1 00:00:35,140 --> 00:00:38,811 ヤッコミ ヤッコミ! 2 00:00:38,811 --> 00:00:47,152 <牢内の食事は 朝の五つと 夕方七つ半の2食が定めである。➡ 3 00:00:47,152 --> 00:00:53,492 だが 1杯の飯と汁1椀では とても満足がいかないので➡ 4 00:00:53,492 --> 00:01:02,835 届け物と称して煮物 漬物 焼き魚 饅頭 せんべいといった食べ物や➡ 5 00:01:02,835 --> 00:01:07,835 月に6百文の金の差し入れが 許されていた> 6 00:01:11,176 --> 00:01:14,513 <身分の低い御家人や➡ 7 00:01:14,513 --> 00:01:20,213 大名の家来たちが収監されている 揚がり屋である> 8 00:01:39,137 --> 00:01:51,437 ♬~ 9 00:01:55,153 --> 00:01:57,153 先生! 10 00:01:59,024 --> 00:02:02,027 しっかりしろ! 11 00:02:02,027 --> 00:02:06,498 大丈夫か? おい! しっかりしろ! 12 00:02:06,498 --> 00:02:09,401 先生! お願いします! 13 00:02:09,401 --> 00:02:12,170 (桂順)どこが痛い? どこが痛む? 14 00:02:12,170 --> 00:02:14,470 しっかりと押さえてくれ! 15 00:02:16,041 --> 00:02:18,043 水を頼む! へい! 16 00:02:18,043 --> 00:02:20,846 急いで! 17 00:02:20,846 --> 00:02:24,146 しっかりせい! (桂順)頭を このように…。 18 00:02:29,855 --> 00:02:31,790 (登)毒? 19 00:02:31,790 --> 00:02:34,126 (桂順)いや 驚きましたよ。➡ 20 00:02:34,126 --> 00:02:38,463 家伝の毒消しを用いたところ ようやく腹痛も和らいで➡ 21 00:02:38,463 --> 00:02:42,134 冷えた手足も温まり 呼吸も楽になりましてな。 22 00:02:42,134 --> 00:02:44,469 まあ 薬も効いたが➡ 23 00:02:44,469 --> 00:02:48,340 口にした毒が僅かだったのが 幸いしたのでしょう。 24 00:02:48,340 --> 00:02:51,810 何を食べたんです? 饅頭です。 25 00:02:51,810 --> 00:02:55,147 えっ? 牢内の食い物じゃないんですよ。 26 00:02:55,147 --> 00:02:58,483 揚がり屋にいる 小沼庄五郎という御家人に➡ 27 00:02:58,483 --> 00:03:02,154 差し入れがあったんです。 小沼庄五郎…。 28 00:03:02,154 --> 00:03:06,024 お役人衆には届けたんですか? 29 00:03:06,024 --> 00:03:08,026 そこなんですがね➡ 30 00:03:08,026 --> 00:03:11,163 差し入れをしたのが 素性の怪しい者であれば➡ 31 00:03:11,163 --> 00:03:16,034 私も すぐに届け出ますが 何せ ご新造なんですよ。 32 00:03:16,034 --> 00:03:19,037 ご新造が? 33 00:03:19,037 --> 00:03:24,176 小沼という人は 勘定吟味役の 下役をつとめる御家人で➡ 34 00:03:24,176 --> 00:03:26,845 役目の上で 何やらの罪を 犯したらしいが➡ 35 00:03:26,845 --> 00:03:28,780 まだ お裁きが決まっておらん。 36 00:03:28,780 --> 00:03:31,450 いまだに吟味が 続いておるそうです。 37 00:03:31,450 --> 00:03:34,786 次第によっては 無罪放免という事もありえる。 38 00:03:34,786 --> 00:03:38,657 これに 毒殺を謀ったとなると➡ 39 00:03:38,657 --> 00:03:42,957 何か裏が… そうは思いませんか? 40 00:03:45,430 --> 00:03:48,800 確かに 土橋先生の おっしゃるとおりです。 41 00:03:48,800 --> 00:03:53,672 少し知ってる人もおりますから 私が事情をあたってみましょうか。 42 00:03:53,672 --> 00:03:57,476 そうしてもらえば助かりますな。 43 00:03:57,476 --> 00:04:01,146 その毒入りの饅頭は 今 どこにあるんですか? 44 00:04:01,146 --> 00:04:03,846 いや~ それが…。 45 00:04:05,484 --> 00:04:11,156 (桂順)調べをつけたあと 棚に置いといたんですが…。 46 00:04:11,156 --> 00:04:13,825 消えた? (桂順)ええ。 47 00:04:13,825 --> 00:04:17,496 先ほど あなたに お見せしようと 思ったんですが➡ 48 00:04:17,496 --> 00:04:20,165 その時には もう…。 49 00:04:20,165 --> 00:04:24,836 土橋先生が小沼を診に行った時 付き添ったのは どなたですか? 50 00:04:24,836 --> 00:04:28,507 世話役の桝川様だったな。 51 00:04:28,507 --> 00:04:32,110 提灯持ちは? 甚助という下男だ。 52 00:04:32,110 --> 00:04:36,448 その2人に毒の話はしましたか? 何も言っておらん。 53 00:04:36,448 --> 00:04:48,060 ♬~ 54 00:04:48,060 --> 00:04:51,463 (桂順)立花さん どうかしましたか? 55 00:04:51,463 --> 00:04:53,763 いえ…。 