1 00:02:47,501 --> 00:02:48,369 2 00:02:48,369 --> 00:02:51,705 (ひかる)ごめんなさい。 わたし一人で 抱えきれなくて。 3 00:02:51,705 --> 00:02:53,405 (猛)ひかるさん。 4 00:02:56,377 --> 00:03:02,049 お母様 白血病ですって。 5 00:03:02,049 --> 00:03:09,056 お医者様が もって あと ひと月の命だろうって。 6 00:03:09,056 --> 00:03:11,392 ひと月…。 7 00:03:11,392 --> 00:03:18,392 わたし 一体 どうしたらいいの? あと ひと月だなんて。 8 00:03:20,401 --> 00:03:22,403 わたし 一体 どうしたら…。 9 00:03:22,403 --> 00:03:42,423 ♪ 10 00:03:42,423 --> 00:03:59,039 ♪ 11 00:03:59,039 --> 00:04:00,739 ひかるさん。 12 00:04:04,378 --> 00:04:09,049 もしよければ 奥様を三枝の屋敷に 引き取らせてください。 13 00:04:09,049 --> 00:04:10,717 お屋敷に? 14 00:04:10,717 --> 00:04:13,387 旦那様との思い出が詰まった あの家で⇒ 15 00:04:13,387 --> 00:04:16,056 奥様に 最後の ひとときを 過ごしていただきたいんです。 16 00:04:16,056 --> 00:04:18,058 それは…。 17 00:04:18,058 --> 00:04:23,397 そうさせてあげることができたら どんなに わたしも うれしいか。 18 00:04:23,397 --> 00:04:27,734 だけど…。 秀子には 俺から話します。 19 00:04:27,734 --> 00:04:30,404 秀子も きっと 分かってくれるはずです。 20 00:04:30,404 --> 00:04:32,739 そうさせてあげることが できたら…。 21 00:04:32,739 --> 00:04:36,439 もしかしたら 奥様の病気だって よくなることも。 22 00:04:39,079 --> 00:04:42,749 でも猛。 お母様の病気のことは⇒ 23 00:04:42,749 --> 00:04:45,449 わたしたちだけの 秘密にしておいてほしいの。 24 00:04:48,021 --> 00:04:53,421 分かってます。 ありがとう 猛。 25 00:04:58,365 --> 00:05:03,370 ♪『Delight of my love』 26 00:05:03,370 --> 00:05:18,385 ♪ 27 00:05:18,385 --> 00:05:28,395 ♪ 28 00:05:28,395 --> 00:05:48,348 ♪ 29 00:05:48,348 --> 00:06:08,368 ♪ 30 00:06:08,368 --> 00:06:27,368 ♪ 31 00:06:34,394 --> 00:06:36,396 ずっと 起きてたのか? 32 00:06:36,396 --> 00:06:40,067 (秀子)すぐに帰ってくると おっしゃってましたから。 33 00:06:40,067 --> 00:06:41,767 すまない。 34 00:06:45,339 --> 00:06:53,680 秀子。 実は 折り入って 相談があるんだ。 35 00:06:53,680 --> 00:06:58,352 三枝の奥様を ウチで 引き取りたいと思っている。 36 00:06:58,352 --> 00:07:01,688 何ですって? 奥様は ご病気なんだ。 37 00:07:01,688 --> 00:07:03,690 このウチで ゆっくり 休んでいただきたいんだ。 38 00:07:03,690 --> 00:07:07,694 嫌よ。 どうして猛が 引き取らなきゃいけないの? 39 00:07:07,694 --> 00:07:10,697 昔は 三枝家の お屋敷だったかもしれないけど⇒ 40 00:07:10,697 --> 00:07:14,397 今では わたしと猛の 生活している家なのよ。 41 00:07:16,036 --> 00:07:19,706 お義姉様に頼まれたのね。 違う。 