1 00:02:02,045 --> 00:02:04,047 (山城守)そやつを打ち据えて 白状させい 2 00:02:04,047 --> 00:02:06,047 (平山)はっ! 3 00:02:21,064 --> 00:02:41,084 ♬~ 4 00:02:41,084 --> 00:03:01,037 ♬~ 5 00:03:01,037 --> 00:03:21,057 ♬~ 6 00:03:21,057 --> 00:03:35,057 ♬~ 7 00:03:47,083 --> 00:03:50,086 (お鯉の方)知れたのですか? 新吾の所在は 8 00:03:50,086 --> 00:03:55,091 (お縫)あ… それが… お預けが解けて➡ 9 00:03:55,091 --> 00:03:57,026 一度 秩父へ お戻りになったことは➡ 10 00:03:57,026 --> 00:03:59,028 確かなんでございます 11 00:03:59,028 --> 00:04:03,032 それなのに 秩父に人をやっても お姿が見えず➡ 12 00:04:03,032 --> 00:04:06,035 誰もお行方を知らぬと 申すのでございます 13 00:04:06,035 --> 00:04:08,037 なんという… 14 00:04:08,037 --> 00:04:11,040 そんなことが あってよいものか 15 00:04:11,040 --> 00:04:13,042 は… はい 16 00:04:13,042 --> 00:04:16,045 お番役 真崎庄三郎は 何をしているのです 17 00:04:16,045 --> 00:04:21,050 庄三郎先生も 新吾様と 御一緒らしゅうございます 18 00:04:21,050 --> 00:04:24,050 庄三郎はついているのか (お縫)はい 19 00:04:28,057 --> 00:04:30,059 それにしても あの子は➡ 20 00:04:30,059 --> 00:04:35,064 どこまで この私に心配をさせれば 気が済むのでしょう 21 00:04:35,064 --> 00:04:39,068 お方様 22 00:04:39,068 --> 00:04:45,074 夜の目も眠れずに 気をもんでいる母の気持ちが➡ 23 00:04:45,074 --> 00:04:49,074 新吾には 少しも通じぬのであろうか 24 00:04:54,083 --> 00:04:56,085 (人々の悲鳴) 25 00:04:56,085 --> 00:04:59,021 (商人の慌てる声) 26 00:04:59,021 --> 00:05:02,024 (男性)このじじい! (男性)この野郎! 27 00:05:02,024 --> 00:05:04,026 (男性)この野郎! 28 00:05:04,026 --> 00:05:06,028 うっ… 29 00:05:06,028 --> 00:05:09,031 (彦十郎)やい 今年から➡ 30 00:05:09,031 --> 00:05:11,033 この鹿島様の縄張りは 鉾田一家のもんだ 31 00:05:11,033 --> 00:05:14,036 ここで商売がしたかったら 所場代を払うこったな 32 00:05:14,036 --> 00:05:17,039 この野郎! 33 00:05:17,039 --> 00:05:20,039 (男性たち)この野郎… わっ! 34 00:05:30,052 --> 00:05:32,052 フフフ… 35 00:05:34,056 --> 00:05:36,058 何? 36 00:05:36,058 --> 00:05:38,060 秩父で兄貴を斬ったのは てめえだな 37 00:05:38,060 --> 00:05:41,063 (新吾)虎松は斬ったのではない 38 00:05:41,063 --> 00:05:44,066 木刀で打ったが 悪行の報いで息が絶えた 39 00:05:44,066 --> 00:05:47,069 お前たちも これ以上 領民を泣かせると天罰が下るぞ 40 00:05:47,069 --> 00:05:49,071 何を抜かしやんでい やっちまえ! 41 00:05:49,071 --> 00:05:51,071 (男性)この野郎! 42 00:05:56,078 --> 00:05:58,014 (男性)この野郎! 43 00:05:58,014 --> 00:06:01,017 (男性)この野郎 44 00:06:01,017 --> 00:06:04,020 (男性)この…!