1 00:02:47,189 --> 00:02:48,057 2 00:02:48,057 --> 00:02:51,060 (猛)お嬢さま。 いえ。 ひかるさん。 3 00:02:51,060 --> 00:02:57,066 自分と結婚してください。 お願いします! 4 00:02:57,066 --> 00:02:58,666 (ひかる)はい。 5 00:03:01,737 --> 00:03:06,075 (ひかる)《白部丸が 無事に 戻ってきたら 式をあげるのよ》 6 00:03:06,075 --> 00:03:10,075 《もうすぐね》 (猛)《はい》 7 00:03:12,081 --> 00:03:15,751 健次君 どうしてるかなあ。 8 00:03:15,751 --> 00:03:19,751 順調なら そろそろ ジャワ島の辺りです。 9 00:03:23,426 --> 00:03:27,096 (伝衛門)おい 絹。 ろうそくを頼む。 10 00:03:27,096 --> 00:03:30,099 [℡] 11 00:03:30,099 --> 00:03:34,770 (伝衛門)はい 三枝です。 ああ。 大崎さんですか。➡ 12 00:03:34,770 --> 00:03:36,470 えっ!? 13 00:03:38,107 --> 00:03:41,110 (伝衛門)そんなバカな! ホントですか!? 14 00:03:41,110 --> 00:03:46,115 ホントに 白部丸は 敵の攻撃を 受けて 沈没したんですか!? 15 00:03:46,115 --> 00:03:49,385 (雷鳴) 16 00:03:49,385 --> 00:03:52,388 もしもし! もしもし!➡ 17 00:03:52,388 --> 00:03:54,688 大崎さん! もしもし! 18 00:04:12,408 --> 00:04:17,108 旦那さま。 白部丸が沈んだそうじゃ。 19 00:04:18,748 --> 00:04:21,083 一報を受け取ったばかりで➡ 20 00:04:21,083 --> 00:04:24,420 大崎さんも 最終的な確認は していないそうじゃ。 21 00:04:24,420 --> 00:04:27,089 白部丸が沈むはずがありません! 22 00:04:27,089 --> 00:04:30,092 これは きっと 何かの間違いです! 23 00:04:30,092 --> 00:04:34,092 そうじゃとも。 間違いに決まってます。 24 00:04:38,100 --> 00:04:41,100 (雷鳴) 25 00:04:54,050 --> 00:04:59,055 ♬『Delight of my love』 26 00:04:59,055 --> 00:05:18,074 ♬~ 27 00:05:18,074 --> 00:05:38,094 ♬~ 28 00:05:38,094 --> 00:05:58,047 ♬~ 29 00:05:58,047 --> 00:06:12,061 ♬~ 30 00:06:12,061 --> 00:06:22,061 ♬~ 31 00:06:26,041 --> 00:06:28,377 (伝衛門) どういう状況になってるのか➡ 32 00:06:28,377 --> 00:06:30,045 とにかく 大崎さんに会ってくる。 33 00:06:30,045 --> 00:06:32,047 (猛)自分も 横浜へ お供させてください。 34 00:06:32,047 --> 00:06:33,716 わし一人で良い。 35 00:06:33,716 --> 00:06:38,387 わしのいない間は 猛。 おまんが 三枝家を取りしきるのじゃ。 36 00:06:38,387 --> 00:06:43,058 はい。 白部丸が沈没するなんて 信じられません。 37 00:06:43,058 --> 00:06:45,995 あの船には 健次君や みんなが乗っているのよ。 38 00:06:45,995 --> 00:06:51,000 きっと何かの間違いよ。 そうですよね? お父さま。 39 00:06:51,000 --> 00:06:53,002 そうですよね? お母さま。 40 00:06:53,002 --> 00:06:58,674 天を信じましょう。 白部丸が沈むはずがありません。 41 00:06:58,674 --> 00:07:03,074 大丈夫です。 きっと 大丈夫です。 42 00:07:05,347 --> 00:07:09,351 わしが帰るまで このことは 決して口外するな。➡ 43 00:07:09,351 --> 00:07:13,022 小作たちに よけいな動揺を 与えてはならん。 良いな? 44 00:07:13,022 --> 00:07:14,622 はい。 