56 00:04:57,335 --> 00:05:03,075 (藤吉)そいつは 危ねえ仕事だな。 うかつに手は出せませんぜ。 57 00:05:03,075 --> 00:05:05,477 手伝えないって言うのか? 58 00:05:05,477 --> 00:05:09,815 いや そんなふうに言われちまうと 気が引けますがね➡ 59 00:05:09,815 --> 00:05:13,685 今度ばかりは ちいと ご無理ってもんでさ。 60 00:05:13,685 --> 00:05:17,689 そうか…。 いや 私も悪かった。 61 00:05:17,689 --> 00:05:21,426 親分の都合も考えずに 便利に お願いし過ぎたよ。 62 00:05:21,426 --> 00:05:26,164 だから… そうじゃねえって! 63 00:05:26,164 --> 00:05:30,769 いいですかい? あっしらは 町方なんですぜ。 64 00:05:30,769 --> 00:05:34,439 江戸の町の どぶさらいだったら いくらだってやりますが➡ 65 00:05:34,439 --> 00:05:37,342 御家人にゃ手も足も出ねえ。 66 00:05:37,342 --> 00:05:44,116 下手すりゃ 斬り捨て御免だ。 あっしらの出る幕じゃねえんでさ。 67 00:05:44,116 --> 00:05:47,452 そうか… そうだったね。 68 00:05:47,452 --> 00:05:51,123 いや 私は いつまでたっても 田舎者で 気が付かなかったよ。 69 00:05:51,123 --> 00:05:53,458 親分 悪かった。 70 00:05:53,458 --> 00:05:55,794 いやいや 責めてる訳じゃねえんですぜ。 71 00:05:55,794 --> 00:06:01,466 気にしねえでおくんなさいよ。 うん 分かったよ。 72 00:06:01,466 --> 00:06:05,804 分かって頂けやしたかい? 本当ですかい? 73 00:06:05,804 --> 00:06:09,674 心配いらないよ。 親分の言う事は もっともだ。 74 00:06:09,674 --> 00:06:13,478 それに ほかに当てもあるから そっちに あたってみるよ。 75 00:06:13,478 --> 00:06:16,381 当てって? 友達がいるんだよ。 76 00:06:16,381 --> 00:06:20,819 御家人の三男坊でね 住まいも近いから➡ 77 00:06:20,819 --> 00:06:25,490 力になってくれる… かな? 78 00:06:25,490 --> 00:06:29,361 …そうですかい。 79 00:06:29,361 --> 00:06:34,099 あ~ もう 一応ね 直蔵には言っときまさあ。 80 00:06:34,099 --> 00:06:36,434 だけど あとは あいつの勝手だ。 81 00:06:36,434 --> 00:06:40,105 あんまり当てにしねえで おくんなさいよ。 82 00:06:40,105 --> 00:06:42,105 うん。 83 00:06:47,779 --> 00:06:51,116 (ため息) 84 00:06:51,116 --> 00:06:54,986 (新谷)お~! 立花! 85 00:06:54,986 --> 00:06:58,790 お~! 立花! 来たぞ 来たぞ! 86 00:06:58,790 --> 00:07:03,461 新谷が調べてきたぞ! お~! 立花! 87 00:07:03,461 --> 00:07:11,136 (玄庵)♬「夜河を渡る」 88 00:07:11,136 --> 00:07:14,806 (玄庵のせきこみ) 89 00:07:14,806 --> 00:07:21,680 ♬「人間五十年」 90 00:07:21,680 --> 00:07:29,154 ♬「下天の内をくらぶれば」 91 00:07:29,154 --> 00:07:33,758 ♬「夢まぼろし」 92 00:07:33,758 --> 00:07:36,428 何だ? 93 00:07:36,428 --> 00:07:40,765 これは ご無礼致しました。 お忙しいところを どうも。 94 00:07:40,765 --> 00:07:45,437 気分直しに 大きな声 出してただけだ。 忙しくはない。 95 00:07:45,437 --> 00:07:47,772 あんた誰だ? 96 00:07:47,772 --> 00:07:52,110 お忘れですか? 鴨井道場で立花と同門の…。 97 00:07:52,110 --> 00:07:56,448 おっ! そうか! そうだな。 98 00:07:56,448 --> 00:08:00,748 松江! 松江! 99 00:08:04,789 --> 00:08:09,127 これは 奥様! 相変わらず お美しい! 100 00:08:09,127 --> 00:08:13,798 (松江)あらま! そんな お上手ばっかり! 101 00:08:13,798 --> 00:08:17,469 ホホホホ! 登は? 登はおるな? 102 00:08:17,469 --> 00:08:22,340 はい もちろん。 ちえ! 103 00:08:22,340 --> 00:08:28,113 登だって。 いや! これは ちえちゃん! 104 00:08:28,113 --> 00:08:31,750 きれいになったな~! 母上そっくりだ! 105 00:08:31,750 --> 00:08:37,050 (ちえ)あら そんな お上手ばっかり! ホホホホ! 106 00:08:45,096 --> 00:08:49,096 失礼。 ちえちゃん! 107 00:08:50,769 --> 00:08:54,439 本当 正直な方。 108 00:08:54,439 --> 00:08:57,776 思った事を そのまんま おっしゃって。 109 00:08:57,776 --> 00:09:02,113 実に素直な若者だ。 110 00:09:02,113 --> 00:09:05,413 爪が伸びてますよ。 