1 00:00:02,202 --> 00:00:09,776 ♬~ 2 00:00:09,776 --> 00:00:13,947 <これは 後の世に聖徳太子と呼ばれた➡ 3 00:00:13,947 --> 00:00:18,151 厩戸皇子の若き日の物語である> 4 00:00:21,121 --> 00:00:24,024 <今から 1,400年余り昔➡ 5 00:00:24,024 --> 00:00:28,295 朝鮮半島は 3つの国が 戦いを繰り返していた。➡ 6 00:00:28,295 --> 00:00:32,799 高句麗 新羅 百済の3国である。➡ 7 00:00:32,799 --> 00:00:36,970 とりわけ 新羅と百済は 半島の南端にある➡ 8 00:00:36,970 --> 00:00:40,974 伽耶の支配権を巡って 激しく対立していた> 9 00:00:43,310 --> 00:00:48,615 <伽耶は 半島有数の鉄の産地であったからである> 10 00:01:46,640 --> 00:01:50,344 ♬~ 11 00:02:33,620 --> 00:02:35,922 (鉄がぶつかる音) 12 00:02:41,361 --> 00:02:44,164 (戸が開く音) 13 00:02:51,171 --> 00:02:53,473 (歓声) 14 00:02:59,646 --> 00:03:05,252 <倭国 異国の人々は ヤマトの国を そう呼んだ> 15 00:03:05,252 --> 00:04:05,245 ♬~ 16 00:04:05,245 --> 00:04:13,587 (兵たちの掛け声) 17 00:04:13,587 --> 00:04:18,391 (中臣勝海)お仕置きなるぞ! 大王のお仕置きなるぞ!➡ 18 00:04:18,391 --> 00:04:23,930 仏法の息の根を止めよ! 仏像を引き出せ! 19 00:04:23,930 --> 00:04:31,671 <585年3月 倭国の都 飛鳥は騒乱の中にあった> 20 00:04:31,671 --> 00:04:33,640 (歓声) 21 00:04:33,640 --> 00:04:36,943 <伝来した仏教を巡って➡ 22 00:04:36,943 --> 00:04:41,615 2大豪族の蘇我馬子と物部守屋が衝突。➡ 23 00:04:41,615 --> 00:04:45,786 この日 守屋は 時の大王 敏達帝の命を得て➡ 24 00:04:45,786 --> 00:04:50,290 馬子の屋敷の仏典や仏像を 焼き払いに来たのである> 25 00:04:50,290 --> 00:04:57,631 (物部守屋)蘇我大臣 こは大王の勅ぞ。 26 00:04:57,631 --> 00:05:02,068 汝が 百済より かかる仏像を持ち込みしより➡ 27 00:05:02,068 --> 00:05:09,476 諸国に悪しき疫病 はびこりて 民の苦しみ 国の存亡に及ぶべし。 28 00:05:09,476 --> 00:05:14,948 仏法 仏像ことごとく打ち払えとの仰せぞ。 29 00:05:14,948 --> 00:05:20,253 (蘇我馬子)心広き大王ともあろうお方が 奇っ怪なる申されようじゃ。 30 00:05:20,253 --> 00:05:25,125 そは 汝が強いて お勧め申した勅であろう! 31 00:05:25,125 --> 00:05:31,131 それが どうした。 吾れらの思いが 大王の叡慮に かのうたのよ。 32 00:05:35,268 --> 00:05:39,139 ヤマトには 古より 八百万の神々がいますのじゃ。 33 00:05:39,139 --> 00:05:43,009 異国の神などいらぬ! 34 00:05:43,009 --> 00:05:46,279 それ かかれ! 35 00:05:46,279 --> 00:05:48,281 (兵たち)オ~! 36 00:05:51,952 --> 00:05:58,291 刑人に仏罰を与えたまえ! 南無仏 南無仏! 37 00:05:58,291 --> 00:06:08,368 (笑い声) 38 00:06:08,368 --> 00:06:11,371 大臣…。大臣…。 大臣…。 39 00:06:16,576 --> 00:06:20,447 悪しき たたり神が ついたのやもしれませぬぞ。 40 00:06:20,447 --> 00:06:24,451 これに 息を吐き入れ おはらいなさりませ。 41 00:06:27,587 --> 00:06:34,094 え~ え~ え~。 42 00:06:34,094 --> 00:06:46,606 (呪文) 43 00:06:46,606 --> 00:06:51,278 (厩戸皇子の笑い声) 44 00:06:51,278 --> 00:06:55,949 皇子 いつ… いつ 参られた。 45 00:06:55,949 --> 00:06:58,785 (厩戸皇子)大臣は不思議なお方じゃな。 46 00:06:58,785 --> 00:07:01,054 仏法を皇子に教えておきながら➡ 47 00:07:01,054 --> 00:07:04,925 ご自分は 相変わらず 違う神も ご信心じゃ。 48 00:07:04,925 --> 00:07:10,230 仏法は いまだに 大臣の歯の痛みを治してくれませぬ。 49 00:07:10,230 --> 00:07:14,100 このような目に遭うても あのやっこらに 天罰を下されぬ。 50 00:07:14,100 --> 00:07:16,636 利き目の遅い神なのじゃ。 51 00:07:16,636 --> 00:07:18,605 それゆえ 疑われますのか? 52 00:07:18,605 --> 00:07:21,441 いやいや 疑いはせぬ。 疑いはせぬが…。 53 00:07:21,441 --> 00:07:25,245 今日 読んだお経に こう書いてありました。 54 00:07:27,247 --> 00:07:31,251 「この世のまことは一つ。 ただ一つ」。 55 00:07:33,119 --> 00:07:39,592 「まことは一つ ただ一つ」。 よい響きじゃ。 56 00:07:39,592 --> 00:07:43,930 以前 大臣が 百済から取り寄せられた お経です。 57 00:07:43,930 --> 00:07:47,400 気になっていたので 大伯母様に お頼みして倉へ入り➡ 58 00:07:47,400 --> 00:07:50,270 勝手に読んでしまいました。 59 00:07:50,270 --> 00:07:53,173 あいにく 今日は このありさまじゃ。 60 00:07:53,173 --> 00:07:56,142 さほどに気に入られたのなら お持ちあれ。 61 00:07:56,142 --> 00:07:59,679 いえ もう ここに 入りましたゆえ。 62 00:07:59,679 --> 00:08:01,681 入った? 63 00:08:04,584 --> 00:08:17,797 (お経を そらんじる声) 64 00:08:22,235 --> 00:08:26,539 ゆうべ これと同じ夢を見ました。 65 00:08:28,108 --> 00:08:31,745 仏殿が燃えている夢です。 66 00:08:31,745 --> 00:08:38,618 さりながら すぐに 雨が降るのです。 大雨が降って 火を消しまする。 67 00:08:38,618 --> 00:08:40,620 雨? 68 00:08:44,457 --> 00:08:47,761 大雨で 道も ぬかるみ➡ 69 00:08:47,761 --> 00:08:51,264 兵たちが 仏像を遠くまで運べなくなるのです。 70 00:08:51,264 --> 00:08:54,934 いずれ戻ってくるという夢です。 71 00:08:54,934 --> 00:09:03,543 ♬~ 72 00:09:03,543 --> 00:09:12,552 (雷鳴) 73 00:09:12,552 --> 00:09:16,723 ご覧じよ。 正夢ぞ! 74 00:09:16,723 --> 00:09:25,899 ♬~ 75 00:09:25,899 --> 00:09:27,934 大臣! はっ! 76 00:09:27,934 --> 00:09:50,123 ♬~ 77 00:09:50,123 --> 00:09:53,426 汝は… いずくより参った? 78 00:09:59,599 --> 00:10:01,935 (伊真)百済より参りました。 79 00:10:01,935 --> 00:10:03,970 何用で参られた? 80 00:10:03,970 --> 00:10:08,475 蘇我の大臣の館で 剣を作る者を お求めと聞き及び。 81 00:10:10,610 --> 00:10:15,915 剣を作る? 鍛冶の匠か… 名は? 82 00:10:18,284 --> 00:10:20,220 伊真。 83 00:10:20,220 --> 00:10:23,957 <厩戸皇子は この時 12歳。➡ 84 00:10:23,957 --> 00:10:29,262 倭国を支配する大王一族の王子であった> 85 00:10:31,831 --> 00:10:36,135 <この騒動から間もなく➡ 86 00:10:36,135 --> 00:10:39,439 大王 敏達帝が病を得 崩御。➡ 87 00:10:39,439 --> 00:10:42,642 巷には 仏像を焼いた たたりだという➡ 88 00:10:42,642 --> 00:10:44,577 噂が流れた。