1 00:00:35,633 --> 00:00:38,436 大丈夫か? ほら。 2 00:00:38,436 --> 00:00:48,779 ♬~ 3 00:00:48,779 --> 00:00:53,479 ありがとうございました。 ありがとうございました。 4 00:00:55,653 --> 00:00:58,353 大変 お似合いになると思います。 5 00:01:07,465 --> 00:01:13,137 (番頭)私どもは 京の西陣 加賀の友禅 ともに取りそろえてございましてな➡ 6 00:01:13,137 --> 00:01:15,806 品ぞろえは 十分でございます。 7 00:01:15,806 --> 00:01:18,709 お内儀様にも 是非 ご覧いただきとうございますな。 8 00:01:18,709 --> 00:01:23,147 そうしてもらいましょうかな。 女房も娘も喜びましょう。 9 00:01:23,147 --> 00:01:25,816 では お持ちいたしましょう。 10 00:01:25,816 --> 00:01:32,423 ≪すだれ~ 竹すだれ~!➡ 11 00:01:32,423 --> 00:01:37,423 すだれ~ よしず! 12 00:01:46,771 --> 00:01:49,106 包みは…? 13 00:01:49,106 --> 00:01:51,442 包みが ない…。 14 00:01:51,442 --> 00:01:53,778 どうなさいました? 包みが ない! 15 00:01:53,778 --> 00:01:56,681 えっ! 誰か… 誰か知らないか!? 16 00:01:56,681 --> 00:01:58,649 私 見ました! 17 00:01:58,649 --> 00:02:02,119 みの竹の仲居の おきぬさんです。 おきぬ? 18 00:02:02,119 --> 00:02:05,990 風呂敷包みを持っていきました。 えっ!? 19 00:02:05,990 --> 00:02:08,459 <おきぬという その女は➡ 20 00:02:08,459 --> 00:02:12,129 東両国の料理屋で仲居をつとめ➡ 21 00:02:12,129 --> 00:02:17,001 商売柄 時々 顔を見せる なじみ客であった> 22 00:02:17,001 --> 00:02:21,138 うん… おきぬさんちなら そこ。 23 00:02:21,138 --> 00:02:23,438 ありがとうございました。 24 00:02:27,011 --> 00:02:29,311 おきぬさん! 開けるよ! 25 00:02:31,148 --> 00:02:34,051 (番頭)おきぬさん…! 26 00:02:34,051 --> 00:03:12,351 ♬~ 27 00:03:14,125 --> 00:03:17,125 (雨音) 28 00:03:28,472 --> 00:03:30,408 (いびき) 29 00:03:30,408 --> 00:03:34,278 ほお~…。 30 00:03:34,278 --> 00:03:36,280 (戸の開く音) 31 00:03:36,280 --> 00:03:40,084 遅くにすみません。 病人が出ましたんで…。 32 00:03:40,084 --> 00:03:42,753 どこの牢だ? 女牢です。 33 00:03:42,753 --> 00:03:45,423 急病人ですか? (佐七)そうです。 34 00:03:45,423 --> 00:03:47,358 私が行きましょう。 35 00:03:47,358 --> 00:03:51,095 いえ 結構ですよ。 すぐに済みましょうから。 36 00:03:51,095 --> 00:03:53,095 はい。 37 00:03:54,765 --> 00:03:59,103 (雷鳴) 38 00:03:59,103 --> 00:04:05,443 <牢獄は 口揚屋 奥の揚屋 西の大牢➡ 39 00:04:05,443 --> 00:04:08,112 西の二間牢と並んでいる。➡ 40 00:04:08,112 --> 00:04:14,112 一番手前の口揚屋が 女囚の牢である> 41 00:04:15,986 --> 00:04:18,756 名主。 名主 いるか。 42 00:04:18,756 --> 00:04:22,660 はい ここにおりますよ。 43 00:04:22,660 --> 00:04:25,129 (水野)病人は そこに控えているか? 44 00:04:25,129 --> 00:04:29,800 へえ さっきから控えさせております。 45 00:04:29,800 --> 00:04:33,671 今 戸を開けるから 外に出せ。 