111 00:09:07,986 --> 00:09:09,988 ニャ~! 112 00:09:09,988 --> 00:09:21,466 (爪を切る音) 113 00:09:21,466 --> 00:09:37,766 ♬~ 114 00:09:39,751 --> 00:09:42,087 安らぐなあ この家は。 115 00:09:42,087 --> 00:09:45,957 我が家など堅苦しくて 命が縮まる。 116 00:09:45,957 --> 00:09:50,762 お旗本でしょ しかたがないわ。 いやいや 旗本ではない。 117 00:09:50,762 --> 00:09:54,099 ただの貧しい御家人だ。 しかも俺は三男坊。 118 00:09:54,099 --> 00:09:56,434 ご直参には違いないわ。 119 00:09:56,434 --> 00:09:59,337 ちえちゃんのような美人も いないしね。 120 00:09:59,337 --> 00:10:03,108 そうね。 ウフフフ。 121 00:10:03,108 --> 00:10:05,777 どうだい? ちえちゃん。 一緒に甘いもんでも。 122 00:10:05,777 --> 00:10:08,113 広小路に いい茶屋を知ってるんだ。 123 00:10:08,113 --> 00:10:11,983 甘いもの? お酒は? お酒? 124 00:10:11,983 --> 00:10:17,455 お酒がいいの。 男でしょ? いや だって そんな お酒は…。 125 00:10:17,455 --> 00:10:20,792 新谷! うわ~! お前 何しに来たんだ! 126 00:10:20,792 --> 00:10:22,727 何言ってんだ! 貴様が いろいろ頼むから➡ 127 00:10:22,727 --> 00:10:24,662 調べてきたんじゃないか! 忘れたのか! 128 00:10:24,662 --> 00:10:27,465 忘れたとは言わせんぞ! そうか。 じゃあ場所を変えよう。 129 00:10:27,465 --> 00:10:30,368 俺に会いに来たんだろう? いや だって…。 130 00:10:30,368 --> 00:10:32,804 登! どこ行くの? おきよさん。 131 00:10:32,804 --> 00:10:35,707 おちえさんが お酒を飲みたいって。 132 00:10:35,707 --> 00:10:40,145 お嬢様 なんて事を! 年頃の娘が はしたない! 133 00:10:40,145 --> 00:10:43,048 男にくっついて回って しかも お酒を飲みたいだなんて! 134 00:10:43,048 --> 00:10:45,817 だって新谷様が…。 135 00:10:45,817 --> 00:10:49,154 いいから 行くぞ ほら。 いいから。 ちえちゃん! 136 00:10:49,154 --> 00:10:54,492 あ~ 情けない! 情けない! 137 00:10:54,492 --> 00:10:56,428 (泣き声) 138 00:10:56,428 --> 00:11:00,365 分かったわよ~。 139 00:11:00,365 --> 00:11:02,665 (ため息) 140 00:11:04,502 --> 00:11:08,173 小沼ってやつは 普請役から 勘定吟味役の支配になった➡ 141 00:11:08,173 --> 00:11:12,844 小役人でな 妻女は 登和という名で 26。 142 00:11:12,844 --> 00:11:16,714 千加という娘は 15だ。 娘が 15? 143 00:11:16,714 --> 00:11:21,519 うむ。 かわいい娘だぞ。 144 00:11:21,519 --> 00:11:26,191 年が合わないのは 妻女が後添えだからだ。 145 00:11:26,191 --> 00:11:30,061 生みの親は 何年か前に 病で亡くなっている。 146 00:11:30,061 --> 00:11:34,799 そうか。 登和という妻女は後添えか。 147 00:11:34,799 --> 00:11:39,471 神田橘町に住む 手習いの師匠の娘だそうだ。 148 00:11:39,471 --> 00:11:43,341 手習い? うむ。 149 00:11:43,341 --> 00:11:48,146 察しのとおり 貧乏浪人の身過ぎだな。 150 00:11:48,146 --> 00:11:54,819 娘は 親を助けるために 嫁に行った。 151 00:11:54,819 --> 00:12:01,493 しかし どうだろう。 もし夫婦の仲が険悪だとしても➡ 152 00:12:01,493 --> 00:12:05,793 牢の中にいる夫に 毒を盛ろうなどと考えるか? 153 00:12:07,365 --> 00:12:10,835 そういえば大胆すぎるし危険だな。 154 00:12:10,835 --> 00:12:15,173 夫婦げんかなら 夫が牢を出てから たっぷりとやればいい。 155 00:12:15,173 --> 00:12:19,043 それに 裁きが下って それ相当の お仕置きがあるとすれば➡ 156 00:12:19,043 --> 00:12:23,047 なにも毒を盛るまでもない事だ。 157 00:12:23,047 --> 00:12:26,518 一体 小沼は 何で牢に入ったんだ? 158 00:12:26,518 --> 00:12:28,853 それが はっきりせんのだ。 159 00:12:28,853 --> 00:12:31,756 勘定所の不正に 引っ掛かりがあるようだが➡ 160 00:12:31,756 --> 00:12:35,460 役人の間でも 極秘になってるらしい。 161 00:12:35,460 --> 00:12:39,330 そうすると その口封じのために 小沼に毒を? 162 00:12:39,330 --> 00:12:43,334 そうだとすれば それは 勘定所の人間という事になる。 