1 00:00:12,663 --> 00:00:14,715 110.53をマークし、トップ に立ちました。 2 00:00:14,715 --> 00:00:17,885 >>また見せました。本当に息を のむ演技というのはこういう演技。 3 00:00:17,885 --> 00:00:18,953 >>結果としては、 4 00:00:20,655 --> 00:00:24,041 ノーミスという形で言っていいん じゃないかなという出来なので、 5 00:00:24,041 --> 00:00:25,193 ちょっとほっとしてます。 6 00:00:33,284 --> 00:00:36,984 (助六)坊… 坊! 7 00:00:41,159 --> 00:00:44,295 お前さん 変わらねえなぁ。 8 00:00:44,295 --> 00:00:48,995 (菊比古)お前さんは… 相変わらず臭いよ。 9 00:00:51,169 --> 00:01:07,518 ♬~ 10 00:01:07,518 --> 00:01:10,521 なんも ねえとこだけど くつろいでくれ。 11 00:01:10,521 --> 00:01:15,259 なかぁねえだろ。 よくもまあ こんなに…。 12 00:01:15,259 --> 00:01:20,198 アレが出てったら このありさまで。 ひでえ時 来たな おめえさんも。 13 00:01:20,198 --> 00:01:23,334 どこ行ってんだい あの人は。 14 00:01:23,334 --> 00:01:26,634 仕事だよ。 もう3日も帰ってこねえ。 15 00:01:29,207 --> 00:01:32,610 言いてえことは 山ほどある。 16 00:01:32,610 --> 00:01:36,280 けど 全部 飲み込んで こいだけ言うよ。 17 00:01:36,280 --> 00:01:39,980 東京へ戻って 落語をやりなさい。 18 00:01:43,621 --> 00:01:46,958 忘れた あんなもん…。 19 00:01:46,958 --> 00:01:50,628 落語ってやつには 愛想を尽かした。 20 00:01:50,628 --> 00:01:53,965 客も みんな忘れてらぁ。 21 00:01:53,965 --> 00:01:57,301 嫌だ やりたくねえ。 22 00:01:57,301 --> 00:02:01,639 八雲と助六ってぇのは 相当 因縁深い名前だ。 23 00:02:01,639 --> 00:02:05,977 助六が 八雲の名を継げば 何よりの供養になる。 24 00:02:05,977 --> 00:02:09,647 なあ 兄弟 ずっと夢だったんだろ。 25 00:02:09,647 --> 00:02:12,316 うるせえ! 帰れ 帰れ 帰れ! 26 00:02:12,316 --> 00:02:15,219 俺は 全部 捨ててきたんだ! どうして まだ構うんだ! 27 00:02:15,219 --> 00:02:20,658 必要だからだ。 お前さんの落語が。 28 00:02:20,658 --> 00:02:23,995 子供の時分から ずっと そばで聞かされて➡ 29 00:02:23,995 --> 00:02:28,666 まねして 目指して できなくて 諦めて…➡ 30 00:02:28,666 --> 00:02:32,937 羨ましくて 羨ましくて 嫉妬で焦がれたこともあった。 31 00:02:32,937 --> 00:02:36,607 大っ嫌いになって 否定したこともあった。 32 00:02:36,607 --> 00:02:42,607 いいのも悪いのも あらゆる情を お前さんの落語から もらった。 33 00:02:44,282 --> 00:02:47,952 アタシは…➡ 34 00:02:47,952 --> 00:02:52,290 お前さんを取り戻したいんだ。 35 00:02:52,290 --> 00:02:55,590 アタシの落語のために。 36 00:02:57,161 --> 00:03:01,632 落語界のためでも お客のためでもねえ。 37 00:03:01,632 --> 00:03:05,932 アタシのために やれって言ってんだ。 38 00:03:13,644 --> 00:03:19,944 ≪小夏さん 話がある。 こっちへ おいで。 39 00:03:25,990 --> 00:03:29,860 お前さんが東京に戻るって言うまで ここに居座るよ。 40 00:03:29,860 --> 00:03:35,266 その前に 徹底的に掃除だ。 小夏さん お前さんも手伝いな。 41 00:03:35,266 --> 00:03:37,601 助六 今 借金は? 42 00:03:37,601 --> 00:03:40,504 おい お前 そんなふうに 決めつけてもらっちゃ…。 43 00:03:40,504 --> 00:03:44,275 あるのか ないのか。 あります。 44 00:03:44,275 --> 00:03:48,612 これで 全部 払っちまいな。 身ぎれいになったら職探し。 45 00:03:48,612 --> 00:03:51,515 よかったなぁ 借金 全部 返してくれるってよ。 46 00:03:51,515 --> 00:03:55,286 働いて 全部 返してもらうよ。 東京行きの電車賃も ためないと。 47 00:03:55,286 --> 00:03:58,189 その辺で働いて 稼ぎな。 えぇ~? 48 00:03:58,189 --> 00:04:01,158 さあ そうと決まったら 掃除 掃除! 49 00:04:01,158 --> 00:04:05,296 私も手伝う! 私も東京へ連れてって! 50 00:04:05,296 --> 00:04:08,199 寄席で 父ちゃんの落語 見るんだ! 51 00:04:08,199 --> 00:04:10,499 小夏…。 52 00:04:13,637 --> 00:04:16,307 利害一致だね。 53 00:04:16,307 --> 00:04:18,976 ほら 行け 行け 行け! 54 00:04:18,976 --> 00:04:22,847 助六。 なんだ 邪魔か? 邪魔だよ。 55 00:04:22,847 --> 00:04:25,649 邪魔だっつってんだよ。 56 00:04:25,649 --> 00:04:28,319 「やだよ お前と つきあうのは」。 57 00:04:28,319 --> 00:04:31,222 「そんなこと言わねえで つきあってくれよ」。 58 00:04:31,222 --> 00:04:34,125 伸びをしながら あくびをする。 59 00:04:34,125 --> 00:04:39,825 それを見て 思わず つられて… あ~あ。 60 00:04:41,599 --> 00:04:44,935 おめえさんのせいで また散財しちまったよ。 61 00:04:44,935 --> 00:04:48,272 悪ぃな。 おう どうだい 父ちゃん 似合うか? 似合う! 62 00:04:48,272 --> 00:04:50,608 似合うってよ。 アタシの見立てが いいんだろ。 63 00:04:50,608 --> 00:04:52,943 父ちゃんが似合うんだよな。 うん! 64 00:04:52,943 --> 00:04:55,279 アタシだよね? 