1 00:00:02,544 --> 00:00:05,280 (小夏)あの夜 本当は何があったの? 2 00:00:05,280 --> 00:00:08,183 (萬月)四国でやった 菊比古 助六の落語会が・ 3 00:00:08,183 --> 00:00:10,152 フィルムで残ってるそうなんだ。 4 00:00:10,152 --> 00:00:14,289 (八雲)「仏壇のお線香が 今…・ 5 00:00:14,289 --> 00:00:17,192 たちきりました」。 6 00:00:17,192 --> 00:00:20,162 (与太郎)師匠! (小夏)オッサン! 7 00:00:20,162 --> 00:00:39,314 ・~ 8 00:00:39,314 --> 00:00:41,984 (松田)ああ… やっぱり・ 9 00:00:41,984 --> 00:00:45,654 師匠を待ってからの方が よろしいかと。 10 00:00:45,654 --> 00:00:50,526 でも 師匠には そんなもの捨てろって 言われたんでしょ? ああ…。 11 00:00:50,526 --> 00:00:55,998 師匠は 今日 退院 あと2時間もしたら 迎えに行かなきゃなんねえ。 12 00:00:55,998 --> 00:01:00,698 ないしょで見るなら 今しかねえ。 どうする アネさん。 13 00:01:02,271 --> 00:01:06,271 私は… 見たい。 14 00:01:25,961 --> 00:01:30,632 (拍手) 15 00:01:30,632 --> 00:01:34,503 え~ 本日は いっぱいの お運び様で。 16 00:01:34,503 --> 00:01:39,975 師匠 若ぇ! 声も若ぇなぁ…! 17 00:01:39,975 --> 00:01:44,646 あ~ お懐かしい…。 ちょっと 静かに! 18 00:01:44,646 --> 00:01:48,317 男と生まれて 世の中に ご婦人が嫌いなんてえ方は・ 19 00:01:48,317 --> 00:01:50,252 一人もないんだそうで。 20 00:01:50,252 --> 00:01:54,656 「ばあさん 倅はどうしました 時次郎は?・ 21 00:01:54,656 --> 00:01:58,327 出かけてます? あ こりゃよかった。・ 22 00:01:58,327 --> 00:02:02,598 まっ青な顔してな ひと間に閉じこもって 本ばかり読んでたんじゃ・ 23 00:02:02,598 --> 00:02:07,298 かえって こっちは…。 帰ってきた?」。 24 00:02:12,941 --> 00:02:17,279 (看護師)あら お迎えが いらっしゃるんじゃ? 25 00:02:17,279 --> 00:02:20,579 お世話になりました。 26 00:02:29,625 --> 00:02:32,527 「あっしは先に帰りますから」。 27 00:02:32,527 --> 00:02:37,499 「あなた方 帰れるもんなら 帰ってごらんなさい。・ 28 00:02:37,499 --> 00:02:41,236 大門で止められますから」。 29 00:02:41,236 --> 00:02:44,172 (客の笑い声と拍手) 30 00:02:44,172 --> 00:02:47,976 こんなに楽しそうに…。 31 00:02:47,976 --> 00:02:53,676 こんなに楽しそうに落語やってる師匠 初めて見たぜ。 32 00:02:59,988 --> 00:03:08,797 (拍手) 33 00:03:08,797 --> 00:03:13,268 あの扇子 倒れた時に持ってた…。 34 00:03:13,268 --> 00:03:18,607 (拍手) 35 00:03:18,607 --> 00:03:22,477 (助六)え~ たくさんの お運びで。 36 00:03:22,477 --> 00:03:25,480 まあ こんなシャンとした格好も…。 37 00:03:25,480 --> 00:03:30,218 助六師匠 八雲の羽織 着てらぁ。 なに? 38 00:03:30,218 --> 00:03:34,623 あれは 替え紋で 八雲しか着らんねぇ。 39 00:03:34,623 --> 00:03:37,526 あたしゃ 東京で 噺家を やっておりましてね。 40 00:03:37,526 --> 00:03:40,295 あら 見える? 見えない? 41 00:03:40,295 --> 00:03:43,995 まあ どっちにしろ 気分は悪ぃもんでね。 42 00:03:52,307 --> 00:03:58,647 東京は芝の浜に まだ河岸がございました時分のお話で…。 43 00:03:58,647 --> 00:04:03,251 助六の芝浜なんて 聞いたことないぜ。 44 00:04:03,251 --> 00:04:05,187 「お前さん」。 45 00:04:05,187 --> 00:04:10,187 オイラ… これ知ってる。 46 00:04:11,927 --> 00:04:18,266 東京は芝の浜に まだ河岸がございました時分のお話で…。 47 00:04:18,266 --> 00:04:25,140 「ちょいと お前さん 起きとくれよ。 お前さん。・ 48 00:04:25,140 --> 00:04:27,609 お財布かい?」。 49 00:04:27,609 --> 00:04:30,609 「芝の浜で拾ったんだい」。 50 00:04:32,280 --> 00:04:34,580 師匠…。 51 00:04:39,154 --> 00:04:42,290 「本当に いいんだな?」。 52 00:04:42,290 --> 00:04:48,630 ・~ 53 00:04:48,630 --> 00:04:50,966 「よそう」。 