1 00:00:05,534 --> 00:00:11,206 「あすよりの 淋しき胸を 思ひやる➡ 2 00:00:11,206 --> 00:00:16,206 心に悲し 夜の雨の音」。 3 00:00:21,550 --> 00:00:24,550 さようなら。 4 00:00:33,795 --> 00:00:38,734 (セミの声) 5 00:00:38,734 --> 00:00:46,875 ♬~ 6 00:00:46,875 --> 00:00:51,747 <暑い。 暑すぎる。➡ 7 00:00:51,747 --> 00:00:58,747 これでは 植物より先に 俺が くたばってしまうではないか> 8 00:01:03,892 --> 00:01:12,568 <夏。 ベランダーにとっては 最も やっかいな季節が やって来た。➡ 9 00:01:12,568 --> 00:01:19,868 今年も また 灼熱地獄と 闘わなければならないのか> 10 00:01:22,911 --> 00:01:44,533 ♬~ 11 00:01:44,533 --> 00:01:58,533 ♬~ 12 00:02:01,883 --> 00:02:04,583 (2人)乾杯。 13 00:02:09,224 --> 00:02:16,898 あ~! いや~ 暑いですね。 そうですね。 14 00:02:16,898 --> 00:02:20,769 今年は また 猛暑になると この間 ニュースで言ってましたよ。 15 00:02:20,769 --> 00:02:24,773 何か 毎年 そういう事 言ってますよね。 16 00:02:24,773 --> 00:02:29,244 もう これだけ暑いと ベランダ出るの 嫌になりますね。 17 00:02:29,244 --> 00:02:32,147 全くですね。 アチッ! 18 00:02:32,147 --> 00:02:35,517 <8月 ベランダの床は➡ 19 00:02:35,517 --> 00:02:39,388 目玉焼きが出来るほどの 温度にまで上昇する。➡ 20 00:02:39,388 --> 00:02:47,863 人間にとっても 植物にとっても 夏のベランダは 生き地獄だ> 21 00:02:47,863 --> 00:02:52,200 田中さん 何か 暑さ対策 やってますか? 植物の。 22 00:02:52,200 --> 00:02:56,872 ああ。 僕は 昼間は 家にいない事が多いですから➡ 23 00:02:56,872 --> 00:03:00,542 夏場は 全ての鉢を 室内に取り込んでます。 24 00:03:00,542 --> 00:03:03,445 朝は元気だったのに 帰ってきたら 枯れてたみたいな事が➡ 25 00:03:03,445 --> 00:03:07,416 しょっちゅうなんで。 なるほど。 26 00:03:07,416 --> 00:03:11,887 あっ もう こんな時間だ。 論文 書かなきゃ。 27 00:03:11,887 --> 00:03:14,222 今 何の研究 なさってるんですか? 28 00:03:14,222 --> 00:03:16,892 ハハハハ! ああ…。 29 00:03:16,892 --> 00:03:21,229 クローンコエの繁殖を 遺伝子レベルで制御する方法です。 30 00:03:21,229 --> 00:03:23,229 (缶を潰す音) 31 00:03:25,567 --> 00:03:30,567 <こいつ… まだ 根に持ってやがる> 32 00:03:34,376 --> 00:03:40,849 <よく 涼をとるなどといって 風鈴をぶら下げる輩がいるが➡ 33 00:03:40,849 --> 00:03:43,752 俺は違う。➡ 34 00:03:43,752 --> 00:03:45,721 熱湯を吸い上げて➡ 35 00:03:45,721 --> 00:03:50,192 自ら組織を破壊していく 植物どもの代わりに➡ 36 00:03:50,192 --> 00:03:53,528 次々と新しい鉢を投入し➡ 37 00:03:53,528 --> 00:03:57,866 見た目の清涼感を保つのだ。➡ 38 00:03:57,866 --> 00:04:01,203 酷暑地獄という現実から逃避し➡ 39 00:04:01,203 --> 00:04:05,073 あたかも 自分のベランダが 涼しげであると➡ 40 00:04:05,073 --> 00:04:08,073 思い込みたいのである> 41 00:04:09,878 --> 00:04:13,548 <夏の暑さは そんな俺の間違ったやり方を➡ 42 00:04:13,548 --> 00:04:18,420 正当化させるほどの 魔力を持っている。