➡ 45 00:06:04,020 --> 00:06:06,022 それ! 46 00:06:06,022 --> 00:06:24,040 ♬~ 47 00:06:24,040 --> 00:06:26,040 この野郎 48 00:06:29,045 --> 00:06:31,045 うっ 49 00:06:41,057 --> 00:06:44,057 覚えてろ! 野郎ども出直しだ! 50 00:06:51,067 --> 00:06:53,069 (お咲)新吾様 51 00:06:53,069 --> 00:06:56,072 あっ 先生 見てらっしゃったんですか 52 00:06:56,072 --> 00:07:00,072 ハハッ やつら たわいなく 逃げていきましたよ 53 00:07:04,013 --> 00:07:06,015 先生? (庄三郎)お話があります 54 00:07:06,015 --> 00:07:08,015 船津屋へ帰りましょう 55 00:07:14,023 --> 00:07:17,026 ≪ 先生 私に手を引けと おっしゃるんですか 56 00:07:17,026 --> 00:07:20,029 代官の悪を正すには 別の道がありましょう 57 00:07:20,029 --> 00:07:23,032 あなたが 渦中に 巻き込まれる必要はありません 58 00:07:23,032 --> 00:07:26,035 先生 お聞きなさい 59 00:07:26,035 --> 00:07:31,040 先ほどあなたは やくざ者を相手に 得意になっておられた 60 00:07:31,040 --> 00:07:34,043 もし… 61 00:07:34,043 --> 00:07:36,045 もし あなたの母上が… 62 00:07:36,045 --> 00:07:41,050 お鯉の方様があの姿を御覧なったら 何と思われるでしょう 63 00:07:41,050 --> 00:07:49,058 新吾様 私は こんな時分から 男手一つで育ててまいりました 64 00:07:49,058 --> 00:07:52,061 お乳を飲ませ むつきを替え➡ 65 00:07:52,061 --> 00:07:55,061 世間の母親と 同じようなことをして… 66 00:07:58,000 --> 00:08:00,000 だから… 67 00:08:03,005 --> 00:08:08,005 だから 私には 母親の心が分かるんです 68 00:08:18,020 --> 00:08:21,023 めっぽう腕の立つ 若え浪人者で 69 00:08:21,023 --> 00:08:24,026 どうにも 歯が立たねえんでござんす 70 00:08:24,026 --> 00:08:28,030 (下島)やはり無理か (彦十郎)えっ? 71 00:08:28,030 --> 00:08:31,033 教えてやろう やつは葵 新吾だ 72 00:08:31,033 --> 00:08:34,036 葵 新吾… 73 00:08:34,036 --> 00:08:37,039 あっ まさか あの将軍様の… 74 00:08:37,039 --> 00:08:40,042 その将軍の御長子だ (彦十郎)えっ? 75 00:08:40,042 --> 00:08:43,045 だからこそ 虎松を殺しても見逃していたのだ 76 00:08:43,045 --> 00:08:46,048 そ… それじゃあ このけんかは到底… 77 00:08:46,048 --> 00:08:48,050 なに 相手にも弱みはある 78 00:08:48,050 --> 00:08:50,052 と おっしゃいますと? 79 00:08:50,052 --> 00:08:53,055 (下島)考えてもみろ 80 00:08:53,055 --> 00:08:56,058 <風は冷たく 川面を渡り➡ 81 00:08:56,058 --> 00:09:02,999 父に背いた娘の胸が 葵の花に ふと揺れる> 82 00:09:02,999 --> 00:09:08,004 (お咲)私は元鹿島神宮に仕える みこだったんです 83 00:09:08,004 --> 00:09:11,007 (お咲)10歳のとき 宮司さんに見込まれて➡ 84 00:09:11,007 --> 00:09:13,009 養女に引き取られ➡ 85 00:09:13,009 --> 00:09:17,013 みこ勤めを するようになったんです 86 00:09:17,013 --> 00:09:20,016 けど そのうちやくざ者の子だと 知れ渡って➡ 87 00:09:20,016 --> 00:09:22,018 みこ仲間にいじめられ➡ 88 00:09:22,018 --> 00:09:25,018 とうとう お宮から 逃げ出してしまったんです 89 00:09:27,023 --> 00:09:32,023 死のうと思って 船津屋の御主人に拾われたんです 90 00:09:34,030 --> 00:09:37,033 父は 神宮警護の役目です 91 00:09:37,033 --> 00:09:42,038 世間の非難の手前 私を娘と呼べないんです 92 00:09:42,038 --> 00:09:48,044 お前 親子一緒に暮らしたいとは 思わないか? 