45 00:07:23,032 --> 00:07:25,701 (末)ホントに沈没したんだろうか? (竹)そんなわけないよ。 46 00:07:25,701 --> 00:07:28,370 ジャワやシンガポールは 日本が占領してんだから。 47 00:07:28,370 --> 00:07:30,372 そうだよね! 大丈夫だよね! (竹)うん。 うん。 48 00:07:30,372 --> 00:07:32,374 (末)あんな元気だった治平さんが 死ぬわけないよね! 49 00:07:32,374 --> 00:07:34,074 (お滝)治平さん…。 50 00:07:41,383 --> 00:07:44,320 猛。 あとを頼んだぞ。 51 00:07:44,320 --> 00:07:46,020 はい。 52 00:07:50,659 --> 00:07:52,659 お父さま。 (絹)あなた。 53 00:07:59,001 --> 00:08:02,001 (絹)いってらっしゃいませ。 (一同)いってらっしゃいませ。 54 00:08:04,673 --> 00:08:07,343 お滝。 竹。 末。 (三人)はい。 55 00:08:07,343 --> 00:08:10,679 このことは 決して 口外しては なりませんよ。 いいですね? 56 00:08:10,679 --> 00:08:12,348 (三人)はい。 57 00:08:12,348 --> 00:08:15,048 さあ。 朝ご飯にいたしましょう。 58 00:08:17,353 --> 00:08:21,653 元気出しましょう。 お嬢さま。 いや ひかるさん。 59 00:08:26,028 --> 00:08:28,364 (勇作)何!? 白部丸が沈んだ!? 60 00:08:28,364 --> 00:08:31,033 (岡本)はい。 たった今 甲府の連隊から 電話で連絡が。 61 00:08:31,033 --> 00:08:33,035 信じられない。 本当なのか? 62 00:08:33,035 --> 00:08:35,037 (岡本)軍の情報ですから 確かだと思います。 63 00:08:35,037 --> 00:08:38,374 ジャワの近海で 米軍機によって 撃沈されたそうです。 64 00:08:38,374 --> 00:08:42,044 そうか。 間違いないのか。 天は われを見放さなかった! 65 00:08:42,044 --> 00:08:44,313 これで 三枝家は 万事休す。 一巻の終わりですよ。 66 00:08:44,313 --> 00:08:46,982 借金を返すどころか 一文無しのスッカラカンですから。 67 00:08:46,982 --> 00:08:49,318 三枝家の屋敷も土地も 大河原商会のものだ。 68 00:08:49,318 --> 00:08:51,987 小作人たちの土地だって 銀行の差し押さえを食いますよ。 69 00:08:51,987 --> 00:08:54,990 そうだ。 小作人たちの土地も 手に入れよう。 70 00:08:54,990 --> 00:08:58,327 白部丸が沈没したことを 大げさに吹聴して回れ。 71 00:08:58,327 --> 00:09:01,997 銀行に不安をあおって 三枝家の債権を買いあさるんだ。 72 00:09:01,997 --> 00:09:05,997 かしこまりました。 買って 買って 買いまくれ! 73 00:09:11,006 --> 00:09:14,009 (竹)大変! 大変だよ! 74 00:09:14,009 --> 00:09:16,011 (末)奥さま! (お滝)どうしたんだよ? 75 00:09:16,011 --> 00:09:18,347 配給に行ったら 白部丸が沈没したって噂が。 76 00:09:18,347 --> 00:09:20,015 (お滝)えっ!? (末)もう あっちこっちで。 77 00:09:20,015 --> 00:09:21,684 (絹)それは本当ですか? (竹)はい。➡ 78 00:09:21,684 --> 00:09:23,686 そんなのデタラメだって 打ち消したんですけど。 79 00:09:23,686 --> 00:09:25,354 (末)町中で すっかり 噂になっていて。 80 00:09:25,354 --> 00:09:28,023 三枝家は もう おしまいだなんて 言うヤツも…。 81 00:09:28,023 --> 00:09:30,359 (お滝)泣いてる暇があったら そんなヤツは けとばしておやり! 82 00:09:30,359 --> 00:09:34,363 そんなバカな。 白部丸のことは まだ誰も知らないはずなのに。 