1 00:00:03,003 --> 00:00:04,939 (清塚) これを機に よろしく お願いします。 フー子さん。 2 00:00:05,005 --> 00:00:07,942 (富貴子) 何よ? 改まって。 3 00:00:08,009 --> 00:00:10,945 (清塚) 俺 何となく 地獄に仏感がある。 4 00:00:11,012 --> 00:00:13,948 フー子さんと会って。 5 00:00:14,015 --> 00:00:19,020 (富貴子) 私もよ。 ほっとするわ。 あなたと 一緒だと。 6 00:00:28,029 --> 00:00:29,964 (美輪子) ふん! 7 00:00:30,030 --> 00:00:32,967 (美輪子) 何さ。 8 00:00:33,033 --> 00:00:36,971 こんなもの! こんなもの こんなもの! 9 00:00:37,037 --> 00:00:38,973 こんなもの! 10 00:00:39,039 --> 00:00:43,978 これが 私の 取って置きの プレゼントよ。 お姉ちゃま。 11 00:00:44,045 --> 00:00:46,981 (綱輝) 富貴子さん? 12 00:00:47,048 --> 00:00:50,985 (美輪子) 富貴子って いうけど 彼女 実は ぼたんなのよ。 13 00:00:51,051 --> 00:00:54,989 (綱輝) ぼたん!? (美輪子) そうよ。 14 00:00:55,055 --> 00:00:56,991 あなたが 婚約していた ぼたんなの。 15 00:00:57,057 --> 00:00:59,994 死んでは いなかったのよ。 生きていたの。 16 00:01:00,060 --> 00:01:03,998 (綱輝) えっ? えっ? 違うだろ? 17 00:01:06,000 --> 00:01:10,938 (美輪子) 本当に よみの国から ぼたんが 帰ってきて→ 18 00:01:11,005 --> 00:01:13,941 綱輝さんと 一緒に 座ってるとしか 思えない。 19 00:01:14,008 --> 00:01:17,945 ねえ? 2人の再会を 祝福して 乾杯しましょうよ。 20 00:01:18,012 --> 00:01:20,948 (崑一) ああ。 そうだ そうだ。 はい。 はい。 乾杯。 21 00:01:21,015 --> 00:01:23,951 (美輪子) 乾杯。 (眞澄) 乾杯。 22 00:01:24,018 --> 00:01:27,955 (美輪子) あなたたち うまく いくわよ。 ぼたん。 23 00:01:28,022 --> 00:01:33,961 (富貴子) でも 亡くなった婚約者と ダブルイメージで見られても 困るわ 私。 24 00:01:34,028 --> 00:01:35,963 (美輪子) ダブルイメージなんかじゃ ないわよ。 25 00:01:36,030 --> 00:01:40,034 お姉ちゃま自身が ぼたんなのよ。 >> 📱(メールの着信音) 26 00:01:43,037 --> 00:01:46,974 (美輪子) 誰なの? (富貴子) ちょっと。 27 00:01:47,041 --> 00:01:48,976 (美輪子) 言っときますけど→ 28 00:01:49,043 --> 00:01:52,980 お姉ちゃまの恋人は 綱輝さんだけよ。 29 00:01:53,047 --> 00:01:56,984 他の人に 目移りしちゃ 絶対 駄目よ。 30 00:01:57,051 --> 00:02:00,054 私が 許さないんだから。 31 00:02:31,018 --> 00:02:36,957 {\an8}(萌子) いいわねぇ。 牡丹の着物に 薔薇の着物。→ 32 00:02:37,024 --> 00:02:40,961 {\an8}ああ。 こんな あでやかな 大振り袖を 着られるなんて→ 33 00:02:41,028 --> 00:02:44,965 {\an8}あの子たちは 何て 幸せなのかしら。 34 00:02:45,032 --> 00:02:47,968 {\an8}(眞澄) 以前にも 同じ柄の 着物が あったのよ。→ 35 00:02:48,035 --> 00:02:51,972 {\an8}2人のために 買い揃えたんだけど 火事で 焼けてしまって。 36 00:02:52,039 --> 00:02:54,975 {\an8}(萌子) そうね。 ぜいたくな 着物も 衣装も→ 37 00:02:55,042 --> 00:03:00,981 {\an8}たくさん あったのに 何もかも 全て 灰になっちゃって。 38 00:03:01,048 --> 00:03:03,918 {\an8}(眞澄) お正月用の 着物が ないんじゃ かわいそうだから→ 39 00:03:03,984 --> 00:03:05,920 {\an8}思い切って 新調したの。 40 00:03:05,986 --> 00:03:10,925 {\an8}(萌子) ねえ。 高かったでしょう? 染めが 凝ってるもの。→ 41 00:03:10,991 --> 00:03:14,929 {\an8}これを 着せたら あの子たち 映えるわよ。 