93 00:09:48,044 --> 00:09:50,044 新吾様は? 94 00:09:53,049 --> 00:09:56,986 お母様と御一緒に住みたいと… 95 00:09:56,986 --> 00:10:01,986 私は… 私は母上のお顔も知らない 96 00:10:03,993 --> 00:10:05,993 どんな お方なのか 97 00:10:07,997 --> 00:10:09,997 新吾様 98 00:10:15,004 --> 00:10:17,004 ≪(繁蔵)先生! 99 00:10:19,008 --> 00:10:22,011 (繁蔵)お咲さん! 100 00:10:22,011 --> 00:10:25,014 (繁蔵)えれえこった 親分が一人で代官所へ 101 00:10:25,014 --> 00:10:28,017 何? 代官所へ? おとっつぁんが? 102 00:10:28,017 --> 00:10:30,019 へい みすみす火の中へ 飛び込むようなもんだ 103 00:10:30,019 --> 00:10:32,021 行かねえでくだせえって➡ 104 00:10:32,021 --> 00:10:34,023 泣くようにして 頼んだんでござんすが… 105 00:10:34,023 --> 00:10:36,025 それにしても なぜ 私にも言わずに 106 00:10:36,025 --> 00:10:38,027 (佐吉)何ですって? 107 00:10:38,027 --> 00:10:42,031 (下島)お前たち一家には 気の毒なことになったが… 108 00:10:42,031 --> 00:10:44,033 そんなむちゃな 109 00:10:44,033 --> 00:10:47,036 神宮警護は 父祖代々 私どものお役目となってるものを 110 00:10:47,036 --> 00:10:49,038 今更… 111 00:10:49,038 --> 00:10:51,040 寺社奉行様の御命令だ 112 00:10:51,040 --> 00:10:54,043 寺社奉行様が? 113 00:10:54,043 --> 00:10:57,980 のう 佐吉 虎松の訴えがあって➡ 114 00:10:57,980 --> 00:10:59,982 秩父で お前を縛ったりはしたが➡ 115 00:10:59,982 --> 00:11:01,984 別に わし個人としては➡ 116 00:11:01,984 --> 00:11:04,987 お前たち一家を どうこう思ってる わけではないのだ➡ 117 00:11:04,987 --> 00:11:07,990 わしの役目からすれば➡ 118 00:11:07,990 --> 00:11:10,993 鹿島一家だろうと 鉾田一家だろうと➡ 119 00:11:10,993 --> 00:11:12,995 要は御大祭が うまくいきさえすれば➡ 120 00:11:12,995 --> 00:11:14,997 それでいいのだ➡ 121 00:11:14,997 --> 00:11:18,997 まあ 今年はおとなしく 代官所に任しておけ 122 00:11:21,003 --> 00:11:26,008 それより お前の所においでの 新吾様のことだが 123 00:11:26,008 --> 00:11:28,010 えっ? (下島)まだ御親子御対面が➡ 124 00:11:28,010 --> 00:11:31,013 済まぬ 大事なお体 125 00:11:31,013 --> 00:11:33,015 やくざと関わりがあるなどと 知れては➡ 126 00:11:33,015 --> 00:11:36,015 取り返しのつかないことになるぞ 127 00:11:38,020 --> 00:11:42,020 もし お名に傷のつくような ことになってはのう 128 00:11:44,026 --> 00:11:47,029 お前ほどの男だ 129 00:11:47,029 --> 00:11:50,029 その辺をよくわきまえてのう 130 00:11:55,037 --> 00:11:57,039 それで 親分は➡ 131 00:11:57,039 --> 00:11:59,041 まさか うんと言ったんじゃ ござんすまいね 132 00:11:59,041 --> 00:12:02,044 他に返事のしようがあるめえ 133 00:12:02,044 --> 00:12:04,046 (繁蔵)そりゃ あんまりだ親分 