1 00:02:32,105 --> 00:02:32,973 2 00:02:32,973 --> 00:02:34,641 (ひかる)何があったの 猛? 3 00:02:34,641 --> 00:02:36,309 (猛)何もありません。 4 00:02:36,309 --> 00:02:39,312 (ひかる)嘘よ。 なぜ わたしに隠すの? 5 00:02:39,312 --> 00:02:42,315 こういうときこそ 二人で力を 合わせなきゃいけないのに。 6 00:02:42,315 --> 00:02:48,015 ねえ 猛。 猛。 猛! (猛)お嬢さま。 7 00:02:50,323 --> 00:02:56,023 旦那さまを助けるには 大河原の 力を借りるしかありません。 8 00:02:57,664 --> 00:03:02,669 お前…。 大河原へ行ったのね。 9 00:03:02,669 --> 00:03:04,337 はい。 10 00:03:04,337 --> 00:03:06,037 どうして? 11 00:03:07,674 --> 00:03:12,679 軍に掛け合ってもいいと 大河原は言いました。 12 00:03:12,679 --> 00:03:14,379 え? 13 00:03:16,016 --> 00:03:18,351 ただし…。 14 00:03:18,351 --> 00:03:22,051 ただし 何て言われたの。 猛? 15 00:03:26,359 --> 00:03:30,697 お嬢さまを譲ってくれ と。 16 00:03:30,697 --> 00:03:33,967 何ですって? お嬢さまを俺に譲れば➡ 17 00:03:33,967 --> 00:03:37,971 今すぐ軍に掛け合って 旦那さまを釈放させてやるって。 18 00:03:37,971 --> 00:03:41,975 何て卑劣な…。 もちろん 断りました。 19 00:03:41,975 --> 00:03:43,977 猛…。 20 00:03:43,977 --> 00:03:52,277 でも 旦那さまの身を思うと 俺は…。 俺は…。 21 00:03:56,656 --> 00:04:01,356 お父さまは 分かってくださるわ。 だから 苦しまないで。 22 00:04:06,332 --> 00:04:08,032 お嬢さま。 23 00:04:10,336 --> 00:04:15,008 ♬『Delight of my love』 24 00:04:15,008 --> 00:04:34,961 ♬~ 25 00:04:34,961 --> 00:04:54,981 ♪ 26 00:04:54,981 --> 00:05:15,001 ♪ 27 00:05:15,001 --> 00:05:28,014 ♪ 28 00:05:28,014 --> 00:05:38,014 ♪ 29 00:05:39,959 --> 00:05:42,295 (文彦)おーい! (猛)文彦さん。 30 00:05:42,295 --> 00:05:44,964 (文彦)金だ。 この女に 金 払ってやってくれ。 31 00:05:44,964 --> 00:05:47,967 きのうの飲み代 今夜の飲み代 だよな? 32 00:05:47,967 --> 00:05:49,636 (タマミ)とぼけないでよ。➡ 33 00:05:49,636 --> 00:05:52,639 朝まで わたしの部屋で さんざん遊び尽くしたくせに。 34 00:05:52,639 --> 00:05:55,975 アイタタッ。 あれは お前 商売じゃないんだろう? 35 00:05:55,975 --> 00:05:58,645 「ほれてる」って 言ったじゃないかよ? 36 00:05:58,645 --> 00:06:01,981 (タマミ)ほれてるからタダって 決まりはないんだよ。➡ 37 00:06:01,981 --> 00:06:06,986 体だけじゃない。 心まで尽くした分 割り増しだね。 38 00:06:06,986 --> 00:06:08,988 何だと この雌ダヌキ! 39 00:06:08,988 --> 00:06:10,657 言ったわね。 このへボ作家! 40 00:06:10,657 --> 00:06:12,325 ヘボ作家って言いやがったな てめえ! 41 00:06:12,325 --> 00:06:14,994 やめて! やめてください! 42 00:06:14,994 --> 00:06:16,994 (絹)文彦! 43 00:06:18,665 --> 00:06:21,334 (絹)これ 全部やるから 出て行きなさい。 44 00:06:21,334 --> 00:06:23,002 さっさと 出て行きなさい! 