➡ 43 00:04:18,420 --> 00:04:24,720 俺が悪いんじゃない。 全部 夏が悪いのだ> 44 00:04:27,896 --> 00:04:32,196 <寝ている時でさえ 安心できない> 45 00:04:33,702 --> 00:04:37,706 <まいた水が すぐさま熱湯に変わり➡ 46 00:04:37,706 --> 00:04:40,842 鉢が カップ麺のようになっている 悪夢に➡ 47 00:04:40,842 --> 00:04:43,745 うなされる事も しばしばだ> 48 00:04:43,745 --> 00:04:48,717 カップ麺! あっ…。 49 00:04:48,717 --> 00:04:53,188 ♬~ 50 00:04:53,188 --> 00:04:59,528 <俺は 夏の暑さにあらがう 清涼感のある鉢を求めて➡ 51 00:04:59,528 --> 00:05:02,430 なじみの花屋に向かった> 52 00:05:02,430 --> 00:05:07,202 ♬~ 53 00:05:07,202 --> 00:05:12,874 <楓さんと会うのも 久しぶりだ> 54 00:05:12,874 --> 00:05:15,210 いらっしゃいませ。 うわっ! 55 00:05:15,210 --> 00:05:18,880 あ… どうも。 最近 いらっしゃらないから➡ 56 00:05:18,880 --> 00:05:22,217 お体でも悪くしたんじゃ ないかって心配してたんです。 57 00:05:22,217 --> 00:05:27,556 いえ 至って元気です。 はい。 よかった。 58 00:05:27,556 --> 00:05:33,829 あの… 先日は どうも ありがとうございました。 59 00:05:33,829 --> 00:05:37,165 いえ 僕は そんな…。 60 00:05:37,165 --> 00:05:42,037 <あの小説家と まだ つきあっているのだろうか?➡ 61 00:05:42,037 --> 00:05:46,508 いや よそう そんな事を考えるのは。➡ 62 00:05:46,508 --> 00:05:50,178 楓さんは 楓さんだ> 63 00:05:50,178 --> 00:05:52,848 今日は 何か お探しですか? 64 00:05:52,848 --> 00:05:57,185 あ はい。 涼しげな花は ないかなと思いまして。 65 00:05:57,185 --> 00:06:00,522 涼しげ。 そうですね…。 66 00:06:00,522 --> 00:06:04,392 あっ。 でしたら マンデビラなんか いかがですか? 67 00:06:04,392 --> 00:06:09,392 暑さにも強いですし。 あ~ いいですね。 68 00:06:11,867 --> 00:06:14,536 <つる性の熱帯植物。➡ 69 00:06:14,536 --> 00:06:20,876 花の形が風車みたいで 確かに 涼しげだ。➡ 70 00:06:20,876 --> 00:06:24,212 こいつなら あの灼熱のベランダに➡ 71 00:06:24,212 --> 00:06:28,550 涼を運んでくれるに 違いない。➡ 72 00:06:28,550 --> 00:06:32,153 だが 久しぶりに 店に来て➡ 73 00:06:32,153 --> 00:06:35,824 すぐに買うのも 何だか かっこ悪いと思った俺は➡ 74 00:06:35,824 --> 00:06:40,161 一応 ほかの花も 吟味したいという体で➡ 75 00:06:40,161 --> 00:06:43,064 話を持っていく戦法に出た> 76 00:06:43,064 --> 00:06:47,035 あの~。 いいから 早く買いなさいよ。 77 00:06:47,035 --> 00:06:52,173 は~い。 これ いくらですか? あ…。 78 00:06:52,173 --> 00:06:56,845 3,780円です。 あっ お手ごろですね。 79 00:06:56,845 --> 00:06:59,845 では これで。 これで。 はい。 