1 00:01:35,364 --> 00:01:55,318 ♬~ 2 00:01:55,318 --> 00:02:15,354 ♬~ 3 00:02:15,354 --> 00:02:29,051 ♬~ 4 00:02:29,051 --> 00:02:33,523 ♬~ 5 00:02:33,523 --> 00:02:41,623 ♬~ 6 00:02:45,551 --> 00:03:03,651 ♬~ 7 00:03:05,371 --> 00:03:08,207 [テレビ](コメンテーター)問題はね 彼の経歴ですよ。➡ 8 00:03:08,207 --> 00:03:10,693 吉切組といえば あの辺りを 束ねている➡ 9 00:03:10,693 --> 00:03:12,745 一大組織だ。 そんな所に➡ 10 00:03:12,745 --> 00:03:14,780 出入りしてた 人間ですよ?➡ 11 00:03:14,780 --> 00:03:17,750 しかも 彼は 前科があるそうじゃないですか。➡ 12 00:03:17,750 --> 00:03:21,220 だいたいね 落語界っていう…。 パチッ(スイッチ音) 13 00:03:21,220 --> 00:03:24,020 (小夏) 毎日 毎日 よく飽きないもんね。 14 00:03:25,374 --> 00:03:27,944 (与太郎) アネさん オイラの羽織 どこ? 15 00:03:27,944 --> 00:03:29,946 (小夏)これ! おわっ! 16 00:03:29,946 --> 00:03:33,165 せっかく きれぇに畳んでんのに 投げたんじゃ意味ねぇぞ。 17 00:03:33,165 --> 00:03:35,701 (小夏)朝から ドタバタやかましいんだよ。 18 00:03:35,701 --> 00:03:39,272 こっちは 赤ん坊もいるし 口うるさい じじいもいるんだ。 19 00:03:39,272 --> 00:03:41,307 もう少し 気ぃ遣いな。 20 00:03:41,307 --> 00:03:45,211 (信之助)すぅ… すぅ…。 21 00:03:45,211 --> 00:03:47,430 んん~ ふふふっ。 22 00:03:47,430 --> 00:03:50,333 アネさんも すっかり いいおっかさんだねぇ。 23 00:03:50,333 --> 00:03:53,970 オイラも 家族がいるって思うと 仕事に 精が出るってもんだ。 24 00:03:53,970 --> 00:03:56,756 うっさい。 あんたなんか まだ仮免だよ。 25 00:03:56,756 --> 00:03:58,758 嫌んなったら すぐ追い出してやるよ。 26 00:03:58,758 --> 00:04:02,678 ええ~ そりゃないぜ! もう 婚姻届も出したってのに。 27 00:04:02,678 --> 00:04:05,314 だったら もうちっと 親らしく しっかりしやがれ! 28 00:04:05,314 --> 00:04:07,950 いつまでたっても与太郎じゃ こちとら困るんだよ! 29 00:04:07,950 --> 00:04:09,969 だから もう助六だってぇの! 30 00:04:09,969 --> 00:04:12,021 ちっとも 呼んじゃくれねぇんだもんな。 31 00:04:12,021 --> 00:04:14,090 (小夏) いいから さっさと 仕事 行きな! 32 00:04:14,090 --> 00:04:17,793 へい! 行ってめぇりやす。 ≪(信之助)うわぁ~ん! 33 00:04:17,793 --> 00:04:20,630 おお~ よしよしよし。 ≫師匠 行ってめぇりやす! 34 00:04:20,630 --> 00:04:24,684 あんな問題が出たってのに てんで気にしちゃいないよ。➡ 35 00:04:24,684 --> 00:04:28,337 大した真打ち。 ≫(有楽亭八雲)小夏さん! 36 00:04:28,337 --> 00:04:32,308 ≫ちょいと来とくれ。 早く! (小夏)はぁ…。➡ 37 00:04:32,308 --> 00:04:35,578 ったく… 子供が 2人も3人もいるみたいで➡ 38 00:04:35,578 --> 00:04:37,597 嫌んなるね。 39 00:04:37,597 --> 00:04:39,715 「だからね うちの寺で➡ 40 00:04:39,715 --> 00:04:42,501 葬ってやろうと思ってね」。 「おう おう。➡ 41 00:04:42,501 --> 00:04:44,754 ≪そりゃあ そうしてやっとくれ」。 「ほんとはな➡ 42 00:04:44,754 --> 00:04:47,306 ≪大家のあたしが やんなきゃいけないことなんだが」。 43 00:04:47,306 --> 00:04:50,309 (師匠) やれやれ。 今更 こんな昔のこと➡ 44 00:04:50,309 --> 00:04:52,345 つっついてぇきやがるとは。➡ 45 00:04:52,345 --> 00:04:55,631 無粋だねぇ。 まあ 与太ちゃんのことだから➡ 46 00:04:55,631 --> 00:04:58,150 大して気にしてねぇみてぇだけど。 47 00:04:58,150 --> 00:05:02,288 (師匠)なんだか怪しいヤツも 入り込んでるみてぇだし➡ 48 00:05:02,288 --> 00:05:04,373 心配だね。 49 00:05:04,373 --> 00:05:07,777 心配なのは それだけじゃねぇけどなぁ。 50 00:05:07,777 --> 00:05:11,777 こう言っちゃなんだが 最近の与太ちゃんは どうもな…。 51 00:05:13,316 --> 00:05:15,334 みんなで ワイワイ ワイワイ言いながら➡ 52 00:05:15,334 --> 00:05:18,537 下谷の山崎町を出まして あれから 上野の山下に寄ってまいりまして➡ 53 00:05:18,537 --> 00:05:21,223 三枚橋を渡って 上野広小路へ出ました。 