➡ 89 00:10:44,577 --> 00:10:49,883 敏達帝の異母弟たちによる 後継者争いが始まった> 90 00:11:00,593 --> 00:11:07,934 <中でも 最も年長の大兄皇子が 次の大王の最有力候補であった。➡ 91 00:11:07,934 --> 00:11:14,607 大兄は 厩戸皇子の父親で あつく仏教を信仰していた> 92 00:11:14,607 --> 00:11:18,811 厩戸 見よ この刃先を。 93 00:11:24,784 --> 00:11:30,290 百済から入ってきた新しい鋤ぞ。 94 00:11:30,290 --> 00:11:35,128 今までの物より はるかに深く掘れる。 95 00:11:35,128 --> 00:11:41,901 蘇我の叔父上の申されるとおり 百済の農法は 進んでおる。 96 00:11:41,901 --> 00:11:47,207 いや 鋤だけではないぞ。 97 00:11:47,207 --> 00:11:53,646 仏典を読んでも 説いている中身が恐ろしく深い。 98 00:11:53,646 --> 00:11:58,952 これを国の教えにしている百済は 相当なものだ。 99 00:12:01,921 --> 00:12:10,129 (大兄)厩戸 来目 日の光とは 不思議なものじゃとは思わぬか。 100 00:12:10,129 --> 00:12:16,269 はるか古より 変わらず この大地を照らしておる。 101 00:12:16,269 --> 00:12:25,612 何事にも動ぜず よき者にも 悪しき者にも 石にも草にも…。➡ 102 00:12:25,612 --> 00:12:30,917 仏の御心も この光に似ておるのやもしれぬ。 103 00:12:33,286 --> 00:12:40,159 願わくば この光のように 生きてみたいものじゃ…。 104 00:12:40,159 --> 00:13:17,864 ♬~ 105 00:13:21,801 --> 00:13:28,808 ふ~ん 鍛冶の匠は 太刀を作るだけかと 思うたら 仏像も作るのか。 106 00:13:28,808 --> 00:13:32,312 干し柿じゃ。 食わぬか。 107 00:13:34,614 --> 00:13:36,916 中へ入るぞ。 108 00:13:43,289 --> 00:13:46,492 挨拶はいらぬ。 食おうぞ。 109 00:13:54,901 --> 00:13:57,203 麗しいのう…。 110 00:13:58,838 --> 00:14:01,140 触ってもよいか。 111 00:14:14,587 --> 00:14:17,256 これは 誰のために作られた? 112 00:14:17,256 --> 00:14:20,927 誰のためにというものでは… 暇に任せて。 113 00:14:20,927 --> 00:14:23,262 大臣には お見せするのか? 114 00:14:23,262 --> 00:14:26,599 いえ 大臣には 剣を作って献上するよう➡ 115 00:14:26,599 --> 00:14:28,935 長に命じられておりますれば…。 116 00:14:28,935 --> 00:14:31,838 あの騒動で あまたの仏像が打ち壊された。 117 00:14:31,838 --> 00:14:37,276 お力落としのはずじゃ。 うん きっと喜ばれる。 118 00:14:37,276 --> 00:14:39,979 今から これを 見せに参っては どうじゃ。 119 00:14:42,148 --> 00:15:09,909 ♬~ 120 00:15:09,909 --> 00:15:12,211 大臣に 厩戸が参ったと。 121 00:15:14,747 --> 00:15:16,749 中に入っても よいか? 122 00:15:21,521 --> 00:15:24,257 刀自古 倭語で言え。 123 00:15:24,257 --> 00:15:27,460 皇子こそ 百済語で 返事をなさいませ。 124 00:15:27,460 --> 00:15:31,931 これからは 父上も 館の中では 百済語でしゃべると申しております。 125 00:15:31,931 --> 00:15:34,934 皇子も やらされますよ。 126 00:15:36,602 --> 00:15:39,605 大臣の娘じゃ。 お転婆で困る。 127 00:15:48,948 --> 00:15:50,983 (割れる音) 128 00:15:50,983 --> 00:15:54,754 ⚟(穴穂部皇子) 次の大王に 何故 大兄が有力なのか➡ 129 00:15:54,754 --> 00:15:56,956 しかと お聞きしたい! 130 00:15:59,425 --> 00:16:03,296 この穴穂部は 大兄とは 腹違いであるが➡ 131 00:16:03,296 --> 00:16:06,065 母は同じ蘇我の出ぞ。 132 00:16:06,065 --> 00:16:08,534 大王に推されて 何ら不都合はあるまい! 133 00:16:08,534 --> 00:16:11,070 吾れに そう申されても。 134 00:16:11,070 --> 00:16:16,843 次の大王を お決めになるのは 亡き大王の大后ゆえ。 135 00:16:16,843 --> 00:16:20,079 大后も 蘇我の一門。 136 00:16:20,079 --> 00:16:23,583 叔父上の物言いが 大后を左右しておると聞くぞ! 137 00:16:23,583 --> 00:16:25,518 (泊瀬部皇子)兄上。 138 00:16:25,518 --> 00:16:28,421 (馬子)これは これは 厩戸皇子…。 139 00:16:28,421 --> 00:16:30,857 <穴穂部皇子にとって➡ 140 00:16:30,857 --> 00:16:37,263 厩戸皇子の父 大兄皇子は 最大の敵であった> 141 00:16:37,263 --> 00:16:43,402 汝は 次の大王は 誰が ふさわしいと思う? 142 00:16:43,402 --> 00:16:46,906 大兄か? それとも この穴穂部か? 143 00:16:51,944 --> 00:16:54,280 (泊瀬部)兄上が…。 144 00:16:54,280 --> 00:16:56,582 訳は? 145 00:16:58,951 --> 00:17:01,954 その訳を 叔父上に申し上げよ。 146 00:17:03,789 --> 00:17:06,759 早う申せ! 147 00:17:06,759 --> 00:17:11,898 兄上は 国が豊かになり 強うなるためには➡ 148 00:17:11,898 --> 00:17:15,434 鉄が必要であると お考えでありまする。 149 00:17:15,434 --> 00:17:22,074 鉄は伽耶の国にあり 伽耶は 新羅に押さえられておりまする。 150 00:17:22,074 --> 00:17:28,247 それゆえ 兄上は 新羅に戦を仕掛け➡ 151 00:17:28,247 --> 00:17:32,585 伽耶を手中に収めたいと 決意なされておりまする。 152 00:17:32,585 --> 00:17:35,922 この気概 この気迫…。 153 00:17:35,922 --> 00:17:44,931 この泊瀬部 兄上こそ この国に 富をもたらす まことの勇者であると。 154 00:17:49,468 --> 00:17:55,274 付け加えれば 吾れが大王となり 伽耶を手に入れた暁には➡ 155 00:17:55,274 --> 00:17:58,778 鉄の採掘権は 全て 大臣に委ねる所存。 156 00:17:58,778 --> 00:18:02,214 大臣にも 満足のゆく運びになろうかと。 157 00:18:02,214 --> 00:18:08,888 なるほど。 しかしながら 新羅との戦は大ごとぞ。 158 00:18:08,888 --> 00:18:12,558 <馬子は 皇子の誘いに乗らなかった。➡ 159 00:18:12,558 --> 00:18:17,863 皇子が 守屋に接近していることを 知っていたからである> 160 00:18:22,902 --> 00:18:26,372 問題は 穴穂部皇子よ。 161 00:18:26,372 --> 00:18:30,242 新羅攻めを企てておられる。 162 00:18:30,242 --> 00:18:34,914 物部も そうだが 倭国の古い豪族は 鉄 欲しさに➡ 163 00:18:34,914 --> 00:18:38,417 何かというと 新羅に戦を仕掛けようとする。 164 00:19:41,781 --> 00:19:48,287 何はともあれ 戦好きのお方を 大王に頂くことは 避けねばの。 165 00:19:52,091 --> 00:20:12,278 ♬~ 166 00:20:12,278 --> 00:20:19,785 <その年の9月 厩戸皇子の父 大兄皇子が 大王に即位した。