163 00:12:43,334 --> 00:12:46,471 小沼の妻女は その人間に脅されたか➡ 164 00:12:46,471 --> 00:12:49,171 グルになっているかだ。 165 00:13:16,834 --> 00:13:20,705 (井崎)返り花だ。 166 00:13:20,705 --> 00:13:28,405 花の盛りが終わったあとの 忘れ残りの花。 167 00:13:31,349 --> 00:13:36,120 そなたと同じだな。 えっ? 168 00:13:36,120 --> 00:13:43,795 梅の咲く頃に別れた女が また こうして戻ってきた。 169 00:13:43,795 --> 00:13:51,669 戻りはしません。 私は 今でも小沼の妻です。 170 00:13:51,669 --> 00:13:57,809 井崎様 私には 頼れる人がないのです。 171 00:13:57,809 --> 00:14:00,478 こんな事になって どうしたらいいのか。 172 00:14:00,478 --> 00:14:04,816 ご支配様に申し上げる事も できませんし…。 173 00:14:04,816 --> 00:14:09,687 それはそうだ。 本人を飛び越えて➡ 174 00:14:09,687 --> 00:14:12,690 いきなり上役に 相談などされては➡ 175 00:14:12,690 --> 00:14:16,160 松波殿の面目が立たぬ。 176 00:14:16,160 --> 00:14:19,831 といって 松波殿ご自身に➡ 177 00:14:19,831 --> 00:14:23,501 「饅頭に毒を お入れか?」と 聞く訳にもいかん。 178 00:14:23,501 --> 00:14:30,174 いずれにしても 登和殿には荷が勝ち過ぎる。 179 00:14:30,174 --> 00:14:33,778 持ってきたか? 180 00:14:33,778 --> 00:14:38,449 牢見舞いとして 松波様から下されたものです。 181 00:14:38,449 --> 00:14:42,320 甚助と申す牢屋敷の下男が 持ってまいりました。 182 00:14:42,320 --> 00:14:46,324 甚助…。 無礼な男です。 183 00:14:46,324 --> 00:14:49,460 「お前の差し入れた食い物で 死にかけたとなれば➡ 184 00:14:49,460 --> 00:14:53,798 ただでは済まぬ。 言い訳は聞かぬぞ」と。 185 00:14:53,798 --> 00:15:00,471 金を払うたのか? 2両。 買い取ったんです これを。 186 00:15:00,471 --> 00:15:06,344 2両か… それでは収まるまいな。 187 00:15:06,344 --> 00:15:12,644 あのような男には十分でしょう。 それにもう買い取ったんですから。 188 00:15:16,487 --> 00:15:20,158 松波様に確かめて頂けますか? 189 00:15:20,158 --> 00:15:23,158 承知だ。 190 00:15:29,167 --> 00:15:34,772 これよりは 人の目に触れぬ場所で会おう。 191 00:15:34,772 --> 00:15:37,772 その方がよい。 192 00:15:50,121 --> 00:15:54,459 ≪(新谷)立花! おい! ここだ ここだ! 193 00:15:54,459 --> 00:15:58,129 (女)いらっしゃいませ。 おっ! 194 00:15:58,129 --> 00:16:02,467 千加さん。 小沼殿の娘御だ。 195 00:16:02,467 --> 00:16:06,337 そして こいつが 小伝馬町のヤブ医者だ。 おい! 196 00:16:06,337 --> 00:16:10,808 いいんだ いいんだ いいんだ! もう全部 話は伝えてある。 197 00:16:10,808 --> 00:16:14,108 そうせんと 話が遠くて 伝わらんじゃないか。 198 00:16:16,147 --> 00:16:21,819 何もかも打ち明けてよいぞ。 こいつは信じていい男だ。 199 00:16:21,819 --> 00:16:24,722 なっ。 200 00:16:24,722 --> 00:16:27,158 おい! (男)へい。 201 00:16:27,158 --> 00:16:30,495 (新谷)茶と だんごを3つくれ。 (男)へい。 202 00:16:30,495 --> 00:16:33,398 立花 登です。 203 00:16:33,398 --> 00:16:38,302 お父上の事は ご心配でしょう。 204 00:16:38,302 --> 00:16:42,774 ええ… 突然の事で…。 205 00:16:42,774 --> 00:16:46,444 周りの人たちも 離れていってしまって➡ 206 00:16:46,444 --> 00:16:51,115 何も教えてくれないし…。 207 00:16:51,115 --> 00:16:53,815 お察しします。 208 00:16:55,453 --> 00:17:01,325 でも 本当に大変なのは 私よりも母の方が。 209 00:17:01,325 --> 00:17:05,797 母上? 登和様といいましたか。 210 00:17:05,797 --> 00:17:11,497 はい。 なさぬ仲と聞きましたが。 211 00:17:15,473 --> 00:17:21,813 7年前 19の時に父上の後添えに。 212 00:17:21,813 --> 00:17:26,150 私は 8つでございました。 213 00:17:26,150 --> 00:17:31,756 亡くなった母に比べて 新しい母は若すぎて➡ 214 00:17:31,756 --> 00:17:35,626 私は父上を憎みました。 215 00:17:35,626 --> 00:17:41,098 でも 長い間に気が付いたんです。➡ 216 00:17:41,098 --> 00:17:46,798 若い母は 一生懸命でした。 