45 00:06:23,002 --> 00:06:25,672 ウチのお母さまは 強いんだ。 46 00:06:25,672 --> 00:06:27,340 おい お滝!➡ 47 00:06:27,340 --> 00:06:31,277 気 利かせて 気つけの1杯でも 持ってきたらどうだ? 48 00:06:31,277 --> 00:06:33,279 それとも 何か? 49 00:06:33,279 --> 00:06:36,282 三枝家の跡取りじゃなくなった 俺なんか 見向きもしねえか。 50 00:06:36,282 --> 00:06:37,982 (お滝)坊ちゃま。 51 00:06:41,287 --> 00:06:47,961 文彦。 お父さまが憲兵に 連行されてたいへんなときに➡ 52 00:06:47,961 --> 00:06:51,297 お前 女郎屋なんかに入り浸って➡ 53 00:06:51,297 --> 00:06:53,997 親子の情というものが ないのですか? 54 00:06:55,635 --> 00:06:59,973 (絹)私 恥ずかしいです。 お前のような子供を産んだ私は➡ 55 00:06:59,973 --> 00:07:03,977 恥ずかしくて恥ずかしくて 死んでしまいたい! 56 00:07:03,977 --> 00:07:06,980 (絹の泣き声) 57 00:07:06,980 --> 00:07:09,649 (文彦)あなたのお力で 何とか親父を➡ 58 00:07:09,649 --> 00:07:13,649 助け出してもらえないだろうか? あなたなら 軍に顔が利く。 59 00:07:15,989 --> 00:07:20,660 (勇作)わたしも裏から いろいろ 手を尽くしてみたんですが。 60 00:07:20,660 --> 00:07:22,328 ダメかい? 61 00:07:22,328 --> 00:07:25,999 (勇作)軍に逆らって 船を出航させたわけですから。 62 00:07:25,999 --> 00:07:29,269 やっぱりな。 ご心配ですか? 63 00:07:29,269 --> 00:07:31,938 親父のことより おふくろが かわいそうなんだ。 64 00:07:31,938 --> 00:07:34,941 文彦さんは ホントにお優しいんですね。 65 00:07:34,941 --> 00:07:38,945 しかし お父さまがいない 今こそ 後継者の文彦さんが➡ 66 00:07:38,945 --> 00:07:42,245 威厳を見せつける チャンスなんじゃないんですか? 67 00:07:44,951 --> 00:07:49,289 実は お父さまを助け出す いい手があるんですよ。 68 00:07:49,289 --> 00:07:50,957 「いい手」? 69 00:07:50,957 --> 00:07:53,293 はい。 70 00:07:53,293 --> 00:07:57,964 喜んでください。 お母さま。 お父さまの早期釈放のために➡ 71 00:07:57,964 --> 00:08:01,634 大河原さんが 八方 手を尽くして くださったんです。 72 00:08:01,634 --> 00:08:03,303 (絹)何ですって? 73 00:08:03,303 --> 00:08:04,971 (ひかる)ちょっと待って。 お兄さま。 74 00:08:04,971 --> 00:08:07,640 大河原さん。 何 そんなところで 遠慮してるんですか? 75 00:08:07,640 --> 00:08:09,309 さあ こちらへ。 76 00:08:09,309 --> 00:08:12,312 文彦。 勝手なマネは許しません。 77 00:08:12,312 --> 00:08:14,981 お母さまは 僕に情がないとおっしゃった。 78 00:08:14,981 --> 00:08:19,319 でも 僕だって お父さまを助けたい 気持ちはいっしょなんだ。 79 00:08:19,319 --> 00:08:21,619 何してるんですか? さあ こちらへ。 80 00:08:25,992 --> 00:08:27,660 お兄さま。 81 00:08:27,660 --> 00:08:29,262 (勇作)このたびは とんだことになりまして➡ 82 00:08:29,262 --> 00:08:30,962 心中 お察し申し上げます。 83 00:08:33,599 --> 00:08:35,601 (文彦)失礼ですよ。 お母さま。 大河原さんは➡ 84 00:08:35,601 --> 00:08:38,938 軍へ嘆願書を出すために 署名を集めてくださったんですよ。 