1 00:00:06,226 --> 00:00:12,699 じっと座っていられないほど はなの胸は 高鳴っていました。 2 00:00:12,699 --> 00:00:17,570 何しろ 5年ぶりに うちに帰れるのです。 3 00:00:17,570 --> 00:00:21,870 ご機嫌よう。 さようなら。 4 00:00:33,620 --> 00:00:39,025 ♬~ 5 00:00:39,025 --> 00:00:43,897 <今日は ハーブについて ひと言 言いたい。➡ 6 00:00:43,897 --> 00:00:46,700 やつらは そもそも雑草だ。➡ 7 00:00:46,700 --> 00:00:49,602 しかし 世の田舎者どもは➡ 8 00:00:49,602 --> 00:00:54,374 あたかも ヨーロッパの 高級趣味のように扱いやがる。➡ 9 00:00:54,374 --> 00:00:59,045 ちょっと待て。 あいつらは 意地汚い雑草で➡ 10 00:00:59,045 --> 00:01:03,917 放っておけば 伸び放題の大飯食らいだ。➡ 11 00:01:03,917 --> 00:01:09,689 だが その辺りの雑多さが 俺たち ベランダーにとって➡ 12 00:01:09,689 --> 00:01:16,689 まあ 同居してやってもいいかと 判断させるのである> 13 00:01:19,065 --> 00:01:22,936 <要は 俺も ハーブを育てたい!➡ 14 00:01:22,936 --> 00:01:27,636 …という事を言いたかったのだ> 15 00:01:29,709 --> 00:01:32,612 (ゲップ) 16 00:01:32,612 --> 00:01:34,547 失敬。 17 00:01:34,547 --> 00:01:47,227 ♬~ 18 00:01:47,227 --> 00:02:10,527 ♬~ 19 00:02:16,055 --> 00:02:19,726 <なぜ ハーブは あんなに チヤホヤされるのか。➡ 20 00:02:19,726 --> 00:02:23,396 世間の連中は 雑草であるやつらを➡ 21 00:02:23,396 --> 00:02:26,299 わざわざ 家に持ち込んで 世話をする。➡ 22 00:02:26,299 --> 00:02:28,268 あげくの果てには➡ 23 00:02:28,268 --> 00:02:31,671 飢きんでもないのに 根や茎を かじったり➡ 24 00:02:31,671 --> 00:02:37,343 エッセンシャルオイルとかいって 匂いまで嗅ぐ始末だ。➡ 25 00:02:37,343 --> 00:02:39,279 よし。➡ 26 00:02:39,279 --> 00:02:45,685 俺が 男のハーブ道というものを 見せてやる> 27 00:02:45,685 --> 00:02:49,556 ♬~ 28 00:02:49,556 --> 00:02:54,360 <俺は たまに 違う花屋に行く事もある。➡ 29 00:02:54,360 --> 00:02:59,360 常連だからといって なれ合うのが 好きじゃないからだ> 30 00:03:01,701 --> 00:03:06,372 <…などと言いながら ハーブについては ど素人なので➡ 31 00:03:06,372 --> 00:03:10,043 楓さんに恥ずかしいところを 見せたくない。➡ 32 00:03:10,043 --> 00:03:15,743 …という ナイーブな自分がいた事も 確かだ> 33 00:03:21,387 --> 00:03:24,891 いらっしゃいませ。 何か お探しですか? 34 00:03:24,891 --> 00:03:31,664 あ いや… あの~ ハーブを。 はい。 35 00:03:31,664 --> 00:03:35,001 あの~ ハーブにも いろいろあるんですけど。 36 00:03:35,001 --> 00:03:39,672 あ… あの~ そんなに詳しくないんで➡ 37 00:03:39,672 --> 00:03:44,344 何を買ったらいいか とか思ったり 思わなかったり。 38 00:03:44,344 --> 00:03:47,680 あの~ もう 何に使うかにも よるんですけど…。 39 00:03:47,680 --> 00:03:50,583 えっと じゃあ どれがいいかな? 