1 00:00:33,769 --> 00:00:35,788 テメエさえ いなけりゃ…。 2 00:00:35,788 --> 00:00:39,175 テメエが 彩香の初めてなんか 奪ったりしなけりゃよ…。 3 00:00:39,175 --> 00:00:42,645 何なんです!? これは! 4 00:00:42,645 --> 00:00:45,648 女性の過去や処女性を とりざたして→ 5 00:00:45,648 --> 00:00:47,616 時代錯誤も はなはだしい! 6 00:00:47,616 --> 00:00:50,803 鈴木先生… これこそ まさに→ 7 00:00:50,803 --> 00:00:53,456 はっきりと 指導すべき問題ですよ! 8 00:00:53,456 --> 00:00:56,175 《なぜ 足子先生が ここに? 9 00:00:56,175 --> 00:00:59,475 最悪だ… 最悪すぎるぜ…》 10 00:01:01,480 --> 00:01:03,780 足子先生… これは… その…。 11 00:01:05,868 --> 00:01:09,455 ひととおりの事情は 続木先生から聞きました。 12 00:01:09,455 --> 00:01:12,141 自己流のご指導を 試みたようですが→ 13 00:01:12,141 --> 00:01:15,127 どうやら 力 及ばなかったようですね。 14 00:01:15,127 --> 00:01:18,147 この場は 私が引き継ぎます。 15 00:01:18,147 --> 00:01:21,447 鈴木先生は 少し下がっていてください。 16 00:01:26,806 --> 00:01:30,860 山際君 よく聞きなさい。 17 00:01:30,860 --> 00:01:32,828 はい。 18 00:01:32,828 --> 00:01:35,164 はっきり言っておきます。 19 00:01:35,164 --> 00:01:39,819 さっき あなたが訴えた苦しみは 自分のエゴのせいです。 20 00:01:39,819 --> 00:01:41,804 自業自得。 21 00:01:41,804 --> 00:01:45,858 自分の包容力のなさを 恥じもせず→ 22 00:01:45,858 --> 00:01:51,497 過去を持つ女性を まるで汚いもののように軽蔑する。 23 00:01:51,497 --> 00:01:54,533 あなたのような男が どれほど女性たちを→ 24 00:01:54,533 --> 00:01:57,469 深く傷つけているか 少しは自覚なさい。 25 00:01:57,469 --> 00:02:01,874 あなたは 結局 自分の痛みしか考えてないのよ。 26 00:02:01,874 --> 00:02:04,793 相手の気持を まったく無視して→ 27 00:02:04,793 --> 00:02:08,197 何の思慮もなく 人の心を踏みにじって…。 28 00:02:08,197 --> 00:02:10,797 足子先生。 それは違う。 29 00:02:12,785 --> 00:02:16,488 山際は むしろ 処女性や過去を 気にしてしまう自分を深く恥じ→ 30 00:02:16,488 --> 00:02:19,475 その苦しみが 溜まり溜まったがゆえに→ 31 00:02:19,475 --> 00:02:21,460 今回の告白に至った。 32 00:02:21,460 --> 00:02:23,796 何の思慮もなく 人の心を踏みにじった事実など→ 33 00:02:23,796 --> 00:02:26,131 どこにも存在しません。 揚げ足取りは やめてください。 34 00:02:26,131 --> 00:02:28,801 私は この子に 女性の過去ではなく→ 35 00:02:28,801 --> 00:02:30,786 内面を見るように 指導しているんです。 36 00:02:30,786 --> 00:02:33,806 思春期を迎えた男子が 好きな女性の処女性を気にする→ 37 00:02:33,806 --> 00:02:36,859 という心理は ごく自然なものです。 38 00:02:36,859 --> 00:02:39,378 ただ 男の そういった思いが→ 39 00:02:39,378 --> 00:02:42,481 女性を苦しませ 悩ませる場合が あるということも事実です。 40 00:02:42,481 --> 00:02:44,483 山際。 41 00:02:44,483 --> 00:02:47,519 この件に関して 異性を前に語ることは→ 42 00:02:47,519 --> 00:02:50,122 本来 慎むべきだったな。 43 00:02:50,122 --> 00:02:52,124 はい…。 44 00:02:52,124 --> 00:02:56,812 しかし 処女性を パートナー選択の 判断基準にする人間を→ 45 00:02:56,812 --> 00:02:59,465 まるで人でなしのように蔑視する。 46 00:02:59,465 --> 00:03:01,917 そんな社会的ムードを 作り上げることも→ 47 00:03:01,917 --> 00:03:04,217 また おかしいと思います。 48 00:03:06,138 --> 00:03:10,138 ここで議論しても らちが明きませんね。 49 00:03:13,128 --> 00:03:15,798 今回の件の当事者については→ 50 00:03:15,798 --> 00:03:19,201 私が 後日 個別に面談と指導を行います。 51 00:03:19,201 --> 00:03:22,801 とにかく 今日は ここまで。 解散しましょう。 52 00:03:27,142 --> 00:03:32,548 どうしたの? あなたたち 帰りなさい。 53 00:03:32,548 --> 00:03:35,818 あの… 足子先生…。 54 00:03:35,818 --> 00:03:38,454 このままじゃ… その…。 55 00:03:38,454 --> 00:03:41,457 山際先輩が かわいそうっていうか…。 56 00:03:41,457 --> 00:03:44,893 確かに 先輩の言ったことは ひどいかもしれないけど→ 57 00:03:44,893 --> 00:03:48,814 私 責める気には なれません。 58 00:03:48,814 --> 00:03:52,801 あなた 女性なのに 男の身勝手を認めるの? 59 00:03:52,801 --> 00:03:55,788 いえ… そういうわけじゃ…。 60 00:03:55,788 --> 00:03:58,140 あの…。 61 00:03:58,140 --> 00:04:01,810 俺も ここで うやむやに しないほうが いいと思います。 62 00:04:01,810 --> 00:04:05,814 なんか… このまま帰ったら→ 63 00:04:05,814 --> 00:04:09,468 みんな すっげぇ モヤモヤする気がする…。 64 00:04:09,468 --> 00:04:12,471 (本木)それに 鈴木先生 さっき言ってたし。 65 00:04:12,471 --> 00:04:15,824 より深い学びが どうとかって。 66 00:04:15,824 --> 00:04:21,480 足子先生 悪いけど 僕らだけにしてくれませんか? 