85 00:08:38,938 --> 00:08:41,274 署名? 86 00:08:41,274 --> 00:08:43,609 このようなことしかできず➡ 87 00:08:43,609 --> 00:08:45,945 まったく恥ずかしい かぎりでございますが➡ 88 00:08:45,945 --> 00:08:49,615 甲州では 多少名のある 大河原でございます。 89 00:08:49,615 --> 00:08:53,953 市議会や商工会議所 また産業界の おもだった方々に➡ 90 00:08:53,953 --> 00:08:57,957 三枝さまの早期釈放の 嘆願の署名をお願いしたところ➡ 91 00:08:57,957 --> 00:09:00,257 半日で それだけ そろいました。 92 00:09:05,965 --> 00:09:09,635 さすが 大河原さんだ。 感謝します。 93 00:09:09,635 --> 00:09:12,305 いや。 これで 釈放されるとは思いませんが➡ 94 00:09:12,305 --> 00:09:16,642 何も策を講じぬよりは ましかと思いまして。 95 00:09:16,642 --> 00:09:18,978 お母さま。 何をぼうっとしているんですか? 96 00:09:18,978 --> 00:09:20,646 大河原さんに お礼 言ってください。 97 00:09:20,646 --> 00:09:23,316 文彦さん。 礼なんか いいんですよ。 98 00:09:23,316 --> 00:09:25,985 奥さま。 わたしどもといたしましては➡ 99 00:09:25,985 --> 00:09:30,590 三枝さまが 一刻も早く お戻りくだされば それだけで…。 100 00:09:30,590 --> 00:09:33,259 お嬢さまも 心配でございますな。 101 00:09:33,259 --> 00:09:36,596 そうだ。 これを 肌身離さず お持ちください。 102 00:09:36,596 --> 00:09:38,996 きっと 願いがかないますよ。 103 00:09:42,935 --> 00:09:46,272 武田信玄公をお祭りしている 武田神社のお守りです。 104 00:09:46,272 --> 00:09:50,572 信玄公の御霊が お嬢さまをお守りくださいます。 105 00:09:54,614 --> 00:09:58,284 お父さま お母さまは 僕を三枝家の跡取りとしては➡ 106 00:09:58,284 --> 00:10:01,621 認めてくださらなかった。 だが 僕は長男として➡ 107 00:10:01,621 --> 00:10:04,957 この三枝家の危機を 黙って見過ごすことはできません。 108 00:10:04,957 --> 00:10:08,294 文彦…。 (文彦)一刻も早く 軍の怒りを静めないと➡ 109 00:10:08,294 --> 00:10:11,297 お父さまの身に 何が起こるか分かりませんよ。 110 00:10:11,297 --> 00:10:14,300 どういうことです。 何か 策があるとでも? 111 00:10:14,300 --> 00:10:16,000 (文彦)あります。 112 00:10:18,638 --> 00:10:23,309 これから直ちに 出航した船を 横浜へ呼び戻すのです。➡ 113 00:10:23,309 --> 00:10:25,311 まだ 出航して 一日ちょっとです。 114 00:10:25,311 --> 00:10:27,980 今なら まだ 間に合います。 船を呼び戻しましょう。 115 00:10:27,980 --> 00:10:29,582 何ですって? そんなこと…。 116 00:10:29,582 --> 00:10:32,251 文彦さん! (文彦)お前は 黙ってろ。 117 00:10:32,251 --> 00:10:34,921 お父さまを 無事に救い出すには もう こうするしかないんだ。 118 00:10:34,921 --> 00:10:36,923 そんなことをしたら 旦那さまの せっかくの苦労が! 119 00:10:36,923 --> 00:10:38,591 お前は血がつながってないから➡ 120 00:10:38,591 --> 00:10:40,927 そんな のんきなこと 言ってられるんだ。➡ 121 00:10:40,927 --> 00:10:44,527 お父さまの命が助かるなら 僕は何だってする! 122 00:10:46,265 --> 00:10:47,934 ひかるだって そうだろう? 123 00:10:47,934 --> 00:10:54,273 お父さまの命と船と どっちが大事なんだ?➡ 124 00:10:54,273 --> 00:11:00,279 お母さまは? お父さまと船と どっちが大事ですか?