1 00:02:31,874 --> 00:02:32,741 2 00:02:32,741 --> 00:02:37,413 (伝衛門)白部丸は 沈んだ。⇒ 3 00:02:37,413 --> 00:02:44,086 ジャワの近くで 空から敵の奇襲攻撃を受けて⇒ 4 00:02:44,086 --> 00:02:47,756 海の藻くずと消えた。⇒ 5 00:02:47,756 --> 00:02:55,097 近くを航行していた輸送船が 一部始終を見ていたそうじゃ。 6 00:02:55,097 --> 00:03:03,772 あっという間の出来事で 誰一人 助けられなかったそうじゃ。 7 00:03:03,772 --> 00:03:07,372 (ひかる)嘘…。 嘘よ! 8 00:03:11,113 --> 00:03:13,449 (文彦) だから言ったじゃないですか。 9 00:03:13,449 --> 00:03:15,784 海運業には手を出すなって。⇒ 10 00:03:15,784 --> 00:03:19,455 白部村のためだか 小作人のためだか知らないが⇒ 11 00:03:19,455 --> 00:03:24,793 全財産を担保に金を借りまくって。 あげくに憲兵に連行されて。⇒ 12 00:03:24,793 --> 00:03:29,465 やっと解放されたと思ったら 肝心かなめの白部丸が沈没ですか。 13 00:03:29,465 --> 00:03:32,401 (猛)やめてください 文彦さん。 お父様だけの責任じゃない。 14 00:03:32,401 --> 00:03:34,403 お前だって同罪だ。⇒ 15 00:03:34,403 --> 00:03:39,408 調子に乗って お父様の無謀な 計画を推し進め 夢だの希望だの⇒ 16 00:03:39,408 --> 00:03:43,745 ありもしないことを 小作人たちに吹き込んで⇒ 17 00:03:43,745 --> 00:03:47,082 結局 破滅の道に 追いやってしまったじゃないか。⇒ 18 00:03:47,082 --> 00:03:50,419 この責任 どう取るつもりだ? 19 00:03:50,419 --> 00:03:55,757 ♪『Delight of my love』 20 00:03:55,757 --> 00:04:15,777 ♪ 21 00:04:15,777 --> 00:04:35,731 ♪ 22 00:04:35,731 --> 00:04:55,751 ♪ 23 00:04:55,751 --> 00:05:09,765 ♪ 24 00:05:09,765 --> 00:05:19,765 ♪ 25 00:05:21,743 --> 00:05:23,412 (文彦)この責任 どう取るつもりだ? 26 00:05:23,412 --> 00:05:25,414 「番頭だから」じゃ済まねえぞ。⇒ 27 00:05:25,414 --> 00:05:30,352 今じゃ お前は 三枝家の りっぱな後継者なんだからな。 28 00:05:30,352 --> 00:05:38,026 猛に罪はない。 すべて わしの責任じゃ。 29 00:05:38,026 --> 00:05:40,028 旦那様。 30 00:05:40,028 --> 00:05:44,366 今更 責任をうんぬんしても しかたがない。 31 00:05:44,366 --> 00:05:47,703 すぐにでも 銀行や債権者が 押しかけて来ますよ。⇒ 32 00:05:47,703 --> 00:05:50,372 いったい どうするつもりですか? これから。⇒ 33 00:05:50,372 --> 00:05:54,710 この屋敷の庭も 小作人に貸してある土地も⇒ 34 00:05:54,710 --> 00:05:57,310 三枝家は すべてを失うんですよ。 35 00:05:59,047 --> 00:06:02,747 黙って見てるつもりですか? (絹)やめなさい 文彦。 36 00:06:06,388 --> 00:06:10,392 (文彦)お母様 これが どういうことか分かってますか?⇒ 37 00:06:10,392 --> 00:06:15,731 お母様も お父様も みんな この家を追い出されるんですよ。 38 00:06:15,731 --> 00:06:22,738 三枝家は 破産したんです。 (絹)そんな お前。 そんな…。 39 00:06:22,738 --> 00:06:25,741 ひどい! お兄様 ひどいわ! 40 00:06:25,741 --> 00:06:28,410 お母様だって そのくらい分かってます。 41 00:06:28,410 --> 00:06:30,012 でも そんなこと 認めたら⇒ 42 00:06:30,012 --> 00:06:33,682 お母様を今日まで支えてきた 心の張りが砕け散って⇒ 43 00:06:33,682 --> 00:06:37,352 生きていく希望も何も 失ってしまうじゃありませんか! 