:04,264 --> 00:18:07,934 妖怪は 出なくとも オオカミが 出るやもしれません。 232 00:18:07,934 --> 00:18:10,937 ひかる。 おとなしく 留守番していなさい。 233 00:18:10,937 --> 00:18:13,606 はい。 分かっています。 お母さま。 234 00:18:13,606 --> 00:18:16,606 旦那さま 車が来ました。 (伝衛門)うむ。 235 00:18:25,285 --> 00:18:28,221 お前とこうして温泉に来るのも 久しぶりじゃな。 236 00:18:28,221 --> 00:18:32,225 ええ。 でも 今ごろ ひかると猛は…。 237 00:18:32,225 --> 00:18:35,228 今日ぐらい 心配事を忘れたらどうだ? 238 00:18:35,228 --> 00:18:39,232 温泉なんだから くつろごう。 (絹)あ…。・ 239 00:18:39,232 --> 00:18:43,232 お着替えなさるのでしたら 窓を。 ああ。 240 00:18:55,582 --> 00:18:59,282 (伝衛門)どうした? いえ。 何でもありません。 241 00:19:03,590 --> 00:19:05,592 絹…。 242 00:19:05,592 --> 00:19:11,292 情けのうございます…。 死にとうございます…。 243 00:19:19,272 --> 00:19:21,572 文彦…。 244 00:19:24,611 --> 00:19:27,213 お願いでございます。 いっしょに 帰ってくださいませ。 245 00:19:27,213 --> 00:19:29,549 離せ。 このまま 捨ておくわけにはいかん! 246 00:19:29,549 --> 00:19:31,885 いいえ。 離しません。 あれは 文彦ではございません。 247 00:19:31,885 --> 00:19:36,556 他人のそら似でございます。 お願いいたします。 248 00:19:36,556 --> 00:19:39,893 (伝衛門)許さん! あなた…。 249 00:19:39,893 --> 00:19:43,229 (織江・文彦)・「アウト。 セーフ。 ヨヨイのヨイ!」 250 00:19:43,229 --> 00:19:46,566 勝った! (織江)あーん。 また負けた。・ 251 00:19:46,566 --> 00:19:51,237 ねえ。 今夜 一晩だけの恋なの? 252 00:19:51,237 --> 00:19:54,240 (文彦)とにかく 金が尽きるまで ここに 逗留しよう。 253 00:19:54,240 --> 00:19:58,578 じゃあ あしたは 違う温泉に 行きましょう。 ウフフ…。 254 00:19:58,578 --> 00:20:03,249 (文彦)やめろ。 やめて。 そこは…。 255 00:20:03,249 --> 00:20:08,249 あっ! (銚子をける音) 256 00:20:09,923 --> 00:20:11,925 (織江の悲鳴) 257 00:20:11,925 --> 00:20:13,593 (文彦)うわっ! やめてください。 258 00:20:13,593 --> 00:20:17,931 (番頭)お客さま おやめください。 警察 呼びますよ! 259 00:20:17,931 --> 00:20:19,599 (文彦)やめてください! 260 00:20:19,599 --> 00:20:22,602 離せ。 これは わが子じゃ。 えっ! 261 00:20:22,602 --> 00:20:26,206 私が この腹を痛めて産んだ 子供でございます。 262 00:20:26,206 --> 00:20:28,541 お騒がせして 申し訳ございません。 263 00:20:28,541 --> 00:20:30,841 ホントですか! 264 00:20:32,879 --> 00:20:37,279 では 失礼しますが くれぐれも ほかのお客さまに…。 265 00:20:43,223 --> 00:20:47,227 お父さま。 許してください。 このとおりです。 266 00:20:47,227 --> 00:20:49,527 下手な芝居は もうよせ。 267 00:20:51,898 --> 00:20:55,902 もう わしに 許しを請う 必要などない。・ 268 00:20:55,902 --> 00:21:00,907 お前の嘘など うんざりじゃ。 269 00:21:00,907 --> 00:21:04,244 たった今 親子の縁を 切った。 270 00:21:04,244 --> 00:21:08,248 お父さま それは…。 (伝衛門)たった今 勘当じゃ。 271 00:21:08,248 --> 00:21:12,919 二度と 三枝家の敷居は またがさん。・ 272 00:21:12,919 --> 00:21:16,619 お前の好き勝手に 生きるがよい。 273 00:21:19,259 --> 00:21:21,559 絹。 帰るぞ。 274 00:21:23,263 --> 00:21:24,931 (文彦)お母さま…。 275 00:21:24,931 --> 00:21:28,931 生涯で今日ほど 生きていることを 後悔したことは ありません。 276 00:21:30,536 --> 00:21:33,236 お前を 産んだことを 恥じています。 277 00:21:41,881 --> 00:21:46,219 (文彦)織江。 どうしよう。 278 00:21:46,219 --> 00:21:52,819 金の切れ目が 縁の切れ目よ。 さよなら。 279 00:21:58,898 --> 00:22:05,298 ちくしょう! 何だって 俺は こんな 運が悪いんだ。 