➡ 167 00:20:19,785 --> 00:20:23,656 後に用明帝と称される大王である> 168 00:20:23,656 --> 00:20:45,811 ♬~ 169 00:20:45,811 --> 00:20:47,746 え~い! 170 00:20:47,746 --> 00:20:52,451 <即位の儀式は 矛を持った大臣 蘇我馬子と➡ 171 00:20:52,451 --> 00:20:56,989 盾をささげた 大連 物部守屋の先導により➡ 172 00:20:56,989 --> 00:21:00,759 大和朝廷に仕える豪族の参集のもと➡ 173 00:21:00,759 --> 00:21:06,932 亡き大王の大后 額田部皇女を後見に迎え➡ 174 00:21:06,932 --> 00:21:09,268 厳かに執り行われた> 175 00:21:09,268 --> 00:21:14,774 ♬~ 176 00:21:14,774 --> 00:21:32,191 (祝詞) 177 00:21:32,191 --> 00:21:37,963 <用明帝は 大后 額田部皇女の実の兄にあたり➡ 178 00:21:37,963 --> 00:21:42,301 蘇我家の流れをくむ 最初の大王であった。➡ 179 00:21:42,301 --> 00:21:48,174 その即位に 額田部皇女と 大臣 蘇我馬子の意向が➡ 180 00:21:48,174 --> 00:21:53,312 強く働いているのは 誰の目にも明らかであった> 181 00:21:53,312 --> 00:22:00,519 ♬~ 182 00:22:25,778 --> 00:22:31,584 <その夜 額田部皇女は 殯宮にいた。➡ 183 00:22:31,584 --> 00:22:38,891 殯宮とは 亡き大王の御霊を鎮める仮の宮殿である> 184 00:22:48,968 --> 00:22:54,640 <亡骸が埋葬されるまでの数か月 長ければ数年にわたり➡ 185 00:22:54,640 --> 00:22:59,979 后は 亡き大王を守って 殯宮に籠もった。➡ 186 00:22:59,979 --> 00:23:05,184 死者と共に食事をし 死者と共に眠った> 187 00:23:18,931 --> 00:23:20,933 (額田部皇女)汝は? 188 00:23:32,278 --> 00:23:34,213 あっ…。 189 00:23:34,213 --> 00:23:37,149 ここは殯宮ぞ。 恐れがましい! 190 00:23:37,149 --> 00:23:40,953 お許し下され。 こうでもせねば 話を聞いていただけぬ。 191 00:23:40,953 --> 00:23:43,856 今日 穴穂部は 死ぬ覚悟で参ったのじゃ。 192 00:23:43,856 --> 00:23:47,126 何故 大兄を大王に選ばれました? 193 00:23:47,126 --> 00:23:50,029 このままでは 大王家は滅びまするぞ。 194 00:23:50,029 --> 00:23:53,632 大兄は 人が よすぎる。 蘇我の叔父上の言いなりじゃ。 195 00:23:53,632 --> 00:23:56,302 叔父上は 朝廷の財政を一手に握り➡ 196 00:23:56,302 --> 00:24:00,673 大王に代わって 朝廷を乗っ取るつもりじゃ。 197 00:24:00,673 --> 00:24:03,242 たわ言を! 「たわ言」? 198 00:24:03,242 --> 00:24:08,914 大兄に決める時 叔父上は 大后と どんな約束をしました? 199 00:24:08,914 --> 00:24:15,087 大兄の次は 大后の御子 竹田をつかせると申したか! 200 00:24:15,087 --> 00:24:17,923 だまされては なりませぬぞ。 201 00:24:17,923 --> 00:24:21,593 叔父上は 竹田を大王にする気は毛頭ない。 202 00:24:21,593 --> 00:24:26,932 大兄の次は 厩戸と決めておるのじゃ!➡ 203 00:24:26,932 --> 00:24:30,803 叔父上は 大后をだまして 都合のよい朝廷を作ろうとしている。 204 00:24:30,803 --> 00:24:36,275 吾れらは 蘇我の者である前に 大王の家の者ぞ。 205 00:24:36,275 --> 00:24:40,779 よこしまな大臣とは 断固 戦わねばならぬ。 206 00:24:40,779 --> 00:24:43,415 さようであろう! 207 00:24:43,415 --> 00:24:47,953 この穴穂部と大后が手を結べば 叔父上など たやすく朝廷から追い払える。 208 00:24:47,953 --> 00:24:52,825 頼む この穴穂部を大王にしてくれ。 大兄に代えて 大王にしてくれ。 209 00:24:52,825 --> 00:24:55,294 次は 必ず 竹田に継がしてみせる。 210 00:24:55,294 --> 00:24:58,197 やめよ! 下がれ! 211 00:24:58,197 --> 00:25:04,103 手をつなぐのじゃ。 手をつなぐのじゃ。 吾れらは手を…。 212 00:25:04,103 --> 00:25:20,919 ♬~ 213 00:25:20,919 --> 00:25:23,255 何者? 214 00:25:23,255 --> 00:25:29,395 ♬~ 215 00:25:29,395 --> 00:25:31,330 面を見せい! 216 00:25:31,330 --> 00:25:47,112 ♬~ 217 00:25:47,112 --> 00:25:49,047 あ~! 218 00:25:49,047 --> 00:25:51,617 奇っ怪な! 219 00:25:51,617 --> 00:26:02,628 ♬~ 220 00:26:05,898 --> 00:26:09,635 (兵たち)誰ぞ! 何者ぞ! 221 00:26:09,635 --> 00:26:13,238 (三輪君逆)恐れがましい者め! ここを いずくと心得る! 222 00:26:13,238 --> 00:26:15,541 殯宮なるぞ! 223 00:26:17,576 --> 00:26:22,781 怪しい者ではない。 吾れは穴穂部皇子じゃ! 224 00:26:29,188 --> 00:26:35,127 穴穂部皇子ともあろう お方が 何故 宮殿にて 太刀を抜いておられる。 225 00:26:35,127 --> 00:26:39,598 怪しい者を見かけたのじゃ。 つべこべ言わずに そこをどけ。 226 00:26:39,598 --> 00:26:42,301 どかぬ! 227 00:26:44,470 --> 00:26:47,272 大后に話があるのじゃ。 228 00:26:47,272 --> 00:26:53,078 ならぬ! この逆 亡き大王の おそばに仕えた身➡ 229 00:26:53,078 --> 00:26:57,616 殯宮での無礼な振る舞い 何人たりとも許さぬ! 230 00:26:57,616 --> 00:27:01,920 汝! 皇子に向かって刃向かう気か! 231 00:27:06,425 --> 00:27:08,560 わ~っ! 232 00:27:08,560 --> 00:27:14,433 ♬~ 233 00:27:14,433 --> 00:27:16,902 (兵たち)皇子! 皇子! 234 00:27:16,902 --> 00:27:31,917 ♬~ 235 00:27:31,917 --> 00:27:34,253 待て。 待て 待て 逆 待て…。 236 00:27:34,253 --> 00:27:40,592 <穴穂部皇子の ろうぜきを 敏達帝の寵臣 三輪君逆が止めた。➡ 237 00:27:40,592 --> 00:27:45,797 この一件が 朝廷を揺るがす事件の発端となった> 238 00:27:51,236 --> 00:27:53,171 斬れ! 239 00:27:53,171 --> 00:28:03,215 ♬~ 240 00:28:03,215 --> 00:28:07,085 <穴穂部皇子は 三輪君逆を恨み➡ 241 00:28:07,085 --> 00:28:11,790 物部守屋に逆の討伐を命じたのである> 242 00:28:14,726 --> 00:28:25,904 ♬~(歌声) 243 00:28:25,904 --> 00:28:28,373 <すると 翌年の4月➡ 244 00:28:28,373 --> 00:28:36,114 今度は 守屋の片腕と目された 豪族 中臣勝海が狙われた> 245 00:28:36,114 --> 00:28:41,920 (中臣)そこをどけ! どかぬと 踏み潰すぞ! 246 00:28:41,920 --> 00:28:44,756 (子供たち)キャ~! 247 00:28:44,756 --> 00:28:46,692 ♬~(歌声) 248 00:28:46,692 --> 00:28:49,928 この うすのろが~! 249 00:28:49,928 --> 00:28:55,734 (何回も刺す音) 250 00:28:55,734 --> 00:28:59,938 ♬~ 251 00:28:59,938 --> 00:29:04,710 <襲ったのは 迹見赤檮という舎人であった> 252 00:29:04,710 --> 00:29:16,221 ♬~(歌声) 253 00:29:16,221 --> 00:29:18,223 (紀男麻呂) 聞き捨てならぬぞ 大連!➡ 254 00:29:18,223 --> 00:29:22,561 中臣勝海を あやめたのが 蘇我大臣じゃと申されるか!➡ 255 00:29:22,561 --> 00:29:28,433 よいか! 中臣が死んだのは 三輪君逆を 汝らが殺した天罰なのじゃ。 256 00:29:28,433 --> 00:29:30,435 黙れ 紀男麻呂! そうじゃ そうじゃ 天罰じゃ! 257 00:29:30,435 --> 00:29:36,575 (守屋)とやかく申さず 赤檮の首を これへ差し出されよ! 