44 00:06:37,352 --> 00:06:40,689 ひどい! お兄様 ひどい! 45 00:06:40,689 --> 00:06:44,693 デタラメです。 嘘です! 46 00:06:44,693 --> 00:06:48,030 三枝家は 今までどおりの 三枝家です。 47 00:06:48,030 --> 00:06:51,366 三枝家が破産など するはずがございません! 48 00:06:51,366 --> 00:06:53,366 お母様! 49 00:06:55,370 --> 00:06:58,707 お父様。 こうなったら もう一刻も早く⇒ 50 00:06:58,707 --> 00:07:01,043 大河原さんに 助けを請いましょう。⇒ 51 00:07:01,043 --> 00:07:02,743 もう そうするより 手がありません。 52 00:07:04,379 --> 00:07:06,381 (文彦)僕が頭を下げれば⇒ 53 00:07:06,381 --> 00:07:09,051 きっと 大河原さんは 手を差し伸べてくれます。 54 00:07:09,051 --> 00:07:11,720 何を言うか。 55 00:07:11,720 --> 00:07:15,390 おまんに頭を下げてもらおう などと思う わしではない。 56 00:07:15,390 --> 00:07:17,726 お父様は どうして そんなに僕を…。 57 00:07:17,726 --> 00:07:21,396 (伝衛門)分からんのか? 分かりません。 58 00:07:21,396 --> 00:07:26,735 わしは 三枝家の跡取りを 猛と決めた。 59 00:07:26,735 --> 00:07:30,005 長男のお前を見限ったのじゃ。⇒ 60 00:07:30,005 --> 00:07:33,342 いくら三枝家が 没落の危機にあろうと⇒ 61 00:07:33,342 --> 00:07:38,347 見限った おまんに 頭を下げさせることなどできん。 62 00:07:38,347 --> 00:07:42,351 (文彦)そんなこと どうでも いいじゃないか! 63 00:07:42,351 --> 00:07:45,687 三枝家が没落すれば 元も子も なくなるんだ!⇒ 64 00:07:45,687 --> 00:07:49,358 僕は この土地を この家を 何としても失いたくない! 65 00:07:49,358 --> 00:07:51,693 そのためなら 大河原さんに 頭を下げることなんか⇒ 66 00:07:51,693 --> 00:07:55,993 何でもありません! 違いますか!? お父様! 67 00:07:57,699 --> 00:08:01,699 (文彦)迷ってる時間はないんだ。 決断あるのみなんだ! 68 00:08:15,717 --> 00:08:21,390 (文彦)猛。 お前 ここへ来て 何年になる? 69 00:08:21,390 --> 00:08:28,663 (猛)15年です。 僕は ここで生まれて 26年だ。 70 00:08:28,663 --> 00:08:30,999 正直に言ってくれ。 71 00:08:30,999 --> 00:08:34,299 大河原に助けを求めるのは 間違ってると思うか? 72 00:08:36,338 --> 00:08:40,675 どうなんだ 猛! 俺は…。 俺は…。 73 00:08:40,675 --> 00:08:45,347 (ひかる)もう これ以上の 争い事はイヤ。 お願い お兄様。 74 00:08:45,347 --> 00:08:50,018 お兄様 どこへ? 酒に決まってんだろ。 75 00:08:50,018 --> 00:08:54,356 この無残な現実から逃れるには 酒しかない。 76 00:08:54,356 --> 00:08:58,360 お兄様は お酒に飲まれまーす。 77 00:08:58,360 --> 00:09:03,360 お兄様 本当に大河原に 頭を下げるつもりかしら。 78 00:09:05,367 --> 00:09:07,067 (絹)あなた。 79 00:09:08,703 --> 00:09:11,003 取り乱して 申し訳ございません。 80 00:09:20,382 --> 00:09:31,782 謝るのは わしのほうじゃ。 絹。 すまん。 許してくれ。 81 00:09:33,328 --> 00:09:35,028 (絹)あなた…。 82 00:09:40,001 --> 00:09:42,671 (女の子)ひかる先生 こんにちは。 (ひかる)こんにちは。 83 00:09:42,671 --> 00:09:46,007 (要助)ひかる先生。 健次のヤツ 本当に助かったのか? 