1 00:00:34,030 --> 00:00:36,032 (萌絵) <前回の 『すべてがFになる』> 2 00:00:36,032 --> 00:00:40,032 <50年前 完全なる密室で起きた 不可解な事件> 3 00:00:44,040 --> 00:00:48,044 <凶器の代わりに 現場にあったのは つぼと匣> 4 00:00:48,044 --> 00:00:50,046 (萌絵)天地の瓢と 無我の匣。 5 00:00:50,046 --> 00:00:54,050 (吉村)なぜ そこまで? その… 記念? 6 00:00:54,050 --> 00:00:57,053 (フミ)天地の瓢と 無我の匣は お見せできません。 7 00:00:57,053 --> 00:01:00,056 (犀川)「開けてはならぬ」ですか…。 8 00:01:00,056 --> 00:01:03,059 警察は つぼと匣の レントゲン写真を 撮ったんです。 9 00:01:03,059 --> 00:01:05,061 ほら つぼの中に 鍵が入ってるでしょ? 10 00:01:05,061 --> 00:01:10,066 ただ 口の部分が細くて 取り出せないとか。 11 00:01:10,066 --> 00:01:13,069 <そして その夜 蔵で 再び 事件が起こる> 12 00:01:13,069 --> 00:01:15,071 <蔵の中には 血痕だけが残され➡ 13 00:01:15,071 --> 00:01:18,074 林水の姿は ない。 そして そこには…> 14 00:01:18,074 --> 00:01:21,077 つぼと匣…。 15 00:01:21,077 --> 00:01:23,079 (綾緒)マリモさん! 16 00:01:23,079 --> 00:01:26,082 林水さんが消えて マリモさんまで…。 17 00:01:26,082 --> 00:01:28,084 いったい 何があったんでしょうか? 18 00:01:28,084 --> 00:01:30,086 (鵜飼)香山 林水氏の 遺体が 発見されました。 19 00:01:30,086 --> 00:01:35,024 <マリモが倒れていた現場付近で 林水の遺体が 発見される> 20 00:01:35,024 --> 00:01:40,029 <50年前と 現在の事件には 多くの共通項があったが…> 21 00:01:40,029 --> 00:01:43,032 密室や 犯行の目的は 重要じゃない。 22 00:01:43,032 --> 00:01:45,034 香山家の当主が 刺された現場には➡ 23 00:01:45,034 --> 00:01:48,037 必ず 天地の瓢と 無我の匣が 存在する。 24 00:01:48,037 --> 00:01:52,041 それが この事件の 最大の命題だよ。 25 00:01:52,041 --> 00:01:56,045 マリモさんが お父さんを刺し 遺体を 川に捨てた。 26 00:01:56,045 --> 00:01:58,047 (片桐)えっ? (鵜飼)どうした? 27 00:01:58,047 --> 00:02:00,049 (片桐)香山マリモが 病院から消えました。 28 00:02:00,049 --> 00:02:03,052 <林水を殺したのは マリモなのか> 29 00:02:03,052 --> 00:02:05,054 <それとも…> 30 00:02:05,054 --> 00:02:07,056 <遺体のそばにあった つぼと匣には➡ 31 00:02:07,056 --> 00:02:10,056 どんな秘密が隠されているのか> 32 00:02:26,075 --> 00:02:31,080 (多可志)どうして マリモは 病院から消えたんだ? 33 00:02:31,080 --> 00:02:33,015 マリモさんは➡ 34 00:02:33,015 --> 00:02:36,018 林水さんの死に 関係してる可能性があります。 35 00:02:36,018 --> 00:02:38,018 (綾緒)えっ? 36 00:02:40,022 --> 00:02:43,025 (鵜飼)これが 屋敷の裏門付近に 落ちていました。 37 00:02:43,025 --> 00:02:45,027 鑑識の結果➡ 38 00:02:45,027 --> 00:02:48,030 マリモさんの吸っていたものと 断定されました。 39 00:02:48,030 --> 00:02:52,034 (多可志) えっ… 何で そんなものが? 40 00:02:52,034 --> 00:02:55,037 (片桐)それと この写真を見てください。➡ 41 00:02:55,037 --> 00:02:59,041 音羽橋付近で 乗り捨てられた マリモさんの車ですが➡ 42 00:02:59,041 --> 00:03:02,044 屋敷に向かう方向とは 逆を向いていました。 43 00:03:02,044 --> 00:03:05,044 (綾緒)あの… どういうことでしょうか? 44 00:03:10,052 --> 00:03:12,054 マリモさんは 昨日➡ 45 00:03:12,054 --> 00:03:15,057 この屋敷まで来ていた可能性が あります。 46 00:03:15,057 --> 00:03:18,060 えっ? マリモさんが発見された➡ 47 00:03:18,060 --> 00:03:20,062 音羽橋の 500m下流で➡ 48 00:03:20,062 --> 00:03:23,065 林水さんの遺体も 見つかっています。 49 00:03:23,065 --> 00:03:26,068 何が言いたいんですか? 50 00:03:26,068 --> 00:03:29,071 マリモが 親父を殺したというのですか? 51 00:03:29,071 --> 00:03:32,091 あっ… あくまでも仮説です。 52 00:03:32,091 --> 00:03:36,091 昨日の午後6時前に マリモさんは 香山家に着いた。 53 00:03:49,025 --> 00:03:52,028 (林水)《あっ… うっ…》 54 00:03:52,028 --> 00:03:56,032 しかし そこで 久しぶりに会った 林水さんと 口論となり➡ 55 00:03:56,032 --> 00:03:58,032 刺してしまった。 56 00:04:00,036 --> 00:04:04,040 そして マリモさんは 蔵から遺体を運びだした。 57 00:04:04,040 --> 00:04:07,043 これなら 午後6時に➡ 58 00:04:07,043 --> 00:04:10,046 「蔵の中に 誰も いなかった」と 言っていた 祐介君の証言とも➡ 59 00:04:10,046 --> 00:04:13,049 一致します。 (祐介)《もう いないよ》 60 00:04:13,049 --> 00:04:18,054 その後 マリモさんは 音羽橋から 川に遺体を捨てようとした。 61 00:04:18,054 --> 00:04:22,058 でも 林水さんが 意識を取り戻し➡ 62 00:04:22,058 --> 00:04:26,062 もみ合いの末 林水さんは 川へ落下。 63 00:04:26,062 --> 00:04:30,066 マリモさんも負傷し 意識を失った。 64 00:04:30,066 --> 00:04:32,034 (多可志)そんな…。 65 00:04:32,034 --> 00:04:35,905 その場合 夜7時から8時の間に➡ 66 00:04:35,905 --> 00:04:37,907 蔵の鍵が 内側から閉じられていたことは➡ 67 00:04:37,907 --> 00:04:39,909 どう説明するのかな? 68 00:04:39,909 --> 00:04:42,912 (多可志)そうだ。 7時から8時は➡ 69 00:04:42,912 --> 00:04:44,914 親父が 蔵にこもって 作業していたはずだ。 70 00:04:44,914 --> 00:04:46,916 閉まっていただけで➡ 71 00:04:46,916 --> 00:04:48,918 林水さんの顔は 見てないですよね? 72 00:04:48,918 --> 00:04:51,921 では 誰が 中にいたというのですか? 