54 00:05:21,223 --> 00:05:23,693 あれから 御成街道を まっつぐに参りまして そのころ➡ 55 00:05:23,693 --> 00:05:26,128 堀様と鳥居様のお屋敷の前を まっつぐに➡ 56 00:05:26,128 --> 00:05:29,165 筋違御門から大通り 神田須田町へ出てまいりまして➡ 57 00:05:29,165 --> 00:05:32,551 新石町から鍛冶町 今川橋を…。 ふんっ。 58 00:05:32,551 --> 00:05:35,037 ちっ! どうしたぃ 助六! 59 00:05:35,037 --> 00:05:38,474 先代のまねにしちゃ つまんねぇぞ! この三文野郎!➡ 60 00:05:38,474 --> 00:05:42,228 ≫それでも真打ちか! ≫(観客)なんだ てめぇ!➡ 61 00:05:42,228 --> 00:05:44,747 三代目の落語に ケチつけんのか!? 62 00:05:44,747 --> 00:05:47,733 つまんねぇもんに つまんねぇっつって 何が悪ぃ!➡ 63 00:05:47,733 --> 00:05:49,869 てめぇこそ こんなもん面白がりやがって➡ 64 00:05:49,869 --> 00:05:52,471 耳掃除してんのか? (観客)んだと このやろう! 65 00:05:52,471 --> 00:05:54,907 (観客)やんのか!? (観客)おう 面白ぇ!➡ 66 00:05:54,907 --> 00:05:58,160 やってやろうじゃねぇか! (2人)んん~! 67 00:05:58,160 --> 00:06:02,248 (観客)手は なし! 口で勝負だ。 ええ~ 麻布絶口釜無村の➡ 68 00:06:02,248 --> 00:06:05,448 木蓮寺に着いた頃には みんな 随分くたぶれた…。 69 00:06:07,887 --> 00:06:11,887 降板? 世間が どうも うるさくてね。 70 00:06:13,809 --> 00:06:16,445 スポンサーも気にしてるし 悪いね。 71 00:06:16,445 --> 00:06:19,365 けど オイラ ほんとに 吉切組とは縁切って…。 72 00:06:19,365 --> 00:06:21,434 もう決まったことだから。 73 00:06:21,434 --> 00:06:24,070 まっ 今は 寄席に引っ込んでた方がいいよ➡ 74 00:06:24,070 --> 00:06:26,070 真打ちちゃん。 75 00:06:30,893 --> 00:06:33,746 「うるさいねぇ。 黙って あたしの言うとおりに➡ 76 00:06:33,746 --> 00:06:37,299 動いてればいいの ほんとに。 大家さんところに行くの。➡ 77 00:06:37,299 --> 00:06:40,519 それでね その鮑 持ってって」…。 パン パン(手をたたく音) 78 00:06:40,519 --> 00:06:44,707 今んとこ もう一度やってみな。 へ… へい。 79 00:06:44,707 --> 00:06:47,243 (裏声で) 「そ… それでね その鮑を」…。 80 00:06:47,243 --> 00:06:50,980 ダメ。 何度 言ったら 分かるんだい。 81 00:06:50,980 --> 00:06:53,916 お前さんのやる女房は思慮が浅い。 82 00:06:53,916 --> 00:06:56,118 裏声もやめろ! みっともねぇ。 83 00:06:56,118 --> 00:06:59,155 地声で 女を表現しなさい。 84 00:06:59,155 --> 00:07:02,258 でも オイラ 師匠みてぇな いい声出ねぇし…。 85 00:07:02,258 --> 00:07:06,278 痛っ! 口答えできる ご身分かぇ! 86 00:07:06,278 --> 00:07:09,181 す… すいやせん! はぁ…。 87 00:07:09,181 --> 00:07:11,283 今日は もう おしまい。 88 00:07:11,283 --> 00:07:14,937 もっぺん お願いしやす! 何を じれてんのか知らねぇが➡ 89 00:07:14,937 --> 00:07:20,259 一朝一夕でうまくなるほど 噺家は 楽な商売じゃありませんよ。 90 00:07:20,259 --> 00:07:23,696 お前さんも そいつは よく分かってんだろ。 91 00:07:23,696 --> 00:07:27,416 仕事が減って 暇んなったんなら ちょうどいいじゃねぇか。 92 00:07:27,416 --> 00:07:29,516 しっかり稽古なさい。 93 00:07:35,891 --> 00:07:38,360 ♬~(三味線の演奏「柳の雨」) 94 00:07:38,360 --> 00:07:46,485 ♬ 行く水に 95 00:07:46,485 --> 00:07:49,855 (信之助)あっ あっ。 96 00:07:49,855 --> 00:07:54,910 ♬ 雨は 97 00:07:54,910 --> 00:08:01,183 ♬ そぼ降る 98 00:08:01,183 --> 00:08:06,322 ♬ 河岸の灯よ 99 00:08:06,322 --> 00:08:08,357 ああ~! 100 00:08:08,357 --> 00:08:10,392 うう~。 101 00:08:10,392 --> 00:08:14,163 なんだぇ お前さん… 一人で はってきたのかぇ? 102 00:08:14,163 --> 00:08:16,849 うっ あう。 あぁ~。 これ! 103 00:08:16,849 --> 00:08:19,251 ばっちい手で触るんじゃない! 