134 00:12:04,046 --> 00:12:07,049 郡代役人の直支配ってのは 名目だけで➡ 135 00:12:07,049 --> 00:12:10,052 その実 鉾田一家が務めるに 決まってまさ 136 00:12:10,052 --> 00:12:12,054 先祖代々の誉れのお役目を➡ 137 00:12:12,054 --> 00:12:15,054 みすみす 鉾田一家に 横取りされるんですぜ 138 00:12:18,060 --> 00:12:20,062 (繁蔵)いや それだけじゃねえ 139 00:12:20,062 --> 00:12:22,064 やつら神宮警護のお役目を かさに着て➡ 140 00:12:22,064 --> 00:12:25,067 鹿島の町民や祭礼に集まる 商人たちから➡ 141 00:12:25,067 --> 00:12:27,067 搾れるだけ搾ろうって 魂胆ですぜ 142 00:12:31,073 --> 00:12:35,077 先生 寺社奉行の命令というのは 本当でしょうか 143 00:12:35,077 --> 00:12:38,080 恐らくうそが七分でしょう しかし… 144 00:12:38,080 --> 00:12:40,082 (佐吉)いや 145 00:12:40,082 --> 00:12:44,086 これは やくざ渡世の 争いでございます 146 00:12:44,086 --> 00:12:47,089 先生のお力を お借りしたとあっちゃ➡ 147 00:12:47,089 --> 00:12:50,089 あっしが 世間の物笑いになります 148 00:12:52,094 --> 00:12:55,097 御心配おかけして 申し訳ございませんが➡ 149 00:12:55,097 --> 00:13:01,036 どうぞ お手をお引きくださいまし お願い申します 150 00:13:01,036 --> 00:13:04,039 佐吉 151 00:13:04,039 --> 00:13:08,043 お前 代官を斬って死ぬ気だな 152 00:13:08,043 --> 00:13:11,046 な… 何をおっしゃいます あ… あっしは… 153 00:13:11,046 --> 00:13:13,048 言うな 154 00:13:13,048 --> 00:13:19,054 一時にもせよ 私はお前と子弟の縁を結んだ 155 00:13:19,054 --> 00:13:21,054 私の目を偽れると思うか 156 00:13:23,058 --> 00:13:25,058 先生 157 00:13:29,064 --> 00:13:31,066 私は江戸へ行こう 新吾様 158 00:13:31,066 --> 00:13:35,070 先生 私のわがまま 通させてください 159 00:13:35,070 --> 00:13:38,073 目的は分かりませんが 私も江戸へお供します 160 00:13:38,073 --> 00:13:41,076 先生も来てくださるんですか 161 00:13:41,076 --> 00:13:43,078 私は新吾様お番役です 162 00:13:43,078 --> 00:13:46,081 おそばを 離れるわけにはまいりません 163 00:13:46,081 --> 00:13:49,084 先生 (佐吉)新吾様 164 00:13:49,084 --> 00:13:51,086 何も聞くな 165 00:13:51,086 --> 00:13:53,088 私が帰るまで➡ 166 00:13:53,088 --> 00:13:56,088 繁蔵とどっかへ 身を潜めて待っていてくれ 167 00:13:59,028 --> 00:14:02,031 決して動いてはいかんぞ 168 00:14:02,031 --> 00:14:04,031 はい 169 00:14:08,037 --> 00:14:13,042 新吾様 一体 今まで どこをうろついていらしたんです 170 00:14:13,042 --> 00:14:15,044 秩父に 修行に戻るとおっしゃって➡ 171 00:14:15,044 --> 00:14:17,046 伊予の西条を おたちになったくせに➡ 172 00:14:17,046 --> 00:14:20,049 秩父にもいらっしゃらないし 江戸にもいらっしゃらない➡ 173 00:14:20,049 --> 00:14:22,051 お方様は御心痛のあまり➡ 174 00:14:22,051 --> 00:14:26,055 夜もお休みに なれないんでございますよ 175 00:14:26,055 --> 00:14:29,055 母上は それほど 私のような子を… 176 00:14:31,060 --> 00:14:34,063 実は 私は 