84 00:09:46,007 --> 00:09:49,344 (昭子)ウチの父ちゃん 船が沈んで みんな死んじゃったって。 85 00:09:49,344 --> 00:09:52,347 ううん。 そんなことないわ。 86 00:09:52,347 --> 00:09:57,018 近くを通りかかった輸送船がね みんなを助けてくれたのよ。 87 00:09:57,018 --> 00:10:01,356 船は沈んじゃったけど 健次君も ほかのみんなも⇒ 88 00:10:01,356 --> 00:10:03,358 無事に着いたから 安心してちょうだい。 89 00:10:03,358 --> 00:10:06,695 じゃあ みんな 新天地に いるんだね。 90 00:10:06,695 --> 00:10:09,698 そうよ。 (要助)よかった。 91 00:10:09,698 --> 00:10:12,701 (拍手) 92 00:10:12,701 --> 00:10:18,373 先生ね 新天地にいる みんなに 捧げる曲を作ったの。 93 00:10:18,373 --> 00:10:21,376 今日は その曲を演奏しようと思うの。 94 00:10:21,376 --> 00:10:23,712 みんなも一緒に聴いてね。 95 00:10:23,712 --> 00:10:27,712 (拍手) 96 00:10:33,989 --> 00:10:35,991 (昭子)どうしたの? 先生。 97 00:10:35,991 --> 00:10:39,995 (要助)あっ。 作った曲を 忘れちまったんだべ。 98 00:10:39,995 --> 00:10:45,667 (子供たち)ダメだよー 先生。 99 00:10:45,667 --> 00:10:48,670 (勇作)こら。 先生をいじめちゃ ダメじゃないか。 100 00:10:48,670 --> 00:10:51,006 (要助)いじめてねえよ。 なあ。 101 00:10:51,006 --> 00:10:53,341 (子供たち)そうだよ。 いじめてないよ。 102 00:10:53,341 --> 00:10:56,344 先生ったら 急に バイオリンが弾けなくなって⇒ 103 00:10:56,344 --> 00:10:58,346 それで泣き出したんだよ。 104 00:10:58,346 --> 00:11:03,018 そうか。 きっと 新天地にいる みんなの顔を思い出して⇒ 105 00:11:03,018 --> 00:11:05,687 胸がいっぱいになって しまったんだよ。 ひかる先生は。 106 00:11:05,687 --> 00:11:09,024 さっ。 菓子をやるぞ。 外に行って遊んでこい。 107 00:11:09,024 --> 00:11:16,724 (子供たち)ありがとう! よし。 ほらほら。 ハハハハ…! 108 00:11:18,366 --> 00:11:23,038 外で聞いてましたよ。 優しいんですね。 ひかるさんは。 109 00:11:23,038 --> 00:11:26,738 現実は 子供たちにとって あまりにも残酷だ。 110 00:11:28,376 --> 00:11:30,645 でも 心配することは ありませんよ。 111 00:11:30,645 --> 00:11:32,981 わたしに任せていただければ⇒ 112 00:11:32,981 --> 00:11:36,318 決して 三枝家が不利になるような ことは ありません。 113 00:11:36,318 --> 00:11:40,322 このままでは 銀行や債権者たちが 押しかけてくるでしょう。 114 00:11:40,322 --> 00:11:45,327 そうならないように わたしは ぜひ お力になりたいんです。 115 00:11:45,327 --> 00:11:48,330 あなたの人生は まだ これからだ。 116 00:11:48,330 --> 00:11:52,730 あなたまで お父様の失敗の 犠牲になることはないんです。 117 00:11:54,669 --> 00:12:00,342 白部丸は沈みました。 でも わたしは後悔していません。 118 00:12:00,342 --> 00:12:04,346 父のやったことは 今でも 間違ってなかったと信じています。 119 00:12:04,346 --> 00:12:10,352 りっぱだ。 実にりっぱだ。 さすが 三枝家のお嬢様だ。 120 00:12:10,352 --> 00:12:12,687 しかし あなたは 現実の怖さというものを⇒ 121 00:12:12,687 --> 00:12:17,359 まったく理解していない! ひかるさんだけじゃない。 122 00:12:17,359 --> 00:12:19,694 三枝家の人間は みんな分かってない。 123 00:12:19,694 --> 00:12:24,032 世間を動かしているのは 簡単な原理です。 