258 00:29:36,575 --> 00:29:41,246 (紀)三輪君を殺した者は 皆 呪われねばならぬ! 259 00:29:41,246 --> 00:29:43,181 (守屋)聞き捨てならぬ! 260 00:29:43,181 --> 00:29:46,451 そは この守屋に向かって 申しておるのか! 261 00:29:46,451 --> 00:29:48,453 ほかに 誰がおる! 262 00:29:48,453 --> 00:29:52,591 <朝廷は 完全に 蘇我と物部の2派に分裂。➡ 263 00:29:52,591 --> 00:29:55,594 用明帝は 無力であった> 264 00:30:16,815 --> 00:30:18,817 皇子じゃ。 265 00:30:52,317 --> 00:30:54,619 (物が落ちた音) 266 00:30:56,188 --> 00:31:00,058 小さな物を 6つ 落としたであろう。 267 00:31:00,058 --> 00:31:02,561 2つは 足の下。 268 00:31:06,832 --> 00:31:09,534 3つは 棚の下。 269 00:31:14,573 --> 00:31:17,275 残りは 壁の所にある。 270 00:31:25,951 --> 00:31:27,886 よく 見えまするな。 271 00:31:27,886 --> 00:31:32,390 音じゃ。 6つ 音が聞こえた。 272 00:31:32,390 --> 00:31:35,794 今日は あまり お話をなさりませぬな。 273 00:31:37,963 --> 00:31:41,266 大王が病に伏せられたと お聞きいたしましたが…。 274 00:31:43,301 --> 00:31:46,204 心労じゃ。 275 00:31:46,204 --> 00:31:50,809 父上が 大王につかれて以来 争いが絶えぬ。 276 00:31:50,809 --> 00:31:57,682 皆 父上の気持ちを考えず 好き勝手ばかり申しておる。 277 00:31:57,682 --> 00:32:00,886 このままでは 国が 乱れるばかりじゃ。 278 00:32:06,925 --> 00:32:12,597 来目の意見は こうじゃ。 父上は 皆に気を遣い過ぎる。 279 00:32:12,597 --> 00:32:15,100 朝廷内での争いは➡ 280 00:32:15,100 --> 00:32:18,937 たとい 穴穂部の叔父上であれ 物部であれ 厳罰に処する。 281 00:32:18,937 --> 00:32:22,641 そういう姿勢で ぴしりと おやりになればよいのじゃ。 282 00:32:24,609 --> 00:32:31,283 母上は もっと悲観的な見方じゃ。 父上は 優しすぎる。 283 00:32:31,283 --> 00:32:34,986 大王に向いておられぬのやもと…。 284 00:32:36,955 --> 00:32:40,158 しかし 大王が 優しくて 何故いかん? 285 00:32:41,793 --> 00:32:44,596 優しいゆえ 戦を嫌う。 286 00:32:46,965 --> 00:32:49,968 優しいゆえ 民の幸せを願う。 287 00:32:52,838 --> 00:32:55,540 優しいゆえ 己の利に走らぬ。 288 00:32:58,310 --> 00:33:00,612 どこが悪い? 289 00:33:04,583 --> 00:33:10,455 蘇我の叔父上は こう申される。 大王は仏じゃ。 290 00:33:10,455 --> 00:33:13,758 仏法によれば 仏には 守護神という➡ 291 00:33:13,758 --> 00:33:16,795 力業の四天王が ついておるではないか。 292 00:33:16,795 --> 00:33:19,264 蘇我が 守護神となって➡ 293 00:33:19,264 --> 00:33:22,968 大王を お守りすれば それで よいことじゃと。 294 00:33:26,137 --> 00:33:28,607 伊真は どう思う? 295 00:33:28,607 --> 00:33:33,478 蘇我大臣が 真の守護神なれば 今の騒ぎは いずれ 収まりましょう。 296 00:33:33,478 --> 00:33:36,181 収まらぬ時は? 297 00:33:41,119 --> 00:33:43,622 その時は どうする? 298 00:33:45,290 --> 00:33:48,593 守護神を 新たに探さねばなりませぬな。 299 00:33:58,837 --> 00:34:02,774 海を越えた西に 隋という国がありまする。 300 00:34:02,774 --> 00:34:08,613 ここ数年 幾百万もの民を 擁した大国になり➡ 301 00:34:08,613 --> 00:34:11,449 百済も新羅も高句麗も➡ 302 00:34:11,449 --> 00:34:15,921 行く末 恐るべしと…➡ 303 00:34:15,921 --> 00:34:18,757 息のんで 見ておりまする。 304 00:34:18,757 --> 00:34:21,760 名だけは 聞いておる。 305 00:34:28,266 --> 00:34:32,604 その国の大王は 守護神を 豪族に限らず➡ 306 00:34:32,604 --> 00:34:39,277 幾百万もの 民の中から探し出し 国を まとめつつあると申します。 307 00:34:39,277 --> 00:34:42,113 民の中から? 308 00:34:42,113 --> 00:34:48,286 田畑を耕す者 商人たちの中にも 国を見通す 優れた者はいるはず。 309 00:34:48,286 --> 00:34:53,124 その者を国中から よりすぐり 朝廷のおもだった役に就け➡ 310 00:34:53,124 --> 00:34:57,963 力を発揮させるという やり方と 聞き及んでおりまする。 311 00:34:57,963 --> 00:35:03,234 隋の大王も 仏法を信奉されている由。 312 00:35:03,234 --> 00:35:07,105 ♬~ 313 00:35:07,105 --> 00:35:10,008 なるほどのう。 314 00:35:10,008 --> 00:35:14,946 仏を信ずれば 誰でも天寿国へ行ける。 315 00:35:14,946 --> 00:35:19,584 豪族も 普通の民も 皆 同じというわけじゃ。 316 00:35:19,584 --> 00:35:24,089 そこのところを分かっておられる 大王であろう。 317 00:35:24,089 --> 00:35:27,125 そのやり方は 国中の者に 望みがあるということじゃ。 318 00:35:27,125 --> 00:35:30,261 皆が元気になる。 319 00:35:30,261 --> 00:35:36,601 隋という国 大きゅうなるやもしれん。 320 00:35:36,601 --> 00:35:41,773 よい話じゃ。 父上にも お聞かせしたい。 もそっと詳しゅう話してくれぬか。 321 00:35:41,773 --> 00:35:44,075 (いななき) (来目皇子)兄上! 322 00:35:45,944 --> 00:35:49,247 兄上… お父上のお加減が…。 323 00:35:51,282 --> 00:36:14,606 (呪文) 324 00:36:14,606 --> 00:36:16,608 父上…。 325 00:36:30,955 --> 00:36:35,260 (来目)父上! 父上! 326 00:36:35,260 --> 00:36:44,402 (すすり泣く声) 327 00:36:44,402 --> 00:36:52,944 (泣き声) 328 00:36:52,944 --> 00:36:59,718 <587年4月 用明帝は混乱のさなか➡ 329 00:36:59,718 --> 00:37:03,555 病のため 志半ばで崩御。➡ 330 00:37:03,555 --> 00:37:09,561 厩戸皇子と来目皇子は 父親を失った> 331 00:37:32,617 --> 00:37:41,259 兄上の無念を思うと… 胸潰るる思いが致しまする。 332 00:37:41,259 --> 00:37:44,762 間人皇女も お嘆きが深く➡ 333 00:37:44,762 --> 00:37:49,067 大后としてのお言葉も頂けぬありさま。 334 00:38:00,211 --> 00:38:03,214 それは よう分かりまする。 335 00:38:05,884 --> 00:38:13,558 大后とはいえ 夫に先立たれた 一人の女。 336 00:38:13,558 --> 00:38:20,265 この額田部も いまだに この殯宮から出ることができませぬ。 337 00:38:21,900 --> 00:38:27,238 さりながら 吾れら臣下は 次なる大王を 定めていただかねば➡ 338 00:38:27,238 --> 00:38:31,109 この深い夜道を 抜け出すことができませぬ。 339 00:38:31,109 --> 00:38:38,249 ⚟(ときの声) 340 00:38:38,249 --> 00:38:40,185 あれは 何ぞ? 341 00:38:40,185 --> 00:38:46,124 先ほどから 物部の軍勢が 市の辺りを練り歩いておりまする。 342 00:38:46,124 --> 00:38:48,593 物部の軍勢? 