1 00:00:31,321 --> 00:00:34,691 はい! (見物人たち)おお~! 2 00:00:34,691 --> 00:00:36,626 はい! 3 00:00:36,626 --> 00:00:39,362 (見物人たち)おお~! 4 00:00:39,362 --> 00:00:42,265 (笛と太鼓の音) 5 00:00:42,265 --> 00:00:45,235 (見物人たち)おお~! 6 00:00:45,235 --> 00:00:47,535 よっ。 (見物人たち)おお~! 7 00:00:50,707 --> 00:00:52,642 あっ 立花先生! ああ。 8 00:00:52,642 --> 00:00:56,045 その節は お世話になりました。 暑いから お体 大事にね。 9 00:00:56,045 --> 00:00:59,716 <若き医学の徒 立花 登は➡ 10 00:00:59,716 --> 00:01:02,385 故郷の出羽亀田を出て➡ 11 00:01:02,385 --> 00:01:07,056 江戸で町医者をしている 叔父夫婦のもとに身を寄せながら➡ 12 00:01:07,056 --> 00:01:12,929 小伝馬町牢屋敷の 牢医者をつとめていた。➡ 13 00:01:12,929 --> 00:01:17,400 江戸での暮らしにも すっかり慣れてきている> 14 00:01:17,400 --> 00:01:20,303 大丈夫か? ほら。 15 00:01:20,303 --> 00:01:32,303 ♬~ 16 00:01:39,022 --> 00:01:42,722 (戸が開く音) 17 00:01:45,361 --> 00:01:48,031 あら 若先生。 18 00:01:48,031 --> 00:01:51,367 若先生 しばらく。 19 00:01:51,367 --> 00:01:54,704 何だ おあきじゃないか! 20 00:01:54,704 --> 00:01:58,374 何 びっくりしてんのさ。 こっちは すぐに分かったのに。 21 00:01:58,374 --> 00:02:02,712 いや… 女は 化粧すると なかなか 分からん。 22 00:02:02,712 --> 00:02:04,647 そうかしら。 23 00:02:04,647 --> 00:02:09,385 若い娘が 牢屋敷に何の用だ? 牢見舞いだよ。 24 00:02:09,385 --> 00:02:15,725 あたしのいい人が入ってんのさ。 伊勢蔵っていうんだ。 25 00:02:15,725 --> 00:02:18,061 ねえ 若先生➡ 26 00:02:18,061 --> 00:02:20,396 目ぇ かけてくれないかな。 27 00:02:20,396 --> 00:02:24,067 あいつ 牢で さみしがってるだろうからさ。 28 00:02:24,067 --> 00:02:26,736 一人前のことを言う。 29 00:02:26,736 --> 00:02:29,405 頼みますよ。 30 00:02:29,405 --> 00:02:34,677 分かったよ。 伊勢蔵だな。 見回りの時に 声をかけてみよう。 31 00:02:34,677 --> 00:02:38,548 ありがとう。 恩に着ます。 32 00:02:38,548 --> 00:02:42,018 そうだ ちえちゃん 元気? 33 00:02:42,018 --> 00:02:44,354 ああ 元気だ。 34 00:02:44,354 --> 00:02:48,691 ちえちゃんと もう寝た? 35 00:02:48,691 --> 00:02:52,028 おいおい… 俺は そんなことはせん。 36 00:02:52,028 --> 00:02:55,899 それに あんたと違って おちえは まだ子どもだ。 37 00:02:55,899 --> 00:02:59,903 そんなことないわよ。 38 00:02:59,903 --> 00:03:03,903 若先生の方が 子どもよ。 39 00:03:08,044 --> 00:03:10,744 子ども…? 40 00:03:12,382 --> 00:03:18,682 (平塚)伊勢蔵か… ああ これだ。 西の大牢だな。 41 00:03:21,391 --> 00:03:25,061 住まいは 下谷御箪笥町の権平店➡ 42 00:03:25,061 --> 00:03:28,398 日雇いになってるぜ。 日雇い…。 43 00:03:28,398 --> 00:03:31,668 咎は何ですか? ゆすりだ。 44 00:03:31,668 --> 00:03:36,005 下谷長者町 呉服商の越前屋を ゆすった罪だが➡ 45 00:03:36,005 --> 00:03:38,341 金は取れなかったらしいな。 46 00:03:38,341 --> 00:03:41,244 そのうち 敲きぐらいで 放免になるでしょう。 47 00:03:41,244 --> 00:03:44,213 運のいい野郎だ。 48 00:03:44,213 --> 00:03:48,685 一つ 腑に落ちねえことがある。 何です? 49 00:03:48,685 --> 00:03:54,357 野郎 外仕事だってのに 妙に生っ白いんだ 女みてえによ。 50 00:03:54,357 --> 00:04:13,710 ♬~ 51 00:04:13,710 --> 00:04:21,050 <大牢は 西と東にあって 人数の多い いわば雑居房である。➡ 52 00:04:21,050 --> 00:04:27,724 囚人から選ばれた牢名主が 取締りに当たっていた> 53 00:04:27,724 --> 00:04:31,327 鬼六。 54 00:04:31,327 --> 00:04:34,027 へ~い…。 55 00:04:35,999 --> 00:04:38,901 伊勢蔵を。 56 00:04:38,901 --> 00:04:40,870 伊勢蔵! 57 00:04:40,870 --> 00:04:43,339 へい。 58 00:04:43,339 --> 00:04:55,918 ♬~ 59 00:04:55,918 --> 00:05:00,356 お前が 伊勢蔵か。 60 00:05:00,356 --> 00:05:03,259 お前の女房といっていいのかどうか 知らんが➡ 61 00:05:03,259 --> 00:05:07,559 おあきという娘は 私の従妹の友達でね。 62 00:05:10,033 --> 00:05:12,368 おあきの差し入れは届いたかい? 63 00:05:12,368 --> 00:05:15,271 へい 頂きやした。 64 00:05:15,271 --> 00:05:18,041 私は ただの医者だ。 