1 00:01:23,081 --> 00:01:42,100 ♬~ 2 00:01:42,100 --> 00:02:01,100 ♬~ 3 00:02:07,125 --> 00:02:20,125 ♬~ 4 00:02:22,073 --> 00:02:24,075 <細川忠利の死去のとき➡ 5 00:02:24,075 --> 00:02:28,079 阿部弥一右衛門は 殉死の機会を逸した> 6 00:02:28,079 --> 00:02:32,083 <肩身の狭い思いをした 阿部一族の長男 権兵衛は➡ 7 00:02:32,083 --> 00:02:36,087 忠利の一周忌の席で もとどりを 切った とがで処刑された> 8 00:02:36,087 --> 00:02:39,090 <目付 林 外記は 数馬と 都甲金平に➡ 9 00:02:39,090 --> 00:02:42,090 阿部一族の 討ち取りを命じた> 10 00:02:44,095 --> 00:02:47,095 <武蔵は 林 外記に 敢然と 立ち向かっていった> 11 00:02:52,103 --> 00:02:57,108 <熊本城主 細川忠利公の 三回忌も済み➡ 12 00:02:57,108 --> 00:03:00,111 武蔵は 60歳を迎えた> 13 00:03:00,111 --> 00:03:03,114 <持病の 胃の痛みに 苦しみながらも➡ 14 00:03:03,114 --> 00:03:08,119 度々 岩殿山に登り 座禅を組み 一本の剣を力に➡ 15 00:03:08,119 --> 00:03:13,124 無明の闇の中に 真如を求めて 闘っていた> 16 00:03:13,124 --> 00:03:16,127 <真如とは 宇宙万有の実体➡ 17 00:03:16,127 --> 00:03:21,127 永久不変 かつ 現実そのものである真理をいう> 18 00:03:28,073 --> 00:03:32,077 (お松)良薬は 口に苦し 我慢して お飲みくださいまし 19 00:03:32,077 --> 00:03:35,077 (武蔵)いや かたじけない 20 00:03:39,084 --> 00:03:44,089 江戸の 山川蒼竜軒殿から お便りが参りました 21 00:03:44,089 --> 00:03:47,092 これは 珍しい 22 00:03:47,092 --> 00:03:51,096 甚内は どうしているかと わしも 気にしていたところだ 23 00:03:51,096 --> 00:03:53,096 以心伝心でございます 24 00:03:55,100 --> 00:04:00,105 近頃 甚内は わしの夢ばかり見るそうじゃ 25 00:04:00,105 --> 00:04:04,109 甚内殿も はや 60に手が届く御年 26 00:04:04,109 --> 00:04:09,114 この前のお便りでは ここ1~2年 心の臓で 苦しんでおられるとか 27 00:04:09,114 --> 00:04:12,117 うむ… 生きてるうちに➡ 28 00:04:12,117 --> 00:04:16,121 御恩になった 忠利公のお墓に参り➡ 29 00:04:16,121 --> 00:04:19,124 是非 わしに会いたいと書いてきた 30 00:04:19,124 --> 00:04:21,126 はるばる 熊本に おいでに? 31 00:04:21,126 --> 00:04:25,063 いや 途中 おりんの墓に参り➡ 32 00:04:25,063 --> 00:04:30,063 最期をみとってくれた お松さんに お礼が言いたいそうじゃ 33 00:04:32,070 --> 00:04:39,077 おりんさんが 亡くなられてから もう 10年でございますね 34 00:04:39,077 --> 00:04:41,079 10年か… 35 00:04:41,079 --> 00:04:48,086 あの日は 燃えるような夕日が おりんの墓を包んでいたな 36 00:04:48,086 --> 00:04:54,092 あの夕焼け 生きたい 生きたいと願う➡ 37 00:04:54,092 --> 00:04:59,092 おりんさんの 熱い思いが 秘められているように思いました 38 00:05:03,101 --> 00:05:09,107 (光尚)金右衛門 その方 まだ後添えを もらわぬそうじゃな 39 00:05:09,107 --> 00:05:13,111 (尾藤) その お話は 御勘弁くださりませ 40 00:05:13,111 --> 00:05:18,116 (光尚)残された孫を抱え 母じゃが 苦労してるそうではないか 41 00:05:18,116 --> 00:05:23,054 (尾藤)いえ 母は 手前に勝る 剛の者を育て上げると➡ 42 00:05:23,054 --> 00:05:25,056 張り切っております 43 00:05:25,056 --> 00:05:30,061 (光尚)だが 70を超えた母じゃが いつまでも健在と思うか? 44 00:05:30,061 --> 00:05:33,064 はっ… ははっ 45 00:05:33,064 --> 00:05:37,068 (寄之)3, 000石の大身 尾藤金右衛門ともあろう者が➡ 46 00:05:37,068 --> 00:05:40,071 50の坂を越えて 妻を めとらぬのは➡ 47 00:05:40,071 --> 00:05:44,075 世の聞こえも悪いと 殿は 御心配なされているのじゃ 48 00:05:44,075 --> 00:05:49,080 余が その方の母じゃに劣らぬ しっかり者を探してやるぞ 49 00:05:49,080 --> 00:05:53,084 はっ いずれ 母とも相談いたしまして… 50 00:05:53,084 --> 00:05:56,087 御免くださりませ! 