46 00:04:33,671 --> 00:04:35,971 (鍵を開ける音) 47 00:04:44,315 --> 00:04:46,315 う…。 48 00:04:48,085 --> 00:04:51,385 う… はあ…。 49 00:05:01,632 --> 00:05:07,104 (雷鳴) 50 00:05:07,104 --> 00:05:10,775 ん…。 51 00:05:10,775 --> 00:05:13,110 うっ… うっ! 52 00:05:13,110 --> 00:05:16,781 ここか? 痛むのは ここか? 53 00:05:16,781 --> 00:05:20,651 (おきぬ)はい… 先生。 54 00:05:20,651 --> 00:05:36,066 ♬~ 55 00:05:36,066 --> 00:05:38,402 …あとで 薬を届ける。 56 00:05:38,402 --> 00:05:44,275 大病というわけじゃない。 朝には けろりと治るよ。 57 00:05:44,275 --> 00:05:54,752 ♬~ 58 00:05:54,752 --> 00:05:58,422 よう 今日も暑いな。 へえ。 59 00:05:58,422 --> 00:06:00,758 ゆうべの病人は どうしてる? 60 00:06:00,758 --> 00:06:06,630 おきぬですか? 寝てますよ。 体が だるいとか言って。 61 00:06:06,630 --> 00:06:13,337 新入りのくせに どうして したたかな女ですよ。 62 00:06:13,337 --> 00:06:15,306 あのね 先生➡ 63 00:06:15,306 --> 00:06:19,109 佐七って男に 気を付けた方がよござんすよ。 64 00:06:19,109 --> 00:06:22,780 佐七が? どうかしたのか? 65 00:06:22,780 --> 00:06:27,117 あれにね いいように使われてるんですよ。 66 00:06:27,117 --> 00:06:31,956 団子やら饅頭やら 好きなもん買いに行かせるんです。 67 00:06:31,956 --> 00:06:35,392 ツルは いくらでも 隠して持ち込んでるんだから。 68 00:06:35,392 --> 00:06:39,263 そりゃ お前たちだって 同じなんじゃないのか。 69 00:06:39,263 --> 00:06:42,066 そりゃ そうですけどね…。 70 00:06:42,066 --> 00:06:44,401 あたしの にらんだところじゃあ➡ 71 00:06:44,401 --> 00:06:49,273 近頃 おきぬは 買い物に自分の金は使っちゃいませんね。 72 00:06:49,273 --> 00:06:52,743 何? それは どういうことだ? 73 00:06:52,743 --> 00:06:58,415 佐七って男が 貢いでんですよ。 74 00:06:58,415 --> 00:07:03,087 佐七も ばかだが 女の方も いい腕じゃないか。 75 00:07:03,087 --> 00:07:05,022 ふん! 76 00:07:05,022 --> 00:07:12,763 女にとっちゃ 男をだますほど 楽しいことはありませんからねえ。 77 00:07:12,763 --> 00:07:17,434 そのこと 役人には話したのか? 78 00:07:17,434 --> 00:07:23,774 牢勤めを やめさせられたりしたら あの坊や かわいそうですからね。 79 00:07:23,774 --> 00:07:30,074 でも ほっとくわけにもいかないから 先生のお耳にだけ。 80 00:07:31,582 --> 00:07:35,386 だけど 女の方は なんとかしなくちゃね。 81 00:07:35,386 --> 00:07:39,386 このままじゃ ご牢内の示しがつかない。 82 00:07:49,400 --> 00:07:56,740 ♬~ 83 00:07:56,740 --> 00:08:00,411 (佐七)何を お聞きになりたいんです? 84 00:08:00,411 --> 00:08:05,282 おきぬのことだったら 先生が ご存じのとおりです。 85 00:08:05,282 --> 00:08:09,753 それが いけませんか? 86 00:08:09,753 --> 00:08:16,093 お上に使われる下男が 牢の中の女の言いなりになっていては➡ 87 00:08:16,093 --> 00:08:18,762 御法に触れる。 88 00:08:18,762 --> 00:08:21,762 そうは思わんのか。 89 00:08:24,101 --> 00:08:27,801 お前が貢いでいるそうだな。 