67 00:04:21,480 --> 00:04:24,917 鈴木先生と もう少し 話を続けたいんです。 68 00:04:24,917 --> 00:04:28,517 僕も… お願いします。 69 00:04:32,574 --> 00:04:36,874 なるほど。 私は 邪魔ってことね。 70 00:04:38,814 --> 00:04:41,800 よくわかりました。 71 00:04:41,800 --> 00:04:45,804 鈴木先生 どうぞ続けてください。 72 00:04:45,804 --> 00:04:48,841 足子先生。 邪魔者は消えますので→ 73 00:04:48,841 --> 00:04:52,411 存分に ご自身の教育手腕を 発揮なさってください。 74 00:04:52,411 --> 00:04:55,211 お気になさらず。 それじゃ。 75 00:08:12,811 --> 00:08:15,898 みんな すまなかったな。 76 00:08:15,898 --> 00:08:19,134 俺も謝らないと。 77 00:08:19,134 --> 00:08:23,789 彩香 ごめん。 78 00:08:23,789 --> 00:08:26,308 お前の過去のこと みんなの前で→ 79 00:08:26,308 --> 00:08:28,310 あんなふうに 言うべきじゃなかった。 80 00:08:28,310 --> 00:08:30,310 すまん。 81 00:08:32,798 --> 00:08:35,484 山際 恥ずかしいか? 82 00:08:35,484 --> 00:08:38,784 女性の過去にとらわれてる自分が。 83 00:08:40,822 --> 00:08:42,791 だろうな。 84 00:08:42,791 --> 00:08:45,193 交際相手が処女かどうかを 気にするということは→ 85 00:08:45,193 --> 00:08:47,112 所詮 男のエゴに過ぎない。 86 00:08:47,112 --> 00:08:49,798 恥を感じて当然だ。 先生。 87 00:08:49,798 --> 00:08:52,467 それじゃ あんまりにも先輩が。 聞いてくれ。 88 00:08:52,467 --> 00:08:58,373 今 山際が感じたエゴは あらゆる 価値観にまつわるエゴであって→ 89 00:08:58,373 --> 00:09:01,159 必ずしも処女性だけに 言えることではないんだ。 90 00:09:01,159 --> 00:09:05,547 例えば 外見で恋人を選ぶものと→ 91 00:09:05,547 --> 00:09:07,466 内面を見て選ぶもの。 92 00:09:07,466 --> 00:09:10,118 どっちが人間として 立派だと思う? 93 00:09:10,118 --> 00:09:14,506 そりゃ 中身で選んだほうが 立派に決まってます。 94 00:09:14,506 --> 00:09:19,144 しかし 性格を重視して パートナーを選ぶという心理にも→ 95 00:09:19,144 --> 00:09:21,813 ある種の打算が 含まれてないだろうか? 96 00:09:21,813 --> 00:09:25,300 優しくされたい 裏切られたくないという→ 97 00:09:25,300 --> 00:09:29,304 自分かわいさゆえの 保身が含まれてないだろうか。 98 00:09:29,304 --> 00:09:36,812 内面 外見 あるいは経済力や学歴。 99 00:09:36,812 --> 00:09:41,483 処女性。 どんな価値観で パートナーを選ぼうとも→ 100 00:09:41,483 --> 00:09:45,454 そこには必ず 何らかの エゴが隠されているものだ。 101 00:09:45,454 --> 00:09:50,142 山際は今 自分自身のエゴに気づき→ 102 00:09:50,142 --> 00:09:52,811 それゆえの痛みを感じた。 103 00:09:52,811 --> 00:09:56,798 しかし 世の中には 自分の価値観を→ 104 00:09:56,798 --> 00:09:58,800 絶対的なものだと信じ→ 105 00:09:58,800 --> 00:10:02,154 そこに含まれた エゴの存在を自覚しないものが→ 106 00:10:02,154 --> 00:10:06,654 あまりにも多いんだ。 さっきの足子先生だよな。 107 00:10:09,795 --> 00:10:12,814 ひとつの価値観が 何者かによって→ 108 00:10:12,814 --> 00:10:15,200 有無を言わせぬ方法で 潰されること。 109 00:10:15,200 --> 00:10:19,805 また ひとつの価値観が 世の中の すべてを支配してしまうこと。 110 00:10:19,805 --> 00:10:22,841 俺は これらを 何よりも恐れているんだ。 111 00:10:22,841 --> 00:10:28,146 先生 先生の話が事実だとしたら→ 112 00:10:28,146 --> 00:10:33,151 結局 恋愛も結婚も ただの 打算に過ぎないってことですか? 113 00:10:33,151 --> 00:10:35,151 そのとおり。 114 00:10:37,155 --> 00:10:39,174 かもしれないな。 115 00:10:39,174 --> 00:10:43,462 恋愛や結婚がより幸福になりたい。 116 00:10:43,462 --> 00:10:46,481 より 優れた子孫を 残したいという→ 117 00:10:46,481 --> 00:10:49,117 本能だけによるものだとしたらな。 118 00:10:49,117 --> 00:10:54,056 そんなの悲しすぎるよ。 119 00:10:54,056 --> 00:10:55,974 それじゃ みんな結局→ 120 00:10:55,974 --> 00:10:58,310 自分の幸せしか 考えてないってことになっちまう。 121 00:10:58,310 --> 00:11:00,862 本木 どんな入り口から→ 122 00:11:00,862 --> 00:11:03,448 人のことを 好きになろうと構わないんだ。 123 00:11:03,448 --> 00:11:09,304 問題なのは 入り口ではなく そこから先なんだ。 124 00:11:09,304 --> 00:11:11,473 そこから先? 125 00:11:11,473 --> 00:11:15,477 パートナーとの関わりのなかで→ 126 00:11:15,477 --> 00:11:18,980 いつしか本能的な エゴから解き放たれ→ 127 00:11:18,980 --> 00:11:22,284 自分自身よりも 相手を尊重する人間になる。 128 00:11:22,284 --> 00:11:24,519 それが 真の意味で→ 129 00:11:24,519 --> 00:11:26,819 人を愛する ということではないだろうか。 130 00:11:30,776 --> 00:11:34,663 じゃあ 俺は 今のままでいいんですか? 131 00:11:34,663 --> 00:11:39,134 今のまま 好きな女の過去のことを→ 132 00:11:39,134 --> 00:11:42,137 気にする 男でいても いいんですか? 