1 00:02:47,918 --> 00:02:49,787 2 00:02:49,787 --> 00:03:06,804 ♬~ 3 00:03:06,804 --> 00:03:08,804 ≪(まき割りの音) 4 00:03:10,808 --> 00:03:12,408 (末の悲鳴) 5 00:03:14,812 --> 00:03:18,816 お… 奥さま! 6 00:03:18,816 --> 00:03:20,816 (ひかる)猛! 7 00:03:25,489 --> 00:03:27,825 (猛)お嬢さま! 8 00:03:27,825 --> 00:03:29,425 (ひかる)猛。 9 00:03:32,830 --> 00:03:37,830 帰ってきたわ。 「帰ってきた」って。 学校は? 10 00:03:40,838 --> 00:03:42,840 お嬢さま? 11 00:03:42,840 --> 00:03:45,440 あっ! 危ない! 12 00:03:47,778 --> 00:03:51,115 猛。 大丈夫!? お嬢さまこそ。 13 00:03:51,115 --> 00:03:54,815 (二人の笑い声) 14 00:03:58,456 --> 00:04:00,458 猛。 どうしたの? 15 00:04:00,458 --> 00:04:04,462 (絹)ひかる! お母さま。 16 00:04:04,462 --> 00:04:06,462 おまん 何で ここに? 17 00:04:09,800 --> 00:04:14,805 ♬『Delight of my love』 18 00:04:14,805 --> 00:04:33,824 ♪ 19 00:04:33,824 --> 00:04:53,778 ♪ 20 00:04:53,778 --> 00:05:13,798 ♪ 21 00:05:13,798 --> 00:05:27,812 ♪ 22 00:05:27,812 --> 00:05:37,812 ♪ 23 00:05:39,790 --> 00:05:44,128 (伝衛門)バカ者! 勝手に学校を 辞めるとは どういうことじゃ! 24 00:05:44,128 --> 00:05:47,398 (ひかる)お父さま お母さまの お怒りは当然です。 25 00:05:47,398 --> 00:05:52,069 でも わたしは 今すぐにでも この村の役に立ちたかったのです。 26 00:05:52,069 --> 00:05:55,739 一体 どういうことです? 分かるように説明しなさい。 27 00:05:55,739 --> 00:06:00,411 わたし 白部村の子供たちに 歌を教えたいんです。 28 00:06:00,411 --> 00:06:03,747 (伝衛門)何を寝ぼけたことを。 最後まで聞いてください。 29 00:06:03,747 --> 00:06:08,752 戦争が始まって 世の中は すっかり変わりました。 30 00:06:08,752 --> 00:06:11,755 この村でも 若い働き手が 兵隊に取られて➡ 31 00:06:11,755 --> 00:06:15,092 不足していると聞いています。 それと これとは 別問題じゃ。 32 00:06:15,092 --> 00:06:19,763 いいえ。 これは わたし自身の問題です。 33 00:06:19,763 --> 00:06:24,435 今では 幼い子供たちまでが 畑仕事に 駆り出されて➡ 34 00:06:24,435 --> 00:06:27,438 ろくに学校にも 行けないそうじゃありませんか。 35 00:06:27,438 --> 00:06:32,443 わたし一人だけが 東京の学校で 勉強などしていられません。 36 00:06:32,443 --> 00:06:36,447 こんな世の中だからこそ この白部村の子供たちには➡ 37 00:06:36,447 --> 00:06:39,450 明るい希望を 持ってほしいんです。 38 00:06:39,450 --> 00:06:43,787 今 わたしにできることは 子供たちに歌を教えることです。 39 00:06:43,787 --> 00:06:47,057 そのことで 子供たちが 笑顔を取り戻し➡ 40 00:06:47,057 --> 00:06:51,729 心の豊かさだけは 失わずにいてくれたら…。 41 00:06:51,729 --> 00:06:57,735 わたし 白部村の幸せのために 生きたいんです。 