217 00:17:50,441 --> 00:17:58,115 (千加)炊事 洗濯 掃除 それに 私の世話まで➡ 218 00:17:58,115 --> 00:18:02,787 小沼の家を支えるために➡ 219 00:18:02,787 --> 00:18:08,487 本当の妻 本当の母になるために。 220 00:18:11,796 --> 00:18:15,466 父は 真面目で 仕事熱心な人だけど➡ 221 00:18:15,466 --> 00:18:19,136 家の中では 頑固で無口です。 222 00:18:19,136 --> 00:18:24,475 笑った顔を見せた事もありません。 223 00:18:24,475 --> 00:18:28,813 でも 本当は 思いやりの深い人なんです。 224 00:18:28,813 --> 00:18:31,415 母は 若くて きれいで➡ 225 00:18:31,415 --> 00:18:34,752 父の方から望んで 来てもらった人ですから。 226 00:18:34,752 --> 00:18:40,091 母上が父上を憎んでいる という事はありませんか? 227 00:18:40,091 --> 00:18:44,762 毒饅頭の事ですか? 228 00:18:44,762 --> 00:18:48,633 ハハハ 俺が言ったんだ。 229 00:18:48,633 --> 00:18:51,636 だから そう言ったろ 全部伝えてあるって。 230 00:18:51,636 --> 00:18:56,774 新谷さんにお聞きする前から 毒饅頭の事は知っていました。 231 00:18:56,774 --> 00:19:02,647 母を脅しに来る人がいましたから。 脅しに? 232 00:19:02,647 --> 00:19:08,119 でも 母が そんな事するなんて いくらなんでも信じられません。 233 00:19:08,119 --> 00:19:12,790 母には できません 決して。 脅しに来たというのは誰かな? 234 00:19:12,790 --> 00:19:18,129 牢屋敷の人です 甚助っていう。 甚助! 235 00:19:18,129 --> 00:19:39,083 ♬~ 236 00:19:39,083 --> 00:19:43,754 甚助か? へっ? 237 00:19:43,754 --> 00:19:48,626 答えろ。 甚助か? 238 00:19:48,626 --> 00:19:52,763 へい さようでございますが…。 239 00:19:52,763 --> 00:20:04,108 ♬~ 240 00:20:04,108 --> 00:20:07,011 (藤吉)一刀のもとに バッサリだ。➡ 241 00:20:07,011 --> 00:20:11,782 おまけに 喉元に とどめまで食らわしてやがる。 242 00:20:11,782 --> 00:20:16,454 この野郎は てめえで地獄の釜の 蓋を開けちまったんでさ。 243 00:20:16,454 --> 00:20:19,790 ごめん。 あっ 若先生。 244 00:20:19,790 --> 00:20:24,128 親分 来てくれたのか。 何 牢屋敷の中で何があっても➡ 245 00:20:24,128 --> 00:20:28,466 手も足も出ませんがね 一歩でも 外に出たら そうはいかねえ。 246 00:20:28,466 --> 00:20:32,136 江戸の町なかで悪さをするやつは ただじゃおけねえんでさ。 247 00:20:32,136 --> 00:20:35,039 (平塚) 甚助ってえのは悪党でね➡ 248 00:20:35,039 --> 00:20:38,476 いずれ こんな事に なりゃしねえかと思っていたよ。 249 00:20:38,476 --> 00:20:42,813 しかし 親も兄弟もねえ男だから➡ 250 00:20:42,813 --> 00:20:46,813 弔いは牢屋敷から 出してやるしかありませんな。 251 00:20:56,160 --> 00:21:00,831 かわいそうっていや かわいそうだけどよ➡ 252 00:21:00,831 --> 00:21:03,734 ありゃ 自業自得だ。 253 00:21:03,734 --> 00:21:07,705 小沼って御家人が 毒を盛られた時➡ 254 00:21:07,705 --> 00:21:12,843 土橋先生の見立てに 立ち会ったのは あの野郎だ。➡ 255 00:21:12,843 --> 00:21:16,514 詰め所で証拠の品を盗むのも➡ 256 00:21:16,514 --> 00:21:20,851 話を盗み聞きするのも あいつならできる。 257 00:21:20,851 --> 00:21:23,521 (桂順)立花さん どうかしましたか? 258 00:21:23,521 --> 00:21:25,456 いえ…。 259 00:21:25,456 --> 00:21:30,394 (万平)金になると踏んだんだよ。 しかし それで殺されたとしても➡ 260 00:21:30,394 --> 00:21:34,465 女2人暮らしの家だ。 手を下したのは誰だ? 261 00:21:34,465 --> 00:21:36,801 浪人者がおりやしてね。 262 00:21:36,801 --> 00:21:40,671 どうやら ご新造とは 昔からの知り合いらしいんで。 263 00:21:40,671 --> 00:21:44,675 昔からのというと 嫁に来る前からの? 264 00:21:44,675 --> 00:21:50,347 へい。 もちろん亭主がいる時は 面を見せなかったようですがね➡ 265 00:21:50,347 --> 00:21:52,817 牢の中に入っちまった今じゃ➡ 266 00:21:52,817 --> 00:21:55,720 娘にないしょで しょっちゅう会ってるようなんで。 267 00:21:55,720 --> 00:22:00,020 その男の名は分かるのか? へい。 268 00:22:11,836 --> 00:22:14,836 お連れ致しました。 269 00:22:17,508 --> 00:22:23,180 井崎と申すか? 