104 00:08:19,251 --> 00:08:23,072 おっかさんは どうしたの? ううっ…。 105 00:08:23,072 --> 00:08:26,525 なんだぇ その面? 急に固まって。 106 00:08:26,525 --> 00:08:30,429 ちょいと 赤ん坊が 何か考ぇてるよ! 107 00:08:30,429 --> 00:08:32,615 ≪小夏さん! 108 00:08:32,615 --> 00:08:37,603 はぁ…。 なんで あたしが こんなことしなきゃなんねぇんだか。 109 00:08:37,603 --> 00:08:42,274 泣くわ 暴れるわ 汚ぇわ…。 ああ~あっ! うう~ あっ。 110 00:08:42,274 --> 00:08:44,774 これじゃ 小言三味線だね。 111 00:08:51,867 --> 00:08:56,572 小夏! 起きなさい。 だらしのない。 112 00:08:56,572 --> 00:08:58,572 何? あっ あっ…。 113 00:09:02,761 --> 00:09:05,481 あぁ…。 114 00:09:05,481 --> 00:09:11,403 ♬~ 115 00:09:11,403 --> 00:09:14,823 夏は 船中のあくびでございます。 116 00:09:14,823 --> 00:09:19,411 では お稽古にかかりましょう。 心持ちは八つ下がり➡ 117 00:09:19,411 --> 00:09:22,898 大川の首尾の松辺りに 船を舫って➡ 118 00:09:22,898 --> 00:09:27,386 胴の方に客1人 艫の方に船頭が1人➡ 119 00:09:27,386 --> 00:09:30,823 ぼんやり タバコを吸っている。 120 00:09:30,823 --> 00:09:36,161 「おい 船頭さん 船を 上手の方へやっつくんな。➡ 121 00:09:36,161 --> 00:09:39,999 船もいいが 一日 乗っていると➡ 122 00:09:39,999 --> 00:09:42,585 退屈で 退屈で…➡ 123 00:09:42,585 --> 00:09:47,756 ふぁ~あ… ならねぇなぁ」。 124 00:09:47,756 --> 00:09:51,310 おや 起きちまった。 何? 125 00:09:51,310 --> 00:09:53,412 お前さんが 放さねぇんだろ。 126 00:09:53,412 --> 00:09:56,265 (小夏)あ… あたしが!? 冗談じゃないよ! 127 00:09:56,265 --> 00:10:00,135 子供の時分は こうやったら 寝入っちまったもんだが。 128 00:10:00,135 --> 00:10:03,472 びっくりした…。 なんで 昼からいるのよ? 129 00:10:03,472 --> 00:10:07,893 与太のお披露目で すっかり くたぶれちまってね。 130 00:10:07,893 --> 00:10:13,232 この夏は 協会にお願いして 出番を減らしてもらったんだよ。 131 00:10:13,232 --> 00:10:16,051 嫌だ… すっかり じいさんだね。 132 00:10:16,051 --> 00:10:19,255 お前さん さんざんっぱら いきまいといて➡ 133 00:10:19,255 --> 00:10:22,124 ついぞ あたしを殺しちゃくれねぇな。 134 00:10:22,124 --> 00:10:26,662 (小夏)殺したいわよ 今も。 一生 許すわけないわ。➡ 135 00:10:26,662 --> 00:10:28,831 あんたのしたことは殺人よ。➡ 136 00:10:28,831 --> 00:10:32,635 あれが事故だからって あんたへの恨みは変わんない。 137 00:10:32,635 --> 00:10:34,670 全部 あんたのせいよ。➡ 138 00:10:34,670 --> 00:10:38,107 でも あたしが あんたを殺したら➡ 139 00:10:38,107 --> 00:10:40,807 この子に あんたの落語を 聴かせられなくなる。 140 00:10:42,378 --> 00:10:44,378 それだけは嫌なの。 141 00:10:47,032 --> 00:10:52,237 ずっと待ってるんだよ お前さんが あたしを殺しとくれんのを。 142 00:10:52,237 --> 00:10:55,591 チリン チリン チリン… ゴロゴロ…(雷鳴) 143 00:10:55,591 --> 00:10:58,861 ザァーー(雨音) あの日から ずっと待ってる。 144 00:10:58,861 --> 00:11:03,065 お前さんは もっともっと あたしを憎むといい。 145 00:11:03,065 --> 00:11:06,685 お前がいたから てめぇじゃできねぇんだ。 146 00:11:06,685 --> 00:11:10,622 今度は そのガキのために 死ねねぇってのかい。 147 00:11:10,622 --> 00:11:13,242 ははっ ああ~! 後生だよ。 148 00:11:13,242 --> 00:11:17,129 このガキが 静寂を壊すんだ。 149 00:11:17,129 --> 00:11:19,829 心を乱さないでくれ。 150 00:11:22,034 --> 00:11:26,038 ザァーー 151 00:11:26,038 --> 00:11:30,025 (アニさん)すごい大雨。 お客さん 来られるのかな?➡ 152 00:11:30,025 --> 00:11:32,528 ねえ 与太さ… あっ! 153 00:11:32,528 --> 00:11:36,849 まだ 半分も埋まってねぇって。 オイラのせいだ。 154 00:11:36,849 --> 00:11:39,651 もう気にすんのやめなって。 