65 00:05:18,041 --> 00:05:20,376 できることは 一つしかないが➡ 66 00:05:20,376 --> 00:05:24,714 具合が悪い時は 遠慮せずに呼んでくれ。 67 00:05:24,714 --> 00:05:29,385 ありがとう存じます。 68 00:05:29,385 --> 00:05:34,657 …呉服屋をゆすったと聞いたが 本当か? 69 00:05:34,657 --> 00:05:38,957 あ… ほんの出来心で。 70 00:05:40,997 --> 00:05:45,334 話は それだけだ。 戻っていいよ。 71 00:05:45,334 --> 00:05:49,205 あ… 先生。 72 00:05:49,205 --> 00:05:53,676 もう一人 話を聞いてやっちゃいただけませんか? 73 00:05:53,676 --> 00:05:57,676 誰だ? へい。 74 00:06:01,017 --> 00:06:04,353 どうした? どこか 具合でも悪いのか? 75 00:06:04,353 --> 00:06:07,690 そうじゃねえんで。 76 00:06:07,690 --> 00:06:09,625 ガキのことでさ。 77 00:06:09,625 --> 00:06:12,361 ガキ? お前のか? へえ。 78 00:06:12,361 --> 00:06:17,700 昨日 嬶が知らせてきたんでさ 病だって…。 79 00:06:17,700 --> 00:06:19,635 何の病なんだ? 分からねえ。 80 00:06:19,635 --> 00:06:22,038 差し入れに 目刺し持ってきて➡ 81 00:06:22,038 --> 00:06:26,375 この佐七さんに 言づてして 帰っただけですからね…。 82 00:06:26,375 --> 00:06:29,278 医者には見せたのか? 医者なんて…! 83 00:06:29,278 --> 00:06:35,651 俺ぁ こんなふうだし 嬶一人っきりで そんな金なかろうし…。 84 00:06:35,651 --> 00:06:41,524 先生 頼まれてくんねえか。 85 00:06:41,524 --> 00:06:44,327 いくつになる子だ? 86 00:06:44,327 --> 00:06:47,663 6つだよ 先生… 女の子だ。 87 00:06:47,663 --> 00:06:51,334 たった一人のガキなんだよ! 88 00:06:51,334 --> 00:06:54,034 お願いします…! 89 00:07:01,978 --> 00:07:07,350 ゆうべも 眠れないほど 悩んでいたようなんで つい…。 90 00:07:07,350 --> 00:07:11,220 あの嘉吉というのは 何の罪で入ってるんだ? 91 00:07:11,220 --> 00:07:13,920 盗みです。 92 00:07:17,360 --> 00:07:19,695 (佐七)鋳かけ仕事を頼まれた家に➡ 93 00:07:19,695 --> 00:07:24,567 たまたま 女の子の晴れ着が 虫干しをしてあったっていうんです。➡ 94 00:07:24,567 --> 00:07:31,567 嘉吉の娘が 一度も着たことのないような きれいな着物だったって…。 95 00:07:36,179 --> 00:07:40,650 (佐七)どうしても 娘に着せてやりたかったんでしょう。 96 00:07:40,650 --> 00:07:51,350 ♬~ 97 00:07:52,995 --> 00:07:56,866 <起倒流柔術の 鴨井左仲道場で➡ 98 00:07:56,866 --> 00:08:01,337 登は 代稽古を務めている> 99 00:08:01,337 --> 00:08:07,637 (稽古をする声) 100 00:08:19,689 --> 00:08:21,624 園井さ…。 101 00:08:21,624 --> 00:08:23,624 はっ! うわっ! 102 00:08:25,361 --> 00:08:27,697 あっ… そ… 園井さ…。 103 00:08:27,697 --> 00:08:32,697 ≪寒ざらし 白玉~。 104 00:08:38,307 --> 00:08:40,643 立花さんも聞いてるでしょう。 105 00:08:40,643 --> 00:08:46,315 鴨井先生は 園井様に婿を取らせて この道場を継がせる決心をしたそうです。 106 00:08:46,315 --> 00:08:50,987 先生も お年だし お体も弱ってきていらっしゃる。 107 00:08:50,987 --> 00:08:53,322 行く先のことを お考えになったんだ。 108 00:08:53,322 --> 00:08:59,662 相手も ほぼ決まってるらしいんですよ。 そうだろうな。 109 00:08:59,662 --> 00:09:03,332 立花さん 今夜は飲みませんか? 110 00:09:03,332 --> 00:09:07,203 いや… 今日は行く所があってな。 すまんな。 111 00:09:07,203 --> 00:09:09,205 いてっ! 112 00:09:09,205 --> 00:09:12,505 えっ じゃあ 私は どうすれば…? 113 00:09:28,024 --> 00:09:29,959 あなた。 114 00:09:29,959 --> 00:09:32,628 起きてください あなた。 115 00:09:32,628 --> 00:09:34,928 (鳥が飛んでいく音) 116 00:09:36,966 --> 00:09:39,869 裏木戸の板張り 直していただけるんでしょ? 117 00:09:39,869 --> 00:09:41,837 そう おっしゃったでしょ? 118 00:09:41,837 --> 00:09:46,309 いや いや… もう… もう飲めんよ。 119 00:09:46,309 --> 00:09:49,009 もう! 120 00:09:53,649 --> 00:09:55,649 えい! 121 00:09:57,320 --> 00:10:00,222 お代わりは? うん。 122 00:10:00,222 --> 00:10:03,222 はいはい。 ああ。 はい どうぞ。 123 00:10:10,666 --> 00:10:14,003 はい…。 ああ… どうぞ。 124 00:10:14,003 --> 00:10:15,938 どうも。 ウフフ。 125 00:10:15,938 --> 00:10:18,238 ウフフフ。 ハハハ。 126 00:10:21,677 --> 00:10:32,021 ♬~ 127 00:10:32,021 --> 00:10:35,691 あら 登さん いたのね。 