井崎勝之進でござる。 270 00:22:23,180 --> 00:22:28,519 松波佐十郎殿でござるな。 そうだ。 271 00:22:28,519 --> 00:22:32,519 わしに買ってほしいものとは 何だ? 272 00:22:42,466 --> 00:22:47,805 何だ? それは。 松波殿は よくご存じのはずだ。 273 00:22:47,805 --> 00:22:51,475 もともとは そちらの手元にあったものが➡ 274 00:22:51,475 --> 00:22:55,346 流れ流れて 俺の手に入った。 275 00:22:55,346 --> 00:22:59,150 いくらで買わせる気だ? 276 00:22:59,150 --> 00:23:03,821 50両。 バカな事を言うな。 277 00:23:03,821 --> 00:23:08,159 ふん それならよかろう。 278 00:23:08,159 --> 00:23:13,859 だが よく考えるんだな。 279 00:23:15,833 --> 00:23:20,504 勘定所で犯した罪を 配下の者に着せて牢獄に送り➡ 280 00:23:20,504 --> 00:23:25,176 更に毒饅頭を差し入れて その者の口を封じ➡ 281 00:23:25,176 --> 00:23:30,981 一件を闇から闇に葬ろうとした。 282 00:23:30,981 --> 00:23:34,985 この事を ご公儀に訴え出れば➡ 283 00:23:34,985 --> 00:23:40,457 必ずや厳しいお調べがあろう。 284 00:23:40,457 --> 00:23:45,796 すると あんたは どうなる? 285 00:23:45,796 --> 00:23:50,096 とても50両では済むまいな。 286 00:23:57,408 --> 00:24:01,145 (直蔵)おう あれですぜ。 287 00:24:01,145 --> 00:24:05,482 本当に来るのかい? 2人で会うのに あんな隠れ宿に。 288 00:24:05,482 --> 00:24:09,353 もちろん ご新造は ひどく 嫌がっていらっしゃいやしたぜ。 289 00:24:09,353 --> 00:24:11,355 だけど お家の大事だ。 290 00:24:11,355 --> 00:24:13,357 言いなりにならなきゃ しかたがねえ。 291 00:24:13,357 --> 00:24:16,827 野郎も そこに つけ込んでるんでしょうよ。 292 00:24:16,827 --> 00:24:19,496 来やしたぜ。 293 00:24:19,496 --> 00:24:35,980 ♬~ 294 00:24:35,980 --> 00:24:41,452 幸い この辺りは 藤吉親分の縄張りでやんしてね➡ 295 00:24:41,452 --> 00:24:43,787 宿の方にゃ 話をつけておきやしたから➡ 296 00:24:43,787 --> 00:24:47,787 ないしょで 隣の部屋に入れてくれやすぜ。 297 00:24:51,662 --> 00:24:55,962 お連れ様が お見えでございます。 298 00:25:12,483 --> 00:25:16,820 もう何の心配もない。 松波との話はついた。 299 00:25:16,820 --> 00:25:20,491 牢屋敷の男も片づけたぞ。 300 00:25:20,491 --> 00:25:24,361 片づけた? 斬り捨ててやったのよ。 301 00:25:24,361 --> 00:25:31,435 えっ! どうして… なぜ そんな むごい事を!? 302 00:25:31,435 --> 00:25:36,774 構うものか。 欲に絡んで 誰かれ構わず かみ回る➡ 303 00:25:36,774 --> 00:25:41,111 やっかいな野良犬を 始末したまでよ。 304 00:25:41,111 --> 00:25:47,811 人の命を虫けらのように… あなたは恐ろしい人です。 305 00:25:53,123 --> 00:25:59,797 登和 そなたのためだ。 306 00:25:59,797 --> 00:26:02,700 そなたを守るために やった事だ。 307 00:26:02,700 --> 00:26:06,670 いいえ あなたは 私の邪魔をしてばかりです。 308 00:26:06,670 --> 00:26:09,807 小沼との縁談が決まってから…➡ 309 00:26:09,807 --> 00:26:13,107 いいえ その前から…。 310 00:26:33,998 --> 00:26:36,767 誤解をしないで下さい。 311 00:26:36,767 --> 00:26:41,638 私は自分で考えて 決心して 小沼の家に行ったんです。 312 00:26:41,638 --> 00:26:44,441 何を考えたんだ。 313 00:26:44,441 --> 00:26:48,312 貧しさゆえに 親の言いなりになる事をか。 314 00:26:48,312 --> 00:26:51,315 我が身を犠牲にする決心を つけたというのか。 315 00:26:51,315 --> 00:26:56,453 違います。 人として いずれが 正しい道かと考えたのです。 316 00:26:56,453 --> 00:26:59,123 あなたは行方が定まらず➡ 317 00:26:59,123 --> 00:27:02,793 無頼の徒に交じって 遊び暮らしておいででした。 318 00:27:02,793 --> 00:27:07,131 私は ご新造様を亡くされて お困りだという小沼様を➡ 319 00:27:07,131 --> 00:27:10,431 精いっぱいに お支えしようと決心して…。 320 00:27:13,003 --> 00:27:16,473 何が おかしいのです? 321 00:27:16,473 --> 00:27:20,811 精いっぱいに お支えしようとした そのご亭主が➡ 322 00:27:20,811 --> 00:27:25,811 今 牢の中にいるのが おかしいのよ。 