42 00:06:57,735 --> 00:07:02,406 そう思うと 居ても立ってもいられなくなり…。 43 00:07:02,406 --> 00:07:07,077 (伝衛門)甲府で大崎さんと 会う約束じゃ。 出かける。 44 00:07:07,077 --> 00:07:09,077 (絹)かしこまりました。 45 00:07:12,416 --> 00:07:15,085 (伝衛門)しばらく 好きなように やらせてやれ。 46 00:07:15,085 --> 00:07:18,088 あなたは あの子が世間から どう思われても良いと➡ 47 00:07:18,088 --> 00:07:21,091 おっしゃるんですか? そうは言っておらんよ。 48 00:07:21,091 --> 00:07:25,763 ひかるは この白部村のために 生きたいと言った。 49 00:07:25,763 --> 00:07:28,432 それは わしが ひかるに言い続けてきた➡ 50 00:07:28,432 --> 00:07:32,436 わしの信念じゃ。 ホントに それだけの理由で➡ 51 00:07:32,436 --> 00:07:35,439 帰ってきたと お思いでございますか? 52 00:07:35,439 --> 00:07:39,777 あの子ときたら 帰ってくるなり 「猛 猛」と。 53 00:07:39,777 --> 00:07:42,446 心配はいらん。 54 00:07:42,446 --> 00:07:45,716 二人とも お互いの分というものは わきまえておる。 55 00:07:45,716 --> 00:07:50,721 わしらを心配させるようなことは 絶対にせんよ。 56 00:07:50,721 --> 00:07:52,721 行ってくる。 57 00:07:57,728 --> 00:08:03,400 (オルガンの音色) 58 00:08:03,400 --> 00:08:12,743 (子供たち)♪『野ばら』 59 00:08:12,743 --> 00:08:15,746 <昭和17年。➡ 60 00:08:15,746 --> 00:08:19,750 この前の年 真珠湾を奇襲した日本は➡ 61 00:08:19,750 --> 00:08:23,750 太平洋戦争の 真っただ中にありました> 62 00:08:25,756 --> 00:08:28,092 (治平)徹! いいかげんにしねえか! 63 00:08:28,092 --> 00:08:30,761 (徹)だけど おら もう限界だ! (治平)よさねえか! 64 00:08:30,761 --> 00:08:32,763 (徹)勘弁してくれ! (治平)待てって! 65 00:08:32,763 --> 00:08:35,432 どうしたんですか? ああ。 いいとこに来てくれた。 66 00:08:35,432 --> 00:08:37,101 猛に頼みてえことがあるんだ。 67 00:08:37,101 --> 00:08:39,436 (治平)徹! (徹)離してくれ!➡ 68 00:08:39,436 --> 00:08:42,439 旦那さまに地代の支払いを もう半年待ってくれるように➡ 69 00:08:42,439 --> 00:08:44,708 頼んでもらいてえんだ。 半年!? 70 00:08:44,708 --> 00:08:47,378 (徹)戦争で若いもんは みんな 兵隊に取られた。➡ 71 00:08:47,378 --> 00:08:49,046 収穫は落ちるばっかりだ。➡ 72 00:08:49,046 --> 00:08:51,382 このままじゃ わしら 一家で 首くくるしかねえ。 73 00:08:51,382 --> 00:08:55,052 いいか? 旦那さまは もう十分 待ってくださっているんだ。➡ 74 00:08:55,052 --> 00:08:58,722 これ以上 旦那さまに ご迷惑を おかけしてもいいと思ってんのか!? 75 00:08:58,722 --> 00:09:01,058 (徹)ウチには 腹すかせたガキが 待ってんだ! 76 00:09:01,058 --> 00:09:03,058 (伝衛門)そうか。 77 00:09:09,733 --> 00:09:15,406 猛。 山は あと四つ残っていたな。 はい。 78 00:09:15,406 --> 00:09:21,412 この4、5年の間に 半数以上の山が担保に入ったかと。 79 00:09:21,412 --> 00:09:24,748 灌漑用水工事に 金がかかりすぎた。 80 00:09:24,748 --> 00:09:28,419 それに 立ち直る間もなく この戦争じゃ。 