叔父上 頼安様に願い事があって➡ 177 00:14:34,063 --> 00:14:36,065 江戸へ出てきたのだ 178 00:14:36,065 --> 00:14:38,067 新吾様 179 00:14:38,067 --> 00:14:41,067 新吾様は お方様の命なんです 180 00:14:45,074 --> 00:14:47,074 悪かった 181 00:14:49,078 --> 00:14:51,080 こんな不肖の子を それほどまでに思ってくださる➡ 182 00:14:51,080 --> 00:14:53,080 母上のお心も知らず… 183 00:14:56,085 --> 00:14:59,021 新吾様 184 00:14:59,021 --> 00:15:01,023 先生 185 00:15:01,023 --> 00:15:04,026 先生のお叱りが 今になって身にしみます 186 00:15:04,026 --> 00:15:06,026 お許しください 187 00:15:10,032 --> 00:15:15,037 新吾様 いっそ 大奥へ上がって お方様にお目通りなさっては? 188 00:15:15,037 --> 00:15:18,040 何? 189 00:15:18,040 --> 00:15:21,043 お会いになりとうございますか? 190 00:15:21,043 --> 00:15:24,046 できるのか? そんなことが 191 00:15:24,046 --> 00:15:27,046 えっ はい… 192 00:15:29,051 --> 00:15:32,054 会いたい 193 00:15:32,054 --> 00:15:36,054 できるものなら… 何としても会いたい 194 00:15:38,060 --> 00:15:41,063 お互いに慕い合っている 実の親子が会えないなんて➡ 195 00:15:41,063 --> 00:15:45,067 そんなことが あってよいものでしょうか 196 00:15:45,067 --> 00:15:49,071 いいえ 会わそうとしない世間が➡ 197 00:15:49,071 --> 00:15:52,074 この大奥のしきたりが 悪いのでございます 198 00:15:52,074 --> 00:15:55,074 大奥のしきたり… 199 00:16:05,020 --> 00:16:09,024 縫… 私は そのしきたりを破ってみせる 200 00:16:09,024 --> 00:16:12,027 えっ 201 00:16:12,027 --> 00:16:15,030 新吾を大奥へ呼び寄せるのです 202 00:16:15,030 --> 00:16:21,036 この部屋へ 新吾を連れてくるのです 203 00:16:21,036 --> 00:16:24,039 お方様 204 00:16:24,039 --> 00:16:26,039 何かよい手だてはないものか 205 00:16:29,044 --> 00:16:33,044 そう… 医者にすればよい 206 00:16:36,051 --> 00:16:41,056 医者なれば かごのまま 大奥まで通れるしきたり 207 00:16:41,056 --> 00:16:43,058 新吾を医者に仕立てよう 208 00:16:43,058 --> 00:16:45,058 お方様 209 00:16:47,062 --> 00:16:49,064 縫は 空恐ろしくなりました 210 00:16:49,064 --> 00:16:52,067 男子禁制の大奥➡ 211 00:16:52,067 --> 00:16:56,071 御先代のころの絵島様の 事件もございます 212 00:16:56,071 --> 00:16:58,006 万一 事が現れれば➡ 213 00:16:58,006 --> 00:17:03,011 お方様の身も 無事には 済まないのでございますよ 214 00:17:03,011 --> 00:17:05,013 かまわぬ (お縫)えっ 215 00:17:05,013 --> 00:17:10,013 母が我が子に会うのに 何の不思議があろう 216 00:17:13,021 --> 00:17:18,026 たとえ 遠島 獄門になろうと 217 00:17:18,026 --> 00:17:20,026 お方様 218 00:17:22,030 --> 00:17:26,030 私は 新吾に会います 219 00:17:36,044 --> 00:17:38,044 (庄三郎)さあ 220 00:17:40,048 --> 00:17:46,054 新吾様 どんなことがあっても ものを言ってはいけませんよ 221 00:17:46,054 --> 00:17:48,054 うん 