128 00:10:35,691 --> 00:10:39,028 登さん お食事が終わったらね そしたら…。 129 00:10:39,028 --> 00:10:41,364 駄目よ お母様。 えっ? 130 00:10:41,364 --> 00:10:45,034 登さんは 忙しいの。 ごはんが終わったら 往診に行くのよ。 131 00:10:45,034 --> 00:10:47,937 だって 裏木戸が…。 奥様。 132 00:10:47,937 --> 00:10:52,375 あんまり こき使って 若先生が逃げちゃったら➡ 133 00:10:52,375 --> 00:10:54,310 お嬢様に恨まれますよ。 134 00:10:54,310 --> 00:10:57,246 そうよ 恨むわよ。 135 00:10:57,246 --> 00:10:59,715 そんな…。 136 00:10:59,715 --> 00:11:04,387 どうも… 申し訳ありません。 137 00:11:04,387 --> 00:11:06,387 もう! 138 00:11:09,725 --> 00:11:13,396 はい お嬢様。 139 00:11:13,396 --> 00:11:16,065 はい どうぞ。 140 00:11:16,065 --> 00:11:18,000 これは 誰かのじゃ…。 141 00:11:18,000 --> 00:11:21,737 お気になさらずに。 玄庵先生の分ですから。 142 00:11:21,737 --> 00:11:23,672 それは まずいだろ。 143 00:11:23,672 --> 00:11:26,075 叔父上の大好物だし…。 144 00:11:26,075 --> 00:11:28,075 いいの。 145 00:11:29,745 --> 00:11:32,348 食べて。 146 00:11:32,348 --> 00:11:39,221 2切れ食ったのは 初めてだったなあ… うまかった~。 147 00:11:39,221 --> 00:11:43,221 兄ちゃん 待って。 早く来いよ。 148 00:11:51,367 --> 00:11:54,036 お豊さんか? 149 00:11:54,036 --> 00:11:58,908 牢屋敷で医者をやっている 立花という者だ。 150 00:11:58,908 --> 00:12:01,710 牢屋敷の…? 151 00:12:01,710 --> 00:12:18,727 ♬~ 152 00:12:18,727 --> 00:12:24,727 <脈は かぼそく 時折 乱れが混じる> 153 00:12:29,738 --> 00:12:36,545 <呼吸は確かだが ごろごろと 痰が絡む音がした> 154 00:12:36,545 --> 00:12:40,015 熱が出たのは いつからかね? 155 00:12:40,015 --> 00:12:42,351 5日前からです。 156 00:12:42,351 --> 00:12:45,020 その前から 咳がひどくて…。 157 00:12:45,020 --> 00:12:46,956 こんなふうになったのは? 158 00:12:46,956 --> 00:12:49,692 昨日の昼過ぎから…➡ 159 00:12:49,692 --> 00:12:55,564 呼んでも 何も言わなくなったんです…。 160 00:12:55,564 --> 00:12:59,034 すまんが 福井町まで 使いに行ってもらえないか。 161 00:12:59,034 --> 00:13:01,034 は… はい。 162 00:13:03,906 --> 00:13:08,043 福井町の小牧玄庵という医者は 私の叔父だ。 163 00:13:08,043 --> 00:13:13,716 子どもが 風邪をこじらせていて 下手をすると手遅れになると伝えてくれ。 164 00:13:13,716 --> 00:13:17,586 そんなに悪いんですか? ああ 一刻を争う。 165 00:13:17,586 --> 00:13:20,389 薬を受け取ったら すぐに駆け戻ってきてくれ。 166 00:13:20,389 --> 00:13:22,389 はい! 167 00:13:27,263 --> 00:13:29,398 お~っとっとっと 危ねえよ。 168 00:13:29,398 --> 00:13:31,333 お湯を沸かしてください。 169 00:13:31,333 --> 00:13:34,236 それから ぼろでも何でもいいから 布は ありませんか? 170 00:13:34,236 --> 00:13:36,536 たくさん 欲しいんです。 はい。 171 00:13:40,342 --> 00:13:44,013 どこかの家に 芥子はないかな。 粒のものでいい。 172 00:13:44,013 --> 00:13:46,682 それから うどん粉があれば 少し もらいたい。 173 00:13:46,682 --> 00:13:49,018 はい。 174 00:13:49,018 --> 00:13:57,359 (子どもの荒い息遣い) 175 00:13:57,359 --> 00:13:59,659 これを…。 176 00:14:08,003 --> 00:14:11,703 (せきこみ) 177 00:14:15,711 --> 00:14:18,380 ああ…。 178 00:14:18,380 --> 00:14:20,316 叔父上!? 179 00:14:20,316 --> 00:14:24,253 ああ 登…。 いやいや 走った 走った。 180 00:14:24,253 --> 00:14:28,724 ああ… よいしょ。 いや~ 久しぶりに走ったぞ。 181 00:14:28,724 --> 00:14:34,330 ハハハハ! はあ~…。 よいしょ! ハハハハ…。 あ~…。 182 00:14:34,330 --> 00:14:36,330 おっ…。 183 00:14:38,000 --> 00:14:41,337 ああ… 熱くだしの薬は煎じたか? 184 00:14:41,337 --> 00:14:43,672 煎じて 今 冷ましています。 185 00:14:43,672 --> 00:14:48,010 なに 少しぐらい熱くてもかまわん。 飲ませよう。 186 00:14:48,010 --> 00:14:51,880 これ 頼まれたものです。 芥子と うどん粉。 187 00:14:51,880 --> 00:14:53,882 ありがとう。 188 00:14:53,882 --> 00:14:55,884 ちょっと 名前 呼んでやれ。 はい。 