73 00:04:51,921 --> 00:04:55,921 その場合 共犯者がいた可能性もあります。 74 00:05:01,931 --> 00:05:05,935 何で 俺たちが 親父を殺さなきゃならないんだ! 75 00:05:05,935 --> 00:05:08,938 (鵜飼)例えば 多可志さん あなたには 動機があるはずです。 76 00:05:08,938 --> 00:05:10,940 俺に? 77 00:05:10,940 --> 00:05:14,944 あなたは この屋敷を 売ろうとしていたそうですね。 78 00:05:14,944 --> 00:05:16,946 それは…。 79 00:05:16,946 --> 00:05:18,948 しかし 林水氏は 反対していたと➡ 80 00:05:18,948 --> 00:05:21,948 不動産業者の方が証言しています。 81 00:05:28,958 --> 00:05:31,961 仕方ないだろ。 82 00:05:31,961 --> 00:05:36,999 今どき 仏画師で 食っていけるわけないんだよ!➡ 83 00:05:36,999 --> 00:05:39,001 この家は 呪われてんだ。➡ 84 00:05:39,001 --> 00:05:42,001 こんな家 売っちまった方が いいんだよ! 85 00:05:45,007 --> 00:05:48,010 (綾緒の泣き声) 86 00:05:48,010 --> 00:06:08,010 ♬~ 87 00:06:15,037 --> 00:06:17,039 カッコイイね これ。 88 00:06:17,039 --> 00:06:20,042 (祐介)ゲンマダイショーグンだよ おばちゃん。 89 00:06:20,042 --> 00:06:23,045 「おばちゃん」じゃなくて 「お姉さん」 90 00:06:23,045 --> 00:06:25,047 (祐介)お姉さん…。 うん。 91 00:06:25,047 --> 00:06:30,052 西之園君 子供の素直な感性を 大人が ねじ曲げては いけないよ。 92 00:06:30,052 --> 00:06:33,989 常識的な礼儀を 教えているだけです。 93 00:06:33,989 --> 00:06:36,992 これ… ゲンマダイショーグンって 強いの? 94 00:06:36,992 --> 00:06:39,995 (祐介)ううん。 もう いないよ。 95 00:06:39,995 --> 00:06:41,997 んっ? いない? 96 00:06:41,997 --> 00:06:46,001 うん。 もう いないよ。 97 00:06:46,001 --> 00:06:48,001 えっ? んっ? 98 00:06:50,005 --> 00:06:54,005 あっ 電池が逆さまだよ。 99 00:06:59,014 --> 00:07:02,017 ほら。 100 00:07:02,017 --> 00:07:05,017 いた~。 101 00:07:09,024 --> 00:07:12,027 なるほど。 102 00:07:12,027 --> 00:07:14,029 (綾緒)こら! もう。 ハハハ…。 103 00:07:14,029 --> 00:07:17,032 (綾緒)あっ… すみません。➡ 104 00:07:17,032 --> 00:07:20,035 ごめんなさい。➡ 105 00:07:20,035 --> 00:07:22,035 ハァ~ ホントに…。 106 00:07:32,982 --> 00:07:35,985 私も ここに嫁いできたときは➡ 107 00:07:35,985 --> 00:07:40,990 すぐにでも逃げ出したいって 思ってました。 108 00:07:40,990 --> 00:07:42,990 今は? 109 00:07:45,995 --> 00:07:51,995 毎日 毎日 ここを 雑巾がけしてるんですよ。 110 00:07:54,003 --> 00:07:57,006 もう 私の命の 何分の一かは➡ 111 00:07:57,006 --> 00:08:00,006 ここに 染み込んでしまってるんです。 112 00:08:03,012 --> 00:08:07,016 あっ すみません。 つまらない話 してしまいまして。 113 00:08:07,016 --> 00:08:09,018 (萌絵・犀川)いえ。 ≪(ケリーの鳴き声) 114 00:08:09,018 --> 00:08:12,021 (綾緒)ケリー。 ケリー。➡ 115 00:08:12,021 --> 00:08:14,023 こら。 すみません。➡ 116 00:08:14,023 --> 00:08:17,026 この子 誰にでも吠えるんです。 こら。➡ 117 00:08:17,026 --> 00:08:19,028 あっ…。 118 00:08:19,028 --> 00:08:21,030 どうしました? 119 00:08:21,030 --> 00:08:25,034 そういえば 祐介が蔵から出てきたときも➡ 120 00:08:25,034 --> 00:08:27,036 蔵の方に向かって この子が吠えてました。 121 00:08:27,036 --> 00:08:32,057 じゃあ 6時ごろ 蔵の中に 誰かいたってことですか? 122 00:08:32,057 --> 00:08:36,057 あっ でも 祐介は 「いない」って 言ってたんですけど…。 123 00:08:44,987 --> 00:08:46,989 (ドアの開く音) (浜中)失礼しま~す。➡ 124 00:08:46,989 --> 00:08:49,992 あれ? 国枝先生 犀川先生は? 125 00:08:49,992 --> 00:08:51,994 (国枝)西之園さんと 日本家屋の再調査。 126 00:08:51,994 --> 00:08:54,997 (浜中)えっ!? えっ でも それって 昨日も…。 127 00:08:54,997 --> 00:08:56,999 泊まったらしい。 128 00:08:56,999 --> 00:08:59,001 泊まった!? えっ?➡ 129 00:08:59,001 --> 00:09:03,005 えっ… 先生と西之園さんだけで お泊まりですか?➡ 130 00:09:03,005 --> 00:09:05,007 いや~! 131 00:09:05,007 --> 00:09:07,009 これ ゼミ幹としては 放っておけない。 132 00:09:07,009 --> 00:09:09,011 一大事ですよ! 133 00:09:09,011 --> 00:09:12,014 あ痛っ! うっ…。 134 00:09:12,014 --> 00:09:15,017 (国枝)うるさい。 (浜中)すいません。 135 00:09:15,017 --> 00:09:18,020 ☎ 136 00:09:18,020 --> 00:09:22,024 はい 犀川研究室です。➡ 137 00:09:22,024 --> 00:09:24,026 はい。 138 00:09:24,026 --> 00:09:26,028 えっ? 139 00:09:26,028 --> 00:09:29,028 分かりました。 調べておきます。 140 00:09:31,033 --> 00:09:32,968 犀川先生からですか? 何て? 141 00:09:32,968 --> 00:09:35,971 「ゲンマダイショーグンについて 調べておいてくれ」って。 142 00:09:35,971 --> 00:09:37,973 あっ? 143 00:09:37,973 --> 00:09:53,989 ♬~ 144 00:09:53,989 --> 00:09:57,989 (吉村)刑事さんが 「掃除していい」と言ったんです。 145 00:10:02,998 --> 00:10:06,001 つぼと匣は まだ警察に? 146 00:10:06,001 --> 00:10:11,006 (吉村)いえ。 戻ってきて 今は 奥さまのお部屋に。 147 00:10:11,006 --> 00:10:31,026 ♬~ 148 00:10:31,026 --> 00:10:34,026 ♬~ 149 00:11:21,076 --> 00:11:23,078 先生 ここにいたんですか。 