42 00:03:14,995 --> 00:03:17,932 {\an8}(眞澄) ええ。 元旦から 着せてやりたかったんだけど→ 43 00:03:17,998 --> 00:03:20,935 私の方が 忙しくって。 以前だったら ぼたんが→ 44 00:03:21,001 --> 00:03:23,938 美輪子の着付けも 全部 してくれたんだけど。 45 00:03:24,004 --> 00:03:25,940 (萌子) ああ。 そうね。 あっ。 46 00:03:26,006 --> 00:03:27,942 (萌子) ねえ。 どうなの? 富貴子は。 47 00:03:28,008 --> 00:03:30,945 このうちに ちゃんと なじんでるの? 48 00:03:31,011 --> 00:03:33,948 (眞澄) ええ。 よく気が付いて のみ込みは 早いし。→ 49 00:03:34,014 --> 00:03:36,951 私が 言う前に あれこれと 手を貸してくれるし→ 50 00:03:37,017 --> 00:03:39,954 ホントに 助かるの。 (萌子) うん。 51 00:03:40,020 --> 00:03:42,957 (眞澄) どういう 親に 育てられたのか 分からないけど→ 52 00:03:43,023 --> 00:03:44,959 申し訳ないくらい。 53 00:03:45,025 --> 00:03:48,963 でも 着物の着付けが できないっていうのは→ 54 00:03:49,029 --> 00:03:51,966 そういう環境だったのねぇ。 55 00:03:52,032 --> 00:03:54,969 お花や お茶の 習い事をしていれば→ 56 00:03:55,035 --> 00:03:58,973 自然と 和服に なじむように なるんだけど。 57 00:03:59,039 --> 00:04:00,975 (眞澄) アメリカ帰りなんだもの。 しかたがないわよ。 58 00:04:01,041 --> 00:04:04,912 わが子ながら 自立心が旺盛で 頼もしいわ。 59 00:04:04,979 --> 00:04:08,916 あら? 以前は 実感が ないとか言って→ 60 00:04:08,983 --> 00:04:11,919 あんなに クールだったのに。 61 00:04:11,986 --> 00:04:14,922 (眞澄) だって 母親ですもの。 私は。 62 00:04:14,989 --> 00:04:17,992 変わったもんだ。 63 00:04:22,997 --> 00:04:25,933 (美輪子) ねえ。 行きましょうよ。 64 00:04:26,000 --> 00:04:27,935 年増女たちが 私たちに 着物を着せたくて→ 65 00:04:28,002 --> 00:04:32,006 うずうずしてるんだから。 (富貴子) そうね。 66 00:04:36,010 --> 00:04:40,948 (美輪子) あっ。 先 行ってて。 私 すぐ 行くから。 67 00:04:41,015 --> 00:04:43,017 (富貴子) じゃあ。 68 00:04:52,026 --> 00:04:53,961 📱(操作音) 69 00:04:54,028 --> 00:04:56,964 (美輪子) あっ。 もしもし。 美輪子です。 70 00:04:57,031 --> 00:04:58,966 これから 私たち 着物に着替えて 出ますけど…。 71 00:04:59,033 --> 00:05:02,903 綱輝さん。 あれを 忘れずにね。 72 00:05:02,970 --> 00:05:09,910 あれね。 持ってきてるよ。 美輪ちゃんが 言うから。 73 00:05:09,977 --> 00:05:11,912 (美輪子) じゃあ 後でね。 今日の お姉ちゃまは→ 74 00:05:11,979 --> 00:05:15,983 一段と 奇麗よ。 楽しみにしてて。 75 00:05:15,983 --> 00:05:38,005 ♪~ 76 00:05:38,005 --> 00:05:40,941 (世奈子) あら。 それ。 (綱輝) ええ。 77 00:05:41,008 --> 00:05:44,945 (世奈子) ぼたんが 最期の最期まで 指に はめていた。 78 00:05:45,012 --> 00:05:47,948 (綱輝) そうです。 僕が贈った 婚約指輪ですよ。 79 00:05:48,015 --> 00:05:50,951 (世奈子) どうして そんなものを? 80 00:05:51,018 --> 00:05:53,954 (綱輝) ずっと たんすの奥に しまいこんで あったんですがね。 81 00:05:54,021 --> 00:05:55,956 (世奈子) ああ…。 82 00:05:56,023 --> 00:05:58,959 (世奈子) 懐かしいわねぇ。 83 00:05:59,026 --> 00:06:02,896 ああ。 火事で こんなに ゆがんで。 84 00:06:02,963 --> 00:06:06,900 金属も こんなに 焼けただれて。 85 00:06:06,967 --> 00:06:13,974 かわいそうに。 