51 00:05:56,087 --> 00:06:00,091 (光尚・寄之の笑い声) 52 00:06:00,091 --> 00:06:06,097 いたぞ 金右衛門の嫁に 新太郎の妹 松は どうじゃ 53 00:06:06,097 --> 00:06:09,100 <数日後 お松は➡ 54 00:06:09,100 --> 00:06:13,104 孫の面倒を見ている 金右衛門の老母を気遣い➡ 55 00:06:13,104 --> 00:06:15,106 尾藤家を訪ねた> 56 00:06:15,106 --> 00:06:20,111 (尾藤)いやぁ これは かたじけない 57 00:06:20,111 --> 00:06:22,046 わざわざ 母を気遣い➡ 58 00:06:22,046 --> 00:06:26,050 好物の ぼた餅を作って お訪ねくださるとは➡ 59 00:06:26,050 --> 00:06:28,052 何と お礼申してよいやら 60 00:06:28,052 --> 00:06:31,055 (お松)尾藤様から そのように申されましては➡ 61 00:06:31,055 --> 00:06:34,058 もう お伺いできませぬ (尾藤)いやいや 62 00:06:34,058 --> 00:06:36,060 このような土産を 持ってきてくださるなら➡ 63 00:06:36,060 --> 00:06:40,064 毎日でも ありがたい (お松)まあ! 64 00:06:40,064 --> 00:06:43,067 尾藤様は 本当に不思議なお方➡ 65 00:06:43,067 --> 00:06:45,069 お話ししていると 心が休まります 66 00:06:45,069 --> 00:06:49,073 ハハハッ! わしゃ のんき者じゃから 67 00:06:49,073 --> 00:06:52,076 (お松)まあ (尾藤)いやぁ しかし➡ 68 00:06:52,076 --> 00:06:56,080 宮本先生のお世話は 気疲れなさることじゃろう 69 00:06:56,080 --> 00:07:01,085 (お松)は… 男ばかりの所帯では 先生が 御病気になられても➡ 70 00:07:01,085 --> 00:07:04,088 おかゆ一つ 差し上げられぬ始末で➡ 71 00:07:04,088 --> 00:07:07,091 私も 見かねまして (尾藤)なるほど 72 00:07:07,091 --> 00:07:12,096 先生は この世に またとない 偉いお方でございますのに➡ 73 00:07:12,096 --> 00:07:15,099 お心は いつもお独り 74 00:07:15,099 --> 00:07:22,040 兵法一筋ゆえに 愛することも 愛されることもできぬ 不幸なお方 75 00:07:22,040 --> 00:07:27,045 (尾藤)うむ… 厳しいお方じゃのう 76 00:07:27,045 --> 00:07:30,048 私が 御介抱せねば➡ 77 00:07:30,048 --> 00:07:34,052 きっと 誰にも分からず 一人 苦しんで➡ 78 00:07:34,052 --> 00:07:37,055 お亡くなりになるに 違いございません➡ 79 00:07:37,055 --> 00:07:43,061 私は 一生 武蔵様のお世話を するつもりでございます 80 00:07:43,061 --> 00:07:47,065 偉い! お松殿なればこそじゃ 81 00:07:47,065 --> 00:07:51,069 (みね)ああ… まあ よう おいでなされた 82 00:07:51,069 --> 00:07:55,073 ほれ お松殿 自慢の孫を見てくだされ➡ 83 00:07:55,073 --> 00:07:58,076 ほれ ほれほれ (お松)まあ よく太って よちよち 84 00:07:58,076 --> 00:08:02,080 (孝太郎の泣き声) (お松)よちよち… 85 00:08:02,080 --> 00:08:07,085 まあ 元気だこと よちよち あら 重たい べろべろ➡ 86 00:08:07,085 --> 00:08:10,088 よちよちよち ほら よちよち 87 00:08:10,088 --> 00:08:14,092 (お松) 本当に 赤子の笑顔は無心で➡ 88 00:08:14,092 --> 00:08:20,092 天使のように澄んだ瞳 甘酸っぱい 乳の匂い 89 00:08:23,034 --> 00:08:27,038 あの 孝太郎ちゃんの笑顔を 見ておりましたら➡ 90 00:08:27,038 --> 00:08:30,041 急に 由利様のことが 91 00:08:30,041 --> 00:08:34,045 由利姫様か 92 00:08:34,045 --> 00:08:36,047 どこに おられるのやら 93 00:08:36,047 --> 00:08:41,052 果てしない旅を 続けておられるのであろう 94 00:08:41,052 --> 00:08:44,052 争いのない世を求めて 95 00:08:51,062 --> 00:08:55,066 (お咲)おば様➡ 96 00:08:55,066 --> 00:09:02,073 私のように 不治の病にかかり 死ぬまで巡礼する者は➡ 97 00:09:02,073 --> 00:09:06,077 物乞いをして 食べていかなくては➡ 98 00:09:06,077 --> 00:09:11,082 こんな病にかかった 前世の罪が 消えないそうです 99 00:09:11,082 --> 00:09:13,084 (由利姫)お咲さん 100 00:09:13,084 --> 00:09:21,092 (お咲)持っているお金を みんな お寺へ納めて 物乞いをします 101 00:09:21,092 --> 00:09:25,029 (由利姫)2人で 物乞いになり 巡礼しましょう 102 00:09:25,029 --> 00:09:28,032 (お咲)とんでもない! 私のために 103 00:09:28,032 --> 00:09:36,040 いいえ 私と 私の心の中に 生きているお方のため 104 00:09:36,040 --> 00:09:41,040 この世で たった一人 お慕い申したお方 105 00:09:44,048 --> 00:09:48,052 おかわいそうね おば様も 106 00:09:48,052 --> 00:09:52,056 (由利姫)おかわいそうなのは そのお方です➡ 107 00:09:52,056 --> 00:09:57,061 愛を拒み 剣一筋➡ 108 00:09:57,061 --> 00:10:00,064 観音様のお慈悲で➡ 109 00:10:00,064 --> 00:10:04,064 そのお方の魂を 温めて差し上げたい 110 00:10:11,075 --> 00:10:17,075 (由利姫)どうか 武蔵様を お守りくださいませ 111 00:10:21,085 --> 00:10:27,025 <京に着いた甚内は おりんの眠る 鷹峯の墓地に立った> 112 00:10:27,025 --> 00:10:31,029 <さまざまな おりんとの思い出が去来して➡ 113 00:10:31,029 --> 00:10:34,032 甚内の心は うずいた> 114 00:10:34,032 --> 00:10:42,040 (蒼竜軒)おりん 久しぶりに 飲み明かそうじゃねえか 115 00:10:42,040 --> 00:10:50,040 (蒼竜軒)ちょっと 俺の前に出て 顔を見せとくれよ 116 00:10:54,052 --> 00:11:01,059 この 静かな鷹峯に➡ 117 00:11:01,059 --> 00:11:08,066 お前の 恋しい武蔵様が 葬ってくれたんだよ 118 00:11:08,066 --> 00:11:13,071 それだけでも 幸せと思って➡ 119 00:11:13,071 --> 00:11:22,071 きっぱりと 武蔵様のことは諦めて 成仏するんだぜ 120 00:11:26,084 --> 00:11:36,084 俺も これが 武蔵様に会える 最後の旅になるだろうよ 121 00:11:38,096 --> 00:11:45,103 ここのところ 心の臓が悪くてな 122 00:11:45,103 --> 00:11:55,113 おりん 俺が あの世 行ったら 女房になってくれよ 123 00:11:55,113 --> 00:12:08,126 ♬~ 124 00:12:08,126 --> 00:12:10,126 は… 125 00:12:13,131 --> 00:12:17,135 ああ… 126 00:12:17,135 --> 00:12:22,073 (信行)先生! 