133 00:11:42,137 --> 00:11:46,525 ああ。 134 00:11:46,525 --> 00:11:48,625 お前のその価値観は許されている。 135 00:11:51,129 --> 00:11:53,648 だが 忘れるな その価値観が正しいんじゃない。 136 00:11:53,648 --> 00:11:56,785 ただ 許されてるだけだ。 137 00:11:56,785 --> 00:11:59,755 他のあらゆる価値観 あらゆるエゴと同様→ 138 00:11:59,755 --> 00:12:01,755 その存在を 許されてるだけだ。 139 00:12:03,642 --> 00:12:07,742 そのエゴに伴う痛みを どうか忘れないでほしいんだ。 140 00:12:12,484 --> 00:12:18,390 しかし 過去を気にする男は 女性にとって 常に敵だろうか。 141 00:12:18,390 --> 00:12:20,308 中村 どう思う? 142 00:12:20,308 --> 00:12:23,178 私!? 143 00:12:23,178 --> 00:12:26,481 そりゃあ やみくもにこだわる人は やだけど→ 144 00:12:26,481 --> 00:12:28,834 あ! 145 00:12:28,834 --> 00:12:31,636 うん? どうした? 言ってみろ。 146 00:12:31,636 --> 00:12:35,791 あの 話が ずれちゃうかもしれないけど→ 147 00:12:35,791 --> 00:12:38,960 私 いつか王子様みたいな人と 出会えて→ 148 00:12:38,960 --> 00:12:42,481 結婚できたらな なんて 思っちゃってるとこがあって。 149 00:12:42,481 --> 00:12:44,900 その人のために 今キスとか→ 150 00:12:44,900 --> 00:12:48,470 それ以上とか とっておいたとして いつか出会えたとき→ 151 00:12:48,470 --> 00:12:50,856 とっておいたことを 喜んでもらえたら→ 152 00:12:50,856 --> 00:12:52,956 やっぱ すっごく嬉しいと思う。 153 00:12:55,961 --> 00:12:58,680 そんなの変だよ。 154 00:12:58,680 --> 00:13:01,480 そんなの絶対におかしい! 155 00:13:03,635 --> 00:13:07,322 だって私 竹地に たくさん たくさん優しいことしてあげた。 156 00:13:07,322 --> 00:13:11,977 竹地 すっごい喜んでくれたよ。 でも それって私が→ 157 00:13:11,977 --> 00:13:14,629 岬や山際先輩とかと いっぱい経験して→ 158 00:13:14,629 --> 00:13:17,182 いろいろ わかったから してあげられたことなんだよ。 159 00:13:17,182 --> 00:13:20,282 経験しないでいたら 何も してあげられなかったんだから! 160 00:13:22,304 --> 00:13:26,358 ナカは 男と女のことなんて 何もわかってない! 161 00:13:26,358 --> 00:13:29,458 何も わかってないよ! 162 00:13:31,479 --> 00:13:38,286 そんなに処女が大事だったら そんなに過去が問題だったら。 163 00:13:38,286 --> 00:13:41,439 私は どうすればいいのよ! 164 00:13:41,439 --> 00:13:56,071 (泣き声) 165 00:13:56,071 --> 00:13:58,671 河辺 聞いてくれ。 166 00:14:03,311 --> 00:14:05,313 女性の過去を気にしたり→ 167 00:14:05,313 --> 00:14:09,467 処女に こだわるという考え方は たしかにある。 168 00:14:09,467 --> 00:14:12,520 だが それは たくさんある考え方の→ 169 00:14:12,520 --> 00:14:14,520 たったひとつにすぎないんだ。 170 00:14:17,125 --> 00:14:19,194 みんな 今日の課外授業では→ 171 00:14:19,194 --> 00:14:21,294 次の公式を胸に刻んでほしい。 172 00:14:23,665 --> 00:14:25,665 ちょっと来てくれ。 173 00:14:41,866 --> 00:14:44,366 (岬)学習率? 174 00:14:46,972 --> 00:14:49,958 体験というものは 人間性を磨く上での→ 175 00:14:49,958 --> 00:14:51,960 貴重な教材だ。 176 00:14:51,960 --> 00:14:55,297 さまざまな体験という名の 教材の中から→ 177 00:14:55,297 --> 00:14:57,482 確実に身についた内容だけが→ 178 00:14:57,482 --> 00:15:00,318 人間にとって 真の学びとなる。 179 00:15:00,318 --> 00:15:04,789 体験を分母に 学びを分子にして→ 180 00:15:04,789 --> 00:15:09,311 出た答えの数値を 仮に 学習率と呼ぶようにしよう。 181 00:15:09,311 --> 00:15:12,614 この数値が高いのは どのような人間といえる? 182 00:15:12,614 --> 00:15:15,634 竹地 わかるか? 183 00:15:15,634 --> 00:15:20,555 あらゆることから 多くを学べる人間。 184 00:15:20,555 --> 00:15:26,461 そうだ さまざまな事情から 多くを体験してしまった者はな→ 185 00:15:26,461 --> 00:15:29,481 そのぶん頑張って学習率を上げ→ 186 00:15:29,481 --> 00:15:32,500 立派で すてきな大人になればいいんだ。 187 00:15:32,500 --> 00:15:34,800 河辺。 188 00:15:37,806 --> 00:15:41,292 お前は たくさんの教材を手に入れた。 189 00:15:41,292 --> 00:15:43,478 それを放りっぱなしにして→ 190 00:15:43,478 --> 00:15:47,482 生きていく上での 邪魔な重荷と考えるか→ 191 00:15:47,482 --> 00:15:53,282 あるいは そこから多くを学び 人間性を磨く上での糧にするか。 192 00:15:55,674 --> 00:15:57,774 すべては お前次第なんだ。 193 00:16:00,662 --> 00:16:03,732 先生。 うん? 194 00:16:03,732 --> 00:16:06,332 ありがとう。 195 00:16:14,025 --> 00:16:16,825 今日の授業はここまで。 196 00:16:20,031 --> 00:16:23,301 先生 さよなら。 気をつけてな。 197 00:16:23,301 --> 00:16:26,171 《何かが 完全に片づいたわけでもない。 198 00:16:26,171 --> 00:16:31,443 誰かが俺の指導で 一瞬にして 変わったわけでもない。 