81 00:09:28,419 --> 00:09:31,755 これからは ますます苦しくなるじゃろう。 82 00:09:31,755 --> 00:09:35,759 戦争は 思った以上に 長引くようです。 83 00:09:35,759 --> 00:09:39,763 南の山を担保に 金を借りよう。 しかし…。 84 00:09:39,763 --> 00:09:45,369 いいか。 猛。 小作を守るのは 地主の務めじゃ。 85 00:09:45,369 --> 00:09:50,374 小作が苦しいとき 地主は もっと苦しまねばならん。 86 00:09:50,374 --> 00:09:54,711 半年といわず 1年でも2年でも 待ってやると伝えてやれ。 87 00:09:54,711 --> 00:09:56,711 はい。 88 00:10:06,056 --> 00:10:08,058 お嬢さま。 89 00:10:08,058 --> 00:10:10,727 何か ご用ですか? 90 00:10:10,727 --> 00:10:13,727 用がなきゃ 来ちゃいけない? 91 00:10:15,732 --> 00:10:19,403 わたしも 手伝うわ。 いけません! 92 00:10:19,403 --> 00:10:21,071 手が汚れます。 93 00:10:21,071 --> 00:10:24,371 猛がやることなら わたしも やるわ。 94 00:10:26,076 --> 00:10:29,413 なぜ わたしを避けるの? 避けてなどいません。 95 00:10:29,413 --> 00:10:32,416 いいえ。 わたしが東京から帰ってから➡ 96 00:10:32,416 --> 00:10:35,085 ずっと避けているわ。 仕事がありますから。 97 00:10:35,085 --> 00:10:38,085 お前は いつから 逃げるような男になったの!? 98 00:10:39,756 --> 00:10:43,427 お嬢さまは 変わりました。 99 00:10:43,427 --> 00:10:48,699 変わった? どう変わったっていうの? 100 00:10:48,699 --> 00:10:51,702 言いなさい! 101 00:10:51,702 --> 00:10:58,375 すごく きれいで 俺には まぶしいくらい…。 102 00:10:58,375 --> 00:11:02,379 (笑い声) おかしいですか!? 103 00:11:02,379 --> 00:11:05,779 ごめんなさい。 だって…。 104 00:11:08,385 --> 00:11:15,392 ねえ 猛。 猛は どうして わたしが 帰ってきたか 分からないの? 105 00:11:15,392 --> 00:11:20,731 子供たちに歌を教えるためだと。 そうよ。 106 00:11:20,731 --> 00:11:25,068 猛は 8年間ずっと この村のために働いてきた。 107 00:11:25,068 --> 00:11:29,072 だから わたしも 自分が この村のために➡ 108 00:11:29,072 --> 00:11:33,410 何ができるかって ずっと考えてきたの。 109 00:11:33,410 --> 00:11:37,748 猛。 わたしは 変わってなんかいない。 110 00:11:37,748 --> 00:11:42,085 この村を もっと豊かな もっと幸せな村にしたいの。 111 00:11:42,085 --> 00:11:44,785 お前も助けてくれるわね? 112 00:11:46,356 --> 00:11:49,693 (要助)なあ なあ。 これって 俺たちの机だって ホントか? 113 00:11:49,693 --> 00:11:52,029 ああ。 ホントだ。 このアトリエで➡ 114 00:11:52,029 --> 00:11:54,698 お前たちが いろんなことを 勉強できるようにするんだ。 115 00:11:54,698 --> 00:11:56,366 (要助)やったぁ! (子供たち)やったぁ! 116 00:11:56,366 --> 00:11:58,702 (要助)じゃあ 俺 こっち側 押さえてるよ。 おう。 117 00:11:58,702 --> 00:12:00,704 (昭子)みんな。 もっと木を集めてこようよ。 118 00:12:00,704 --> 00:12:03,704 (子供たち)行こう 行こう! 