今 甚内が立っていた 127 00:12:22,073 --> 00:12:27,078 えっ 甚内に 何か… 128 00:12:27,078 --> 00:12:34,085 (みね)櫛山殿 わしも はや 70過ぎじゃ➡ 129 00:12:34,085 --> 00:12:38,089 目の黒いうちに 金右衛門に➡ 130 00:12:38,089 --> 00:12:42,093 後添えをと思うてなあ (尾藤)母御! 131 00:12:42,093 --> 00:12:45,096 (櫛山)亡き妹も 一日も早く➡ 132 00:12:45,096 --> 00:12:50,101 孝太郎に よき母をと 願うておるに違いござらん 133 00:12:50,101 --> 00:12:54,105 (みね)そうじゃ それで わしは➡ 134 00:12:54,105 --> 00:13:00,111 後添えには 寺尾家のお松殿が よいと思うての 135 00:13:00,111 --> 00:13:02,113 お松殿を!? 136 00:13:02,113 --> 00:13:06,117 (櫛山)それはよい 女では 藩内随一の使い手 137 00:13:06,117 --> 00:13:10,121 金右衛門殿とは 似合いじゃ (尾藤)そ… そんな! 138 00:13:10,121 --> 00:13:15,126 (みね)いやいや そなたの気持ちは よーく 分かっとる➡ 139 00:13:15,126 --> 00:13:21,132 近頃は 何かにつけ お松殿 お松殿と 140 00:13:21,132 --> 00:13:25,069 母御! (櫛山)ハハハッ!➡ 141 00:13:25,069 --> 00:13:30,074 お松殿に だいぶ参ったらしいな アハハッ! 142 00:13:30,074 --> 00:13:36,080 ほれた ほれ申した 143 00:13:36,080 --> 00:13:42,086 御母堂 わしが両家の中に立って この縁談をまとめましょう 144 00:13:42,086 --> 00:13:44,088 頼みますぞ 145 00:13:44,088 --> 00:13:46,090 また 胃が痛むのでは? 146 00:13:46,090 --> 00:13:50,094 いや 用心しているのだ 147 00:13:50,094 --> 00:13:54,098 何の わだかまりもなく わしを介抱➡ 148 00:13:54,098 --> 00:13:59,103 御膳の支度をしてくれるのは お松さん そなた一人だ 149 00:13:59,103 --> 00:14:02,106 当たり前のことを しているだけでございます 150 00:14:02,106 --> 00:14:07,111 わしは お松さんの厚意に 甘え過ぎた 151 00:14:07,111 --> 00:14:09,113 そのような… 152 00:14:09,113 --> 00:14:14,118 二十数年前 お孝さんと わしに 巡り会ったために➡ 153 00:14:14,118 --> 00:14:19,123 お松さんの定めを 大きく 変えてしまった 154 00:14:19,123 --> 00:14:22,059 私は 後悔などいたしておりませぬ 155 00:14:22,059 --> 00:14:28,065 お松さんは よき夫を得て 子供を得て➡ 156 00:14:28,065 --> 00:14:31,068 幸せになっていたであろうに 157 00:14:31,068 --> 00:14:33,070 私は 幸せでございます 158 00:14:33,070 --> 00:14:38,075 こうして 武蔵様のお世話を いたしますことが 159 00:14:38,075 --> 00:14:43,080 岩殿山にお登りになっても 私が お迎えに参ります 160 00:14:43,080 --> 00:14:50,087 この度こそ 仏と呼ばれる 真如を見極めたい 161 00:14:50,087 --> 00:14:55,087 信仰の代わりに 剣をもって 162 00:14:57,094 --> 00:15:02,099 <数日後の夜 光尚公の使者として 櫛山左衛門は➡ 163 00:15:02,099 --> 00:15:06,103 金右衛門と お松の縁談で 寺尾家を訪ねた> 164 00:15:06,103 --> 00:15:09,106 (寺尾)殿が お松に御用とは? 165 00:15:09,106 --> 00:15:13,110 お松殿も御存じの 尾藤金右衛門のことじゃ 166 00:15:13,110 --> 00:15:17,114 (お松)尾藤様は 心の温かいお方でございます 167 00:15:17,114 --> 00:15:23,054 実は 金右衛門の母御が 病に倒れて 大慌て 168 00:15:23,054 --> 00:15:27,058 殿様は 私に看病をと? 169 00:15:27,058 --> 00:15:30,061 (櫛山)いやいや 殿は➡ 170 00:15:30,061 --> 00:15:34,065 お松殿を 金右衛門の後添えにと 申されたのじゃ 171 00:15:34,065 --> 00:15:37,065 (寺尾)お松を 後添えに? 172 00:15:43,074 --> 00:15:46,077 (寺尾)お松!? (櫛山)どうなされたのじゃ 173 00:15:46,077 --> 00:15:50,081 殿に… 殿に申し上げてくださいませ➡ 174 00:15:50,081 --> 00:15:53,084 私は どなたの元にも 嫁入る気は ございません! 175 00:15:53,084 --> 00:15:57,088 お松! 殿のお心遣いを (お松)聞きませぬ! 