熱かったでしょうね。 ぼたん。 86 00:06:15,976 --> 00:06:20,914 綱輝さん。 いいでしょう? これ 私が もらっても。 87 00:06:20,981 --> 00:06:24,918 いや。 申し訳ないですけど→ 88 00:06:24,985 --> 00:06:28,922 僕にとっちゃ 唯一の ぼたんとの 思い出の品なんだから。 89 00:06:28,989 --> 00:06:34,928 (世奈子) 私は 母親なのに ぼたんの遺品は 何一つ ないの。 90 00:06:34,995 --> 00:06:39,933 (綱輝) でも ぼたんに似た人が 現れたじゃないですか。 91 00:06:40,000 --> 00:06:43,937 あんな 偽ぼたん。 冗談じゃないわ。 92 00:06:44,004 --> 00:06:48,942 その 偽ぼたんと 今日 僕は 会うんですよ。 93 00:06:49,009 --> 00:06:53,947 えっ? デートなの? (綱輝) まあね。 94 00:06:54,014 --> 00:06:55,949 やめなさいよ。 あなた。 95 00:06:56,016 --> 00:06:58,952 ぼたんの 思い出を 汚すようなことは しないでよ。 96 00:06:59,019 --> 00:07:01,955 ぼたんとは 似ても似つかない あんな女と。 97 00:07:05,959 --> 00:07:08,896 (萌子) ああ。 ホントに いい景色。 98 00:07:08,962 --> 00:07:12,900 姉妹揃って 絵の中から 抜け出してきたようね。 99 00:07:12,966 --> 00:07:16,904 (眞澄) 2人とも 着物姿が よく板について。 100 00:07:16,970 --> 00:07:19,907 (富貴子) お母さんの 着付けが いいから。 101 00:07:19,973 --> 00:07:21,909 (眞澄) 今日は ローズカフェの 店開きなのね? 102 00:07:21,975 --> 00:07:23,911 (富貴子) ええ。 けじめですから→ 103 00:07:23,977 --> 00:07:26,914 一応 従業員さんたちへの 挨拶もして。 104 00:07:26,980 --> 00:07:28,916 (美輪子) それは お姉ちゃまに お任せね。 105 00:07:28,982 --> 00:07:31,919 (富貴子) じゃあ いってきます。 >> いってらっしゃい。 106 00:07:31,985 --> 00:07:33,987 (眞澄) 気を付けてね。 107 00:07:38,992 --> 00:07:42,930 何だか ため息が出るわねぇ。 108 00:07:42,996 --> 00:07:47,000 (眞澄) あの子たち 今が 一番 いいときねぇ。 109 00:07:53,006 --> 00:07:54,942 (富貴子) もう少し そっちへ 引っ込めましょうよ。 110 00:07:55,008 --> 00:07:56,944 お客さまの通路に 出過ぎてるわ。 111 00:07:57,010 --> 00:08:00,013 (従業員たち) はい。 せーの。 112 00:08:02,015 --> 00:08:05,953 (従業員) こうですか? (富貴子) そう。 そこで いいわ。 113 00:08:06,019 --> 00:08:07,955 いらっしゃいませ。 (綱輝) いやぁ。→ 114 00:08:08,021 --> 00:08:12,960 先日は どうも 失礼しました。 (富貴子) どうも…。 115 00:08:13,026 --> 00:08:15,963 美輪ちゃん さっきまで いたんですけどね。 116 00:08:16,029 --> 00:08:17,965 どこへ 行ったのかしら? (綱輝) いや。 あなたが→ 117 00:08:18,031 --> 00:08:19,967 今日は こっちに 来てるって 聞いたものだから。 118 00:08:20,033 --> 00:08:22,970 すごいですね。 牡丹の模様の 和服。 119 00:08:23,036 --> 00:08:28,041 目が覚めるようだ。 (富貴子) じゃあ こちらへ どうぞ。 120 00:08:35,048 --> 00:08:39,987 (富貴子) 何か 召し上がります? (綱輝) ああ。 そうだな…。 121 00:08:40,053 --> 00:08:41,989 (富貴子) ローズワインなんか いかがかしら? 122 00:08:42,055 --> 00:08:44,992 ほのかに 甘くって 昼間 召し上がるのには→ 123 00:08:45,058 --> 00:08:47,995 ちょうど よろしいわ。 >> じゃあ それを。 124 00:08:48,061 --> 00:08:49,997 (富貴子) こちらに ローズワインを お持ちして。 125 00:08:50,063 --> 00:08:51,999 (従業員) はい。 126 00:08:52,065 --> 00:08:54,001 富貴子さん。 あなたも 座ってください。