83 00:09:34,363 --> 00:09:36,031 ≪(小作人)猛さん! 84 00:09:36,031 --> 00:09:39,702 (小作人)猛さん! 白部丸が 沈没したってのは 本当かね!? 85 00:09:39,702 --> 00:09:41,370 (小作人)ジャワの近くで 敵の飛行機に➡ 86 00:09:41,370 --> 00:09:43,706 撃沈されたっていうじゃねえか! 一体 誰が そんなことを? 87 00:09:43,706 --> 00:09:45,307 (小作人)この辺じゃ 知らねえ者はいねえよ。 88 00:09:45,307 --> 00:09:46,976 (小作人)信じたくはねえが➡ 89 00:09:46,976 --> 00:09:49,979 みんなが まことしやかに 噂するんで 心配になっちまって。 90 00:09:49,979 --> 00:09:51,981 (小作人)三枝家は どうなるんですか? 91 00:09:51,981 --> 00:09:54,650 俺たちの土地は どうなるんですか!? 奥さま! 92 00:09:54,650 --> 00:09:56,318 (小作人たち) 奥さま! どうなるんですか!? 93 00:09:56,318 --> 00:09:58,988 落ち着け! 落ち着くんだ! 94 00:09:58,988 --> 00:10:01,991 いいか。 変な噂に惑わされると➡ 95 00:10:01,991 --> 00:10:04,660 自分たちの首を 自分たちの手で 絞めることになるんだぞ。 96 00:10:04,660 --> 00:10:06,328 じゃあ 噂はデタラメなんだな? 97 00:10:06,328 --> 00:10:09,999 今 旦那さまが 横浜へ 事の真偽を 確かめに行っておられる。 98 00:10:09,999 --> 00:10:13,002 まるっきり デタラメでも ねえってことか? おう。 99 00:10:13,002 --> 00:10:16,672 いや。 俺は 何かの間違いだと信じている。 100 00:10:16,672 --> 00:10:21,010 だから みんなも 白部丸の無事を信じるんだ。 101 00:10:21,010 --> 00:10:23,310 信じれば 必ず願いは通じる。 102 00:10:25,014 --> 00:10:28,017 信じるんだよ! 103 00:10:28,017 --> 00:10:29,685 信じるべえ。 104 00:10:29,685 --> 00:10:32,021 私も信じております。 (小作人)そうだ。➡ 105 00:10:32,021 --> 00:10:36,358 白部丸が沈むわけねえ。 みんな。 信じよう! 106 00:10:36,358 --> 00:10:38,360 (小作人たち)うん。 信じよう。 107 00:10:38,360 --> 00:10:41,030 ≪(ひかる)猛! 猛! 108 00:10:41,030 --> 00:10:44,630 早く来て! 裏口から 急に 変な男たちが入ってきて。 109 00:10:46,301 --> 00:10:48,637 何をしてるんだ。 お前ら! 110 00:10:48,637 --> 00:10:51,306 ひかる! 泥棒です! 警察に連絡を! 111 00:10:51,306 --> 00:10:54,977 (坂巻)泥棒だと? ふざけたこと ぬかすな! 112 00:10:54,977 --> 00:10:56,979 (矢口) これが見えねえか これが。➡ 113 00:10:56,979 --> 00:10:58,647 担保の契約書だよ。 114 00:10:58,647 --> 00:11:01,650 (絹)担保!? (矢口)ハハハハハ。 船を出航させるために➡ 115 00:11:01,650 --> 00:11:03,986 この家屋敷を担保に 借金したんだろう?➡ 116 00:11:03,986 --> 00:11:05,988 そのときの契約書の1枚が これだ。 117 00:11:05,988 --> 00:11:07,990 何で お前らが それを? 118 00:11:07,990 --> 00:11:10,659 (坂巻)俺たちは 金づるを見逃さねえんだよ。 119 00:11:10,659 --> 00:11:13,328 (矢口)とにかく 船が沈没して 三枝家は破産したんだよ。➡ 120 00:11:13,328 --> 00:11:15,664 差し押さえが入る前に 頂けるもんは頂くぜ。 121 00:11:15,664 --> 00:11:17,332 おい 待て! 122 00:11:17,332 --> 00:11:20,002 こっちには 担保契約書が あるんだよ。