150 00:11:23,078 --> 00:11:26,081 この蔵は ウェザリングが施されている。 151 00:11:26,081 --> 00:11:28,083 ウェザリング? 建物を➡ 152 00:11:28,083 --> 00:11:30,085 塗装とかで 古く見せる技法だよ。 153 00:11:30,085 --> 00:11:35,023 この蔵は 外壁も内側も 最近の合成建材が使用されている。 154 00:11:35,023 --> 00:11:38,026 ほら。 この扉の隙間。 155 00:11:38,026 --> 00:11:40,028 シリコンで 密閉空間をつくり➡ 156 00:11:40,028 --> 00:11:42,030 エアコンで 空調できる仕様になっている。 157 00:11:42,030 --> 00:11:45,033 ふ~ん。 158 00:11:45,033 --> 00:11:48,036 あっ! 絵を 湿気から守るためですね。 159 00:11:48,036 --> 00:11:50,038 ああ。 160 00:11:50,038 --> 00:11:52,040 わざわざ こんな手間のかかる 改築までして➡ 161 00:11:52,040 --> 00:11:56,044 林水氏は この蔵を仕事場にした。 162 00:11:56,044 --> 00:11:59,047 何で そこまで? さあ…。 163 00:11:59,047 --> 00:12:02,050 まっ 強いて言うなら 芸術家だからじゃないかな? 164 00:12:02,050 --> 00:12:04,050 ふ~ん。 165 00:12:09,057 --> 00:12:12,060 ここで死んだ 父親の風采氏に➡ 166 00:12:12,060 --> 00:12:15,060 少しでも 近づきたかったのでしょうか? 167 00:12:17,065 --> 00:12:19,065 (多可志)《親父!》 168 00:12:33,015 --> 00:12:45,027 ♬~ 169 00:12:45,027 --> 00:12:48,027 キャ~!! 170 00:12:56,038 --> 00:12:59,041 どうしたんですか? 171 00:12:59,041 --> 00:13:02,041 (綾緒)あっ あれ…。 172 00:13:13,055 --> 00:13:15,055 多可志さん? 173 00:13:24,066 --> 00:13:26,068 (救急隊員) すぐに 病院へ搬送します。 174 00:13:26,068 --> 00:13:28,070 主人は? (救急隊員)頭部と右腕に➡ 175 00:13:28,070 --> 00:13:30,072 挫傷があります。 意識障害を認めますが➡ 176 00:13:30,072 --> 00:13:34,009 血圧 呼吸は 安定しています。 (綾緒)あなた…。 177 00:13:34,009 --> 00:13:36,011 多可志さん! 聞こえますか?➡ 178 00:13:36,011 --> 00:13:39,014 多可志さん! たっ…。 179 00:13:39,014 --> 00:13:41,016 多可志さん。 180 00:13:41,016 --> 00:13:44,019 マリモが…。 (綾緒)えっ? 181 00:13:44,019 --> 00:13:47,022 マリモが…。 182 00:13:47,022 --> 00:13:51,026 マリモさんが ここに いたんですね? 183 00:13:51,026 --> 00:13:53,026 多可志さん 何があったんですか? 184 00:13:55,030 --> 00:13:58,033 (救急隊員)下がってください 搬送しますから。 185 00:13:58,033 --> 00:14:01,036 (救急隊員) 上げます! 1 2 3! 186 00:14:01,036 --> 00:14:03,036 (救急隊員)よし。 187 00:14:09,044 --> 00:14:11,044 どうなってるんですか いったい。 188 00:14:15,050 --> 00:14:19,050 とにかく マリモさんを捜しましょう。 189 00:14:21,056 --> 00:14:24,056 鵜飼さん そっち。 (片桐)われわれは こっちで。 190 00:14:28,063 --> 00:14:30,063 (片桐)こっち。 (鵜飼)あっ… はい。 191 00:14:41,009 --> 00:14:45,013 あれ? 祐介君 どうしたの? 192 00:14:45,013 --> 00:14:49,017 マリモさん もう いないよ。 193 00:14:49,017 --> 00:14:51,017 えっ? 194 00:14:54,022 --> 00:14:56,022 もう いないよ。 195 00:15:00,028 --> 00:15:02,028 あっ…。 196 00:15:04,032 --> 00:15:07,035 マリモさん… マリモさん! 197 00:15:07,035 --> 00:15:11,039 嘘… どうして? マリモさん! 救急車を! 198 00:15:11,039 --> 00:15:13,041 しっかりしてください! (鵜飼)はい。 おい。 199 00:15:13,041 --> 00:15:16,044 (片桐)はい。 マリモさん! 200 00:15:16,044 --> 00:15:28,044 ♬~ 201 00:15:34,996 --> 00:15:36,998 ≪(戸の開く音) 202 00:15:36,998 --> 00:15:40,001 鵜飼さん マリモさんは? 203 00:15:40,001 --> 00:15:43,004 意識が戻りました。 204 00:15:43,004 --> 00:15:45,006 よかった…。 205 00:15:45,006 --> 00:15:47,006 自殺を図ったようです。 206 00:15:49,010 --> 00:15:52,010 西之園さんたちを呼んでくれと。 207 00:16:03,024 --> 00:16:06,024 マリモさん 大丈夫ですか? 208 00:16:09,030 --> 00:16:12,030 何が あったんですか? 209 00:16:14,035 --> 00:16:16,037 (マリモ)私なんです。 210 00:16:16,037 --> 00:16:18,039 えっ? 211 00:16:18,039 --> 00:16:22,039 父を殺したのは 私なんです。 212 00:17:27,075 --> 00:17:29,075 父を殺したのは 私なんです。 213 00:17:33,081 --> 00:17:39,087 昨日の夜 6時ごろ 家に着いたけど➡ 214 00:17:39,087 --> 00:17:43,087 久しぶりだったから 何だか入りづらくて…。 215 00:17:51,099 --> 00:17:56,099 (マリモ)そのとき 血まみれで 父が 蔵から出てきたんです。 216 00:17:59,107 --> 00:18:01,109 《えっ?》 217 00:18:01,109 --> 00:18:03,111 (林水)《うっ…》 218 00:18:03,111 --> 00:18:06,114 (マリモ) 《お父さん? お父さん!》 219 00:18:06,114 --> 00:18:09,117 (林水)《うっ…》 (マリモ)《えっ!? お父さん!》 220 00:18:09,117 --> 00:18:13,117 (林水)《開け… 開けてはならぬ》 (マリモ)《えっ!?》 221 00:18:16,124 --> 00:18:18,126 《開けてはならぬ…!》 222 00:18:18,126 --> 00:18:22,126 《今 お兄ちゃんたち 呼んでくるから。 ねっ?》 223 00:18:28,069 --> 00:18:30,071 (マリモ)とにかく 急がないといけないと思い➡ 224 00:18:30,071 --> 00:18:33,071 私は 父を病院に運びました。 225 00:18:36,077 --> 00:18:39,080 《とっ… 止めろ》 226 00:18:39,080 --> 00:18:41,082 (マリモ)《えっ?》 227 00:18:41,082 --> 00:18:43,082 《止めろ!》 228 00:18:47,088 --> 00:18:49,090 (マリモ)《お父さん!》