父ちゃんだ。 65 00:04:55,279 --> 00:05:05,289 ♬~ 66 00:05:05,289 --> 00:05:07,224 (2人の鼻歌) 67 00:05:07,224 --> 00:05:10,161 食べることに集中しなさいよ。 68 00:05:10,161 --> 00:05:15,933 (鼻歌) 69 00:05:15,933 --> 00:05:18,636 うるさいなぁ。 70 00:05:18,636 --> 00:05:25,936 ♬~ 71 00:05:30,648 --> 00:05:36,253 気持ち良さそうに…。 こっちまで眠っちまいそうだ。 72 00:05:36,253 --> 00:05:41,125 ちゃんと働いてるから ちゃんと眠くなるんだよ。 73 00:05:41,125 --> 00:05:44,929 アイツにも さんざん 働けって言われてたのに。 74 00:05:44,929 --> 00:05:48,799 いつ帰るんだい? もう1週間たつじゃないか。 75 00:05:48,799 --> 00:05:51,602 さあな。 76 00:05:51,602 --> 00:05:55,940 坊 お前さん 所帯 持ったのか? 77 00:05:55,940 --> 00:06:01,612 いや… アタシは 誰とも所帯は持たない。 78 00:06:01,612 --> 00:06:05,282 そんなの アイツが聞いたら 大ごとだよ。 79 00:06:05,282 --> 00:06:08,619 どういう意味だい。 80 00:06:08,619 --> 00:06:14,319 アイツには やっぱり お前さんしか見えてねえんだよ。 81 00:06:15,960 --> 00:06:18,629 間違えちゃいけねえぜ。 82 00:06:18,629 --> 00:06:24,301 小夏が生まれて 俺たちは 楽しく暮らしてる。 83 00:06:24,301 --> 00:06:27,204 全部 俺が悪ぃんだ。 84 00:06:27,204 --> 00:06:33,110 小夏に落語を聞かせてやるようになって 小夏は喜んでくれるんだが➡ 85 00:06:33,110 --> 00:06:36,881 アイツは とんでもなく怒りやがって。 86 00:06:36,881 --> 00:06:41,181 なぜ? 知らねえや…。 87 00:06:43,254 --> 00:06:47,124 帰ってきたら アタシからも話してみるよ。 88 00:06:47,124 --> 00:06:50,424 親子三人で東京に行こうって。 89 00:06:52,596 --> 00:06:56,596 もう寝るよ。 お休み。 90 00:07:12,283 --> 00:07:18,583 どうも お呼び立てしてしもて。 亀屋の主人です。 91 00:07:20,958 --> 00:07:23,861 いい座敷ですね。 92 00:07:23,861 --> 00:07:30,301 どうやろ ここで 落語会やって頂きたいんやけど。 93 00:07:30,301 --> 00:07:32,903 落語会…? 94 00:07:32,903 --> 00:07:35,903 どうですやろ? 95 00:07:44,915 --> 00:07:47,915 やらせて下さい。 96 00:07:53,924 --> 00:07:56,224 よう。 97 00:08:01,599 --> 00:08:05,936 (みよ吉)少し こぎれいになったじゃない。 何かあった? 98 00:08:05,936 --> 00:08:11,609 このところ 真面目に働いてんだ。 宿屋の風呂掃除したりしてよ。 99 00:08:11,609 --> 00:08:14,909 どういう風の吹き回し? 100 00:08:16,480 --> 00:08:20,180 落語をやりゃあ もっと稼げるはずなんだけどなぁ…。 101 00:08:21,952 --> 00:08:24,288 冗談でぇ。 102 00:08:24,288 --> 00:08:29,159 とにかく ちゃんと働いて 金も ためるから➡ 103 00:08:29,159 --> 00:08:33,159 また 三人で 一から やり直そうぜ。 104 00:08:41,772 --> 00:08:46,072 アイツは こんな田舎にまでは 来やしねえよ。 105 00:08:58,922 --> 00:09:02,259 坊 おめえさんも入っちまえよ。 106 00:09:02,259 --> 00:09:06,559 アタシたちは 客じゃないんだよ。 かてえこと言うなよ。 107 00:09:15,606 --> 00:09:18,509 おっ。 なんだよ。 108 00:09:18,509 --> 00:09:21,478 (助六が口笛を吹く音) やめろよ。 109 00:09:21,478 --> 00:09:25,949 ♬~ 110 00:09:25,949 --> 00:09:29,286 初めて会った日 覚えてるか? 111 00:09:29,286 --> 00:09:33,157 お前さん 風呂で ビィビィ ビィビィ 泣きだしてよ。 112 00:09:33,157 --> 00:09:35,457 忘れたよ。 113 00:09:37,561 --> 00:09:43,233 なあ 坊。 たまにゃ 泣き言ぐらい言ったらどうだい。 114 00:09:43,233 --> 00:09:47,104 ♬~ 115 00:09:47,104 --> 00:09:50,908 小さい席で落語やるってのは 楽しいもんだねぇ。 116 00:09:50,908 --> 00:09:54,244 今まで こんなふうに思ったことなかった。 117 00:09:54,244 --> 00:09:57,147 そりゃ 客が よく見えるからだ。 118 00:09:57,147 --> 00:10:00,918 おめえは ずっと一人でいいなんて言うけど➡ 119 00:10:00,918 --> 00:10:05,789 落語なんてもんは 一人じゃ 絶対できねえ。 120 00:10:05,789 --> 00:10:08,792 客が ちゃんと欲しがってくれて➡ 121 00:10:08,792 --> 00:10:14,264 それに キッカリちょうどの 多すぎない 少なすぎもないワリをくれて➡ 122 00:10:14,264 --> 00:10:19,603 それに ちょうどよく見合う形の とびっきりいい芸を返して➡ 123 00:10:19,603 --> 00:10:22,506 お互い気持ちよく取り引きをする。 124 00:10:22,506 --> 00:10:28,278 そんな落語やるためにぁ 客の姿が しっかり見えてねえと。 125 00:10:28,278 --> 00:10:33,150 そこまで分かってて どうして やらねえんだ? 126 00:10:33,150 --> 00:10:36,620 あの人のためかい? 127 00:10:36,620 --> 00:10:41,291 間があいて 怖くなっちまってるだけだ。 128 00:10:41,291 --> 00:10:46,163 亀屋の大旦那に頼まれて 大広間で落語会をやるんだ。 129 00:10:46,163 --> 00:10:49,166 へぇ~ そりゃ稼げるね。 