➡ 123 00:11:20,002 --> 00:11:24,006 担保の契約書がな。 ハハハハハ! おい! 124 00:11:24,006 --> 00:11:27,009 おい! まだ 船が沈没したとは 決まってない! 125 00:11:27,009 --> 00:11:28,677 勝手なマネは許さんぞ! 126 00:11:28,677 --> 00:11:30,345 おっ! バイオリンか! 127 00:11:30,345 --> 00:11:32,347 やめて! それだけは やめて! 128 00:11:32,347 --> 00:11:34,016 うるせえ! ひかるさん! 129 00:11:34,016 --> 00:11:37,019 猛! わたしのバイオリンが! はい! 130 00:11:37,019 --> 00:11:39,319 どけ! (坂巻)おい! 131 00:11:41,023 --> 00:11:44,960 バイオリン 返せ! (坂巻)お前 邪魔すんなって言ってんだろ! 132 00:11:44,960 --> 00:11:50,632 [格闘] 133 00:11:50,632 --> 00:11:53,969 おい! 債権者が 担保差し押さえて 何が悪い!➡ 134 00:11:53,969 --> 00:11:55,971 文句あるなら 裁判所に訴えてみろ! 135 00:11:55,971 --> 00:11:57,971 被害者は こっちなんだよ! 136 00:11:59,975 --> 00:12:03,979 [格闘] 137 00:12:03,979 --> 00:12:06,648 ≪(勇作)こら 待て! 138 00:12:06,648 --> 00:12:09,985 これは これは。 矢口さんと 坂巻さんじゃありませんか。 139 00:12:09,985 --> 00:12:12,988 一体 何の騒ぎです? 140 00:12:12,988 --> 00:12:14,990 ここは あんたらのような 高利貸しが➡ 141 00:12:14,990 --> 00:12:16,990 顔を出せる場所じゃない! 142 00:12:18,660 --> 00:12:20,662 (矢口)冗談言っちゃ 困りますよ。 大河原さん。➡ 143 00:12:20,662 --> 00:12:22,331 俺たちには こういうもんが ちゃんと あるんだ。➡ 144 00:12:22,331 --> 00:12:23,999 あっ! 何するんだ! 145 00:12:23,999 --> 00:12:27,669 お前のようなゲスが触ると 汚れるんだよ。 146 00:12:27,669 --> 00:12:33,008 (矢口)いくら 大河原さんでも 俺たちの邪魔したら許さねえ! 147 00:12:33,008 --> 00:12:36,011 あっ! あとで ウチの事務所に来い。 148 00:12:36,011 --> 00:12:37,679 俺が立て替えてやる。 149 00:12:37,679 --> 00:12:40,679 大河原商会が立て替えると 言ってるんだ! 150 00:12:44,019 --> 00:12:45,619 チェッ! 151 00:12:50,025 --> 00:12:53,025 お嬢さま。 さあ どうぞ。 152 00:12:59,368 --> 00:13:01,036 ありがとう。 153 00:13:01,036 --> 00:13:04,373 何で 契約書が あいつらに渡ったんですか? 154 00:13:04,373 --> 00:13:06,375 債権者は わたしだけじゃない。 155 00:13:06,375 --> 00:13:08,710 借金の証書というのは 裏から裏へ➡ 156 00:13:08,710 --> 00:13:10,712 どんな金の亡者に 渡るとも限らない。 157 00:13:10,712 --> 00:13:13,048 それが 担保に取られるということだ。 158 00:13:13,048 --> 00:13:17,052 お前 そんなことも分からないで 番頭か? 現実を よく見ろ! 159 00:13:17,052 --> 00:13:20,722 今の三枝家の立場が お前には分かってるのか!? 160 00:13:20,722 --> 00:13:24,726 あっ これは 奥さま。 大河原勇作でございます。 161 00:13:24,726 --> 00:13:29,398 私の目の黒いうちは 誰にも 三枝家に手を出させません。 162 00:13:29,398 --> 00:13:31,066 ご安心ください。 163 00:13:31,066 --> 00:13:33,068 ひかる。 164 00:13:33,068 --> 00:13:38,407 奥さま。 