176 00:15:57,088 --> 00:15:59,088 どうぞ お帰りくださいませ 177 00:16:09,100 --> 00:16:14,105 <お松は 金右衛門との縁談により 突然に目覚めた> 178 00:16:14,105 --> 00:16:18,109 <心の奥深くに眠っていた 武蔵への思いが➡ 179 00:16:18,109 --> 00:16:20,111 せきを切って あふれ出たのだ> 180 00:16:20,111 --> 00:16:26,050 <武蔵恋しさに燃える血が お松の体内を 駆け巡り➡ 181 00:16:26,050 --> 00:16:31,050 心は 乱れに乱れて 一心に水をかぶった> 182 00:16:39,063 --> 00:16:43,067 <お松は お孝の墓に 語りかけずにはいられなかった> 183 00:16:43,067 --> 00:16:46,070 <お孝は 姫路で亡くなったが➡ 184 00:16:46,070 --> 00:16:51,075 その遺髪を お松は 本妙寺へ納め 墓も建て➡ 185 00:16:51,075 --> 00:16:55,079 長年 霊を慰めていたのである> 186 00:16:55,079 --> 00:17:04,088 (お松)お孝様 生まれて初めて 恋を知りました 187 00:17:04,088 --> 00:17:08,092 武蔵様を お慕いしてることに気付き➡ 188 00:17:08,092 --> 00:17:12,092 切なく 悲しいのです 189 00:17:14,098 --> 00:17:23,040 お孝様 武蔵様の一生は きっと 私が見届けます 190 00:17:23,040 --> 00:17:27,044 どうか 私をお許しくださいませ 191 00:17:27,044 --> 00:17:31,048 (信行)先生 ここ数日 叔母が参りませんので➡ 192 00:17:31,048 --> 00:17:33,050 男ばかりの賄い➡ 193 00:17:33,050 --> 00:17:36,053 行き届かず 申し訳ございません いや 194 00:17:36,053 --> 00:17:42,059 お松さんのおかげで 元気になった もう お松さんの心遣いは無用じゃ 195 00:17:42,059 --> 00:17:44,059 (信行)はっ 196 00:18:04,081 --> 00:18:09,086 (お松)武蔵様 いかがですか 197 00:18:09,086 --> 00:18:16,093 お松さん 数日 会わぬ間に 変わられたな 198 00:18:16,093 --> 00:18:19,096 何やら 心が乱れて… 199 00:18:19,096 --> 00:18:24,034 人の心は いつも波立ち 揺れ動くもの 200 00:18:24,034 --> 00:18:29,039 お松さんは いつも変わらぬので 感心していたのじゃ 201 00:18:29,039 --> 00:18:34,044 でも 武蔵様のお心は 波など立ちますまい 202 00:18:34,044 --> 00:18:39,049 いや わしの心の波は 人並み以上に 大きい 203 00:18:39,049 --> 00:18:41,049 まあ 204 00:18:44,054 --> 00:18:50,060 今度 岩殿山へ登られたら➡ 205 00:18:50,060 --> 00:18:54,064 時折 お伺いしても よろしいでしょうか 206 00:18:54,064 --> 00:19:00,070 この度は 天界へ携える 刀を持って登る 207 00:19:00,070 --> 00:19:05,075 もしかしたら そなたを斬るかもしれぬ 208 00:19:05,075 --> 00:19:08,078 斬られても かまいませぬ 209 00:19:08,078 --> 00:19:12,082 私は たまに お伺いして➡ 210 00:19:12,082 --> 00:19:15,085 武蔵様を 御介抱申し上げることが できれば➡ 211 00:19:15,085 --> 00:19:18,088 それで 幸せでございます 212 00:19:18,088 --> 00:19:23,027 いや もう 十分に尽くしてくれた 213 00:19:23,027 --> 00:19:29,033 これからは 己の幸せを考えることだ 214 00:19:29,033 --> 00:19:35,039 武蔵様のお寂しさ お苦しみを 少しでも お慰めいたしたいのです 215 00:19:35,039 --> 00:19:39,043 わしは 寂しくない 苦しくもない 216 00:19:39,043 --> 00:19:42,046 それは うそです! うそではない 217 00:19:42,046 --> 00:19:52,056 もし わしを苦しめるものが あるとすれば それは… 218 00:19:52,056 --> 00:19:55,056 そなたの親切じゃ 219 00:19:57,061 --> 00:20:02,066 もう 二度と来てくださるな 220 00:20:02,066 --> 00:20:12,076 ♬~ 221 00:20:12,076 --> 00:20:20,084 ♬~ 222 00:20:20,084 --> 00:20:25,022 《わしを苦しめるものが あるとすれば それは…》 223 00:20:25,022 --> 00:20:29,026 《そなたの親切じゃ》 224 00:20:29,026 --> 00:20:36,033 (お松)《お孝様の悲しみが 痛いほどに 分かりました》➡ 225 00:20:36,033 --> 00:20:41,038 《私も 岩戸観音に おすがりしよう》 226 00:20:41,038 --> 00:20:45,038 ≪(尾藤)お松殿! お松殿! 227 00:20:47,044 --> 00:20:51,048 まあ 尾藤様 228 00:20:51,048 --> 00:20:55,052 岩戸観音に行かれたと聞き 追ってまいったのじゃ 229 00:20:55,052 --> 00:20:59,056 どうか 許してくだされ 230 00:20:59,056 --> 00:21:03,060 お松殿は まれな賢女 心から敬服しておる 231 00:21:03,060 --> 00:21:06,063 わしの妻になどと 失礼なことでござった 232 00:21:06,063 --> 00:21:10,067 (お松)いえ それは… (尾藤)嫁の話は 水に流して➡ 233 00:21:10,067 --> 00:21:14,071 よき話し相手として 末永く つきおうていただきたい➡ 234 00:21:14,071 --> 00:21:17,074 お願いでござる 235 00:21:17,074 --> 