→ 127 00:08:54,067 --> 00:08:59,072 勤務中だから 駄目ですか? (富貴子) いいんですよ 別に。 128 00:09:04,011 --> 00:09:05,946 (綱輝) 年末から 年明けまで ずっと→ 129 00:09:06,013 --> 00:09:08,949 あなたのこと以外は 何も 考えられなかった。→ 130 00:09:09,016 --> 00:09:11,952 僕にしちゃ 珍しく 家に 閉じこもったままで→ 131 00:09:12,019 --> 00:09:14,955 一人で 心を ときめかせていました。 132 00:09:15,022 --> 00:09:19,960 (富貴子) あのう。 私 そういう お話は あまり 慣れてないんです。 133 00:09:20,027 --> 00:09:21,962 申し訳ないんですけど。 >> いや。 別に→ 134 00:09:22,029 --> 00:09:23,964 亡くなった ぼたんと あなたを ダブらせて→ 135 00:09:24,031 --> 00:09:26,967 言ってるわけじゃ ないんですよ。 (富貴子) だったら いいんですけど。 136 00:09:27,034 --> 00:09:31,972 私 その人のことは あんまり よく知らないですし。 137 00:09:32,039 --> 00:09:34,975 ぼたんとは 結婚式の日取りまで 決めていて。 138 00:09:35,042 --> 00:09:37,978 (富貴子) そうなんですってね。 139 00:09:38,045 --> 00:09:40,981 お亡くなりになって ずいぶん ショックだったでしょうけど→ 140 00:09:41,048 --> 00:09:44,985 私は 私ですから。 >> 分かってますよ そんなこと。 141 00:09:45,052 --> 00:09:46,987 だから ドキッと するんじゃないですか。 142 00:09:47,054 --> 00:09:51,058 (富貴子)「だから」? どうして? 143 00:09:53,060 --> 00:09:54,995 (綱輝) 容姿は 似ていても→ 144 00:09:55,062 --> 00:09:57,998 あなたは 核心に触れることを ずばっと 言うからね。→ 145 00:09:58,065 --> 00:10:01,001 ああ。 ぼたんとは 違うんだ。 146 00:10:01,068 --> 00:10:04,938 全然 違うんだと 思うと かえって スリリングで。 147 00:10:05,005 --> 00:10:09,943 (富貴子) 何でしょう? それって おかしいわ。 148 00:10:10,010 --> 00:10:11,945 始末が 悪いわね。 149 00:10:12,012 --> 00:10:13,947 ぼたんは とても 臆病だったんですよ。 150 00:10:14,014 --> 00:10:16,950 でも あなたは いざとなれば 度胸が あるようだし。 151 00:10:17,017 --> 00:10:20,954 (富貴子) そうやって 何かにつけて 比較して ご覧になるんじゃ→ 152 00:10:21,021 --> 00:10:23,957 私 何だか 針のむしろだわ。 153 00:10:24,024 --> 00:10:27,961 でも 似てるところも ないわけじゃない。 154 00:10:28,028 --> 00:10:31,965 (富貴子) どんなところが? >> それだ。 そういうところ。 155 00:10:32,032 --> 00:10:33,967 (富貴子) えっ? >> そうやって 相手の顔を→ 156 00:10:34,034 --> 00:10:37,971 まともに 見て 話すところ。 そこが そっくり。 157 00:10:38,038 --> 00:10:42,976 (富貴子) 嫌だわ。 話すときに あまり 相手を直視しちゃ→ 158 00:10:43,043 --> 00:10:44,978 女の子らしくないって 言われていたんです。 159 00:10:45,045 --> 00:10:48,982 猫だって まともに 見詰めちゃ 目を 背けるって。 160 00:10:49,049 --> 00:10:50,984 (綱輝) 僕は あなたに 見詰められたら うれしいけどな。 161 00:10:51,051 --> 00:10:53,987 (富貴子) 困るわ。 変なところが 似てるんだわ。 162 00:10:54,054 --> 00:10:55,989 いいじゃないですか。 163 00:10:56,056 --> 00:10:58,992 ぼたんより あなたの方が リアル感があって いい。 164 00:10:59,059 --> 00:11:00,994 \(足音) 165 00:11:01,061 --> 00:11:04,931 (富貴子) あら。 美輪ちゃん。 (美輪子) すてきよ。 あなたたち。 166 00:11:04,998 --> 00:11:07,934 どこから見ても 恋人同士って感じ。 167 00:11:08,001 --> 00:11:09,936 (富貴子) 何 バカなこと 言ってるの? 