323 00:27:32,089 --> 00:27:34,992 俺と どこが違う? 324 00:27:34,992 --> 00:27:42,433 正しげな まことらしき面を かぶっている以外に どこが違う? 325 00:27:42,433 --> 00:27:48,133 この俺でさえ いまだ牢になど入っておらんぞ。 326 00:27:50,774 --> 00:27:56,647 小沼は… 夫は だまされたのです。 そうに決まっています。 327 00:27:56,647 --> 00:27:59,450 そのとおりだ。 328 00:27:59,450 --> 00:28:03,787 ご亭主は 律儀に 生真面目に尽くした上役に➡ 329 00:28:03,787 --> 00:28:06,457 罪を着せられて牢に送られた。 330 00:28:06,457 --> 00:28:10,794 そして 上役の松波は➡ 331 00:28:10,794 --> 00:28:17,494 そなたを使って 毒入りの饅頭を差し入れたのだ。 332 00:28:23,373 --> 00:28:26,373 ≪(井崎)侍なんて そんなもんだ。 333 00:28:29,813 --> 00:28:36,620 松波様が 全てを仕組んだと… それは まことでございますか? 334 00:28:36,620 --> 00:28:41,425 うそをついて どうする。 335 00:28:41,425 --> 00:28:46,296 登和… 思い切らぬか? 336 00:28:46,296 --> 00:28:51,101 えっ? 俺も思い切る。 337 00:28:51,101 --> 00:28:55,772 3日後 俺は もう一度 松波に会う。 338 00:28:55,772 --> 00:29:03,472 金をつかむんだ。 その金を持って 江戸を出よう。 339 00:29:11,788 --> 00:29:16,126 俺と共に来い。 340 00:29:16,126 --> 00:29:20,126 私は 小沼の妻です。 捨ててしまえ! 341 00:29:28,138 --> 00:29:32,743 ほれていたんだ 俺は。 342 00:29:32,743 --> 00:29:39,082 だが 親の代からの浪人者では どうにもならん。 343 00:29:39,082 --> 00:29:44,421 立派なお家に嫁ぐという そなたを どうして止められよう。 344 00:29:44,421 --> 00:29:50,721 どうして… 黙って見送るしかなかったのだ。 345 00:29:53,430 --> 00:29:59,303 満開の梅 白梅紅梅の花の下を➡ 346 00:29:59,303 --> 00:30:02,603 去っていく そなたの姿…。 347 00:30:06,009 --> 00:30:09,446 (井崎)その姿が 今も…➡ 348 00:30:09,446 --> 00:30:12,746 今も…! 349 00:30:15,786 --> 00:30:20,657 ところが どうだ? そなたは 今 幸せか? 350 00:30:20,657 --> 00:30:23,657 幸せか? 351 00:30:25,462 --> 00:30:30,334 抜け出してこい。 新しい道が開けるぞ。 352 00:30:30,334 --> 00:30:32,803 うそのない暮らしができる。 353 00:30:32,803 --> 00:30:39,476 心から そなたに ほれている 男との暮らしができるぞ。 354 00:30:39,476 --> 00:30:42,813 抜け出してこい! 355 00:30:42,813 --> 00:30:47,150 なりません! おやめ下さい! なんと おっしゃろうと➡ 356 00:30:47,150 --> 00:30:51,488 私は 決して 生涯 何があっても➡ 357 00:30:51,488 --> 00:30:55,826 決して あなたの言いなりには なりません! 358 00:30:55,826 --> 00:30:59,696 登和…➡ 359 00:30:59,696 --> 00:31:05,502 人の命は 短いぞ。 360 00:31:05,502 --> 00:31:24,802 ♬~ 361 00:31:32,129 --> 00:31:34,798 もうじき出てめえりやすぜ。 362 00:31:34,798 --> 00:31:38,468 やったのか? へい。 井崎が松波を ゆすって➡ 363 00:31:38,468 --> 00:31:42,339 松波は黙って金を渡しやした。 そうかい。 364 00:31:42,339 --> 00:31:46,810 悪い野郎だ どっちもな。 365 00:31:46,810 --> 00:31:51,510 ≪(戸の開閉音) 366 00:31:55,819 --> 00:31:58,819 井崎ですぜ。 367 00:32:05,829 --> 00:32:08,165 つけやすかい? 368 00:32:08,165 --> 00:32:12,865 待ちな。 ≪(戸の開閉音) 369 00:32:26,850 --> 00:32:31,121 顛末を見届けなくちゃな。 370 00:32:31,121 --> 00:33:15,121 ♬~ 371 00:33:33,450 --> 00:33:38,321 懐の金は そのままに しておいて頂きます。 372 00:33:38,321 --> 00:33:43,126 残しておいて頂かんと 届け出る我々が困るし➡ 373 00:33:43,126 --> 00:33:47,464 お役人も調べに手間取る。 374 00:33:47,464 --> 00:33:50,367 残してあれば その金は➡ 375 00:33:50,367 --> 00:33:55,806 吟味方改役 松波佐十郎が その死人に渡し➡ 376 00:33:55,806 --> 00:33:59,142 その後 殺害して 取り戻そうとしましたと➡ 377 00:33:59,142 --> 00:34:03,142 申し上げられますからな。 