40 00:03:50,583 --> 00:03:54,020 <いかにも頼りない俺のために➡ 41 00:03:54,020 --> 00:03:57,357 こんなに懸命に 探してくれるとは。➡ 42 00:03:57,357 --> 00:04:01,694 もしかしてだけど 冷たい態度をとりながら➡ 43 00:04:01,694 --> 00:04:06,566 俺に 母性本能を くすぐられているのでは…> 44 00:04:06,566 --> 00:04:08,568 ちょっと。 あっ! 45 00:04:08,568 --> 00:04:11,037 ちょっと お客さん。 何 ボ~ッとしてんですか? 46 00:04:11,037 --> 00:04:15,375 あ すいません。 ホントに 買う気あるんですか? 47 00:04:15,375 --> 00:04:17,310 ありますよ あります。 48 00:04:17,310 --> 00:04:20,046 じゃあ ミントなんて どうですか? 49 00:04:20,046 --> 00:04:21,981 こすると いい匂いがするんですけど。 50 00:04:21,981 --> 00:04:25,385 知ってますよね? ミント。 はい。 あの ス~ッとするやつ。 51 00:04:25,385 --> 00:04:28,288 そう。 でも 生育が旺盛なんで➡ 52 00:04:28,288 --> 00:04:31,257 ほかの植物と同じ鉢には 植えないで下さい。 53 00:04:31,257 --> 00:04:35,662 場所を侵食して 花を枯らしちゃう事もあるんで。 54 00:04:35,662 --> 00:04:41,334 でも 何に使うんですか? 料理とか? 55 00:04:41,334 --> 00:04:45,004 男のハーブ道ですよ。 56 00:04:45,004 --> 00:04:47,340 は? 57 00:04:47,340 --> 00:04:56,340 男のハーブ道です。 ハーブ道ですか…。 58 00:05:04,691 --> 00:05:08,027 <寒かった冬も 終わりを告げ➡ 59 00:05:08,027 --> 00:05:12,365 穏やかな春の日ざしも まぶしい 今日このごろ。➡ 60 00:05:12,365 --> 00:05:17,365 皆さん いかがお過ごしでしょうか> 61 00:05:20,239 --> 00:05:25,239 <今宵も 私のつぶやきに おつきあい下さい> 62 00:05:27,914 --> 00:05:34,614 <草冠に 冬と書いて…> 63 00:05:38,992 --> 00:05:45,292 <8画の世界に秘められた 甘美で 危険な香り> 64 00:05:47,667 --> 00:05:53,006 <君は 草冠に 路と書く字も 持っているそうだね。➡ 65 00:05:53,006 --> 00:05:58,878 まるで 2丁拳銃を扱うような その姿は 植物界の…➡ 66 00:05:58,878 --> 00:06:01,578 バンデラス> 67 00:06:05,351 --> 00:06:14,351 <数少ない 日本原産の山菜として その歴史は 平安時代にまで遡る> 68 00:06:16,696 --> 00:06:21,034 <葉や茎は つくだ煮や煮物として➡ 69 00:06:21,034 --> 00:06:24,704 いにしえの時代から 美食家たちの喉を➡ 70 00:06:24,704 --> 00:06:28,404 うならせてきたそうじゃないか> 71 00:06:31,511 --> 00:06:35,314 <北海道の螺湾川には➡ 72 00:06:35,314 --> 00:06:39,314 3mにもなる苳があるという> 73 00:06:40,987 --> 00:06:46,687 <ジャイアント馬場より… 大きいんだね> 74 00:06:48,861 --> 00:06:54,000 <ああ 苳よ。 冬という字を抱きながら➡ 75 00:06:54,000 --> 00:06:58,871 春に芽吹くというパラドックス。➡ 76 00:06:58,871 --> 00:07:04,343 その母なる大地のごとき 大きな葉で➡ 77 00:07:04,343 --> 00:07:08,214 私の孤独を包んでおくれ…。➡ 78 00:07:08,214 --> 00:07:10,914 セニョリータ!