42 00:07:19,706 --> 00:07:22,709 俺が 引き取りたいと言ったんだ。 43 00:07:22,709 --> 00:07:25,712 奥様は 俺にとっても 母親みたいな人なんだ。 44 00:07:25,712 --> 00:07:27,714 分かってくれ。 嘘 言わないで! 45 00:07:27,714 --> 00:07:31,385 秀子。 やっぱり そうなのね。 46 00:07:31,385 --> 00:07:34,388 何もかも お義姉様の計画どおりなのよ。 47 00:07:34,388 --> 00:07:36,723 大河原へ 友子さんを連れて行ったのも⇒ 48 00:07:36,723 --> 00:07:40,060 母親をここへ住まわせるのも みんな あの人の計画。 49 00:07:40,060 --> 00:07:42,062 兄貴には 友子さんを あてがっておいて⇒ 50 00:07:42,062 --> 00:07:45,332 自分は母親と一緒に この屋敷に 転がり込むつもりなのよ。 51 00:07:45,332 --> 00:07:48,335 そうやって わたしから 猛を奪おうとしてるんだわ! 52 00:07:48,335 --> 00:07:50,671 違う! ひかるさんは そんなこと 考えてない。 53 00:07:50,671 --> 00:07:53,674 そうかしら? だいたい あんな夜中に⇒ 54 00:07:53,674 --> 00:07:57,344 人の男のところに訪ねてくる 神経が どうかしてるのよ! 55 00:07:57,344 --> 00:08:00,347 猛だって どうして すぐに ついて行くの? 56 00:08:00,347 --> 00:08:03,684 お義姉様も猛も おかしいわよ! 俺が 信じられないのか? 57 00:08:03,684 --> 00:08:07,020 こんな話をされて どう信じろっていうの? 58 00:08:07,020 --> 00:08:11,358 信じろって言うなら 信じられるようにしてよ! 59 00:08:11,358 --> 00:08:13,694 秀子! 60 00:08:13,694 --> 00:08:25,372 ♪ 61 00:08:25,372 --> 00:08:28,375 (静子)おやおや。 ずいぶん早い お帰りで。 62 00:08:28,375 --> 00:08:31,044 お義母様。 (静子)朝帰りするんだから⇒ 63 00:08:31,044 --> 00:08:34,047 それなりの覚悟は できてるんだろうね。 64 00:08:34,047 --> 00:08:39,052 すみません。 実は…。 言い訳は結構。 65 00:08:39,052 --> 00:08:41,722 あんたの代わりは ちゃんと友子がやってくれてます。 66 00:08:41,722 --> 00:08:45,992 遠慮せずに 一晩でも二晩でも 泊まってくるといいよ。 67 00:08:45,992 --> 00:08:50,997 母の具合が悪くて 病院へ検査に行ってたんです。 68 00:08:50,997 --> 00:08:55,001 へえ。 朝まで検査かい? 69 00:08:55,001 --> 00:08:57,337 ずいぶん ごていねいな病院もあるもんだね。 70 00:08:57,337 --> 00:08:59,339 ≪(勇作)母さん。 71 00:08:59,339 --> 00:09:01,675 (静子)女房が朝帰りするように なっちゃ おしまいだね。 72 00:09:01,675 --> 00:09:04,344 いいかげん 愛想つかしたら どうなんだい? 73 00:09:04,344 --> 00:09:06,344 (勇作)母さんは引っ込んでてくれ。 74 00:09:10,684 --> 00:09:13,684 どういうことなんだ? 正直に言ってみろ。 75 00:09:15,355 --> 00:09:19,359 なぜ 病院に検査に行って 朝帰りになるんだ? 76 00:09:19,359 --> 00:09:23,363 言えないのか? ひかる。 77 00:09:23,363 --> 00:09:31,371 母の病気が よくないんです。 病気? 病名は? 78 00:09:31,371 --> 00:09:33,371 白血病。 79 00:09:35,375 --> 00:09:38,044 そうだったのか。 