189 00:14:55,884 --> 00:14:58,654 おつぎ おつぎ! おつぎ。 190 00:14:58,654 --> 00:15:01,023 おつぎ! ねえ おつぎ! 191 00:15:01,023 --> 00:15:04,023 分かった 分かった もういい。 192 00:15:07,363 --> 00:15:09,298 痰が絡んでるな。 193 00:15:09,298 --> 00:15:12,234 芥子を混ぜたものを 胸に貼ってみようと思ってます。 194 00:15:12,234 --> 00:15:15,704 ああ 薄く のばしてな。 それで 正気づくようだったら➡ 195 00:15:15,704 --> 00:15:19,575 一口でも二口でもいい 熱くだしを飲ませてみることだ。 196 00:15:19,575 --> 00:15:21,577 そうします。 ああ。 197 00:15:21,577 --> 00:15:26,577 ほかに もう一匙 いい薬を調合していこう。 198 00:15:36,992 --> 00:15:39,662 お前 ずっといていいのか? 199 00:15:39,662 --> 00:15:43,532 いや… 場合によっては 一晩 ここに泊まります。 200 00:15:43,532 --> 00:15:46,232 そうか それがいい。 201 00:15:48,337 --> 00:15:51,006 お前さん もう引き取っていいぞ。 202 00:15:51,006 --> 00:15:56,006 なに 腕のいい医者が2人も来てるんだ。 大丈夫だ 心配するな。 203 00:16:01,650 --> 00:16:10,025 ≪ところて~ん てんやて~ん。 204 00:16:10,025 --> 00:16:12,695 ≪小牧です。 205 00:16:12,695 --> 00:16:16,365 登さん いますか? 206 00:16:16,365 --> 00:16:18,365 おちえ。 207 00:16:20,235 --> 00:16:24,039 お父様に聞いたの。 はい お弁当。 208 00:16:24,039 --> 00:16:29,912 気が利くんだな。 こりゃ ありがたい。 209 00:16:29,912 --> 00:16:32,314 だいぶ 悪いの? 210 00:16:32,314 --> 00:16:35,217 ちょっとな… 今夜がヤマだ。 211 00:16:35,217 --> 00:16:37,917 何か 手伝うことある? 212 00:16:42,958 --> 00:16:44,893 登さん。 213 00:16:44,893 --> 00:16:46,862 ああ。 214 00:16:46,862 --> 00:17:34,643 ♬~ 215 00:17:34,643 --> 00:17:39,314 ああ… 大変だったな 疲れたろう。 216 00:17:39,314 --> 00:17:43,014 ううん。 よかった 手伝えて。 217 00:17:45,654 --> 00:17:50,325 ああ… 珍しい人に会ったぞ。 218 00:17:50,325 --> 00:17:55,998 誰? 蝋燭屋のおあきだ。 219 00:17:55,998 --> 00:17:58,901 随分 変わってたなあ。 220 00:17:58,901 --> 00:18:04,339 大人みたいな化粧をしていて 初め 分からなかった。 221 00:18:04,339 --> 00:18:08,010 あたしだって もう大人よ。 222 00:18:08,010 --> 00:18:09,945 うん…。 223 00:18:09,945 --> 00:18:13,348 会って それから どうしたのよ? どうも せん。 224 00:18:13,348 --> 00:18:17,019 道端で ちょっと立ち話をしただけだ。 225 00:18:17,019 --> 00:18:18,954 それだけ? 226 00:18:18,954 --> 00:18:20,889 おいおい どうしたんだ? 227 00:18:20,889 --> 00:18:25,360 たまたま 出会っただけだぞ。 妙な勘ぐりはよせ。 228 00:18:25,360 --> 00:18:27,296 だって 嫌なんだもの! 229 00:18:27,296 --> 00:18:31,166 あの人 登さんを好いているのよ。 230 00:18:31,166 --> 00:18:34,636 だから… 会ったりしてほしくないの。 231 00:18:34,636 --> 00:18:38,307 ばか。 くだらんことを言うな。 232 00:18:38,307 --> 00:18:42,644 おちえの友達だから 相手をしただけだ。 233 00:18:42,644 --> 00:18:45,547 ほんとに? 234 00:18:45,547 --> 00:18:48,517 ほんとだよ。 235 00:18:48,517 --> 00:18:55,224 ♬~ 236 00:18:55,224 --> 00:18:59,924 (虫の声と犬のほえ声) 237 00:19:22,317 --> 00:19:28,317 赤くなってきているのは 効いている証しだよ。 238 00:19:31,960 --> 00:19:34,960 はあ…。 239 00:19:39,301 --> 00:19:44,601 (鳥の鳴き声) 240 00:19:48,310 --> 00:19:50,610 ああ…。 241 00:19:58,320 --> 00:20:02,020 どうだな? 気分は。 242 00:20:05,661 --> 00:20:08,330 怖がらなくてもいい。 243 00:20:08,330 --> 00:20:15,030 私は 医者だ。 お前が病気だから 治しに来たんだよ。 244 00:20:17,673 --> 00:20:22,010 さあ 飲むんだ。 245 00:20:22,010 --> 00:20:43,031 ♬~ 246 00:20:43,031 --> 00:20:49,705 お豊さん お豊さん。 247 00:20:49,705 --> 00:20:53,041 あ… あたし 寝てしまって…。 248 00:20:53,041 --> 00:20:56,912 いいんだ。 もう峠は越したよ。 249 00:20:56,912 --> 00:20:59,381 あ…。 250 00:20:59,381 --> 00:21:05,721 おつぎ! おつぎ…。 251 00:21:05,721 --> 00:21:08,390 おつぎ よかった…! 252 00:21:08,390 --> 00:21:11,293 おっ母ぁ! 253 00:21:11,293 --> 00:21:15,731 若先生 恩に着ます…。 