> 79 00:07:16,689 --> 00:07:21,527 <何が ハーブ道なのか 自分でも よく分からぬまま➡ 80 00:07:21,527 --> 00:07:26,032 とりあえず 俺は 世話を始めてみた。➡ 81 00:07:26,032 --> 00:07:28,935 すると どうだ。➡ 82 00:07:28,935 --> 00:07:32,839 鉢を用意して 土を盛る。➡ 83 00:07:32,839 --> 00:07:36,642 根を差し込む。➡ 84 00:07:36,642 --> 00:07:39,545 水を たっぷりやる。➡ 85 00:07:39,545 --> 00:07:45,318 ただ それだけの事が やめられなくなった。➡ 86 00:07:45,318 --> 00:07:51,190 このミニマムな行為こそ 園芸の原点ではないか。➡ 87 00:07:51,190 --> 00:07:55,962 …などと言いながら 世話が楽ちんだという➡ 88 00:07:55,962 --> 00:08:00,666 あさましい考えがあった事も 事実だ。➡ 89 00:08:00,666 --> 00:08:08,541 まあ いいだろう。 人生 時には 自己肯定も必要だ> 90 00:08:08,541 --> 00:08:14,213 ♬~ 91 00:08:14,213 --> 00:08:19,685 <ところが 初めてな事もあって 大事に育てていると➡ 92 00:08:19,685 --> 00:08:23,356 ミントの野郎は なかなか成長しない。➡ 93 00:08:23,356 --> 00:08:27,226 それどころか ちょっとした乾きにも へばって➡ 94 00:08:27,226 --> 00:08:32,632 鉢に もたれかけたりするほどの 情けなさだ。➡ 95 00:08:32,632 --> 00:08:35,301 甘えてやがる。➡ 96 00:08:35,301 --> 00:08:40,973 雑草のくせに 過保護によって 軟弱になってしまったのだ。➡ 97 00:08:40,973 --> 00:08:43,309 公園に ほったらかして➡ 98 00:08:43,309 --> 00:08:46,212 ミミズに おしっこでも かけておけばいいものを➡ 99 00:08:46,212 --> 00:08:51,651 部屋の中で ゲームばかりさせていた報いだ> 100 00:08:51,651 --> 00:08:53,651 めっ! 101 00:08:56,522 --> 00:09:01,327 <こうして 子育ての失敗を経験した俺は➡ 102 00:09:01,327 --> 00:09:06,199 性懲りもなく また 近所の花屋に向かった。➡ 103 00:09:06,199 --> 00:09:10,670 あのツンデレおねえさんに 会いたかった訳ではない。➡ 104 00:09:10,670 --> 00:09:15,970 男のハーブ道を追求するためだ> 105 00:09:18,544 --> 00:09:22,281 あっ いらっしゃいませ。 ミントは 元気ですか? 106 00:09:22,281 --> 00:09:27,687 あ いや… 元気すぎて困ってます。 ハハハハハハ! 107 00:09:27,687 --> 00:09:33,492 <言えない。 俺の過保護で 死にかけているなどとは…> 108 00:09:33,492 --> 00:09:36,963 で 今日は 何か? あ はい。 109 00:09:36,963 --> 00:09:41,634 別のハーブを育てたくなりまして。 110 00:09:41,634 --> 00:09:44,971 でも そういうの もうちょっと 大きいお花屋さんの方が➡ 111 00:09:44,971 --> 00:09:46,906 いいんじゃないですか? 112 00:09:46,906 --> 00:09:51,844 いえ これが 男のハーブ道ですから。 113 00:09:51,844 --> 00:09:55,615 何か よく分かんないんですけど じゃあ 何でも いいですね。 114 00:09:55,615 --> 00:10:01,320 え~っと じゃあ どれがいいかな? あっ。 115 00:10:01,320 --> 00:10:03,656 クレソンなんて どうですか? 116 00:10:03,656 --> 00:10:07,326 いいですね。 ハーブ道に ピッタリだ。 117 00:10:07,326 --> 00:10:12,665 あの~ そもそも ハーブ道って 何なんですか? 