80 00:09:38,044 --> 00:09:41,381 長くは生きられないと 言われました。 81 00:09:41,381 --> 00:09:44,651 母は このことを知りません。 82 00:09:44,651 --> 00:09:49,656 お願いです。 このことは 誰にも言わないでください。 83 00:09:49,656 --> 00:09:51,356 分かった。 84 00:09:54,661 --> 00:09:56,997 ひかる。 85 00:09:56,997 --> 00:10:00,397 俺が友子と一緒になるなら 身を引くと言ったそうだな。 86 00:10:02,669 --> 00:10:05,672 たとえ 友子の腹の子が 俺の子だったとしても⇒ 87 00:10:05,672 --> 00:10:08,341 俺は 友子と 一緒になったりはしない。 88 00:10:08,341 --> 00:10:13,680 俺の妻は お前だけだ。 あなた。 89 00:10:13,680 --> 00:10:15,348 ひかる。 90 00:10:15,348 --> 00:10:26,359 ♪ 91 00:10:26,359 --> 00:10:31,364 (絹)どうしたのです? 2日も続けて顔を見せるなど。⇒ 92 00:10:31,364 --> 00:10:35,035 大河原の仕事の 手伝いもあるでしょうに。 93 00:10:35,035 --> 00:10:38,371 そんなに ウチを空けて ご迷惑にならないのですか? 94 00:10:38,371 --> 00:10:42,042 大丈夫です。 お母様の お見舞いに行くと言ったら⇒ 95 00:10:42,042 --> 00:10:46,313 気持ちよく 送り出して くださいました。 そう。 96 00:10:46,313 --> 00:10:50,313 今日は お母様に お話があって来たんです。 97 00:10:51,985 --> 00:10:58,992 実は お母様に 三枝の屋敷に 移っていただきたいんです。 98 00:10:58,992 --> 00:11:02,392 三枝の屋敷に? ええ。 99 00:11:04,331 --> 00:11:11,004 せっかくですが 私は三枝の屋敷に 移るわけにはまいりません。 100 00:11:11,004 --> 00:11:17,010 お母様 まだ猛のことを? 誤解しないでちょうだい。 101 00:11:17,010 --> 00:11:21,348 私は もう猛のことは許しています。 102 00:11:21,348 --> 00:11:27,020 でも たとえ 猛が 昔の猛に戻っていたとしても⇒ 103 00:11:27,020 --> 00:11:31,024 今 あの屋敷に住んでいるのは 猛だけではありません。 104 00:11:31,024 --> 00:11:35,028 秀子さんも いるのでしょう? 105 00:11:35,028 --> 00:11:41,034 秀子さんは お前たちに嫉妬して 自殺までしようとした人です。 106 00:11:41,034 --> 00:11:45,972 その人がいる場所へ お前の母である私が行っても⇒ 107 00:11:45,972 --> 00:11:49,309 ご迷惑を掛けるだけです。 そんなことありません。 108 00:11:49,309 --> 00:11:50,977 猛も秀子さんも⇒ 109 00:11:50,977 --> 00:11:54,314 お母様が来るのを楽しみに してると言ってくれてます。 110 00:11:54,314 --> 00:11:58,652 ひかる。 何かあったのですか? 111 00:11:58,652 --> 00:12:01,988 突然 三枝の家に移れなどと。 112 00:12:01,988 --> 00:12:07,327 本当は検査で 何か悪い結果でも 出たのではないですか? 113 00:12:07,327 --> 00:12:10,330 お母様 言ってるじゃありませんか。 114 00:12:10,330 --> 00:12:14,000 検査の結果は 何の問題もありません。 115 00:12:14,000 --> 00:12:19,673 ただ お医者様も 少し体が 疲れているようだから⇒ 116 00:12:19,673 --> 00:12:23,343 ゆっくり養生したほうがいいと おっしゃってます。 117 00:12:23,343 --> 00:12:28,014 三枝の家なら お母様も 長年 住み慣れていらっしゃるでしょう? 