168 00:11:10,003 --> 00:11:11,938 こちらに お座りなさいよ。 美輪ちゃんも。 169 00:11:12,005 --> 00:11:17,944 (美輪子) でも お邪魔虫になっちゃねぇ。 (富貴子) いいから 座って。 170 00:11:18,011 --> 00:11:20,947 (美輪子) ねえ。 綱輝さん。 今日は 姉妹揃って 着物姿。 171 00:11:21,014 --> 00:11:22,949 目の保養に なるでしょ? 172 00:11:23,016 --> 00:11:26,953 牡丹模様と 薔薇模様。 何て 奇麗なんだ。 173 00:11:27,020 --> 00:11:29,956 (富貴子) 美輪ちゃん。 私たちも 何か 頂きましょうよ。 174 00:11:30,023 --> 00:11:34,961 (美輪子) そうね。 同じく ローズワインにしない? 175 00:11:35,028 --> 00:11:37,964 (富貴子) ええ。 ちょっと。 176 00:11:38,031 --> 00:11:41,034 しょうがないわね。 177 00:11:44,037 --> 00:11:48,041 (美輪子) ねえ。 あれ 持ってきたわね? (綱輝) ああ。 178 00:11:57,050 --> 00:11:59,986 (美輪子) まあ。 ずいぶん 奇麗になってるわ。 179 00:12:00,053 --> 00:12:01,922 宝石屋に 持っていって 磨いてもらったんだけど→ 180 00:12:01,988 --> 00:12:04,925 その 焼けただれたところは もう 直しようがないらしい。 181 00:12:04,991 --> 00:12:06,927 (美輪子) 綱輝さん。 これは 私に任せて。 182 00:12:06,993 --> 00:12:08,929 元通り お姉ちゃまの指に はめさしてみせるわ。 183 00:12:08,995 --> 00:12:10,931 うまくいくかな。 184 00:12:10,997 --> 00:12:12,933 ぼたんが 身に着けていたものだと 分かったら→ 185 00:12:12,999 --> 00:12:14,935 富貴子さん 絶対 嫌だって 言うよ。 186 00:12:15,001 --> 00:12:19,005 (美輪子) 大丈夫。 何とかするわよ。 \(足音) 187 00:12:22,008 --> 00:12:25,946 (富貴子) どうぞ。 お待たせ。 綱輝さんの お代わりの分も。 188 00:12:26,012 --> 00:12:28,014 (綱輝) ああ。 189 00:12:36,022 --> 00:12:41,027 (美輪子) じゃあ 何となく 乾杯しない? (富貴子) 何となくね? 190 00:12:44,030 --> 00:12:45,966 (綱輝) ぜいたくだな。→ 191 00:12:46,032 --> 00:12:51,037 牡丹と薔薇の姉妹と 一緒に 味わう ローズワインか。 192 00:12:53,039 --> 00:12:54,975 (美輪子) ねえ。 お姉ちゃま。 193 00:12:55,041 --> 00:12:58,979 私 こんなものを もらっちゃったんだけど。 194 00:12:59,045 --> 00:13:00,981 彫金を やってる友達が 作ったんだけど→ 195 00:13:01,047 --> 00:13:06,920 これ 失敗作なんですって。 (富貴子) へえー。 失敗作? これが? 196 00:13:06,987 --> 00:13:09,923 (美輪子) ほら。 金属の形が いびつに なって→ 197 00:13:09,990 --> 00:13:11,925 ここんところが 焼けただれてるでしょう? 198 00:13:11,992 --> 00:13:16,930 それに トルコ石は 変に すすけてるし。 199 00:13:16,997 --> 00:13:20,934 (富貴子) そう 言われれば そうね。 200 00:13:21,001 --> 00:13:23,937 でも これは これで 面白みが あるんじゃない? 201 00:13:24,004 --> 00:13:25,939 ちょっと ゆがんだところに 味があって。 202 00:13:26,006 --> 00:13:27,941 (美輪子) そうかしら? 203 00:13:28,008 --> 00:13:31,945 失敗作で 売り物に ならないから 私に くれたのよ。 204 00:13:32,012 --> 00:13:33,947 (富貴子) いいじゃないの。 205 00:13:34,014 --> 00:13:35,949 普段 身に着ける分には 悪くないわ。 206 00:13:36,016 --> 00:13:37,951 美輪ちゃんに 似合ってるんじゃないかしら? 207 00:13:38,018 --> 00:13:41,955 (美輪子) 嫌だ。 こんな 失敗作。 お姉ちゃまに あげる。 208 00:13:42,022 --> 00:13:44,958 (富貴子) だって せっかく もらったんじゃないの。 