199 00:16:31,443 --> 00:16:35,697 だが みんな どうか折に触れて 思い出してくれ。 200 00:16:35,697 --> 00:16:37,997 今日の学びを》 201 00:18:18,800 --> 00:18:22,303 そっか しんどい 課外授業だったんだね。 202 00:18:22,303 --> 00:18:24,989 僕の指導法は 他のやり方とは違うから→ 203 00:18:24,989 --> 00:18:29,477 何か問題が起こって訴えられたら たちまち非難の的になる。 204 00:18:29,477 --> 00:18:33,131 う~ん 既存の方法に沿って やっていれば→ 205 00:18:33,131 --> 00:18:35,800 仮に結果が 伴わなかったとしても→ 206 00:18:35,800 --> 00:18:38,303 しかたないねで 済まされるのにね。 207 00:18:38,303 --> 00:18:42,223 それでも 叩いてくる人はいるけどね。 208 00:18:42,223 --> 00:18:45,627 私も受けてみたいな 鈴木君の授業。 209 00:18:45,627 --> 00:18:49,280 ん? 私ね ずっと気になってたの。 210 00:18:49,280 --> 00:18:54,302 鈴木先生は いつから 鈴木先生になったのかなって。 211 00:18:54,302 --> 00:18:56,287 えっ? どうして そんなふうに→ 212 00:18:56,287 --> 00:18:58,790 大変なほうを 選ぶようになったのかなって。 213 00:18:58,790 --> 00:19:02,977 ひとりの生徒との出会いが→ 214 00:19:02,977 --> 00:19:08,132 僕の教師としてのあり方を 決定づけた気がする。 215 00:19:08,132 --> 00:19:11,302 彼女に出会っていなければ→ 216 00:19:11,302 --> 00:19:15,790 僕は きっと今とは違ったタイプの 教師になっていた。 217 00:19:15,790 --> 00:19:20,495 彼女って 小川さんのこと? 218 00:19:20,495 --> 00:19:25,095 違うよ まだ僕が 教師になったばっかりのときの話。 219 00:19:27,151 --> 00:19:32,790 あの頃の僕は 生徒たちが起こす トラブルの処理に追われて→ 220 00:19:32,790 --> 00:19:35,660 毎日 ヘトヘトに消耗していた。 221 00:19:35,660 --> 00:19:38,179 ((ほら 静かにしろ!)) 222 00:19:38,179 --> 00:19:42,150 これがまた みごとに 問題児揃いのクラスでね。 223 00:19:42,150 --> 00:19:44,152 ((おい おしゃべりやめろ ほら! 224 00:19:44,152 --> 00:19:46,688 (川野)鈴木先生 ちょっと ちょっと! 225 00:19:46,688 --> 00:19:48,688 はい。 226 00:19:55,463 --> 00:19:58,149 アイツら 今度何やらかしたの? やっぱ サボってたんでしょ。 227 00:19:58,149 --> 00:20:01,135 静かにしろ 詳しくは まだ わからん。 228 00:20:01,135 --> 00:20:05,657 とにかく俺は行くから お前ら 掃除しっかり頼むぞ。 229 00:20:05,657 --> 00:20:08,157 おい 掃除当番 手上げてみろ!)) 230 00:20:11,980 --> 00:20:14,132 掃除当番は よりによって1班。 231 00:20:14,132 --> 00:20:18,052 学年でも 1 2を争う問題児 増田廣香に→ 232 00:20:18,052 --> 00:20:20,622 サボりの常習犯 佐藤。 233 00:20:20,622 --> 00:20:23,124 流され屋の金井。 234 00:20:23,124 --> 00:20:28,613 メンタルの面で問題を抱え カウンセリングに通っている大野。 235 00:20:28,613 --> 00:20:32,617 唯一 安心なのは これといった 問題もない女子生徒→ 236 00:20:32,617 --> 00:20:35,803 丸山康子だけだった》 237 00:20:35,803 --> 00:20:39,974 当時 目立つ問題児にばかり 気を取られて→ 238 00:20:39,974 --> 00:20:45,074 すっかり見落としてたんだ 丸山の苦しさを。 239 00:20:47,482 --> 00:20:50,802 丸山康子 成績もまずまず。 240 00:20:50,802 --> 00:20:54,806 行動も特に目立つところのない 普通の生徒。 241 00:20:54,806 --> 00:20:58,960 僕が彼女の苦悩に気づいたのは それから2年後→ 242 00:20:58,960 --> 00:21:03,631 彼女が中学を卒業して 半年も経ってからだった。 243 00:21:03,631 --> 00:21:07,018 彼女に再会して 何か言われたとか? 244 00:21:07,018 --> 00:21:11,306 いや 彼女が死んだんだ。 245 00:21:11,306 --> 00:21:14,659 それって もしかして…。 246 00:21:14,659 --> 00:21:18,129 いや 突然死だったんだ。 247 00:21:18,129 --> 00:21:21,632 朝 母親が部屋に入ったら→ 248 00:21:21,632 --> 00:21:25,520 もうベッドの中で 亡くなっていたんだそうだ。 249 00:21:25,520 --> 00:21:29,520 死因は 結局わからなかったらしい。 250 00:21:36,297 --> 00:21:38,299 ((いろいろ なんか買いたいんだよね。 251 00:21:38,299 --> 00:21:41,736 《思ったとおりだ。 252 00:21:41,736 --> 00:21:43,955 増田と大野は掃除をサボり→ 253 00:21:43,955 --> 00:21:49,477 残っているのは 丸山 佐藤 金井の3人のみ。 254 00:21:49,477 --> 00:21:52,113 しかも 丸山以外の2人は→ 255 00:21:52,113 --> 00:21:56,317 極めて いい加減な態度で 机を運んでいる》 256 00:21:56,317 --> 00:22:01,222 あっ 先生 俺ら ちゃんとやってるっしょ。 257 00:22:01,222 --> 00:22:05,476 《だが この場合 机の運び方を注意するよりも→ 258 00:22:05,476 --> 00:22:09,897 掃除に残ったことを まず評価してやらねば》 259 00:22:09,897 --> 00:22:12,784 よし! よく やってるな。 260 00:22:12,784 --> 00:22:14,969 ヘヘヘ… まぁね。 261 00:22:14,969 --> 00:22:16,954 で 増田と大野は? 262 00:22:16,954 --> 00:22:18,973 サボって 帰りました。 