1 00:02:31,806 --> 00:02:32,674 2 00:02:32,674 --> 00:02:37,679 (ひかる)抱いて。 わたしを抱いて。 誰にも渡さないで。 3 00:02:37,679 --> 00:02:39,679 わたしは お前のものよ。 4 00:02:43,351 --> 00:02:48,022 (猛)落ち着いてください。 いったい何があったんですか? 5 00:02:48,022 --> 00:02:54,722 (ひかる)怖いの。 自分が怖いの。 (猛)自分が 怖い? 6 00:02:56,698 --> 00:02:59,701 お兄様に言われたの。 7 00:02:59,701 --> 00:03:02,704 三枝家にとって いちばんいいことは 8 00:03:02,704 --> 00:03:06,708 わたしが 大河原と結婚することだって。 9 00:03:06,708 --> 00:03:10,708 そうすれば 危険を冒してまで 海運業を起こさなくても済むって。 10 00:03:12,380 --> 00:03:17,385 そのお兄様の言葉が トゲになって 胸の奥に突き刺さってるの。 11 00:03:17,385 --> 00:03:22,724 忘れようとすれば するほど そのトゲが痛くなって 12 00:03:22,724 --> 00:03:26,394 苦しくなって。 いっそのこと 13 00:03:26,394 --> 00:03:29,731 お兄様の言うとおりにしたほうが いいんじゃないかって。 14 00:03:29,731 --> 00:03:31,731 そういう自分が怖いの! 15 00:03:34,335 --> 00:03:40,008 りっぱな船を手に入れました。 何も心配することはありません。 16 00:03:40,008 --> 00:03:42,708 猛。 お嬢様。 17 00:03:44,345 --> 00:03:50,745 猛の愛が欲しい。 もっと強く お前の愛に包まれていたい。 18 00:03:53,021 --> 00:03:57,692 お嬢様が 好きです。 19 00:03:57,692 --> 00:04:04,032 しかし今は 自分たちのことよりも 白部村のことを 20 00:04:04,032 --> 00:04:07,732 小作たちの幸せを第一に 考えなくちゃいけないんです。 21 00:04:12,040 --> 00:04:18,046 もう少しの辛抱です。 最初の航海が実を結ぶまで 22 00:04:18,046 --> 00:04:24,052 二人で力を合わせ 旦那様の支えになりましょう。 23 00:04:24,052 --> 00:04:26,721 猛。 24 00:04:26,721 --> 00:04:32,327 そのときが来たら お嬢様のことは 自分が必ず! 25 00:04:32,327 --> 00:04:34,027 俺を信じてください! 26 00:04:36,664 --> 00:04:41,264 分かったわ。 お前を信じる。 27 00:04:43,004 --> 00:04:48,009 『Delight of my love』 28 00:06:18,666 --> 00:06:24,005 <三枝家の海運業は 初航海に向かって着々と進み 29 00:06:24,005 --> 00:06:30,705 新天地を目指す 小作人たちの顔も 希望に輝いていました> 30 00:06:33,948 --> 00:06:37,618 (小作人)おう 健次! 今日は やけに めかし込んでるじゃねえか。 31 00:06:37,618 --> 00:06:40,288 (健次)当たり前だい! 新天地へ行くんだ! 32 00:06:40,288 --> 00:06:42,290 みっともねえ格好 できねえや! 33 00:06:42,290 --> 00:06:43,958 (一同の笑い声) 34 00:06:43,958 --> 00:06:46,627 (徹)一足先に行って 道 つくっといてやるから 35 00:06:46,627 --> 00:06:50,965 お前らも あとから来いや! (小作人)頼りにしてるぞ! 36 00:06:50,965 --> 00:06:55,636 (伝衛門)みんな 喜んでくれ。 船の出航予定が決まった。 37 00:06:55,636 --> 00:07:00,641 今月 25日 午前6時。 横浜より出航する。 38 00:07:00,641 --> 00:07:06,981 (伝衛門)それと 船の名前だが この村の名を取って 39 00:07:06,981 --> 00:07:09,984 「白部丸」と命名した。 