209 00:13:45,025 --> 00:13:47,961 (美輪子) 第一 サイズが 合わないの。 (富貴子) サイズが? 210 00:13:48,028 --> 00:13:52,032 (美輪子) ねっ。 お姉ちゃま。 着けてみて。 211 00:13:54,034 --> 00:13:58,972 あら。 ぴったり。 うわぁ。 ぴったりじゃないの。 212 00:13:59,039 --> 00:14:01,908 (富貴子) そうね…。 213 00:14:01,975 --> 00:14:04,911 (美輪子) すてきよ。 お姉ちゃま。 とっても 似合ってる。 214 00:14:04,978 --> 00:14:06,913 ねえ。 綱輝さん。 いいと 思わない? 215 00:14:06,980 --> 00:14:08,915 すごいな。 216 00:14:08,982 --> 00:14:11,918 まるで 富貴子さんのために 作られたみたいだ。 217 00:14:11,985 --> 00:14:15,922 何の違和感もなく ぴったり 収まって。 218 00:14:15,989 --> 00:14:17,924 (美輪子) そうよ。 お姉ちゃま。 219 00:14:17,991 --> 00:14:19,926 ずっと前から その指輪を 着けてたみたいよ。 220 00:14:19,993 --> 00:14:23,930 とっても 自然な感じよ。 (富貴子) そうかしら? 221 00:14:23,997 --> 00:14:27,934 でも これは あなたのものだから。 222 00:14:28,001 --> 00:14:32,939 あら? 嫌だ。 抜けなくなっちゃった。 223 00:14:33,006 --> 00:14:34,941 (美輪子) ほらね。 224 00:14:35,008 --> 00:14:38,945 指輪が お姉ちゃまの指から 離れたくないのよ。 225 00:14:39,012 --> 00:14:41,948 (富貴子) どうしよう? ああ。 嫌だ。 226 00:14:42,015 --> 00:14:45,952 駄目だわ。 えい。 227 00:14:46,019 --> 00:14:51,958 ああ。 どうしたのかしら? 抜けない。 外れない。 228 00:14:52,025 --> 00:14:55,962 (美輪子) いいじゃないの。 お姉ちゃま。 そのまま 着けてれば。 229 00:14:56,029 --> 00:14:59,966 何も 無理して 外すことなんか ないわ。 230 00:15:00,033 --> 00:15:01,968 (富貴子) うっ…。 231 00:15:05,972 --> 00:15:10,977 (美輪子) やっぱりね。 お姉ちゃまは ぼたんなのよ。 232 00:15:16,983 --> 00:15:19,919 ぼたん!→ 233 00:15:19,986 --> 00:15:21,988 ぼたん。 234 00:15:26,993 --> 00:15:34,000 (綱輝) ぼたん。 ぼたん。 好きだよ。 愛してる。 235 00:15:40,006 --> 00:15:42,008 (富貴子) うっ…。 236 00:15:44,010 --> 00:15:47,947 (綱輝) 怒ってますか? さっきのこと。 237 00:15:48,014 --> 00:15:50,950 (富貴子) 私は 不意打ちを 食らっただけですから。 238 00:15:51,017 --> 00:15:53,953 あなたに対して 特別な気持ちは 何も ないですから。 239 00:15:54,020 --> 00:15:57,957 (綱輝) すいませんでした。 突然 込み上げるものが あって。 240 00:15:58,024 --> 00:15:59,960 (美輪子) 怒ってないわよ。 241 00:16:00,026 --> 00:16:01,961 ぼたんと キスするくらい 普通じゃないの。 242 00:16:02,028 --> 00:16:06,032 婚約者なんだもの。 >> なら いいけどな。 243 00:16:09,035 --> 00:16:12,972 (美輪子) おいしいわね。 このカクテル。 244 00:16:13,039 --> 00:16:16,976 (富貴子) 気を付けてね。 せっかくの 晴れ着に→ 245 00:16:17,043 --> 00:16:20,980 お酒が 掛かっちゃ 大変よ。 (美輪子) ありがとう。 ぼたん。 246 00:16:21,047 --> 00:16:23,984 私たち 前にも こうして→ 247 00:16:24,050 --> 00:16:25,985 3人で お酒を飲んだことが あったかしら? 248 00:16:26,052 --> 00:16:27,987 (綱輝) なかったよ。 美輪ちゃんは どっちかっていうと→ 249 00:16:28,054 --> 00:16:30,990 僕に 冷淡だったし。 (美輪子) それはね→ 250 00:16:31,057 --> 00:16:32,992 ぼたんが 綱輝さんを 愛してるか どうか→ 251 00:16:33,059 --> 00:16:36,996 ずっと 曖昧だったからなのよ。 