54 00:04:50,966 --> 00:04:53,635 「呑まないのかい?」。 55 00:04:53,635 --> 00:04:57,635 「また 夢になるといけねえ」。 56 00:04:59,307 --> 00:05:01,243 (拍手) 57 00:05:01,243 --> 00:05:05,914 (萬月)名演だ! 奇跡みたいな高座だ! 58 00:05:05,914 --> 00:05:08,817 (小夏)父ちゃん 日本一! 59 00:05:08,817 --> 00:05:21,463 ・~ (拍手) 60 00:05:21,463 --> 00:05:24,266 私…? 61 00:05:24,266 --> 00:05:39,281 ・~ (拍手) 62 00:05:39,281 --> 00:05:52,828 ・~ 63 00:05:52,828 --> 00:05:56,832 助六師匠は…・ 64 00:05:56,832 --> 00:06:01,132 本当に幸せだったんだなぁ。 65 00:06:03,238 --> 00:06:08,538 みよ吉さんと アネさんと過ごした 数年間がさ。 66 00:06:11,580 --> 00:06:18,253 じゃなきゃ こんな落語は できねえ。 67 00:06:18,253 --> 00:06:24,125 (萬月)だけど この夜に 助六師匠と みよ吉さんは…。 68 00:06:24,125 --> 00:06:27,262 何があったか分からねえ…。 69 00:06:27,262 --> 00:06:32,562 けど… オイラにしか 分からねえことがある。 70 00:06:34,135 --> 00:06:40,275 この高座 途中で 助六師匠は・ 71 00:06:40,275 --> 00:06:45,146 遠くの方を見て… 何かに気付いた。 72 00:06:45,146 --> 00:06:49,284 まあ どっちにしろ 気分は悪ぃもんでね。 73 00:06:49,284 --> 00:06:52,284 みよ吉さんが居たんだ…。 74 00:06:53,955 --> 00:06:56,625 オイラには分かる。 75 00:06:56,625 --> 00:07:08,236 ・~ 76 00:07:08,236 --> 00:07:12,574 え~ 東京は芝の浜に…。 77 00:07:12,574 --> 00:07:20,448 ・~ 78 00:07:20,448 --> 00:07:23,585 東京は芝の浜に…。 79 00:07:23,585 --> 00:07:29,925 「俺が 甲斐性がねえばかりに おめえに つれえ思いさしたなぁ。・ 80 00:07:29,925 --> 00:07:35,263 俺が馬鹿だった。 おめえは悪くねえよ。・ 81 00:07:35,263 --> 00:07:38,600 俺が悪かった。・ 82 00:07:38,600 --> 00:07:41,900 勘弁してくれ…」。 83 00:07:51,179 --> 00:07:55,179 そろそろ 師匠を お迎えに。 84 00:07:58,620 --> 00:08:01,620 思い出した。 85 00:08:04,426 --> 00:08:11,726 私 思い出した… あの夜のこと。 86 00:08:33,254 --> 00:08:40,954 お前さんも よぅく頑張ったねぇ。 87 00:08:48,803 --> 00:09:27,442 ・~ 88 00:09:27,442 --> 00:09:35,583 最後に一席 つきあっとくれるかい…。 89 00:09:35,583 --> 00:09:39,454 どこまで やれるか…。 90 00:09:39,454 --> 00:09:57,605 ・~ 91 00:09:57,605 --> 00:10:04,946 「やだ やだ 弱っちゃったなぁ どうも。・ 92 00:10:04,946 --> 00:10:09,617 仕事はねえ 銭はねえから・ 93 00:10:09,617 --> 00:10:15,317 借金まみれでもって にっちもさっちもいかねえや」。 94 00:10:16,958 --> 00:10:20,829 「おせえてやろうか」。 95 00:10:20,829 --> 00:10:23,829 「なんだい てめえは」。 96 00:10:26,968 --> 00:10:31,306 「死神だよ」。 97 00:10:31,306 --> 00:10:35,176 「ありがてえ 寝ちまえ…」。 98 00:10:35,176 --> 00:10:39,180 「ありがてえ 寝ちまえ 寝ちまえよ」。 99 00:10:39,180 --> 00:10:44,319 祈るように見ておりますと 頭が がくんと前に下がりましたんで・ 100 00:10:44,319 --> 00:10:46,254 ここだなっ 目配せをする。 101 00:10:46,254 --> 00:10:49,190 膝をぽ~んって打ちますってえと 布団が半分 くるっと回る。 102 00:10:49,190 --> 00:10:52,193 頭だった方に足 足だった方に頭。 あじゃらかもくれん…。 103 00:10:52,193 --> 00:10:57,866 あじゃらかもくれん てけれっつのぱあ。 104 00:10:57,866 --> 00:11:00,566 (手をたたく音) 105 00:11:02,270 --> 00:11:06,941 死神が ハッと気づくってえと・ 106 00:11:06,941 --> 00:11:11,813 てめえが 足元に おりますんで。 107 00:11:11,813 --> 00:11:14,813 「ぎゃああああ…」。 108 00:11:17,585 --> 00:11:23,291 そのまんま す~っと消えてしまう。 