90 00:08:31,909 --> 00:08:37,648 クビになってもいいのか? 佐七。 91 00:08:37,648 --> 00:08:40,584 おふくろさんと2人暮らしなんだろう? 92 00:08:40,584 --> 00:08:45,389 奉公先の経師屋が潰れて 困っていたところを➡ 93 00:08:45,389 --> 00:08:49,259 世話役の紹介で ここに来た。 94 00:08:49,259 --> 00:08:54,064 心配かけちゃ いかんじゃないか。 95 00:08:54,064 --> 00:08:56,400 いいえ。 96 00:08:56,400 --> 00:09:00,738 おふくろは喜んでくれると思います。 97 00:09:00,738 --> 00:09:05,409 早く 身を固めてほしいと 常々 言っておりましたから。 98 00:09:05,409 --> 00:09:07,344 どういうことだ? 99 00:09:07,344 --> 00:09:11,281 惚れ合った仲とでも言うのか? 100 00:09:11,281 --> 00:09:14,752 夫婦約束をしました。 101 00:09:14,752 --> 00:09:16,687 何? 102 00:09:16,687 --> 00:09:19,423 私から言いだしたんです。 103 00:09:19,423 --> 00:09:25,295 おきぬは 初めは驚いたようでしたが すぐに喜んでくれました。 104 00:09:25,295 --> 00:09:28,098 それにしても 早いじゃないか。 105 00:09:28,098 --> 00:09:31,969 知り合って まだ ひとつき足らずだろう。 そんなこと…。 106 00:09:31,969 --> 00:09:36,707 知り合って 何年 経とうが 気が合わなければ いつまでも他人です。 107 00:09:36,707 --> 00:09:39,707 そりゃ そうだが…。 108 00:09:42,379 --> 00:09:48,719 おきぬが何の罪で牢に入っているか 先生は ご存じですか? 109 00:09:48,719 --> 00:09:51,719 置き引きとか聞いたが…。 110 00:09:53,590 --> 00:09:56,593 おきぬは…➡ 111 00:09:56,593 --> 00:10:01,065 男と別れたばっかりだったんですよ。 112 00:10:01,065 --> 00:10:07,738 その日は 頭が どうかしてたって 言ってました。 113 00:10:07,738 --> 00:10:12,409 後悔してました。 114 00:10:12,409 --> 00:10:17,081 素直な人なんです。 115 00:10:17,081 --> 00:10:20,751 牢を出たら もう 男のことは きっぱり忘れて➡ 116 00:10:20,751 --> 00:10:25,622 気持ちを入れ替えて働くって…。 117 00:10:25,622 --> 00:10:31,762 男運が悪くて 随分 苦労しているんです。➡ 118 00:10:31,762 --> 00:10:36,100 子どもの頃の話も聞きました。➡ 119 00:10:36,100 --> 00:10:41,400 昔から不幸せな人だったんです。 120 00:10:43,774 --> 00:10:50,114 おきぬを幸せにすることが 私のつとめです。 121 00:10:50,114 --> 00:10:59,790 私は 力の限り なんとしても おきぬを守り抜きます。 122 00:10:59,790 --> 00:11:02,693 分かった。 123 00:11:02,693 --> 00:11:05,129 しかし 行き過ぎはならんぞ。 124 00:11:05,129 --> 00:11:11,001 今以上に 情けをかければ おきぬは 牢の中で いじめを食う。 125 00:11:11,001 --> 00:11:16,740 お前も下男なら いじめが どんなものか知ってるだろう。 126 00:11:16,740 --> 00:11:20,144 (鈴の音) 127 00:11:20,144 --> 00:11:22,844 (犬のほえ声) 128 00:11:26,483 --> 00:11:45,435 ♬~ 129 00:11:45,435 --> 00:11:47,371 あっ! うっ…! 130 00:11:47,371 --> 00:11:49,306 (女たちの悲鳴) 131 00:11:49,306 --> 00:11:51,308 あっ…! 132 00:11:51,308 --> 00:11:58,982 ♬~ 133 00:11:58,982 --> 00:12:01,785 やる気か お前。 