263 00:22:18,973 --> 00:22:22,193 ったく… しかたねえヤツらだな。 264 00:22:22,193 --> 00:22:25,493 本当に マジ ダメだよ アイツら。 265 00:22:28,633 --> 00:22:34,839 《金井は 1年の頃 クラスメイトから 陰湿ないじめに遭っていた。 266 00:22:34,839 --> 00:22:37,291 佐藤は 早くに母親を亡くし→ 267 00:22:37,291 --> 00:22:40,845 まま母への反発から 一時は荒れかけた。 268 00:22:40,845 --> 00:22:46,300 だが 今は 2人とも それぞれの事情を克服し→ 269 00:22:46,300 --> 00:22:49,787 長所を伸ばしながら 成長しているんだ。 270 00:22:49,787 --> 00:22:54,292 机の運び方くらいは 大目にみてやらないとな。 271 00:22:54,292 --> 00:22:59,997 丸山康子… なんて わびしい目で見るんだ。 272 00:22:59,997 --> 00:23:04,997 いかん。 彼女にも声をかけなければ》 273 00:23:08,656 --> 00:23:12,276 それじゃ 早めに済ましちゃおうか。 274 00:23:12,276 --> 00:23:15,830 だいぶ 時間が かかりすぎているみたいだ。 275 00:23:15,830 --> 00:23:17,830 なっ? 276 00:23:19,801 --> 00:23:22,370 はい。 277 00:23:22,370 --> 00:23:27,370 じゃあ 俺はちょっと 用があるから あと 頼んだぞ)) 278 00:25:18,803 --> 00:25:22,957 中学時代 丸山康子は 毎日 日記をつけていた。 279 00:25:22,957 --> 00:25:28,362 四十九日の席で 母親が 僕に コピーを渡してくれた。 280 00:25:28,362 --> 00:25:32,316 その日記の中には さっきの出来事についても→ 281 00:25:32,316 --> 00:25:34,468 詳しく書かれてたんだ。 282 00:25:34,468 --> 00:25:37,138 ((アイツら 絶対 サボりに決まってんじゃん。 283 00:25:37,138 --> 00:25:39,123 そう言うな)) 284 00:25:39,123 --> 00:25:43,828 ((丸山:「今日 帰りの ホームルームの時間 川野先生が来て→ 285 00:25:43,828 --> 00:25:46,128 鈴木先生を呼んだ」)) 286 00:26:00,161 --> 00:26:02,761 ((増田さん。 287 00:26:06,834 --> 00:26:09,834 (増田)面倒くせぇ。 288 00:26:13,474 --> 00:26:16,127 おい! 待てよ。 289 00:26:16,127 --> 00:26:19,513 お前らも帰りゃいいだろ。 290 00:26:19,513 --> 00:26:22,566 (大野)僕も センター 行かなきゃ。 291 00:26:22,566 --> 00:26:25,169 センター 行かなきゃ。 おい! 292 00:26:25,169 --> 00:26:27,769 センター 行かなきゃダメなんだよ! 293 00:26:30,007 --> 00:26:32,307 なんだよ! アイツら…。 294 00:26:54,298 --> 00:26:57,335 (佐藤)それが なんか 駅前に出ちゃったみたいな。 295 00:26:57,335 --> 00:27:00,404 それで それで なんか 武器みたいの持ってて→ 296 00:27:00,404 --> 00:27:03,290 鎌とか斧とか持ってたらしい。 えっ!? 297 00:27:03,290 --> 00:27:06,811 ねぇ 早く終わらせて 早く帰ろう。 298 00:27:06,811 --> 00:27:10,815 うっせえな! 適当でいいんだよ 掃除なんて。 299 00:27:10,815 --> 00:27:13,300 なぁ? 300 00:27:13,300 --> 00:27:15,302 うん。 301 00:27:15,302 --> 00:27:18,372 教室が汚くなるでしょ。 302 00:27:18,372 --> 00:27:20,307 平気だって。 303 00:27:20,307 --> 00:27:23,210 だいたい 俺ら 出てるだけ ましなんだからよ。 304 00:27:23,210 --> 00:27:26,310 俺らだけ まじめにやることはねえよ。 305 00:27:34,121 --> 00:27:39,810 《わかるよ 私だって そう思うもん。 306 00:27:39,810 --> 00:27:41,796 思うけど…》 307 00:27:41,796 --> 00:27:45,850 なんでよ! ジュース ジュース… ジュース やるから。 308 00:27:45,850 --> 00:27:48,450 教えてよ。 嫌だ! ダメ。 309 00:27:51,922 --> 00:27:57,422 (机を引きずる音) 310 00:28:18,899 --> 00:28:21,135 あ… 先生。 311 00:28:21,135 --> 00:28:23,170 俺ら ちゃんとやってるっしょ? 312 00:28:23,170 --> 00:28:26,270 よし よくやってるな。 313 00:28:29,143 --> 00:28:33,297 で 増田と大野は? サボって帰りました。 314 00:28:33,297 --> 00:28:35,783 しかたねえヤツらだな。 315 00:28:35,783 --> 00:28:39,153 《よくやってる… そうだよね。 316 00:28:39,153 --> 00:28:43,541 この場合 そう言うしかないよね。 317 00:28:43,541 --> 00:28:47,845 でも… 真面目に掃除をしなくても→ 318 00:28:47,845 --> 00:28:52,345 先生が 許してくれる事情って何?》 319 00:29:01,792 --> 00:29:05,129 《何か 声かけてくれる?》 320 00:29:05,129 --> 00:29:09,233 それじゃあ 早めに済ませちゃおうか。 321 00:29:09,233 --> 00:29:13,320 だいぶ 時間もかかり過ぎてるみたいだ。 322 00:29:13,320 --> 00:29:15,320 な! 323 00:29:18,793 --> 00:29:21,479 はい。 324 00:29:21,479 --> 00:29:25,779 じゃ 俺はちょっと用があるから。 あと 頼んだぞ。 325 00:29:31,555 --> 00:29:37,155 《よかった。 ショックを受けたこと 気づかれずに済んだ》 326 00:29:39,313 --> 00:29:42,516 《事情もないのに 気遣ってほしいなんて→ 327 00:29:42,516 --> 00:29:44,516 言えない》 328 00:29:50,124 --> 00:29:53,844 《だって 事情のある子は 他にたくさんいる。 