ねえ。 そうでしょう? ぼたん。 252 00:16:37,063 --> 00:16:39,999 今だって 猛烈に 綱輝さんを 愛してるか どうか→ 253 00:16:40,066 --> 00:16:43,003 自信は ないでしょう? (富貴子) 自信? 254 00:16:43,069 --> 00:16:45,004 どうして 私に そんなことを 聞くの? 255 00:16:45,071 --> 00:16:50,009 (美輪子) だって キスされても 何だか 冷めた顔して。 256 00:16:50,076 --> 00:16:52,011 やっぱり そこが ぼたんなのよね。 257 00:16:52,078 --> 00:16:55,014 (綱輝) あのときは 拒まれれば 拒むほど→ 258 00:16:55,081 --> 00:16:57,016 僕の方では 熱くなって。 259 00:16:57,083 --> 00:17:01,020 (美輪子) 言っときますけどね 綱輝さん。 ぼたんは まだ バージンのままよ。 260 00:17:01,087 --> 00:17:04,023 セックスに対しては とても 潔癖なんだから。 261 00:17:04,090 --> 00:17:11,030 (富貴子) 潔癖? 誰のこと 言ってるの? (美輪子) ぼたんよ。 あなたよ。 262 00:17:11,097 --> 00:17:15,034 (富貴子) 私は 別に。 潔癖というほどでも ないし→ 263 00:17:15,101 --> 00:17:20,039 バージンでも ないわよ。 アメリカ人と 結婚もしていたし。 264 00:17:20,106 --> 00:17:23,042 (美輪子) アメリカ人と? (富貴子) そうよ。 265 00:17:23,109 --> 00:17:27,046 背の高い こんなに大きな アメリカ人と。 266 00:17:27,113 --> 00:17:29,048 (美輪子) 何ですって? 267 00:17:29,115 --> 00:17:31,050 (富貴子) セックスライフも それなりに 楽しんでたわよ。 268 00:17:31,117 --> 00:17:33,987 (美輪子) やめて! 269 00:17:34,053 --> 00:17:39,058 よして。 よして。 ひどい! 270 00:17:41,060 --> 00:17:45,999 どうして そんな嘘を言うのよ! (富貴子) 嘘? 271 00:17:46,065 --> 00:17:51,004 (美輪子) 嘘。 嘘よ。 そんな 口から 出任せばかり。 272 00:17:51,070 --> 00:17:55,008 あんまりだわ。 嘘を言うにも 程があるわよ。 273 00:17:55,074 --> 00:17:57,010 ぼたんが そんな 見え透いたことを。 274 00:17:57,076 --> 00:18:01,014 (富貴子) 見え透いたこと? >> 美輪ちゃんは 繊細だからね。 275 00:18:01,080 --> 00:18:04,017 ぼたんが 死んだことは 思い出したくないんだろう。 276 00:18:04,083 --> 00:18:09,022 (美輪子 泣き声) 277 00:18:09,088 --> 00:18:13,026 (富貴子) ねえ。 美輪ちゃん。 あなたの気持ちも 分かるけど→ 278 00:18:13,092 --> 00:18:15,028 しっかりと 現実を 見なきゃ駄目よ。 279 00:18:15,094 --> 00:18:19,032 私は ぼたんじゃないのよ。 富貴子なのよ。 280 00:18:19,098 --> 00:18:22,035 (美輪子) だから 富貴子は ぼたんじゃないの! 281 00:18:22,101 --> 00:18:28,041 その証拠に 婚約指輪を してるじゃないの。 282 00:18:28,107 --> 00:18:30,109 (富貴子) これ? 283 00:18:32,045 --> 00:18:34,981 (美輪子) そうよ。 その指輪は→ 284 00:18:35,048 --> 00:18:38,985 綱輝さんから ぼたんに贈られた 婚約指輪なのよ。 285 00:18:39,052 --> 00:18:42,989 さっきから 何度 引っ張っても 抜けない その指輪。 286 00:18:43,056 --> 00:18:46,993 もう ぼたんの体の一部に なってるのよ! 287 00:18:47,060 --> 00:18:52,999 (富貴子) これが? これが 婚約指輪なの? 288 00:18:53,066 --> 00:18:58,004 だまして 悪かったけど 実は そうなんだ。 289 00:18:58,071 --> 00:19:03,009 (富貴子) これが…。 これが? 290 00:19:03,076 --> 00:19:05,078 うっ…。 291 00:19:09,082 --> 00:19:13,019 (美輪子) もう 何を言っても 駄目よ。 覚悟しなさいよ。 292 00:19:13,086 --> 00:19:16,089 ぼたんは ぼたんなんだから! 