254 00:21:15,731 --> 00:21:18,066 ありがとうございます! 255 00:21:18,066 --> 00:21:22,938 ≪(お豊)ありがとうございます…! おつぎ…。 256 00:21:22,938 --> 00:21:24,940 おっ母ぁ。 257 00:21:24,940 --> 00:21:27,409 おつぎ…。 258 00:21:27,409 --> 00:21:31,013 (お豊の泣き声) 259 00:21:31,013 --> 00:21:32,948 (嘉吉)本当ですかい!? 260 00:21:32,948 --> 00:21:38,353 もう心配ないぞ。 子どもは 快方に向かうと早いものだ。 261 00:21:38,353 --> 00:21:45,027 すんません すんません… 何と お礼を申したらいいか…。 262 00:21:45,027 --> 00:21:48,697 先生 ありがとうござんした! 263 00:21:48,697 --> 00:21:51,600 大げさなまねをするなよ。 264 00:21:51,600 --> 00:21:55,570 病を治すのは 医者のつとめだ。 265 00:21:55,570 --> 00:21:59,870 さあ それじゃあ 立花さん 行きましょう。 はっ。 266 00:22:08,050 --> 00:22:11,050 ありがとうござんした! 267 00:22:13,722 --> 00:22:18,393 (戸が閉まる音) 268 00:22:18,393 --> 00:22:21,730 しかし 立花先生は よくやる。 269 00:22:21,730 --> 00:22:26,401 私は 囚人からの頼み事なんか 一切 聞く耳 持ちませんよ。 270 00:22:26,401 --> 00:22:30,272 牢屋敷の外とのつながりなんて… フフ とんでもない。 271 00:22:30,272 --> 00:22:33,208 何が起こるか分かりませんからな。 272 00:22:33,208 --> 00:22:35,677 (戸の開く音) 273 00:22:35,677 --> 00:22:39,347 あ… 失礼いたしやす。 うん 何だ? 274 00:22:39,347 --> 00:22:44,347 へい。 あの 立花先生に…。 275 00:22:48,356 --> 00:22:53,028 どうした? 申し訳ございませんが…➡ 276 00:22:53,028 --> 00:22:54,963 嘉吉のやつが。 277 00:22:54,963 --> 00:22:57,699 嘉吉が? どうした? 278 00:22:57,699 --> 00:23:01,369 (佐七)あの 実は…。 279 00:23:01,369 --> 00:23:04,039 ん~…。 280 00:23:04,039 --> 00:23:05,974 (嘉吉)先生。 281 00:23:05,974 --> 00:23:08,710 はあ…。 282 00:23:08,710 --> 00:23:14,049 さて… 何の話だ? 283 00:23:14,049 --> 00:23:18,720 ご恩返しといっても 金もねえ 何もできねえからよ➡ 284 00:23:18,720 --> 00:23:24,720 ちっと 面白え話を お聞かせしようと思いやして。 285 00:23:28,063 --> 00:23:31,333 黒雲の銀次って名前を 知ってやすかい? 286 00:23:31,333 --> 00:23:33,668 知らんな。 287 00:23:33,668 --> 00:23:35,604 盗っ人でさ。 288 00:23:35,604 --> 00:23:39,904 それが どうした? なぜ 私に そんな話を…。 289 00:23:44,312 --> 00:23:49,684 まさか… その盗っ人が この中に いるわけではあるまいな。 290 00:23:49,684 --> 00:23:54,356 親玉じゃねえが でも 子分の一人が…。 291 00:23:54,356 --> 00:23:58,026 こいつを たたいたら 面白いことになりやすぜ。 292 00:23:58,026 --> 00:24:00,695 誰だ? 言ってみろ。 293 00:24:00,695 --> 00:24:02,695 (男)うるせえ! 294 00:24:04,566 --> 00:24:08,570 どうした? 295 00:24:08,570 --> 00:24:15,043 先生… ちょっと具合が悪いや。 明日にしましょうや。 296 00:24:15,043 --> 00:24:18,713 大丈夫か? おい。 297 00:24:18,713 --> 00:24:22,050 ヘヘ… 大丈夫でさ。 298 00:24:22,050 --> 00:24:35,330 ♬~ 299 00:24:35,330 --> 00:24:40,669 <翌日 思いがけない出来事が起こった> 300 00:24:40,669 --> 00:25:03,358 ♬~ 301 00:25:03,358 --> 00:25:06,261 嘉吉…。 302 00:25:06,261 --> 00:25:09,030 心ノ臓の発作ですかな。 303 00:25:09,030 --> 00:25:12,701 暴れた跡もないし どこにも傷痕もありません。 304 00:25:12,701 --> 00:25:16,401 きれいな死人だ。 305 00:25:21,710 --> 00:25:27,582 鬼六… お前は何も見なかったのか? 306 00:25:27,582 --> 00:25:30,318 本当に 何も知らないのか? 307 00:25:30,318 --> 00:25:36,191 何の話で? 一体 何を見たっておっしゃるんで? 308 00:25:36,191 --> 00:25:41,329 誰かが 何かをしたんだ。 それを見たんだ。 309 00:25:41,329 --> 00:25:46,201 とんでもねえ。 そんなことがあったら 真っ先に お知らせしまさあ。 310 00:25:46,201 --> 00:25:51,973 でなきゃ 牢内の示しがつきませんぜ。 311 00:25:51,973 --> 00:25:54,676 いてててて… ちょいと腹が痛むんで。 312 00:25:54,676 --> 00:25:59,976 あいたたたた… いててて… ああ…。 313 00:26:02,017 --> 00:26:04,317 (桂順)終わりました。 314 00:26:06,688 --> 00:26:14,029 ♬~ 315 00:26:14,029 --> 00:26:19,367 (お豊)そうですか 心ノ臓が…。 