124 00:12:24,032 --> 00:12:27,369 それに逆らわなければ 楽に生きていけるのに。 125 00:12:27,369 --> 00:12:32,374 強い者に従うという 簡単な原理です。 126 00:12:32,374 --> 00:12:36,044 ≪(猛)ひかるさんに手を出すな! 猛! 127 00:12:36,044 --> 00:12:38,380 大丈夫ですか? 何でもないの。 128 00:12:38,380 --> 00:12:41,049 迎えに来てくれて ありがとう。 行きましょう。 129 00:12:41,049 --> 00:12:42,749 待て! 130 00:12:44,386 --> 00:12:48,056 お前は ひかるさんを不幸にして 平気なのか? 131 00:12:48,056 --> 00:12:50,725 誰にだって分かることじゃないか。 132 00:12:50,725 --> 00:12:54,062 金も力もない 一介の使用人のお前に⇒ 133 00:12:54,062 --> 00:12:57,399 どうやって ひかるさんが 守れるんだ? なに! 134 00:12:57,399 --> 00:12:59,734 お前が よりどころにしていた 三枝家は⇒ 135 00:12:59,734 --> 00:13:01,403 音を立てて崩れていった。 136 00:13:01,403 --> 00:13:04,072 もはや お前は 一介の使用人でもない。 137 00:13:04,072 --> 00:13:07,742 ねぐらを失った はぐれ鳥じゃないか。 138 00:13:07,742 --> 00:13:12,747 ひかるさんを守るのは お前じゃない。 このわたしだ。 139 00:13:12,747 --> 00:13:14,749 何もなくていい。 140 00:13:14,749 --> 00:13:18,086 猛さえいてくれれば わたしは それでいい。 141 00:13:18,086 --> 00:13:21,756 猛の愛さえあれば わたしは生きていける。 142 00:13:21,756 --> 00:13:26,428 ハハハハ! 愛は美しい。 143 00:13:26,428 --> 00:13:29,698 愛し合う二人を誰も引き裂けない。 が! 144 00:13:29,698 --> 00:13:33,702 愛だけでは 三枝家も 小作人も救えない。 145 00:13:33,702 --> 00:13:36,371 一瞬の愛に賭けて すべてを失うか。 146 00:13:36,371 --> 00:13:39,708 それとも わたしと一緒になって 愛をはぐくみ⇒ 147 00:13:39,708 --> 00:13:42,708 末永く平和な時を刻むか。 148 00:13:46,047 --> 00:13:51,052 お前の決断が ひかるさんを…。 いや。 三枝家のみんなを⇒ 149 00:13:51,052 --> 00:13:57,352 幸せにも不幸にもするんだ。 よく考えるんだな。 150 00:13:59,060 --> 00:14:05,400 フフフ。 ハハハハ。 ハハハハ。 151 00:14:05,400 --> 00:14:07,100 猛。 152 00:14:10,405 --> 00:14:14,105 わたしを見て。 ずっと見て。 153 00:14:19,748 --> 00:14:24,753 ひかるさんが好きだ。 好きだ! 好きだ! 154 00:14:24,753 --> 00:14:40,368 ♪ 155 00:14:40,368 --> 00:14:43,371 どんなに つらいことがあっても⇒ 156 00:14:43,371 --> 00:14:47,375 自分たちの心は 幸せでなきゃ いけないんです。 157 00:14:47,375 --> 00:14:51,379 きっと 治平さんたちや健次も⇒ 158 00:14:51,379 --> 00:14:54,382 そう望んでいて くれているはずです。 159 00:14:54,382 --> 00:14:56,782 健次君たちの分まで。 160 00:15:03,725 --> 00:15:05,393 (文彦)こうなった以上⇒ 161 00:15:05,393 --> 00:15:08,730 もう三枝家の力では どうにもなりません。⇒ 162 00:15:08,730 --> 00:15:12,734 大河原に頼むよりほかに 方法はないと思います。⇒ 163 00:15:12,734 --> 00:15:18,406 お父様が 大河原のやり方に 批判的なのは よく分かってます。⇒ 164 00:15:18,406 --> 00:15:20,806 しかし 今はもう そんなこと 言ってる場合じゃありませんよ。 