155 00:11:39,651 --> 00:11:43,489 この雨で 遅れてるだけかもしれないだろ。 156 00:11:43,489 --> 00:11:47,126 (アマケン)ごきげんよう 与太郎君! 来てやったよ。 157 00:11:47,126 --> 00:11:50,262 アマケン~! 158 00:11:50,262 --> 00:11:52,931 くっ! てめぇ なんで来た!? 159 00:11:52,931 --> 00:11:55,501 何って そりゃあ… これだよ。 160 00:11:55,501 --> 00:11:57,536 かぁ~~‼ 161 00:11:57,536 --> 00:12:01,140 ひゃっひゃっひゃっひゃっ! ざまぁねぇですな。 162 00:12:01,140 --> 00:12:06,028 ほれ ほれ。 あっ ほ~れ ほれ。 ちょっと やめてくださいよ!➡ 163 00:12:06,028 --> 00:12:08,831 さっき ようやく落ち着いたところなのに。 164 00:12:08,831 --> 00:12:12,167 寄席じゃ みんな 知ってることなのに なんで今更…。 165 00:12:12,167 --> 00:12:14,670 (アマケン) まっ 有名税ってやつでしょ。➡ 166 00:12:14,670 --> 00:12:17,056 君も 売れっ子になったもんだね。 167 00:12:17,056 --> 00:12:19,875 このせいで テレビの仕事が半分になった。 168 00:12:19,875 --> 00:12:22,661 (アマケン)妙なやり方で 悪目立ちするからですよ。➡ 169 00:12:22,661 --> 00:12:26,131 助六なんて襲名して 調子に乗って。➡ 170 00:12:26,131 --> 00:12:30,102 由緒のない小さい名だし 僕は 全く評価できないが➡ 171 00:12:30,102 --> 00:12:33,572 根強いファンが たくさんいる名前さ。➡ 172 00:12:33,572 --> 00:12:36,341 そういうのに 手を出しては いかんのだよ。➡ 173 00:12:36,341 --> 00:12:39,161 君なんて どう考えても 与太郎止まり…。 174 00:12:39,161 --> 00:12:41,780 ううっ! (アマケン)な… なんだね?➡ 175 00:12:41,780 --> 00:12:43,816 殴っていいのかね? そんなことしたら➡ 176 00:12:43,816 --> 00:12:45,834 取り返しがつかないぞ。 177 00:12:45,834 --> 00:12:48,804 ♬~ 178 00:12:48,804 --> 00:12:52,508 (アマケン)わあ~ わあ~ わあ~! (アニさん)与太さん 落ち着いて! 179 00:12:52,508 --> 00:12:55,177 ふんっ…。 (アマケン)八つ当たりは やめたまえ。 180 00:12:55,177 --> 00:12:58,263 イラだちの原因は この記事だけじゃないはずだ。 181 00:12:58,263 --> 00:13:01,266 どうせ 君 行き詰まってるんだろ?➡ 182 00:13:01,266 --> 00:13:04,470 八雲 助六 双方の影響が強すぎるが➡ 183 00:13:04,470 --> 00:13:07,773 中途半端に どちらの本質にも迫っていない。➡ 184 00:13:07,773 --> 00:13:10,893 あまたの落語を 聴いてきた者として断言しよう。 185 00:13:10,893 --> 00:13:14,093 君には 自分の落語が まだない! 186 00:13:15,948 --> 00:13:18,967 (アマケン) 名人の弟子の永遠の命題なのだ。➡ 187 00:13:18,967 --> 00:13:21,336 二つ目までは許されても 真打ちってのは➡ 188 00:13:21,336 --> 00:13:24,106 師匠以上のものを 見せてくれなくては。➡ 189 00:13:24,106 --> 00:13:26,742 こんなくだらない記事で 落語が侮辱されるのは➡ 190 00:13:26,742 --> 00:13:28,777 僕も不愉快だ。 191 00:13:28,777 --> 00:13:31,380 昔のことは とやかく言わぬ。 192 00:13:31,380 --> 00:13:35,300 落語の正念場に 潰し合いはしたくないんだ。➡ 193 00:13:35,300 --> 00:13:39,855 ただ一点 弟子として 八雲の名に泥は塗るな。 194 00:13:39,855 --> 00:13:42,274 それだけ忠告しに来たんだ。 195 00:13:42,274 --> 00:13:44,309 善かれ悪しかれ 今日の落語会のことは➡ 196 00:13:44,309 --> 00:13:47,909 記事に取り上げてやろう。 頑張りたまえ。 197 00:15:58,994 --> 00:16:01,046 (アニさん)「とにかく 一番 やっちゃいましょう」。➡ 198 00:16:01,046 --> 00:16:04,683 「そうですか。 じゃあ 伺いますが 3年前の暮れの28日➡ 199 00:16:04,683 --> 00:16:06,702 覚えてますか?」 「3年前の暮れの」…。 200 00:16:06,702 --> 00:16:10,355 はぁ~あ。 「忘れちゃいけませんよ。➡ 201 00:16:10,355 --> 00:16:12,407 あたしは はっきりと覚えてる。➡ 202 00:16:12,407 --> 00:16:14,726 3年前の暮れの28日➡ 203 00:16:14,726 --> 00:16:18,547 午後6時半 あなたは 真っ青な顔で突っ立ってる。➡ 204 00:16:18,547 --> 00:16:22,034 『どうしたんです?』