118 00:12:28,014 --> 00:12:34,354 きっと すっかり体調もよくなって…。 119 00:12:34,354 --> 00:12:38,354 今より もっと元気に…。 120 00:12:42,028 --> 00:12:45,428 嫌だ。 お母様が 変なこと おっしゃるから。 121 00:12:50,036 --> 00:12:51,736 ひかる。 122 00:12:53,707 --> 00:12:58,712 分かりました。 お前が そこまで言うなら⇒ 123 00:12:58,712 --> 00:13:02,382 私も三枝の屋敷に ごやっかいになりましょう。 124 00:13:02,382 --> 00:13:07,387 お母様。 よかったわ。 125 00:13:07,387 --> 00:13:11,387 そうと決まれば 早速 準備をしなくては。 126 00:13:23,737 --> 00:13:25,437 ≪(ひかる)ごめんください。 127 00:13:31,411 --> 00:13:34,411 奥様。 お待ちしておりました。 128 00:13:36,082 --> 00:13:39,482 今日から お世話になります。 129 00:13:43,423 --> 00:13:47,423 秀子さんも よろしく お願いします。 130 00:13:49,029 --> 00:13:52,029 さあ。 お上がりください。 ひかるさんも。 131 00:13:56,036 --> 00:14:00,040 あら。 どうしたのです? 132 00:14:00,040 --> 00:14:07,047 覚えていますか? 旦那様が 猛を横浜から連れてきた夜。 133 00:14:07,047 --> 00:14:09,382 お前 ちょうど その辺りで。 134 00:14:09,382 --> 00:14:21,061 ♪ 135 00:14:21,061 --> 00:14:24,064 (絹)あらあら 猛ったら。 136 00:14:24,064 --> 00:14:27,067 あのときの お前の姿 忘れられません。 137 00:14:27,067 --> 00:14:29,069 昨日のことのようです。 138 00:14:29,069 --> 00:14:32,739 あのころは 旦那様にも奥様にも ご迷惑を掛けてばかりでした。 139 00:14:32,739 --> 00:14:36,439 ホントに。 お前は どうしようもない ケダモノ…。 140 00:14:38,078 --> 00:14:42,082 どうしようもない腕白でしたよ。 ケダモノは ひどいです。 141 00:14:42,082 --> 00:14:45,018 そんなことないわ。 あのころの猛は⇒ 142 00:14:45,018 --> 00:14:47,687 ケダモノ以外の 何者でもなかったもの。 143 00:14:47,687 --> 00:14:49,355 お嬢様まで。 144 00:14:49,355 --> 00:14:54,355 (3人の笑い声) 145 00:14:58,031 --> 00:15:00,700 どういうつもり? 146 00:15:00,700 --> 00:15:04,037 わたしは嫌だって はっきり 言ったでしょう? 秀子。 147 00:15:04,037 --> 00:15:05,705 わたしのことなんか どうだっていいの? 148 00:15:05,705 --> 00:15:07,373 ねえ そうなの? 猛。 149 00:15:07,373 --> 00:15:10,710 お前の承諾を得ないまま 呼んだのは すまなかった。 150 00:15:10,710 --> 00:15:12,712 だったら 追い出してよ。 今すぐ追い出して。 151 00:15:12,712 --> 00:15:16,049 それは できん。 頼む。 152 00:15:16,049 --> 00:15:19,052 黙って 俺のしたいように させてくれ。 お願いだ。 153 00:15:19,052 --> 00:15:21,721 嫌よ。 ここは わたしたちの家よ。 154 00:15:21,721 --> 00:15:25,725 この家は 奥様にとって 大切な思い出のある家なんだ。 155 00:15:25,725 --> 00:15:28,728 だから 嫌なのよ。 