165 00:15:22,744 --> 00:15:26,414 お父様のやり方は失敗したんです。 潔く認めたら どうですか。 166 00:15:26,414 --> 00:15:29,684 もう およしなさい 文彦。 お母様は どうなんですか? 167 00:15:29,684 --> 00:15:32,353 やはり大河原さんに頼るのは 嫌ですか?⇒ 168 00:15:32,353 --> 00:15:35,023 このままでは 何もかも失ってしまいますよ。⇒ 169 00:15:35,023 --> 00:15:38,693 今 最も重要なことは 三枝家を守り通すことなんです。⇒ 170 00:15:38,693 --> 00:15:41,362 どんなことをしてでも。 そんなことは分かっています! 171 00:15:41,362 --> 00:15:45,762 三枝家が つぶれるもつぶれないも 大河原さんの胸一つなんです。 172 00:15:47,702 --> 00:15:52,302 (文彦)お母様。 お父様! 173 00:15:54,709 --> 00:16:00,715 三枝家がつぶれたら 小作人たちは 路頭に迷うんですよ。⇒ 174 00:16:00,715 --> 00:16:06,721 お父様の いちばん 大事にしている小作人たちが⇒ 175 00:16:06,721 --> 00:16:08,721 どうなっても いいんですか? 176 00:16:10,391 --> 00:16:14,062 ≪(吾作)旦那様! 旦那様! 177 00:16:14,062 --> 00:16:16,731 吾作か。 いったい どうしたんじゃ? 178 00:16:16,731 --> 00:16:19,067 (吾作)いきなり 大河原商会の ヤツらがやってきて⇒ 179 00:16:19,067 --> 00:16:21,736 「今日から畑は 俺たちが管理する」と言い出して! 180 00:16:21,736 --> 00:16:25,406 何じゃと? 大河原が? 181 00:16:25,406 --> 00:16:29,677 ウチだけじゃねえ。 ほかの畑も全部 大河原商会の手に渡ってるだよ! 182 00:16:29,677 --> 00:16:35,016 何じゃと? お前たちの畑は 銀行の担保に入ってるはずじゃ。 183 00:16:35,016 --> 00:16:37,685 ヤツらが言うには 銀行が担保を手放して⇒ 184 00:16:37,685 --> 00:16:40,688 それを 大河原商会が買い占めたとか。 185 00:16:40,688 --> 00:16:43,691 買い占めた? いったい どういうことです? 186 00:16:43,691 --> 00:16:46,027 この屋敷だけではなく 畑も何もかも⇒ 187 00:16:46,027 --> 00:16:49,030 大河原に押さえられたと 言うのですか? 188 00:16:49,030 --> 00:16:53,368 (伝衛門)いったい…。 いったい 何で 大河原は そんなことを。 189 00:16:53,368 --> 00:16:55,036 あなた? 190 00:16:55,036 --> 00:16:56,704 (文彦)別段 心配することじゃ ありませんよ。 191 00:16:56,704 --> 00:16:59,040 大河原さんの気配りでしょう。 (絹)気配り? 192 00:16:59,040 --> 00:17:00,708 (文彦)銀行が債権を手放す前に⇒ 193 00:17:00,708 --> 00:17:03,044 大河原さんが手を打って 押さえてくれたんです。⇒ 194 00:17:03,044 --> 00:17:08,383 訳の分からん高利貸しに渡るより そのほうが安心じゃないですか。⇒ 195 00:17:08,383 --> 00:17:11,719 お父様や お母様は 大河原さんを誤解してるんです。 196 00:17:11,719 --> 00:17:17,058 いったん 心を許し合えば あんなに 信頼できる人物はいませんよ。⇒ 197 00:17:17,058 --> 00:17:21,396 吾作。 みんなに言っとけ。 「大河原さんなら心配いらん。⇒ 198 00:17:21,396 --> 00:17:24,399 今までどおり 畑を耕すことが できる」ってな。 199 00:17:24,399 --> 00:17:26,099 (吾作)へ… へい! 200 00:17:32,340 --> 00:17:35,677 大河原へは わしが行く。 お父様? 201 00:17:35,677 --> 00:17:37,277 あなた。 202 00:17:42,684 --> 00:17:46,020 (文彦)やっと 僕の気持ちが お父様に伝わった。 203 00:17:46,020 --> 00:17:48,720 これでいいんだ。 これで。 