222 00:17:52,060 --> 00:17:54,062 私が付き添っていますから➡ 223 00:17:54,062 --> 00:17:56,064 何を聞かれても返事をせず じっとしていてください 224 00:17:56,064 --> 00:18:00,002 分かった 225 00:18:00,002 --> 00:18:02,002 お願いいたす 226 00:18:04,006 --> 00:18:24,026 ♬~ 227 00:18:24,026 --> 00:18:31,033 ♬~ 228 00:18:31,033 --> 00:18:33,033 (武士)待たれい 229 00:18:35,037 --> 00:18:37,039 お鯉の方様 御病気にて➡ 230 00:18:37,039 --> 00:18:39,041 中山香庵先生 御診察のため通ります 231 00:18:39,041 --> 00:18:41,041 夜中 お役目御苦労に存じます 232 00:18:47,049 --> 00:18:49,051 (武士)さあ 233 00:18:49,051 --> 00:19:09,004 ♬~ 234 00:19:09,004 --> 00:19:23,018 ♬~ 235 00:19:23,018 --> 00:19:28,023 いよいよ 大奥の通用口です これが最後です 236 00:19:28,023 --> 00:19:30,025 うん 237 00:19:30,025 --> 00:19:43,038 ♬~ 238 00:19:43,038 --> 00:19:45,040 (武士)いずれへ参られる 239 00:19:45,040 --> 00:19:47,042 お鯉の方様 御病気にて➡ 240 00:19:47,042 --> 00:19:50,045 中山香庵先生 御診察のため通ります 241 00:19:50,045 --> 00:19:53,048 夜中 お役目御苦労 お方様は よほどお悪いか 242 00:19:53,048 --> 00:19:56,051 はい それで急いでいます 御免ください 243 00:19:56,051 --> 00:19:59,051 うん どうぞ ≪(平山)しばらく 244 00:20:02,991 --> 00:20:05,994 香庵先生 先生は先日➡ 245 00:20:05,994 --> 00:20:07,996 一の局へ 御用箱をお忘れです 246 00:20:07,996 --> 00:20:10,999 預かっておきましたから お手渡しいたします➡ 247 00:20:10,999 --> 00:20:13,001 これ (武士)はっ 248 00:20:13,001 --> 00:20:16,004 御用箱なら 私がお預かりします 249 00:20:16,004 --> 00:20:18,006 それは困る 御用箱に間違いがあっては➡ 250 00:20:18,006 --> 00:20:22,010 取り返しがつかぬ 直接 お手渡しする 251 00:20:22,010 --> 00:20:25,013 (お縫)でも 私なら よろしゅうございましょう 252 00:20:25,013 --> 00:20:29,017 ならん 御本人に渡すのが規則だ 253 00:20:29,017 --> 00:20:31,019 お方様お付きの縫でも いけないんですか 254 00:20:31,019 --> 00:20:33,019 ええい どけ! 255 00:20:36,024 --> 00:20:39,027 うん? 香庵先生ではない➡ 256 00:20:39,027 --> 00:20:42,030 誰だ 貴様 257 00:20:42,030 --> 00:20:44,032 (武士)何 くせ者か 出合え! 258 00:20:44,032 --> 00:20:46,034 (武士たち)出合え 出合え! 259 00:20:46,034 --> 00:20:48,034 (平山)出ろ! 出い 出ろ! 260 00:20:53,041 --> 00:20:56,044 何のために 偽りを申して大奥へ通る 261 00:20:56,044 --> 00:20:58,980 素性を申せ➡ 262 00:20:58,980 --> 00:21:00,980 言え 言わぬか! 263 00:21:03,985 --> 00:21:05,987 (武士)言わぬと撃つぞ 264 00:21:05,987 --> 00:21:07,987 ≪(山城守)これ 265 00:21:11,993 --> 00:21:13,995 (山城守)どうした (平山)はっ この者が➡ 266 00:21:13,995 --> 00:21:15,997 香庵先生のお名をかたり 267 00:21:15,997 --> 