316 00:26:19,367 --> 00:26:23,705 体は至って丈夫だったのに…。 317 00:26:23,705 --> 00:26:32,314 娘さんの病が治ったと伝えた時は 随分 喜んでいたんですけどね…。 318 00:26:32,314 --> 00:26:37,652 おつぎの病が治ったこと 知ってるんですね。 319 00:26:37,652 --> 00:26:39,988 ああ… よかった。 320 00:26:39,988 --> 00:26:49,998 ♬~ 321 00:26:49,998 --> 00:26:55,337 あの人は おつぎのことを…➡ 322 00:26:55,337 --> 00:27:00,675 かわいがって… かわいがって…。 323 00:27:00,675 --> 00:27:04,375 おつぎが大好きだったから…。 324 00:27:07,349 --> 00:27:12,220 自分の命と引き換えにしたんですよ…。 325 00:27:12,220 --> 00:27:17,692 (おつぎ)おっ母ぁ。 (お豊の泣き声) 326 00:27:17,692 --> 00:27:20,362 (おつぎ)おっ母ぁ…。 327 00:27:20,362 --> 00:27:23,264 (お豊)おつぎ…! 328 00:27:23,264 --> 00:27:27,264 (せみの声) 329 00:27:30,038 --> 00:27:35,310 <登が 突然 牢名主の鬼六に呼ばれたのは➡ 330 00:27:35,310 --> 00:27:39,647 それから半月ほど後のことであった> 331 00:27:39,647 --> 00:27:43,318 どうした? また 腹が痛むのか? 332 00:27:43,318 --> 00:27:47,655 いえ 先生 そっちの方は もうすっかり。 ヘヘヘヘヘ…。 333 00:27:47,655 --> 00:27:53,995 それより… あん時のことですがね。 334 00:27:53,995 --> 00:27:59,868 あの時? 嘉吉のことでさ。 335 00:27:59,868 --> 00:28:05,340 ひょっとすると 先生の おっしゃるとおりのことが➡ 336 00:28:05,340 --> 00:28:09,010 起こったのかもしれねえと 思いましてね。 337 00:28:09,010 --> 00:28:10,945 何? 338 00:28:10,945 --> 00:28:19,245 だけど 誰も気が付かねえんだから やったやつは ただ者じゃねえ。 339 00:28:21,356 --> 00:28:25,226 知ってたんだな やはり。 340 00:28:25,226 --> 00:28:28,696 知っていて 黙ってたんだな。 341 00:28:28,696 --> 00:28:30,632 とんでもねえ。 342 00:28:30,632 --> 00:28:36,504 あっしは今でも 嘉吉のやつは 心ノ臓の病だと思ってるんですぜ。 343 00:28:36,504 --> 00:28:42,243 だけどね 近頃になって 何となく➡ 344 00:28:42,243 --> 00:28:48,650 先生が 疑ってらっしゃるようなことも あったかもしれねえって➡ 345 00:28:48,650 --> 00:28:51,319 そんな気が… ヘヘヘヘ…。 346 00:28:51,319 --> 00:28:55,657 まあ それだけの話でさ。 ヘヘヘ…。 347 00:28:55,657 --> 00:28:58,993 それだけか? 348 00:28:58,993 --> 00:29:05,333 今更 それだけの話で呼んだのか? 349 00:29:05,333 --> 00:29:09,204 気障りが取れたら 夜もよく寝られやす。 350 00:29:09,204 --> 00:29:14,342 それで ひょっと思いついたもんでね。 351 00:29:14,342 --> 00:29:27,342 ♬~ 352 00:29:28,890 --> 00:29:30,825 (平塚)これだ。 353 00:29:30,825 --> 00:29:34,963 この半月のうちに放免になった者を 調べればいいんですな。 354 00:29:34,963 --> 00:29:40,635 そうです。 嘉吉が死んでから今日まで 西の大牢から 放免になった者です。 355 00:29:40,635 --> 00:29:43,304 お安い御用だ。 356 00:29:43,304 --> 00:29:47,175 先生 何か怪しい節でもあるんですかい? 357 00:29:47,175 --> 00:29:52,313 いえ… ちょっと気になることがありまして。 358 00:29:52,313 --> 00:29:54,249 ありましたぜ。 359 00:29:54,249 --> 00:29:58,653 一人は 諏訪町の藤作 齢は 36。 360 00:29:58,653 --> 00:30:02,323 もう一人は 御箪笥町の伊勢蔵 27。 361 00:30:02,323 --> 00:30:04,323 この2人だ。 362 00:30:10,999 --> 00:30:14,299 伊勢蔵…。 363 00:30:16,871 --> 00:30:20,008 あたしのいい人が入ってんのさ。 364 00:30:20,008 --> 00:30:22,911 ほんの出来心で。 365 00:30:22,911 --> 00:30:27,211 ああ… はあ… あっ… あっ! 366 00:30:30,351 --> 00:30:35,023 ねえ もう どこへも行かないで…。 367 00:30:35,023 --> 00:30:37,358 一人にしないでね。 368 00:30:37,358 --> 00:30:39,694 ヘヘヘヘ… ばか。 369 00:30:39,694 --> 00:30:44,566 だって さみしいんだもの 一人で待ってるの…。 370 00:30:44,566 --> 00:30:46,568 分かった 分かった。 371 00:30:46,568 --> 00:30:50,038 おめえには かなわねえよ。 372 00:30:50,038 --> 00:30:53,374 どこへ行くのも一緒だ。 373 00:30:53,374 --> 00:31:03,718 ♬~ 374 00:31:03,718 --> 00:31:06,387 <小料理屋 どん助は➡ 375 00:31:06,387 --> 00:31:09,290 八名川町の目明し 藤吉が➡ 376 00:31:09,290 --> 00:31:13,061 女房のおせんに任せている店である> 377 00:31:13,061 --> 00:31:15,396 伊勢蔵ってのは知らねえが➡ 378 00:31:15,396 --> 00:31:19,067 おちえさんのお友達の 連れ合いなんですって? 