109 00:11:23,291 --> 00:11:29,964 「勘弁してくれ 死にたくねえ」。 110 00:11:29,964 --> 00:11:33,264 「みっともねえ野郎だ」。 111 00:11:37,305 --> 00:11:40,642 「これを お前に やらあ」。 112 00:11:40,642 --> 00:11:51,286 「今にも消えそうな命の火を こっちに つなぐことができりゃ・ 113 00:11:51,286 --> 00:11:57,986 今度 これが おめえの寿命だ」。 114 00:11:59,994 --> 00:12:05,994 「ただ 消えると死ぬぞ」。 115 00:12:10,271 --> 00:12:13,971 「やってやろうじゃねえか」。 116 00:12:17,612 --> 00:12:23,612 「こんなところで 死んでたまるかってんだい」。 117 00:12:25,486 --> 00:12:31,486 「消えるぞ 消えるぞ」。 118 00:12:33,628 --> 00:12:39,300 「ほら ほら…・ 119 00:12:39,300 --> 00:12:46,300 ほ~ら… ほら」。 120 00:12:48,977 --> 00:12:52,277 「消えた」。 121 00:13:01,923 --> 00:13:06,794 (拍手) 122 00:13:06,794 --> 00:13:09,494 イヨッ 八代目! 123 00:13:12,567 --> 00:13:15,937 どうして しゃべってんだい…。 124 00:13:15,937 --> 00:13:18,937 おっ 聞こえてんのかい? 125 00:13:21,276 --> 00:13:25,276 坊 いい「死神」だったぜ。 126 00:13:27,148 --> 00:13:31,286 声が出ねえんだ…。 127 00:13:31,286 --> 00:13:36,157 一席やるだけで クタクタ…。 128 00:13:36,157 --> 00:13:40,295 舌も回らねえ。 129 00:13:40,295 --> 00:13:48,295 アタシぁ… 落語を 道連れにしようとしてるんだよ。 130 00:13:50,638 --> 00:13:53,975 …にしちゃ 詰めが甘ぇな。 131 00:13:53,975 --> 00:13:59,847 小夏 与太郎 松田さんに 信之助…。 132 00:13:59,847 --> 00:14:06,147 情に ほだされる。 それが おめえさんの一番深ぇ業だ。 133 00:14:12,260 --> 00:14:16,931 最後ぐれえ…・ 134 00:14:16,931 --> 00:14:20,931 手前で きっちり落とし前つけな。 135 00:14:22,603 --> 00:14:25,603 未練を断ち切れ。 136 00:14:27,942 --> 00:14:31,612 これが おめえの望みなんだろ。 137 00:14:31,612 --> 00:14:55,636 ・~ 138 00:14:55,636 --> 00:14:58,306 怖ぇか? 139 00:14:58,306 --> 00:15:04,912 ・~ 140 00:15:04,912 --> 00:15:10,212 死ぬってのは こういうもんだ…。 141 00:15:11,786 --> 00:15:18,459 お前は… 死神。 142 00:15:18,459 --> 00:15:27,602 ・~ 143 00:15:27,602 --> 00:15:33,474 ようやく… お会いできた…。 144 00:15:33,474 --> 00:16:06,240 ・~ 145 00:16:06,240 --> 00:16:08,540 ・師匠! 146 00:16:12,914 --> 00:16:16,214 師匠! オッサン! 147 00:16:18,586 --> 00:16:20,922 師匠! 148 00:16:20,922 --> 00:16:25,259 嫌だ… 死にたくねえ…。 149 00:16:25,259 --> 00:16:28,259 師匠 早く つかまって! 150 00:16:39,607 --> 00:16:45,907 <アタシには まだ 伝えなきゃならねえことが…> 151 00:16:59,927 --> 00:17:02,927 (小夏)思い出したの…。 152 00:17:04,565 --> 00:17:10,238 私 あの夜 松田さんと一緒に・ 153 00:17:10,238 --> 00:17:14,238 あの部屋に行ったよね? 154 00:17:21,582 --> 00:17:24,919 事故だったんだよ…。 155 00:17:24,919 --> 00:17:29,219 (みよ吉)菊さん… 私と一緒に逃げて…。 156 00:17:31,259 --> 00:17:34,259 じゃなかったら…。 157 00:17:37,932 --> 00:17:40,232 お前 それ…。 158 00:17:41,802 --> 00:17:43,802 よせ! 159 00:17:47,275 --> 00:17:50,178 (みよ吉)ああ…! 助六…! 160 00:17:50,178 --> 00:17:52,947 助六! 161 00:17:52,947 --> 00:17:56,647 ごめん… ごめんよ…。 162 00:18:00,288 --> 00:18:04,158 その子を どこかへ! 大した傷じゃねえはずだ! 163 00:18:04,158 --> 00:18:07,895 なんでもない ただの事故なんだ! 164 00:18:07,895 --> 00:18:11,766 ごめんなさい… そんなつもりじゃ…。 165 00:18:11,766 --> 00:18:14,066 助六! 166 00:18:16,904 --> 00:18:22,204 父ちゃん… 父ちゃん…。 