343 00:38:48,593 --> 00:38:53,097 次の大王に 穴穂部皇子をつけねば➡ 344 00:38:53,097 --> 00:38:56,367 吾れらが黙っておらぬと 気勢を上げてる由。 345 00:38:56,367 --> 00:39:01,873 穴穂部は 三輪君逆を殺した刑人ぞ。 断じて許せぬ! 346 00:39:01,873 --> 00:39:06,744 いかにも。 されど皇子は 亡き大王の弟君。 347 00:39:06,744 --> 00:39:09,614 弟なら 泊瀬部もいよう。 348 00:39:09,614 --> 00:39:15,887 畏れながら 泊瀬部皇子は 意志薄弱の気味ありと➡ 349 00:39:15,887 --> 00:39:19,891 父君が お嘆きになられしお方。 350 00:39:25,230 --> 00:39:30,735 さりとて 年若い厩戸というわけにも まいりますまい。 351 00:39:30,735 --> 00:39:34,606 ♬~ 352 00:39:34,606 --> 00:39:37,375 なかんずく 厩戸は➡ 353 00:39:37,375 --> 00:39:43,181 叔父上の色が濃すぎるゆえ 物部の反発も強かろう。 354 00:39:43,181 --> 00:39:47,919 ♬~ 355 00:39:47,919 --> 00:39:50,455 厩戸皇子が 年若いとなれば➡ 356 00:39:50,455 --> 00:39:56,928 大后の御子 竹田皇子も 同じということになりまするが…。 357 00:39:56,928 --> 00:40:01,232 それで よろしいか。 358 00:40:10,108 --> 00:40:14,279 (ときの声) 359 00:40:14,279 --> 00:40:27,825 ♬~ 360 00:40:27,825 --> 00:40:36,434 (呪禁師の まじない) 361 00:40:36,434 --> 00:40:39,637 ♬~ 362 00:40:39,637 --> 00:40:44,142 おう! そは ご託宣ぞ! 363 00:40:44,142 --> 00:40:50,315 (ときの声) 364 00:40:50,315 --> 00:41:09,801 ♬~ 365 00:41:09,801 --> 00:41:13,638 大臣に 一つ 尋ねたき儀がある。 366 00:41:13,638 --> 00:41:19,277 大臣は 何故 厩戸を好まれる? 367 00:41:19,277 --> 00:41:22,981 奇妙な組み合わせに思えるのじゃ。 368 00:41:27,418 --> 00:41:29,420 何故であろう。 369 00:41:31,289 --> 00:41:36,127 人は 誰でも美しい花を好みまする。 370 00:41:36,127 --> 00:41:43,301 己が 醜ければ醜いほど それを美しいと思う。 371 00:41:43,301 --> 00:41:47,171 花も 仏も… 皇子も…。 372 00:41:47,171 --> 00:41:50,975 皆 似ておるのやも。 373 00:41:54,645 --> 00:41:57,648 分からぬ答えようじゃ。 374 00:42:01,386 --> 00:42:03,755 いかがでござりましょう。 375 00:42:03,755 --> 00:42:08,593 このままにては 穴穂部皇子の天下となりまする。 376 00:42:08,593 --> 00:42:13,598 それよりも ここしばらくは 泊瀬部皇子で。 377 00:42:17,935 --> 00:42:19,871 泊瀬部? 378 00:42:19,871 --> 00:42:24,375 竹田皇子と厩戸皇子が 成長されるまでの間。 379 00:42:26,944 --> 00:42:30,281 穴穂部は それで承服いたしましょうや。 380 00:42:30,281 --> 00:42:36,120 承服つかまつらねば 一戦 交えるまで。 381 00:42:36,120 --> 00:43:06,584 ♬~ 382 00:43:06,584 --> 00:43:08,920 姫! 姫! 383 00:43:08,920 --> 00:43:50,528 ♬~ 384 00:43:50,528 --> 00:43:52,964 鍛冶部の伊真が 皇子に届けてくれと申して➡ 385 00:43:52,964 --> 00:43:55,633 館へ持参いたしました。 386 00:43:55,633 --> 00:43:58,436 伊真は 腕はよいが 気難しい男子じゃと➡ 387 00:43:58,436 --> 00:44:00,905 鍛冶部の者が申しております。 388 00:44:00,905 --> 00:44:04,575 それが このような物を。 389 00:44:04,575 --> 00:44:07,578 よほど 皇子を 案じておるのじゃ。 390 00:44:11,916 --> 00:44:15,586 お母上も 案じておられましたよ。 391 00:44:15,586 --> 00:44:18,489 皇子は食べ物も あまり口にせず➡ 392 00:44:18,489 --> 00:44:21,759 誰も連れずに 毎日 どこかへ出ていく。 393 00:44:21,759 --> 00:44:24,962 悲しみで 気が触れたのではあるまいかと。 394 00:44:26,931 --> 00:44:29,267 だから 申し上げたのです。 395 00:44:29,267 --> 00:44:32,169 確かに 皇子は 変わったところのあるお方です。 396 00:44:32,169 --> 00:44:35,873 でも 気が触れるほど 弱いお方ではありません。 397 00:44:38,276 --> 00:44:40,945 刀自古は 相変わらずじゃな。 398 00:44:40,945 --> 00:44:43,414 それは おしゃべりだということですか? 399 00:44:43,414 --> 00:44:46,284 出しゃばりだということですか? 400 00:44:46,284 --> 00:44:48,586 両方だ。 401 00:44:57,795 --> 00:45:06,504 釈迦というお方は 家を捨て 一族を捨て➡ 402 00:45:06,504 --> 00:45:09,807 国を捨てて 仏の道へ入っていかれたそうじゃ。 403 00:45:14,579 --> 00:45:21,452 父上も そうなされば あのように 苦しまず➡ 404 00:45:21,452 --> 00:45:25,156 もっと長生きされたやもしれぬ。 405 00:45:27,925 --> 00:45:34,799 一族が どうなろうと 国が どのようになろうと。 406 00:45:34,799 --> 00:45:42,273 ♬~ 407 00:45:42,273 --> 00:45:45,276 しかし それで よいのか。 408 00:45:45,276 --> 00:45:51,616 ♬~ 409 00:45:51,616 --> 00:45:57,788 己一人 仏の道に入り それで よいのか…。 410 00:45:57,788 --> 00:46:06,230 ♬~ 411 00:46:06,230 --> 00:46:13,904 結局 父上は… 難しい生き方を選ばれた。 412 00:46:13,904 --> 00:46:32,590 ♬~ 413 00:46:46,270 --> 00:47:01,218 (悲鳴) 414 00:47:01,218 --> 00:47:06,891 瘡患… お父上と同じ病でござりまするな。 415 00:47:06,891 --> 00:47:09,360 (悲鳴) 416 00:47:09,360 --> 00:47:13,898 (泣き声) 417 00:47:13,898 --> 00:47:18,569 (ざわめき) 418 00:47:18,569 --> 00:47:22,373 皇子? 皇子! 419 00:47:22,373 --> 00:47:25,176 行くでない! うつるぞ! 420 00:47:28,579 --> 00:47:31,382 姫! 姫! 421 00:47:44,929 --> 00:47:47,631 寒い…。 422 00:48:04,882 --> 00:48:07,585 水を飲むか? 423 00:48:17,361 --> 00:48:19,663 わ~! あ~! 424 00:49:00,538 --> 00:49:53,824 ♬~ 425 00:50:02,466 --> 00:50:07,471 <その年の歴史の歯車は 速く回った> 426 00:50:12,943 --> 00:50:19,817 <大臣 蘇我馬子は 味方の豪族 佐伯連 土師連に命じ➡ 427 00:50:19,817 --> 00:50:22,820 穴穂部皇子を襲わせた> 428 00:50:25,422 --> 00:50:29,293 (兵たちの戦う声) 429 00:50:29,293 --> 00:50:35,966 (兵たちの戦う声) 430 00:50:35,966 --> 00:50:38,636 狙いは 穴穂部皇子 ただ一人ぞ! 431 00:50:38,636 --> 00:50:41,539 かかれ~! 432 00:50:41,539 --> 00:50:44,241 (兵たちの戦う声) 433 00:50:53,183 --> 00:50:56,186 (兵たちの戦う声) 434 00:50:56,186 --> 00:50:59,690 穴穂部皇子。 