134 00:12:01,785 --> 00:12:04,454 みんなは 無理さ。 135 00:12:04,454 --> 00:12:07,791 だけど 一人なら殺せる。 136 00:12:07,791 --> 00:12:13,463 箸一本でも 喉笛に食らいついてでも 殺せるよ。 137 00:12:13,463 --> 00:12:19,803 一人で死にたかないからね 道連れが欲しいんだよ。 138 00:12:19,803 --> 00:12:22,139 さあ 誰がいい? 139 00:12:22,139 --> 00:12:25,809 あんたかい? ひっ… 嫌! 140 00:12:25,809 --> 00:12:29,109 それとも…。 141 00:12:33,417 --> 00:12:36,117 あんたかい? 142 00:12:40,090 --> 00:12:43,961 おきぬって女は まあ 気の小せえ正直な女だ。 143 00:12:43,961 --> 00:12:48,765 置き引きも 出来心でしょう。 144 00:12:48,765 --> 00:12:52,636 何しろ その呉服屋じゃ おきぬは なじみ客で➡ 145 00:12:52,636 --> 00:12:55,105 奉公人たちは 皆 知った顔ばかり。 146 00:12:55,105 --> 00:12:59,776 そんな中で 盗みを働くなんざ よほど抜けてらあ。 147 00:12:59,776 --> 00:13:02,446 すぐに捕まったんですか? ああ。 148 00:13:02,446 --> 00:13:05,115 住まいが分かっていましたからね。 149 00:13:05,115 --> 00:13:08,986 奉公人たちが駆けつけてみると しょんぼりと座ってたそうです。 150 00:13:08,986 --> 00:13:11,455 風呂敷包みも そばに置いてあった。 151 00:13:11,455 --> 00:13:14,124 何も盗られていなかったのかな。 152 00:13:14,124 --> 00:13:16,059 ああ 何も。 153 00:13:16,059 --> 00:13:19,796 杉野屋は 自身番で 包みを あらためて➡ 154 00:13:19,796 --> 00:13:22,132 「何も盗られていません」と言ったそうだ。 155 00:13:22,132 --> 00:13:25,035 ええ 何も盗られていません。 156 00:13:25,035 --> 00:13:30,474 とにかく それで おきぬの罪は ぐっと軽くなった。 157 00:13:30,474 --> 00:13:35,746 お調べでも 相すみませんと 涙まで流していたらしくてね。 158 00:13:35,746 --> 00:13:43,046 まあ 軽い過怠牢の扱いで ひとつきもすりゃ お解き放ちですよ。 159 00:13:50,093 --> 00:13:53,093 (稽古の声) 160 00:14:01,104 --> 00:14:03,104 ああっ…! やあ! 161 00:14:12,115 --> 00:14:15,452 それまで! 162 00:14:15,452 --> 00:14:20,324 本日は これより 鴨井先生のご指南を頂く。 163 00:14:20,324 --> 00:14:23,794 父上 あまり ご無理をなさいませぬように。 164 00:14:23,794 --> 00:14:25,794 ああ。 165 00:14:31,601 --> 00:14:35,301 (門弟たち)お願いします! 166 00:14:37,074 --> 00:14:39,074 いざ。 167 00:14:42,946 --> 00:14:45,415 参れ。 やあ~! 168 00:14:45,415 --> 00:15:23,120 ♬~ 169 00:15:23,120 --> 00:15:25,455 ああ~! 170 00:15:25,455 --> 00:15:27,455 あっ…。 171 00:15:29,126 --> 00:15:31,461 (左仲)はあ~! 172 00:15:31,461 --> 00:15:36,299 うっ…。 (門弟たち)おお…! 173 00:15:36,299 --> 00:15:38,999 参りました。 174 00:15:42,739 --> 00:15:47,077 柔術ってのは 実に奥深いなあ。 175 00:15:47,077 --> 00:15:50,947 今日は つくづく感じ入ったよ。 私も そうです。 176 00:15:50,947 --> 00:15:55,752 先生の域には まだまだ届きませんよ。 それが うれしいなあ。 