167 00:18:24,779 --> 00:18:27,079 なんで…? 168 00:18:28,916 --> 00:18:31,819 小夏…。 169 00:18:31,819 --> 00:18:36,591 ごめんね… 許して! 170 00:18:36,591 --> 00:18:41,462 嫌だぁ! 父ちゃんを返せ! 171 00:18:41,462 --> 00:18:44,465 バカ! バカー! 172 00:18:44,465 --> 00:18:46,465 小夏 よせっ! 173 00:18:54,141 --> 00:18:58,613 私が 母さんを突き飛ばした…。 174 00:18:58,613 --> 00:19:03,313 私が落とした… そうだね? 175 00:19:09,223 --> 00:19:15,096 その記憶を失ってて アンタのせいにしてた…。・ 176 00:19:15,096 --> 00:19:21,096 なのに アンタ 私に思い出させないために ずっと今まで…。 177 00:19:22,770 --> 00:19:26,240 私は 母さんに疎まれてた。 178 00:19:26,240 --> 00:19:30,578 母さんは 私なんか 産まなきゃよかったと思ってた。 179 00:19:30,578 --> 00:19:34,448 だから 私も 母さんを憎んだ。 180 00:19:34,448 --> 00:19:39,448 それで 母さんを殺して… そうなんでしょ? 181 00:19:41,222 --> 00:19:46,127 嫌なら産まなきゃよかったんだ 子供なんか… 私なんか。 182 00:19:46,127 --> 00:19:49,127 そうじゃない。 183 00:19:56,270 --> 00:20:04,570 お前さんが あの夜のことを 思い出せなかったのは…。 184 00:20:06,614 --> 00:20:11,485 記憶が飛んじまったのは…・ 185 00:20:11,485 --> 00:20:16,185 お前さんも気を失ってたからなんだ。 186 00:20:18,626 --> 00:20:22,326 一緒に落ちたからなんだよ。 187 00:20:24,298 --> 00:20:26,298 小夏! 188 00:20:28,169 --> 00:20:30,638 助六! 189 00:20:30,638 --> 00:20:43,984 ・~ 190 00:20:43,984 --> 00:20:48,322 アンタ 小夏を お願い…! 191 00:20:48,322 --> 00:20:52,193 私はいい! この子を…・ 192 00:20:52,193 --> 00:20:55,996 小夏だけは助けて! お願い! 193 00:20:55,996 --> 00:20:59,667 ああ…! 小夏を坊に渡せ! 194 00:20:59,667 --> 00:21:02,937 坊 頼む…! 195 00:21:02,937 --> 00:21:12,947 ・~ 196 00:21:12,947 --> 00:21:17,618 片手じゃ無理だ! はなせ! 197 00:21:17,618 --> 00:21:20,287 嫌だ…! 198 00:21:20,287 --> 00:21:23,587 なら アタシも連れてけ! ダメだ! 199 00:21:25,626 --> 00:21:29,497 小夏… ごめん…。・ 200 00:21:29,497 --> 00:21:31,797 ごめんね…。 201 00:21:34,969 --> 00:21:37,669 頼んだよ…。 202 00:21:40,641 --> 00:21:44,512 やめろ… やめろ…。 203 00:21:44,512 --> 00:21:48,512 やめろ…! やめ…。 204 00:21:53,220 --> 00:21:55,520 あぁ~! 205 00:22:15,476 --> 00:22:20,476 父ちゃんと母さんが 私を…。 206 00:22:22,249 --> 00:22:27,549 お嬢さんも 同じことを おっしゃったんですよ…。 207 00:22:30,624 --> 00:22:32,924 信之助…? 208 00:22:34,962 --> 00:22:38,632 [ 回想 ] (小夏)私はいい! お願い・ 209 00:22:38,632 --> 00:22:42,332 この子を… この子だけは助けてっ! 210 00:22:43,971 --> 00:22:47,641 [ 回想 ] (みよ吉)私はいい! この子を…・ 211 00:22:47,641 --> 00:22:51,641 小夏だけは助けて… お願い! 212 00:22:54,982 --> 00:22:57,982 お母ちゃん…。 213 00:23:09,263 --> 00:23:12,263 松田さん。 214 00:23:16,604 --> 00:23:20,904 長い間 すまなかったね。 215 00:23:44,632 --> 00:23:55,276 ・~ 216 00:23:55,276 --> 00:24:00,581 うれしいよなぁ 息子が通う小学校から頼まれるなんて。 217 00:24:00,581 --> 00:24:04,251 頑張ろうね。 おう。 218 00:24:04,251 --> 00:24:07,154 師匠も来れりゃよかったんだけど。 219 00:24:07,154 --> 00:24:13,260 本当は入院してなきゃいけない体なんだ。 当分は出かけるのもダメ。 220 00:24:13,260 --> 00:24:15,195 よし! 221 00:24:15,195 --> 00:24:21,135 ・~(出囃子) 222 00:24:21,135 --> 00:24:24,271 や~! (拍手と歓声) 223 00:24:24,271 --> 00:24:26,206 どうも~! 