白部丸が沈みましたと 聞いて 心配になりまして➡ 165 00:13:38,407 --> 00:13:41,107 様子をうかがいに 参った次第でございます。 166 00:13:42,744 --> 00:13:44,680 (絹)あんな噂を 信じているのですか? 167 00:13:44,680 --> 00:13:49,685 まさか。 なら 問題はありません。 168 00:13:49,685 --> 00:13:51,685 さようでございますね。 169 00:13:55,691 --> 00:13:59,361 気を付けたほうがいい。 あまり気位が高いと➡ 170 00:13:59,361 --> 00:14:02,030 いざというとき ポキリと折れてしまう。 171 00:14:02,030 --> 00:14:07,035 三枝家の皆さんは わたしのような 雑草と違って 温室育ちだからな。 172 00:14:07,035 --> 00:14:08,704 白部丸の話は 一体 どこから? 173 00:14:08,704 --> 00:14:11,373 さあな。 町中で噂になってるぞ。 174 00:14:11,373 --> 00:14:16,378 まあ 火のないところに 煙は立たないって言うがな。 175 00:14:16,378 --> 00:14:19,047 しかし 大変だな。 船が沈んだとなると。 176 00:14:19,047 --> 00:14:24,386 三枝家は破産。 小作人たちの土地は没収。 177 00:14:24,386 --> 00:14:28,086 一体 どうする気だ? 番頭さん! 178 00:14:34,062 --> 00:14:39,067 (小作人たち)猛さん! 大丈夫だ。 俺は信じてる。 179 00:14:39,067 --> 00:14:42,738 旦那さまが帰ってくれば 何もかもデタラメだったと分かる。 180 00:14:42,738 --> 00:14:47,138 何も心配ない。 今までどおりに 仕事に精を出してくれ。 181 00:15:00,055 --> 00:15:03,058 (静子)勇作! 三枝の船が 沈んだってホントなのかい? 182 00:15:03,058 --> 00:15:06,395 ああ。 軍からの情報だから 間違いない。 183 00:15:06,395 --> 00:15:08,730 これで もう 三枝家はおしまいだ。 184 00:15:08,730 --> 00:15:10,732 母さんの願いが 天に通じたね。 185 00:15:10,732 --> 00:15:12,401 バカ言ってんじゃないよ。 186 00:15:12,401 --> 00:15:15,737 人の不幸を喜ぶと 罰が当たるよ。 フフフフフ。 187 00:15:15,737 --> 00:15:19,741 三枝家の土地と屋敷は 間違いなく 大河原商会のものになる。 188 00:15:19,741 --> 00:15:24,746 銀行との取り引きが うまくいけば 小作人たちの土地だって。 189 00:15:24,746 --> 00:15:26,415 あとは…。 190 00:15:26,415 --> 00:15:29,084 それだけで 十分じゃないか。 191 00:15:29,084 --> 00:15:32,754 没落した地主の娘なんて 何の取り柄もないよ。 192 00:15:32,754 --> 00:15:35,424 没落なんかさせないよ。 えっ? 193 00:15:35,424 --> 00:15:38,760 ぎりぎりのところで 三枝家を 破産から救ってやるのさ。 194 00:15:38,760 --> 00:15:42,030 その見返りとして ひかるは 俺の嫁になる。 195 00:15:42,030 --> 00:15:45,033 お前って子は…。 もうすぐだ。 196 00:15:45,033 --> 00:15:47,703 もうすぐ 俺の いちばん 欲しかったものが手に入るんだ。 197 00:15:47,703 --> 00:15:49,371 ワクワクするねえ。 母さん。 198 00:15:49,371 --> 00:15:52,708 思い出すなあ。 欲しくて欲しくて たまらなかったものが➡ 199 00:15:52,708 --> 00:15:57,108 ようやく手に入ったときの あの快感を。 200 00:16:01,383 --> 00:16:05,053 なぜ お父さまから 連絡がないのかしら? 201 00:16:05,053 --> 00:16:08,724 ねえ 猛。 そう思わない? 202 00:16:08,724 --> 00:16:11,393 わたしたちが こんなに 心配しているんですもの。 