379 00:31:19,067 --> 00:31:23,938 ああ。 日雇いという話だったが そうは見えん。 380 00:31:23,938 --> 00:31:26,941 どう見ても 遊び人だが➡ 381 00:31:26,941 --> 00:31:33,348 …といって 黒雲の何とかって大泥棒の 一味というほどの悪党にも見えん。 382 00:31:33,348 --> 00:31:36,251 黒雲の銀次ってやつはね 先生➡ 383 00:31:36,251 --> 00:31:39,220 汚えやり口の泥棒でねえ…。 384 00:31:39,220 --> 00:31:42,357 うわ~! きゃ~! ああ~! 385 00:31:42,357 --> 00:31:46,227 (藤吉)3年前に 神田の鍋町で 7人も殺しやがった。➡ 386 00:31:46,227 --> 00:31:51,032 一家7人 皆殺しにして 5百両からの金を盗み取ったんだ。➡ 387 00:31:51,032 --> 00:31:55,903 しかも この一味は まだ一人も捕まっちゃいねえ。 388 00:31:55,903 --> 00:32:00,041 [ 回想 ] (嘉吉)黒雲の銀次って名前を 知ってやすかい? 389 00:32:00,041 --> 00:32:04,912 親玉じゃねえが でも 子分の一人が…。 390 00:32:04,912 --> 00:32:07,915 こいつを たたいたら 面白いことになりやすぜ。 391 00:32:07,915 --> 00:32:13,388 先生は 藤作と伊勢蔵のどちらかが 黒雲の銀次の一味で➡ 392 00:32:13,388 --> 00:32:17,058 そいつが 口封じに嘉吉をどうにかしたと おっしゃるんですかい? 393 00:32:17,058 --> 00:32:18,993 間違いない。 394 00:32:18,993 --> 00:32:22,397 やったやつは ただ者じゃねえ。 395 00:32:22,397 --> 00:32:27,268 気障りが取れたら 夜もよく寝られやす。 396 00:32:27,268 --> 00:32:29,270 牢名主が 今になって➡ 397 00:32:29,270 --> 00:32:32,006 それを認めるようなことを 言いだしたのは➡ 398 00:32:32,006 --> 00:32:35,877 その男が 牢を出たからだ。 399 00:32:35,877 --> 00:32:38,680 なるほどねえ。 400 00:32:38,680 --> 00:32:41,680 暑い! (おせん)いらっしゃいまし。 401 00:32:43,351 --> 00:32:45,651 親分。 402 00:32:51,025 --> 00:32:57,899 藤作は お解き放ちになった その足で 以前の雇い主の所へ挨拶に行ってやす。 403 00:32:57,899 --> 00:33:02,637 大工仲間も喜んで迎え入れてやしてね 近所の評判もいい。 404 00:33:02,637 --> 00:33:05,373 とても 盗っ人の片割れとは思えませんや。 405 00:33:05,373 --> 00:33:07,709 伊勢蔵の方は どうした? 406 00:33:07,709 --> 00:33:13,381 ああ… お解き放ちになって すぐの頃は 女と一緒にいたようですがね➡ 407 00:33:13,381 --> 00:33:17,719 今は 家にいるのは女一人。 408 00:33:17,719 --> 00:33:20,054 一度 踏み込んで 締め上げてみますかい。 409 00:33:20,054 --> 00:33:21,989 ばか野郎。 410 00:33:21,989 --> 00:33:25,393 まだ 伊勢蔵がワルだかどうだか 分からねえんだぜ。 411 00:33:25,393 --> 00:33:27,328 へえ そりゃ まあ…。 412 00:33:27,328 --> 00:33:29,731 じゃあ 私が行ってみよう。 413 00:33:29,731 --> 00:33:31,731 えっ? 414 00:33:44,011 --> 00:33:47,348 ≪ごめん 誰か いるか? 415 00:33:47,348 --> 00:33:49,348 …は~い。 416 00:33:57,358 --> 00:33:59,694 あら 若先生。 417 00:33:59,694 --> 00:34:02,029 どうしたの? 今頃。 418 00:34:02,029 --> 00:34:03,965 今日は非番でな。 419 00:34:03,965 --> 00:34:07,368 叔父の代診で近くに来たから 寄ってみた。 420 00:34:07,368 --> 00:34:10,037 うれしい。 421 00:34:10,037 --> 00:34:13,374 ご亭主は 仕事か。 422 00:34:13,374 --> 00:34:16,674 いえ… ちょっと。 423 00:34:20,248 --> 00:34:25,386 どこか 2人で出かけるのか。 424 00:34:25,386 --> 00:34:28,289 違いますよ。 425 00:34:28,289 --> 00:34:33,194 まあ とにかく上がってくださいな お茶でも入れますから。 426 00:34:33,194 --> 00:34:35,663 いや そうもしてもおれんのだ。 427 00:34:35,663 --> 00:34:41,536 ほかに回る所もある。 ちょっと様子を見に来ただけなんだ。 428 00:34:41,536 --> 00:35:00,888 ♬~ 429 00:35:00,888 --> 00:35:02,890 (戸を閉める音) 430 00:35:02,890 --> 00:35:07,028 (鐘の音) 431 00:35:07,028 --> 00:35:26,714 ♬~ 432 00:35:26,714 --> 00:35:31,319 (からすの鳴き声) 433 00:35:31,319 --> 00:35:48,336 ♬~ 434 00:35:48,336 --> 00:35:51,036 あっしは 親分に。 435 00:35:54,008 --> 00:35:57,879 (男)明日の朝 七ツだ いいな。 436 00:35:57,879 --> 00:36:00,882 (伊勢蔵)ああ 分かった。 