気をつけてな! 119 00:12:07,044 --> 00:12:09,379 おい。 健次も手伝え。 120 00:12:09,379 --> 00:12:12,382 (要助)あいつは いつも 船で遊んでるんだ。 121 00:12:12,382 --> 00:12:16,386 船? ふうん。 122 00:12:16,386 --> 00:12:18,786 しっかり押さえてろ。 (要助)おう! 123 00:12:23,060 --> 00:12:26,730 あした? ええ。 海軍士官の山下さん。 124 00:12:26,730 --> 00:12:28,732 それはもう とても いい方で。 125 00:12:28,732 --> 00:12:31,735 何度も言ったはずです。 わたし お見合いはしません。 126 00:12:31,735 --> 00:12:33,403 いいかげんになさい! 127 00:12:33,403 --> 00:12:36,740 学校を辞めて結婚もせぬなどと そんな勝手は許しませんよ! 128 00:12:36,740 --> 00:12:39,409 でも 急に あした お見合いしろだなんて➡ 129 00:12:39,409 --> 00:12:41,411 ひどすぎます。 お父さま。 130 00:12:41,411 --> 00:12:44,414 (絹)いいですか? これだけは言っておきます。➡ 131 00:12:44,414 --> 00:12:48,752 いくら お見合いを断っても 猛とは一緒にはなれないのですよ。 132 00:12:48,752 --> 00:12:51,755 とにかく 嫌なものは嫌なんです! 133 00:12:51,755 --> 00:12:57,427 (伝衛門)ひかる。 おまんの承諾も得ずに 悪かった。 134 00:12:57,427 --> 00:13:02,766 今度の話は 大崎さんから どうしてもと頼まれて。➡ 135 00:13:02,766 --> 00:13:05,769 だが おまんの気持ちも よう分かった。 136 00:13:05,769 --> 00:13:09,106 大崎さんには わしから 断っておく。 137 00:13:09,106 --> 00:13:11,108 あなた。 今回のお話は➡ 138 00:13:11,108 --> 00:13:13,777 大崎さんから 強くお願いされたはずです。 139 00:13:13,777 --> 00:13:16,780 お断りすれば あなたも 猛も 仕事がやりにくくなるのでは? 140 00:13:16,780 --> 00:13:18,780 (伝衛門)絹! 141 00:13:31,128 --> 00:13:33,428 ひかるのためでございます。 142 00:13:35,799 --> 00:13:41,805 (クギを打つ音) 143 00:13:41,805 --> 00:13:43,805 猛。 144 00:13:46,076 --> 00:13:48,745 これ…。 子供たちの机です。 145 00:13:48,745 --> 00:13:52,416 あしたには 間に合わせます。 あした? 146 00:13:52,416 --> 00:13:54,116 ええ。 147 00:13:55,752 --> 00:13:59,089 (クギを打つ音) 148 00:13:59,089 --> 00:14:03,093 あしたは…。 (クギを打つ音) 149 00:14:03,093 --> 00:14:05,762 お休みになったわ。 150 00:14:05,762 --> 00:14:11,435 お父さまと お母さまと 一緒に 音楽会へ行くことになったの。 151 00:14:11,435 --> 00:14:14,835 じゃあ 急がなくても良かったかな。 152 00:14:16,773 --> 00:14:19,776 手伝うわ。 助かります。 153 00:14:19,776 --> 00:14:21,776 じゃあ ここ 持っててもらえますか? 154 00:14:33,457 --> 00:14:37,794 お会いするだけ。 そしたら 断ればいいんだわ。 155 00:14:37,794 --> 00:14:40,130 ≪(絹)ひかる! 早くなさい! 156 00:14:40,130 --> 00:14:43,400 はい。 ただいま。 157 00:14:43,400 --> 00:14:45,400 (ひかる)お待たせいたしました。 158 00:14:47,070 --> 00:14:51,074 (お滝)まあ お嬢さま。 