224 00:24:26,206 --> 00:24:30,611 ・~ (拍手) 225 00:24:30,611 --> 00:24:34,281 みんな 元気? (子供たち)元気! 226 00:24:34,281 --> 00:24:38,152 そこにいる信ちゃんの お父ちゃんです! よろしく! 227 00:24:38,152 --> 00:24:40,154 (拍手) 228 00:24:40,154 --> 00:24:44,291 今日はね~ みんなの大好きな アレをやろうと思います。 229 00:24:44,291 --> 00:24:46,226 (子供たち)アレ? 230 00:24:46,226 --> 00:24:49,163 じゅげむ! 聞きたい人! (子供たち)は~い! 231 00:24:49,163 --> 00:24:54,635 あ~ いい返事! こんな いいお客には めったに会えません。 232 00:24:54,635 --> 00:24:58,973 あっ じゃあ 落語の前に みんなで大きな声で・ 233 00:24:58,973 --> 00:25:02,843 じゅげむの練習をしましょう! さんはい! 234 00:25:02,843 --> 00:25:06,246 (一同)寿限無 寿限無…。 あおるねぇ。 235 00:25:06,246 --> 00:25:13,120 (子供たち)五劫の擦り切れ 海砂利水魚の水行末。 236 00:25:13,120 --> 00:25:15,923 よくできました~! 237 00:25:15,923 --> 00:25:20,260 では 少々お待ち下さい。 次は いよいよ じゅげむです! 238 00:25:20,260 --> 00:25:23,960 (拍手) 239 00:25:26,600 --> 00:25:28,936 えっ… なに? 240 00:25:28,936 --> 00:25:31,605 アネさん 落語やってこい! はぁ? 241 00:25:31,605 --> 00:25:34,274 ここなら いける! 何が! 242 00:25:34,274 --> 00:25:38,612 こんな上客 めったにいねえ 何やっても笑うもん! なっ! 243 00:25:38,612 --> 00:25:41,281 だけど…。 いいから いいから! 244 00:25:41,281 --> 00:25:44,952 ちょっと! やめてよ! いいから! 早く! 245 00:25:44,952 --> 00:25:47,252 ほい。 246 00:26:06,240 --> 00:26:09,910 ・~(出囃子) 247 00:26:09,910 --> 00:26:21,255 ・~(出囃子) (拍手) 248 00:26:21,255 --> 00:26:24,925 (拍手) 249 00:26:24,925 --> 00:26:31,598 え… どうも… 出番 代わりまして 信ちゃんの母でございます。 250 00:26:31,598 --> 00:26:35,598 (拍手) 頑張れ~! 251 00:26:38,272 --> 00:26:43,143 え~ 名前というのは大事なもんで 子供が生まれる 名前をつける。 252 00:26:43,143 --> 00:26:46,146 どういうふうに 名前をつけようかなんてえのは・ 253 00:26:46,146 --> 00:26:50,617 いつの時代になっても 頭を悩ますというところでございまして。 254 00:26:50,617 --> 00:26:55,489 「こんちはあ 和尚さんいますか 和尚さん こんちはあ」。 255 00:26:55,489 --> 00:27:01,562 「はいはい お~ 八っつぁんじゃないか 珍しいな なんか用かい」。 256 00:27:01,562 --> 00:27:06,900 「おはよお~ 寿~限無 寿限無 五劫の擦り切れ」。 257 00:27:06,900 --> 00:27:09,570 「何だい 何だい それじゃ 何かい・ 258 00:27:09,570 --> 00:27:14,241 うちの 寿限無 寿限無 五劫の擦り切れ 海砂利水魚の水行末 雲来末 風来末・ 259 00:27:14,241 --> 00:27:17,144 食う寝る処に住む処 藪ら柑子のブラ柑子・ 260 00:27:17,144 --> 00:27:19,913 パイポ パイポ パイポのシューリンガン グーリンダイ・ 261 00:27:19,913 --> 00:27:22,816 ポンポコピーのポンポコナーの 長久命の長助が・ 262 00:27:22,816 --> 00:27:25,786 金ちゃんの頭ぶって 大きなコブをこしらえたんだって。・ 263 00:27:25,786 --> 00:27:27,788 お前さん ちょいと来ておくれ!」。 264 00:27:27,788 --> 00:27:29,923 「何だい 何だい それじゃ 何かい・ 265 00:27:29,923 --> 00:27:34,795 うちの 寿限無 寿限無 五劫の擦り切れ 海砂利水魚の水行末 雲来末 風来末・ 266 00:27:34,795 --> 00:27:38,599 食う寝る処に住む処 藪ら柑子のブラ柑子」。 267 00:27:38,599 --> 00:27:44,471 「ええ~ん あんまり名前が長いから コブが引っ込んじゃった」。 268 00:27:44,471 --> 00:27:47,274 (笑い声) 269 00:27:47,274 --> 00:27:49,943 (拍手) 270 00:27:49,943 --> 00:27:52,846 よっ 日本一! 271 00:27:52,846 --> 00:28:03,223 ・~ (拍手) 272 00:28:03,223 --> 00:28:06,126 アネさん! バッチシ! 273 00:28:06,126 --> 00:28:09,563 どうしよ… 人前で 落語やっちゃったよ。 