177 00:15:55,752 --> 00:15:57,687 そうだな。 178 00:15:57,687 --> 00:16:00,424 病など もはや ご本復同様だ。 179 00:16:00,424 --> 00:16:06,096 この分では 園井殿に婿を取る話は 少々 遠のきますね。 180 00:16:06,096 --> 00:16:08,765 それは どうかな。 181 00:16:08,765 --> 00:16:12,436 遠のきますよ! 遠のくに決まってます。 182 00:16:12,436 --> 00:16:14,371 白玉ですよ~! 183 00:16:14,371 --> 00:16:16,306 えっ わ… 私に? 184 00:16:16,306 --> 00:16:19,309 皆さんで どうぞ。 わ~! 185 00:16:19,309 --> 00:16:21,309 頂きます! 186 00:16:27,784 --> 00:16:29,719 あ~。 187 00:16:29,719 --> 00:16:32,389 立花様 白玉 どうぞ。 ああ…。 188 00:16:32,389 --> 00:16:35,058 大丈夫です。 立花さんは 甘い物が好きじゃないので。 189 00:16:35,058 --> 00:16:36,993 え~…。 190 00:16:36,993 --> 00:16:38,929 (子どものはしゃぐ声) 191 00:16:38,929 --> 00:16:42,933 こら! 荷が濡れるじゃろ! 192 00:16:42,933 --> 00:16:45,402 若先生 今日も暑いね。 193 00:16:45,402 --> 00:16:47,702 暑いですねえ。 194 00:16:49,739 --> 00:16:52,075 よいしょ…。 195 00:16:52,075 --> 00:16:54,010 ただいま。 196 00:16:54,010 --> 00:16:55,946 はい。 197 00:16:55,946 --> 00:16:57,948 あら あら あら! 198 00:16:57,948 --> 00:17:00,750 若先生 何なんです? どうしたんです? 199 00:17:00,750 --> 00:17:02,686 買い物だよ。 頼まれたんだ。 200 00:17:02,686 --> 00:17:05,622 また 奥様でしょ! もう ほんとに! 201 00:17:05,622 --> 00:17:07,624 いいんだよ いいんだよ。 たまには しょうがない。 202 00:17:07,624 --> 00:17:10,760 よかありませんよ。 ただの居候じゃないんですよ。 203 00:17:10,760 --> 00:17:14,431 お医者様なんですよ。 まあまあ まあまあまあ。 204 00:17:14,431 --> 00:17:17,100 駄目ですよ だって そんな…。 205 00:17:17,100 --> 00:17:19,100 よいしょ! え? え? 206 00:17:20,770 --> 00:17:23,070 ≪叔父上。 207 00:17:24,641 --> 00:17:27,444 (いびき) 208 00:17:27,444 --> 00:17:30,780 叔父上。 うん? …うん。 209 00:17:30,780 --> 00:17:33,683 これ ありがとうございました。 お返しします。 210 00:17:33,683 --> 00:17:36,386 うん? 何だ? これ。 211 00:17:36,386 --> 00:17:41,258 山脇東洋の「蔵志」ですよ。 吉川先生に お借りしていました。 212 00:17:41,258 --> 00:17:43,260 ああ ああ 吉川のか。 213 00:17:43,260 --> 00:17:45,395 だったら いいんだ。 えっ? 214 00:17:45,395 --> 00:17:48,732 いいんだ いいんだ 話はついてる。 返さなくていいんだ。 215 00:17:48,732 --> 00:17:51,635 ほんとですか? ほんとだ。 216 00:17:51,635 --> 00:17:55,605 なに あいつが持ってたって 今更 読むわけじゃないんだ。 217 00:17:55,605 --> 00:17:58,408 構わんから もらっとけ もらっとけ。 218 00:17:58,408 --> 00:18:00,343 いや しかし…。 219 00:18:00,343 --> 00:18:02,746 遠慮するな。 220 00:18:02,746 --> 00:18:06,416 その方が あいつも喜ぶんだ。 221 00:18:06,416 --> 00:18:09,319 わしは 勝手なこと言ってるんじゃないぞ。 