329 00:29:53,844 --> 00:29:59,444 先生は そういう子たちに 時間を割かなきゃいけないから》 330 00:30:05,906 --> 00:30:07,906 はい。 あぁ ありがとう。 331 00:30:10,127 --> 00:30:13,531 康子 どうした? 332 00:30:13,531 --> 00:30:16,467 具合でも悪いのか? 333 00:30:16,467 --> 00:30:19,119 学校で何かあったの? 334 00:30:19,119 --> 00:30:21,805 言ってごらん。 335 00:30:21,805 --> 00:30:24,325 どうしたんだ? 336 00:30:24,325 --> 00:30:30,825 《家では お父さんもお母さんも ちゃんと気づいてくれる》 337 00:30:32,883 --> 00:30:34,883 大丈夫だよ。 338 00:30:36,804 --> 00:30:41,475 (丸山)「やっぱり 私は恵まれてる。 339 00:30:41,475 --> 00:30:46,397 掃除をサボる事情なんか どこにもない。 340 00:30:46,397 --> 00:30:50,197 だから 頑張らなくちゃ」)) 341 00:30:55,072 --> 00:30:58,172 だから 頑張らなくちゃ… か。 342 00:31:00,444 --> 00:31:03,197 なんか キツいね。 343 00:31:03,197 --> 00:31:07,497 そのキツさに 僕は気づかなかった。 344 00:31:12,806 --> 00:31:17,845 ((めっちゃ難しいクエスト クリアした。 すごくない? すごくない? 345 00:31:17,845 --> 00:31:23,145 それで いろいろクエストあんだけど 進めてくと ラスボスみたいなの…。 346 00:31:25,169 --> 00:31:28,169 おい 聞いてんのかよ! 347 00:31:30,791 --> 00:31:35,162 やっぱ まずくないかな? あぁ!? 348 00:31:35,162 --> 00:31:40,351 掃除… 丸山にだけやらせてさ。 349 00:31:40,351 --> 00:31:44,151 知るか! やりたいヤツに やらしときゃいいんだよ! 350 00:31:47,157 --> 00:31:49,257 《やりたいヤツって…》 351 00:32:06,460 --> 00:32:09,480 おい…。 352 00:32:09,480 --> 00:32:11,780 どうしたんだ?)) 353 00:32:14,518 --> 00:32:21,458 あの日 僕は 丸山の傷の深さを まったく想像できなかった。 354 00:32:21,458 --> 00:32:25,913 とにかく 次の日は 全員を掃除に強制参加させ→ 355 00:32:25,913 --> 00:32:29,213 僕が 終始はりついて 態度をチェックした。 356 00:32:32,453 --> 00:32:35,139 だけど 次の日…。 357 00:32:35,139 --> 00:32:38,158 また何かあったの? 358 00:32:38,158 --> 00:32:42,458 僕が 決定的なミスをおかしたんだ。 359 00:32:44,815 --> 00:32:49,787 あのとき僕は それがミスだとは 少しも気づかなかった。 360 00:32:49,787 --> 00:32:52,840 いや そのときの記憶さえ→ 361 00:32:52,840 --> 00:32:59,797 僕は長いこと すっかり忘れてたんだ。 362 00:32:59,797 --> 00:33:03,150 あの日記を読むまでは。 363 00:33:03,150 --> 00:33:10,507 ねぇ その日記 私にも 読ませてくれないかな? 364 00:33:10,507 --> 00:33:13,807 彼女の声 直接 聞いてみたいの。 365 00:35:49,166 --> 00:35:52,486 ((「掃除は 今日も全員参加。 366 00:35:52,486 --> 00:35:57,486 鈴木先生が みんなに約束させてくれたから」。 367 00:36:02,512 --> 00:36:05,465 白井:ヒロカ! 368 00:36:05,465 --> 00:36:07,801 お前 似合わねえこと してんじゃねぇよ! 369 00:36:07,801 --> 00:36:09,870 (千代田)早く行こうぜ! 370 00:36:09,870 --> 00:36:13,490 (増田)わりぃ! 先帰るわ! 371 00:36:13,490 --> 00:36:15,490 何やってんの? なっ! 372 00:36:19,846 --> 00:36:22,846 僕も センター行かなきゃ。 373 00:36:24,835 --> 00:36:26,835 やってられっかよ! 374 00:36:29,156 --> 00:36:31,756 行くぞ!)) 375 00:36:58,185 --> 00:37:00,185 「どうして やめちゃわないの?」。 376 00:37:02,773 --> 00:37:06,476 「自分さえ 許してしまえばいい。 377 00:37:06,476 --> 00:37:10,864 自分で 自分を許してしまえば…。 378 00:37:10,864 --> 00:37:16,536 だけど 自分は 決して許してくれない。 379 00:37:16,536 --> 00:37:19,536 だから 誰かに言ってほしい」。 380 00:37:25,178 --> 00:37:27,478 ((帰っていいよ)) 381 00:37:30,534 --> 00:37:33,534 「自分が許してくれた」。 382 00:37:43,797 --> 00:37:48,852 「これでやっと 私も みんなと同じになれる。 383 00:37:48,852 --> 00:37:50,852 帰ろう」。 384 00:37:54,157 --> 00:37:56,157 ((なんだ これは? 385 00:38:02,182 --> 00:38:04,451 みんなは? 386 00:38:04,451 --> 00:38:06,470 みんなは どこ行った? 387 00:38:06,470 --> 00:38:10,140 帰りました。 388 00:38:10,140 --> 00:38:13,810 ったく! 389 00:38:13,810 --> 00:38:16,797 ハァ…。 390 00:38:16,797 --> 00:38:20,283 丸山 すまなかったな。 391 00:38:20,283 --> 00:38:23,837 だけどな こういうときは→ 392 00:38:23,837 --> 00:38:29,137 職員室に言いつけに来て いいんだからな。 393 00:38:31,161 --> 00:38:35,161 よし やっちゃおうか。 なっ! 394 00:38:44,324 --> 00:38:51,331 「この優しさが 私の事情を無効にしてしまう。 395 00:38:51,331 --> 00:38:56,303 いつも ずっとそばに いてくれるわけでもないのに→ 396 00:38:56,303 --> 00:38:59,823 逃げようとするときには 決まって現れて→ 397 00:38:59,823 --> 00:39:03,323 優しくしてくれる。 