➡ 125 00:11:00,279 --> 00:11:05,979 僕の考え方は まちがってますか? お母さま! 126 00:11:09,956 --> 00:11:15,294 僕は お父さまの命を救いたい。 127 00:11:15,294 --> 00:11:17,964 あとでしかられようが 勘当されようが➡ 128 00:11:17,964 --> 00:11:21,564 僕は長男として やるべきことを やるだけなんだ。 129 00:11:27,640 --> 00:11:29,575 やめてください。 130 00:11:29,575 --> 00:11:32,245 貴様…。 三枝家の後継者に➡ 131 00:11:32,245 --> 00:11:34,580 指名されたからって いい気になるなよ。 132 00:11:34,580 --> 00:11:36,249 三枝家を救うのは 僕だ! 133 00:11:36,249 --> 00:11:39,919 旦那さまは 船が戻ったと知ったら 釈放されたことを➡ 134 00:11:39,919 --> 00:11:41,587 きっと 恨みに思います。 何だと? 135 00:11:41,587 --> 00:11:43,923 あの船は 旦那さまの魂なんです。 136 00:11:43,923 --> 00:11:47,593 なぜなら 白部村のみんなの 夢や希望が乗っているからです。 137 00:11:47,593 --> 00:11:50,263 (文彦)もし…。 もし お父さまに 万一のことがあったら➡ 138 00:11:50,263 --> 00:11:51,931 お前 どうやって責任取るんだ! 139 00:11:51,931 --> 00:11:53,931 お父さまなんか 死んでいいって言うのか!? 140 00:11:55,935 --> 00:11:57,935 船は 僕が引き返させる。 141 00:12:00,940 --> 00:12:02,540 (絹)文彦! 142 00:12:04,277 --> 00:12:09,949 お父さまはね 白部丸が 出航されたのをお聞きになって➡ 143 00:12:09,949 --> 00:12:13,286 涙をお流しになったのですよ。 144 00:12:13,286 --> 00:12:17,290 ☎(猛)聞こえますか? 白部丸の霧笛が? 145 00:12:17,290 --> 00:12:21,961 (伝衛門) 聞こえる…。 よく聞こえる 146 00:12:21,961 --> 00:12:27,261 ☎霧笛 147 00:12:28,968 --> 00:12:34,568 あのときの お父さまの涙は いったい何だったのでしょうか? 148 00:12:40,646 --> 00:12:44,317 どうして お父さまやお母さまは➡ 149 00:12:44,317 --> 00:12:47,317 もっと ご自分を 大切にされないんですか? 150 00:12:48,988 --> 00:12:51,991 どうして 自分たちの安全より➡ 151 00:12:51,991 --> 00:12:55,291 船や小作人たちが そんなに大事なんですか? 152 00:12:57,997 --> 00:13:03,297 僕には分かりません。 分かりたくない! 153 00:13:13,012 --> 00:13:21,354 大河原さん。 せっかくですが これ お返しします。 154 00:13:21,354 --> 00:13:24,023 そんなことをして 本当によろしいんですか? 155 00:13:24,023 --> 00:13:25,691 あなたの手は 借りたくはございません。 156 00:13:25,691 --> 00:13:28,361 あとで きっと後悔されますよ。 157 00:13:28,361 --> 00:13:30,061 これも お返しいたします。 158 00:13:49,649 --> 00:13:51,349 何しに来た? 159 00:13:53,653 --> 00:13:57,657 お前に 僕の気持ちが分かるか? 160 00:13:57,657 --> 00:13:59,357 はい。 161 00:14:03,996 --> 00:14:06,596 お前なんかに 分かるわけないだろ! 162 00:14:12,338 --> 00:14:19,011 お前はいいよなあ。 生まれたときから独りぼっちで。 163 00:14:19,011 --> 00:14:24,350 家族から見放された この僕の気持ちに比べたら➡ 164 00:14:24,350 --> 00:14:27,650 最初から 家族なんて いないほうがましだ。 165 00:14:29,955 --> 00:14:32,625 誰も文彦さんを 見放していませんよ。 