40 00:07:09,984 --> 00:07:13,321 (小作人)おら 三枝丸だとばっかり 思っていただが。 41 00:07:13,321 --> 00:07:16,657 (小作人)そうだ そうだ。 三枝丸がいいだ。 42 00:07:16,657 --> 00:07:19,994 いや。 この三枝家も この村に生まれ 43 00:07:19,994 --> 00:07:25,333 おまんらと共に 育ってきた。 だから 白部丸でよい。 44 00:07:25,333 --> 00:07:28,002 猛。 はい。 45 00:07:28,002 --> 00:07:31,606 これより 旦那様のご好意で 支度金を配る。 46 00:07:31,606 --> 00:07:35,276 各自 準備が整い次第 横浜へ向けて出発してもらいたい。 47 00:07:35,276 --> 00:07:37,612 (治平)旦那様には えらい迷惑を掛けてるだ。 48 00:07:37,612 --> 00:07:39,947 支度金なんか もらったら 罰が当たる。 49 00:07:39,947 --> 00:07:41,616 山や土地だけじゃねえ。 50 00:07:41,616 --> 00:07:44,619 この事業のために 家中にある 小銭まで かき集めてるって 51 00:07:44,619 --> 00:07:46,287 わしら聞いてるだよ。 52 00:07:46,287 --> 00:07:49,624 おまんらの 気に掛けることではない。 53 00:07:49,624 --> 00:07:52,960 わしからの はなむけじゃ。 遠慮せんでくれ。 54 00:07:52,960 --> 00:07:54,660 旦那様。 55 00:07:56,297 --> 00:07:59,967 治平さん。 へい。 56 00:07:59,967 --> 00:08:03,667 治平。 体に気をつけてな。 へい。 57 00:08:06,307 --> 00:08:07,975 徹さん。 58 00:08:07,975 --> 00:08:11,646 (お滝)治平さん。 年なんだから 体に気をつけるんだよ。 59 00:08:11,646 --> 00:08:14,649 なあに。 若いもんに負けてられるかい。 60 00:08:14,649 --> 00:08:16,651 一財産こしらえたら 呼んでやるから 61 00:08:16,651 --> 00:08:21,651 楽しみに待ってろよ お滝さん。 ああ。 期待しないで待ってるよ。 62 00:08:23,991 --> 00:08:29,597 (猛)健次。 頑張れよ。 ありがとう。 63 00:08:29,597 --> 00:08:31,599 (健次の両親) ありがとうございます。 64 00:08:31,599 --> 00:08:33,267 (伝衛門)元気でな。 65 00:08:33,267 --> 00:08:35,603 (健次の母)健次。 行こう。 66 00:08:35,603 --> 00:08:39,603 (ひかる)健次君。 (健次)ひかる先生。 67 00:08:43,277 --> 00:08:48,616 先生ね 健次君や みんなのために 千羽鶴 折ってるのよ。 68 00:08:48,616 --> 00:08:54,622 はい。 これ お守り。 ありがとう。 69 00:08:54,622 --> 00:08:59,627 どうぞ お気をつけて。 ありがとうございます。 70 00:08:59,627 --> 00:09:01,295 俺 つらいときは 71 00:09:01,295 --> 00:09:04,295 ひかる先生に教わった歌を歌って 頑張るよ。 72 00:09:06,300 --> 00:09:20,314 「唄を忘れた カナリヤは 後の山に 棄てましょか」 73 00:09:20,314 --> 00:09:31,714 「いえいえそれは なりませぬ 唄を忘れた…」 74 00:09:37,598 --> 00:09:40,598 (健次)先生に これ あげるよ。 75 00:09:42,270 --> 00:09:46,607 でも これ とても大事にしてた物でしょ。 76 00:09:46,607 --> 00:09:51,612 俺は これから 本物の 白部丸に乗るから いいんだ。 77 00:09:51,612 --> 00:09:55,950 健次君…。 先生 さよなら。 78 00:09:55,950 --> 00:09:58,650 さようなら。 (健次の父)行って参ります。 79 00:10:02,290 --> 00:10:03,990 (一同)お気をつけて。 