118 00:10:12,665 --> 00:10:17,536 ハーブの道って事です。 119 00:10:17,536 --> 00:10:22,341 そのまんまですね。 う~ん。 120 00:10:22,341 --> 00:10:25,641 ハーブ…。 121 00:10:28,681 --> 00:10:35,021 <ミントの失敗を教訓にした俺は 今度は いい加減な世話をした。➡ 122 00:10:35,021 --> 00:10:41,894 すると クレソンは すぐに根をつけ グングン伸びるではないか。➡ 123 00:10:41,894 --> 00:10:46,365 やはり 雑草は こうでなくては。➡ 124 00:10:46,365 --> 00:10:50,703 しかし ここで 問題が起きた。➡ 125 00:10:50,703 --> 00:10:54,040 俺は こいつに 愛着が湧いてしまい➡ 126 00:10:54,040 --> 00:10:56,709 本来 料理に使う葉っぱを➡ 127 00:10:56,709 --> 00:11:00,579 ちぎれなくなってしまったのだ。➡ 128 00:11:00,579 --> 00:11:04,050 肉の横に いてくれさえすれば➡ 129 00:11:04,050 --> 00:11:07,386 最高の脇役を演じるクレソンを 見ながら➡ 130 00:11:07,386 --> 00:11:14,386 俺は ただ 指をくわえて 我慢するしかなかったのである> 131 00:11:16,395 --> 00:11:21,734 <いっそのこと 枯れてくれないか。➡ 132 00:11:21,734 --> 00:11:26,405 枯れてくれさえすれば 俺は 全てをリセットし➡ 133 00:11:26,405 --> 00:11:32,705 辺り構わず 葉っぱを 引きちぎる事が できるのに> 134 00:11:38,017 --> 00:11:43,889 <そんな悪しき心が通じたのか 無意識な水やりの忘却のせいか➡ 135 00:11:43,889 --> 00:11:50,596 俺は やつらが枯れていくのを 目の当たりにした。➡ 136 00:11:50,596 --> 00:11:56,035 そして ここに至って ようやく罪悪感を抱くという➡ 137 00:11:56,035 --> 00:12:01,035 あまりの愚かさを棚に上げ 誓うのだった> 138 00:12:02,908 --> 00:12:07,646 <もう二度と こんな不幸なやつらを出すまい。➡ 139 00:12:07,646 --> 00:12:13,386 俺のベランダに ハーブの楽園を作ろう> 140 00:12:13,386 --> 00:12:18,257 ♬~ 141 00:12:18,257 --> 00:12:20,259 <こうして 俺は➡ 142 00:12:20,259 --> 00:12:25,398 身勝手で 筋の通らない欲求に 突き動かされ➡ 143 00:12:25,398 --> 00:12:30,069 近所の花屋を のぞくのが 日課となった> 144 00:12:30,069 --> 00:12:33,339 いらっしゃいませ。 145 00:12:33,339 --> 00:12:37,339 …で 今日も ハーブですか? 146 00:12:39,678 --> 00:12:45,351 <当然 料理のために その葉を ちぎる事はない。➡ 147 00:12:45,351 --> 00:12:50,689 つまり 俺は ただ見るためだけに ハーブを育てるという➡ 148 00:12:50,689 --> 00:12:57,563 全く無益な事を 宿命として 背負い込んでしまったのだ> 149 00:12:57,563 --> 00:13:02,034 ♬~ 150 00:13:02,034 --> 00:13:06,705 <これが 男のハーブ道…➡ 151 00:13:06,705 --> 00:13:09,375 なのか?> 152 00:13:09,375 --> 00:13:17,675 ♬~ 153 00:13:19,385 --> 00:13:27,259 ♬~ 154 00:13:27,259 --> 00:13:30,729 <水蒸気を浴び 腐りかけた幻玉は➡ 155 00:13:30,729 --> 00:13:33,999 オーロラの介抱もあり 一命を取り留める> 156 00:13:33,999 --> 00:13:35,935 (幻玉)ほっといてくれよ。 