437 00:36:00,882 --> 00:36:06,020 道中切手は持ってるな? ああ 持ってる。 それに 当座の金もな。 438 00:36:06,020 --> 00:36:07,955 それじゃあ ぐずぐずすることはねえ。 439 00:36:07,955 --> 00:36:12,894 大橋の川下 山王社の裏だ。 そこに舟が待ってる。 440 00:36:12,894 --> 00:36:18,032 どうだい 黒雲の親分は そこまで手配りしてくれたぜ。 441 00:36:18,032 --> 00:36:20,701 いろいろと すまねえ。 442 00:36:20,701 --> 00:36:23,604 それ 私のだよ! 何すんのさ! 443 00:36:23,604 --> 00:36:25,573 女は 邪魔だ。 444 00:36:25,573 --> 00:36:28,042 どこへ行くのも一緒って 言ったじゃないか! 445 00:36:28,042 --> 00:36:29,977 うるせえ! 伊勢蔵。➡ 446 00:36:29,977 --> 00:36:31,913 行くぜ。 (伊勢蔵)へい。 447 00:36:31,913 --> 00:36:35,316 ちょっと待って… 待ってよ あんた! はなせ! 448 00:36:35,316 --> 00:36:37,652 (戸が開く音) 449 00:36:37,652 --> 00:36:41,522 だ… 誰だ てめえ! 450 00:36:41,522 --> 00:36:43,524 観念しろ。 451 00:36:43,524 --> 00:36:45,526 どこへも行く所はないぞ。 452 00:36:45,526 --> 00:36:49,263 駄目… 来ちゃ駄目! どうして こんな所に来たのよ! 453 00:36:49,263 --> 00:36:52,199 このアマ… つけられやがって! 454 00:36:52,199 --> 00:36:54,199 きゃ~! 455 00:36:56,003 --> 00:36:57,939 うら~! 456 00:36:57,939 --> 00:36:59,874 嫌~! あっ! 457 00:36:59,874 --> 00:37:02,874 死ね~! きゃっ! 458 00:37:07,348 --> 00:37:11,018 ああ~! くそっ! うっ! 459 00:37:11,018 --> 00:37:45,653 ♬~ 460 00:37:45,653 --> 00:37:48,322 うわ~! ああっ! 461 00:37:48,322 --> 00:38:04,338 ♬~ 462 00:38:04,338 --> 00:38:07,241 ううっ… う…。 463 00:38:07,241 --> 00:38:09,677 あっ…! ああ~! 464 00:38:09,677 --> 00:38:11,677 あっ…! 465 00:38:14,548 --> 00:38:17,018 ああ こいつは ひでえや。 466 00:38:17,018 --> 00:38:19,687 若先生 お怪我は? ああ なんとか 大丈夫だ。 467 00:38:19,687 --> 00:38:21,687 直蔵。 へい! 468 00:38:26,027 --> 00:38:27,962 てこずりやんしたね。 469 00:38:27,962 --> 00:38:31,632 危うく 江戸を落ちるところだった。 470 00:38:31,632 --> 00:38:37,304 2人とも間違いなく 黒雲の銀次の手下だ。 471 00:38:37,304 --> 00:38:40,304 娘さんは どうなさいます? 472 00:38:51,652 --> 00:38:54,652 私が送って帰ろう。 473 00:39:04,665 --> 00:39:06,965 あたい…。 474 00:39:10,337 --> 00:39:13,240 どうした? 475 00:39:13,240 --> 00:39:19,680 若先生に あんなところを見られて 恥ずかしかった…。 476 00:39:19,680 --> 00:39:26,380 しかたがあるまい。 これからは 男を選ぶことだ。 477 00:39:30,958 --> 00:39:38,299 伊勢蔵が 牢の中で人を殺したのは 知ってたのか? 478 00:39:38,299 --> 00:39:41,635 ええ。 479 00:39:41,635 --> 00:39:46,635 盗っ人の一味だったことは? 480 00:39:51,979 --> 00:39:58,979 それでも 男を逃がしてやるつもりだったのか…。 481 00:40:00,988 --> 00:40:07,862 あたい… あの人が好きだったもの。 482 00:40:07,862 --> 00:40:11,562 あたいには優しかった。 483 00:40:25,212 --> 00:40:28,682 しかし 伊勢蔵は…➡ 484 00:40:28,682 --> 00:40:31,682 お前を殺そうとしたぞ。 485 00:40:39,026 --> 00:40:42,363 (すすり泣き) 486 00:40:42,363 --> 00:40:52,039 (雨音) 487 00:40:52,039 --> 00:40:58,739 この雨と一緒に 全て洗い流せ。 488 00:41:11,725 --> 00:41:14,061 帰るぞ。 489 00:41:14,061 --> 00:41:35,349 ♬~ 490 00:41:35,349 --> 00:41:37,284 うれしいよ 佐七さん。 491 00:41:37,284 --> 00:41:39,220 女の甘い口には 気を付けな。 492 00:41:39,220 --> 00:41:43,224 鼻の下を伸ばして 言いなりになってると ひでえ目に遭うぜ。 493 00:41:43,224 --> 00:41:45,693 夫婦約束をしました。 何? 494 00:41:45,693 --> 00:41:48,362 力の限り おきぬを守り抜きます。 495 00:41:48,362 --> 00:41:52,233 いいかげんにしろ! てめえは 殺されかけたんだぜ! 496 00:41:52,233 --> 00:41:54,235 はあ~! 497 00:41:54,235 --> 00:41:59,373 女は 悪い男に惚れちゃうと どうにもならないものね。 498 00:41:59,373 --> 00:42:01,308 よく考えろ。 499 00:42:01,308 --> 00:42:05,246 おっ母さんを悲しませてはいかんだろう。 500 00:42:05,246 --> 00:43:25,246 ♬~