435 00:51:04,762 --> 00:51:07,398 土師連か! 436 00:51:07,398 --> 00:51:10,100 はあ~! 437 00:51:14,271 --> 00:51:16,473 皇子! 438 00:51:48,172 --> 00:51:55,879 汝ら 吾れは神より選ばれし 皇太子ぞ。 439 00:51:57,848 --> 00:52:01,919 射れるものなら 射ってみよ! 440 00:52:01,919 --> 00:52:03,921 放て! 441 00:52:05,589 --> 00:52:07,891 え~い 放て! 442 00:52:12,262 --> 00:52:15,966 (笑い声) 443 00:52:20,604 --> 00:52:29,279 ♬~ 444 00:52:29,279 --> 00:52:34,485 あ~…。 445 00:52:37,621 --> 00:52:42,960 あ~! 446 00:52:42,960 --> 00:52:47,297 ♬~ 447 00:52:47,297 --> 00:52:51,168 あ~! 448 00:52:51,168 --> 00:53:03,380 ♬~ 449 00:53:03,380 --> 00:53:07,584 <穴穂部皇子を失った 物部守屋と その一党は➡ 450 00:53:07,584 --> 00:53:10,087 急きょ 飛鳥から引き揚げ➡ 451 00:53:10,087 --> 00:53:13,924 物部の本拠地 河内国の渋川郡➡ 452 00:53:13,924 --> 00:53:18,796 今の大阪府八尾市に その勢力を結集した> 453 00:53:18,796 --> 00:53:22,599 ♬~ 454 00:53:22,599 --> 00:53:25,636 オ~! (兵たち)オ~! 455 00:53:25,636 --> 00:53:30,140 <一気に 戦いの機運が高まったのである> 456 00:53:32,276 --> 00:53:38,782 <蘇我馬子は 広く朝廷を巻き込み 物部討伐軍を作った> 457 00:53:40,784 --> 00:53:48,425 <先の大王 用明の子 厩戸皇子 額田部皇女の子 竹田皇子➡ 458 00:53:48,425 --> 00:53:53,964 そして 次の大王を約束された 泊瀬部皇子らが討伐軍に参加。➡ 459 00:53:53,964 --> 00:53:58,135 正規軍としての形が整えられた> 460 00:53:58,135 --> 00:54:12,783 ♬~ 461 00:54:12,783 --> 00:54:19,456 <大王空位の今 額田部皇女が代わりに戦勝を祈願し➡ 462 00:54:19,456 --> 00:54:23,260 金の矛で 吉凶を占った> 463 00:54:43,280 --> 00:54:48,952 (ときの声) 464 00:54:48,952 --> 00:54:55,759 <討伐軍は 敵の待つ渋川に向け 進撃を開始した> 465 00:55:09,573 --> 00:55:11,575 ない。 466 00:55:13,911 --> 00:55:16,814 物部は この河勝の顔を見るなり➡ 467 00:55:16,814 --> 00:55:21,251 弓矢 5,000本を調達してくれぬかと 殺気だった口ぶりで…。 468 00:55:21,251 --> 00:55:25,756 他の商人にも同じ依頼をしておる。 469 00:55:25,756 --> 00:55:29,760 恐らく 数日中に 決戦となろう。 470 00:55:35,098 --> 00:55:38,969 物部への武器は 吾れが止めるつもりじゃ。 471 00:55:38,969 --> 00:55:44,775 …が 物部は戦上手。 472 00:55:44,775 --> 00:55:49,980 渋川で決戦となれば 蘇我軍は苦戦となろう。 473 00:56:03,560 --> 00:56:07,898 汝の力で 皇子を お守りできるか? 474 00:56:07,898 --> 00:56:44,101 ♬~ 475 00:56:44,101 --> 00:56:48,772 (呪禁師の まじない) 476 00:56:48,772 --> 00:57:18,568 ♬~ 477 00:57:18,568 --> 00:57:20,904 (笑い声) 478 00:57:20,904 --> 00:57:27,377 愚かな蘇我よ。 勝てると思うてか この渋川で。 479 00:57:27,377 --> 00:57:50,267 ♬~ 480 00:57:50,267 --> 00:57:52,202 (いななき) 481 00:57:52,202 --> 00:57:56,139 (ざわめき) 482 00:57:56,139 --> 00:57:58,842 (歓声) 483 00:58:00,877 --> 00:58:05,315 大臣! 吾が隊の弓では かく隔たれば 届きあたわぬ。 484 00:58:05,315 --> 00:58:07,551 何かの わなでござります。 485 00:58:07,551 --> 00:58:09,886 後ろの丘に 陣営を置く。 486 00:58:09,886 --> 00:58:13,790 紀男麻呂 巨勢比良夫 大伴連と軍議を致す。 487 00:58:13,790 --> 00:58:18,795 はは~! 後ろの丘まで 引け! 488 00:58:39,583 --> 00:58:43,920 巨勢臣と葛城臣は正面をつく。 489 00:58:43,920 --> 00:58:50,260 そして 大伴連軍と合流した本隊は この脇をつく。 490 00:58:50,260 --> 00:58:53,597 (巨勢臣比良夫) ああ いや そうではのうて➡ 491 00:58:53,597 --> 00:58:56,266 吾れらは この道を行き➡ 492 00:58:56,266 --> 00:58:59,603 膳臣と共に この脇を。 493 00:58:59,603 --> 00:59:03,039 本隊は あくまで ここに とどまり➡ 494 00:59:03,039 --> 00:59:07,544 城が落ち次第 吾れらと合流する。 495 00:59:23,226 --> 00:59:26,930 (竹田皇子)吾れらは 軍議に加わらずとも よいのであろうか。 496 00:59:29,100 --> 00:59:33,503 (泊瀬部)竹田皇子 忘れるではないぞ。 497 00:59:35,572 --> 00:59:38,475 戦を致すのは 蘇我大臣。 498 00:59:38,475 --> 00:59:43,180 吾れらは 蘇我軍の 輝ける旗印として 参るのじゃ。 499 00:59:45,248 --> 00:59:48,752 明日は 戦場の後方で 見ておればよい。 500 00:59:48,752 --> 00:59:51,655 (難波皇子)されど 矢は飛んでまいりましょう。 501 00:59:51,655 --> 00:59:56,259 皇子は 戦が怖いのか? はい。 502 00:59:56,259 --> 00:59:58,762 幼いのう…。 503 01:00:00,263 --> 01:00:05,969 吾が軍は 敵の数倍の軍勢ぞ。 あっという間に 片がつく。➡ 504 01:00:05,969 --> 01:00:09,172 矢が飛んでくる間もあるまいよ。 505 01:00:34,297 --> 01:00:37,300 いずくへ 参られます? 506 01:00:41,805 --> 01:00:45,642 ここは敵地。 いずくより 敵が矢を射てくるやもしれません。 507 01:00:45,642 --> 01:00:47,944 1人歩きは禁物。 508 01:00:51,515 --> 01:00:53,817 伊真。 509 01:00:55,819 --> 01:01:00,323 よい矢が出来ましたので 献上つかまつろうと 持参いたしました。 510 01:01:05,629 --> 01:01:10,367 吾れが これを使わねばならぬ時は 苦戦じゃの。 511 01:01:10,367 --> 01:01:13,470 そうならぬことを祈っておりまする。 512 01:01:15,171 --> 01:01:19,876 (ひづめの音) 513 01:01:26,283 --> 01:01:30,587 伊真の国に 戦はあるのか? 514 01:01:33,156 --> 01:01:35,625 戦に 出たことは? 515 01:01:35,625 --> 01:01:37,961 幾たびか…。 516 01:01:37,961 --> 01:01:40,297 いかがであった? 517 01:01:40,297 --> 01:01:42,599 戦は 勝ちましたが…。 518 01:01:44,968 --> 01:01:49,139 勝っても 負けても… 戦は 悲惨でござります。 519 01:01:49,139 --> 01:02:18,168 ♬~ 520 01:02:18,168 --> 01:02:21,771 皇子じゃ 厩戸皇子じゃ。 521 01:02:21,771 --> 01:02:25,108 皇子じゃ…。 皇子じゃ…。 522 01:02:25,108 --> 01:02:35,285 ♬~ 523 01:02:35,285 --> 01:02:39,623 先ほど あそこにいる兵たちと話をした。 