80 00:10:08,629 --> 00:10:10,298 (勇作)勝沼の 一町歩の土地 81 00:10:10,298 --> 00:10:12,967 何が何でも 手に入れたいものですな。 82 00:10:12,967 --> 00:10:16,304 (ドアの開く音) ハハハハ。 分かりました。 83 00:10:16,304 --> 00:10:20,004 すぐに秘書を差し向けますから 詳しい話は そのときに。 84 00:10:21,642 --> 00:10:24,645 高田。 (高田)はっ。 すぐに ここに行ってくれ。 85 00:10:24,645 --> 00:10:28,916 どうだ。 いい土地だろう。 とにかく 先に手付けを打つんだ。 86 00:10:28,916 --> 00:10:31,585 かしこまりました。 87 00:10:31,585 --> 00:10:36,924 そういえば 三枝の小作たちが 横浜に向かい始めたらしいですね。 88 00:10:36,924 --> 00:10:41,595 船の名前は 白部丸。 出航予定は 25日だとか。 89 00:10:41,595 --> 00:10:46,267 白部丸ね。 「新天地に賭ける 三枝家の英断」なんて 90 00:10:46,267 --> 00:10:48,936 新聞が美談として 書き上げるもんだから 91 00:10:48,936 --> 00:10:53,274 甲府の市長や 県知事までが 三枝のところに向かって 92 00:10:53,274 --> 00:10:55,943 激励したり 一緒に写真 撮ったり してるっていうじゃないですか。 93 00:10:55,943 --> 00:10:57,945 好きなようにさせとけ。 94 00:10:57,945 --> 00:10:59,947 田舎の社交界なんぞに 興味はない。 95 00:10:59,947 --> 00:11:04,952 しかし 失敗しましたね。 あのとき 借金の利息 棒引きにしないで 96 00:11:04,952 --> 00:11:08,289 小作たちを追い詰めてれば。 これじゃあ まるで 97 00:11:08,289 --> 00:11:10,958 大河原商会が三枝家の船出を 98 00:11:10,958 --> 00:11:13,961 後押ししてやってるようなもんじゃ ないですか。 99 00:11:13,961 --> 00:11:16,297 美しいじゃないか。 えっ? 100 00:11:16,297 --> 00:11:22,636 隠れた美談じゃないか。 まあ 美談といえば 美談ですが。 101 00:11:22,636 --> 00:11:26,636 しかし いったい このままで いいんですかね。 102 00:11:28,309 --> 00:11:32,913 空の重箱が ひっくり返って おもしろいか? えっ? 103 00:11:32,913 --> 00:11:34,915 どうせ ひっくり返すなら 104 00:11:34,915 --> 00:11:41,255 中身が ぎっしり詰まった重箱が ひっくり返ったほうが 105 00:11:41,255 --> 00:11:46,927 おもしろいだろう? そりゃあ そうですね。 106 00:11:46,927 --> 00:11:48,929 ハハハハハ! 107 00:11:48,929 --> 00:11:54,629 (山海)この暗い ご時世にだ。 伝衛門は よくやるのう。 うん。 108 00:11:56,270 --> 00:12:02,610 新聞にも大きく取り上げられたし 三枝家にとっては よいことじゃ。 109 00:12:02,610 --> 00:12:09,283 (絹)そうでございましょうか。 おや。 何か心配事でもあるのかの。 110 00:12:09,283 --> 00:12:13,621 (山海)物事というのはのう 順調にいってるときのほうが 111 00:12:13,621 --> 00:12:16,290 かえって大きな落とし穴が あるのじゃ。 112 00:12:16,290 --> 00:12:20,294 苦労して 苦労して そして 船出をしたほうが 113 00:12:20,294 --> 00:12:23,694 かえって うまくいくのじゃ。 心配することはない。 114 00:12:25,966 --> 00:12:28,302 (絹)文彦のことでございます。 115 00:12:28,302 --> 00:12:32,640 文彦か。 ありゃ 心配じゃな。 まあ 和尚様ったら。 116 00:12:32,640 --> 00:12:36,644 いや。 親がとやかく言うことは ないぞ。 ほっとけ ほっとけ。 