1 00:02:48,351 --> 00:02:50,219 2 00:02:50,219 --> 00:02:51,819 (ひかる)何をするんですか!? 3 00:02:59,228 --> 00:03:02,231 (勇作)わたしは 野心の強い男でしてね。 4 00:03:02,231 --> 00:03:04,901 手に入らないものが あると聞くと⇒ 5 00:03:04,901 --> 00:03:07,904 なおさら 手に入れたくなるんですよ。 6 00:03:07,904 --> 00:03:10,904 どんな手段を使ってでもね。 7 00:03:22,919 --> 00:03:27,924 ♪『Delight of my love』 8 00:03:27,924 --> 00:03:47,944 ♪ 9 00:03:47,944 --> 00:04:07,897 ♪ 10 00:04:07,897 --> 00:04:27,917 ♪ 11 00:04:27,917 --> 00:04:41,263 ♪ 12 00:04:41,263 --> 00:04:51,263 ♪ 13 00:04:56,545 --> 00:04:59,882 やっと帰って来てくれた。 14 00:04:59,882 --> 00:05:04,220 (猛)お嬢さま。 猛。 15 00:05:04,220 --> 00:05:06,555 何か あったんですか? 16 00:05:06,555 --> 00:05:09,855 わたし…。 わたしね。 17 00:05:13,229 --> 00:05:15,231 どうしたんですか? 18 00:05:15,231 --> 00:05:20,231 何か 心配なことでも? 別に。 19 00:05:22,571 --> 00:05:24,271 そうですか。 20 00:05:25,908 --> 00:05:27,576 わたしは お嬢さまに⇒ 21 00:05:27,576 --> 00:05:30,246 話しておかなくちゃ いけないことが あるんです。 22 00:05:30,246 --> 00:05:32,248 わたしに? 23 00:05:32,248 --> 00:05:37,253 旦那さまは いよいよ 海運業に 乗り出す決意をなさいました。 24 00:05:37,253 --> 00:05:39,588 本当なの? 25 00:05:39,588 --> 00:05:44,288 自分も 旦那さまと一緒に 全精力を注ぎ込むつもりです。 26 00:05:45,861 --> 00:05:50,866 旦那さまは 準備万端 整ってから 皆に発表すると おっしゃいました。 27 00:05:50,866 --> 00:05:55,566 でも自分は お嬢さまに 隠しごとはできません。 28 00:05:59,875 --> 00:06:05,214 お嬢さまも もし自分に 言いたいことがあるなら。 29 00:06:05,214 --> 00:06:11,814 実はね わたし…。 はい。 30 00:06:15,558 --> 00:06:22,231 わたし 昼間 アトリエで…。 31 00:06:22,231 --> 00:06:24,900 ≪(勇作)ごめんください! 32 00:06:24,900 --> 00:06:27,903 (伝衛門)これは 大河原旅館の。 33 00:06:27,903 --> 00:06:30,906 (絹)このような時間に おそろいで 何か? 34 00:06:30,906 --> 00:06:33,242 (静子)夜分に 失礼とは 思いましたが⇒ 35 00:06:33,242 --> 00:06:36,245 思い立ったが吉日という 言葉もございます。 36 00:06:36,245 --> 00:06:39,582 勇作が 一日も早く こちらに伺って⇒ 37 00:06:39,582 --> 00:06:42,251 自分の気持ちを伝えたいと 言いますもので。 38 00:06:42,251 --> 00:06:44,920 「自分の気持ち」ですか? 39 00:06:44,920 --> 00:06:47,920 お気に召しますか どうですか。 40 00:06:53,529 --> 00:06:56,529 これは? まあ! 41 00:06:59,869 --> 00:07:03,539 勇作。 あとは お前から。 42 00:07:03,539 --> 00:07:07,209 本来ならば 間に しかるべき お方に⇒ 43 00:07:07,209 --> 00:07:09,211 立っていただくべきところで ございますが⇒ 44 00:07:09,211 --> 00:07:11,881 どうにも はやる気持ちを 抑えきれず 一刻も早く⇒ 45 00:07:11,881 --> 00:07:16,552 私 大河原勇作の心情を 三枝家の 皆さまに くんでいただきたく⇒ 46 00:07:16,552 --> 00:07:19,555 こうして 失礼も顧みず 参ったしだいでございます。 