130 00:10:49,166 --> 00:10:53,303 お前さんも出る 二人会だ。 131 00:10:53,303 --> 00:10:57,975 俺ぁ 聞いてねえぞ。 俺ぁ 絶対やんねえからな! 132 00:10:57,975 --> 00:11:01,645 借金も返してもらわないと。 お先。 133 00:11:01,645 --> 00:11:06,984 ちょっ… 待てって! おめえ ずりぃぞ おい! ちょっ…! 134 00:11:06,984 --> 00:11:17,284 ♬~ 135 00:11:24,334 --> 00:11:27,034 早いね。 136 00:11:36,280 --> 00:11:39,183 ずいぶん髪が伸びたね。 137 00:11:39,183 --> 00:11:42,883 切ってくれる人が いないんだもん。 138 00:11:47,891 --> 00:11:53,191 昔は おとっつぁんの髪も よく切ってやったもんだ。 139 00:11:55,299 --> 00:12:00,170 お母ちゃんのこと さがすの? どうしてだい? 140 00:12:00,170 --> 00:12:03,470 あんなやつ いない方が 幸せなんだ…。 141 00:12:05,309 --> 00:12:08,979 ひでえ言いようだなぁ。 大っ嫌い! 142 00:12:08,979 --> 00:12:12,979 父ちゃんがダメになったのは あの人のせいなんだ。 143 00:12:16,320 --> 00:12:19,656 落語をやらせないのかい? 144 00:12:19,656 --> 00:12:23,994 落語を聞くと 嫌なこと思い出すんだって。 145 00:12:23,994 --> 00:12:28,866 それに 母ちゃん 人生を間違えたって いつも言う。 146 00:12:28,866 --> 00:12:33,166 きっと 私を生まなきゃよかったって 思ってんだ。 147 00:12:34,938 --> 00:12:40,611 憎まれ口ばかり たたいてると 美人も台なしだよ。 148 00:12:40,611 --> 00:12:44,948 ♬~ 149 00:12:44,948 --> 00:12:50,287 おっかさんのように きれいな女の人が 聞いててくれるからこそ➡ 150 00:12:50,287 --> 00:12:53,957 落語やってる方だって 張り合いが出るんだ。 151 00:12:53,957 --> 00:12:58,829 寄席なんてぇのは 浴衣一枚 羽織りゃ 気軽に入れるとこだけど➡ 152 00:12:58,829 --> 00:13:02,966 そいでも 帯は お太鼓にして 髪も しどけなく結って➡ 153 00:13:02,966 --> 00:13:06,837 寄席にいてくれりゃ なんとなく華やぐんだ。 154 00:13:06,837 --> 00:13:12,309 その辺の芸人は みんな舞い上がって いつもより いい芸ができる。 155 00:13:12,309 --> 00:13:15,646 はい 出来上がり。 156 00:13:15,646 --> 00:13:18,549 きれい? うん。 157 00:13:18,549 --> 00:13:21,985 じゃあ やってよ。 うん? 158 00:13:21,985 --> 00:13:24,888 きれいな女の人のために。 159 00:13:24,888 --> 00:13:30,327 どこに そんな人がいるんだい? そうだ 「野ざらし」やって! 160 00:13:30,327 --> 00:13:33,597 なんだって また そんな根多を。 161 00:13:33,597 --> 00:13:36,500 苦手なんだよ…。 162 00:13:36,500 --> 00:13:40,470 え~ どうも 一席 古いところを おつきあい願いまして…。 163 00:13:40,470 --> 00:13:44,241 まくらは いいよ 早くやってよ。 164 00:13:44,241 --> 00:13:47,144 思い出してんだよ。 165 00:13:47,144 --> 00:13:50,948 「わ~ 開けてくれ 開けてくれ!➡ 166 00:13:50,948 --> 00:13:54,284 先生! わ~!」。 167 00:13:54,284 --> 00:14:00,624 「ちょいと お待ちよ。 ああ… え~ うちの戸は やわに出来てんだから」。 168 00:14:00,624 --> 00:14:04,494 浅草弁天山が打ちいだす鐘の音が➡ 169 00:14:04,494 --> 00:14:11,969 え~ 陰にこもって ものすごく ごぉ~んと鳴るんだなぁ。 170 00:14:11,969 --> 00:14:15,639 方への葦が ガサガサガサー。 171 00:14:15,639 --> 00:14:20,310 カラスが す~っと出てくりゃ… あ~。 172 00:14:20,310 --> 00:14:24,648 こっちのもんなんだよ。 待ってました! 173 00:14:24,648 --> 00:14:32,255 ♬「鐘が ゴンとなりゃさ 上げ潮 南さあ」 174 00:14:32,255 --> 00:14:36,927 (助六 小夏) ♬「カラスが ぱっと出て こらさのさあ」 175 00:14:36,927 --> 00:14:40,263 (助六 小夏)♬「骨があると さいさいさい」 176 00:14:40,263 --> 00:14:43,934 でも むやみに上がるってぇと 角のはえる人なんか座ってんじゃない? 177 00:14:43,934 --> 00:14:47,604 なに言ってやがんだ おめえって女が 来てくれたんだ そんなもの いやしねえ。 178 00:14:47,604 --> 00:14:50,507 じゃ あたし お前さんのそばに行っても かまわないかい? 179 00:14:50,507 --> 00:14:53,944 いいとも。 そうかい うれしいねぇ。 180 00:14:53,944 --> 00:14:57,814 …ってんで 骨が ツゥーっと来て 俺の脇へ ぺちゃっと座って。 181 00:14:57,814 --> 00:15:01,618 ええ ご覧よ この人 水ったまりに座っちゃったぁ。 182 00:15:01,618 --> 00:15:05,956 でも お前さん あたしゃ 本当に 一緒に暮らしても かまわないかい。 183 00:15:05,956 --> 00:15:08,291 いいとも。 …って お前さんなんだろ。 184 00:15:08,291 --> 00:15:10,227 あたしなんて すぐに飽きてきちゃって➡ 185 00:15:10,227 --> 00:15:12,162 脇に若いのなんか こしらえるんじゃない? 186 00:15:12,162 --> 00:15:14,965 なに言ってやがんだ おめえって女が来てくれたんだ。 187 00:15:14,965 --> 00:15:17,300 そんなもの こしらえやしねえ。 うそだ。 188 00:15:17,300 --> 00:15:19,970 そうやって 今まで 何人の女を だましたんだよ。 189 00:15:19,970 --> 00:15:22,639 俺ぁ 女なんか だましはしねえ。 