203 00:16:11,393 --> 00:16:14,730 もし無事なら すぐに連絡をよこすはずでは? 204 00:16:14,730 --> 00:16:19,067 (猛)白部丸は日本を遠く離れた 場所を航海してるんです。 205 00:16:19,067 --> 00:16:22,070 無事を確認するのだって 手間取りますよ。 206 00:16:22,070 --> 00:16:23,739 そうかしら…。 207 00:16:23,739 --> 00:16:26,742 さあ。 ひかるさんは もう寝てください。 208 00:16:26,742 --> 00:16:31,413 眠れないわ。 わたし 不安で 不安で。 209 00:16:31,413 --> 00:16:35,751 目をつぶると 海に沈んでいく 白部丸の姿が 頭に浮かんで。 210 00:16:35,751 --> 00:16:38,420 白部丸は沈んでません。 211 00:16:38,420 --> 00:16:40,756 でも もし沈んだら➡ 212 00:16:40,756 --> 00:16:47,028 健次君や治平さん わたしたちは どうなってしまうの? 猛! 213 00:16:47,028 --> 00:16:49,364 たとえ どうなろうと➡ 214 00:16:49,364 --> 00:16:52,701 ひかるさんに結婚を申し込んだ 自分の気持ちは変わりません。 215 00:16:52,701 --> 00:16:58,039 わたしだって お前と一緒に なりたい気持ちに変わりはないわ。 216 00:16:58,039 --> 00:17:00,041 でも…。 217 00:17:00,041 --> 00:17:04,041 二人の気持ちが確かなら 何も恐れることはありません。 218 00:17:07,382 --> 00:17:09,384 自分がついてます。 219 00:17:09,384 --> 00:17:14,084 何があっても ひかるさんは 自分が守りますから。 220 00:17:15,390 --> 00:17:17,090 猛。 221 00:17:32,407 --> 00:17:36,077 (ひかる)なぜ お父さまから 連絡がないのかしら? 222 00:17:36,077 --> 00:17:38,413 もし沈んだら➡ 223 00:17:38,413 --> 00:17:42,713 健次君や治平さん わたしたちは どうなってしまうの? 224 00:17:45,020 --> 00:17:47,020 ≪(戸をたたく音) 225 00:17:50,358 --> 00:17:53,028 (文彦)この大バカ者が! 226 00:17:53,028 --> 00:17:55,697 さっき 東京の出版社から 戻ってきたら 酒場の女給に➡ 227 00:17:55,697 --> 00:17:58,700 「三枝家は破産するのよ」って 笑われたんだ。 228 00:17:58,700 --> 00:18:00,702 驚いて聞き出したら 何と 白部丸が➡ 229 00:18:00,702 --> 00:18:02,370 ジャワの近くで沈没しちまったって 言うじゃねえか。 230 00:18:02,370 --> 00:18:04,039 ちょっと待ってください! 231 00:18:04,039 --> 00:18:05,707 そんな噂に 惑わされないでください。 232 00:18:05,707 --> 00:18:07,375 噂だと? そうです。 233 00:18:07,375 --> 00:18:10,045 ホントに沈没したのかどうかは まだ確認は取れていないんです。 234 00:18:10,045 --> 00:18:11,713 仮にそうだとしたら➡ 235 00:18:11,713 --> 00:18:14,382 なぜ こんな恥さらしな噂を のさばらせておくんだ? お前は! 236 00:18:14,382 --> 00:18:16,718 それでも 三枝家の番頭か! 237 00:18:16,718 --> 00:18:19,054 申し訳ありません。 238 00:18:19,054 --> 00:18:23,391 そんな 体たらくで よくも 三枝家 継ぐ気になったもんだ。 239 00:18:23,391 --> 00:18:25,060 ヘソで 茶沸かしちゃいますよ! 240 00:18:25,060 --> 00:18:28,730 ≪(絹)口を慎みなさい。 文彦。 241 00:18:28,730 --> 00:18:32,734 (絹)三枝家の一大事に 顔も出さずに 今ごろ 何です! 242 00:18:32,734 --> 00:18:35,737 そうよ。 