00:21:22,079 私こそ お許しくださいませ 236 00:21:22,079 --> 00:21:29,079 (尾藤)お松殿は 一生 宮本先生の お世話なさるのが 一番じゃ 237 00:21:32,089 --> 00:21:41,098 それが 私の親切は 先生を苦しめると申されました 238 00:21:41,098 --> 00:21:43,100 何と! 239 00:21:43,100 --> 00:21:51,108 先生は 思いを掛けられることが 何よりの敵なのでございます 240 00:21:51,108 --> 00:21:59,116 それを… それを 重々 知っていながら➡ 241 00:21:59,116 --> 00:22:03,116 私も 4人目の女に なってしまいました 242 00:22:06,123 --> 00:22:11,128 私は 先生に 何一つ 望みはいたしません 243 00:22:11,128 --> 00:22:17,134 もちろん 妻になどと 考えたことも… 244 00:22:17,134 --> 00:22:22,072 ただ ただ 心から 御病体の介抱をと➡ 245 00:22:22,072 --> 00:22:25,075 願うばかりでございますのに 246 00:22:25,075 --> 00:22:31,075 (尾藤)お松殿 つらかろう どんなに苦しかろう 247 00:22:34,084 --> 00:22:40,084 (お松)兵法一筋の 先生のお心 よく分かっております 248 00:22:42,092 --> 00:22:52,102 でも 諦めることができねば 裏切り 憎むことになるでしょう 249 00:22:52,102 --> 00:22:54,104 (尾藤)いかん いかん➡ 250 00:22:54,104 --> 00:22:59,104 そなたは 人を裏切ったり 憎んだりはできぬ 誠実なお方じゃ 251 00:23:02,112 --> 00:23:04,112 尾藤様… 252 00:23:06,116 --> 00:23:12,122 (お松の泣き声) 253 00:23:12,122 --> 00:23:15,125 お泣きなされ 254 00:23:15,125 --> 00:23:19,129 泣いて 先生への思いを 流すことじゃ 255 00:23:19,129 --> 00:23:31,074 ♬~ 256 00:23:31,074 --> 00:23:36,079 (お松) 《尾藤様 あなた様の妻となれば➡ 257 00:23:36,079 --> 00:23:41,084 温かな幸せに 包まれることで ございましょう》➡ 258 00:23:41,084 --> 00:23:46,089 《私は 由利様のように 強くはなれません》➡ 259 00:23:46,089 --> 00:23:52,095 《取る道は ただ一つ 武蔵様のお邪魔にならぬように➡ 260 00:23:52,095 --> 00:23:58,101 心の重荷にならぬように 消えるより他にない》➡ 261 00:23:58,101 --> 00:24:02,105 《お松は 消えるのです》 262 00:24:02,105 --> 00:24:20,105 ♬~ 263 00:24:22,059 --> 00:24:29,066 お松 何ということを… 264 00:24:29,066 --> 00:24:31,066 (信行)叔母上! 265 00:24:39,076 --> 00:24:41,076 (尾藤)お松殿! 266 00:24:45,082 --> 00:24:47,082 (尾藤)お松殿! 267 00:24:51,088 --> 00:24:55,092 《剣一筋に 恋慕の情を断ち切り➡ 268 00:24:55,092 --> 00:25:01,098 お孝 お悠 おりん 由利を 不幸にした》 269 00:25:01,098 --> 00:25:07,104 《そして また わしの非情が お松を 死に追いやったのだ》 270 00:25:07,104 --> 00:25:14,104 《お松 わしを打て! もっと打て!》 271 00:25:16,113 --> 00:25:23,053 <お松の突然の自害に 人々は驚き さまざまな取り沙汰をした> 272 00:25:23,053 --> 00:25:29,059 <武蔵は 我が身の罪深さを認め 厳しく 己を責め➡ 273 00:25:29,059 --> 00:25:34,064 罪の洗礼をくぐり抜け より強い意志力を勝ち得た> 274 00:25:34,064 --> 00:25:41,071 <そして 打ち上がった 永国の刀を持ち 岩殿山に登った> 275 00:25:41,071 --> 00:25:45,071 (信行)先生 谷川の冷たい水を くんでまいりました 276 00:25:52,082 --> 00:25:56,086 (春山)先生 いかがでございました 277 00:25:56,086 --> 00:26:01,091 辺りは闇 金色の矢が降ってくる 278 00:26:01,091 --> 00:26:05,095 (春山)その闇が見えれば 悟りの一歩手前なのです➡ 279 00:26:05,095 --> 00:26:09,099 私には まだ その闇さえ見えませぬ 280 00:26:09,099 --> 00:26:15,099 仏道に頼らず 真如を我が物に できるのでござりましょうか 281 00:26:19,109 --> 00:26:24,047 (雷鳴) 282 00:26:24,047 --> 00:26:27,047 罪業よ 消え去れ! 283 00:26:29,052 --> 00:26:31,054 何者! 284 00:26:31,054 --> 00:26:37,060 (侍)《武蔵! 貴様に斬られた 幾多の兵法者の代わりに来た》➡ 285 00:26:37,060 --> 00:26:39,060 《勝負!》 286 00:26:41,064 --> 00:26:48,071 (侍)《おお… 我が手より やっと 刀が離れた》➡ 287 00:26:48,071 --> 00:26:54,077 《武蔵殿 かたじけない》 288 00:26:54,077 --> 00:26:58,081 わしも 刀を捨てる 289 00:26:58,081 --> 00:27:03,086 (お松)《武蔵様 上を… 上を…》 290 00:27:03,086 --> 00:27:17,100 ♬~ 291 00:27:17,100 --> 00:27:22,100 ああ… 真如だ 292 00:27:25,042 --> 00:27:31,048 《武蔵様 前を御覧くださいませ》 293 00:27:31,048 --> 00:27:45,062 ≪《南無観世音菩薩 南無観世音菩薩…》 294 00:27:45,062 --> 00:27:49,062 南無観世音菩薩 295 00:27:51,068 --> 00:27:56,073 (春山)先生! 