80 00:07:05,854 --> 00:07:10,554 <俺は 早速 マンデビラを ベランダに置いた> 81 00:07:12,193 --> 00:07:15,864 <うん いいじゃないか。➡ 82 00:07:15,864 --> 00:07:19,200 …と思ったのも つかの間➡ 83 00:07:19,200 --> 00:07:24,200 2~3日すると すぐに ぐったりしてきやがった> 84 00:07:26,074 --> 00:07:32,480 <この暑さ やはり尋常ではない> 85 00:07:32,480 --> 00:07:36,780 マンデビラ! 何じゃ こら! 86 00:07:42,490 --> 00:07:50,165 <やがて 夜が来て 俺は 灼熱のベランダから解放される。➡ 87 00:07:50,165 --> 00:07:55,503 夏の夜風に吹かれながら ビールでも飲みたいところだが➡ 88 00:07:55,503 --> 00:08:03,503 エアコンの室外機から吹き出る熱風が 俺の欲望を阻む> 89 00:08:06,848 --> 00:08:11,720 <俺は 夜の街へ繰り出す事にした。➡ 90 00:08:11,720 --> 00:08:14,522 当てもなく さまよう俺は➡ 91 00:08:14,522 --> 00:08:19,194 都会の獣と化し 感覚を研ぎ澄ませる。➡ 92 00:08:19,194 --> 00:08:25,494 どこかに この酷暑に耐えうる 強者はいないものか> 93 00:08:27,535 --> 00:08:34,142 <しばらく歩いていると 看板が 目に入った。➡ 94 00:08:34,142 --> 00:08:37,479 「BAR 植物」。➡ 95 00:08:37,479 --> 00:08:41,349 あまりにストレートなネーミングに 仰天しつつも➡ 96 00:08:41,349 --> 00:08:46,049 俺は 入ってみる事にした> 97 00:08:52,027 --> 00:08:56,164 ♬~ 98 00:08:56,164 --> 00:09:00,035 <案の定 店内は植物だらけだったが➡ 99 00:09:00,035 --> 00:09:03,038 名前とは裏腹に そこは➡ 100 00:09:03,038 --> 00:09:08,743 不良たちが たむろする 実に おっかないバーだった> 101 00:09:08,743 --> 00:09:12,714 ♬~ 102 00:09:12,714 --> 00:09:18,420 <ダーツに興じる若者たちが 俺をにらむ。➡ 103 00:09:18,420 --> 00:09:24,859 「よそ者が来やがった」とでも 言わんばかりの冷たい視線。➡ 104 00:09:24,859 --> 00:09:32,667 俺は いささか ビビりながらも カウンターに腰掛け カクテルを注文した> 105 00:09:32,667 --> 00:09:35,367 いらっしゃいませ。 106 00:09:37,138 --> 00:09:39,808 ジンライム。 107 00:09:39,808 --> 00:09:42,808 かしこまりました。 108 00:09:47,682 --> 00:09:52,387 <ちなみに カクテルを飲む時も 俺は➡ 109 00:09:52,387 --> 00:09:56,687 植物が入っているものしか 頼まない> 110 00:10:00,128 --> 00:10:04,499 どうぞ。 サンクス。 111 00:10:04,499 --> 00:10:08,169 <1杯飲んで 出ていこうと思った刹那➡ 112 00:10:08,169 --> 00:10:13,041 店のドアが 勢いよく開いた> 113 00:10:13,041 --> 00:10:42,871 ♬~ 114 00:10:42,871 --> 00:10:45,540 何者なんですか? あの人…。 シ~ッ! 115 00:10:45,540 --> 00:10:50,211 丹下蓮司。 通称 植物の丹下。➡ 116 00:10:50,211 --> 00:10:53,882 以前 大事にしていた鉢を割った 組長を血祭りに挙げ➡ 117 00:10:53,882 --> 00:10:57,552 最近 ムショから出てきた男ですよ。 118 00:10:57,552 --> 00:11:00,221 関わらねえ方がいいっすよ。 