166 00:14:32,625 --> 00:14:36,629 旦那さまだって 今日の 文彦さんの行いを知ったら➡ 167 00:14:36,629 --> 00:14:38,964 きっと お喜びになります。 168 00:14:38,964 --> 00:14:40,966 自分も 心のどこかで うれしかったんです。 169 00:14:40,966 --> 00:14:43,302 嘘 言うな。 嘘じゃありません。 170 00:14:43,302 --> 00:14:46,639 船を引き返すことには 反対でしたが➡ 171 00:14:46,639 --> 00:14:48,974 あそこまで旦那さまのために 尽くそうという文彦さんに➡ 172 00:14:48,974 --> 00:14:50,643 心打たれました。 本当です! 173 00:14:50,643 --> 00:14:57,043 そんな言葉は聞きたくない。 出てってくれ。 174 00:14:59,318 --> 00:15:03,989 文彦さん。 心からのお願いです。 175 00:15:03,989 --> 00:15:08,661 もう一度 三枝家の後継者として 一からやり直してみませんか? 176 00:15:08,661 --> 00:15:10,996 文彦さんなら きっとできます。 177 00:15:10,996 --> 00:15:12,665 文彦さんに ふさわしい嫁を迎えて➡ 178 00:15:12,665 --> 00:15:15,000 当主として立ってください。 179 00:15:15,000 --> 00:15:17,336 そして自分は お嬢さまといっしょに➡ 180 00:15:17,336 --> 00:15:20,339 どこまでも 文彦さんを支えていく決意です。 181 00:15:20,339 --> 00:15:22,039 文彦さん! 182 00:15:26,612 --> 00:15:30,312 僕には こうなることが 分かってたのかもしれない。 183 00:15:31,951 --> 00:15:36,622 お父さまが お前を拾って 帰ってきたとき➡ 184 00:15:36,622 --> 00:15:42,322 いつか僕は 追い落とされて こうなる運命なんだって。 185 00:15:46,298 --> 00:15:54,298 子供心に 僕はお前が怖かった。 そうだ…。 186 00:15:55,975 --> 00:16:07,575 お前の中の たくましい生命力が 僕はホントに怖かったんだ。 187 00:16:10,656 --> 00:16:17,656 お前が三枝家に来てから 何もかもが おかしくなったんだ。 188 00:16:19,665 --> 00:16:25,337 僕だけじゃない。 お父さまだって お前がいなければ➡ 189 00:16:25,337 --> 00:16:28,037 海運業なんかに 手を出さなかったかもしれない。 190 00:16:30,943 --> 00:16:37,283 ひかるだって お前と出会わなければ➡ 191 00:16:37,283 --> 00:16:40,583 幸せな結婚を してたかもしれない。 192 00:16:42,288 --> 00:16:46,959 何もかも 何もかも お前が来てから➡ 193 00:16:46,959 --> 00:16:48,959 おかしくなったんだ。 194 00:16:52,965 --> 00:16:59,265 お前は三枝家に 不幸の種をまきに来た男だよ。 195 00:17:06,645 --> 00:17:08,345 ≪(物音) 196 00:17:14,987 --> 00:17:18,657 (山海)猛じゃないか おい。 お前 こんなところで何をしとる? 197 00:17:18,657 --> 00:17:24,657 あっ。 相当 酔ってるな? しっかりせんか こら。 198 00:17:26,932 --> 00:17:32,605 (猛)俺が三枝家に来たのは まちがってたのか。 和尚? 199 00:17:32,605 --> 00:17:34,605 教えてくれ。 200 00:17:36,275 --> 00:17:40,946 野良犬は野良犬らしく あのまま横浜で➡ 201 00:17:40,946 --> 00:17:46,546 残飯をあさってたほうが よかったのか 和尚? 和尚! 202 00:17:51,290 --> 00:17:57,290 俺は 旦那さまと三枝家のために 働いてきただけだ。 203 00:17:58,964 --> 00:18:03,564 後継者になろうなんて 一度も思ったことはない。 204 00:18:05,971 --> 00:18:17,571 ただ…。 ただ お嬢さまを好きになってしまった。 