190 00:15:22,639 --> 00:15:25,976 うそだ 何人目だよ 悔しいねぇ。 191 00:15:25,976 --> 00:15:27,911 コチョコチョ。 ダメだ やめなさい。 192 00:15:27,911 --> 00:15:29,846 コチョコチョ。 バカだね お前 やめなさい。 193 00:15:29,846 --> 00:15:33,250 コチョコチョコチョコチョ。 あら! あっ! 194 00:15:33,250 --> 00:15:38,121 ご覧よ この人… えっ! 魚 釣らねえで 自分の鼻 釣っちゃった。 195 00:15:38,121 --> 00:15:41,124 ちょっと 取ってこれ。 ちょっと 取って…。 196 00:15:41,124 --> 00:15:45,262 なんだ おめえ 笑ってやがんな。 いいよ てめえで取るからよ。 197 00:15:45,262 --> 00:15:50,934 あ 痛… あ 痛っ! あら! あら! 鼻血が出てきちゃった。 198 00:15:50,934 --> 00:15:54,604 ばかばかしくって 話にならないってやつだなぁ。 199 00:15:54,604 --> 00:15:57,941 こんな針で 骨が釣れるかよってんだ。 200 00:15:57,941 --> 00:16:01,611 この人 針 取っちゃった。 野ざらしで…。 201 00:16:01,611 --> 00:16:04,311 父ちゃん 日本一! 202 00:16:07,484 --> 00:16:11,621 (小夏)♬「父ちゃんは すごい 父ちゃんは すごい」 203 00:16:11,621 --> 00:16:16,493 助六さん 後生です。 204 00:16:16,493 --> 00:16:20,493 八雲を継いで 落語をなさい。 205 00:16:28,638 --> 00:16:35,938 みよ吉さん 聞きました? 亀屋さんで落語会やるんですって。 206 00:16:37,447 --> 00:16:41,218 これ 旦那さんじゃないですか? 207 00:16:41,218 --> 00:16:43,920 え~? ≪梅春! 208 00:16:43,920 --> 00:16:46,920 はい。 姉さん お先に。 209 00:16:50,794 --> 00:16:53,794 あの唐変木…。 210 00:17:14,885 --> 00:17:17,885 菊さん…。 211 00:17:19,623 --> 00:17:22,526 やっと来てくれた…。 212 00:17:22,526 --> 00:17:26,963 ♬~ 213 00:17:26,963 --> 00:17:30,300 やらねえって どういう意味だい? 214 00:17:30,300 --> 00:17:34,571 もう チラシも配っちまったし みんな楽しみに…。 知らねえよ。 215 00:17:34,571 --> 00:17:38,241 俺は もう 落語は やらねえって決めたんだ。 216 00:17:38,241 --> 00:17:42,579 やったじゃねえか 今日だって。 小夏の前だけだ。 217 00:17:42,579 --> 00:17:46,279 俺ぁ 落語が嫌いなんだよ。 うそだ! 218 00:17:47,918 --> 00:17:51,588 お前さんは 落語なしじゃ生きていけねえ。 219 00:17:51,588 --> 00:17:57,260 アタシが お前さんの落語なしじゃ 生きていけねえのと 同じにね。 220 00:17:57,260 --> 00:18:01,932 お前さんは 落語をやるために 生まれてきたんだ。 221 00:18:01,932 --> 00:18:04,267 違う! 222 00:18:04,267 --> 00:18:08,138 今の俺は… この田舎で 親子三人で…。 223 00:18:08,138 --> 00:18:10,140 (戸が開く音) 224 00:18:10,140 --> 00:18:13,610 やって。 小夏 起きてたのか。 225 00:18:13,610 --> 00:18:18,481 やってよ。 見たいんだ 父ちゃんが 大勢の人の前で落語するとこ。 226 00:18:18,481 --> 00:18:20,951 絶対 見たい! 227 00:18:20,951 --> 00:18:24,287 ≪(小夏)ねえ やって。 お願い 父ちゃん! ≪うるせえ もう寝ろ! 228 00:18:24,287 --> 00:18:26,957 ≪(小夏)やだ 父ちゃんが 落語やるって言うまで 寝ない! 229 00:18:26,957 --> 00:18:28,892 ≪子供は黙ってろぃ! ≪(小夏)寝ない! 230 00:18:28,892 --> 00:18:30,827 ≪寝ろ! ≪(小夏)寝ない! 231 00:18:30,827 --> 00:18:32,762 ≪寝ろって! ≪(小夏)寝ない! 232 00:18:32,762 --> 00:18:34,764 ≪寝ろ! ≪(小夏)寝ない! 233 00:18:34,764 --> 00:18:36,766 ≪寝ろ! ≪(小夏)寝ない! 234 00:18:36,766 --> 00:18:40,237 約束だからね。 分かったから もう寝ろ。 235 00:18:40,237 --> 00:18:43,907 絶対だよ。 分かった 分かった。 236 00:18:43,907 --> 00:18:52,607 ♬~ 237 00:19:01,258 --> 00:19:04,160 助六さん そろそろ始め…。 238 00:19:04,160 --> 00:19:08,598 温泉に遊びに来てるようなやつらに 落語が分かるわけねえだろうが。 239 00:19:08,598 --> 00:19:11,935 いいから 一番太鼓 入れといで。 240 00:19:11,935 --> 00:19:14,935 (松田)助六師匠。 241 00:19:16,606 --> 00:19:19,509 松田さん!? どうして…。 242 00:19:19,509 --> 00:19:23,480 どうもこうも。 お栄さんに聞いて やっと。 243 00:19:23,480 --> 00:19:27,617 久しぶりだな! 元気だったか? 244 00:19:27,617 --> 00:19:31,288 アタシも 妻をみとりましてね…。 245 00:19:31,288 --> 00:19:37,093 周り見回したら 誰もいなくて なんだか寂しくなっちまいましてねぇ。 246 00:19:37,093 --> 00:19:40,096 そうか…。 寄席の方々 みんな➡ 247 00:19:40,096 --> 00:19:44,234 助六師匠を待ち焦がれてますよ! なんべん聞かれたことか! 248 00:19:44,234 --> 00:19:47,137 もう いないとね 灯がパッと消えたみたいで。 249 00:19:47,137 --> 00:19:51,908 おべっかは いいよ。 もぎりでも なんでも お手伝いしますからね。 250 00:19:51,908 --> 00:19:57,908 さあ もう 逃げも隠れも できねえぜ。 小夏さんも楽しみにしてるんだ。 