先生が 「南無観世音菩薩」と!? 296 00:27:56,073 --> 00:28:00,077 春山 わしは仏を見た 297 00:28:00,077 --> 00:28:05,082 ほう 真如を… (信行)先生! 298 00:28:05,082 --> 00:28:12,089 お松さんも 私と共に 真如の世へ昇った 299 00:28:12,089 --> 00:28:19,096 わしは この刀で 無明を振り払い 因果の闇を斬り払った 300 00:28:19,096 --> 00:28:24,034 この刀は 仏より与えられた 無刀の剣だ 301 00:28:24,034 --> 00:28:33,034 わしは 兵法によって 空を悟り 真如を体得し 観音を見た 302 00:28:35,045 --> 00:28:43,053 わしは 書く 我が兵法を書き残すぞ 303 00:28:43,053 --> 00:28:48,058 <武蔵は 霊巌洞に籠もり 「五輪書」を書き上げ➡ 304 00:28:48,058 --> 00:28:51,061 城内の居宅に戻った> 305 00:28:51,061 --> 00:28:54,064 <光尚公はじめ 家中一統に➡ 306 00:28:54,064 --> 00:28:59,069 藩が誇る 日本一の兵法家として ますます尊敬された> 307 00:28:59,069 --> 00:29:05,075 <正保2年 武蔵 62歳となり 胃の病が悪化➡ 308 00:29:05,075 --> 00:29:11,075 4月に入り 武蔵は 己の死期の近づいたことを悟った> 309 00:29:14,084 --> 00:29:19,089 (琵琶) 310 00:29:19,089 --> 00:29:26,029 ♬~ 311 00:29:26,029 --> 00:29:31,034 おお… 森都ではないか 312 00:29:31,034 --> 00:29:36,039 (森都)《とうとう 兵法により 真如を体得》 313 00:29:36,039 --> 00:29:40,043 《「五輪書」を 書き上げられましたな》 314 00:29:40,043 --> 00:29:50,053 ああ やっと たどりつけたが もう… もう わしの命は僅かじゃ 315 00:29:50,053 --> 00:29:58,061 (森都)《お心は この世に 有用な若者を育て上げたいと➡ 316 00:29:58,061 --> 00:30:02,065 燃えておられるというのに》 317 00:30:02,065 --> 00:30:09,072 だが 病魔は わしに 最後の闘いを挑んでおる 318 00:30:09,072 --> 00:30:14,077 (森都)《また 霊巌洞に 戻るおつもりでございますな》 319 00:30:14,077 --> 00:30:20,083 さよう わしの終えんの地じゃ 320 00:30:20,083 --> 00:30:22,018 《それは いけませぬ》 321 00:30:22,018 --> 00:30:27,023 《苦難の末に 真如を悟られたのです》 322 00:30:27,023 --> 00:30:34,030 《多くの まな弟子に みとられ 畳の上で 大往生なされませ》 323 00:30:34,030 --> 00:30:38,034 わしは 独りの道を行きたい 324 00:30:38,034 --> 00:30:44,040 《フフ ハハハ…》 325 00:30:44,040 --> 00:30:48,044 《相変わらずでございますな》 326 00:30:48,044 --> 00:30:54,050 わしが望むのは 果てしない空 険しい道➡ 327 00:30:54,050 --> 00:30:59,055 草木もなく 鳥も住まぬ山 328 00:30:59,055 --> 00:31:06,062 冷たい石の床の上に 我一人で おることじゃ 329 00:31:06,062 --> 00:31:10,066 《お止めしても 無駄でございますな》 330 00:31:10,066 --> 00:31:16,072 《あの世から 見守っておりましょう》 331 00:31:16,072 --> 00:31:34,090 ♬~ 332 00:31:34,090 --> 00:31:39,095 (信行)先生 伊織様より お便りが参りました 333 00:31:39,095 --> 00:31:42,095 あっ そうか 334 00:31:47,103 --> 00:31:54,110 「父上様には 御体の具合 いかが相なり候や 案じおり候」➡ 335 00:31:54,110 --> 00:31:58,114 「無事 参勤交代の任を果たし➡ 336 00:31:58,114 --> 00:32:03,119 小笠原公の御供をして 小倉へ戻り候」➡ 337 00:32:03,119 --> 00:32:06,122 「今は 一刻も早く➡ 338 00:32:06,122 --> 00:32:11,122 父上様の見舞いに はせ参じたき所存にござ候」 339 00:32:15,131 --> 00:32:18,134 由利姫は 無事であろうか 340 00:32:18,134 --> 00:32:29,079 (お咲の せきこみ) 341 00:32:29,079 --> 00:32:32,082 ≪(茂助)おい! この立て札が 目に入らんか➡ 342 00:32:32,082 --> 00:32:36,086 「物乞い この堂に泊まるべからず」 と 書いてあるぞ 343 00:32:36,086 --> 00:32:39,089 うっかり 見落として 申し訳ございません 344 00:32:39,089 --> 00:32:42,092 この娘は 足を痛めております 345 00:32:42,092 --> 00:32:45,095 しばらくの間 ここで 休ませてくださいませ 346 00:32:45,095 --> 00:32:48,098 (茂助)あっ この娘は 不治の病ではないか➡ 347 00:32:48,098 --> 00:32:52,102 汚らわしい 早く行け! ええい 行かんと ぶったたくぞ 348 00:32:52,102 --> 00:32:55,105 (由利姫)お許しくださいませ! (茂助)ええい しっ! 349 00:32:55,105 --> 00:32:57,107 ≪ これ! (由利姫)お許しくださいませ 350 00:32:57,107 --> 00:33:00,110 (茂助)あっ… はい ≪ その巡礼を➡ 351 00:33:00,110 --> 00:33:03,113 しばらく ここに置いてやれ (茂助)め… めっそうな➡ 352 00:33:03,113 --> 00:33:07,113 巡礼でも 不治の病は 真っ平でごぜえます 353 00:33:09,119 --> 00:33:14,119 もし… 寺尾の新太郎様? 