205 00:18:19,985 --> 00:18:23,989 旦那さまも 奥さまも お嬢さまとの結婚を認めてくれた。 206 00:18:23,989 --> 00:18:27,259 三枝家を継げとまで言ってくれた。 207 00:18:27,259 --> 00:18:31,931 でも 俺みたいな男が 三枝家を継いでいいのか? 208 00:18:31,931 --> 00:18:34,531 お嬢さまを 幸せにできるのか? 209 00:18:36,936 --> 00:18:38,936 教えてくれ。 和尚。 210 00:18:41,607 --> 00:18:47,947 俺は…。 俺みたいな男は➡ 211 00:18:47,947 --> 00:18:51,247 お嬢さまを好きになっては いけなかったんじゃないのか? 212 00:18:52,952 --> 00:18:55,552 簡単なことじゃないか お前? 213 00:18:57,957 --> 00:19:04,630 いいか? 己のことは 己が いちばんよく知っておる。 214 00:19:04,630 --> 00:19:09,635 自分の心の声を 静かに聞いてみることじゃ。 215 00:19:09,635 --> 00:19:14,306 ダメだと思えば そのような声が聞こえてくる。 216 00:19:14,306 --> 00:19:19,645 できると思えば 力強い声が返ってくる。 217 00:19:19,645 --> 00:19:22,982 一晩かかろうと二晩かかろうと➡ 218 00:19:22,982 --> 00:19:27,282 己の心の声を 静かに確かめることじゃよ! 219 00:19:28,921 --> 00:19:44,521 ♪ 220 00:19:46,271 --> 00:19:49,274 <それから まる2日間➡ 221 00:19:49,274 --> 00:19:55,948 猛は座禅を組んで 自分の心に耳を傾けたのでした。➡ 222 00:19:55,948 --> 00:19:57,950 そして3日目の朝➡ 223 00:19:57,950 --> 00:20:04,623 猛は 迷いから解き放たれて 寺をあとにしたのです> 224 00:20:04,623 --> 00:20:08,961 (絹)ありがと。 猛。 お前の場所はここですよ。 225 00:20:08,961 --> 00:20:12,297 猛。 もう そこは お前の席ではありませんよ。 226 00:20:12,297 --> 00:20:15,634 こっちへ来て食事をしなさい。 227 00:20:15,634 --> 00:20:19,638 (猛)座る場所など どこでも かまいません。 俺は 俺です。 228 00:20:19,638 --> 00:20:24,977 俺のやり方で三枝家を継ぎ お嬢さまを幸せにしてみせます。 229 00:20:24,977 --> 00:20:26,578 お代わり! 230 00:20:26,578 --> 00:20:29,915 (絹)まあ 頼もしい。 231 00:20:29,915 --> 00:20:31,915 ≪(戸の開く音) 232 00:20:34,253 --> 00:20:35,921 (お滝)旦那さま! 233 00:20:35,921 --> 00:20:38,590 あなた! お父さま。 234 00:20:38,590 --> 00:20:40,926 よくぞ ご無事で。 235 00:20:40,926 --> 00:20:42,926 今 帰った…。 236 00:20:47,266 --> 00:20:48,934 (絹)あなた! お父さま。 237 00:20:48,934 --> 00:20:50,602 旦那さま! お父さま! 238 00:20:50,602 --> 00:20:52,938 (絹)あなた しっかりして! あなた! あなた! 239 00:20:52,938 --> 00:20:55,941 (勇作)何が 「釈放された」だ! この まぬけが! 240 00:20:55,941 --> 00:20:57,609 (高田)弁解するつもりは ありません。 241 00:20:57,609 --> 00:20:59,945 どうやら 陸軍省のお偉方が 一枚かんでいるようで。 242 00:20:59,945 --> 00:21:01,613 「陸軍省」だ!? 243 00:21:01,613 --> 00:21:03,282 ええ。 甲府の連隊では どうにもならないと。 244 00:21:03,282 --> 00:21:06,618 どうやら 昔 三枝家と 懇意にしてた方のようで➡ 245 00:21:06,618 --> 00:21:08,954 今では 相当の地位にある方が…。 