119 00:11:00,221 --> 00:11:03,221 ♬~ 120 00:11:05,093 --> 00:11:07,896 ♬~(「夢芝居」) 121 00:11:07,896 --> 00:11:12,233 よう~ 待ってました! (拍手) 122 00:11:12,233 --> 00:11:14,169 なぜ この曲を? 123 00:11:14,169 --> 00:11:16,905 お前 手! 124 00:11:16,905 --> 00:11:19,807 ♬~ (手拍子) 125 00:11:19,807 --> 00:11:22,777 <関わるなって言ったのに…> 126 00:11:22,777 --> 00:11:25,246 蓮司さん! 127 00:11:25,246 --> 00:11:30,118 ♬~ 128 00:11:30,118 --> 00:11:35,857 (拍手と歓声) 129 00:11:35,857 --> 00:11:40,728 ♬「恋のからくり 夢芝居」 130 00:11:40,728 --> 00:11:46,201 ♬「台詞ひとつ 忘れもしない」 131 00:11:46,201 --> 00:11:48,136 よっ! 132 00:11:48,136 --> 00:11:51,436 ♬~ 133 00:12:10,225 --> 00:12:13,895 <じめ~っとした梅雨も終わり➡ 134 00:12:13,895 --> 00:12:18,766 夏の日ざしが ますます まぶしすぎる今日このごろ➡ 135 00:12:18,766 --> 00:12:23,066 皆さん いかが お過ごしでしょうか?> 136 00:12:26,908 --> 00:12:32,608 <今宵も 私のつぶやきに おつきあい下さい> 137 00:12:47,195 --> 00:12:49,230 <君たちは いつだって➡ 138 00:12:49,230 --> 00:12:54,068 地面に はいつくばるようにして 増えていく。➡ 139 00:12:54,068 --> 00:12:59,540 僕は 片ときも 忘れた事はないよ。➡ 140 00:12:59,540 --> 00:13:03,211 地味だけど 見る者を わびさびの世界に➡ 141 00:13:03,211 --> 00:13:06,911 いざなってくれる君たちを> 142 00:13:09,550 --> 00:13:17,425 <盆栽だって 君たちのおかげで その姿が輝くじゃないか。➡ 143 00:13:17,425 --> 00:13:19,894 自らを主張せず➡ 144 00:13:19,894 --> 00:13:22,797 主役を生かす事に徹する その姿は➡ 145 00:13:22,797 --> 00:13:27,235 まさに 植物界最強の脇役➡ 146 00:13:27,235 --> 00:13:30,935 川谷拓三> 147 00:13:32,840 --> 00:13:37,178 <僕は知っている。 君たちは ばい菌を寄せつけないほど➡ 148 00:13:37,178 --> 00:13:40,081 高い抗菌性を持ち➡ 149 00:13:40,081 --> 00:13:46,781 そのため 第1次世界大戦時には 脱脂綿の代用品になった事を> 150 00:13:50,191 --> 00:13:52,860 <ああ コケ! コケ!➡ 151 00:13:52,860 --> 00:13:55,196 コケティッシュ!➡ 152 00:13:55,196 --> 00:13:58,099 時には 自らの命を顧みず➡ 153 00:13:58,099 --> 00:14:02,537 鉄砲玉となって 敵に 突っ込んでいく拓ボンのように➡ 154 00:14:02,537 --> 00:14:07,537 ワニの体をも覆う強者も いるという> 155 00:14:12,880 --> 00:14:15,550 <京都の西芳寺は➡ 156 00:14:15,550 --> 00:14:20,888 そんな君たちで あふれてるそうじゃないか。➡ 157 00:14:20,888 --> 00:14:25,226 シルクのベッドよりも 肌触りがよさそうな➡ 158 00:14:25,226 --> 00:14:28,129 緑の絨毯よ。➡ 159 00:14:28,129 --> 00:14:31,833 一度でいいから 僕は そこで➡ 160 00:14:31,833 --> 00:14:34,502 寝てみたい…> 161 00:14:34,502 --> 00:14:39,502 ♬~ 162 00:14:58,192 --> 00:15:01,095 マスター。 