➡ 229 00:18:49,090 --> 00:18:52,090 《病院に行かないと… あっ!》 (林水)《いいんだ!》 230 00:18:55,096 --> 00:19:01,102 《さっ 最後の一かけが 必要なんだ》 231 00:19:01,102 --> 00:19:05,106 《えっ? 何? 何 言ってるの? お父さん》 232 00:19:05,106 --> 00:19:08,109 《嫌! ちょっと…!》➡ 233 00:19:08,109 --> 00:19:10,109 《うっ…》 234 00:19:22,123 --> 00:19:24,125 (林水の落ちる音) 235 00:19:24,125 --> 00:19:26,125 《お父さん…》 236 00:19:32,067 --> 00:19:37,072 目が覚めたら 病院にいました。 237 00:19:37,072 --> 00:19:40,075 失踪したのは なぜ? 238 00:19:40,075 --> 00:19:44,079 私が原因で 父が死んだのだと思って➡ 239 00:19:44,079 --> 00:19:48,083 怖くて 逃げました。 240 00:19:48,083 --> 00:19:53,088 でも だんだんと記憶が戻ってきて➡ 241 00:19:53,088 --> 00:19:58,093 「祖父から続く あの家の因習が 父を殺したんだ」➡ 242 00:19:58,093 --> 00:20:00,095 そう思いました。➡ 243 00:20:00,095 --> 00:20:03,098 だから つぼと匣を 壊し➡ 244 00:20:03,098 --> 00:20:06,098 どこかに捨ててしまおうと 決めたんです。 245 00:20:10,105 --> 00:20:14,109 (マリモ) そのとき 兄に見つかって…。 246 00:20:14,109 --> 00:20:16,111 《マリモ…》 247 00:20:16,111 --> 00:20:19,111 《お前 何してんだ?》 248 00:20:21,116 --> 00:20:23,118 (多可志)《マリモ!》➡ 249 00:20:23,118 --> 00:20:25,136 《マリモ!》 (マリモ)《放して!》 250 00:20:25,136 --> 00:20:27,055 (多可志)《うわ!》 251 00:20:27,055 --> 00:20:29,055 ≪(多可志の落ちる音) 252 00:20:53,081 --> 00:21:05,093 ♬~ 253 00:21:05,093 --> 00:21:09,093 (マリモ)結局 私も縛られていた。 254 00:21:12,100 --> 00:21:15,103 (マリモ)香山家の因習から 逃れることなんて➡ 255 00:21:15,103 --> 00:21:17,103 できなかったんです。 256 00:21:20,108 --> 00:21:23,111 (マリモ) もう 絶望しか ありませんでした。 257 00:21:23,111 --> 00:21:42,063 ♬~ 258 00:21:42,063 --> 00:21:44,063 ♬~ 259 00:21:47,068 --> 00:21:50,071 お兄さんは 無事でしたよ。 260 00:21:50,071 --> 00:21:54,075 意識も戻っています。 261 00:21:54,075 --> 00:21:57,075 安心してください。 262 00:22:10,091 --> 00:22:12,091 西之園君。 263 00:22:15,096 --> 00:22:18,099 この目で見に行こう。 264 00:22:18,099 --> 00:22:21,099 天地の瓢と 無我の匣を。 265 00:22:23,104 --> 00:22:25,104 はい。 266 00:22:56,070 --> 00:22:58,070 ≪(物音) あっ。 267 00:23:03,077 --> 00:23:05,077 ホントに 鍵が入ってる。 268 00:23:13,087 --> 00:23:16,087 やっぱり 鍵は 取り出せないようですね。 269 00:23:20,094 --> 00:23:23,097 マリモさんは 嘘をついていないと思います。 270 00:23:23,097 --> 00:23:27,097 ああ。 彼女の証言に 矛盾はない。 271 00:23:29,037 --> 00:23:34,037 マリモさんが到着したときは すでに 林水氏は刺されていた。 272 00:23:36,044 --> 00:23:39,047 誰が なぜ 林水氏を刺したのでしょうか? 273 00:23:39,047 --> 00:23:41,049 言ったはずだよ。 274 00:23:41,049 --> 00:23:45,053 犯人や動機は 重要じゃない。 275 00:23:45,053 --> 00:23:48,056 命題ですか? ああ。 276 00:23:48,056 --> 00:23:50,058 香山家の当主が 刺された現場には➡ 277 00:23:50,058 --> 00:23:55,063 必ず 天地の瓢と 無我の匣が 存在する。 278 00:23:55,063 --> 00:24:02,063 この命題が証明されれば 全てが自明になる。 279 00:24:12,080 --> 00:24:15,083 《蔵の中に 誰がいた?》 280 00:24:15,083 --> 00:24:17,085 《寒い》 281 00:24:17,085 --> 00:24:19,087 《もう いないよ》 282 00:24:19,087 --> 00:24:21,089 《倒れた 電気ストーブ》 283 00:24:21,089 --> 00:24:23,091 《仏画師》 284 00:24:23,091 --> 00:24:26,027 《天地 無我》 《消えた凶器》 285 00:24:26,027 --> 00:24:29,030 《火には難く 水には やすい》 286 00:24:29,030 --> 00:24:31,032 《開けてはならぬ》 287 00:24:31,032 --> 00:24:33,034 《最後の一かけ》 288 00:24:33,034 --> 00:24:36,037 《そこまでする必要が あるのか?》 289 00:24:36,037 --> 00:24:40,041 《認めるしかないんだ》 290 00:24:40,041 --> 00:24:42,041 (犀川たち)《命題は証明された》 291 00:24:44,045 --> 00:24:47,048 先生! 犀川先生! 292 00:24:47,048 --> 00:24:51,052 ちょっと… 大丈夫ですか? 293 00:24:51,052 --> 00:24:53,052 ああ。 294 00:24:56,057 --> 00:24:58,057 もう 全て終わりにしよう。 295 00:26:45,633 --> 00:26:48,636 ケガの具合は? ええ。 296 00:26:48,636 --> 00:26:50,638 精密検査も受けました。 297 00:26:50,638 --> 00:26:52,640 頭の方は 大丈夫だと。 298 00:26:52,640 --> 00:26:54,642 あっ…。 299 00:26:54,642 --> 00:26:58,646 私 皆さんに 失礼なこと言ってしまって…。 300 00:26:58,646 --> 00:27:02,650 (多可志) さっき マリモの話を聞きました。 301 00:27:02,650 --> 00:27:06,654 先生と西之園さんが 見つけてくれたそうですね。 302 00:27:06,654 --> 00:27:09,657 ありがとうございました。 あっ いえ そんな…。 303 00:27:09,657 --> 00:27:13,661 で これから いったい 何が始まるんですか? 304 00:27:13,661 --> 00:27:17,665 あっ… 犀川先生が実験をするそうです。 305 00:27:17,665 --> 00:27:19,667 実験? はい。 