354 00:33:16,126 --> 00:33:18,128 由利様!? 355 00:33:18,128 --> 00:33:22,065 この人の申されることは もっともでございます 356 00:33:22,065 --> 00:33:25,068 すぐに 立ち退きます 357 00:33:25,068 --> 00:33:28,071 (寺尾)このお方は わしの知り合いじゃ➡ 358 00:33:28,071 --> 00:33:31,074 わしが しばらく この堂を借りるぞ 359 00:33:31,074 --> 00:33:33,076 (茂助)へ… へい 360 00:33:33,076 --> 00:33:35,076 (お咲)ううっ… 361 00:33:37,080 --> 00:33:41,084 ありがとうございました (寺尾)いや➡ 362 00:33:41,084 --> 00:33:46,089 あまりのお変わりように 気が付きませんでした 363 00:33:46,089 --> 00:33:51,094 (由利姫) これが私の 本当の姿なのです 364 00:33:51,094 --> 00:33:56,099 (寺尾)私と一緒に 熊本にお戻りください 365 00:33:56,099 --> 00:34:03,106 (由利姫)私が選んだ道です 物乞いが 私の行なのです 366 00:34:03,106 --> 00:34:06,109 物乞いが 行とは… 367 00:34:06,109 --> 00:34:12,115 (由利姫)不治の病に侵され その罪業消滅の行として➡ 368 00:34:12,115 --> 00:34:18,121 父母からも別れ 物乞いとなり 巡礼している この娘と共に➡ 369 00:34:18,121 --> 00:34:21,124 私も行を 370 00:34:21,124 --> 00:34:27,063 人は誰しも 業を背負っているもの 371 00:34:27,063 --> 00:34:32,068 武蔵様の業も 世の人々の業も➡ 372 00:34:32,068 --> 00:34:36,072 背負い通して 生きていく覚悟でございます 373 00:34:36,072 --> 00:34:40,076 物乞いになり 行を? 374 00:34:40,076 --> 00:34:45,081 生きた仏を 見るようでございました 375 00:34:45,081 --> 00:34:54,090 剣なくして 真如を体得なされた 御立派なお方じゃ 376 00:34:54,090 --> 00:34:58,094 (寺尾)ただ ただ 頭が下がりました 377 00:34:58,094 --> 00:35:01,097 わしは 明日 霊巌洞へ戻る 378 00:35:01,097 --> 00:35:03,099 (寺尾)その御病体では… 379 00:35:03,099 --> 00:35:05,101 (信行)どうか おやめください! (寺尾)先生! 380 00:35:05,101 --> 00:35:12,108 新太郎 その方 多年にわたり 鍛錬➡ 381 00:35:12,108 --> 00:35:19,115 よくぞ わしの兵法を 会得してくれた 382 00:35:19,115 --> 00:35:26,055 よって 今 その方に 「兵法 五輪書」を託す 383 00:35:26,055 --> 00:35:32,061 よき後継者を求め 我が流を広めてくれ 384 00:35:32,061 --> 00:35:34,061 ははっ 385 00:35:36,065 --> 00:35:39,068 信行 はい! 386 00:35:39,068 --> 00:35:48,077 そなたは 二天一流の後継者として 代々 これを伝うべし 387 00:35:48,077 --> 00:35:50,077 ははっ 388 00:35:52,081 --> 00:36:02,091 先生 親子そろって 極意書を頂き この上なき光栄にござります 389 00:36:02,091 --> 00:36:07,096 これで 心おきなく 山へ登れる 390 00:36:07,096 --> 00:36:15,104 <武蔵は ただ一人 洞窟に籠もり 10日余りも水だけで過ごしていた> 391 00:36:15,104 --> 00:36:19,108 <藩主 光尚は 武蔵の病を気遣い➡ 392 00:36:19,108 --> 00:36:22,045 霊巌洞に 長岡佐渡と 典医を遣わし➡ 393 00:36:22,045 --> 00:36:27,050 君命をもって 武蔵を屋敷へ連れ戻した> 394 00:36:27,050 --> 00:36:31,054 <5月に入ると 誰の目にも➡ 395 00:36:31,054 --> 00:36:34,057 死が 寸前に迫っていることが 分かった> 396 00:36:34,057 --> 00:36:43,066 直ちに 殿にお目通りを願い 武蔵 最後の御奉公を言上いたせ 397 00:36:43,066 --> 00:36:46,069 (寺尾)はっ 398 00:36:46,069 --> 00:36:53,069 病弱のため 十分の働きをなさず 恐縮に存ずる 399 00:36:55,078 --> 00:37:00,083 武蔵 近々 絶命 400 00:37:00,083 --> 00:37:05,088 なれど 魂魄 この地に とどまって➡ 401 00:37:05,088 --> 00:37:12,095 兵法をもって 必ず 守護し奉るとな 402 00:37:12,095 --> 00:37:17,100 は… はっ 403 00:37:17,100 --> 00:37:20,103 わしが 絶命いたさば➡ 404 00:37:20,103 --> 00:37:28,044 甲冑を着けて 大津街道の 道端に葬れ 405 00:37:28,044 --> 00:37:39,055 そこにあって 殿の参勤交代の 送り迎えをいたす 406 00:37:39,055 --> 00:37:45,055 必ず 申しつけたようにいたせ 407 00:37:51,067 --> 00:38:01,077 それから… 由利姫様… 408 00:38:01,077 --> 00:38:13,089 ♬~ 409 00:38:13,089 --> 00:38:21,097 (お咲)おば様 おば様のおかげで➡ 410 00:38:21,097 --> 00:38:27,097 お咲は 楽しく 行を終えることができました 411 00:38:29,038 --> 00:38:38,038 魂は 清められて 父母の元に帰れます 