251 00:20:06,923 --> 00:20:11,594 どんどん どんとこい どんどん どんとこい。 252 00:20:11,594 --> 00:20:14,497 「ひと間に閉じこもって 本ばかり読んでたんじゃ➡ 253 00:20:14,497 --> 00:20:19,469 かえって こっちは…。 帰ってきた? ああ こりゃよかった。➡ 254 00:20:19,469 --> 00:20:22,605 時次郎かい? こっちへ お入り」。 255 00:20:22,605 --> 00:20:25,508 「おとっつぁん ただいま帰りましてございます」。 256 00:20:25,508 --> 00:20:30,480 「うん どちらへ行ってなすった。 とうべえン所の稲荷祭に?」。 257 00:20:30,480 --> 00:20:34,617 「ここは お稲荷さまじゃございませんね?」。 258 00:20:34,617 --> 00:20:36,553 「そうですかねぇ」。 259 00:20:36,553 --> 00:20:40,957 「そうですかねぇじゃございません! 本で読んだことがございます。➡ 260 00:20:40,957 --> 00:20:44,828 ここは 吉原というところじゃ ございませんか…!➡ 261 00:20:44,828 --> 00:20:47,831 なんで あなた方 アタシを こういうところに➡ 262 00:20:47,831 --> 00:20:50,967 連れて来るんでございます…」。 263 00:20:50,967 --> 00:20:54,838 ≪「アタシの手を ギュウっと握って➡ 264 00:20:54,838 --> 00:20:57,841 離さない…」。 265 00:20:57,841 --> 00:21:01,311 「うだっちゃったよ もう…。➡ 266 00:21:01,311 --> 00:21:05,181 お前 そこでもって 甘納豆 食ってる場合じゃないんだよ」。 267 00:21:05,181 --> 00:21:09,986 「しょうがねえな …ったく あんなに大騒ぎしたのに」。 268 00:21:09,986 --> 00:21:12,889 「何してんだ しょうがねえな まったく。➡ 269 00:21:12,889 --> 00:21:15,325 じゃあ いいよ 若旦那➡ 270 00:21:15,325 --> 00:21:18,661 あなた モテてんだから しばらく ここに いらっしゃい。➡ 271 00:21:18,661 --> 00:21:21,564 あっしらは先に帰りますから」。 272 00:21:21,564 --> 00:21:27,337 「あなた方 帰れるもんなら 帰ってごらんなさい。➡ 273 00:21:27,337 --> 00:21:31,207 大門で止められますから」。 (客の笑い) 274 00:21:31,207 --> 00:21:33,943 お先。 275 00:21:33,943 --> 00:21:37,614 いい客だなぁ。 あったけぇけど 悪ウケしない。 276 00:21:37,614 --> 00:21:40,283 旅館の旦那が ごひいき筋に➡ 277 00:21:40,283 --> 00:21:43,186 どういう会かって よく説明してくだすったんだ。 278 00:21:43,186 --> 00:21:47,157 気負わず気楽に聞いてくださる。 ありがてえなぁ。 279 00:21:47,157 --> 00:21:49,157 おっ。 280 00:21:50,927 --> 00:21:53,927 落語は客が語らすってのは こういうこった。 281 00:21:55,832 --> 00:21:58,968 坊。 282 00:21:58,968 --> 00:22:02,839 お前さん いい噺家になったなぁ。 283 00:22:02,839 --> 00:22:06,309 俺なんかより ず~っと いいや。 284 00:22:06,309 --> 00:22:11,181 冗談 言っちゃいけねえ。 兄弟子と思って せっかく トリを譲ったのに。 285 00:22:11,181 --> 00:22:14,984 おっ 今 兄弟子って言ったな? おめえ ついに認めやがったな! 286 00:22:14,984 --> 00:22:18,655 さあ シャンとして! この黒紋付 着てりゃあ➡ 287 00:22:18,655 --> 00:22:21,558 誰だって 真打に見えらぁ。 288 00:22:21,558 --> 00:22:27,330 師匠の紋付… こりゃ 「八雲」だけの替え紋だろう。 289 00:22:27,330 --> 00:22:31,201 師匠の形見に… と思ってね。 290 00:22:31,201 --> 00:22:36,139 持ってきてよかった。 よく似合う。 291 00:22:36,139 --> 00:22:51,287 ♬~ 292 00:22:51,287 --> 00:22:54,958 (拍手) 293 00:22:54,958 --> 00:22:57,861 (小夏)父ちゃん 頑張れ~! 294 00:22:57,861 --> 00:23:04,968 (拍手) 295 00:23:04,968 --> 00:23:08,304 え~ たくさんの お運びで。 296 00:23:08,304 --> 00:23:11,975 まあ こんなシャンとした格好すんのも 久しぶりでね➡ 297 00:23:11,975 --> 00:23:17,313 中には こちらを ニヤニヤ ニヤニヤ 眺めてんのも ひとり ふた~り? 298 00:23:17,313 --> 00:23:21,651 え~ こう見えてね あたしゃ 東京で落語家をやってまして。 299 00:23:21,651 --> 00:23:24,951 あら 見える? 見えない? 300 00:23:26,990 --> 00:23:31,690 え~ どちらにしても 気分は悪ぃもんで。 301 00:23:33,596 --> 00:23:38,935 東京は芝の浜に まだ河岸がございました時分のお話で…。 302 00:23:38,935 --> 00:23:45,275 <芝浜… 人情噺か 珍しい> 303 00:23:45,275 --> 00:23:51,975 「あいよ。 なんだよ おい? まだ夜も明けてねえじゃねえかよぉ」。 304 00:23:53,616 --> 00:23:55,552 「おっどろいた…。➡ 305 00:23:55,552 --> 00:23:59,289 お前さん 堪忍しておくれ。 いっとき早く起こしちまったなぁ」。 306 00:23:59,289 --> 00:24:03,159 「そんなことは どうでもいいんだよ おい これ見てみろ」。 307 00:24:03,159 --> 00:24:05,962 「財布かい?」。 308 00:24:05,962 --> 00:24:09,662 「浜で拾ったんだい。 中 見てみねえか」。 309 00:24:15,638 --> 00:24:19,976 「お前さん これ 二分金ばかりだよ」。 310 00:24:19,976 --> 00:24:25,648 <酒浸りの日々だった魚屋の勝五郎が 芝の浜で財布を拾って 浮かれていく。➡ 311 00:24:25,648 --> 00:24:30,320 笑わさなくっても 客を引き込みやがる…> 312 00:24:30,320 --> 00:24:32,922 「夢でも見たんじゃないかい」。 