222 00:18:09,319 --> 00:18:13,757 あいつは 前々から お前を高く買ってたんだ。 223 00:18:13,757 --> 00:18:18,094 今後とも 何かと力になりたいと言ってる。 224 00:18:18,094 --> 00:18:22,966 ありがたい話じゃないか。 もらっとけ もらっとけ。 225 00:18:22,966 --> 00:18:25,966 吉川先生…! 226 00:18:27,771 --> 00:18:29,706 登さん。 227 00:18:29,706 --> 00:18:31,641 今夜は 晩ごはんは? 228 00:18:31,641 --> 00:18:35,045 ああ… 今日は ちょっと 行きたい所がありまして。 229 00:18:35,045 --> 00:18:39,916 あら そう。 おちえが がっかりするわ。 230 00:18:39,916 --> 00:18:42,719 はあ…。 231 00:18:42,719 --> 00:18:46,056 おあきちゃんが来てるのよ。 えっ? 232 00:18:46,056 --> 00:18:50,727 覚えてるでしょ 昔の悪い友達。 233 00:18:50,727 --> 00:18:54,064 きよが言わなかった? いいえ。 234 00:18:54,064 --> 00:18:56,064 あっ…。 235 00:18:57,934 --> 00:19:00,937 おあきが 何をしに? 236 00:19:00,937 --> 00:19:05,937 さあ… 2人で ずっと話し込んでるのよ。 237 00:19:10,080 --> 00:19:13,950 おちえったら 近頃は おとなしくなってね。 238 00:19:13,950 --> 00:19:16,953 お針の方が それは熱心なの。 239 00:19:16,953 --> 00:19:22,659 せっかく いい子になってきたのに また…。 240 00:19:22,659 --> 00:19:24,659 (種を飛ばす音) 241 00:19:26,429 --> 00:19:28,765 [ 回想 ] (伊勢蔵)このアマ… 死ね~! 242 00:19:28,765 --> 00:19:30,765 きゃ~! 243 00:19:33,036 --> 00:19:38,736 あたい… あの人が好きだったもの。 244 00:19:40,710 --> 00:19:48,051 ♬~ 245 00:19:48,051 --> 00:19:51,921 あら 登さん。 ちょうど よかった。 おあきが来てたのよ。 246 00:19:51,921 --> 00:19:55,392 やあ。 もう帰るとこだったの。 247 00:19:55,392 --> 00:19:59,729 お顔が見られて よかったわ。 248 00:19:59,729 --> 00:20:04,067 じゃあね。 もう ここで。 249 00:20:04,067 --> 00:20:13,076 ♬~ 250 00:20:13,076 --> 00:20:15,011 ちょっと来い。 251 00:20:15,011 --> 00:20:19,416 ♬~ 252 00:20:19,416 --> 00:20:22,416 座れ。 253 00:20:28,758 --> 00:20:36,633 おあきは いい娘だ。 それに お前の大切な友達だ。 254 00:20:36,633 --> 00:20:41,338 だけどね 周りの人間が悪い。 255 00:20:41,338 --> 00:20:45,308 叔母上も そこを心配しているんだ。 256 00:20:45,308 --> 00:20:51,608 お前まで 悪い仲間に 引きずり込まれやしないかってな。 257 00:20:54,984 --> 00:21:00,457 おあきも そう言ってた。 えっ? 258 00:21:00,457 --> 00:21:04,757 だから もう しばらくは 会いに来ないって…。 259 00:21:07,797 --> 00:21:14,137 おあき 殺されかけたんですって? 260 00:21:14,137 --> 00:21:16,806 うむ…。 261 00:21:16,806 --> 00:21:21,144 助けてもらったって言ってたわ。 262 00:21:21,144 --> 00:21:25,482 お礼を言いに来たのよ ありがとうって。 263 00:21:25,482 --> 00:21:30,820 でも てれくさいから 代わりに伝えておいてって…。 264 00:21:30,820 --> 00:21:39,095 ♬~ 265 00:21:39,095 --> 00:21:42,395 かわいそうにね…。 