157 00:13:35,935 --> 00:13:39,672 <そんなオーロラに対して 幻玉は 冷たく当たるが➡ 158 00:13:39,672 --> 00:13:42,575 ひょんな事から 彼女の思いを知る事に> 159 00:13:42,575 --> 00:13:47,346 (オーロラ)好きなの。 幻玉君の事が好きなの! 160 00:13:47,346 --> 00:13:53,646 <多肉たちの愛のベクトルは どこへ向かうのか> 161 00:13:57,690 --> 00:14:01,026 ごめん オーロラ。 162 00:14:01,026 --> 00:14:07,900 僕は 君の思いを受け入れる事は できそうにないんだ。 163 00:14:07,900 --> 00:14:10,900 (アボニア)あっ 幻玉…。 164 00:14:13,606 --> 00:14:16,041 アボニア…。 165 00:14:16,041 --> 00:14:21,380 (アボニア)幻玉 いつの間にか はち切れそうじゃないか。 166 00:14:21,380 --> 00:14:26,252 君こそ ひねり具合が 弱まったみたいだ。 167 00:14:26,252 --> 00:14:29,255 (オーロラ)幻玉君 いつから そこに? 168 00:14:29,255 --> 00:14:31,657 (火祭)てめえ 盗み聞きしてたろう! 169 00:14:31,657 --> 00:14:36,529 違うよ! たった今 通りすがっただけさ。 170 00:14:36,529 --> 00:14:38,531 (ゴーラム)ハイ ハイ ハーイ!➡ 171 00:14:38,531 --> 00:14:41,000 火祭さん あっちで ハッスルしてたら➡ 172 00:14:41,000 --> 00:14:43,335 こんな渋谷系な鉢 見つけちって。➡ 173 00:14:43,335 --> 00:14:46,005 ナウイっしょ! アハハ! 174 00:14:46,005 --> 00:14:49,341 (火祭)ああ。 なかなかのシティーボーイじゃねえか。 175 00:14:49,341 --> 00:14:54,213 (アボニア)火祭も ちょっと 見ないうちに 緑色が増えたね。 176 00:14:54,213 --> 00:14:58,017 (火祭)ああ。 紅葉の時期も もう終わっちまってな。➡ 177 00:14:58,017 --> 00:15:01,353 …ってか アボニア 俺たちに 何か用か? 178 00:15:01,353 --> 00:15:04,023 (アボニア)これから あっちで 寄せ植えパーティーがあるから➡ 179 00:15:04,023 --> 00:15:06,358 みんなを誘いに来たんだよ。 180 00:15:06,358 --> 00:15:10,029 (ゴーラム)ゲロゲロ! ボインちゃん いっぱい いるんだろうな!➡ 181 00:15:10,029 --> 00:15:13,729 あっしは 一足先に フィーバーしてきやすぜ! 182 00:15:17,369 --> 00:15:20,272 (オーロラ)ごめん。 私は行かないわ。 183 00:15:20,272 --> 00:15:26,572 (火祭)そっか。 まあいいや。 オーロラ またな。 184 00:15:28,981 --> 00:15:31,650 (アボニア)あ そうだ。➡ 185 00:15:31,650 --> 00:15:34,987 ごめん。 幻玉は 来なくていいよ。➡ 186 00:15:34,987 --> 00:15:38,857 悪いけど 君とは これ以上 遊びたくないんだ。 187 00:15:38,857 --> 00:15:42,861 えっ! どうして? (アボニア)じゃあ。 188 00:15:42,861 --> 00:15:46,861 アボニア… うそだろ? 189 00:15:48,534 --> 00:15:52,834 (オーロラ)幻玉君。 僕に触るな! あっ! 190 00:15:56,675 --> 00:16:01,547 ♬~ 191 00:16:01,547 --> 00:16:06,018 (ゴーラム)ああ! 寄せ植えパーティー たまんねえ! フィーバー フィーバー! 192 00:16:06,018 --> 00:16:08,921 (アボニア)ゴホッ ゴホッ!