313 00:24:32,922 --> 00:24:35,825 「夢? 馬鹿なこと言ってんじゃねえ。➡ 314 00:24:35,825 --> 00:24:40,125 おら おめえ 浜 行って 財布 拾ってよ…」。 315 00:24:42,265 --> 00:24:45,602 「夢かい…」。 (客の笑い) 316 00:24:45,602 --> 00:24:47,537 「おい 夢か!」。 317 00:24:47,537 --> 00:24:51,941 さあ それからは まるで 人が変わったように 一生懸命 働きます。 318 00:24:51,941 --> 00:24:57,814 <今晩の助六は すごくいい。 実感がある> 319 00:24:57,814 --> 00:25:02,952 「俺は つくづく 魚屋になって良かったって…➡ 320 00:25:02,952 --> 00:25:11,628 それ聞いてね… あたし もう この人 大丈夫…➡ 321 00:25:11,628 --> 00:25:18,501 もう この人 大丈夫だって そう思ってね➡ 322 00:25:18,501 --> 00:25:22,201 今 お金 出したんだよ…」。 323 00:25:24,207 --> 00:25:28,645 「お前さん ごめんなさい。➡ 324 00:25:28,645 --> 00:25:31,945 堪忍しておくれ」。 325 00:25:40,923 --> 00:25:46,262 「まあ お手をお上げになって。➡ 326 00:25:46,262 --> 00:25:49,932 俺が 甲斐性がねえばかりに➡ 327 00:25:49,932 --> 00:25:53,803 おめえに つれえ思いさしたなぁ。➡ 328 00:25:53,803 --> 00:25:58,941 俺が馬鹿だった。 おめえは悪くねえよ。➡ 329 00:25:58,941 --> 00:26:03,279 俺が悪かった。➡ 330 00:26:03,279 --> 00:26:06,579 勘弁してくれ…」。 331 00:26:08,618 --> 00:26:12,288 「こういう うれしいときにゃ 酒 呑まないといけねえなぁ。➡ 332 00:26:12,288 --> 00:26:16,626 おう ありがとよ。➡ 333 00:26:16,626 --> 00:26:20,296 どうも お久しぶりです」。 334 00:26:20,296 --> 00:26:22,231 (客の笑い) 335 00:26:22,231 --> 00:26:25,231 「本当に いいんだな?」。 336 00:26:34,811 --> 00:26:37,246 「よそう」。 337 00:26:37,246 --> 00:26:39,916 「呑まないのかい?」。 338 00:26:39,916 --> 00:26:43,916 「また 夢になるといけねえ」。 339 00:26:45,788 --> 00:26:53,930 ♬~ (拍手) 340 00:26:53,930 --> 00:26:56,833 父ちゃん 日本一! 341 00:26:56,833 --> 00:27:07,944 ♬~ (拍手) 342 00:27:07,944 --> 00:27:20,289 ♬~ 343 00:27:20,289 --> 00:27:23,626 おい そろそろ起きな。 344 00:27:23,626 --> 00:27:25,626 うん? 345 00:27:27,296 --> 00:27:30,199 もう遅いから宿へ泊まってけって➡ 346 00:27:30,199 --> 00:27:34,199 大旦那さんが あっちぃ 布団 敷いてくだすったよ。 347 00:27:36,105 --> 00:27:40,576 何から何まで世話んなっちまった。 348 00:27:40,576 --> 00:27:45,448 今日は なんだか 日がな夢でも見てるみてえだ。 349 00:27:45,448 --> 00:27:49,585 あんな落語を また できたなんて➡ 350 00:27:49,585 --> 00:27:52,885 神様の ご褒美なんだろうなぁ。 351 00:27:54,924 --> 00:27:58,261 見たか? コイツの顔。 352 00:27:58,261 --> 00:28:01,597 あんなに楽しそうにしてよ。 353 00:28:01,597 --> 00:28:04,934 小夏って いい名前だろ。 354 00:28:04,934 --> 00:28:09,806 春なら 小春 秋なら 千秋➡ 355 00:28:09,806 --> 00:28:13,276 冬なら 小雪だ。 356 00:28:13,276 --> 00:28:17,947 夏の暑い盛りに生まれたから 小夏。 357 00:28:17,947 --> 00:28:21,947 季節は 落語に なくちゃならねえからな。 358 00:28:23,619 --> 00:28:29,492 東京へ戻ったら みんなで 師匠のお宅で暮らそうよ。 359 00:28:29,492 --> 00:28:33,792 アタシ一人で暮らすにゃ 持て余すんだ。 360 00:28:36,566 --> 00:28:41,437 おめえさん 一人になりてえって 言ってたじゃねえか。 361 00:28:41,437 --> 00:28:45,137 ああ 言ったねぇ…。 362 00:28:46,909 --> 00:28:54,584 確かに 一人で黙々と稽古すりゃあ それなりに 落語は うまくなるよ。 363 00:28:54,584 --> 00:29:00,456 ただ落語ができりゃいい ずっと そう思ってきたからね。 364 00:29:00,456 --> 00:29:08,598 けど… ここへ来て 少し 料簡が変わったんだ。 365 00:29:08,598 --> 00:29:12,468 さっきの芝浜を聞いても思った。 366 00:29:12,468 --> 00:29:17,940 人ってぇのは 全て分かり合えるわけがない。 367 00:29:17,940 --> 00:29:21,811 それでも 人は共に暮らす。 368 00:29:21,811 --> 00:29:29,285 取るに足らねえ 詮ないことを ただ分け合うことが好きな生き物なんだ。 369 00:29:29,285 --> 00:29:34,585 だから 人は 一人にならないんじゃないか。 370 00:29:37,894 --> 00:29:41,764 やっと お前さんと 料簡が合ったな。 そうかぇ? 371 00:29:41,764 --> 00:29:44,767 人生初だ。 372 00:29:44,767 --> 00:29:47,467 よしとくれよ。 373 00:29:49,238 --> 00:29:52,909 助六師匠 お嬢さんも あちらのお部屋へ。 374 00:29:52,909 --> 00:29:55,909 おう 悪いね。 375 00:30:03,252 --> 00:30:06,923 (仲居)菊さん… ですか? はい。 376 00:30:06,923 --> 00:30:11,594 (仲居)ちょっと ええでしょうか? 先 行くぜ。 