あの人が来るまで⇒ 156 00:15:28,728 --> 00:15:31,064 この家は わたしと猛の 二人きりだった。 157 00:15:31,064 --> 00:15:34,734 だけど あの人がいたら 昔の猛と ひかるさんの思い出までが⇒ 158 00:15:34,734 --> 00:15:38,434 亡霊のように まとわりついて 離れないじゃないの! 159 00:15:40,073 --> 00:15:43,076 猛が できないなら わたしが追い出すわ。 160 00:15:43,076 --> 00:15:45,345 秀子。 秀子さん。 161 00:15:45,345 --> 00:15:49,349 あなたに嫌な思いを させてしまったことは謝ります。 162 00:15:49,349 --> 00:15:53,353 でも これには訳があるの。 ひかるさん。 163 00:15:53,353 --> 00:15:59,359 母に残された命は あと ひと月もないんです。 164 00:15:59,359 --> 00:16:04,364 本当は 家族の者以外には 内密にしておくつもりでした。 165 00:16:04,364 --> 00:16:07,033 でも 秀子さんには話しておいた ほうが いいと思うので⇒ 166 00:16:07,033 --> 00:16:10,703 話しておきます。 本当なの? 167 00:16:10,703 --> 00:16:15,375 ええ。 白血病なの。 168 00:16:15,375 --> 00:16:20,046 お医者様にも もう手の施しようが ないと言われています。 169 00:16:20,046 --> 00:16:23,446 だけど 母は何も知らないの。 170 00:16:26,052 --> 00:16:29,722 お願いです。 この家は 母にとって⇒ 171 00:16:29,722 --> 00:16:33,059 父との思い出の詰まった 大切な場所なんです。 172 00:16:33,059 --> 00:16:38,398 母には何も知らせず 最期の時を ここで過ごさせてやってください。 173 00:16:38,398 --> 00:16:41,398 お願いします! 頼む。 174 00:16:43,736 --> 00:16:46,339 分かったわよ。 秀子。 175 00:16:46,339 --> 00:16:50,343 ありがとう。 ありがとう 秀子さん。 176 00:16:50,343 --> 00:16:53,346 お礼なんて いいわよ。 177 00:16:53,346 --> 00:17:04,357 ♪ 178 00:17:04,357 --> 00:17:07,694 (猛)大丈夫ですか? (ひかる)ええ。 大丈夫よ。 179 00:17:07,694 --> 00:17:09,394 外に。 180 00:17:18,371 --> 00:17:20,039 (みどり)友子さん まだ 帰ってこないの? 181 00:17:20,039 --> 00:17:21,708 (文彦)あんな女! 先生。 182 00:17:21,708 --> 00:17:24,043 (文彦)何が 「信じて待ってた」だ。 183 00:17:24,043 --> 00:17:27,380 大河原のヤツに いいように だまされやがって。 184 00:17:27,380 --> 00:17:32,380 これじゃ復讐が台なしじゃないか。 小説だって。 ちくしょう! 185 00:17:38,725 --> 00:17:42,425 (猛)出版費用が必要なら いくらでも 俺が出しますよ 186 00:17:51,004 --> 00:17:55,675 奥様。 お母様。 何をなさってるの!? 187 00:17:55,675 --> 00:18:00,346 何だか ここに来たら じっとしていられなくて。⇒ 188 00:18:00,346 --> 00:18:04,017 昔は 使用人が大勢いて 掃除してくれたもんですけど⇒ 189 00:18:04,017 --> 00:18:08,021 一人でやってみると 結構 大変なもんですね。 190 00:18:08,021 --> 00:18:10,023 奥様。 おやめください。 191 00:18:10,023 --> 00:18:12,358 やらせてちょうだい 猛。 192 00:18:12,358 --> 00:18:14,694 お父様との思い出が詰まった この屋敷を⇒ 193 00:18:14,694 --> 00:18:20,033 きれいにしてあげることが 今の 私には いちばん楽しいのです。 