と聞いたら 『これこれの金がなければ➡ 205 00:16:22,034 --> 00:16:24,202 どうしても この暮れは越せません。➡ 206 00:16:24,202 --> 00:16:27,606 うちはダメんなる』と。 そりゃあ お気の毒だ」…。 207 00:16:27,606 --> 00:16:30,208 (心の声) ≪アニさん スベりまくってらぁ≫ 208 00:16:30,208 --> 00:16:32,808 ≪さっきのあれ 引きずっちまってんだ…≫ 209 00:16:35,497 --> 00:16:38,450 はぁ…。 210 00:16:38,450 --> 00:16:42,938 ≪オイラの落語 オイラの落語…≫ 211 00:16:42,938 --> 00:16:45,474 ≪オイラの落語…≫ 212 00:16:45,474 --> 00:16:48,727 ≪そうだ こんなに ジメッとした天気だし➡ 213 00:16:48,727 --> 00:16:52,030 思いっ切りバカな噺で スカッと笑かしてやろう≫ 214 00:16:52,030 --> 00:16:55,667 (アニさん)「お~い 屋根屋 屋根屋 呼んで 屋根屋!➡ 215 00:16:55,667 --> 00:16:58,637 大変だ 雨漏りが大変ですよ。➡ 216 00:16:58,637 --> 00:17:02,691 あれ? ほかは漏ってないのに 盤の上だけ…➡ 217 00:17:02,691 --> 00:17:05,627 お前さん 笠 かぶったまんまだ」。 218 00:17:05,627 --> 00:17:10,127 ♬~(受け囃子) 219 00:17:12,567 --> 00:17:14,586 (アニさん)ごめん 与太さん…。 220 00:17:14,586 --> 00:17:20,075 ♬~(出囃子) 221 00:17:20,075 --> 00:17:22,928 いよっ! パチパチパチ…(拍手) 222 00:17:22,928 --> 00:17:24,928 待ってました! 223 00:17:29,568 --> 00:17:31,837 本日は お足元のお悪い中➡ 224 00:17:31,837 --> 00:17:34,206 誠に誠に おありがとうございます。 225 00:17:34,206 --> 00:17:36,224 こんな日は あたしも家で➡ 226 00:17:36,224 --> 00:17:39,027 お道楽をしていたいもんですが…。 (観客たち)はははっ。 227 00:17:39,027 --> 00:17:41,863 昔は 道楽ってぇと 若ぇ衆が集まって➡ 228 00:17:41,863 --> 00:17:44,132 「おう いっちょ遊びに行こう」 って言うだけで➡ 229 00:17:44,132 --> 00:17:47,536 吉原で女郎買いと 相場は決まっていたようで…。 230 00:17:47,536 --> 00:17:50,839 「なあ 聞いたかい。 こないだ 隣町の連中が➡ 231 00:17:50,839 --> 00:17:53,692 吉原でもって 派手に遊んだそうじゃねぇか」。 232 00:17:53,692 --> 00:17:56,661 「へえ」。 「なんでも 真っ赤な長襦袢のおそろいで➡ 233 00:17:56,661 --> 00:17:58,697 わあっと 『かっぽれ』 踊ったってぇんだ。➡ 234 00:17:58,697 --> 00:18:01,066 悔しいだろ お前?」。 「う~ん」。 235 00:18:01,066 --> 00:18:04,236 「そこで こちとら珍趣向! 上等な布で ふんどし締めて➡ 236 00:18:04,236 --> 00:18:07,239 吉原で 裸踊りをしてやろうってんだ」。 237 00:18:07,239 --> 00:18:11,109 「何!? 面白ぇ。 そいつは どういう布がいいんだい?」。 238 00:18:11,109 --> 00:18:14,646 「どうだい? 思い切って 錦のふんどしの そろいってのぁ」。 239 00:18:14,646 --> 00:18:17,132 「錦!?」。 「錦の布地は➡ 240 00:18:17,132 --> 00:18:20,502 なかなか お目に掛かれねぇ。 カラッと なんでも 金巾で➡ 241 00:18:20,502 --> 00:18:22,521 模様が織り成してあるやつだ。➡ 242 00:18:22,521 --> 00:18:26,141 いつか 『高島屋』の陳列で見た なんとか錦の丸帯で➡ 243 00:18:26,141 --> 00:18:29,041 『380円』の札が 付いてたんだぜ?」。 244 00:18:31,396 --> 00:18:35,434 「そういう布が10枚ばっかり 質の流れにあるってんだ。➡ 245 00:18:35,434 --> 00:18:38,887 そいつを借りよう」。 「いいね! みんな行くだろ?➡ 246 00:18:38,887 --> 00:18:41,473 六ちゃん 清ちゃん 源ちゃん 鉄ちゃん。➡ 247 00:18:41,473 --> 00:18:44,976 えっ えっ えっ… あっ こいつはいけねぇや。➡ 248 00:18:44,976 --> 00:18:48,196 布は10 俺らは11 1人 余っちまう」。 249 00:18:48,196 --> 00:18:50,232 ふぅ…。 「誰?」。 250 00:18:50,232 --> 00:18:53,101 「誰って ほら 与太郎だよ。➡ 251 00:18:53,101 --> 00:18:56,071 おい 与太 与太!」。 252 00:18:56,071 --> 00:18:59,858 「ん? うへへへっ ぐへへっ…。 あたいのこと呼んだ?」。 253 00:18:59,858 --> 00:19:02,944 「おう 話は聞いてたか?」。 「聞いてた 聞いてた。