➡ 193 00:16:08,921 --> 00:16:11,357 幻玉…。 194 00:16:11,357 --> 00:16:14,357 ♬~ 195 00:16:16,028 --> 00:16:20,699 川が流れている…。 196 00:16:20,699 --> 00:16:28,040 <アボニアに 何が起きたのか。 そして 多肉たちの愛の行方は。➡ 197 00:16:28,040 --> 00:16:33,040 次回 新たな物語が幕を開ける> 198 00:16:35,648 --> 00:16:38,317 <土の入れ替えをしていると➡ 199 00:16:38,317 --> 00:16:42,187 明らかに死んでいる根に 出会う事がある。➡ 200 00:16:42,187 --> 00:16:46,487 ひどいものになると消えている> 201 00:16:48,327 --> 00:16:54,667 <全ては 目に見えぬ 土の中の出来事。➡ 202 00:16:54,667 --> 00:17:00,967 だが こうして黙って 消えていくなら まだマシだ> 203 00:17:05,311 --> 00:17:10,215 <ある日 俺は なじみの花屋に向かった。➡ 204 00:17:10,215 --> 00:17:14,353 ただ見るためだけに ハーブを育てるという➡ 205 00:17:14,353 --> 00:17:20,353 退屈な日常から 逃れたかったのかもしれない> 206 00:17:23,028 --> 00:17:25,364 いらっしゃいませ。 207 00:17:25,364 --> 00:17:28,267 何だ 店長ですか。 208 00:17:28,267 --> 00:17:30,703 「何だ」って 何ですか。 いや…。 209 00:17:30,703 --> 00:17:32,971 はい はい。 また 楓ちゃんでしょ? 210 00:17:32,971 --> 00:17:37,309 バレバレですよ もう。 楓ちゃんなら あっちにいますから。 211 00:17:37,309 --> 00:17:41,180 だから 別に そういう…。 あっち。 あっち? 212 00:17:41,180 --> 00:17:53,659 ♬~ 213 00:17:53,659 --> 00:17:56,562 いらっしゃいませ。 おっ! 214 00:17:56,562 --> 00:17:58,530 今日は 何か お探しですか? 215 00:17:58,530 --> 00:18:03,669 ええ。 最近 葉っぱばっかり 世話してるんで➡ 216 00:18:03,669 --> 00:18:08,006 花が いっぱい咲くよう 鉢を。 花ですか。 217 00:18:08,006 --> 00:18:12,344 じゃあ ワスレナグサなんか どうですか? 218 00:18:12,344 --> 00:18:15,013 小さいですけど いっぱい咲きますし。 219 00:18:15,013 --> 00:18:19,885 花言葉は 「私を忘れないで」って いうんですけど。 220 00:18:19,885 --> 00:18:23,689 ああ そうですよね 確か。 221 00:18:23,689 --> 00:18:29,561 <俺は 初めて聞いたのに さも 知っているようなふりをした。➡ 222 00:18:29,561 --> 00:18:35,968 植物に関しては 素人と思われたくなかったからだ> 223 00:18:35,968 --> 00:18:41,268 この花言葉は ドイツに伝わる民話が 基になっていて…。 224 00:18:43,642 --> 00:18:49,982 (楓)昔 ルドルフという青年と ベルタという女性が散歩していた時➡ 225 00:18:49,982 --> 00:18:54,853 ドナウ川のほとりで かわいらしい花を見つけた。➡ 226 00:18:54,853 --> 00:18:58,991 ルドルフは 手を伸ばして その花を取ったが➡ 227 00:18:58,991 --> 00:19:03,328 足を滑らせ 川へ落ちてしまった。➡ 228 00:19:03,328 --> 00:19:06,999 ルドルフは とっさに その花を ベルタに投げ➡ 229 00:19:06,999 --> 00:19:12,337 「私を忘れないで」と叫んで 死んでいった。➡ 230 00:19:12,337 --> 00:19:20,037 ベルタは その約束を守り 生涯 その花を 髪に飾り続けた。 