47 00:07:19,555 --> 00:07:21,891 一体 どういうことで ございましょう? 48 00:07:21,891 --> 00:07:27,563 お宅のお嬢さまを ぜひ ぜひ私の嫁に。 49 00:07:27,563 --> 00:07:29,899 (静子)私どものせがれが⇒ 50 00:07:29,899 --> 00:07:33,569 こちらのお嬢さまを 見初めたのでございます。 51 00:07:33,569 --> 00:07:35,237 ご存じのように⇒ 52 00:07:35,237 --> 00:07:39,909 わが大河原家は 今や甲府随一と 言われる 大河原旅館を経営し⇒ 53 00:07:39,909 --> 00:07:42,578 また 甲州財界を背負って 立つとまで 言われている⇒ 54 00:07:42,578 --> 00:07:44,914 大河原商会を 運営いたしております。 55 00:07:44,914 --> 00:07:47,183 三枝家とは 勝るとも劣らぬ…。 56 00:07:47,183 --> 00:07:49,852 (伝衛門)そちらの口上は もう結構。 57 00:07:49,852 --> 00:07:53,856 つまり あなた方は 娘を嫁にもらいたいと。 58 00:07:53,856 --> 00:07:57,526 そういうことですか? さようでございます。 59 00:07:57,526 --> 00:07:59,862 オッホホホホ。⇒ 60 00:07:59,862 --> 00:08:02,865 ホホホホホッ。 そんなに おかしゅうございますか? 61 00:08:02,865 --> 00:08:04,533 (絹)失礼。 62 00:08:04,533 --> 00:08:09,205 そちらさまにとっても 決して 悪い話とは思いませんですけど。 63 00:08:09,205 --> 00:08:12,541 物事には 道理というものが ございましょう? 64 00:08:12,541 --> 00:08:15,544 ですから こうして 道理をわきまえて。 65 00:08:15,544 --> 00:08:17,880 (絹)ご存じないのなら お教えいたします。⇒ 66 00:08:17,880 --> 00:08:22,551 道理とは 物事のあるべき 筋道のことでございます。 67 00:08:22,551 --> 00:08:26,889 何の連絡もなく いきなり やって来て 娘を嫁にくれとは⇒ 68 00:08:26,889 --> 00:08:29,892 道理に外れた行為としか 思えませぬわ。 69 00:08:29,892 --> 00:08:35,564 失礼ですが 奥さまは この勇作の父親が⇒ 70 00:08:35,564 --> 00:08:38,901 昔 こちらの小作人だったことを 気になさってらっしゃるんじゃ? 71 00:08:38,901 --> 00:08:41,570 いいえ。 私は何も。 72 00:08:41,570 --> 00:08:46,508 ただ 結婚というものは 両家の家の格が釣り合ってこそ⇒ 73 00:08:46,508 --> 00:08:50,179 初めて祝福されるものと 心得ております。 74 00:08:50,179 --> 00:08:55,517 家の格と申されるが 大河原家という大きな名前⇒ 75 00:08:55,517 --> 00:08:59,188 地元への影響力 ばく大な財力 どれを取っても⇒ 76 00:08:59,188 --> 00:09:02,858 三枝家と引けを取らぬ家柄と 私どもは自負しております。 77 00:09:02,858 --> 00:09:08,530 確かに 大河原さんの躍進ぶりには 目をみはるものがありますな。 78 00:09:08,530 --> 00:09:15,204 しかし それは 三枝家が 長年 大切にしてきた志とは⇒ 79 00:09:15,204 --> 00:09:18,874 相いれません。 志? 80 00:09:18,874 --> 00:09:21,874 「生きるよすが」とでも 申しましょうか。 81 00:09:23,545 --> 00:09:27,549 人間には 生まれついての 品格というものがあります。 82 00:09:27,549 --> 00:09:30,886 いくら 金銀で 飾り立てても⇒ 83 00:09:30,886 --> 00:09:35,224 心根の卑しさは 隠せるものではありません。 