398 00:39:06,413 --> 00:39:12,913 私は 自分が逃げるのを 許せなくなる」。 399 00:39:22,279 --> 00:39:25,832 この続きは? 400 00:39:25,832 --> 00:39:28,132 日記は そこで終わってるんだ。 401 00:39:30,303 --> 00:39:34,374 僕と2人で教室掃除をした あの日を境に→ 402 00:39:34,374 --> 00:39:38,128 丸山は日記を書くのを やめてしまった。 403 00:39:38,128 --> 00:39:43,300 そして 彼女が妙に光りはじめたのは→ 404 00:39:43,300 --> 00:39:45,352 その頃からだった。 405 00:39:45,352 --> 00:39:48,352 光りはじめた? 406 00:39:51,825 --> 00:39:54,961 例えば 返事や挨拶が→ 407 00:39:54,961 --> 00:39:58,949 妙に美しいだとか。 408 00:39:58,949 --> 00:40:02,452 日常の何気ないしぐさが→ 409 00:40:02,452 --> 00:40:07,574 異様なほど目に焼きついて 離れないだとか。 410 00:40:07,574 --> 00:40:09,943 多くの先生が 彼女に対して→ 411 00:40:09,943 --> 00:40:14,147 そういう印象を抱くようになった。 412 00:40:14,147 --> 00:40:17,284 あの日を境にして。 413 00:40:17,284 --> 00:40:22,172 彼女が光りはじめたのは 掃除当番が原因ってこと? 414 00:40:22,172 --> 00:40:24,808 僕は今でも そう思ってる。 415 00:40:24,808 --> 00:40:27,627 積もり積もった悲痛な思いが→ 416 00:40:27,627 --> 00:40:31,531 彼女を ある種の 悟りに導いてしまったんだ。 417 00:40:31,531 --> 00:40:35,531 透きとおった あきらめの境地に。 418 00:40:38,155 --> 00:40:41,491 その責任は僕にある。 419 00:40:41,491 --> 00:40:45,862 忙しさにかまけて 忘れていたんだ。 420 00:40:45,862 --> 00:40:48,798 大事なことを。 421 00:40:48,798 --> 00:40:51,134 何? 大事なことって。 422 00:40:51,134 --> 00:40:55,805 今の学校教育は 我々が ふだん思ってる以上に→ 423 00:40:55,805 --> 00:40:58,141 手のかからない生徒の 心の摩耗の上に→ 424 00:40:58,141 --> 00:41:00,126 支えられているんだ。 425 00:41:00,126 --> 00:41:03,630 手のかからない生徒の 心の摩耗? 426 00:41:03,630 --> 00:41:07,317 どんな生徒に対しても 手が足りないなか→ 427 00:41:07,317 --> 00:41:09,486 教師たちは結局→ 428 00:41:09,486 --> 00:41:11,872 目立った問題を起こす生徒に→ 429 00:41:11,872 --> 00:41:15,292 多くの力を割かざるを得ない。 430 00:41:15,292 --> 00:41:20,297 つまり 先生の時間も労力も→ 431 00:41:20,297 --> 00:41:23,967 問題を起こす生徒たちに 独占されちゃってるってこと? 432 00:41:23,967 --> 00:41:25,969 うん。 433 00:41:25,969 --> 00:41:29,639 問題のない生徒は おそらく潜在的に→ 434 00:41:29,639 --> 00:41:33,777 問題児への嫉妬心を 抱いてるに違いないんだ。 435 00:41:33,777 --> 00:41:36,296 問題児の心の中に→ 436 00:41:36,296 --> 00:41:38,832 優等生への妬みが 存在しているのと→ 437 00:41:38,832 --> 00:41:40,832 同じようにね。 438 00:41:43,486 --> 00:41:45,872 その亀裂がなくなれば→ 439 00:41:45,872 --> 00:41:48,408 学校というコミュニティーに存在する→ 440 00:41:48,408 --> 00:41:51,478 大きな力を 目覚めさせることができるんだ。 441 00:41:51,478 --> 00:41:54,514 中学生にとって 親よりも教師よりも→ 442 00:41:54,514 --> 00:41:56,633 大きな力をもつ存在がある。 443 00:41:56,633 --> 00:41:58,635 何だかわかる? 444 00:41:58,635 --> 00:42:02,305 同級生 友達。 445 00:42:02,305 --> 00:42:04,724 だんだん わかってきた。 446 00:42:04,724 --> 00:42:10,130 もし先生が 生徒みんなに 同じ分量の力を注いで→ 447 00:42:10,130 --> 00:42:12,132 誰ひとり摩耗しないクラスを→ 448 00:42:12,132 --> 00:42:14,134 作り上げることができたとしたら。 449 00:42:14,134 --> 00:42:16,970 結果として 生徒同士の助け合いの心を→ 450 00:42:16,970 --> 00:42:19,139 活性化することができるんだ。 451 00:42:19,139 --> 00:42:23,526 それが 鈴木先生の目指す教育。 452 00:42:23,526 --> 00:42:25,579 もちろん簡単な ことじゃないけどね。 453 00:42:25,579 --> 00:42:29,149 だけど もし そういう環境が実現したら→ 454 00:42:29,149 --> 00:42:34,788 学校は生徒たちにとって より深い学びの場になる。 455 00:42:34,788 --> 00:42:38,325 より学習率の高い場所に。 456 00:42:38,325 --> 00:42:45,465 丸山さんの日記が そのことに気づかせてくれたんだ。 457 00:42:45,465 --> 00:42:54,507 うん 丸山康子は 磨耗に磨耗を重ねていた。 458 00:42:54,507 --> 00:42:59,307 その存在自体が 異様な光を放ってしまうほどに。 459 00:43:03,783 --> 00:43:09,306 僕は 彼女の磨耗に 気づかなかっただけじゃない。 460 00:43:09,306 --> 00:43:17,447 僕自身が 彼女を磨耗させたひとりなんだ。 461 00:43:17,447 --> 00:43:22,852 透き通った あきらめの境地に向けて→ 462 00:43:22,852 --> 00:43:25,852 最後の一押しをしてしまったんだ。 463 00:43:28,808 --> 00:43:34,381 それが 鈴木君にとっての 決定的なミス? 464 00:43:34,381 --> 00:43:36,381 うん。 