204 00:17:56,731 --> 00:18:00,068 あなた。 もう何も言うな。 205 00:18:00,068 --> 00:18:04,768 私は あなたの お決めになったことに従います。 206 00:18:07,408 --> 00:18:09,108 絹。 207 00:18:15,750 --> 00:18:17,418 なるほど。 208 00:18:17,418 --> 00:18:20,421 三枝家は どうなっても かまいません。 ただ⇒ 209 00:18:20,421 --> 00:18:25,426 畑だけは 今までどおり 小作たちに使わせてやってほしい。 210 00:18:25,426 --> 00:18:27,126 このとおりです。 211 00:18:29,364 --> 00:18:33,364 分かりました。 畑については 便宜を図りましょう。 212 00:18:35,370 --> 00:18:39,374 しかし 三枝家が どうなっても かまわないというのには⇒ 213 00:18:39,374 --> 00:18:43,378 承服できかねます。 いや。 いいのです。 214 00:18:43,378 --> 00:18:48,716 わしが事業に失敗したのですから もとより覚悟のうえです。 215 00:18:48,716 --> 00:18:52,720 奥様は それを 承知されてるんですか? 216 00:18:52,720 --> 00:18:58,059 三枝家の方々を路頭に迷わせては 世間に何と陰口をたたかれるか。 217 00:18:58,059 --> 00:19:01,729 わたしが困りますよ。 ご心配なく。 218 00:19:01,729 --> 00:19:05,400 負けた者は 黙って消えるのみです。 219 00:19:05,400 --> 00:19:08,069 わたしには あなたが分からない。 220 00:19:08,069 --> 00:19:10,738 なぜ 三枝家を 救おうとしないんだ? 221 00:19:10,738 --> 00:19:15,410 あなたの一存で 伝統ある三枝家を 本当につぶしていいんですか? 222 00:19:15,410 --> 00:19:19,080 いいはずがない。 わたしは三枝家をつぶしたくない。 223 00:19:19,080 --> 00:19:22,417 それよりも 我が大河原家と 手を組んで 今よりも更に⇒ 224 00:19:22,417 --> 00:19:25,817 固い基盤を築いていただきたいと 思ってるんです! 225 00:19:27,688 --> 00:19:31,692 手を組むというのは どういうことですか? 226 00:19:31,692 --> 00:19:35,692 ひかるお嬢様と わたしが 結婚するということです。 227 00:19:39,367 --> 00:19:46,067 それだけは お断りする。 ひかるは この猛の嫁になります。 228 00:19:47,708 --> 00:19:51,712 (伝衛門)失礼。 待て。 229 00:19:51,712 --> 00:19:55,716 それなら 小作人たちの話は なかったことにしましょう。 230 00:19:55,716 --> 00:20:00,054 畑だけじゃない。 鍬も鎌も すべてを差し押さえる。 231 00:20:00,054 --> 00:20:03,057 わたしには今更 地主の真似事を する気などない。 232 00:20:03,057 --> 00:20:07,057 畑だってつぶして さら地にすれば 新しい利用価値が生まれるんだ! 233 00:20:09,730 --> 00:20:13,734 残念ながら 致し方ありませんな。 234 00:20:13,734 --> 00:20:23,334 ♪ 235 00:20:36,357 --> 00:20:41,028 (オルガンの音) 236 00:20:41,028 --> 00:20:42,728 旦那様。 237 00:20:44,699 --> 00:20:48,703 いいんですか? これで。 (伝衛門)よいのじゃ。 238 00:20:48,703 --> 00:20:52,707 しかし このままでは 何もかも大河原に…! 239 00:20:52,707 --> 00:20:56,043 ひかるを差し出せと言うのか? 240 00:20:56,043 --> 00:21:03,743 たとえ殺されても 人間には してはならんことがある。 241 00:21:05,386 --> 00:21:07,786 小作人のためでもですか? 242 00:21:29,343 --> 00:21:32,013 (猛)お願いがあります。 おい。 243 00:21:32,013 --> 00:21:34,348 話なら もう 済んだんじゃないのか? 244 00:21:34,348 --> 00:21:37,685 俺の この命を買ってください。 