はい! 163 00:15:01,095 --> 00:15:04,065 モヒート。 はい。 164 00:15:04,065 --> 00:15:08,836 アルコールは… 抜いてくんねえかな。 165 00:15:08,836 --> 00:15:10,836 ありがとうございます。 166 00:15:13,741 --> 00:15:17,545 ♬~ 167 00:15:17,545 --> 00:15:19,881 <モヒートか。➡ 168 00:15:19,881 --> 00:15:23,551 やつも 植物系カクテルを頼むとは。➡ 169 00:15:23,551 --> 00:15:28,890 植物の丹下… できる男だ。➡ 170 00:15:28,890 --> 00:15:35,590 俺は ジンライムを一気飲みして 店を出ようとした> 171 00:15:39,834 --> 00:15:43,134 <こ これは…> 172 00:15:45,173 --> 00:15:51,512 <つる性の常緑植物で 夏に強いと評判の花だ。➡ 173 00:15:51,512 --> 00:15:54,182 こいつをベランダに投入すれば➡ 174 00:15:54,182 --> 00:15:58,519 さぞや 涼しく見えるに 違いない。➡ 175 00:15:58,519 --> 00:16:03,391 俺は 恐る恐る聞いてみた> 176 00:16:03,391 --> 00:16:08,391 あの~ それ マダガスカル・ジャスミンですよね? 177 00:16:11,098 --> 00:16:17,538 よく知ってんな。 あんた 植物 好きかい? 178 00:16:17,538 --> 00:16:20,208 ええ まあ。 179 00:16:20,208 --> 00:16:23,878 あの~ それ どこで 手に入れたんですか? 180 00:16:23,878 --> 00:16:27,215 近所の花屋で 1個だけ残ってたんだ。 181 00:16:27,215 --> 00:16:32,053 カツアゲなんかしちゃいねえよ。 ちゃんと買ったんだ。 182 00:16:32,053 --> 00:16:37,825 もう ムショは こりごりだからな。 183 00:16:37,825 --> 00:16:43,498 <昼間の暑さに やられていたのか。 それとも 酔ったのか。➡ 184 00:16:43,498 --> 00:16:48,369 次の瞬間 俺は 自分でも 予想だにしなかった事を➡ 185 00:16:48,369 --> 00:16:50,371 口走っていた> 186 00:16:50,371 --> 00:16:54,509 あの~ それ 頂けませんか? あっ あ…。 187 00:16:54,509 --> 00:16:59,847 <その瞬間 空気が凍りついたのが 分かった。➡ 188 00:16:59,847 --> 00:17:02,517 いや だから 俺が悪いんじゃない。➡ 189 00:17:02,517 --> 00:17:05,853 そう言わせた 夏が悪いんだ。➡ 190 00:17:05,853 --> 00:17:11,526 …と心の中で叫ぶも 時 既に遅し。➡ 191 00:17:11,526 --> 00:17:16,197 ダーツの男が 俺に つかみかかってきた> 192 00:17:16,197 --> 00:17:18,866 てめえ! 誰に 口きいてんだ! 193 00:17:18,866 --> 00:17:21,566 おめえは黙ってな。 194 00:17:23,538 --> 00:17:27,208 右拳に 全体重を乗せ➡ 195 00:17:27,208 --> 00:17:30,908 まっすぐ 目標を ぶち抜くように…。 196 00:17:33,014 --> 00:17:35,016 打つべし! おおっ! 197 00:17:35,016 --> 00:17:38,486 すいません! すいません! 打つべし! 198 00:17:38,486 --> 00:17:41,486 打つべし! すいません! すいません! 199 00:17:57,505 --> 00:18:03,844 ふん… あんた いい度胸してんな。 200 00:18:03,844 --> 00:18:11,719 植物の丹下に向かって 植物よこせとはな。 201 00:18:11,719 --> 00:18:15,456 俺も 随分 なめられたもんだ。 