猛は お父さまのお留守の間中➡ 243 00:18:35,737 --> 00:18:37,739 ちゃんと 取りしきってくれてるわ。 244 00:18:37,739 --> 00:18:40,408 お兄さまに文句を言われる 筋合いはありません。 245 00:18:40,408 --> 00:18:45,013 ほう。 もし 白部丸が ホントに沈没しててもか?➡ 246 00:18:45,013 --> 00:18:47,015 あのとき 僕が 船を引き返させようとしたのに➡ 247 00:18:47,015 --> 00:18:49,684 猛は反対したんだぞ。➡ 248 00:18:49,684 --> 00:18:53,355 引き返していれば 白部丸だって無事だった。 249 00:18:53,355 --> 00:18:55,357 それでも 猛に 文句言っちゃいけないのか? 250 00:18:55,357 --> 00:18:57,692 白部丸は沈没してません! 251 00:18:57,692 --> 00:19:00,028 だったら いいがね。 252 00:19:00,028 --> 00:19:03,031 お兄さまは 沈没したほうがいいと 思ってるんですか!? 253 00:19:03,031 --> 00:19:06,368 バカか お前は! 沈没したら三枝家は破産だ。 254 00:19:06,368 --> 00:19:08,368 いいわけないだろう! 255 00:19:10,705 --> 00:19:12,705 いいわけないだろう。 256 00:19:15,710 --> 00:19:20,715 僕だって この家で生まれて この家で育ったんだ。 257 00:19:20,715 --> 00:19:23,115 僕は この家が好きなんだ。 258 00:19:25,053 --> 00:19:27,389 文彦。 259 00:19:27,389 --> 00:19:30,392 いまだに 何の連絡もないのは おかしい。➡ 260 00:19:30,392 --> 00:19:34,062 お母さま。 万一の場合に備えて 対策を考えておかなくては。 261 00:19:34,062 --> 00:19:35,730 対策? 262 00:19:35,730 --> 00:19:38,400 大河原さんに頼むんです。 (絹)大河原に!? 263 00:19:38,400 --> 00:19:40,402 嫌よ! 大河原に頼むなんて。 264 00:19:40,402 --> 00:19:43,004 お前が大河原さんを嫌ってるのは 分かってる。➡ 265 00:19:43,004 --> 00:19:45,674 だが これは そういう次元の話じゃない。 266 00:19:45,674 --> 00:19:50,345 三枝家の命運をかけた 重要なことなんだ。➡ 267 00:19:50,345 --> 00:19:53,682 三枝家を破産から救うには 大河原さんに頼るしかない。 268 00:19:53,682 --> 00:19:56,017 俺は信じてる。 269 00:19:56,017 --> 00:19:57,686 誰に何を言われようと 信じてます! 270 00:19:57,686 --> 00:20:01,022 信じて何になる。 事態がはっきり してからでは 遅すぎるんだ。➡ 271 00:20:01,022 --> 00:20:06,027 銀行だって押しかけてくるし 債権者だって押しかけてくる。➡ 272 00:20:06,027 --> 00:20:08,363 お前 もしかして 僕が こうして指図するのが➡ 273 00:20:08,363 --> 00:20:10,031 気に入らんのじゃないだろうな? そんな。 274 00:20:10,031 --> 00:20:13,368 大河原さんに頭を下げるのは お前じゃない。 僕だ。➡ 275 00:20:13,368 --> 00:20:15,068 文句ないだろう。 276 00:20:18,373 --> 00:20:20,709 (文彦)お母さまの お考えは?➡ 277 00:20:20,709 --> 00:20:24,045 僕は お母さまの意見に 従います。➡ 278 00:20:24,045 --> 00:20:26,381 大河原さんは きっと 三枝家のために➡ 279 00:20:26,381 --> 00:20:30,081 力になってくれますよ。 お母さま! 280 00:20:31,052 --> 00:20:33,052 お父さまを待ちましょう。 281 00:20:34,723 --> 00:20:38,123 手遅れになっても 僕はもう知りませんからね! 282 00:20:42,998 --> 00:20:56,678 ♬~ 283 00:20:56,678 --> 00:21:01,016 (ひかる)お兄さまって どうして いつも ああなのかしら。 