117 00:12:36,644 --> 00:12:41,315 でも…。 (山海)うーん。 いや。 むしろな 118 00:12:41,315 --> 00:12:45,653 文彦のことよりは 猛と ひかるのことじゃが 119 00:12:45,653 --> 00:12:49,657 あの二人 これから どうする おつもりじゃ? 120 00:12:49,657 --> 00:12:53,994 伝衛門は 何とか二人を 一緒にさせようと思っとるんだが 121 00:12:53,994 --> 00:12:57,331 絹さんが反対してるんで 困っておると言っとったぞ。 122 00:12:57,331 --> 00:12:59,667 主人がでございますか? 123 00:12:59,667 --> 00:13:03,337 (山海)まあ 絹さんの気持ちも 分からんではないがのう。 124 00:13:03,337 --> 00:13:08,008 絹さんや。 ちょっと これを見てごらん。 125 00:13:08,008 --> 00:13:13,347 このな 弱々しい枝を この丈夫な木に接ぎ木をして 126 00:13:13,347 --> 00:13:17,351 そして このりっぱな実をつけるのじゃ。 127 00:13:17,351 --> 00:13:21,689 のう。 この丈夫な枝と この丈夫な根を借りて 128 00:13:21,689 --> 00:13:23,691 そして この実が育つ。 129 00:13:23,691 --> 00:13:32,299 いわば この木と丈夫な根が 猛で。 これが 文彦じゃよ。 ハハハ…。 130 00:13:32,299 --> 00:13:37,304 いやあ 三枝家という枝に りっぱに実をつけるには 131 00:13:37,304 --> 00:13:40,304 接ぎ木が必要じゃなあ。 132 00:13:43,644 --> 00:13:47,644 (伝衛門)425円 72銭なり では? 133 00:13:49,984 --> 00:13:52,987 (猛)買い付け資金の 融資が下りたとしても 134 00:13:52,987 --> 00:13:56,287 これでは 労働力に対する諸経費が 補いきれません。 135 00:13:58,659 --> 00:14:02,329 思い切って 融資の増額を頼み込むか。 136 00:14:02,329 --> 00:14:06,333 しかし まだ融資が下りるか どうかの連絡もないのに 137 00:14:06,333 --> 00:14:11,005 大丈夫でしょうか。 安心しろ。 融資は必ず下りる。 138 00:14:11,005 --> 00:14:14,675 (戸の開く音) 文彦さん。 139 00:14:14,675 --> 00:14:17,344 (伝衛門)もう一度 最初からだ。 はい。 140 00:14:17,344 --> 00:14:19,744 (伝衛門)ご破算に願いましては。 141 00:14:27,021 --> 00:14:29,957 (伝衛門)待て。 どういうつもりじゃ? これは。 142 00:14:29,957 --> 00:14:32,293 (文彦)変な金じゃないから ご安心ください。 143 00:14:32,293 --> 00:14:34,628 2作目の本が 出版されることに決まって 144 00:14:34,628 --> 00:14:38,299 印税分を前借りしたんです。 そんな金はいらん。 145 00:14:38,299 --> 00:14:40,634 (文彦)僕にできる せめてものことだと思って 146 00:14:40,634 --> 00:14:44,305 受け取ってください。 (伝衛門)いらんと言ったら いらん。 147 00:14:44,305 --> 00:14:47,641 いまさら お前の助けなど。 なぜですか? 148 00:14:47,641 --> 00:14:49,977 なぜ 僕を そんなに拒むんですか!? 149 00:14:49,977 --> 00:14:53,314 (伝衛門)拒み続けてきたのは お前のほうじゃ。 150 00:14:53,314 --> 00:14:57,985 三枝家の長男としての務めを拒み 好き勝手なマネをしおって。 151 00:14:57,985 --> 00:15:00,654 お父様だって 海運業を起こすに当たって 152 00:15:00,654 --> 00:15:02,990 僕に一度でも 相談してくれましたか? 153 00:15:02,990 --> 00:15:06,327 何じゃと? 僕が意見したら 素直に耳を傾けてくれましたか? 154 00:15:06,327 --> 00:15:10,331 初めから そんなつもりも ないくせに へ理屈をこねおって。 