280 00:22:11,577 --> 00:22:13,246 (吾作)今夜 旦那さまたちが いねえのなら・ 281 00:22:13,246 --> 00:22:15,915 少し 息抜きでもするか。 (猛)息抜きって? 282 00:22:15,915 --> 00:22:18,918 隣の村でよ 盆踊りがあるんだよ。 283 00:22:18,918 --> 00:22:21,254 そこへ行って 女 からかうのさ。 284 00:22:21,254 --> 00:22:25,254 女はいいけど 盆踊りは 悪くねえな。 だろ? 285 00:22:28,261 --> 00:22:31,264 (お花)猛さん 大変だ。 お花さん。 どうした? 286 00:22:31,264 --> 00:22:34,267 お嬢さんが 1人で甲府へ 出かけてしまったんだよ。 え! 287 00:22:34,267 --> 00:22:36,602 (お花)わたし お供しようと 追いかけたんだけど・ 288 00:22:36,602 --> 00:22:38,271 見失ってしまったの。 289 00:22:38,271 --> 00:22:41,274 もしものことがあったら どうしよう!? 290 00:22:41,274 --> 00:22:42,942 吾作。 あとは頼む。 291 00:22:42,942 --> 00:22:45,642 俺は お嬢さんを 捜してくる。 (吾作)おう。 292 00:22:48,281 --> 00:22:51,951 (猛)お嬢さま いけません。 まっすぐに 帰りましょう。 293 00:22:51,951 --> 00:22:55,351 (ひかる) 紅茶 1杯だけよ。 いいじゃない。 294 00:22:58,291 --> 00:23:00,293 お芝居を見たのなら 帰りましょう。 295 00:23:00,293 --> 00:23:04,297 わたしは 『或女』の芝居のことを お前に 話したいのよ。 296 00:23:04,297 --> 00:23:07,633 とにかく 旦那さまも奥さまも お留守なんですから・ 297 00:23:07,633 --> 00:23:10,636 お屋敷に 居ていただかなくては いけません。 帰りましょう。 298 00:23:10,636 --> 00:23:13,973 主人公の 葉子の行動力が すごいのよ。 299 00:23:13,973 --> 00:23:18,978 自分の気持ちを 貫き通すために 家も故郷も 捨ててしまうの。 300 00:23:18,978 --> 00:23:21,314 芝居は 現実とは違います。 301 00:23:21,314 --> 00:23:24,650 何でそんな つまらないことを 言うの? 302 00:23:24,650 --> 00:23:30,923 意気地なしね。 以前のお前の目は 獣のように光っていたわ。 303 00:23:30,923 --> 00:23:33,593 たとえ 相手が お父さまであっても・ 304 00:23:33,593 --> 00:23:37,263 首輪を つけさせまいと 挑む目だったわ。 305 00:23:37,263 --> 00:23:40,863 何とでも 思ってください。 自分は自分ですから。 306 00:23:42,602 --> 00:23:46,939 猛。 このクッキー すごくおいしいのよ。 食べてみて。 307 00:23:46,939 --> 00:23:50,943 ダメです。 お願いですから 帰りましょう。 308 00:23:50,943 --> 00:23:54,947 食べさせてあげる。 ほら 口を開けて。 309 00:23:54,947 --> 00:23:56,949 開けなさい! 310 00:23:56,949 --> 00:23:58,618 開けなさいったら 開けなさい! 311 00:23:58,618 --> 00:24:00,953 (戸の開く音) 312 00:24:00,953 --> 00:24:02,622 (戸田)お前ら。 何をしてる! 313 00:24:02,622 --> 00:24:04,624 誰なの? 出て行きなさい! 314 00:24:04,624 --> 00:24:08,294 (桜井)生意気な娘だな。 お前たちは 夫婦か? 315 00:24:08,294 --> 00:24:10,630 違います! 316 00:24:10,630 --> 00:24:13,966 (戸田)この男と 何か 関係を持っているのかな。 うん? 317 00:24:13,966 --> 00:24:15,968 やめろ! 318 00:24:15,968 --> 00:24:19,639 (戸田)でやー! 319 00:24:19,639 --> 00:24:23,339 警察だ。 逆らうと 逮捕するぞ! 320 00:24:33,286 --> 00:24:34,954 俺は 誰にも負けちゃ いけないんです。 321 00:24:34,954 --> 00:24:36,622 相変わらず 負けず嫌いね。 322 00:24:36,622 --> 00:24:38,291 (崇子)どんな困難があっても・ 323 00:24:38,291 --> 00:24:40,293 自分の気持ちさえ しっかりしていれば・ 324 00:24:40,293 --> 00:24:42,295 負けることはないわ。 325 00:24:42,295 --> 00:24:43,963 あぁ! (お滝)奥さま! お母さま! 326 00:24:43,963 --> 00:24:45,631 (伝衛門)絹! 327 00:24:45,631 --> 00:24:49,302 これ以上 旦那さまも奥さまも 悲しませるようなことは・ 328 00:24:49,302 --> 00:24:50,902 おやめください。 ふざけんな! 329 00:24:52,305 --> 00:24:55,308 やめて! やめて! 330 00:24:55,308 --> 00:24:56,908 やめろ!