00:21:17,997 何? 268 00:21:23,004 --> 00:21:25,004 そちは? (お縫)あ… 269 00:21:29,010 --> 00:21:32,013 お方様お付きの 縫と申します 270 00:21:32,013 --> 00:21:35,016 何故 このような者を引き入れた 271 00:21:35,016 --> 00:21:38,019 これには 重々 子細のあることにございます 272 00:21:38,019 --> 00:21:41,022 何とぞ お許し願いとう存じます 273 00:21:41,022 --> 00:21:44,025 いかなる子細があろうとも 男子禁制の大奥へ➡ 274 00:21:44,025 --> 00:21:47,028 男を引き入れるとは もっての外 275 00:21:47,028 --> 00:21:50,031 その者の 身分 素性を申せ 276 00:21:50,031 --> 00:21:53,034 それは… 277 00:21:53,034 --> 00:21:56,037 子細あって 申し上げられません 278 00:21:56,037 --> 00:21:58,039 黙れ かまわぬ➡ 279 00:21:58,039 --> 00:22:00,041 そやつを打ち据えて 白状させい 280 00:22:00,041 --> 00:22:02,041 はっ! 281 00:22:08,049 --> 00:22:15,056 (たたく音) (うめき声) 282 00:22:15,056 --> 00:22:18,059 (平山)何をする! (お縫)なりません! 283 00:22:18,059 --> 00:22:21,062 このお方を打ってはなりません 284 00:22:21,062 --> 00:22:24,065 打てば あなたのお首も飛びましょうぞ 285 00:22:24,065 --> 00:22:28,069 何? (お縫)申し上げます 286 00:22:28,069 --> 00:22:31,072 この御方は… 黙れ 縫 287 00:22:31,072 --> 00:22:33,074 言ってはならん! 288 00:22:33,074 --> 00:22:36,077 新吾様 言ったら母上がお困りになる 289 00:22:36,077 --> 00:22:39,080 新吾様 私はどうなってもいい 290 00:22:39,080 --> 00:22:41,082 母上を傷つけないでくれ 291 00:22:41,082 --> 00:22:44,085 母上の御名を汚さないでくれ 292 00:22:44,085 --> 00:22:47,088 新吾様… 293 00:22:47,088 --> 00:22:53,094 そのお言葉 お方様に お聞かせしとうございます 294 00:22:53,094 --> 00:22:56,097 新吾様? (平山)新吾様? 295 00:22:56,097 --> 00:23:00,035 まさか 葵 新吾様ではあるまいな 296 00:23:00,035 --> 00:23:03,038 いかにも 葵 新吾様です 297 00:23:03,038 --> 00:23:06,041 えっ (平山)おっ 298 00:23:06,041 --> 00:23:08,043 お下がりなさい! (山城守)は… ははっ! 299 00:23:08,043 --> 00:23:12,047 はっ! (武士たち)はっ! 300 00:23:12,047 --> 00:23:15,050 新吾が見つけられた? 301 00:23:15,050 --> 00:23:18,053 お縫が悪うございました 302 00:23:18,053 --> 00:23:21,056 お許しください お許しください 303 00:23:21,056 --> 00:23:24,059 (お縫の泣き声) 304 00:23:24,059 --> 00:23:27,062 新吾は? 305 00:23:27,062 --> 00:23:29,064 新吾はどうしました 306 00:23:29,064 --> 00:23:33,068 はい 山城守様のお計らいで➡ 307 00:23:33,068 --> 00:23:37,072 ひとまず 九段下の自源流道場に 戻られました 308 00:23:37,072 --> 00:23:41,076 あ… (お縫)お方様 309 00:23:41,076 --> 00:23:47,082 なぜ… なぜ私たち親子は これほどまで… 310 00:23:47,082 --> 00:23:49,084 お方様… 311 00:23:49,084 --> 00:23:52,087 (お鯉の方・お縫の泣き声) 312 00:23:52,087 --> 00:23:55,090 ≪(女性)お方様 上様のおなりにございます 313 00:23:55,090 --> 00:23:59,090 上様が? (お縫)えっ? 314 00:24:02,030 --> 00:24:04,030 新吾様 315 00:24:10,038 --> 00:24:13,041 どうなさった 316 00:24:13,041 --> 00:24:15,041 お会いになれたんですか? 