274 00:28:09,563 --> 00:28:12,263 楽しいべ 落語! 275 00:28:15,435 --> 00:28:17,435 おっ…。 276 00:28:20,574 --> 00:28:24,574 (小夏)言わなきゃいけないこと あるんだ。 277 00:28:26,446 --> 00:28:30,584 (小夏)いつ言おう いつ言おうって。 278 00:28:30,584 --> 00:28:32,884 えっ? 279 00:28:36,456 --> 00:28:40,456 あかんぼ… できた。 280 00:28:42,596 --> 00:28:45,596 アンタの子だよ。 281 00:28:49,469 --> 00:28:54,608 アネさ~ん! よかったなぁ…。 282 00:28:54,608 --> 00:28:59,308 家族が増えるんだから しっかりおしよ! 283 00:29:00,881 --> 00:29:04,218 うん… うん…。 284 00:29:04,218 --> 00:29:06,518 アネさ…。 もういい! 285 00:29:16,563 --> 00:29:21,563 起きてて平気? ああ。 286 00:29:24,905 --> 00:29:31,205 そのラジオは何なんでぇ…。 このあと 与太が出るんだよ。 287 00:29:33,247 --> 00:29:35,916 そうかい。 288 00:29:35,916 --> 00:29:39,616 髪ボサボサ。 櫛 やる? 289 00:29:57,604 --> 00:30:04,478 小さいころ 一度だけ 散髪してもらったことあったね。 290 00:30:04,478 --> 00:30:07,478 そうだったねぇ。 291 00:30:09,616 --> 00:30:14,288 他にも いろいろ してやりゃあよかったことが・ 292 00:30:14,288 --> 00:30:17,624 たくさん あらぁな。 293 00:30:17,624 --> 00:30:21,962 こうして ぼんやり過ごしていると・ 294 00:30:21,962 --> 00:30:27,634 そういうことばっかに気がいくんだ。 295 00:30:27,634 --> 00:30:31,334 落語以外のことに。 296 00:30:34,308 --> 00:30:37,644 落語は もうおしまい? 297 00:30:37,644 --> 00:30:41,515 もう怖くてね。 298 00:30:41,515 --> 00:30:45,815 怖いって 母さんのこと? 299 00:30:47,654 --> 00:30:51,525 そうじゃない。 300 00:30:51,525 --> 00:31:01,201 みよ吉さんは アタシと居る時は たいそう優しかったよ…。 301 00:31:01,201 --> 00:31:09,276 あの人には 女の人の酸いも甘いも・ 302 00:31:09,276 --> 00:31:16,576 ぬくもりも冷たさも みぃんな教わった…。 303 00:31:18,618 --> 00:31:22,618 魅力的な人だったよ。 304 00:31:28,295 --> 00:31:34,167 落語を与えてくれたのは 助六さ…。 305 00:31:34,167 --> 00:31:39,639 アタシの味気ない人生に・ 306 00:31:39,639 --> 00:31:44,639 色を与えてくれた二人…。 307 00:31:47,514 --> 00:31:53,214 永遠に手が届かない二人…。 308 00:32:03,830 --> 00:32:10,130 私が居なけりゃ そんなに苦しまなかった? 309 00:32:15,942 --> 00:32:20,280 お前さんのおかげで・ 310 00:32:20,280 --> 00:32:25,580 後悔してる暇なんざ なかったよ。 311 00:32:27,621 --> 00:32:36,963 子供ってのは 本当に 毎日 毎日 せわしなくて・ 312 00:32:36,963 --> 00:32:42,263 いくら眺めてたって 飽きねぇんだ。 313 00:32:44,838 --> 00:32:48,838 なんてぇ顔してるんだい。 314 00:32:51,511 --> 00:32:55,511 そんな目で見ないでおくれ…。 315 00:33:16,937 --> 00:33:23,637 見捨てないで 育ててくれて ありがとう。 316 00:33:25,278 --> 00:33:27,978 アイヨ。 317 00:33:43,296 --> 00:33:47,167 「よくこの趣味道楽なんてえことを 申しますが。・ 318 00:33:47,167 --> 00:33:51,638 中でこの 釣りが趣味だという方 こりゃあ大勢いらっしゃいます。・ 319 00:33:51,638 --> 00:33:56,510 『おお~う! 開けてくれ 開けてくれい! 先生!』」。 320 00:33:56,510 --> 00:34:00,914 ずいぶん威勢のよすぎる 八っつぁんだねぇ。 321 00:34:00,914 --> 00:34:06,253 与太の野ざらし おっかしいのよ。 どこまでもバカバカしくってさ。 322 00:34:06,253 --> 00:34:09,923 「『待ちな 待ちな そうドンドン叩いちゃいかん。・ 323 00:34:09,923 --> 00:34:11,858 ご近所に迷惑だ』。・ 324 00:34:11,858 --> 00:34:14,794 『…んわ~!』」。 (2人の笑い声) 325 00:34:14,794 --> 00:34:17,797 「『うちの戸は やわに出来てんだから・ 326 00:34:17,797 --> 00:34:20,267 そんなに 戸を ドンドン ドンドン』。・ 327 00:34:20,267 --> 00:34:23,603 『方への葦が ガサガサガサー。 カラスが す~っと出てくりゃ・ 328 00:34:23,603 --> 00:34:25,539 こっちのもんなんだよ』」。 329 00:34:25,539 --> 00:34:29,276 ・「鐘が」 信之助! 330 00:34:29,276 --> 00:34:32,612 じいじが お花見したいって言ってたもん。 331 00:34:32,612 --> 00:34:38,485 信之助 もっとやんな。 きれいだねぇ! 332 00:34:38,485 --> 00:34:41,621 うん! も~っと集めてくる! 333 00:34:41,621 --> 00:34:45,492 ・「ほら すちゃらかちゃん ほら すちゃらかちゃん」 334 00:34:45,492 --> 00:34:49,963 「『何があったか知りませんけど 気をしっかり持たないといけません』」。 335 00:34:49,963 --> 00:34:52,963 お願いがあるんだけど。 336 00:34:55,302 --> 00:35:01,602 私のこと… 弟子にして下さい。 337 00:35:03,910 --> 00:35:08,582 そんな格好で言うやつがあるかい。 338 00:35:08,582 --> 00:35:11,582 いいのね? 339 00:35:14,921 --> 00:35:17,591 ハイ。 340 00:35:17,591 --> 00:35:20,260 やった。 341 00:35:20,260 --> 00:35:33,560 (ラジオから聞こえる与太郎の落語) 342 00:36:02,836 --> 00:36:07,240 遅かったねぇ! 待ちくたびれたぜ。 343 00:36:07,240 --> 00:36:10,240 ようこそ 冥土へ! 344 00:36:11,911 --> 00:36:17,250 ここは…? いろいろと ふに落ちねえだろうけど・ 345 00:36:17,250 --> 00:36:22,589 手っとり早く言やあ おめさんは死んだんだ。 346 00:36:22,589 --> 00:36:25,258 死んだ…? 347 00:36:25,258 --> 00:36:30,597 まさか…!? アタシは 自分んちの縁側で…・ 348 00:36:30,597 --> 00:36:36,469 そうだ 桜を見ながら 与太の野ざらしを聞いてたんだよ。 349 00:36:36,469 --> 00:36:42,169 そう そう 見てたよ 小夏も信之助もな。 350 00:36:44,611 --> 00:36:47,514 おめさんは幸せもんだなぁ。 351 00:36:47,514 --> 00:36:54,621 ・~ 352 00:36:54,621 --> 00:37:00,921 アタシぁ… 死んだんだね。 353 00:37:02,429 --> 00:37:06,232 落語と心中は できなかったなぁ。 354 00:37:06,232 --> 00:37:11,571 ・~ 355 00:37:11,571 --> 00:37:15,241 なあ 坊・ 356 00:37:15,241 --> 00:37:20,541 おめさんは落語が好きで 人を愛した。 357 00:37:22,115 --> 00:37:25,415 そして よく生き抜いた。 358 00:37:28,788 --> 00:37:32,258 おかげで 俺も成仏できらぁ。 359 00:37:32,258 --> 00:37:36,129 さあ 行こうぜ。 360 00:37:36,129 --> 00:37:42,902 ・~ 361 00:37:42,902 --> 00:37:46,806 おっ… お~ イテッ… お~ イタッ。 362 00:37:46,806 --> 00:37:58,284 ・~ 363 00:37:58,284 --> 00:38:01,554 (みよ吉)菊さん。 364 00:38:01,554 --> 00:38:05,425 アンタも死んじゃったのねぇ。 365 00:38:05,425 --> 00:38:08,428 ご愁傷さま。 366 00:38:08,428 --> 00:38:23,428 ・~ 367 00:38:26,579 --> 00:38:31,918 ・~(太鼓) 368 00:38:31,918 --> 00:38:40,927 ・~ (拍手) 369 00:38:40,927 --> 00:38:44,227 東西 東西! 370 00:38:45,799 --> 00:38:49,602 演芸なかばにて 御座 高うはございますが・ 371 00:38:49,602 --> 00:38:53,273 助六改め 九代目有楽亭八雲・ 372 00:38:53,273 --> 00:38:56,943 襲名披露口上を申し上げます。 373 00:38:56,943 --> 00:39:04,551 この度は めでたく 助六が 九代目八雲を襲名致しました。 374 00:39:04,551 --> 00:39:07,454 さらに めでたいことに・ 375 00:39:07,454 --> 00:39:12,892 その長男であります 信之助も 二ツ目に昇進致しまして・ 376 00:39:12,892 --> 00:39:18,765 二代目有楽亭菊比古を 名乗らせて頂くこととなりました。・ 377 00:39:18,765 --> 00:39:22,902 落語界も いろんなことがございまして・ 378 00:39:22,902 --> 00:39:28,575 一時期は 本当に 落語というものが なくなってしまうのではないか・ 379 00:39:28,575 --> 00:39:31,911 そんな時期もございましたが…。 