202 00:18:15,456 --> 00:18:19,860 いえ あの~ そんなつもりじゃないんです。 203 00:18:19,860 --> 00:18:22,196 あまりにも その花が すてきだったもんで…。 204 00:18:22,196 --> 00:18:26,534 あんたに…! 205 00:18:26,534 --> 00:18:33,234 あんたに こいつのよさが 分かるのかい? 206 00:18:36,143 --> 00:18:39,814 いいだろう。 やるよ。 207 00:18:39,814 --> 00:18:42,483 ただし…➡ 208 00:18:42,483 --> 00:18:46,483 俺と勝負して 勝ったらな。 209 00:18:48,155 --> 00:18:53,828 <勝負? こんなやつに勝てる訳がない。➡ 210 00:18:53,828 --> 00:18:57,698 だが 男には 負けると分かっていても➡ 211 00:18:57,698 --> 00:19:01,168 やらなければならない時がある。➡ 212 00:19:01,168 --> 00:19:06,040 夏の暑さで疲弊した 俺のベランダを強化するために➡ 213 00:19:06,040 --> 00:19:11,740 何としても あの鉢を 手に入れなければならない> 214 00:19:15,516 --> 00:19:20,187 い…。 どうした? 215 00:19:20,187 --> 00:19:25,526 やるのか? い…。 やらないのか? 216 00:19:25,526 --> 00:19:28,526 いいでしょう。 217 00:19:30,865 --> 00:19:33,134 表へ出ろ。 218 00:19:33,134 --> 00:19:39,006 ♬~ 219 00:19:39,006 --> 00:19:41,008 置いてったの? 220 00:19:41,008 --> 00:19:43,308 忘れていったの? 221 00:19:46,147 --> 00:19:48,482 おい。 222 00:19:48,482 --> 00:19:51,782 そうだよね…。 そういう事だよね。 223 00:19:53,354 --> 00:19:55,354 行ってきま~す。 224 00:19:57,158 --> 00:19:59,858 あいつ 殺されるぞ。 225 00:20:04,031 --> 00:20:13,708 ♬~ 226 00:20:13,708 --> 00:20:19,413 <俺は やつに続いて 店を出た。 すると…➡ 227 00:20:19,413 --> 00:20:23,851 そこは なぜか 西部劇の世界に変わっていた> 228 00:20:23,851 --> 00:20:27,722 お? ええ~!? 229 00:20:27,722 --> 00:20:30,524 あっ 眼鏡してるし。 230 00:20:30,524 --> 00:20:32,824 うわっ 長っ! 231 00:20:34,395 --> 00:20:36,397 あっ イテッ。 232 00:20:36,397 --> 00:20:38,399 <俺が クリント・イーストウッドなら➡ 233 00:20:38,399 --> 00:20:43,871 やつは さしずめ リー・ヴァン・クリーフといったところか> 234 00:20:43,871 --> 00:20:48,542 ♬~ 235 00:20:48,542 --> 00:20:52,880 だっさ! 何で お前だけ 保安官なんだよ。 236 00:20:52,880 --> 00:20:56,217 「トイ・ストーリー」のウッディかよ! すいません。 237 00:20:56,217 --> 00:20:58,552 お前 俺より かっこよくなってんじゃねえよ。 238 00:20:58,552 --> 00:21:02,223 ルー・ダイヤモンド・フィリップスかよ。 あっ 「ラ・バンバ」の? 239 00:21:02,223 --> 00:21:06,560 「ヤングガン」だよ! あ… すいません。 240 00:21:06,560 --> 00:21:09,463 ♬~ 241 00:21:09,463 --> 00:21:11,899 勝負は 植物しりとり。 242 00:21:11,899 --> 00:21:14,802 より多くの植物の名前を 言った方が勝ちだ。 