155 00:15:10,331 --> 00:15:12,666 (絹)あなた! (ひかる)お兄様! 156 00:15:12,666 --> 00:15:16,670 旦那様 あんまりです。 文彦さんが どういう気持ちで…。 157 00:15:16,670 --> 00:15:18,270 お前になんか かばってほしくない! 158 00:15:20,674 --> 00:15:23,677 文彦さん。 文彦 待ちなさい! 159 00:15:23,677 --> 00:15:30,284 よかろう。 おまんの言い分を聞こう。 160 00:15:30,284 --> 00:15:34,684 言いたいことがあるんじゃろ? 言ってみろ。 161 00:15:37,625 --> 00:15:40,628 今すぐ 海運業から手を引くべきです。 162 00:15:40,628 --> 00:15:43,964 今なら まだ引き返せます! 163 00:15:43,964 --> 00:15:47,301 白部丸なんて名前 付けて 皆に持ち上げられて 164 00:15:47,301 --> 00:15:49,637 結局 苦労するのは 三枝家じゃありませんか。 165 00:15:49,637 --> 00:15:52,306 戦局だって これから どう変化するか分かりません。 166 00:15:52,306 --> 00:15:54,308 先の見通しが立たないのに 167 00:15:54,308 --> 00:15:57,311 三枝家の命連を賭けるような 博打は危険すぎます! 168 00:15:57,311 --> 00:15:59,313 博打ではありません。 169 00:15:59,313 --> 00:16:02,316 採算の取れる 計画的な経済行為ですよ。 170 00:16:02,316 --> 00:16:04,652 小作人なんか 抱え込んでるから 大変なんだ。 171 00:16:04,652 --> 00:16:07,988 小作を見捨てろというのか。 そうです。 172 00:16:07,988 --> 00:16:10,324 そして 土地や山林を切り売りすれば 173 00:16:10,324 --> 00:16:12,660 三枝家だけなら 十分にやっていける。 174 00:16:12,660 --> 00:16:14,662 それは ひどいわ。 お兄様。 175 00:16:14,662 --> 00:16:17,331 これまで 三枝家を支えてきたのは 小作人たちです。 176 00:16:17,331 --> 00:16:20,334 その小作人たちが困ってるときに 見捨てるわけにはまいりません! 177 00:16:20,334 --> 00:16:22,670 そういう地主根性が 古くさいって言ってんだ。 178 00:16:22,670 --> 00:16:25,670 小作人なんか ほっときゃいいじゃねえか! 179 00:16:29,943 --> 00:16:34,643 今度という今度は 愛想が尽きた。 180 00:16:36,617 --> 00:16:38,217 文彦…。 181 00:16:45,626 --> 00:16:47,226 大丈夫ですか? 182 00:16:49,296 --> 00:16:52,633 こうなることは 分かってたんだ。 183 00:16:52,633 --> 00:16:57,638 文彦さん。 あきらめずに もう一度 旦那様と やり直してください。 184 00:16:57,638 --> 00:16:59,973 自分も できるかぎり 文彦さんを支えますから。 185 00:16:59,973 --> 00:17:01,975 お願いします! 俺を支える? 186 00:17:01,975 --> 00:17:04,978 何にも できねえくせに 偉そうなこと 言うな! 187 00:17:04,978 --> 00:17:08,649 (ひかる)猛を責めるのは 見当違いよ。 188 00:17:08,649 --> 00:17:15,322 猛。 お前にできることはな ひかるをあきらめることだ。 189 00:17:15,322 --> 00:17:17,324 お兄様? 190 00:17:17,324 --> 00:17:22,024 本気で三枝家のことを思うなら ひかるを大河原さんに譲れ。 191 00:17:23,997 --> 00:17:29,997 それが お前を養い 育てた 三枝家への本当の恩返しなんだ! 192 00:17:39,680 --> 00:17:48,680 あなた。 申し訳ございません。 おまんが謝ることではない。 