306 00:27:19,667 --> 00:27:24,667 (片桐)その実験が うまくいけば 今度の事件は 全部 解決すると。 307 00:27:30,678 --> 00:27:32,613 (鵜飼)いやいや いやいや…。 ホントに やるんですか? 308 00:27:32,613 --> 00:27:34,615 はい。 (鵜飼)私が? 309 00:27:34,615 --> 00:27:38,619 はい。 事件解決のためです。 ご協力を。 310 00:27:38,619 --> 00:27:41,622 (鵜飼)いや あいつの…。 311 00:27:41,622 --> 00:27:43,624 よろしくお願いします。 312 00:27:43,624 --> 00:27:46,627 (綾緒)あの 何ですか? 実験って。 313 00:27:46,627 --> 00:27:48,629 事件当日の午後6時ごろ➡ 314 00:27:48,629 --> 00:27:51,632 祐介君が 蔵の中から出てきたときの➡ 315 00:27:51,632 --> 00:27:53,632 現場の状況を 確かめます。 316 00:27:55,636 --> 00:27:57,638 祐介君➡ 317 00:27:57,638 --> 00:28:00,641 蔵の中にいる刑事さんを 呼んできてもらえるかな? 318 00:28:00,641 --> 00:28:02,641 は~い。 うん。 319 00:28:19,660 --> 00:28:23,664 刑事さん もう いないよ。 320 00:28:23,664 --> 00:28:25,664 えっ? 321 00:28:28,669 --> 00:28:30,671 もう いないよ。 322 00:28:30,671 --> 00:28:32,671 いない? 323 00:28:36,611 --> 00:28:38,611 あっ… そうか。 324 00:28:46,621 --> 00:28:50,621 (片桐)鵜飼さん! 大丈夫ですか!? すいません ごめんなさい。 325 00:28:54,629 --> 00:28:56,631 もう いいですか? ええ。 もう いいですよ。 326 00:28:56,631 --> 00:28:58,633 お疲れさまでした。 327 00:28:58,633 --> 00:29:00,635 あっ… すいません。 328 00:29:00,635 --> 00:29:02,637 (鵜飼)ハンカチ! 329 00:29:02,637 --> 00:29:04,639 (多可志) 何ですか? これは いったい…。 330 00:29:04,639 --> 00:29:07,642 昨日の午後6時に 林水さんは➡ 331 00:29:07,642 --> 00:29:10,645 蔵の中に いたということですね。 そのとおり。 332 00:29:10,645 --> 00:29:12,647 どういうことですか? 333 00:29:12,647 --> 00:29:14,649 マリモさんが倒れていたときも➡ 334 00:29:14,649 --> 00:29:18,653 祐介君は 「もう いない」と言いました。 335 00:29:18,653 --> 00:29:22,657 《あれ? 祐介君 どうしたの?》 336 00:29:22,657 --> 00:29:25,660 《マリモさん もう いないよ》 337 00:29:25,660 --> 00:29:27,662 祐介が 嘘を? 338 00:29:27,662 --> 00:29:30,665 いや 嘘ではなく 認識の違いだと思います。 339 00:29:30,665 --> 00:29:32,600 何ですか? その 「認識の違い」っていうのは。 340 00:29:32,600 --> 00:29:35,603 きっと 祐介君の 「いない」という言葉には➡ 341 00:29:35,603 --> 00:29:37,605 「死んでいる」や 「動かなくなった状態」という➡ 342 00:29:37,605 --> 00:29:39,607 意味も 含まれているんだと思います。 343 00:29:39,607 --> 00:29:41,609 祐介君が大好きな ゲンマダイショーグンには➡ 344 00:29:41,609 --> 00:29:44,612 有名な決めぜりふが あるそうです。 345 00:29:44,612 --> 00:29:48,616 祐介君 ゲンマダイショーグンが 敵を倒したとき➡ 346 00:29:48,616 --> 00:29:50,618 何て言うんだっけ? 347 00:29:50,618 --> 00:29:52,620 悪いやつは もう いない。 348 00:29:52,620 --> 00:29:54,622 うん。 ありがとう。 祐介君➡ 349 00:29:54,622 --> 00:29:56,622 おうちで遊んできて いいよ。 うん。 350 00:29:59,627 --> 00:30:01,629 子供向けの番組で➡ 351 00:30:01,629 --> 00:30:03,631 「もう死んだ」とは 言えませんからね。 352 00:30:03,631 --> 00:30:06,634 蔵に向かって ケリーが吠えていたのも➡ 353 00:30:06,634 --> 00:30:09,637 林水さんが ここに いたからだったんですね。 354 00:30:09,637 --> 00:30:11,639 これで 昨日の6時ごろ➡ 355 00:30:11,639 --> 00:30:14,642 林水氏は この蔵の中で倒れていたことが➡ 356 00:30:14,642 --> 00:30:16,644 証明されました。 357 00:30:16,644 --> 00:30:19,647 6時すぎに 瀕死の林水氏を 車に乗せたという➡ 358 00:30:19,647 --> 00:30:21,649 マリモさんの証言とも 合致します。 359 00:30:21,649 --> 00:30:24,652 でも…。 ええ。 7時から8時の間➡ 360 00:30:24,652 --> 00:30:26,654 蔵は 開かない状態だった。 361 00:30:26,654 --> 00:30:29,657 そのとき 中に 誰がいたのかという➡ 362 00:30:29,657 --> 00:30:32,593 新たな問題が ここで浮上します。 363 00:30:32,593 --> 00:30:34,595 ところで 林水氏は➡ 364 00:30:34,595 --> 00:30:36,597 エアコンが嫌いだったのでは ありませんか? 365 00:30:36,597 --> 00:30:38,599 (吉村)ええ そうですが。 366 00:30:38,599 --> 00:30:43,604 蔵の中は 絵を湿気から守るため 密閉状態に近い。 367 00:30:43,604 --> 00:30:46,607 その上 唯一の空気の通り道となる エアコンも 消され➡ 368 00:30:46,607 --> 00:30:49,610 ほぼ完全な 密封状態だったことが 想定できます。 369 00:30:49,610 --> 00:30:53,614 また 昨日は とても寒い日でした。 370 00:30:53,614 --> 00:30:56,617 林水氏は 電気ストーブを つけていたのでしょう。 371 00:30:56,617 --> 00:30:58,619 あの 犀川先生 何が おっしゃりたいんですか? 372 00:30:58,619 --> 00:31:00,621 これらの条件から➡ 373 00:31:00,621 --> 00:31:03,624 7時から8時の間 蔵の中に 誰がいたのか➡ 374 00:31:03,624 --> 00:31:06,624 その答えを 導きだすことができます。 375 00:31:10,631 --> 00:31:13,634 そうか…。 376 00:31:13,634 --> 00:31:15,636 そうだったんですね。 377 00:31:15,636 --> 00:31:17,638 (鵜飼)んっ? んっ? んっ? どういうことです? 378 00:31:17,638 --> 00:31:20,638 誰が 蔵の中に いたんですか? 