➡ 254 00:19:02,944 --> 00:19:06,865 み み み… みんな 吉原へ お女郎 買いに行こうっての?➡ 255 00:19:06,865 --> 00:19:09,835 ずるいや ずるいや。 あたいだってさ➡ 256 00:19:09,835 --> 00:19:14,389 殊の外 行きたいよ。 けどね 女将さんに聞いてみないとね」。 257 00:19:14,389 --> 00:19:16,775 「吉原に行くってのに てめぇのかかあに➡ 258 00:19:16,775 --> 00:19:19,661 断るヤツがあるかい。 まあ いいや。 聞いてみな。➡ 259 00:19:19,661 --> 00:19:21,930 けどな 錦のふんどし 締めてこなくっちゃ➡ 260 00:19:21,930 --> 00:19:25,100 連れてかねぇよ?」。 「分かったぁ 算段してくるよ。➡ 261 00:19:25,100 --> 00:19:27,135 絶対 置いてかないでくれよ。➡ 262 00:19:27,135 --> 00:19:29,171 ごめんくださ~い」。 263 00:19:29,171 --> 00:19:31,957 (裏声で)「なんだい あんた」…。 264 00:19:31,957 --> 00:19:34,860 「自分のうちには 普通に入ってきなさいよ。➡ 265 00:19:34,860 --> 00:19:36,895 どうしたんだい? 何?➡ 266 00:19:36,895 --> 00:19:40,699 つきあいで吉原へ? 錦のふんどし締めて?➡ 267 00:19:40,699 --> 00:19:44,302 また バカを請け負ってきたね この人は まったく。➡ 268 00:19:44,302 --> 00:19:46,538 どこの世界に 吉原に行くのに➡ 269 00:19:46,538 --> 00:19:49,391 自分の嫁さんに断るヤツが あるんだよ。➡ 270 00:19:49,391 --> 00:19:52,894 だけど 出さないと 今度は あたしが悪く言われるんだろ?➡ 271 00:19:52,894 --> 00:19:56,194 悔しいねぇ」。 (観客たち)ははっ…。 272 00:19:57,532 --> 00:20:01,102 「けどね 錦のふんどしね…。➡ 273 00:20:01,102 --> 00:20:04,456 そうだ。 お寺へ行って 和尚さんから➡ 274 00:20:04,456 --> 00:20:07,893 錦の袈裟を借りたらどうだい? 今から あたしがね➡ 275 00:20:07,893 --> 00:20:10,662 どう言ったらいいか 教えてあげるから。➡ 276 00:20:10,662 --> 00:20:13,832 『和尚さん 今日は お願いがあって 参りました。➡ 277 00:20:13,832 --> 00:20:16,618 実は 手前どもの娘に キツネが憑きまして➡ 278 00:20:16,618 --> 00:20:20,055 ある方に伺いましたら ありがた~い和尚さんの➡ 279 00:20:20,055 --> 00:20:23,675 錦の袈裟を掛けると キツネが落ちると聞きました。➡ 280 00:20:23,675 --> 00:20:25,694 ひと晩で よろしゅうございますから➡ 281 00:20:25,694 --> 00:20:28,997 どうぞ お貸しください』 こう言うんだよ」。 282 00:20:28,997 --> 00:20:31,766 「分かったよ。 行ってくるよぉ!➡ 283 00:20:31,766 --> 00:20:34,469 ♬ ふふふん ふふ~ん(ハミング)」。 284 00:20:34,469 --> 00:20:36,738 「これは与太さん ご無沙汰をしたな。➡ 285 00:20:36,738 --> 00:20:40,992 ≪今日は また 何用じゃな?」。 「へえ。 実は和尚さん あの~➡ 286 00:20:40,992 --> 00:20:43,345 ≪今日は お願いがあって 参りまして。➡ 287 00:20:43,345 --> 00:20:46,765 実は あの~ 手前どもの親類のキツネに➡ 288 00:20:46,765 --> 00:20:48,765 娘が憑きまして…」。 289 00:20:50,435 --> 00:20:54,439 「ええ~ 手前どもの親類のキツネに➡ 290 00:20:54,439 --> 00:20:57,509 娘が憑きまして…」。 291 00:20:57,509 --> 00:21:00,095 「与太さん そりゃ あべこべだ」。 292 00:21:00,095 --> 00:21:02,964 「そう! そのあべこべが憑いたんだ。➡ 293 00:21:02,964 --> 00:21:06,434 ありがた~い和尚さんの 錦の袈裟を掛けると➡ 294 00:21:06,434 --> 00:21:10,105 キツネが落ちると伺いました。 どうか ひと晩 錦の袈裟を➡ 295 00:21:10,105 --> 00:21:12,557 お貸しいただければと 思いまして。➡ 296 00:21:12,557 --> 00:21:16,761 だから 貸せ!」。 「乱暴な男だな。➡ 297 00:21:16,761 --> 00:21:20,298 しかし 明日は檀家の法事が 昼からあってなぁ」。 298 00:21:20,298 --> 00:21:23,752 「朝一番で返しますから お願いしますよ」。 299 00:21:23,752 --> 00:21:26,538 「ひと晩でよいのか?」。 「ひと晩でいいんですよ。➡ 300 00:21:26,538 --> 00:21:29,891 そんなに幾晩もいたら 金がかかってしょうがねぇ」。 301 00:21:29,891 --> 00:21:32,560 「時々 訳の分からんことを言うなぁ。➡ 302 00:21:32,560 --> 00:21:37,782 よかろう。 