ホントに おきれいで…。 159 00:14:51,074 --> 00:14:53,410 嫌だわ。 お滝ったら。 160 00:14:53,410 --> 00:14:55,746 ホントに きれいよ。 ねえ? あなた。 161 00:14:55,746 --> 00:14:57,748 あ… ああ。 162 00:14:57,748 --> 00:15:00,417 まあ。 あなたったら 照れていらっしゃいますの? 163 00:15:00,417 --> 00:15:04,421 バカ者。 自分の娘だぞ。 (一同の笑い) 164 00:15:04,421 --> 00:15:06,821 お滝さん。 水を1杯…。 165 00:15:09,092 --> 00:15:10,761 猛…。 166 00:15:10,761 --> 00:15:12,763 さあ さあ。 急がなければ。 167 00:15:12,763 --> 00:15:15,766 お見合いに遅れたら 先方に失礼ですよ。 168 00:15:15,766 --> 00:15:18,101 お母さま! 見合い!? 169 00:15:18,101 --> 00:15:21,801 (絹)猛。 ひかるの履物 出してちょうだい。 170 00:15:23,774 --> 00:15:27,774 (絹)猛! はい。 171 00:15:34,785 --> 00:15:36,785 (末)お車が到着しました。 172 00:15:38,455 --> 00:15:40,123 猛。 173 00:15:40,123 --> 00:15:41,823 さあ 参りましょう。 174 00:15:48,398 --> 00:15:52,736 (一同)いってらっしゃいませ。 (絹)いってきます。 175 00:15:52,736 --> 00:15:55,405 (末)はぁ。 お姫様みたいだったね。➡ 176 00:15:55,405 --> 00:15:58,074 今までは絶対 お見合いしようと なさらなかった お嬢さまがさ。 177 00:15:58,074 --> 00:16:00,076 (竹)今日は いつもと ちょっと違うよ。➡ 178 00:16:00,076 --> 00:16:04,414 奥さまの話だとね 何でも 神奈川県の副知事の息子らしいよ。 179 00:16:04,414 --> 00:16:07,417 (末)へえ! そりゃ (竹) 断るはずないね。 うん。 フフフフ。 180 00:16:07,417 --> 00:16:10,086 (お滝)これ! 無駄口たたいてるんじゃないよ。 181 00:16:10,086 --> 00:16:11,786 (竹・末)はい。 182 00:16:13,757 --> 00:16:19,763 (お滝)はい。 あんたも 早く嫁さんでも もらうんだね。 183 00:16:19,763 --> 00:16:24,768 しょせん おまんは使用人。 お嬢さまは お嬢さまなんだよ。➡ 184 00:16:24,768 --> 00:16:27,103 お嬢さまの幸せを考えたら➡ 185 00:16:27,103 --> 00:16:30,803 どうすればいいか おまん分かってるだろう? 186 00:16:33,777 --> 00:16:36,777 うまかった。 ありがとう。 187 00:16:52,729 --> 00:16:56,733 <猛は ひかるを 幸せにすることができない➡ 188 00:16:56,733 --> 00:16:59,736 使用人という自分の立場に➡ 189 00:16:59,736 --> 00:17:04,741 やるせないほどの悲しみを 感じていたのでした> 190 00:17:04,741 --> 00:17:08,411 (繁之)ひかるさんは 白部村の子供たちに➡ 191 00:17:08,411 --> 00:17:13,750 音楽を教えていらっしゃるとか。 自分も子供が大好きなんです。➡ 192 00:17:13,750 --> 00:17:16,419 将来は 六人ぐらい 子供が欲しいかと。 193 00:17:16,419 --> 00:17:18,755 (寛子)繁之さん。 少し気が早くありませんこと? 194 00:17:18,755 --> 00:17:20,423 (繁之)あっ すいません。 (絹)いいえ。➡ 195 00:17:20,423 --> 00:17:23,426 頼もしいかぎりですわ。 ホホホホ。 