84 00:09:35,224 --> 00:09:37,559 わたしが卑しいと おっしゃるのか? 85 00:09:37,559 --> 00:09:39,561 これは失礼。 86 00:09:39,561 --> 00:09:45,834 ところで 娘 ひかるの気持ちを 確かめたうえでの⇒ 87 00:09:45,834 --> 00:09:48,834 結婚の申し込みなんでしょうな? 88 00:09:51,173 --> 00:09:59,181 人の心を動かすのは 心です。 この話は なかったことに。 89 00:09:59,181 --> 00:10:02,781 とにかく これは お引き取り願おう。 90 00:10:04,520 --> 00:10:06,520 行くよ 勇作。 91 00:10:09,191 --> 00:10:12,528 今夜のところは これで引き上げましょう。 92 00:10:12,528 --> 00:10:17,533 が こんなことで気持ちが変わる 私ではございません。 93 00:10:17,533 --> 00:10:21,203 私という人間を 理解していただけるまで⇒ 94 00:10:21,203 --> 00:10:24,203 何度でも 足を運びましょう。 95 00:10:26,542 --> 00:10:30,879 そうだ。 こんな噂を耳にしました。 96 00:10:30,879 --> 00:10:35,217 こちらのお嬢さまと 使用人が いい仲だとか。 97 00:10:35,217 --> 00:10:38,554 耳を疑いたくなるような 噂でございます。 98 00:10:38,554 --> 00:10:41,890 家柄を大事にされる 三枝家のことですから⇒ 99 00:10:41,890 --> 00:10:46,495 そのような噂を ほっておかれるとは思いませんが。 100 00:10:46,495 --> 00:10:48,495 失礼。 101 00:10:50,165 --> 00:10:52,465 (戸の閉まる音) 102 00:10:54,169 --> 00:10:59,508 やること なすこと 大河原らしいわい。 103 00:10:59,508 --> 00:11:02,808 ハハッ。 笑いごとでは ございません! 104 00:11:06,515 --> 00:11:09,518 (絹)ひかる。 こっちへ いらっしゃい。 105 00:11:09,518 --> 00:11:11,518 はい。 106 00:11:15,190 --> 00:11:17,860 (ひかる)お母さま。 ありがとう。 107 00:11:17,860 --> 00:11:21,864 わたし 大河原が追い返されるのを 見て スーッとしました。 108 00:11:21,864 --> 00:11:25,564 猛と噂になるようなことを しているのですか? 109 00:11:27,202 --> 00:11:29,872 大河原のことは もちろんですけど⇒ 110 00:11:29,872 --> 00:11:32,872 猛のことだって 認めるわけにはまいりません。 111 00:11:34,877 --> 00:11:36,879 お母さま。 112 00:11:36,879 --> 00:11:42,885 お母さまのおっしゃってることは 頭では分かっているんです。 113 00:11:42,885 --> 00:11:46,155 分かっているんですけど⇒ 114 00:11:46,155 --> 00:11:53,495 でも わたし 猛以外の人と一緒に なるなんて 考えられませんから。 115 00:11:53,495 --> 00:11:56,832 もし それが 許されないのなら⇒ 116 00:11:56,832 --> 00:12:01,232 わたしは 一生 誰とも結婚しません。 ひかる。 117 00:12:05,841 --> 00:12:08,844 お前のおかげで 恥 かかされたよ。 118 00:12:08,844 --> 00:12:12,181 もう二度と 三枝家の女を 欲しいなんて 言うんじゃないよ。 119 00:12:12,181 --> 00:12:14,850 (勇作)何が 生まれながらの品格だ。 120 00:12:14,850 --> 00:12:18,550 力のないヤツに限って 気取ったことを言うんだよ。 121 00:12:20,189 --> 00:12:24,526 今夜は 宣戦布告さ。 勝負は これからだ。 122 00:12:24,526 --> 00:12:26,862 まあ 見ててくれ。 123 00:12:26,862 --> 00:12:33,202 俺は いったん手に入れると 決めたら 必ず手に入れる男だ。 124 00:12:33,202 --> 00:12:34,870 (伝衛門)お待たせしました。 (大崎)ああ。 125 00:12:34,870 --> 00:12:39,875 <数日後 三枝家の命運を 懸けた事業計画が⇒ 126 00:12:39,875 --> 00:12:42,211 いよいよ動き始めたのです> 127 00:12:42,211 --> 00:12:43,879 (伝衛門)ほお。 これは。 128 00:12:43,879 --> 00:12:48,550 (大崎)取引先の船会社が 我々の 計画に 大乗り気でしてな。 129 00:12:48,550 --> 00:12:52,221 手ごろな船があると 紹介してくれたんですよ。 130 00:12:52,221 --> 00:12:55,224 どうじゃ 猛? 131 00:12:55,224 --> 00:12:58,560 これなら 申し分ないでしょう。 132 00:12:58,560 --> 00:13:00,896 すぐにでも 実物を 見てみたいですね。 133 00:13:00,896 --> 00:13:02,596 気に入ったか? 134 00:13:04,566 --> 00:13:06,568 乗組員の確保は どうなっていますか? 135 00:13:06,568 --> 00:13:08,570 (大崎)戦争の影響だろう。⇒ 136 00:13:08,570 --> 00:13:11,907 その船会社も 事業を 縮小せざるを得なくなってな。⇒ 137 00:13:11,907 --> 00:13:14,576 余った乗組員を回してもいいと 言ってくれてるんだ。 138 00:13:14,576 --> 00:13:16,245 それは助かります。 139 00:13:16,245 --> 00:13:19,581 何から何まで 大崎さんには 何と お礼を言っていいか。 140 00:13:19,581 --> 00:13:21,917 いやぁ。 わたしは商売人です。 141 00:13:21,917 --> 00:13:24,586 失敗するような事業には 手を出しませんよ。 142 00:13:24,586 --> 00:13:26,588 運用資金ですが。 143 00:13:26,588 --> 00:13:29,258 これが 小作人に貸与してある 土地の写しです。 144 00:13:29,258 --> 00:13:30,926 これで全部か? はい。 145 00:13:30,926 --> 00:13:32,594 あとは 山林と遊休地を加えれば。 146 00:13:32,594 --> 00:13:35,931 ああ。 それを担保に 銀行から融資を受けるんだが⇒ 147 00:13:35,931 --> 00:13:38,600 小作人の了解は 取り付けてあるんだろうね? 148 00:13:38,600 --> 00:13:40,936 これから 自分が 説得に回ります。 149 00:13:40,936 --> 00:13:44,273 これが成功すれば 村も 皆も豊かになるんです。 150 00:13:44,273 --> 00:13:46,208 反対する者は いないでしょう。 151 00:13:46,208 --> 00:13:50,212 歯車は動き始めた。 できるだけ早いほうがいいな。 152 00:13:50,212 --> 00:13:53,215 はい。 では 直ちに。 頼む。 153 00:13:53,215 --> 00:13:54,815 失礼いたします。 154 00:13:57,886 --> 00:14:02,558 あの暴れん坊の猛が いい番頭になりましたな。 155 00:14:02,558 --> 00:14:06,895 (伝衛門)ええ。 労を惜しまず 本当に よくやってくれております。 156 00:14:06,895 --> 00:14:10,899 やはり 人間 氏より育ちですかな。 157 00:14:10,899 --> 00:14:12,899 はあ。 158 00:14:16,905 --> 00:14:18,574 文彦さん。 159 00:14:18,574 --> 00:14:21,910 (文彦)田舎の女給は 気が利かねえから⇒ 160 00:14:21,910 --> 00:14:23,912 遊んでても 東京みたいに 楽しくないな。 161 00:14:23,912 --> 00:14:27,583 ちょうどよかった。 今 旦那さまが 大崎さんと打ち合わせの最中です。 162 00:14:27,583 --> 00:14:30,919 (文彦)また仕事か。 迷惑な話だぜ。 163 00:14:30,919 --> 00:14:33,922 何 言ってるんですか。 三枝家の跡取りじゃないですか。 164 00:14:33,922 --> 00:14:37,622 お前なんかに 言われたくない。 ほっといてくれ。 