412 00:38:42,051 --> 00:38:46,055 今度 生まれてきたら… 413 00:38:46,055 --> 00:38:52,061 (由利姫)すばらしい恋をして 幸せな花嫁さんに 414 00:38:52,061 --> 00:38:59,061 白無垢の花嫁姿で お嫁入りを 415 00:39:01,070 --> 00:39:07,070 元気で 丈夫な赤ん坊を産みたい 416 00:39:09,078 --> 00:39:11,078 産みます… 417 00:39:18,087 --> 00:39:22,024 お咲さん 418 00:39:22,024 --> 00:39:30,024 きっと… きっと 幸せな花嫁さんになれます 419 00:39:54,056 --> 00:40:00,062 (琵琶) 420 00:40:00,062 --> 00:40:08,070 (森都)《♬ 御運 既に 尽きさせたまいぬ》➡ 421 00:40:08,070 --> 00:40:19,070 《♬ はやはや 御念仏 唱えたまえ》 422 00:40:23,019 --> 00:40:30,026 《武蔵様 お迎えに参りました》 423 00:40:30,026 --> 00:40:35,031 《よくぞ 病と闘われました》 424 00:40:35,031 --> 00:40:41,037 《参りましょう 安らかな あの世へ》 425 00:40:41,037 --> 00:40:50,046 《お孝さん お松さん 皆様が 待っておりますよ》 426 00:40:50,046 --> 00:40:53,049 ならん! 427 00:40:53,049 --> 00:40:59,049 あの達磨が わしに挑んでおる 428 00:41:01,057 --> 00:41:07,057 《では 決着をつけて おいでなされ》 429 00:41:12,068 --> 00:41:25,081 (達磨の笑い声) 430 00:41:25,081 --> 00:41:27,083 何を笑う 431 00:41:27,083 --> 00:41:30,086 (達磨)《わしを斬れまい》 432 00:41:30,086 --> 00:41:32,086 斬れる! 433 00:41:35,091 --> 00:41:41,097 (達磨)《刀を取っても わしの所まで 来られぬ!》 434 00:41:41,097 --> 00:41:44,097 おのれ… 435 00:41:56,112 --> 00:42:03,119 (達磨)《武蔵! 命を惜しまぬと 大言を吐きおったが➡ 436 00:42:03,119 --> 00:42:07,123 どこまで戦って 生きるつもりじゃ》➡ 437 00:42:07,123 --> 00:42:13,129 《死が それほどに恐ろしいか》 438 00:42:13,129 --> 00:42:16,129 恐ろしいものか 439 00:42:18,134 --> 00:42:27,076 わしは 命の重さ ぎりぎりに生きたい 440 00:42:27,076 --> 00:42:33,082 (達磨)《どうじゃ 刀を わしに投げるか》➡ 441 00:42:33,082 --> 00:42:39,082 《一旦 投げた刀は もう そなたの手には戻らんぞ》 442 00:42:43,092 --> 00:42:48,097 (達磨) 《刀を手放す決心は あるまい》 443 00:42:48,097 --> 00:43:01,110 (達磨の笑い声) 444 00:43:01,110 --> 00:43:06,115 (達磨の笑い声) 445 00:43:06,115 --> 00:43:09,115 (達磨)《見事》 446 00:43:25,067 --> 00:43:30,072 <武蔵は 最後まで戦って果てた> 447 00:43:30,072 --> 00:43:36,078 <正保2年 5月19日 夜半も近い 亥の刻> 448 00:43:36,078 --> 00:43:41,078 <時に 武蔵 62歳> 449 00:43:48,090 --> 00:43:55,090 ああ 武蔵様 やっと 戦いが終わりましたね 450 00:43:57,099 --> 00:44:05,107 花が咲き乱れて やいばのない➡ 451 00:44:05,107 --> 00:44:09,107 あの世で 静かにお眠りなさいませ 452 00:44:11,113 --> 00:44:16,118 (雷鳴) (笑い声) 453 00:44:16,118 --> 00:44:21,118 (笑い声) 454 00:44:24,060 --> 00:44:30,066 (雷鳴) 455 00:44:30,066 --> 00:44:34,070 《わしは 刀は捨てぬ》 456 00:44:34,070 --> 00:44:36,072 武蔵様! 457 00:44:36,072 --> 00:44:40,076 《由利姫様 許されい》 458 00:44:40,076 --> 00:44:45,081 《武蔵は 武蔵の道を行くのみじゃ》 459 00:44:45,081 --> 00:45:01,097 ♬~ 460 00:45:01,097 --> 00:45:06,102 <武蔵は 死しても なお 二刀を携え➡ 461 00:45:06,102 --> 00:45:09,105 天界に生き続けているのだ> 462 00:45:09,105 --> 00:45:26,105 ♬~ 463 00:45:28,057 --> 00:45:46,075 ♬~ 464 00:45:46,075 --> 00:46:04,093 ♬~ 465 00:46:04,093 --> 00:46:21,110 ♬~ 466 00:46:21,110 --> 00:46:39,061 ♬~ 467 00:46:39,061 --> 00:46:45,061 ♬~ 468 00:54:12,214 --> 00:54:13,081 469 00:54:13,081 --> 00:54:17,085 「時代劇専門チャンネル」の 全てが分かる番組情報誌 470 00:54:17,085 --> 00:54:19,085 『時代劇専門チャンネルガイド』 471 00:54:25,093 --> 00:54:27,095 番組表・コラム 472 00:54:27,095 --> 00:54:31,099 時代劇クロスワードなど読み応え十分! 473 00:54:31,099 --> 00:54:33,099 更に… 474 00:54:36,104 --> 00:54:38,104 いま お問い合わせ いただくと… 475 00:55:06,134 --> 00:55:08,136 そして もうひとつは ホームページ 476 00:55:08,136 --> 00:55:11,136 お申し込み お待ちしております