524 01:02:39,623 --> 01:02:43,793 耕していた畑を放ってきた者が多い。 525 01:02:43,793 --> 01:02:48,431 病の子供を放ってきた者もおる。 526 01:02:48,431 --> 01:02:53,436 皆 戦のために連れてこられた。 527 01:02:55,639 --> 01:02:57,941 戦は むごい。 528 01:03:02,445 --> 01:03:10,086 されど 大臣は この戦をせねば 国は 一つにならぬという。 529 01:03:10,086 --> 01:03:16,860 父上が苦労なされた内輪もめを これで断てるという。 530 01:03:16,860 --> 01:03:22,065 であれば… 勝たねばならぬ。 531 01:03:28,938 --> 01:03:34,811 あの者たちを 家に帰すためにも 明日は 勝たねば。 532 01:03:34,811 --> 01:03:44,287 ♬~ 533 01:03:44,287 --> 01:03:50,493 事 ここに至れば… 勝つほかない。 534 01:03:52,162 --> 01:03:57,167 いざ かかれ~! 535 01:04:01,571 --> 01:04:37,140 ♬~ 536 01:04:37,140 --> 01:04:40,610 <朝廷軍の圧倒的な兵力の前に➡ 537 01:04:40,610 --> 01:04:47,383 物部軍は 抵抗らしき抵抗も見せず 壊滅するかに見えた> 538 01:04:47,383 --> 01:05:04,801 ♬~ 539 01:05:04,801 --> 01:05:07,237 敵が逃げた!? 540 01:05:07,237 --> 01:05:09,172 (東漢直駒) 昨夜のうちに 守屋と その一党は➡ 541 01:05:09,172 --> 01:05:11,908 城を抜け出したものと思われまする。 聞かれたか紀臣。 542 01:05:11,908 --> 01:05:13,843 逃げた? あの守屋が? 543 01:05:13,843 --> 01:05:18,581 げせぬが城は落ちた。 落ちたのじゃ! 周りに 敵の姿は? 544 01:05:18,581 --> 01:05:21,284 皆 北へ向かって 逃げ去りましてございまする。 545 01:05:21,284 --> 01:05:26,122 本隊を 城へ進める。 大伴連と軍議じゃ!(駒)はっ! 546 01:05:26,122 --> 01:05:30,960 大臣 本隊を前へ進めるのは 今しばらく 様子を見てからだ。 547 01:05:30,960 --> 01:05:34,764 案じられるな 駒の見立てに間違いはない。 548 01:05:34,764 --> 01:05:39,269 皇子たちに ここを動くと 奏じたてまつれ!ははっ! 549 01:05:39,269 --> 01:05:42,806 城へ移動でございまする! 550 01:05:42,806 --> 01:05:48,611 見よ もはや 片がついたわ。 臆するまでもあるまいが。 551 01:05:48,611 --> 01:05:51,281 よきかな よきかな…。 552 01:05:51,281 --> 01:05:56,619 (竹田)もう戦は終わったそうじゃ。 馬に乗られて 何とする。 553 01:05:56,619 --> 01:06:02,325 輿で運ばれるのは性に合いませぬ。 吾れは これにて城へ。 554 01:06:17,907 --> 01:06:33,456 (呪禁師たちの まじない) 555 01:06:33,456 --> 01:07:15,965 ♬~ 556 01:07:31,915 --> 01:07:38,121 城へ移動でございまする。 城へ移動でございまする。 557 01:08:01,077 --> 01:08:03,379 大臣! 558 01:08:05,214 --> 01:08:08,217 敵は後ろぞ! 敵は後ろの森ぞ! 559 01:08:17,927 --> 01:08:20,229 逃げよ! 森から逃げよ! 560 01:08:20,229 --> 01:08:27,904 ♬~ 561 01:08:27,904 --> 01:08:29,839 逃げよ! 562 01:08:29,839 --> 01:09:17,053 ♬~ 563 01:09:17,053 --> 01:09:20,556 大臣! 564 01:09:20,556 --> 01:09:24,093 城へは行けませぬ。 馬を捨てなされませ! 565 01:09:24,093 --> 01:09:27,330 南無仏 南無仏 南無仏…。 566 01:09:27,330 --> 01:09:30,033 敵は 側面と後ろの森か? 567 01:09:30,033 --> 01:09:32,568 木の上から射かけておりまする。 568 01:09:32,568 --> 01:09:35,471 このままでは 動きがとれぬ。 569 01:09:35,471 --> 01:09:39,242 ♬~ 570 01:09:39,242 --> 01:09:42,912 ここは危ない。 火が迫っております。 下の滝の方へ! 571 01:09:42,912 --> 01:09:45,381 ♬~ 572 01:09:45,381 --> 01:09:48,251 皇子~! 皇子~! 573 01:09:48,251 --> 01:10:06,235 ♬~ 574 01:10:21,150 --> 01:10:30,626 ⚟(笑い声) 575 01:10:30,626 --> 01:10:36,299 守屋じゃ。 守屋が笑うておる。 576 01:10:36,299 --> 01:10:45,641 (守屋の笑い声) 577 01:10:45,641 --> 01:10:50,313 (守屋の声) 578 01:10:50,313 --> 01:10:52,982 守屋が命令しておる。 579 01:10:52,982 --> 01:10:57,320 (守屋の声) 580 01:10:57,320 --> 01:11:02,158 (守屋)蘇我よ! 神の罰を受けよ!➡ 581 01:11:02,158 --> 01:11:05,128 滅びよ! 582 01:11:05,128 --> 01:11:14,270 ♬~ 583 01:11:14,270 --> 01:11:22,979 兵の上の八坂に伝えよ。 蘇我は岩陰に隠れておる。 注意せよと! 584 01:11:26,282 --> 01:11:30,787 (馬子)ああ… 負け戦じゃ。 585 01:11:30,787 --> 01:11:35,291 ゆうべの軍議が 間違うていたのじゃ。 586 01:11:35,291 --> 01:11:41,631 大伴も巨勢も… 戦上手が聞いてあきれるわ。 587 01:11:41,631 --> 01:11:45,334 まんまと敵に 裏を かかれおって! 588 01:11:53,643 --> 01:11:59,315 皇子よ 仏も仏ぞ。 これだけ 仏像を拝み➡ 589 01:11:59,315 --> 01:12:03,085 お経も読んできたに 何の 御利益もない。 590 01:12:03,085 --> 01:12:07,924 百済も 新羅も 高句麗も➡ 591 01:12:07,924 --> 01:12:12,261 このようなものを 吾れらに伝えたのか! 592 01:12:12,261 --> 01:12:14,597 (水に落ちる音) 593 01:12:14,597 --> 01:12:18,301 皇子じゃ…。 皇子じゃ…。 594 01:12:30,079 --> 01:12:35,618 大臣 吾れらは まだ負けたわけではありませぬ! 595 01:12:35,618 --> 01:12:39,121 負けるわけにも 参りませぬ。 596 01:12:39,121 --> 01:12:42,325 この兵を 家に帰さねばなりませぬ。 597 01:12:51,834 --> 01:12:54,136 伊真! はい。 598 01:12:56,672 --> 01:12:59,809 あの森の 中ほどに クスノキがあるのが見えるか? 599 01:12:59,809 --> 01:13:01,744 はい。 600 01:13:01,744 --> 01:13:06,549 あの木の てっぺんから 3間下がった所に 物部守屋がおる。 601 01:13:09,252 --> 01:13:11,187 見えませぬ。 602 01:13:11,187 --> 01:13:14,490 間違いない。 声が聞こえる。 603 01:13:17,126 --> 01:13:20,830 3間下ぞ。 狙えるか? 604 01:13:23,799 --> 01:13:26,502 あの すぐの木からなら。 605 01:13:29,572 --> 01:13:31,574 よし 行こう。 606 01:13:33,476 --> 01:13:36,279 皆の者 よく聞け! 607 01:13:36,279 --> 01:13:38,781 これより 物部守屋を射落としに参る。 608 01:13:38,781 --> 01:13:42,952 守屋を落とせば 敵は浮き足だつ。 それに乗じて あの森を攻める。 609 01:13:42,952 --> 01:13:44,887 (ざわめき) 610 01:13:44,887 --> 01:13:47,823 身は仏法を奉じて この戦に臨んだ。 611 01:13:47,823 --> 01:13:50,293 すなわち 仏法の守護神➡ 612 01:13:50,293 --> 01:13:53,629 持国天 増長天 広目天 多聞天が 吾れらに 味方をなされる。 