では 必ず明日の法事に 間に合うように返しておくれ。➡ 303 00:21:37,782 --> 00:21:39,801 それなら貸してやろう」。 ふぅ~。 304 00:21:39,801 --> 00:21:42,137 ゴォー(風の音) カタカタ…(障子が揺れる音) 305 00:21:42,137 --> 00:21:45,674 「なあ 与太郎なんか待つの よそうよ。➡ 306 00:21:45,674 --> 00:21:48,960 あすこのかかあがさ 出すわけねぇじゃねぇ…➡ 307 00:21:48,960 --> 00:21:51,997 あっ あれ? 来た。➡ 308 00:21:51,997 --> 00:21:54,633 お… おい 不思議な歩き方してるね。➡ 309 00:21:54,633 --> 00:21:56,668 まるでカニだね」。 310 00:21:56,668 --> 00:22:00,805 「うへへっ お待たせしやした! 行こう 行こう!」。 311 00:22:00,805 --> 00:22:05,093 「うれしそうだね こいつは。 ちゃんと着けてきただろうね➡ 312 00:22:05,093 --> 00:22:08,279 錦のふんどし」。 「もちろんだよ!➡ 313 00:22:08,279 --> 00:22:12,968 とびっきりだよ! あたいのはねぇ あたいのはねぇ➡ 314 00:22:12,968 --> 00:22:15,368 あたいのは… これだ!」。 315 00:22:16,805 --> 00:22:18,805 ううっ。 (観客たち)あぁ…。 316 00:22:21,126 --> 00:22:23,395 かっぽれ! 317 00:22:23,395 --> 00:22:27,065 (下座)♬ ヨー かっぽれ かっぽれ 318 00:22:27,065 --> 00:22:30,301 (与太郎・下座) ♬ ヨーイトナ ヨイヨイ 319 00:22:30,301 --> 00:22:35,824 (下座)♬ 沖の暗いのに 320 00:22:35,824 --> 00:22:39,778 ははっ。 (下座)♬ 白帆が 321 00:22:39,778 --> 00:22:43,264 あっ…。 高座で裸になるなんて➡ 322 00:22:43,264 --> 00:22:46,968 こんな醜態を記事にしたら 私にも落語の名にも傷が付く。 323 00:22:46,968 --> 00:22:49,568 期待外れも甚だしいですな! 324 00:22:52,374 --> 00:22:55,577 あっ あっ…。 (観客たち)はぁ~あ。 325 00:22:55,577 --> 00:22:57,577 (下座)♬ ヨイトサッサッサ 326 00:23:00,248 --> 00:23:02,248 (樋口)与太さ~ん。 327 00:23:04,052 --> 00:23:08,106 (樋口)やっと仕事終わってさ 途中からだけど 見に来れたよ。➡ 328 00:23:08,106 --> 00:23:11,476 ふふっ。 どうして あんなバカやっちゃったの?➡ 329 00:23:11,476 --> 00:23:15,146 こんなおかしな会は 僕も初めて見ましたよ。➡ 330 00:23:15,146 --> 00:23:18,416 よし 今晩は バァ~っと飲みに行こう。 331 00:23:18,416 --> 00:23:21,102 いや とても そんな気には なれねぇんで。 332 00:23:21,102 --> 00:23:24,302 (樋口)いいから ほら 仕事終わりは飲みたいんだよ。 333 00:23:27,325 --> 00:23:30,328 (お栄) あら ひーさん いらっしゃい。 334 00:23:30,328 --> 00:23:34,165 雨ん中 よく来たわね。 空いてる? 335 00:23:34,165 --> 00:23:37,502 ええ この雨で キャンセルばっかり。➡ 336 00:23:37,502 --> 00:23:39,802 あらまあ 与太さんも。 337 00:23:42,123 --> 00:23:44,823 今 ちょうど お見送りしてたんだよ。 338 00:23:46,795 --> 00:23:51,900 やあ これは奇遇ですな。 どこぞのお大尽のお座敷ですか? 339 00:23:51,900 --> 00:23:55,403 それが なんでか この晩は振られちまいましてな。 340 00:23:55,403 --> 00:23:57,589 まったく 上がったりですよ。 341 00:23:57,589 --> 00:23:59,624 (樋口)八雲師匠 それなら僕に➡ 342 00:23:59,624 --> 00:24:01,926 ひと晩 買わせていただけませんか?➡ 343 00:24:01,926 --> 00:24:03,995 ご祝儀なら弾みます。 344 00:24:03,995 --> 00:24:07,065 失礼ですが➡ 345 00:24:07,065 --> 00:24:11,202 初めてのお客様に 不見転で 買われるわけにゃいきませんから➡ 346 00:24:11,202 --> 00:24:13,238 ご祝儀は頂けません。 347 00:24:13,238 --> 00:24:16,441 けど どうも うちのが ご厄介になってるようで➡ 348 00:24:16,441 --> 00:24:19,741 ご挨拶ぐらいでしたら。 (樋口)やった! 349 00:24:23,665 --> 00:24:27,735 師匠 すいやせんでした! 350 00:24:27,735 --> 00:24:31,005 なんだぇ このバカは 入りしなに。 351 00:24:31,005 --> 00:24:34,559 さっきのキャンセル きっと オイラのせいなんです。 352 00:24:34,559 --> 00:24:36,594 あんな記事 出ちゃったから。 