465 00:43:38,952 --> 00:43:41,821 そのミスに気づいた瞬間→ 466 00:43:41,821 --> 00:43:50,964 僕は初めて 自分が目指す教育が 明確に見えるようになったんだ。 467 00:43:50,964 --> 00:43:58,321 丸山康子は 僕の生徒だっただけじゃない。 468 00:43:58,321 --> 00:44:01,121 教師でもあったんだ。 469 00:44:04,844 --> 00:44:08,144 大事なことを話してくれて ありがとう。 470 00:44:11,451 --> 00:44:20,193 今日は すごく… 鈴木君に近づけた気がする。 471 00:44:20,193 --> 00:44:25,793 僕も麻美さんに話せて なんだか すごく楽になった。 472 00:44:33,973 --> 00:44:42,132 だけどね 本当は 何も変わっちゃいないんだ。 473 00:44:42,132 --> 00:44:45,001 あの頃と。 474 00:44:45,001 --> 00:44:54,210 結局 僕が何かできるのは 事件になってから。 475 00:44:54,210 --> 00:44:59,833 ふだんの小さなシグナルに気づいて 未然に ことを防ぐなんて→ 476 00:44:59,833 --> 00:45:02,833 まともにできちゃいないんだ。 477 00:45:11,528 --> 00:45:14,464 大丈夫だよ。 478 00:45:14,464 --> 00:45:19,953 きっと少しずつ 変わっていくから。 479 00:45:19,953 --> 00:45:26,526 鈴木君も 周りも。 480 00:45:26,526 --> 00:45:28,826 麻美さん…。 481 00:45:32,532 --> 00:45:35,532 私だって少しずつ変わってる。 482 00:45:40,657 --> 00:45:43,610 何も心配いらないよ。 483 00:45:43,610 --> 00:46:48,992 ♪~ 484 00:46:48,992 --> 00:46:51,361 帰っていいよ。 485 00:46:51,361 --> 00:47:39,325 ♪~ 486 00:47:39,325 --> 00:47:42,395 おはよう。 487 00:47:42,395 --> 00:47:44,895 おはよう。 488 00:47:49,135 --> 00:47:51,137 写真 見てたんだ。 489 00:47:51,137 --> 00:47:54,140 うん。 490 00:47:54,140 --> 00:47:57,460 この子だね。 491 00:47:57,460 --> 00:47:59,462 えっ? 492 00:47:59,462 --> 00:48:02,062 さっき会ってきた。 493 00:48:08,821 --> 00:48:12,675 《まだ なお 夢の中にいるみたいだ》 494 00:48:12,675 --> 00:48:15,111 おはようございます。 おう おはよう。 495 00:48:15,111 --> 00:48:23,620 《うん? 何だ 何だ? おい 急に顔が火照ってきたぞ。 496 00:48:23,620 --> 00:48:28,541 やばい! 生徒たちに会うのが 恥ずかしくなっちまったよ。 497 00:48:28,541 --> 00:48:31,841 まさか キスマークなんか ついてないよな》 498 00:48:34,480 --> 00:48:36,980 おお 竹地。 あっ…。 499 00:48:39,452 --> 00:48:45,391 テストまで休んでるのも なんかイヤだなって思って…。 500 00:48:45,391 --> 00:48:51,714 頑張って家出てきたんだけど 急に足が止まっちゃって…。 501 00:48:51,714 --> 00:48:56,314 いいさ 家 出ただけでも 頑張ったじゃないか。 502 00:48:58,338 --> 00:49:01,224 先生。 うん? 503 00:49:01,224 --> 00:49:04,824 僕 恥ずかしいんだ。 504 00:49:06,946 --> 00:49:10,350 安心しろ。 学級会議のことだったら…。 505 00:49:10,350 --> 00:49:15,204 違うよ。 そのときのことが 恥ずかしいんじゃない。 506 00:49:15,204 --> 00:49:20,804 そのあと 河辺と あれをしたことが…。 507 00:49:23,813 --> 00:49:29,313 やましいとかじゃなくて ただ恥ずかしいんだ。 508 00:49:34,891 --> 00:49:38,277 その気持 俺にもわかるぜ。 509 00:49:38,277 --> 00:49:40,880 ホント? ああ。 510 00:49:40,880 --> 00:49:44,380 一緒に行こう。 すぐ楽になるさ。 511 00:49:47,537 --> 00:49:49,537 よし。 512 00:50:04,337 --> 00:50:06,873 おはよう。 513 00:50:06,873 --> 00:50:09,173 おはよう。 514 00:50:11,511 --> 00:50:13,463 (藤山)鈴木先生 おはようございます。 515 00:50:13,463 --> 00:50:15,782 おお おはよう。 竹地 おはよう! 516 00:50:15,782 --> 00:50:19,152 おはよう。 (横関)俺さ テスト範囲で わかんねえとこあるんだ。 517 00:50:19,152 --> 00:50:22,338 あとで教えてもらっていい? お前が教えてもらってどうする! 518 00:50:22,338 --> 00:50:26,338 逆だ 逆! (岬)おっ 竹地おはよう! 519 00:50:29,462 --> 00:50:31,798 グッドモーニング! 中村じゃん。 520 00:50:31,798 --> 00:50:33,800 2人揃って登校か。 521 00:50:33,800 --> 00:50:37,203 うん そこでバッタリ。 ねっ。 (小川)うん。 522 00:50:37,203 --> 00:50:39,138 おはよう。 523 00:50:39,138 --> 00:50:41,774 おはよう。 テスト 頑張ろうね。 524 00:50:41,774 --> 00:50:44,293 うん。 525 00:50:44,293 --> 00:50:46,813 行こう。 失礼します。 526 00:50:46,813 --> 00:50:49,232 じゃあ 俺らも行こうぜ。 527 00:50:49,232 --> 00:50:51,232 行こうぜ。 528 00:50:54,954 --> 00:50:57,006 もう大丈夫だな。 529 00:50:57,006 --> 00:50:59,806 うん 先生ありがとう。 530 00:51:03,780 --> 00:51:05,815 《見落としてはいけない。 531 00:51:05,815 --> 00:51:09,702 人知れず 磨耗している生徒の存在を。 532 00:51:09,702 --> 00:51:14,640 彼らが出す 小さなシグナルを。 533 00:51:14,640 --> 00:51:20,240 さあ 今日も精一杯 教師をやろう》