231 00:19:22,014 --> 00:19:28,353 その花というのが ワスレナグサだったと いわれてるんです。 232 00:19:28,353 --> 00:19:31,256 <なんて悲しい話なんだ。➡ 233 00:19:31,256 --> 00:19:34,159 俺は 頭の中で➡ 234 00:19:34,159 --> 00:19:38,964 自分が ルドルフとなり 楓さんを 勝手に ベルタにして➡ 235 00:19:38,964 --> 00:19:42,301 感動に むせび泣いた> 236 00:19:42,301 --> 00:19:46,301 あの~ 大丈夫ですか? 237 00:19:47,973 --> 00:19:49,973 はい。 238 00:19:52,644 --> 00:19:56,315 ありがとうございました…。 だぁ~。 239 00:19:56,315 --> 00:20:00,615 何か あったの? さあ? 240 00:20:04,656 --> 00:20:10,329 <俺は ワスレナグサに恋をした。➡ 241 00:20:10,329 --> 00:20:17,329 青く はかなげな花びらは 俺のベランダに映えた> 242 00:20:19,004 --> 00:20:26,004 <だが そんな幸福な時間は 長くは続かなかった> 243 00:20:33,352 --> 00:20:39,024 <ある時から ワスレナグサは 急に 元気がなくなった。➡ 244 00:20:39,024 --> 00:20:47,366 …かと思ったら 葉や茎 花びらが変色し始めた。➡ 245 00:20:47,366 --> 00:20:51,236 枯れたかと思い 茎を1本 切ってみたが➡ 246 00:20:51,236 --> 00:20:55,707 緑色の切り口が現れた。➡ 247 00:20:55,707 --> 00:20:59,044 俺は 生きていた茎を 切ってしまった事に➡ 248 00:20:59,044 --> 00:21:00,979 激しく狼狽し➡ 249 00:21:00,979 --> 00:21:05,679 謝る代わりに 必死で世話をした> 250 00:21:12,591 --> 00:21:17,729 <状態は 日に日に悪くなっていった> 251 00:21:17,729 --> 00:21:29,741 ♬~ 252 00:21:29,741 --> 00:21:36,741 <俺は 居たたまれなくなって 田中に聞いてみる事にした> 253 00:21:39,351 --> 00:21:43,221 あっ もしもし 田中さん? 今 ちょっといいですか? 254 00:21:43,221 --> 00:21:45,223 はい。 少しなら。 255 00:21:45,223 --> 00:21:48,694 ワスレナグサの事で 聞きたい事がありまして。 256 00:21:48,694 --> 00:21:52,030 ああ ワスレナグサ。 ヨーロッパが原産で➡ 257 00:21:52,030 --> 00:21:57,369 北半球の温帯から ユーラシア大陸 アフリカ大陸 オセアニアに➡ 258 00:21:57,369 --> 00:22:01,239 約50種が 分布してましてね…。 いや そうじゃなくて➡ 259 00:22:01,239 --> 00:22:04,242 僕が聞きたいのは 分布の事じゃなくて➡ 260 00:22:04,242 --> 00:22:07,379 あの~。 はい 何でしょう? あ はい。 261 00:22:07,379 --> 00:22:11,717 部分的に 枯れたような感じに なっちゃったんです。 262 00:22:11,717 --> 00:22:15,387 う~ん。 それ もしかしたら➡ 263 00:22:15,387 --> 00:22:19,725 灰色かび病かもしれませんね。 灰色かび病? 264 00:22:19,725 --> 00:22:23,061 暖かくて 湿度が高いと 起きる病気です。 265 00:22:23,061 --> 00:22:26,732 放っておくと 菌が飛んで ほかの 植物に感染してしまいますから➡ 266 00:22:26,732 --> 00:22:29,067 早めに その部分を取り除いた方が いいでしょう。 267 00:22:29,067 --> 00:22:31,403 あっ そろそろ 授業が始まりますので➡ 268 00:22:31,403 --> 00:22:34,673 これで 失礼します。 