246 00:21:08,954 --> 00:21:11,957 なめたマネしやがって! うわあっ! 247 00:21:11,957 --> 00:21:14,960 俺は あきらめないぞ。 三枝家を ぶっつぶして➡ 248 00:21:14,960 --> 00:21:18,960 ひかるを この手に入れてやる! ああ~っ! 249 00:21:20,966 --> 00:21:24,636 (伝衛門)うまい。 実にうまい。 250 00:21:24,636 --> 00:21:29,241 ホント。 こんなにおいしい スイカは 久しぶりです。 うん。 251 00:21:29,241 --> 00:21:32,244 お父さま。 お母さまのおかげですよ。 252 00:21:32,244 --> 00:21:36,248 東京の陸軍省にまで わざわざ 嘆願に行ってくださったのですから。 253 00:21:36,248 --> 00:21:37,916 大事な旦那さまですもの。 254 00:21:37,916 --> 00:21:44,590 陸軍省でも海軍省でも どこでも参ります。 ねえ あなた。 255 00:21:44,590 --> 00:21:49,595 これは 一生 頭が上がらんな。 256 00:21:49,595 --> 00:21:54,266 おい 猛。 女房殿には 決して弱みを見せるではないぞ。 257 00:21:54,266 --> 00:21:55,966 まあ。 258 00:21:57,936 --> 00:21:59,536 猛? 259 00:22:13,619 --> 00:22:17,619 お嬢さま…。 いえ ひかるさん。 260 00:22:19,291 --> 00:22:25,591 自分と… 結婚してください。 お願いします! 261 00:22:27,299 --> 00:22:28,999 猛…。 262 00:22:35,974 --> 00:22:37,974 はい。 263 00:22:39,645 --> 00:22:50,989 ♪ 264 00:22:50,989 --> 00:23:00,999 ♪ 265 00:23:00,999 --> 00:23:05,299 《白部丸が無事に戻ってきたら 式をあげるのよ》 266 00:23:08,006 --> 00:23:11,606 《もうすぐね》 《はい》 267 00:23:12,678 --> 00:23:21,678 ♪ 268 00:23:23,355 --> 00:23:27,292 (ひかる)健次君 どうしてるかなあ。 269 00:23:27,292 --> 00:23:31,292 順調なら そろそろ ジャワ島のあたりです。 270 00:23:35,968 --> 00:23:40,973 (爆撃音) 271 00:23:40,973 --> 00:23:42,975 ≪(雷鳴) 272 00:23:42,975 --> 00:23:44,575 キャッ! 273 00:23:56,655 --> 00:23:59,658 (伝衛門)おい 絹。 ろうそくを頼む。 274 00:23:59,658 --> 00:24:03,328 ☎ 275 00:24:03,328 --> 00:24:09,334 はい 三枝です。 ああ。 大崎さんですか。 276 00:24:09,334 --> 00:24:12,334 えっ! そんなバカな。 277 00:24:15,340 --> 00:24:17,009 本当ですか? 278 00:24:17,009 --> 00:24:21,609 本当に 白部丸が敵の攻撃を受けて 沈没したんですか? 279 00:24:25,017 --> 00:24:27,017 (雷鳴) 280 00:24:32,991 --> 00:24:36,995 わたしだって お前と一緒に なりたい気持ちに変わりはないわ。 281 00:24:36,995 --> 00:24:38,664 現実を よく見ろ! 282 00:24:38,664 --> 00:24:41,667 三枝家の今の立場が お前には分かってるのか!? 283 00:24:41,667 --> 00:24:44,336 それだけは やめて! ひかるさん! 284 00:24:44,336 --> 00:24:46,338 三枝家の債権を買いあさるんだ。 285 00:24:46,338 --> 00:24:49,007 (岡本)かしこまりました。 買って 買って 買いまくれ! 286 00:24:49,007 --> 00:24:51,009 (小作人たち) 奥さま! どうなるんですか!? 287 00:24:51,009 --> 00:24:52,678 落ち着け! 落ち着くんだ! 288 00:24:52,678 --> 00:24:56,678 元気出しましょう。 お嬢さま。 いや ひかるさん。