377 00:30:11,594 --> 00:30:16,894 他に お泊まりのお客様に どうしてもいうて言づかりまして。 378 00:30:40,623 --> 00:30:46,923 (みよ吉)やっと来てくれたのね。 ずいぶん遅いから待ちくたびれちゃった。 379 00:30:48,965 --> 00:30:51,867 (みよ吉)こっち見て。 380 00:30:51,867 --> 00:31:06,515 ♬~ 381 00:31:06,515 --> 00:31:09,652 会いたかった…。 382 00:31:09,652 --> 00:31:14,523 ♬~ 383 00:31:14,523 --> 00:31:20,296 迎えに来たんだ。 みんなで東京に帰ろう。 384 00:31:20,296 --> 00:31:24,996 嫌。 私は 菊さんと二人がいい。 385 00:31:26,669 --> 00:31:29,369 なんで…。 386 00:31:31,540 --> 00:31:36,479 あの人は 菊さんじゃないもの…。 387 00:31:36,479 --> 00:31:40,950 ♬~ 388 00:31:40,950 --> 00:31:43,650 すまねぇ…。 389 00:31:45,287 --> 00:31:49,158 お前さんが こんなことをしちまったのも➡ 390 00:31:49,158 --> 00:31:55,931 あの人が あんなふうに なっちまったのも…➡ 391 00:31:55,931 --> 00:31:59,835 全部 全部 アタシのせいだ…。 392 00:31:59,835 --> 00:32:06,308 ♬~ 393 00:32:06,308 --> 00:32:09,645 (みよ吉)そうよ。 394 00:32:09,645 --> 00:32:14,316 あの人と私 似てるの。➡ 395 00:32:14,316 --> 00:32:19,989 あなたのせいで 人生が狂った人間同士。 396 00:32:19,989 --> 00:32:26,862 ♬~ 397 00:32:26,862 --> 00:32:31,934 ねえ どうして来たの? 398 00:32:31,934 --> 00:32:35,604 来なけりゃ 何も変わらなかったのに➡ 399 00:32:35,604 --> 00:32:40,276 わざわざ来たのは 何か変えたかったからなんでしょ? 400 00:32:40,276 --> 00:32:48,617 ♬~ 401 00:32:48,617 --> 00:32:54,490 <ひとりで生きると あんなに固く心に決めたのに…➡ 402 00:32:54,490 --> 00:33:00,629 なぜ 人の性分は こうも愚かなのでしょうか…> 403 00:33:00,629 --> 00:33:38,929 ♬~ 404 00:33:48,144 --> 00:33:51,444 すごく きれい…。 405 00:33:53,282 --> 00:33:56,282 落ちたら大変ね。 406 00:34:07,296 --> 00:34:12,168 一緒に 死んじゃおっか。 407 00:34:12,168 --> 00:34:14,168 待て! 408 00:34:16,972 --> 00:34:21,310 あんまり遅ぇから胸騒ぎがしたんだ…。 409 00:34:21,310 --> 00:34:25,181 死のうなんざ 冗談でも言うんじゃねえ。 410 00:34:25,181 --> 00:34:29,185 来ないで! 何よ いまさら…。 411 00:34:29,185 --> 00:34:32,885 菊さんが来てたの 隠してたんでしょ! 412 00:34:38,794 --> 00:34:41,794 すまねぇ…。 413 00:34:43,933 --> 00:34:46,933 今ので 俺 腹 決めた。 414 00:34:49,805 --> 00:34:56,512 落語は やめて まっとうに働く。 415 00:34:56,512 --> 00:35:01,951 お前と小夏は…➡ 416 00:35:01,951 --> 00:35:05,651 俺の宝だ。 417 00:35:09,625 --> 00:35:15,297 落語をやることで お前が不安になるってんなら…➡ 418 00:35:15,297 --> 00:35:19,997 あんな浮き草稼業は 捨てたって かまわねえ。 419 00:35:22,638 --> 00:35:26,338 俺ぁ お前らの方が大事だ。 420 00:35:29,511 --> 00:35:32,511 やり直させてくれ! 421 00:35:45,261 --> 00:35:48,561 今日やった 芝浜…。 422 00:35:51,600 --> 00:35:55,600 あれは おめえが いなかったら できなかった。 423 00:35:59,475 --> 00:36:02,775 もう あれで十分だ。 424 00:36:06,615 --> 00:36:09,615 ありがとう…。 425 00:36:11,954 --> 00:36:17,654 <初めて見る 助六の涙でした> 426 00:36:19,295 --> 00:36:22,631 何よ いまさら…。 427 00:36:22,631 --> 00:36:26,302 なんで そんなこと言うの…。 428 00:36:26,302 --> 00:36:28,637 ユリエ! 429 00:36:28,637 --> 00:36:44,920 ♬~ 430 00:36:44,920 --> 00:36:48,791 坊 はなせ! おめえまで落っこっちまう! 431 00:36:48,791 --> 00:36:53,929 はなせるわけねえだろ! 待ってろ 今 引き上げる! 432 00:36:53,929 --> 00:36:55,864 うっ…! 433 00:36:55,864 --> 00:36:59,268 ケガして落語できなくなっちまったら どうすんだ! 434 00:36:59,268 --> 00:37:01,268 知るかぃ! 435 00:37:02,938 --> 00:37:06,809 見ろよ こんなに震えてる。 436 00:37:06,809 --> 00:37:11,947 アンタ… ごめん… ごめんよ…。 437 00:37:11,947 --> 00:37:15,284 おめえの代わりに 俺が付いてってやる。 438 00:37:15,284 --> 00:37:18,187 こいつひとり地獄にゃ落とせねえ! 439 00:37:18,187 --> 00:37:21,957 嫌だ… なら アタシも連れてけ! 440 00:37:21,957 --> 00:37:23,957 ダメだ! 441 00:37:25,828 --> 00:37:28,528 すまん 坊…。 442 00:37:30,632 --> 00:37:33,235 頼んだよ。 443 00:37:33,235 --> 00:37:37,106 やめろ… やめろ…。 444 00:37:37,106 --> 00:37:39,406 やめろ…! 445 00:37:52,588 --> 00:37:58,460 <アタシは また 捨てられました。