284 00:21:01,016 --> 00:21:03,616 「大河原 大河原」って。 285 00:21:05,687 --> 00:21:09,024 文彦さんの言うとおり あのとき➡ 286 00:21:09,024 --> 00:21:13,695 白部丸が引き返していたら こんな騒ぎには…。 287 00:21:13,695 --> 00:21:18,700 さっき わたしの不安な気持ちを 落ち着かせてくれたのは 誰? 288 00:21:18,700 --> 00:21:22,037 そんなことを考えてはダメ。 289 00:21:22,037 --> 00:21:28,710 白部丸が無事であることを 祈りましょう。 ねえ 猛。 290 00:21:28,710 --> 00:21:30,410 すみません。 291 00:21:32,047 --> 00:21:47,996 ♬~ 292 00:21:47,996 --> 00:21:50,996 (戸の開く音) 293 00:22:21,029 --> 00:22:35,376 (嗚咽) 294 00:22:35,376 --> 00:22:42,076 (伝衛門の嗚咽) 295 00:22:54,062 --> 00:23:01,662 (嗚咽) 296 00:23:08,076 --> 00:23:10,078 あなた。 297 00:23:10,078 --> 00:23:11,678 お父さま。 298 00:23:13,414 --> 00:23:16,417 (文彦)白部丸は どうなったんですか? 299 00:23:16,417 --> 00:23:18,117 旦那さま。 300 00:23:23,424 --> 00:23:28,124 白部丸は 沈んだ。 301 00:23:29,764 --> 00:23:36,104 (伝衛門)ジャワの近くで 空から敵の奇襲攻撃を受けて➡ 302 00:23:36,104 --> 00:23:39,774 海の藻屑と消えた。➡ 303 00:23:39,774 --> 00:23:47,048 近くを航行していた輸送船が 一部始終を見ていたそうじゃ。 304 00:23:47,048 --> 00:23:52,053 あっという間の出来事で➡ 305 00:23:52,053 --> 00:23:56,057 誰一人 助けられなかったそうじゃ。 306 00:23:56,057 --> 00:23:59,060 嘘…。 嘘よ! 307 00:23:59,060 --> 00:24:03,731 (泣き声) 308 00:24:03,731 --> 00:24:09,404 だから 言ったじゃないですか。 海運業には手を出すなって。➡ 309 00:24:09,404 --> 00:24:13,741 白部村のためだか 小作人のためだか知らないが➡ 310 00:24:13,741 --> 00:24:16,744 全財産を担保に 金を借りまくって。➡ 311 00:24:16,744 --> 00:24:21,082 あげくに 憲兵に連行されて やっと解放されたと思ったら➡ 312 00:24:21,082 --> 00:24:23,751 肝心かなめの白部丸が 沈没ですか! 313 00:24:23,751 --> 00:24:25,420 やめてください。 文彦さん。 314 00:24:25,420 --> 00:24:28,756 お父さまだけの責任じゃない。 お前だって同罪だ!➡ 315 00:24:28,756 --> 00:24:32,760 調子に乗って お父さまの 無謀な計画を推し進め➡ 316 00:24:32,760 --> 00:24:38,099 夢だの希望だの ありもしない事を 小作人たちに吹き込んで➡ 317 00:24:38,099 --> 00:24:41,369 結局 破滅の道に追いやって しまったじゃないか。➡ 318 00:24:41,369 --> 00:24:44,069 この責任 どう取るつもりだ? 319 00:24:48,042 --> 00:24:51,379 「ひかるお嬢様を 買ってください」と言え。 320 00:24:51,379 --> 00:24:53,715 それなら いくらでも 金を積むぞ。 321 00:24:53,715 --> 00:24:56,718 猛の愛さえあれば わたしは生きていける。 322 00:24:56,718 --> 00:25:00,722 デタラメです。 嘘です! 323 00:25:00,722 --> 00:25:05,122 あなたまで お父様の失敗の 犠牲になることはないんです。 324 00:25:08,062 --> 00:25:11,662 ひかるさんが好きだ。 好きだ! 好きだ!