193 00:17:52,025 --> 00:17:55,025 絹。 どう思う? 194 00:17:57,030 --> 00:18:01,702 わしが15年前 猛を拾ってこなければ 195 00:18:01,702 --> 00:18:06,373 文彦は まっとうな男に育ったと思うか? 196 00:18:06,373 --> 00:18:13,046 いいえ。 あのような子供に 育てたのは 私の責任。 197 00:18:13,046 --> 00:18:15,046 猛のせいではございません。 198 00:18:18,385 --> 00:18:21,722 猛は 今日まで本当に 199 00:18:21,722 --> 00:18:25,058 よくやってくれていると 思っております。 200 00:18:25,058 --> 00:18:28,058 もうすっかり わしの右腕じゃ。 201 00:18:30,330 --> 00:18:33,667 あなたの おっしゃるとおり 202 00:18:33,667 --> 00:18:36,667 ひかると一緒にさせたほうが よいのではと。 203 00:18:39,673 --> 00:18:43,677 あれから ずっと考えておりました。 204 00:18:43,677 --> 00:18:49,977 猛のこと。 文彦のこと。 ひかるのこと。 205 00:18:52,686 --> 00:18:55,286 (絹)どうしたら いちばん よいのかと。 206 00:18:56,356 --> 00:18:58,056 絹。 207 00:19:02,696 --> 00:19:06,366 文彦には本当に失望いたしました。 (伝衛門)もうよい。 208 00:19:06,366 --> 00:19:09,369 それ以上 言うな。 209 00:19:09,369 --> 00:19:13,769 このままでは ひかるが苦しむだけでございます。 210 00:19:20,714 --> 00:19:24,314 (文彦)おーい! 酒だ! 酒 持ってこい! 211 00:19:25,986 --> 00:19:28,655 (タマミ)小説家のセンセ。 (文彦)はい。 212 00:19:28,655 --> 00:19:31,658 もう限界じゃありません? (文彦)限界だと? 213 00:19:31,658 --> 00:19:35,662 バカ言うな。 俺の辞書に 限界なんていう 214 00:19:35,662 --> 00:19:40,000 野暮くさ~い 野暮くさ~い言葉は ないんだよ。 215 00:19:40,000 --> 00:19:45,700 はっ! こいつが無くなるまで お酒 持ってきてください。 216 00:19:50,344 --> 00:19:52,344 大河原さん…。 217 00:19:55,015 --> 00:20:00,020 わたしの貸した金は もっと有効に 使っていただきたいものですな。 218 00:20:00,020 --> 00:20:03,023 (文彦)親父に突っ返されたよ。 219 00:20:03,023 --> 00:20:07,027 親孝行というのは難しいものです。 するほうも されるほうも。 220 00:20:07,027 --> 00:20:10,364 ことに あなたのお父様のように 昔気質の方は 221 00:20:10,364 --> 00:20:13,033 素直に喜びの感情を表せない。 222 00:20:13,033 --> 00:20:18,333 そんな きれい事じゃない。 これ 見てくださいよ。 223 00:20:21,041 --> 00:20:25,379 おっ。 これは ひどい。 ひどいでしょ? 224 00:20:25,379 --> 00:20:28,779 おーい! 酒どうした!? (タマミ)はいはい。 225 00:20:33,320 --> 00:20:38,992 大河原さん。 三枝家の没落に 乾杯してください。 226 00:20:38,992 --> 00:20:42,329 何を言ってるんです? 時代は変わってるんだ。 227 00:20:42,329 --> 00:20:47,000 三枝家の役割は もう とっくに終わってるんです。 228 00:20:47,000 --> 00:20:54,341 それに気づかない 哀れな 三枝家の人々に乾杯してください。 229 00:20:54,341 --> 00:20:56,677 それなら わたしは 230 00:20:56,677 --> 00:21:00,677 あなたの2作目の 出版を祝って乾杯しましょう。 231 00:21:02,683 --> 00:21:04,351 乾杯! 