196 00:17:23,426 --> 00:17:25,428 (ひかる)実は わたし➡ 197 00:17:25,428 --> 00:17:28,431 まだ結婚は早いのではないかと 思っているんです。 198 00:17:28,431 --> 00:17:31,101 ひかる。 (繁之)かまいません。 199 00:17:31,101 --> 00:17:32,769 どういうことですか? 200 00:17:32,769 --> 00:17:36,106 わたしは まだ 自分を育ててくれた故郷に➡ 201 00:17:36,106 --> 00:17:38,775 何の恩返しもしていません。 202 00:17:38,775 --> 00:17:42,379 これから 少しでも 皆さんの役に立てればと➡ 203 00:17:42,379 --> 00:17:44,714 そう思っているところなんです。 204 00:17:44,714 --> 00:17:48,385 子供たちに 音楽を教えていらっしゃるのも➡ 205 00:17:48,385 --> 00:17:50,053 そのためですか? 206 00:17:50,053 --> 00:17:54,057 ええ。 ですから まだ結婚は…。 207 00:17:54,057 --> 00:17:55,725 (繁之)そうですか。 208 00:17:55,725 --> 00:18:00,730 自分は ますます あなたが 好きになった。 えっ? 209 00:18:00,730 --> 00:18:04,067 (繁之)自分も これからは 女性も 社会に出て働くべきだと➡ 210 00:18:04,067 --> 00:18:06,069 思っております。 211 00:18:06,069 --> 00:18:09,406 社会全体の幸せを 考えられる人でなければ➡ 212 00:18:09,406 --> 00:18:13,076 自分たちの子供を 幸せにすることなどできません。 213 00:18:13,076 --> 00:18:17,414 まあまあ。 繁之さんは さすが 帝大を卒業なさっただけあって➡ 214 00:18:17,414 --> 00:18:19,749 考え方も進歩的ですわ。 215 00:18:19,749 --> 00:18:22,085 (大崎)ハハハ。 お似合いのお二人 というところでしょうかな。 216 00:18:22,085 --> 00:18:23,753 (絹)ええ。 (大崎)この大崎も➡ 217 00:18:23,753 --> 00:18:27,424 間に立ったかいが あるというもんじゃ。 ハハハハ。 218 00:18:27,424 --> 00:18:29,424 ≪(勇作)失礼いたします。 219 00:18:31,761 --> 00:18:36,099 本日は まことに おめでとうございます。 220 00:18:36,099 --> 00:18:39,799 (勇作)私めは 当旅館の主人…。 221 00:18:45,709 --> 00:18:47,711 申し訳ございません。 222 00:18:47,711 --> 00:18:52,382 私めは 当旅館の主人 大河原勇作でございます。 223 00:18:52,382 --> 00:18:54,718 皆さまには 今後とも 私どもの旅館を➡ 224 00:18:54,718 --> 00:18:56,720 ごひいきにしていただければと➡ 225 00:18:56,720 --> 00:18:59,055 ごあいさつに上がった 次第でございます。 226 00:18:59,055 --> 00:19:03,393 ほう。 君が 大河原勇作君か。 227 00:19:03,393 --> 00:19:08,398 一代で この旅館を 甲府随一と 言われるまでに育て上げ➡ 228 00:19:08,398 --> 00:19:10,734 大河原商会を築き上げた➡ 229 00:19:10,734 --> 00:19:14,404 甲州一の やり手という噂は 聞いておりますぞ。 230 00:19:14,404 --> 00:19:16,740 (静子) ふつつかな息子でございますが➡ 231 00:19:16,740 --> 00:19:20,410 よろしくお願いいたします。➡ 232 00:19:20,410 --> 00:19:26,082 まあ。 お嬢さまも ご子息も 本当に ご立派で。➡ 233 00:19:26,082 --> 00:19:32,756 おひな様を見ているようで ございますわ。 ホホホホ。 234 00:19:32,756 --> 00:19:38,094 ひかるさん。 