194 00:18:20,033 --> 00:18:23,036 ですが…。 猛。 195 00:18:23,036 --> 00:18:25,371 お母様。 わたしも手伝いますわ。 196 00:18:25,371 --> 00:18:27,373 俺も手伝います。 あっ じゃあ あの…。 197 00:18:27,373 --> 00:18:30,376 ここは大丈夫だから 離れのほうを お願いするわ。 198 00:18:30,376 --> 00:18:32,376 はい。 はい。 199 00:18:37,050 --> 00:18:41,054 ずいぶん お元気そうですね。 ええ。 お陰さまで。 200 00:18:41,054 --> 00:18:44,454 ここに来たら ずいぶん調子がよくなって。 201 00:18:51,331 --> 00:18:53,331 (秀子)お手伝いしますわ。 202 00:18:55,001 --> 00:18:57,670 すみませんね。 秀子さんまで。 203 00:18:57,670 --> 00:19:02,008 でも そんなふうに お掃除してらっしゃる姿を見ると⇒ 204 00:19:02,008 --> 00:19:05,408 とても あと ひと月の命とは思えませんわ。 205 00:19:08,348 --> 00:19:13,019 あら ごめんなさい。 今 何と おっしゃって? 206 00:19:13,019 --> 00:19:17,019 わたし 白血病なのを ご存じかと思って。 207 00:19:21,027 --> 00:19:23,427 あと ひと月の命。 208 00:19:25,698 --> 00:19:27,398 そうですか。 209 00:19:34,040 --> 00:19:35,740 ありがとう。 210 00:19:37,710 --> 00:19:40,010 (絹)ありがとう 211 00:19:42,315 --> 00:19:45,318 (絹)旦那様は 夏の日の夕方に こうやって⇒ 212 00:19:45,318 --> 00:19:48,318 皆で スイカを食べるのが お好きだったわね。 213 00:19:51,991 --> 00:19:57,997 私も もうじき 旦那様に会えるのかしら。 214 00:19:57,997 --> 00:20:00,666 何を言うの? お母様。 215 00:20:00,666 --> 00:20:05,004 愛しいお方が 向こうで 待っていてくれるかと思うと⇒ 216 00:20:05,004 --> 00:20:09,008 死ぬのなんか ちっとも怖くありませんよ。 217 00:20:09,008 --> 00:20:11,677 かえって 待ちどおしいぐらいです。 218 00:20:11,677 --> 00:20:14,347 奥様には 長生きしていただかないと。 219 00:20:14,347 --> 00:20:19,018 そうよ。 そんなこと言わないで お母様。 220 00:20:19,018 --> 00:20:22,355 (文彦)お母様も ひかるも 皆さん おそろいですか。 221 00:20:22,355 --> 00:20:27,955 文彦。 猛。 222 00:20:30,029 --> 00:20:33,032 お前に頼みがあるんだ。 223 00:20:33,032 --> 00:20:36,702 この前 僕に出版費用を 出してくれるって言ったろ。 224 00:20:36,702 --> 00:20:38,371 貸してくれないか? 225 00:20:38,371 --> 00:20:41,307 お兄様! 226 00:20:41,307 --> 00:20:43,976 これは 僕に対する先行投資だよ。 227 00:20:43,976 --> 00:20:45,978 今度の作品は 絶対 売れる自信があるんだ。⇒ 228 00:20:45,978 --> 00:20:48,981 倍にして返す。 必ず返すから。 頼むから貸してくれ。⇒ 229 00:20:48,981 --> 00:20:52,318 このとおりだ! いいかげんになさい 文彦。 230 00:20:52,318 --> 00:20:55,988 何なんですか お母様。 お母様は 黙っててください! 231 00:20:55,988 --> 00:20:59,325 これは 僕と猛の話なんですから。 