243 00:21:14,802 --> 00:21:17,772 いいな!? はい! 244 00:21:17,772 --> 00:21:24,912 ♬~ 245 00:21:24,912 --> 00:21:26,847 ああ…。 246 00:21:26,847 --> 00:21:37,147 ♬~ 247 00:21:38,859 --> 00:21:41,859 俺から いくぞ。 248 00:21:56,410 --> 00:22:01,115 ほう~。 なかなか やるじゃねえか。 249 00:22:01,115 --> 00:22:04,415 俺も そろそろ 本気出さねえとな。 250 00:22:07,888 --> 00:22:09,888 あ 危なっ! 251 00:22:15,229 --> 00:22:20,901 <スイレン スイセン スズラン…。➡ 252 00:22:20,901 --> 00:22:25,573 いかん。 どれも 「ン」がついてしまう> 253 00:22:25,573 --> 00:22:30,273 どうした? もう 終わりか? 254 00:22:32,379 --> 00:22:34,679 ス ス…。 255 00:22:36,851 --> 00:22:38,786 スターチス! 256 00:22:38,786 --> 00:22:41,188 <イソマツ科の1年草。➡ 257 00:22:41,188 --> 00:22:45,526 ドライフラワーに最適で 水や肥料を やり過ぎると➡ 258 00:22:45,526 --> 00:22:49,864 茎が ヒョロヒョロに伸びてしまう 繊細な花。➡ 259 00:22:49,864 --> 00:22:53,734 しかも また 「ス」で返してくるとは…。➡ 260 00:22:53,734 --> 00:22:58,034 あの男 ただ者じゃねえ> 261 00:23:03,410 --> 00:23:06,413 うっ! あ…。 262 00:23:06,413 --> 00:23:10,885 スパラキシス…。 263 00:23:10,885 --> 00:23:16,223 <エキゾチックな花を咲かせる アヤメ科の球根植物。➡ 264 00:23:16,223 --> 00:23:22,096 色は豊富で 性質は丈夫だが やや寒さと多湿に弱い。➡ 265 00:23:22,096 --> 00:23:26,567 しかも また 「ス」で返してきた。➡ 266 00:23:26,567 --> 00:23:31,267 植物の丹下 さすがだ> 267 00:23:35,843 --> 00:23:46,487 ♬~ 268 00:23:46,487 --> 00:23:49,189 [ 心の声 ] なんて すげえ決闘だ!➡ 269 00:23:49,189 --> 00:23:53,861 次だ! 次の一手で 勝負が決まる! 270 00:23:53,861 --> 00:23:56,764 ♬~ 271 00:23:56,764 --> 00:24:00,200 お前 何 食ってんだよ! あ すいません。 お前! 272 00:24:00,200 --> 00:24:03,103 お前も ジュースとか飲んでんじゃ ねえよ! すいません! 273 00:24:03,103 --> 00:24:06,540 (スローモーションで)お前も ジュースとか飲んでんじゃねえよ! 274 00:24:06,540 --> 00:24:08,876 (スローモーションで)すいません! 275 00:24:08,876 --> 00:24:19,876 ♬~ 276 00:24:23,424 --> 00:24:26,424 ス ス ス ス ス! あっ! あっ! あっ! 277 00:24:31,832 --> 00:24:39,832 あ…。 し… 知らねえ。 278 00:24:43,844 --> 00:24:46,844 あっ 相変わらず 危ねえ。 279 00:24:49,717 --> 00:24:54,188 表面に 金属のような光沢のある➡ 280 00:24:54,188 --> 00:24:59,526 ミャンマー原産の観葉植物さ! 281 00:24:59,526 --> 00:25:03,864 俺より詳しいやつがいるとは…。 282 00:25:03,864 --> 00:25:06,864 負けたよ。 283 00:25:12,206 --> 00:25:21,215 ♬~ 284 00:25:21,215 --> 00:25:25,886 <勝負は 紙一重の差で 俺が勝った。