よろしければ 二人で庭でも歩きませんか? 235 00:19:38,094 --> 00:19:41,097 えっ? あ… ええ。 236 00:19:41,097 --> 00:19:44,797 では ひかるさんを お借りいたします。 237 00:19:46,703 --> 00:19:49,039 (絹)いってらっしゃい。 (大崎)気をつけてな。 238 00:19:49,039 --> 00:19:51,039 (静子)どうぞ ごゆっくり。 239 00:19:53,376 --> 00:19:57,380 (静子)さすが 三枝のお姫様だねえ。➡ 240 00:19:57,380 --> 00:20:00,383 おきれいで お上品で。➡ 241 00:20:00,383 --> 00:20:03,720 やっぱり ウチなんかとは違うんだね。 242 00:20:03,720 --> 00:20:06,389 俺の女だ。 243 00:20:06,389 --> 00:20:10,060 あの女 俺のものにしてみせる。 244 00:20:10,060 --> 00:20:12,395 バカ言ってんじゃないよ。 245 00:20:12,395 --> 00:20:18,068 いくら ウチが景気がいいからって 三枝さまとは身分が違うんだ。 246 00:20:18,068 --> 00:20:23,768 身分? フン! 身分だなんて ずいぶん 古くさいね。 247 00:20:25,408 --> 00:20:28,411 これからは もう 身分なんて関係ない。 248 00:20:28,411 --> 00:20:34,084 金が力さ。 俺には その力があるんだよ。 249 00:20:34,084 --> 00:20:36,753 だって さっきのお見合いだって うまくいってたようだし。 250 00:20:36,753 --> 00:20:40,757 母さん。 今まで 俺が手に入れると決めて➡ 251 00:20:40,757 --> 00:20:43,693 できなかったことがあったかい? お前…。 252 00:20:43,693 --> 00:20:48,364 地主様だろうが 何様だろうが 俺の力で ねじ伏せてやる! 253 00:20:48,364 --> 00:20:52,764 俺の力を見せつけてやるんだよ。 ハハハッ! 254 00:20:54,370 --> 00:20:56,039 聞いて。 猛。 255 00:20:56,039 --> 00:21:00,043 今日のお見合いは 初めから断るつもりで…。 256 00:21:00,043 --> 00:21:03,379 受けてください。 えっ? 257 00:21:03,379 --> 00:21:10,720 お見合いの話 受けてください。 どういうこと? 258 00:21:10,720 --> 00:21:14,390 今回のお相手は とてもいい方だと伺いました。 259 00:21:14,390 --> 00:21:19,729 簡単に断るなどとおっしゃらずに 考えてみられたほうが➡ 260 00:21:19,729 --> 00:21:23,399 お嬢さまのために 良いのではないかと思ったんです。 261 00:21:23,399 --> 00:21:25,399 本気で言ってるの? 262 00:21:27,070 --> 00:21:31,074 猛! 俺は しょせん使用人です! 263 00:21:31,074 --> 00:21:35,078 お嬢さまは お嬢さまなんです。 身分なんて関係ないわ! 264 00:21:35,078 --> 00:21:38,748 俺も この8年間 ずっと そう信じてきました。 265 00:21:38,748 --> 00:21:41,084 だけど…。 266 00:21:41,084 --> 00:21:43,084 やっぱり 俺たちは違うんです。 267 00:21:44,687 --> 00:21:48,687 俺には 旦那さまや 奥さまを 悲しませることはできません。 268 00:21:50,693 --> 00:21:53,696 お嬢さまも 分かっていらっしゃるはずです。 269 00:21:53,696 --> 00:21:56,032 だから これまでは断ってきた 見合いを…。 270 00:21:56,032 --> 00:21:58,032 お前のためよ! 271 00:21:59,369 --> 00:22:03,039 今回の話を受けたのは お前のためだわ。 272 00:22:03,039 --> 00:22:07,377 今日のお見合いは 大崎さんが 持ってきてくださったものなの。 