317 00:24:20,048 --> 00:24:22,048 新吾様 318 00:24:24,052 --> 00:24:27,055 先生 319 00:24:27,055 --> 00:24:29,057 先生! 320 00:24:29,057 --> 00:24:33,061 (泣き声) 321 00:24:33,061 --> 00:24:38,066 (吉宗)新吾を医者に仕立てて 大奥へ入れたと申すのは誠か 322 00:24:38,066 --> 00:24:42,070 浅はかな振る舞いにございました 323 00:24:42,070 --> 00:24:45,073 申し訳ございません 324 00:24:45,073 --> 00:24:50,078 たとえ 我が子にせよ 男子禁制の大奥だぞ 325 00:24:50,078 --> 00:24:52,080 何ということをいたす 326 00:24:52,080 --> 00:24:58,019 重々 不届きにございまする 327 00:24:58,019 --> 00:25:01,022 口にこそ出さねど➡ 328 00:25:01,022 --> 00:25:05,026 余は一日とて新吾との対面を 考えぬ日はない 329 00:25:05,026 --> 00:25:10,031 ただ 時が 重臣たちの思惑が➡ 330 00:25:10,031 --> 00:25:16,037 それを思えばこそ そしらぬ顔でこらえておる 331 00:25:16,037 --> 00:25:22,043 余の心を知らぬでもあるまい 愚か者めが 332 00:25:22,043 --> 00:25:25,046 鯉は気が狂うたのでござります 333 00:25:25,046 --> 00:25:29,050 いかなるお仕置きも 喜んでお受けいたしまする 334 00:25:29,050 --> 00:25:31,052 何? 335 00:25:31,052 --> 00:25:36,057 八丈島へなと… 遠島にしてくださりませ 336 00:25:36,057 --> 00:25:44,065 新吾のために苦しむのなら 母の本望にござりまする 337 00:25:44,065 --> 00:25:47,068 何を申す 血迷うたか 338 00:25:47,068 --> 00:25:51,072 血迷いました 狂いました 339 00:25:51,072 --> 00:25:54,075 この上の辛抱はできませぬ 340 00:25:54,075 --> 00:25:57,075 黙れ! (お鯉の方)黙りません 341 00:26:02,017 --> 00:26:08,023 (泣き声) 342 00:26:08,023 --> 00:26:11,026 おいとまを頂いて➡ 343 00:26:11,026 --> 00:26:14,029 あの子のそばに 暮らしとう存じまする 344 00:26:14,029 --> 00:26:17,032 お鯉 345 00:26:17,032 --> 00:26:21,036 もともと 上様は父の敵でした 346 00:26:21,036 --> 00:26:24,039 そのお方を慕うたゆえ➡ 347 00:26:24,039 --> 00:26:28,043 このような不幸せになったので ございまする 348 00:26:28,043 --> 00:26:32,047 過ぎたことだ 申すな (お鯉の方)いいえ 349 00:26:32,047 --> 00:26:35,050 父のたたりです 350 00:26:35,050 --> 00:26:40,055 父のたたりで 親子が会えないのです 351 00:26:40,055 --> 00:26:43,058 呪われた親子なのです 352 00:26:43,058 --> 00:26:47,058 (お鯉の方の泣き声) 353 00:26:51,066 --> 00:26:56,071 <求める母に会えずとも 新吾 強いぞ 涙をこらえ➡ 354 00:26:56,071 --> 00:27:00,008 ただ 一筋の剣に立つ> 355 00:27:00,008 --> 00:27:10,008 ♬~ 356 00:27:12,020 --> 00:27:32,040 ♬~ 357 00:27:32,040 --> 00:27:34,040 ♬~