➡ 285 00:25:25,886 --> 00:25:29,757 だが この息詰まる死闘を通じて➡ 286 00:25:29,757 --> 00:25:34,495 俺たちには 奇妙な友情が芽生えた。➡ 287 00:25:34,495 --> 00:25:39,366 そして 肩を組んで 夕日に向かって➡ 288 00:25:39,366 --> 00:25:42,369 歩いていったのだった> 289 00:25:42,369 --> 00:25:48,509 (笑い声) 290 00:25:48,509 --> 00:25:51,178 (泣き声) 291 00:25:51,178 --> 00:25:54,848 (笑い声) 292 00:25:54,848 --> 00:26:02,523 (2人)あ~! 293 00:26:02,523 --> 00:26:04,458 (笑い声) 294 00:26:04,458 --> 00:26:06,393 はい! 295 00:26:06,393 --> 00:26:10,864 (笑い声) 296 00:26:10,864 --> 00:26:15,536 ♬~ 297 00:26:15,536 --> 00:26:17,471 ちょっと お客さん。 298 00:26:17,471 --> 00:26:24,545 閉店ですよ。 閉店。 あ はい。 すいません。 299 00:26:24,545 --> 00:26:29,216 <あれは 夢だったのか…。➡ 300 00:26:29,216 --> 00:26:36,216 カウンターを見ると マダガスカル・ジャスミンが置かれていた> 301 00:26:43,163 --> 00:26:45,499 <何はともあれ➡ 302 00:26:45,499 --> 00:26:51,839 日光に強いと評判の マダガスカル・ジャスミンを手に入れたのだ。➡ 303 00:26:51,839 --> 00:26:58,539 こいつなら この酷暑地獄に 打ち勝ってくれるはずだ> 304 00:27:03,851 --> 00:27:10,524 <しかし 何日かたつと やつは 花をポロポロと落とし➡ 305 00:27:10,524 --> 00:27:13,861 朽ちていった。➡ 306 00:27:13,861 --> 00:27:16,196 どういう事だ。➡ 307 00:27:16,196 --> 00:27:20,868 日ざしに強いんじゃなかったのか> 308 00:27:20,868 --> 00:27:24,738 ♬~ 309 00:27:24,738 --> 00:27:29,209 <俺は ふと ほかの植物を見た。➡ 310 00:27:29,209 --> 00:27:32,112 すると どうだ。➡ 311 00:27:32,112 --> 00:27:35,816 新しく投入したやつらの 体たらくをよそに➡ 312 00:27:35,816 --> 00:27:42,516 古豪どもは 意外なほど 元気だった> 313 00:27:46,460 --> 00:27:51,165 <俺は この暑さで 自分を見失い➡ 314 00:27:51,165 --> 00:27:56,865 やつらの生命力の強さを 見過ごしていたのだ> 315 00:27:59,506 --> 00:28:05,179 <今年の夏は 長そうだ。➡ 316 00:28:05,179 --> 00:28:10,050 全国のベランダー諸君。 俺も こうしてやっている。➡ 317 00:28:10,050 --> 00:28:14,855 苦労しているのは 君らだけじゃない。➡ 318 00:28:14,855 --> 00:28:21,528 たとえ 全部 枯らしてしまっても 君たちは悪くない。➡ 319 00:28:21,528 --> 00:28:27,528 そう。 全部 夏が悪いのだ> 320 00:28:29,203 --> 00:28:31,805 アチッ! 321 00:28:31,805 --> 00:29:20,805 ♬~ 322 00:30:33,794 --> 00:30:37,364 ♬~ 323 00:30:37,364 --> 00:30:41,368 穏やかな海 ピンクに染まる雲。 324 00:30:41,368 --> 00:30:46,268 あ ダイヤモンドヘッド! ハワイの朝焼けだ。 325 00:30:49,743 --> 00:30:56,083 世界有数のリゾート オアフ島のホノルル。 326 00:30:56,083 --> 00:31:01,683 この街に癒やされに来る観光客は 年間700万人とか。