手間が省けます。 378 00:34:05,816 --> 00:34:08,718 貴様 何者だ? 379 00:34:08,718 --> 00:34:14,491 牢医者です。 毒饅頭についても 調べております。 380 00:34:14,491 --> 00:34:25,836 ♬~ 381 00:34:25,836 --> 00:34:28,738 つ… 強え! 382 00:34:28,738 --> 00:35:32,438 ♬~ 383 00:35:46,116 --> 00:35:49,816 先生 けがは大丈夫ですかい? 384 00:36:06,436 --> 00:36:44,736 ♬~ 385 00:36:51,448 --> 00:36:55,318 いや 千加さん! お出かけかな? 386 00:36:55,318 --> 00:36:59,789 はい ちょっと… 天神様にお参りに。 387 00:36:59,789 --> 00:37:03,460 おう そうか。 父上の御為にな。 388 00:37:03,460 --> 00:37:06,363 よし ならば お供しよう。 えっ? 389 00:37:06,363 --> 00:37:09,332 さあさあ こっち こっち。 用心棒だ。 390 00:37:09,332 --> 00:37:12,469 いろいろと お伝えせねば ならん事もあるしな。 391 00:37:12,469 --> 00:37:16,139 いや お参りのあとで 饅頭でも食いながら…。 392 00:37:16,139 --> 00:37:19,809 あっ 毒饅頭じゃないぞ! ハハハハ! 393 00:37:19,809 --> 00:37:24,109 ハハハハ! そうだ! ハハハハ! そうだ そうだ! 394 00:37:26,683 --> 00:37:30,153 [ 回想 ] (井崎)そなたは 今 幸せか?➡ 395 00:37:30,153 --> 00:37:32,756 幸せか?➡ 396 00:37:32,756 --> 00:37:38,094 抜け出してこい。 新しい道が開けるぞ。➡ 397 00:37:38,094 --> 00:37:40,030 うそのない暮らしができる。➡ 398 00:37:40,030 --> 00:37:47,103 心から そなたに ほれている 男との暮らしができるぞ。➡ 399 00:37:47,103 --> 00:37:49,773 抜け出してこい! 400 00:37:49,773 --> 00:38:01,773 ♬~ 401 00:38:24,140 --> 00:38:26,440 もし! 402 00:38:28,011 --> 00:38:32,749 小沼様のご新造であられますな? はい。 403 00:38:32,749 --> 00:38:36,419 小伝馬町の牢医者で 立花という者です。 404 00:38:36,419 --> 00:38:41,091 あの 小沼に何か? いえ そうではありませんが➡ 405 00:38:41,091 --> 00:38:47,430 これから申し上げる事を 落ち着いて聞いて頂きたい。 406 00:38:47,430 --> 00:38:53,103 松波佐十郎は 今朝 目付けの手に捕まりました。 407 00:38:53,103 --> 00:38:57,774 勘定所の不正に加担した罪を 小沼様にかぶせ➡ 408 00:38:57,774 --> 00:39:00,677 その上 牢見舞いと称して➡ 409 00:39:00,677 --> 00:39:05,115 小沼様に毒を贈った疑いを 持たれています。 410 00:39:05,115 --> 00:39:08,451 小沼様のお疑いは晴れました。 411 00:39:08,451 --> 00:39:11,788 もうじき 家に戻ってまいられやすぜ。 412 00:39:11,788 --> 00:39:16,659 それは… ありがとうございました! 413 00:39:16,659 --> 00:39:19,662 それから…➡ 414 00:39:19,662 --> 00:39:24,801 井崎勝之進は ゆうべ 人手にかかって果てました。 415 00:39:24,801 --> 00:39:27,470 松波から 金を ゆすり取ろうとして➡ 416 00:39:27,470 --> 00:39:30,470 逆に斬られたんです。 417 00:39:38,748 --> 00:39:43,620 もう脅される事はねえ。 付きまとわれる事もねえ。 418 00:39:43,620 --> 00:39:47,620 元の暮らしに戻れるんですぜ。 419 00:39:55,098 --> 00:39:57,767 では…。 420 00:39:57,767 --> 00:40:27,130 ♬~ 421 00:40:27,130 --> 00:40:34,470 分からねえ… 女は さっぱり分からねえ。 422 00:40:34,470 --> 00:41:29,770 ♬~ 423 00:41:35,798 --> 00:42:54,098 ♬~ 424 00:42:55,812 --> 00:43:00,483 身内がいるのか? 死ぬ前に顔を見てえ。 425 00:43:00,483 --> 00:43:03,386 あのじじいは 相当な罪を犯したと踏んでるんだ。 426 00:43:03,386 --> 00:43:06,823 どうかしてますぜ。 牢の中にも哀れな病人がいる。 427 00:43:06,823 --> 00:43:08,758 母上が おかんむりよ。 428 00:43:08,758 --> 00:43:11,494 それは困ったな。 頼みますよ。 429 00:43:11,494 --> 00:43:13,429 どこに越したか知りませんか? 430 00:43:13,429 --> 00:43:17,367 2年ほどの間に転々と 5軒も住みかを変えている。 431 00:43:17,367 --> 00:43:22,138 これは おかしいとは思わんか。 守宮の助五郎という男だよ。 432 00:43:22,138 --> 00:43:25,838 小さくて痩せた男…。