232 00:20:59,325 --> 00:21:01,661 お前が いつまでたっても そんな調子だから⇒ 233 00:21:01,661 --> 00:21:03,661 私は 不安なのです。 234 00:21:05,331 --> 00:21:09,335 私がいなくなったら 誰が お前を 守ってやれるというのです? 235 00:21:09,335 --> 00:21:11,003 (文彦)いなくなる?⇒ 236 00:21:11,003 --> 00:21:14,403 まさか 尼寺にでも お入りになられるんですか? 237 00:21:16,008 --> 00:21:20,346 (文彦)やだな。 どうしたんです? そんな深刻な顔しちゃって。 238 00:21:20,346 --> 00:21:26,018 私に残された命は あと ひと月もないのです。 239 00:21:26,018 --> 00:21:29,355 (文彦)またまた。 ついに僕を懲らしめる⇒ 240 00:21:29,355 --> 00:21:34,955 新しい手を見つけられましたね。 お母様~。 241 00:21:37,029 --> 00:21:39,029 白血病なのですよ。 242 00:21:43,970 --> 00:21:47,370 お前ってヤツは。 (絹)猛! いいんですよ! 243 00:21:53,980 --> 00:22:00,380 嘘だ。 お母様が 死んでしまうなんて 嘘だ。 244 00:22:01,988 --> 00:22:06,325 人に頼って生きるのだけは やめなさい。⇒ 245 00:22:06,325 --> 00:22:09,328 どんなに つらくとも 悲しくとも⇒ 246 00:22:09,328 --> 00:22:12,328 自分自身が 選んだ人生なんですから。 247 00:22:16,335 --> 00:22:23,676 これは 私の遺言だと思って よく聞くんですよ。⇒ 248 00:22:23,676 --> 00:22:29,376 私は お父様に出会えて 本当に幸せでした。 249 00:22:32,351 --> 00:22:39,358 私は 旦那様に守られて 私も 心から旦那様を信頼して。⇒ 250 00:22:39,358 --> 00:22:46,365 今 お前のことを 心から 信じてくれる人がいるはずです。⇒ 251 00:22:46,365 --> 00:22:49,702 その人は お前にとって 掛けがえのない人。 252 00:22:49,702 --> 00:22:53,039 その人のことを 大切になさい。 253 00:22:53,039 --> 00:23:01,039 一生かかって その人のことを 守るんです。 お母様。 254 00:23:05,051 --> 00:23:11,390 私は お前が生まれた日の喜びを⇒ 255 00:23:11,390 --> 00:23:14,390 昨日のことのように 覚えていますよ。 256 00:23:28,074 --> 00:23:29,774 お母様。 257 00:23:32,078 --> 00:23:42,688 ひかる。 人には 誰しも 運命というものがあるのです。 258 00:23:42,688 --> 00:23:49,388 私も やっと それを受け入れる 覚悟ができました。 259 00:23:54,367 --> 00:24:02,041 ひかる。 だから お前も そんな 悲しい顔しないで。 お母様。 260 00:24:02,041 --> 00:24:08,047 <死を前に 決して動じない 母の姿を見て ひかるは⇒ 261 00:24:08,047 --> 00:24:14,047 絹の娘として生まれたことを 心から誇りに思いました> 262 00:24:18,391 --> 00:24:26,065 ひかるの魂と 猛の魂は 生まれる前から➡ 263 00:24:26,065 --> 00:24:28,401 結ばれていたのです。 264 00:24:28,401 --> 00:24:30,736 終わりにしよう。 265 00:24:30,736 --> 00:24:34,407 旦那さまを 困らせないでくださいませ。 266 00:24:34,407 --> 00:24:36,007 ひかるさん! 267 00:24:38,678 --> 00:24:40,680 あなた…! 268 00:24:40,680 --> 00:24:42,380 ひかると猛。