353 00:24:36,594 --> 00:24:39,414 珍しく青い顔してると思ったよ。 354 00:24:39,414 --> 00:24:41,766 まだ あんな記事 気にしてんのかい。 355 00:24:41,766 --> 00:24:44,469 この子ね さっき 高座の途中で➡ 356 00:24:44,469 --> 00:24:47,669 裸んなっちゃって。 それで大コケしたんです。 357 00:24:49,073 --> 00:24:51,109 すいやせん。 358 00:24:51,109 --> 00:24:53,109 はぁ~。 359 00:24:54,496 --> 00:24:58,500 与太 背中の彫り物 見せてみな。 360 00:24:58,500 --> 00:25:00,535 みっともねぇ古傷で…。 361 00:25:00,535 --> 00:25:03,404 芸人なんて 見られてなんぼだろ。 362 00:25:03,404 --> 00:25:06,574 お前さんに 何を隠すことがあるんだい。 363 00:25:06,574 --> 00:25:21,840 ♬~ 364 00:25:21,840 --> 00:25:24,926 なんだぇ。 筋彫りだけど➡ 365 00:25:24,926 --> 00:25:27,412 見事な鯉金じゃねぇか。 366 00:25:27,412 --> 00:25:31,416 お前さんは これから 過去と向き合わねぇとならねぇ。 367 00:25:31,416 --> 00:25:36,137 決別じゃなく 抱ぇて生きろ。 罪を忘れるな。 368 00:25:36,137 --> 00:25:39,037 それが 人間の業ってもんさ。 369 00:25:41,743 --> 00:25:43,743 ありがとうございやす。 370 00:25:45,280 --> 00:25:47,298 師匠 先生 すいやせん! 371 00:25:47,298 --> 00:25:49,801 やっぱり 今日は お先に失礼させていただきやす。 372 00:25:49,801 --> 00:25:52,837 (樋口)えっ? 飲むより稽古がしてぇんで。 373 00:25:52,837 --> 00:25:55,340 さいなら~! わはっ! 374 00:25:55,340 --> 00:25:57,492 いいもの見せていただいて。➡ 375 00:25:57,492 --> 00:25:59,592 美しい師弟愛。 376 00:26:02,497 --> 00:26:05,884 どうも ご無沙汰しまして。 あの学生さんが➡ 377 00:26:05,884 --> 00:26:10,421 こんな立派な旦さんになって。 (樋口)ご記憶で? 378 00:26:10,421 --> 00:26:13,007 先代の倒れた日の 親子会ですから➡ 379 00:26:13,007 --> 00:26:16,010 よく覚えてます。 覚えるのが➡ 380 00:26:16,010 --> 00:26:18,563 商売みてぇなもんですから。 381 00:26:18,563 --> 00:26:21,399 あの先代の 最後の高座を見て➡ 382 00:26:21,399 --> 00:26:24,202 私は 故郷に帰ろうと 決意しました。➡ 383 00:26:24,202 --> 00:26:26,237 演芸好きが たたって➡ 384 00:26:26,237 --> 00:26:28,389 結局 今も こんな仕事をしていますが➡ 385 00:26:28,389 --> 00:26:31,876 僕は与太さんと 100年先にも残る➡ 386 00:26:31,876 --> 00:26:34,862 新作落語を 作るつもりです。➡ 387 00:26:34,862 --> 00:26:37,398 本当は あなたにも 新作をやってほしい。➡ 388 00:26:37,398 --> 00:26:40,535 でも それは 酷というものでしょう。➡ 389 00:26:40,535 --> 00:26:43,638 僕は 後世に 残したいんです。➡ 390 00:26:43,638 --> 00:26:48,076 あなたの落語を あなたの人生の全てを。 391 00:26:48,076 --> 00:26:50,962 あらゆることを 残したい。➡ 392 00:26:50,962 --> 00:26:53,731 あなたに 落語は 殺させませんよ。➡ 393 00:26:53,731 --> 00:26:55,833 もし あなたから 語ってくれないなら➡ 394 00:26:55,833 --> 00:26:57,969 与太郎君から。➡ 395 00:26:57,969 --> 00:27:00,538 人は いやおうなく そういうものを➡ 396 00:27:00,538 --> 00:27:03,074 伝えてしまう 生き物です。➡ 397 00:27:03,074 --> 00:27:05,810 明治 大正 戦前の名人➡ 398 00:27:05,810 --> 00:27:07,829 寄席や七代目のことも➡ 399 00:27:07,829 --> 00:27:10,231 知りたいことは 山とあります。➡ 400 00:27:10,231 --> 00:27:14,302 小夏さんのこと 助六師匠のこと…➡ 401 00:27:14,302 --> 00:27:16,302 みよ吉さんのことも。 402 00:27:17,789 --> 00:27:19,889 なぜ その名を? 403 00:29:03,027 --> 00:29:11,369 ♬~ 404 00:29:11,369 --> 00:29:20,895 ♬~ 405 00:29:20,895 --> 00:29:26,367 次回 「昭和元禄落語心中 -助六再び篇-」 第3話。 406 00:29:26,367 --> 00:29:28,767 どうぞ ご贔屓 ご鞭撻のほどを。