273 00:22:07,377 --> 00:22:12,048 大崎さんは お父さまや猛の 大切な仕事仲間でしょ? 274 00:22:12,048 --> 00:22:14,384 だから 受けたほうがいいと 思ったのよ。 275 00:22:14,384 --> 00:22:17,387 なら どうして嘘をついたんです!? それは…。 276 00:22:17,387 --> 00:22:22,058 昔のお嬢さまなら 決して 嘘をついたりなさいませんでした。 277 00:22:22,058 --> 00:22:24,727 やっぱり お嬢さまは変わったんだ。 278 00:22:24,727 --> 00:22:28,064 でも お嬢さまだけじゃない。 俺も変わりました。 279 00:22:28,064 --> 00:22:32,068 いろんなことが 分かりすぎるようになったんだ。 280 00:22:32,068 --> 00:22:36,406 だから わたしとは 結婚できないって言うの? 281 00:22:36,406 --> 00:22:41,077 そんなこと わたしにだって分かってるわ! 282 00:22:41,077 --> 00:22:46,749 だから…。 だから わたし 誰とも結婚しない! 283 00:22:46,749 --> 00:22:51,421 わたしの気持ちは変わらないわ。 8年前と同じ。 284 00:22:51,421 --> 00:22:54,090 猛。 お前もそうでしょ? 285 00:22:54,090 --> 00:22:57,390 わたしを好きな気持ちは 変わらないはずだわ! 286 00:22:59,095 --> 00:23:02,765 猛! わたしを見て! 287 00:23:02,765 --> 00:23:04,767 旦那さまや 奥さまが 心配なさいます。 288 00:23:04,767 --> 00:23:06,769 もう帰りましょう。 289 00:23:06,769 --> 00:23:08,769 バカ! 290 00:23:17,447 --> 00:23:20,447 お嬢さま! お嬢さま! 291 00:23:21,451 --> 00:23:23,851 お嬢さま! あっ! 292 00:23:26,456 --> 00:23:29,792 ううーっ。 293 00:23:29,792 --> 00:23:31,392 猛!? 294 00:23:33,129 --> 00:23:38,801 来ないでください! マムシが…。 まだ近くにいるかもしれません。 295 00:23:38,801 --> 00:23:41,471 マムシ!? 296 00:23:41,471 --> 00:23:43,871 あっ 動いちゃ ダメ! 297 00:24:04,761 --> 00:24:07,761 (うめき声) 298 00:24:14,437 --> 00:24:17,106 お嬢さま! やめてください! 299 00:24:17,106 --> 00:24:20,106 そんなことをすれば お嬢さまにも毒が…。 300 00:24:21,444 --> 00:24:24,447 ハハハハハハ。 301 00:24:24,447 --> 00:24:30,119 実は 帝国陸軍の お力をお借りしたい。 302 00:24:30,119 --> 00:24:35,119 いや なに。 どうしても 手に入れたい女がいるんですよ。 303 00:24:39,796 --> 00:24:41,796 お嬢さま…。 304 00:24:48,805 --> 00:24:50,473 俺は ひかるさんを嫁にする。 305 00:24:50,473 --> 00:24:53,476 お前は もうすぐ この俺を 旦那様と呼ぶようになるんだ。 306 00:24:53,476 --> 00:24:55,144 お嬢様は 何も分かっていないんです。 307 00:24:55,144 --> 00:24:56,813 そんなこと言う猛は嫌いよ。 308 00:24:56,813 --> 00:24:58,815 (石島)やめろ やめろ! (子供たち)わ~! 309 00:24:58,815 --> 00:25:00,817 何です? あなたたちは。 310 00:25:00,817 --> 00:25:03,117 (山根)申し訳ございません! 311 00:25:06,155 --> 00:25:08,155 文彦…。 312 00:25:10,493 --> 00:25:12,493 申し訳ございません。