➡ 446 00:37:58,460 --> 00:38:04,933 甘い夢を見すぎた罰だったのでしょうか> 447 00:38:04,933 --> 00:38:26,955 ♬~ 448 00:38:26,955 --> 00:38:39,234 ♬~ 449 00:38:39,234 --> 00:38:42,905 (会長)そうか…➡ 450 00:38:42,905 --> 00:38:46,605 そりゃ 残念なこった。 451 00:38:48,243 --> 00:38:54,583 きかねえ野郎だったが いねえとなると ぽっかり穴があいたみてえだ。 452 00:38:54,583 --> 00:38:58,253 …で 娘さんは? 453 00:38:58,253 --> 00:39:01,590 アタシが引き取ります。 454 00:39:01,590 --> 00:39:05,890 松田さんが居てくれるので しばらくは師匠の家で。 455 00:39:07,463 --> 00:39:10,265 そうかい…。 456 00:39:10,265 --> 00:39:15,604 ♬~ 457 00:39:15,604 --> 00:39:22,304 さておきだ。 今いる人間で 落語界を なんとかしなくちゃならねえ。 458 00:39:24,279 --> 00:39:27,279 八雲 襲名だ。 459 00:39:28,951 --> 00:39:31,951 (会長)今 しねえで いつする。 460 00:39:44,233 --> 00:39:50,105 [ 回想 ] 東京は芝の浜に まだ 河岸が ございました時分のお話で。➡ 461 00:39:50,105 --> 00:39:54,877 「ちょいと お前さん 起きとくれよ。 お前さん」。➡ 462 00:39:54,877 --> 00:39:58,247 「お嬢さん ぽっくりでございますか。 それは いけませんね。➡ 463 00:39:58,247 --> 00:40:00,916 危ねえから 足元 気を付けてくださいね」。 464 00:40:00,916 --> 00:40:06,588 [ 回想 ] ♬「鐘が ゴンとなりゃさ 上げ潮 南さあ」 465 00:40:06,588 --> 00:40:11,927 [ 回想 ] 「でもよ 雪が積もるってぇと 花が咲いたように見えらぁ。➡ 466 00:40:11,927 --> 00:40:15,264 明るくなったらねぇ こりゃあ どうも いいもんだねぇ」。➡ 467 00:40:15,264 --> 00:40:18,600 「先生! わ~ 開けてくれい!」。➡ 468 00:40:18,600 --> 00:40:20,936 カラスカーで夜が明ける。➡ 469 00:40:20,936 --> 00:40:24,273 おまんま炊こうと思ったんですが お米のありかが分かりません。➡ 470 00:40:24,273 --> 00:40:26,608 「居残りを商売にしてるんですよ」。➡ 471 00:40:26,608 --> 00:40:30,279 将来は 名人になる 八代目八雲を名乗る男の初高座。➡ 472 00:40:30,279 --> 00:40:32,948 皆さんね よ~く この顔 覚えといて…。➡ 473 00:40:32,948 --> 00:40:36,648 「また 夢になるといけねえ」。 474 00:40:40,289 --> 00:40:45,160 <落語を 葬り去ろう…➡ 475 00:40:45,160 --> 00:40:48,630 助六に捨てられた今➡ 476 00:40:48,630 --> 00:40:53,302 その助六が恋い焦がれた 八雲の名と共に➡ 477 00:40:53,302 --> 00:40:56,638 落語と心中しよう…。➡ 478 00:40:56,638 --> 00:41:02,938 その時 心底 そう思いました> 479 00:41:04,980 --> 00:41:10,319 上げ潮… 南さあ…。 480 00:41:10,319 --> 00:41:14,619 カラス ぱっと出て…。 481 00:41:16,658 --> 00:41:21,658 骨があると さいさいさい…。 482 00:41:23,332 --> 00:41:28,003 小夏さん 落語は よしなさい。 483 00:41:28,003 --> 00:41:31,873 東京なんて 父ちゃんがいなきゃ意味ない…。 484 00:41:31,873 --> 00:41:34,276 聞きわけなさい。 485 00:41:34,276 --> 00:41:38,614 いいかい これからは アタシが お前さんの保護者だ。 486 00:41:38,614 --> 00:41:43,285 子供と暮らすなんて 考えただけでも ゾッとするけど しかたない。 487 00:41:43,285 --> 00:41:47,985 学校までは出してやらぁ。 あとは好きにしな。 488 00:41:49,625 --> 00:41:53,962 アンタが来たから こうなったんだろ! べらぼうめ! 489 00:41:53,962 --> 00:41:58,962 そんな悪態 どこで覚えた。 父ちゃんだよ。 490 00:42:00,836 --> 00:42:03,972 落語やりたいんなら 出ておいき。 491 00:42:03,972 --> 00:42:08,272 身になるわけじゃなし 騒々しいのは ごめんだよ。 492 00:42:13,982 --> 00:42:18,320 なんでぇ 言いたいことがあるんなら➡ 493 00:42:18,320 --> 00:42:20,656 はっきり言ってみな。 494 00:42:20,656 --> 00:42:23,558 出ていかない。 495 00:42:23,558 --> 00:42:27,258 いつか アンタを殺してやるから。 496 00:42:29,331 --> 00:42:35,137 そんな言葉… どこで覚えた。 497 00:42:35,137 --> 00:42:37,837 母さんだよ。 498 00:42:45,280 --> 00:42:48,950 殺してくれよ…。 499 00:42:48,950 --> 00:42:52,621 せいせいすらぁ…。 500 00:42:52,621 --> 00:42:55,957 <結局 アタシは たった独り➡ 501 00:42:55,957 --> 00:42:59,294 こうして生きていくほかはないのだと➡ 502 00:42:59,294 --> 00:43:03,965 この時分 腹の底から実感したのです> 503 00:43:03,965 --> 00:43:07,836 「命の火を こっちに つなぐことが できりゃ➡ 504 00:43:07,836 --> 00:43:11,640 今度 これが おめえの寿命だ。➡ 505 00:43:11,640 --> 00:43:17,340 ただ… 消えると死ぬよ」。 506 00:43:27,989 --> 00:43:34,596 <アタシの名は 有楽亭八雲…。➡ 507 00:43:34,596 --> 00:43:40,896 本当の名など とうに忘れました> 508 00:45:37,085 --> 00:45:40,622 はぁ はぁ はぁ はぁ…。 509 00:45:40,622 --> 00:45:47,122 あえて 苦しい状況に 身を置きたくなることって ありますか?