293 00:19:18,091 --> 00:19:21,027 昔から 私たち 幸せだったじゃない。 294 00:19:21,094 --> 00:19:24,030 田園調布のときのように…。 あのときのように→ 295 00:19:24,097 --> 00:19:27,033 幸せになりましょうね? ぼたん。 296 00:19:27,100 --> 00:19:32,972 (富貴子) あのとき? 田園調布のとき? でも あの家は もう ないのよ? 297 00:19:33,039 --> 00:19:35,975 (美輪子) ええ。 惜しいことに パパが 売っ払っちゃったけど。 298 00:19:36,042 --> 00:19:38,978 (富貴子) 売っ払った? 焼けたんでしょう? 299 00:19:39,045 --> 00:19:42,982 (美輪子) でも 今の家だって 楽しいことに 変わりはないわ。 300 00:19:43,049 --> 00:19:46,986 ぼたんだって 綱輝さんという 立派な婚約者が いるんだし→ 301 00:19:47,053 --> 00:19:49,989 結婚に向かって 真っすぐに 進んでいけばいいわ。 302 00:19:50,056 --> 00:19:51,991 (富貴子) 結婚? 303 00:19:52,058 --> 00:19:56,996 (美輪子) ああ。 幸せ。 ぼたん 大好き。 304 00:19:57,063 --> 00:20:00,066 お姉ちゃま 大好き。 305 00:20:07,073 --> 00:20:12,011 (眞澄) まあ ひどい。 何てことしたの? 美輪子は。 306 00:20:12,078 --> 00:20:14,013 (美輪子) だって ぼたんが→ 307 00:20:14,080 --> 00:20:16,015 言っては いけないことを 言ったんだもの。 308 00:20:16,082 --> 00:20:20,086 (眞澄) とにかく 着物を脱ぎなさい。 すぐに クリーニングに出すわ。 309 00:20:24,090 --> 00:20:29,028 (富貴子) 大丈夫かしら? (眞澄) アルコール分が 着物に掛かると→ 310 00:20:29,095 --> 00:20:31,965 染料が にじんでしまうことが あるの。 311 00:20:32,031 --> 00:20:35,969 (富貴子) すみません。 (眞澄) あなたが 謝ることは ないわ。 312 00:20:36,035 --> 00:20:37,971 美輪子が 変なんだもの。 313 00:20:38,037 --> 00:20:43,977 (富貴子) 美輪ちゃん。 私と ぼたんの 区別が つかなくなってるの。 314 00:20:44,043 --> 00:20:48,982 (眞澄) そうね。 あなたは 居心地が 悪いかもしれないけど→ 315 00:20:49,048 --> 00:20:52,986 お姉ちゃまなんだから 我慢してやってくれないかしら? 316 00:20:53,052 --> 00:20:55,989 (富貴子) でも 火事のことも→ 317 00:20:56,055 --> 00:20:59,993 なかったみたいなことを 言うんだもの。 信じられないわ。 318 00:21:00,059 --> 00:21:03,997 (眞澄) あの事件のことは 全て 忘れたいのよ。 319 00:21:04,063 --> 00:21:08,001 ストーカーに ぼたんが 刺されたことも→ 320 00:21:08,067 --> 00:21:11,004 死体ともども 火事で 家が 焼けたことも。 321 00:21:11,070 --> 00:21:13,006 何も なかったことにして→ 322 00:21:13,072 --> 00:21:16,009 以前のような 幸せに 戻りたいのよ。 323 00:21:16,075 --> 00:21:20,013 (富貴子) その気持ちは 分かるけど…。 324 00:21:20,079 --> 00:21:24,017 (眞澄) あなた。 美輪子の 手首の傷痕を 見たでしょう? 325 00:21:24,083 --> 00:21:29,088 大変だったのよ。 かみそりで 手首を切って。 326 00:21:38,031 --> 00:21:41,968 (眞澄) 気付くのが 少し 遅かったら 失血死してたわ。 327 00:21:42,035 --> 00:21:46,973 もう 二度と あんなまねは させられない。 328 00:21:47,040 --> 00:21:50,977 お願いだから あの子の言うままに させてやって。 329 00:21:51,044 --> 00:21:53,980 (富貴子) お母さん。 330 00:21:54,047 --> 00:21:56,983 (眞澄) 美輪子の中で ぼたんは 生きてるのよ。 331 00:21:57,050 --> 00:21:58,985 それが あなたなの。 332 00:21:59,052 --> 00:22:05,058 ねえ。 あの子の イメージのままに してやってちょうだい。 333 00:22:05,058 --> 00:22:14,067 ♪~