379 00:31:24,645 --> 00:31:26,647 誰も いなかったんです。 380 00:31:26,647 --> 00:31:28,649 (鵜飼・片桐)えっ? 381 00:31:28,649 --> 00:31:31,669 (多可志)でも 確かに 内側から➡ 382 00:31:31,669 --> 00:31:33,587 かんぬきが 掛かっていたんですよ? 383 00:31:33,587 --> 00:31:35,589 (片桐) 誰も いないのに どうやって➡ 384 00:31:35,589 --> 00:31:38,592 内側から かんぬきを掛けるんですか? 385 00:31:38,592 --> 00:31:41,592 自然現象だったんです。 ねっ? 386 00:31:43,597 --> 00:31:45,599 ≪(綾緒)《祐介》➡ 387 00:31:45,599 --> 00:31:48,599 《ゲンマダイショーグン 始まるわよ~》 388 00:31:52,606 --> 00:31:55,609 午後6時ごろ 祐介君が 蔵を出た後➡ 389 00:31:55,609 --> 00:31:59,613 林水さんは 意識を取り戻したと考えられます。 390 00:31:59,613 --> 00:32:19,633 ♬~ 391 00:32:19,633 --> 00:32:30,644 ♬~ 392 00:32:30,644 --> 00:32:33,581 《えっ?》 393 00:32:33,581 --> 00:32:37,585 そして マリモさんが 病院へ連れていった。 394 00:32:37,585 --> 00:32:41,589 その後 電気ストーブが消えて 誰もいなくなった この部屋は➡ 395 00:32:41,589 --> 00:32:45,593 急速に冷え込み 空気が収縮されていったのです。 396 00:32:45,593 --> 00:32:48,596 すると 密閉された空間では➡ 397 00:32:48,596 --> 00:32:51,599 外壁を内側に引っ張る力が 働きます。 398 00:32:51,599 --> 00:32:55,603 閉じていた扉も 強い力で 内側に引っ張られ➡ 399 00:32:55,603 --> 00:32:58,603 鍵が掛かったような状態になった。 400 00:33:00,608 --> 00:33:02,610 (多可志) 《また こもるつもりかよ!》 401 00:33:02,610 --> 00:33:05,613 こうして 7時から8時にかけて➡ 402 00:33:05,613 --> 00:33:08,616 蔵の扉が開かなくなった現象が 起こったわけです。 403 00:33:08,616 --> 00:33:10,618 空気の収縮だけで➡ 404 00:33:10,618 --> 00:33:13,621 そんなに強い力が 働くのでしょうか? 405 00:33:13,621 --> 00:33:16,624 概算ですが 100℃の温度変化で➡ 406 00:33:16,624 --> 00:33:20,628 40% 空気は膨張 もしくは 収縮します。 407 00:33:20,628 --> 00:33:24,632 これは 1℃の温度変化で 0.4%の体積変化になります。 408 00:33:24,632 --> 00:33:30,638 気圧は 1平方cm当たり 約1kgなので その0.4%。 409 00:33:30,638 --> 00:33:34,575 つまり 4gだけ 圧力が増える計算です。 410 00:33:34,575 --> 00:33:36,577 (鵜飼)んっ? えっ でも たった4gですよね? 411 00:33:36,577 --> 00:33:39,580 「1平方cmで」ですよ。 412 00:33:39,580 --> 00:33:44,585 蔵の扉が 横1m 縦2mだとすると➡ 413 00:33:44,585 --> 00:33:46,587 10℃の温度変化で 800kg。 414 00:33:46,587 --> 00:33:48,589 そんな重い扉を 開けることは➡ 415 00:33:48,589 --> 00:33:51,592 できませんよね。 416 00:33:51,592 --> 00:33:54,595 うん。 ですね。 417 00:33:54,595 --> 00:33:57,598 扉が開かなかったため➡ 418 00:33:57,598 --> 00:34:00,598 蔵の中に 誰かがいたと 勘違いしてしまったのです。 419 00:34:02,603 --> 00:34:05,606 (多可志)でも➡ 420 00:34:05,606 --> 00:34:09,606 結局 親父を刺した犯人は 誰なんですか? 421 00:34:11,612 --> 00:34:15,616 それは 私には分かりません。 422 00:34:15,616 --> 00:34:20,621 (鵜飼)あの… 犀川先生 何か お考えがあるんですか? 423 00:34:20,621 --> 00:34:24,621 (綾緒)聞かせてください。 お願いします。 424 00:34:26,627 --> 00:34:32,566 僕は 香山 林水氏は 自殺したのだと思います。 425 00:34:32,566 --> 00:34:35,569 えっ!? 先生 それは あり得ないんじゃ…。 426 00:34:35,569 --> 00:34:38,572 だって 凶器が…。 (鵜飼)そうですよ。 427 00:34:38,572 --> 00:34:40,574 自殺なら 凶器がないのは おかしいですよね? 428 00:34:40,574 --> 00:34:42,576 凶器は この部屋に 残っていたと思います。 429 00:34:42,576 --> 00:34:44,578 はあ? (片桐)どこに 凶器が➡ 430 00:34:44,578 --> 00:34:46,578 あったんですか? 無我の匣の中です。 431 00:34:53,587 --> 00:34:55,589 そんな…。 432 00:34:55,589 --> 00:34:58,592 だって あの匣は レントゲンで撮っても➡ 433 00:34:58,592 --> 00:35:00,594 何も入ってなかったじゃ ないですか。 434 00:35:00,594 --> 00:35:03,597 まさか レントゲンには写らない ナイフが 入っていたんですか? 435 00:35:03,597 --> 00:35:05,599 今は 空っぽです。 436 00:35:05,599 --> 00:35:07,601 (鵜飼)ん~! どういうことでしょう? 437 00:35:07,601 --> 00:35:10,604 多可志さん あの つぼと匣を ここに持ってきてもらえませんか? 438 00:35:10,604 --> 00:35:13,604 えっ…。 西之園君 余計だよ。 439 00:35:15,609 --> 00:35:18,612 犀川先生は➡ 440 00:35:18,612 --> 00:35:21,615 本当は もう 分かってらっしゃるのですね? 441 00:35:21,615 --> 00:35:24,618 あの つぼの中から 鍵を取り出して➡ 442 00:35:24,618 --> 00:35:27,621 匣を開ける方法が。 443 00:35:27,621 --> 00:35:31,621 ホントに あの つぼの謎を? 444 00:35:34,561 --> 00:35:39,566 香山さん あの つぼと匣の 謎は➡ 445 00:35:39,566 --> 00:35:41,568 香山家の当主が 代々 背負うものです。 446 00:35:41,568 --> 00:35:43,570 (多可志)背負う? 447 00:35:43,570 --> 00:35:46,573 50年前 香山 風采氏は➡ 448 00:35:46,573 --> 00:35:52,573 あの つぼと匣の 謎を解き この蔵の中で自殺した。 449 00:35:58,585 --> 00:36:01,588 それ以来 ずっと 息子の林水氏は➡ 450 00:36:01,588 --> 00:36:04,591 あの つぼと匣の 謎を 背負ってきた。 