165 00:14:45,200 --> 00:14:48,537 (竹)あら お坊ちゃま。 こんな所で 何してるんです? 166 00:14:48,537 --> 00:14:51,873 (末)旦那さまが きのうから 捜してらっしゃいましたよ。 167 00:14:51,873 --> 00:14:56,878 (竹)旦那さま! 旦那さま! 文彦お坊ちゃんが お戻りですよ! 168 00:14:56,878 --> 00:14:59,881 (伝衛門)やっと帰って来たか。 169 00:14:59,881 --> 00:15:02,217 今まで どこ ほっつき歩いとった? 170 00:15:02,217 --> 00:15:04,886 (文彦)ただ遊んでたわけじゃ ありませんよ。⇒ 171 00:15:04,886 --> 00:15:07,889 これでも 一応 取材したり アイデアをひねったり⇒ 172 00:15:07,889 --> 00:15:09,891 ブラブラしてるようで 結構 忙しいんです。 173 00:15:09,891 --> 00:15:11,893 文彦さんの噂は 聞いてますよ。 174 00:15:11,893 --> 00:15:14,896 東京で作家生活を しておられるとか。 175 00:15:14,896 --> 00:15:16,565 大したもんですな。 176 00:15:16,565 --> 00:15:19,568 実は 今度 2作目の本を 出版することになりまして⇒ 177 00:15:19,568 --> 00:15:23,905 現在 推敲してるところなんです。 なかなか好評で 編集者なんか⇒ 178 00:15:23,905 --> 00:15:25,907 文学賞の候補に推そうとまで 言ってくれてるんです。 179 00:15:25,907 --> 00:15:27,576 いいかげんにせんか。 180 00:15:27,576 --> 00:15:30,912 三枝家が今 どんなに重大な岐路に 立たされているのか⇒ 181 00:15:30,912 --> 00:15:32,581 分かっているのか? 182 00:15:32,581 --> 00:15:36,918 万が一の場合は おまんが 三枝家の屋台骨を支えるんじゃ。 183 00:15:36,918 --> 00:15:40,918 長男としての気構えだけは しっかりと持っていろ! 184 00:15:45,193 --> 00:15:46,862 (伝衛門)文彦! 185 00:15:46,862 --> 00:15:50,532 ハッハハハ。 面目ない。 186 00:15:50,532 --> 00:15:53,201 (大崎)いやいや。 船頭は 一人で十分。 187 00:15:53,201 --> 00:15:55,501 猛がいるじゃないですか。 188 00:16:03,879 --> 00:16:05,879 (絹)文彦。 189 00:16:07,883 --> 00:16:12,554 勝手に呼びつけといて 冗談じゃないよ! 190 00:16:12,554 --> 00:16:15,254 お兄さま。 また怒られたのね。 191 00:16:16,892 --> 00:16:18,560 やめてください。 192 00:16:18,560 --> 00:16:21,897 東京じゃ 4月に アメリカ軍の 初の空襲があったんですよ。 193 00:16:21,897 --> 00:16:23,899 こんな時代に 海運業を 起こすなんて⇒ 194 00:16:23,899 --> 00:16:25,567 どうかしてるんじゃないか。 195 00:16:25,567 --> 00:16:27,569 意見があるんなら お父さまに⇒ 196 00:16:27,569 --> 00:16:29,571 そう はっきり言えば いいじゃないですか。 そうよ。 197 00:16:29,571 --> 00:16:31,239 あなたが自分の意見を言えば⇒ 198 00:16:31,239 --> 00:16:33,575 お父さまだって ちゃんと 耳を傾けてくださいますよ。 199 00:16:33,575 --> 00:16:36,244 あのお父さまが 僕の意見なんか聞くもんですか。 200 00:16:36,244 --> 00:16:39,247 昔の三枝家とは もう違うのです。 201 00:16:39,247 --> 00:16:41,917 あなたも もう少し 長男としての自覚を持って…。 202 00:16:41,917 --> 00:16:44,186 (文彦)そんなことは 言われなくても分かってますよ。 203 00:16:44,186 --> 00:16:48,523 だけど 僕が何か言うと お父さまは頭っから抑えつけて⇒ 204 00:16:48,523 --> 00:16:51,526 耳を傾けようとしないじゃないか。 