380 00:39:31,911 --> 00:39:35,248 小雪 どこ ほっつき歩いてたんだい? 381 00:39:35,248 --> 00:39:39,548 (小雪)下座さんとこ。 母さん 私 松田さんと見てるから。 382 00:39:42,121 --> 00:39:46,259 (お栄)将来は 下座になるのかねぇ。 383 00:39:46,259 --> 00:39:51,130 それとも アンタみたいに 落語家かね。 384 00:39:51,130 --> 00:39:56,269 今や 押しも押されぬ 女性真打だもんね。 385 00:39:56,269 --> 00:39:58,969 やめて下さいよ。 386 00:40:01,608 --> 00:40:05,478 最近 ふと思うんだけどね…・ 387 00:40:05,478 --> 00:40:09,778 信ちゃんの本当の父親…。 388 00:40:11,618 --> 00:40:15,618 (お栄)いまさら どうでもいいようなことだけど…。 389 00:40:17,490 --> 00:40:20,490 どうなんでしょうね? 390 00:40:22,629 --> 00:40:30,303 アタクシの師匠の 八代目八雲は 時折 落語と心中すると申すことがありました。 391 00:40:30,303 --> 00:40:36,643 落語は たった一人の意志でも滅びうる 危ういものなのだと。 392 00:40:36,643 --> 00:40:44,517 けれども 師匠は 大勢の噺家に 勇気や憧れを与えてくれました。 393 00:40:44,517 --> 00:40:50,517 気まぐれに アタシのような弟子も 残してくれました。 394 00:40:52,659 --> 00:40:58,531 たった一人で滅ぼせるなら たった一人でも つないでいける。 395 00:40:58,531 --> 00:41:01,935 師匠は 落語と心中どころか・ 396 00:41:01,935 --> 00:41:07,273 落語を支えて つないでくれた気がします。 397 00:41:07,273 --> 00:41:11,945 何より お客様皆様の おかげでございますが…。 398 00:41:11,945 --> 00:41:14,847 (拍手) 399 00:41:14,847 --> 00:41:20,620 ただねぇ… オイラは 頭がよくなくってねぇ。 400 00:41:20,620 --> 00:41:25,291 本当のとこ言うと オイラは落語がなくなるなんざ・ 401 00:41:25,291 --> 00:41:28,194 いっぺんも考えたことがねぇんです。 402 00:41:28,194 --> 00:41:34,634 だってね 皆さん こんな いいもんが なくなるわけはねえんですよね! 403 00:41:34,634 --> 00:41:38,304 そうだ! ねえ! そうですよねぇ? 404 00:41:38,304 --> 00:41:47,313 (拍手と歓声) 405 00:41:47,313 --> 00:41:50,984 有楽亭! 助六! 406 00:41:50,984 --> 00:41:53,653 日本一! 407 00:41:53,653 --> 00:41:57,991 ・~ (拍手) 408 00:41:57,991 --> 00:42:01,594 そいじゃ 一席 おつきあい頂いて。 409 00:42:01,594 --> 00:42:04,497 「披露目の日に それかい」ってんで・ 410 00:42:04,497 --> 00:42:07,467 お叱りを受けるかもしれませんが・ 411 00:42:07,467 --> 00:42:10,269 この噺に出会わなかったら・ 412 00:42:10,269 --> 00:42:13,269 オイラは 今 ここに居ないんでねぇ。 413 00:42:14,941 --> 00:42:19,812 え~ 困った時の神頼みなんてえことを 申しますが・ 414 00:42:19,812 --> 00:42:24,283 あんまり おつきあいしたくない 神様ってえのがあるもんで。 415 00:42:24,283 --> 00:42:29,956 「は~ やだ やだ 弱っちまったなぁ どうも。・ 416 00:42:29,956 --> 00:42:32,859 仕事はねえし 銭はねえし・ 417 00:42:32,859 --> 00:42:36,629 借金まみれでもって にっちもさっちもいかねえや。・ 418 00:42:36,629 --> 00:42:41,300 や~ また 嬶が やいのやいの うるせえからなぁ。・ 419 00:42:41,300 --> 00:42:45,171 いっそのこと死んじまおうかなぁ。・ 420 00:42:45,171 --> 00:42:48,975 それがいい 死のう。・ 421 00:42:48,975 --> 00:42:52,311 死のうったってなぁ・ 422 00:42:52,311 --> 00:42:55,648 俺 初めて死ぬんだからなぁ・ 423 00:42:55,648 --> 00:42:58,985 死にようが わからねえけど・ 424 00:42:58,985 --> 00:43:02,285 どうやったら死ねんだろうなぁ」。 425 00:43:06,592 --> 00:43:09,929 「おせえてやろうか」。 426 00:43:09,929 --> 00:43:12,929 「なんでぇ おめえは」。 427 00:43:18,271 --> 00:43:21,271 「死神だよ」。 428 00:43:24,143 --> 00:43:27,443 (拍手)