451 00:36:04,591 --> 00:36:08,595 そして おそらく あの日 答えに到達し➡ 452 00:36:08,595 --> 00:36:10,595 風采氏と同じ道を選んだ。 453 00:36:15,602 --> 00:36:20,607 あの つぼと匣は そういうメカニズムのものです。 454 00:36:20,607 --> 00:36:23,610 それが メッセージなのです。 455 00:36:23,610 --> 00:36:29,616 (多可志) 私は 自殺なんて 真っ平です。➡ 456 00:36:29,616 --> 00:36:31,618 たとえ それが➡ 457 00:36:31,618 --> 00:36:33,620 祖父や父の 遺志であっても 嫌です!➡ 458 00:36:33,620 --> 00:36:36,623 あんなものに 命を懸けるなんて。 459 00:36:36,623 --> 00:36:38,625 犀川先生! 460 00:36:38,625 --> 00:36:41,628 つぼと匣の 謎を 解いてください!➡ 461 00:36:41,628 --> 00:36:44,631 それが分かったら 私は つぼを壊して➡ 462 00:36:44,631 --> 00:36:47,634 わが家に続く呪いを 終わらせます!➡ 463 00:36:47,634 --> 00:36:49,636 お願いします! 犀川先生! 464 00:36:49,636 --> 00:36:52,636 私は許しません。 465 00:36:54,641 --> 00:36:56,643 どうしてですか? 466 00:36:56,643 --> 00:36:58,645 皆さん その つぼと匣で 苦しめられてるのに。 467 00:36:58,645 --> 00:37:00,647 (綾緒)お母さま…。 468 00:37:00,647 --> 00:37:07,647 犀川さん 西之園さん 奥の部屋へ。 469 00:37:09,656 --> 00:37:11,656 行こう 西之園君。 470 00:38:54,995 --> 00:38:57,995 つぼと匣の 秘密を ご存じですね? 471 00:39:00,000 --> 00:39:03,003 (フミ)存じております。➡ 472 00:39:03,003 --> 00:39:07,003 しかし 全てでは ありません。 473 00:39:09,009 --> 00:39:13,013 あなたは 林水氏が 凶器で 自らの胸を刺した瞬間を➡ 474 00:39:13,013 --> 00:39:15,013 ご覧になった。 475 00:39:19,019 --> 00:39:23,023 死の3日前➡ 476 00:39:23,023 --> 00:39:26,026 無我の匣が開いたところを➡ 477 00:39:26,026 --> 00:39:30,030 あの方は 私に お見せになりました。 478 00:39:30,030 --> 00:39:34,034 これが 最後の一かけだと。 479 00:39:34,034 --> 00:39:38,038 中は 空っぽだったんじゃ…。 480 00:39:38,038 --> 00:39:42,038 そのときは 凶器が入っていた。 481 00:39:45,062 --> 00:39:48,982 とても温かかった。 482 00:39:48,982 --> 00:39:54,982 それを手にしているだけで 私は 涙が止まりませんでした。 483 00:39:58,992 --> 00:40:00,992 悲しかったから? 484 00:40:02,996 --> 00:40:05,999 なぜ 悲しむのです? 485 00:40:05,999 --> 00:40:10,003 あの方は ずっと 父 風采の 背中を 追い続け➡ 486 00:40:10,003 --> 00:40:12,005 最後の一かけを 探し求め➡ 487 00:40:12,005 --> 00:40:15,005 その答えを見つけたのですよ? 488 00:40:18,011 --> 00:40:20,013 己を滅し➡ 489 00:40:20,013 --> 00:40:25,018 仏様の ありのままの姿を 蘇らせる。 490 00:40:25,018 --> 00:40:29,018 それが 仏画師の使命です。 491 00:40:31,024 --> 00:40:34,027 生きるために 己を滅し➡ 492 00:40:34,027 --> 00:40:38,031 己を滅するために 生きる。 493 00:40:38,031 --> 00:40:43,036 あの方は 風采と同じ極みに達し➡ 494 00:40:43,036 --> 00:40:48,976 死をもって 自らの芸術を 完成させようとしたのです。 495 00:40:48,976 --> 00:40:50,976 そんな…。 496 00:40:54,982 --> 00:40:57,985 夢を見ているようで➡ 497 00:40:57,985 --> 00:41:04,992 私は 立っていることが できないほどでございました。➡ 498 00:41:04,992 --> 00:41:11,992 奇麗な血が とくとくと流れておりました。 499 00:41:17,004 --> 00:41:20,007 死の直前➡ 500 00:41:20,007 --> 00:41:23,007 林水氏は 逡巡されたのではないですか? 501 00:41:35,022 --> 00:41:40,027 風采と違って あの方は➡ 502 00:41:40,027 --> 00:41:44,027 極みに たどりつくまでに 時間が かかり過ぎたのです。 503 00:41:45,966 --> 00:41:47,968 だから…。 504 00:41:47,968 --> 00:41:50,968 人間とは そういうものです。 505 00:41:54,975 --> 00:41:58,979 「死の3日前 匣を開けた」と おっしゃいましたが➡ 506 00:41:58,979 --> 00:42:01,979 なぜ 3日間 待ったのですか? 507 00:42:03,984 --> 00:42:10,984 その3日間で あの方は 人生最後の絵を描きました。 508 00:42:14,995 --> 00:42:17,998 仏画ですか? 509 00:42:17,998 --> 00:42:21,001 いいえ。 510 00:42:21,001 --> 00:42:23,001 私の絵です。 511 00:42:31,011 --> 00:42:34,014 (フミ)あの3日間の幸せ…。➡ 512 00:42:34,014 --> 00:42:40,020 私は あの3日間のために 生きてきた。 513 00:42:40,020 --> 00:42:47,961 あの方が 仏ではなく この世を描いた➡ 514 00:42:47,961 --> 00:42:51,965 唯一無二の絵でございます。 515 00:42:51,965 --> 00:42:53,965 その絵は 今 どこに? 516 00:42:56,970 --> 00:42:59,973 焼きました。 517 00:42:59,973 --> 00:43:01,973 焼いた? 518 00:43:07,981 --> 00:43:11,981 (フミ)そうすることで 完成するのです。 519 00:43:13,987 --> 00:43:17,987 それも 最後の一かけですか? 520 00:43:21,995 --> 00:43:25,999 独り占めしたかったのです。 521 00:43:25,999 --> 00:43:30,003 あの方の 生も死も。 522 00:43:30,003 --> 00:43:34,007 フフフフ…。 523 00:43:34,007 --> 00:43:37,010 子供のようでございましょう? 524 00:43:37,010 --> 00:43:56,963 ♬~ 525 00:43:56,963 --> 00:44:01,963 この2つは お持ちになってください。 526 00:44:04,971 --> 00:44:08,971 この家には もう 不要のものです。 527 00:44:11,978 --> 00:44:13,980 いや でも…。 