昔っから そうだ。 205 00:16:51,526 --> 00:16:54,863 文彦。 はなっから 僕を 認めてないんだから⇒ 206 00:16:54,863 --> 00:16:59,534 長男としての自覚だの 心構えだの 押しつけないでほしいよ!⇒ 207 00:16:59,534 --> 00:17:01,536 ちょっと借りるぞ。 お兄さま! 208 00:17:01,536 --> 00:17:03,536 待ちなさい 文彦! 209 00:17:08,210 --> 00:17:13,210 (大崎)船頭は 一人で十分。 猛がいるじゃないですか 210 00:17:14,883 --> 00:17:18,583 (絹)あなた。 私に何か? 211 00:17:24,893 --> 00:17:32,234 お前に相談したいことがあってな。 ひかると猛のことじゃ。 212 00:17:32,234 --> 00:17:36,905 この際 三枝家を 継がせようと思っている。 213 00:17:36,905 --> 00:17:40,242 継がせる!? どういうことでございます? 214 00:17:40,242 --> 00:17:42,177 二人を一緒にするのじゃ。 215 00:17:42,177 --> 00:17:44,846 文彦がいるではございませんか。 216 00:17:44,846 --> 00:17:48,517 この三枝の家を継ぐのは 長男の文彦でございます。 217 00:17:48,517 --> 00:17:51,520 なぜ 猛に継がせる必要が あるのですか。 218 00:17:51,520 --> 00:17:56,220 (伝衛門)文彦に この三枝家の 大黒柱が務まると思うか? 219 00:17:57,859 --> 00:18:01,863 それは…。 いろいろ考えたが⇒ 220 00:18:01,863 --> 00:18:04,866 三枝家の将来のためには これが いちばんいい。 221 00:18:04,866 --> 00:18:07,202 (絹)私は反対でございます。 222 00:18:07,202 --> 00:18:10,205 使用人の猛に 三枝の家の名を 名乗らせるなど⇒ 223 00:18:10,205 --> 00:18:11,873 絶対に嫌でございます! 224 00:18:11,873 --> 00:18:14,876 使用人といえ 猛は 三枝家の番頭じゃ。 225 00:18:14,876 --> 00:18:18,547 実に よくやってくれている。 それは おまんも認めるじゃろう? 226 00:18:18,547 --> 00:18:20,882 それでも 猛は猛でございます。 227 00:18:20,882 --> 00:18:23,885 15年前 あなたが横浜から お連れになった みなしごに⇒ 228 00:18:23,885 --> 00:18:28,557 何の変わりもございません。 三枝家の人間とは身分が違います。 229 00:18:28,557 --> 00:18:30,857 絹。 230 00:18:32,561 --> 00:18:36,561 ≪(猛)旦那さま! 旦那さま! 大変です! 231 00:18:40,902 --> 00:18:45,507 (猛)旦那さま! 源二が! 小作人の源二が! 232 00:18:45,507 --> 00:18:47,509 落ち着け 猛。 源二が どうしたのじゃ? 233 00:18:47,509 --> 00:18:49,511 家族もろとも 夜逃げしました。 234 00:18:49,511 --> 00:18:52,514 源二だけじゃありません。 ほかにも いるようです。 235 00:18:52,514 --> 00:18:56,214 何じゃと? こんな借用書が。 236 00:18:59,187 --> 00:19:00,856 こんなに借金を! 237 00:19:00,856 --> 00:19:04,526 しかも 貸し付けたのは 大河原商会です。 238 00:19:04,526 --> 00:19:09,531 大河原が? ≪(治平)旦那さま! えらいことですだ! 239 00:19:09,531 --> 00:19:11,533 (徹)庄助んとこも 栄吉んとこも空っぽです! 240 00:19:11,533 --> 00:19:14,202 (吾作)みんな大河原商会の 厳しい取り立てに 音を上げて⇒ 241 00:19:14,202 --> 00:19:16,204 夜逃げしちまったですよ! 242 00:19:16,204 --> 00:19:19,875 ほかにも 大河原から借金を している小作がいるかもしれん。 