あ ちょっと! 269 00:22:34,673 --> 00:22:37,373 田中さん? [無線](不通音) 270 00:22:40,345 --> 00:22:45,217 <俺は 灰色かび病の事を調べてみた。➡ 271 00:22:45,217 --> 00:22:50,689 すると 驚くべき事が判明した。➡ 272 00:22:50,689 --> 00:22:54,026 水をやる事で 湿度が増し➡ 273 00:22:54,026 --> 00:22:58,363 かえって 病気が進行してしまうのだ。➡ 274 00:22:58,363 --> 00:23:04,363 それを知らずに 俺は 水やりを続けていたのだ> 275 00:23:11,376 --> 00:23:18,250 <俺は 感染したと思われる部分を 全て切り落とした> 276 00:23:18,250 --> 00:23:26,391 ♬~ 277 00:23:26,391 --> 00:23:33,391 <なんとか持ち直してほしい。 その一心で> 278 00:24:15,707 --> 00:24:23,582 ♬~ 279 00:24:23,582 --> 00:24:31,656 <花言葉「私を忘れないで」> 280 00:24:31,656 --> 00:24:53,345 ♬~ 281 00:24:53,345 --> 00:24:59,017 <こうして 植物は 残された者の気持ちなど考えず➡ 282 00:24:59,017 --> 00:25:02,717 いつも勝手に逝ってしまう> 283 00:25:05,357 --> 00:25:11,229 <全ては 目に見えぬ 土の中の出来事> 284 00:25:11,229 --> 00:25:15,529 ♬~ 285 00:25:17,369 --> 00:25:19,669 (ため息) 286 00:25:22,040 --> 00:25:27,712 こんにちは。 こんにちは。 287 00:25:27,712 --> 00:25:33,712 おじさん どうしたの? 悲しい事でもあったの? 288 00:25:35,320 --> 00:25:41,193 うん。 大事にしていたものを 無くしちゃったんだ。 289 00:25:41,193 --> 00:25:47,493 ふ~ん。 じゃあ これ あげる。 290 00:25:58,009 --> 00:26:01,680 これは? さっき あっちに咲いてたの。 291 00:26:01,680 --> 00:26:03,615 ワスレナグサっていうのよ。 292 00:26:03,615 --> 00:26:08,019 持って帰ろうかと思ったけど 私は 別に悲しくないから➡ 293 00:26:08,019 --> 00:26:10,319 おじさんに あげるわ。 294 00:26:11,890 --> 00:26:14,693 ありがとう。 295 00:26:14,693 --> 00:26:20,031 大事にしてね。 約束よ。 うん 約束するよ。 296 00:26:20,031 --> 00:26:23,331 じゃあ バイバイ! 297 00:26:27,372 --> 00:26:29,708 バイバイ。 298 00:26:29,708 --> 00:27:31,636 ♬~ 299 00:27:31,636 --> 00:27:34,539 <出会いと別れを繰り返す。➡ 300 00:27:34,539 --> 00:27:39,539 人生とは そんな事の連続だ> 301 00:27:41,646 --> 00:27:48,320 <たかが植物と 笑いたいやつは 笑えばいい。➡ 302 00:27:48,320 --> 00:27:51,656 俺は 都会のベランダー。➡ 303 00:27:51,656 --> 00:27:57,529 これからも こいつらと生きていくのさ> 304 00:27:57,529 --> 00:29:22,529 ♬~ 305 00:30:33,618 --> 00:30:38,189 ♬~ 306 00:30:38,189 --> 00:30:44,062 何だか 幻想的。 バチカンの サン・ピエトロ寺院。 307 00:30:44,062 --> 00:30:49,701 朝日がさして 浮かび上がってるみたい。 308 00:30:49,701 --> 00:30:55,206 手前のローマ旧市街は う~ん まだ 朝もやの中かな。