613 01:13:53,629 --> 01:13:56,532 南無仏 吾れを 勝たせたまえ! 614 01:13:56,532 --> 01:13:59,135 (ときの声) 615 01:13:59,135 --> 01:14:50,086 ♬~ 616 01:14:50,086 --> 01:14:54,924 (呪禁師の まじない) 617 01:14:54,924 --> 01:14:57,626 おのれ! 618 01:14:57,626 --> 01:14:59,929 矢 放て! 619 01:15:06,235 --> 01:15:10,239 南無仏 南無仏…。 620 01:15:14,110 --> 01:15:25,621 (呪禁師の まじない) 621 01:15:25,621 --> 01:15:31,327 南無仏 南無仏…。 622 01:15:37,199 --> 01:15:39,135 (呪禁師の まじない) 623 01:15:39,135 --> 01:15:41,937 あ~っ! (悲鳴) 624 01:15:41,937 --> 01:15:45,741 (悲鳴) 625 01:15:49,612 --> 01:15:51,914 あっ! 626 01:15:58,621 --> 01:16:02,491 伊真 得たり! 守屋を射落としたぞ。 進め! 627 01:16:02,491 --> 01:16:07,229 (ときの声) 628 01:16:07,229 --> 01:16:44,600 ♬~ 629 01:16:44,600 --> 01:16:51,273 <物部守屋を失った物部軍は 総崩れとなった。➡ 630 01:16:51,273 --> 01:16:55,110 戦いは 蘇我軍の圧勝に終わった> 631 01:16:55,110 --> 01:17:20,269 ♬~ 632 01:17:20,269 --> 01:17:29,745 (うめき声) 633 01:17:29,745 --> 01:17:53,936 (泣き声) 634 01:17:58,274 --> 01:18:01,277 叔母上が お嘆きであろう。 635 01:19:14,550 --> 01:20:10,606 (矛で盾を打ち鳴らす音) 636 01:20:10,606 --> 01:21:10,899 ♬~ 637 01:21:13,936 --> 01:21:17,606 ♬~(楽士の音曲) 638 01:21:17,606 --> 01:21:21,110 <飛鳥は 戦勝に沸き立った。➡ 639 01:21:21,110 --> 01:21:27,883 無傷で生き延びた泊瀬部皇子が 大王 崇峻帝として新たに即位し➡ 640 01:21:27,883 --> 01:21:32,287 戦勝を記念して 倭国で初の寺院➡ 641 01:21:32,287 --> 01:21:35,958 飛鳥寺も建てられることになった。➡ 642 01:21:35,958 --> 01:21:41,296 百済は それを祝い 僧侶や技術者を送り込んできた> 643 01:21:41,296 --> 01:22:05,254 ♬~ 644 01:22:05,254 --> 01:22:12,127 <そして シルクロードや インド チベット 中国を伝わって発展してきた➡ 645 01:22:12,127 --> 01:22:16,265 仏教芸能も華やかに演じられた> 646 01:22:16,265 --> 01:22:45,561 ♬~ 647 01:23:33,809 --> 01:23:35,944 この度の戦は…。 648 01:23:35,944 --> 01:23:38,280 (百済語の通訳) 649 01:23:38,280 --> 01:23:40,215 百済の国から伝わった➡ 650 01:23:40,215 --> 01:23:44,953 仏法の神通力により 勝たせていただいたゆえ➡ 651 01:23:44,953 --> 01:23:49,491 百済の国に負けぬ寺を この地に建て➡ 652 01:23:49,491 --> 01:23:54,630 仏に感謝の意を表したいと思うたしだい。 653 01:23:54,630 --> 01:23:58,133 是非 是非 力を お貸し願いたい。 654 01:24:04,740 --> 01:24:32,734 ♬~ 655 01:24:38,407 --> 01:24:43,946 兄上 蘇我の大臣をご覧じよ まるで 大王のようじゃ。 656 01:24:43,946 --> 01:24:47,249 本物の大王のそばには 誰も参りませぬ。 657 01:24:59,294 --> 01:25:03,298 御仏の舎利だそうです。 658 01:25:17,245 --> 01:25:25,120 (笑い声) 659 01:25:25,120 --> 01:25:27,956 (馬子)「刀自古が元気がありませぬ。➡ 660 01:25:27,956 --> 01:25:30,392 倉で 仏典ばかり読んでおりまする。➡ 661 01:25:30,392 --> 01:25:34,096 お声をかけてやってくださりませ」。 662 01:26:04,559 --> 01:26:07,262 邪魔なら 戻る。 663 01:26:17,572 --> 01:26:20,909 伎楽は好まぬのか? 664 01:26:20,909 --> 01:26:23,812 皇子はいかがです? 665 01:26:23,812 --> 01:26:30,252 嫌いではないが…。 見たい時と そうではない時がある。 666 01:26:30,252 --> 01:26:32,587 今は いかがでございます? 667 01:26:32,587 --> 01:26:35,924 少し 心が弾まぬ。 668 01:26:35,924 --> 01:26:37,859 何故? 669 01:26:37,859 --> 01:26:40,862 戦で 人を殺した。 670 01:26:54,609 --> 01:26:59,614 あの戦より もっと大きな戦が起きたら…。 671 01:27:02,350 --> 01:27:04,419 皇子は どうなされます? 672 01:27:04,419 --> 01:27:06,421 大きな戦? 673 01:27:09,124 --> 01:27:11,326 新羅との戦。 674 01:27:14,896 --> 01:27:20,702 今 父上が考えておられるのは➡ 675 01:27:20,702 --> 01:27:24,239 新羅と戦うことです。 676 01:27:24,239 --> 01:27:27,576 大臣が? 新羅と? 677 01:27:27,576 --> 01:27:29,911 百済の使者が あれほど 父上に 目遣いなされているのは➡ 678 01:27:29,911 --> 01:27:32,814 何故だか お分かりですか? 679 01:27:32,814 --> 01:27:37,519 百済と新羅の戦に 倭国を巻き込みたいからです。 680 01:27:39,254 --> 01:27:42,157 毎夜 使者の方が 父上を誘うておいでなのです。 681 01:27:42,157 --> 01:27:45,460 百済と共に 戦うようにと。 682 01:27:51,967 --> 01:27:56,771 父上は 兵を出すおつもりです。 683 01:27:58,607 --> 01:28:02,410 昨夜 使者の方に そのように。 684 01:28:02,410 --> 01:28:16,825 ♬~ 685 01:28:23,765 --> 01:28:26,768 これは 誰も知らないこと。 686 01:28:28,904 --> 01:28:33,408 刀自古だけが 聞いてしまったのです。 687 01:28:35,243 --> 01:28:42,551 大王もご存じのないことを 父上は勝手に お決めになったのです。 688 01:28:45,587 --> 01:28:48,390 父上を止めていただきたいのです。 689 01:28:48,390 --> 01:28:50,458 刀自古の大好きな父上が➡ 690 01:28:50,458 --> 01:28:53,228 これ以上 恐ろしいことをなされないように➡ 691 01:28:53,228 --> 01:28:56,598 皇子に 止めていただきたいのです。 692 01:28:56,598 --> 01:29:02,404 お願いです。 これ以上 恐ろしいことを考えないように➡ 693 01:29:02,404 --> 01:29:07,409 父上が 恐ろしいお方にならぬよう…。 694 01:29:11,880 --> 01:29:16,551 父上を止められるのは 皇子だけです。 695 01:29:16,551 --> 01:29:19,254 皇子だけなのです…。 696 01:29:20,889 --> 01:29:26,394 大臣が… 新羅と…。 697 01:29:30,232 --> 01:29:35,737 出兵する以上 確実に 実りは 手に入れねばの。 698 01:29:35,737 --> 01:29:39,040 それでは 話が違う! 699 01:29:39,040 --> 01:29:43,878 「戦うなかれ」「殺すなかれ」 こは 仏法の根本ぞ。 700 01:29:43,878 --> 01:29:50,018 憲法の1条を思いついた。 伊真の意見が聞きたかった。 701 01:29:50,018 --> 01:29:55,223 「和をもって 尊しとなせ」。