243 00:19:19,875 --> 00:19:22,275 手分けして 調べてくれ。 (治平・吾作・徹)はい! 244 00:19:24,880 --> 00:19:26,880 旦那さま。 245 00:19:28,550 --> 00:19:31,553 みんなが こんなに 困っていたとは…。 246 00:19:31,553 --> 00:19:33,555 うかつじゃった。 247 00:19:33,555 --> 00:19:37,225 しかし どうして こんな払えもしない大金を? 248 00:19:37,225 --> 00:19:41,229 こんな大金 急に返済を迫られたら⇒ 249 00:19:41,229 --> 00:19:44,165 それこそ 夜逃げするか 首をくくるかだ。 250 00:19:44,165 --> 00:19:47,168 一体 何のために 大河原は こんな…。 251 00:19:47,168 --> 00:19:52,173 猛。 借金は全額 大河原に返済しよう。 252 00:19:52,173 --> 00:19:55,176 何ですって!? できるだけ 金を集めてくれ。 253 00:19:55,176 --> 00:19:59,180 待ってください! 今は少しでも資金が必要な時です。 254 00:19:59,180 --> 00:20:00,849 そんなことをしたら 事業に影響が。 255 00:20:00,849 --> 00:20:02,517 (伝衛門)いいから 集めろ。 しかし! 256 00:20:02,517 --> 00:20:07,522 猛。 小作の借金は 三枝家の借金じゃ。 257 00:20:07,522 --> 00:20:09,858 旦那さま。 258 00:20:09,858 --> 00:20:14,529 (勇作)三枝の小作は 腹をすかせた鶏だ。 259 00:20:14,529 --> 00:20:17,532 エサを与えれば いくらでも食らいつく。 260 00:20:17,532 --> 00:20:19,868 (高田)小作あっての地主です。 261 00:20:19,868 --> 00:20:23,538 小作が夜逃げをすれば 三枝家のメンツは つぶれます。 262 00:20:23,538 --> 00:20:27,542 何が 格式が違うだと? 263 00:20:27,542 --> 00:20:32,881 どれほどの格式か じっくり 見せてもらおうじゃないか。 264 00:20:32,881 --> 00:20:37,886 小作を満足に養えない地主が どれほど ぶざまなものか。 265 00:20:37,886 --> 00:20:40,889 海運業などと 威勢のいいこと 言ってるのは 今のうちです。 266 00:20:40,889 --> 00:20:43,491 フフッ。 金は いくらでもある。 267 00:20:43,491 --> 00:20:46,828 もっともっと 貸して貸して 貸しまくれ! 268 00:20:46,828 --> 00:20:49,497 (ノック) はい。 269 00:20:49,497 --> 00:20:53,497 (安江)三枝さまが お見えです。 お通ししなさい。 270 00:20:55,837 --> 00:20:57,537 (安江)どうぞ。 271 00:21:04,179 --> 00:21:06,514 (高田)どんな ご用でしょうか? 272 00:21:06,514 --> 00:21:10,518 そちらの大河原さんに 相談がございまして。 273 00:21:10,518 --> 00:21:12,520 まことに申し訳ありません。 274 00:21:12,520 --> 00:21:17,192 社長は ただ今 急な仕事が入り 私が お伺いします。 275 00:21:17,192 --> 00:21:20,195 しかし 大事な話なものですから。 276 00:21:20,195 --> 00:21:25,195 大事な話は すべて この秘書の 私が承ることになっております。 277 00:21:29,204 --> 00:21:30,804 (高田)どうぞ。 278 00:21:38,546 --> 00:21:45,153 実は 小作たちの借金を 全額 返済したいと思いまして。 279 00:21:45,153 --> 00:21:49,491 ほお。 全額ですか? さすが 三枝さんだ。 280 00:21:49,491 --> 00:21:51,826 お確かめください。 281 00:21:51,826 --> 00:21:55,830 これが 小作人たちから 集めてきた借用書です。 282 00:21:55,830 --> 00:21:58,500 (高田)勘違いなさっては 困りますね。 