乾杯! 232 00:21:04,351 --> 00:21:09,051 (2人の笑い声) 233 00:21:27,641 --> 00:21:31,645 大河原さん。 ひかるさん? 234 00:21:31,645 --> 00:21:36,650 飲み屋で バッタリ 出会いましてね。 ずいぶんと荒れてましたよ。 235 00:21:36,650 --> 00:21:39,319 何だか かわいそうになっちまって。 236 00:21:39,319 --> 00:21:41,655 それは どうも。 237 00:21:41,655 --> 00:21:44,324 話し相手になってあげたら ひかるさん。 238 00:21:44,324 --> 00:21:46,994 あなたのことを 幼いときから今日まで 239 00:21:46,994 --> 00:21:49,997 いろいろと話してくれましたよ。 240 00:21:49,997 --> 00:21:52,332 しっかりしてちょうだい。 お兄様。 241 00:21:52,332 --> 00:21:56,670 ひかるさん あなた 生まれ落ちた瞬間から 242 00:21:56,670 --> 00:22:01,270 本当に大事に大事に お嬢様として 育てられてきたんですねえ。 243 00:22:03,010 --> 00:22:05,345 兄のことは ありがとうございました。 244 00:22:05,345 --> 00:22:08,345 もう大丈夫ですから お引き取りください。 245 00:22:24,031 --> 00:22:26,700 何をするんですか!? 246 00:22:26,700 --> 00:22:29,369 わたしには ひかるさんの未来が見える。 247 00:22:29,369 --> 00:22:32,706 ひかるさんは きっと わたしの元へ嫁に来たいと 248 00:22:32,706 --> 00:22:36,710 自分のほうから言い出すでしょう。 きっとね。 249 00:22:52,059 --> 00:22:56,063 <忌まわしい勇作の予言から 逃れるように 250 00:22:56,063 --> 00:23:01,763 一心不乱に 千羽鶴を折り続ける ひかるでした> 251 00:23:10,077 --> 00:23:12,077 猛! できたわ! 252 00:23:19,086 --> 00:23:22,422 あっ…。 どうしました? 253 00:23:22,422 --> 00:23:24,122 千羽鶴が。 254 00:23:27,360 --> 00:23:29,696 猛が横浜へ行ったついでに 255 00:23:29,696 --> 00:23:33,366 白部丸で待ってる健次君たちに 届けてもらおうと思って 256 00:23:33,366 --> 00:23:39,372 徹夜で作ったのに。 まだ間に合います。 直しましょう。 257 00:23:39,372 --> 00:23:43,710 そうね。 猛も手伝って。 はい。 258 00:23:43,710 --> 00:23:46,710 (伝衛門)猛! 猛はおるか! 259 00:23:50,717 --> 00:23:55,722 旦那様。 わたしに何か? 銀行の融資がダメになった。 260 00:23:55,722 --> 00:23:57,390 何ですって!? 261 00:23:57,390 --> 00:24:00,727 もう一度 おっしゃって いただけますか。 副頭取。 262 00:24:00,727 --> 00:24:04,064 (増川)大変 申し訳ないが 本社の意向により 263 00:24:04,064 --> 00:24:07,400 新しい融資は 取り消しに決定いたしました。 264 00:24:07,400 --> 00:24:11,404 そんな…。 いまさら そんな! 265 00:24:11,404 --> 00:24:15,104 みんな 出航の準備も整って 今や遅しと待ってるんですよ! 266 00:24:16,743 --> 00:24:21,748 どうして? どうして そんな…。 267 00:24:32,659 --> 00:24:34,995 何と言われても 私はイヤ! (伝衛門)分からぬことを申すな。 268 00:24:34,995 --> 00:24:38,331 ワナです。 これは 大河原が仕組んだ ワナです! 269 00:24:38,331 --> 00:24:41,334 お金に困れば 何をしても 許されるのですか? 270 00:24:48,008 --> 00:24:51,011 貴様! 何なんだ いきなり! 271 00:24:51,011 --> 00:24:52,711 猛…。