245 00:21:37,685 --> 00:21:46,685 その代わり 三枝家と小作人たちを これまでどおり お願いします! 246 00:21:48,696 --> 00:21:51,365 そんな命 いらない。 247 00:21:51,365 --> 00:21:54,035 大河原さんのためなら 何でもします。 248 00:21:54,035 --> 00:21:56,037 火の中へ飛び込めと言われたら 飛び込みます。 249 00:21:56,037 --> 00:21:58,372 どんなことでもします。 死ぬまで あなたに尽くします。 250 00:21:58,372 --> 00:22:02,072 だから! だから この命を買ってください! 251 00:22:03,711 --> 00:22:07,381 「ひかるお嬢様を 買ってください」と言え。 252 00:22:07,381 --> 00:22:10,781 それなら いくらでも 金を積むぞ。 253 00:22:12,720 --> 00:22:18,726 そうだ。 お前が ひかるをあきらめればいいんだ。 254 00:22:18,726 --> 00:22:24,065 お前があきらめたと知ったら 三枝の旦那も腹がすわるだろう。 255 00:22:24,065 --> 00:22:27,401 帰って旦那に そう言うんだ。 そうすれば⇒ 256 00:22:27,401 --> 00:22:31,739 三枝家のことも 小作人のことも お前の希望どおりにしてやる。 257 00:22:31,739 --> 00:22:35,076 貴様ってヤツは…! 期限は1日。 258 00:22:35,076 --> 00:22:37,745 それができないなら 覚悟しとくんだな。 259 00:22:37,745 --> 00:22:48,756 ♪ 260 00:22:48,756 --> 00:22:51,759 (治平)いやあ。 今日も暑かったなあ 261 00:22:51,759 --> 00:22:53,427 (徹)暑かったな 262 00:22:53,427 --> 00:22:56,764 (治平)今年も 豊作になりそうで 何よりだ 263 00:22:56,764 --> 00:22:59,767 (徹)旦那様の喜ぶ顔が 目に浮かぶだ 264 00:22:59,767 --> 00:23:04,438 (治平)ああ。 これから 忙しくなるぞ (徹)ああ 265 00:23:04,438 --> 00:23:09,443 徹のところは 子だくさんで 人手が多くて助かるだろ?⇒ 266 00:23:09,443 --> 00:23:11,112 わしのところは… (徹)何言ってるだ。⇒ 267 00:23:11,112 --> 00:23:13,447 ちゃんとウチのヤツら 手伝いに行かせっから 268 00:23:13,447 --> 00:23:16,117 (治平)ああ。 そりゃあ助かる (徹)だから頑張って⇒ 269 00:23:16,117 --> 00:23:19,787 たくさん収穫するずら (治平)ああ 270 00:23:19,787 --> 00:23:36,070 ♪ 271 00:23:36,070 --> 00:23:41,075 (勇作)そうだ。 お前が ひかるを あきらめればいいんだ。⇒ 272 00:23:41,075 --> 00:23:45,746 お前があきらめたと知ったら 三枝の旦那も腹がすわるだろう 273 00:23:45,746 --> 00:23:55,089 ♪ 274 00:23:55,089 --> 00:23:59,427 (勇作)愛は美しい。 愛し合う 二人は 誰も引き裂けない。⇒ 275 00:23:59,427 --> 00:24:04,765 が! 愛だけでは 三枝家も 小作人も救えない 276 00:24:04,765 --> 00:24:21,449 ♪ 277 00:24:21,449 --> 00:24:25,453 <ひかるの運命を左右する そのときが⇒ 278 00:24:25,453 --> 00:24:28,853 刻々と 迫りつつあるのでした> 279 00:24:32,727 --> 00:24:36,063 わたし 大河原に嫁に行きます。 280 00:24:36,063 --> 00:24:39,734 もし お嬢さまを 不幸にするようなことがあれば➡ 281 00:24:39,734 --> 00:24:41,402 俺は お前を許さない。 282 00:24:41,402 --> 00:24:45,406 やめてちょうだい! 283 00:24:45,406 --> 00:24:48,409 猛を憎んでください。 恨んでください。 284 00:24:48,409 --> 00:24:50,077 軽蔑してください。 285 00:24:50,077 --> 00:24:53,777 魂の帰る場所…。