283 00:21:58,500 --> 00:22:03,838 これじゃ 利息分が 全然 足りませんよ。 利息分? 284 00:22:03,838 --> 00:22:07,538 (高田)フフフッ。 借用書 よく見てくださいよ。 285 00:22:10,178 --> 00:22:13,515 10日で1割? 何じゃと! 286 00:22:13,515 --> 00:22:17,852 (高田)「といち」と言いましてね。 100円借りたら10日で10円⇒ 287 00:22:17,852 --> 00:22:23,858 30日なら30円 半年で180円 1年借りたら360円だ。 288 00:22:23,858 --> 00:22:27,529 全額どころか これじゃ 半分にも足りませんよ。 289 00:22:27,529 --> 00:22:29,197 そんな法外な! 290 00:22:29,197 --> 00:22:31,866 こんな小さく書いてあって 分かるわけないでしょう。 291 00:22:31,866 --> 00:22:34,536 「といち」と知ってたら 誰も借りたりしませんよ。 292 00:22:34,536 --> 00:22:36,538 契約は契約ですから。 293 00:22:36,538 --> 00:22:40,542 なに ウチは 返済して もらわなくたっていいんですよ。⇒ 294 00:22:40,542 --> 00:22:42,877 ウチより商売上手の 高利貸しが⇒ 295 00:22:42,877 --> 00:22:45,880 お宅の債権を買い取っても いいって 言ってきてるんだ。 296 00:22:45,880 --> 00:22:48,216 貴様! (伝衛門)やめとけ 猛。 297 00:22:48,216 --> 00:22:50,218 しかし これじゃあんまり…! 298 00:22:50,218 --> 00:23:04,899 ♪ 299 00:23:04,899 --> 00:23:08,599 今日のところは 失礼します。 300 00:23:17,579 --> 00:23:19,914 アッハハハハハ。 301 00:23:19,914 --> 00:23:24,586 ハハハハハハッ。 302 00:23:24,586 --> 00:23:28,923 借りたのは小作人です。 いくら地主とはいえ⇒ 303 00:23:28,923 --> 00:23:32,260 借金まで肩代わりする 必要があるのでしょうか? 304 00:23:32,260 --> 00:23:36,264 こんなことをしていたら 肝心の海運業のほうが。 305 00:23:36,264 --> 00:23:39,934 何のための海運業じゃ? 306 00:23:39,934 --> 00:23:43,538 小作人や白部村のためじゃ なかったのか? 307 00:23:43,538 --> 00:23:47,876 現に 借金で苦しんでいる者が いるのに それを無視して⇒ 308 00:23:47,876 --> 00:23:52,881 海運業を起こすなど 本末転倒ではないのか? 309 00:23:52,881 --> 00:23:54,581 はい。 310 00:23:58,887 --> 00:24:00,889 怖い。 311 00:24:00,889 --> 00:24:05,560 何だか 知らないうちに 大河原に 取り込まれていくみたいで⇒ 312 00:24:05,560 --> 00:24:07,896 わたし 怖い。 313 00:24:07,896 --> 00:24:09,896 お嬢さま。 314 00:24:23,578 --> 00:24:37,926 ♪ 315 00:24:37,926 --> 00:24:41,930 <悪い予感に 引き込まれるような気がして⇒ 316 00:24:41,930 --> 00:24:45,630 思わず顔を背ける ひかるでした> 317 00:24:49,204 --> 00:24:52,874 何があっても三枝家を守るって。 わたしを守るって。 318 00:24:52,874 --> 00:24:54,574 約束します。 319 00:24:56,544 --> 00:24:58,546 (絹)お父さまのおっしゃることを 信じなさい。 320 00:24:58,546 --> 00:25:03,218 好きな女と破滅すれば 本望なんじゃないか? 321 00:25:03,218 --> 00:25:04,886 勇作。 322 00:25:04,886 --> 00:25:06,886 こんなことされては困ります。 323 00:25:08,556 --> 00:25:11,226 この事業は きっとうまくいく。 324 00:25:11,226 --> 00:25:12,826 きっと うまくいく。