528 00:44:13,980 --> 00:44:16,983 この2つが なくなることが➡ 529 00:44:16,983 --> 00:44:21,983 香山家にとっての 最後の一かけとなるのです。 530 00:44:27,994 --> 00:44:29,994 さあ。 531 00:44:31,998 --> 00:44:39,005 もう 二度と お二人とは 会うこともないでしょうから。 532 00:44:39,005 --> 00:44:52,953 ♬~ 533 00:44:52,953 --> 00:44:56,957 (鵜飼)熱っ…。 (綾緒)大丈夫ですか? 534 00:44:56,957 --> 00:45:01,962 (鵜飼)あっ あっ… 犀川先生。 つぼと匣の 謎は? 535 00:45:01,962 --> 00:45:03,964 すいません。 536 00:45:03,964 --> 00:45:05,966 僕の早とちりでした。 537 00:45:05,966 --> 00:45:07,968 やはり 開けることは できませんでした。 538 00:45:07,968 --> 00:45:09,970 えっ? (多可志)えっ? 539 00:45:09,970 --> 00:45:12,973 いや でも もう大丈夫です。 この 呪われた つぼと匣は➡ 540 00:45:12,973 --> 00:45:15,976 フミさんから 僕たちが 譲り受けました。 541 00:45:15,976 --> 00:45:17,978 お母さまが!? ええ。 542 00:45:17,978 --> 00:45:19,980 いやいや いやいや…! だけど その匣の中に➡ 543 00:45:19,980 --> 00:45:21,982 凶器は あるんですよね? あっ いやいや いやいや…。 544 00:45:21,982 --> 00:45:24,985 それも また 勘違いでした。 545 00:45:24,985 --> 00:45:27,988 凶器は 林水氏が 川にでも 捨ててしまったのでしょう。 546 00:45:27,988 --> 00:45:29,990 うん。 空ですよ。 547 00:45:29,990 --> 00:45:33,994 えっ… 勘弁してくださいよ!➡ 548 00:45:33,994 --> 00:45:35,996 私 ここまでしたんですよ? 549 00:45:35,996 --> 00:45:39,996 (片桐)しかし なぜ お二人が その つぼと匣を? 550 00:45:45,939 --> 00:45:47,941 記念? 551 00:45:47,941 --> 00:45:52,946 ♬~ 552 00:45:52,946 --> 00:46:06,960 ♬~ 553 00:46:06,960 --> 00:46:08,962 では 始めよう。 554 00:46:08,962 --> 00:46:28,982 ♬~ 555 00:46:28,982 --> 00:46:34,988 ♬~ 556 00:46:34,988 --> 00:46:36,988 つぼの中を見てごらん。 557 00:46:38,992 --> 00:46:41,995 あれ? 振ってみて。 558 00:46:41,995 --> 00:46:43,997 あっ…。 559 00:46:43,997 --> 00:46:45,932 鍵が なくなったんだよ。 560 00:46:45,932 --> 00:46:48,935 あっ… 鍵が なくなったら 匣を開けられないじゃないですか。 561 00:46:48,935 --> 00:46:50,937 いや もう 開けられるはずだよ。 562 00:46:50,937 --> 00:46:52,939 鍵を 差し込んでないのに? 563 00:46:52,939 --> 00:46:55,942 鍵穴は フェイク。 こっちが本物。 564 00:46:55,942 --> 00:46:57,944 えっ? 565 00:46:57,944 --> 00:47:00,947 匣の中に 熱湯を入れると ふたのストッパーが➡ 566 00:47:00,947 --> 00:47:02,947 お湯の温度で 曲がるようになってるんだ。 567 00:47:04,951 --> 00:47:07,954 よし。 匣を開けてごらん。 568 00:47:07,954 --> 00:47:14,961 ♬~ 569 00:47:14,961 --> 00:47:23,970 ♬~ 570 00:47:23,970 --> 00:47:27,974 あっ! 鍵が 凶器に変わったってことですね? 571 00:47:27,974 --> 00:47:30,977 ああ。 えっ でも どうやって? 572 00:47:30,977 --> 00:47:33,980 つぼの中の鍵は 60℃でも融解する➡ 573 00:47:33,980 --> 00:47:36,983 易融合金という 特殊な金属で 作られていたんだよ。 574 00:47:36,983 --> 00:47:40,987 熱湯で溶けた 易融合金を➡ 575 00:47:40,987 --> 00:47:42,987 お湯ごと匣に注ぐ。 576 00:47:45,925 --> 00:47:48,928 匣の中には ナイフ型の くぼみがあり➡ 577 00:47:48,928 --> 00:47:52,932 溶けた金属が そこに沈殿する。 578 00:47:52,932 --> 00:47:57,937 お湯が冷めると 易融合金は固まり 鋭いナイフに 生まれ変わる。 579 00:47:57,937 --> 00:48:17,957 ♬~ 580 00:48:17,957 --> 00:48:19,959 ♬~ 581 00:48:19,959 --> 00:48:21,961 あったかい…。 582 00:48:21,961 --> 00:48:23,963 ナイフで 胸を刺した後➡ 583 00:48:23,963 --> 00:48:26,966 つぼに戻し 熱湯を入れ 溶けるのを待つ。 584 00:48:26,966 --> 00:48:29,969 つぼの底は 鍵の形に くぼんでいるはずだ。 585 00:48:29,969 --> 00:48:34,969 あとは 冷めたお湯を 捨てれば 固まった鍵が つぼの中に戻る。 586 00:48:36,976 --> 00:48:39,979 だから 現場に 凶器は 残っていなかったんですね。 587 00:48:39,979 --> 00:48:42,982 ああ。 588 00:48:42,982 --> 00:48:46,986 香山 林水氏は 自分の胸を刺した後➡ 589 00:48:46,986 --> 00:48:49,989 蔵の外に 出ていきました。 590 00:48:49,989 --> 00:48:54,994 それは 生への執着だったのでは ないでしょうか。 591 00:48:54,994 --> 00:48:58,998 自殺する前に 逡巡していたって…。 592 00:48:58,998 --> 00:49:02,001 ホントに 林水氏は➡ 593 00:49:02,001 --> 00:49:05,004 自分の力だけで ナイフを突き刺せたのでしょうか? 594 00:49:05,004 --> 00:49:09,008 西之園君 それは もう 検証のしようがないよ。 595 00:49:09,008 --> 00:49:12,011 仮に 他の誰かが ナイフをつかんだとしても➡ 596 00:49:12,011 --> 00:49:14,011 指紋は残らない。 597 00:49:16,015 --> 00:49:20,019 これは そういうシステムの凶器なんだ。 598 00:49:20,019 --> 00:49:24,023 香山家は 因習から解放された。 599 00:49:24,023 --> 00:49:29,028 この匣の秘密を 命を懸けて解く人も いない。 600 00:49:29,028 --> 00:49:31,028 違うかい? 601 00:49:36,035 --> 00:49:40,039 問題 解けちゃいました。 602 00:49:40,039 --> 00:49:42,039 んっ? 603 00:49:52,986 --> 00:49:56,986 秘密は 再度 封印される。 604 00:51:52,672 --> 00:51:54,672 命題は この中にあります。