266 00:21:45,769 --> 00:21:52,442 女は 悪い男に惚れちゃうと どうにもならないものね。 267 00:21:52,442 --> 00:21:56,312 (風鈴の音) 268 00:21:56,312 --> 00:22:02,452 おきぬは 昔から不幸せな人だったんです。 269 00:22:02,452 --> 00:22:04,452 (風鈴の音) 270 00:22:06,122 --> 00:22:10,460 <おきぬの家を見ておこうと 登は思った> 271 00:22:10,460 --> 00:22:15,131 ああ そうなんだよ あの家だ。 だけど 今は誰もいねえよ。 272 00:22:15,131 --> 00:22:19,002 知ってるよ。 おきぬという人は 今 牢に入っているそうだね。 273 00:22:19,002 --> 00:22:21,471 何だよ ご存じでしたかい。 274 00:22:21,471 --> 00:22:23,406 あんた ほら! 275 00:22:23,406 --> 00:22:26,810 ほら あれ! ああ… あっ そうだ! 276 00:22:26,810 --> 00:22:30,146 あの家に 泥棒が入りやしたぜ。 277 00:22:30,146 --> 00:22:33,416 ほう。 何を盗られたのかな? 278 00:22:33,416 --> 00:22:35,752 さあ… そいつは分からねえ。 279 00:22:35,752 --> 00:22:39,422 その泥棒は 留守だと承知で 入ったってことか。 280 00:22:39,422 --> 00:22:43,092 さいですよ。 おきぬさんが引っ張られたあと➡ 281 00:22:43,092 --> 00:22:45,762 あの家は 表は 家主が くぎづけにしたのに➡ 282 00:22:45,762 --> 00:22:48,431 裏の窓 こじあけて 入ってるんですよ。 283 00:22:48,431 --> 00:22:52,302 荒らされたんだな。 いや そいつが妙な話でね➡ 284 00:22:52,302 --> 00:22:55,104 町役人が 家主立ち会いで 中に入ってみたんだが➡ 285 00:22:55,104 --> 00:22:59,976 家の中は ちゃんとしてて 泥棒が 入ったようにゃ見えなかったそうなんで。 286 00:22:59,976 --> 00:23:02,445 つかぬことを聞くが➡ 287 00:23:02,445 --> 00:23:05,348 おきぬには 男がいたらしいと 聞いたんだが➡ 288 00:23:05,348 --> 00:23:08,318 見たことはないか? 見ましたよ 何度も! 289 00:23:08,318 --> 00:23:11,454 ちょっと見が 堅気にゃ見えない 目つきの悪い痩せた男が➡ 290 00:23:11,454 --> 00:23:13,389 よ~く出入りしてましたよ。 291 00:23:13,389 --> 00:23:19,128 あんな女 男なしで暮らせるわけがありませんや。 292 00:23:19,128 --> 00:23:21,464 うん! あたいだって…。 293 00:23:21,464 --> 00:23:23,399 おい~。 294 00:23:23,399 --> 00:23:36,412 (せみの声) 295 00:23:36,412 --> 00:23:39,749 (藤吉)なるほど そいつは面白え話だ。 296 00:23:39,749 --> 00:23:41,684 お待たせしました。 おう。 297 00:23:41,684 --> 00:23:43,620 はい。 おう 悪いな。 298 00:23:43,620 --> 00:23:46,422 若先生 どうぞ ごゆっくり。 どうも。 299 00:23:46,422 --> 00:23:48,758 親分。 ああ。 300 00:23:48,758 --> 00:23:52,095 その泥棒 一体 誰だと思いやす? 301 00:23:52,095 --> 00:23:54,764 見当がついていらっしゃるんでしょう 先生にゃ。 302 00:23:54,764 --> 00:23:57,667 いや まだ確かなことは…。 303 00:23:57,667 --> 00:24:01,104 だけど 行きずりの泥棒じゃねえことは 確かだ。 304 00:24:01,104 --> 00:24:04,440 だって 何も盗んじゃいねえんですから。 305 00:24:04,440 --> 00:24:07,110 それは そうだが…。 306 00:24:07,110 --> 00:24:10,980 そいつら 盗みに入ったんじゃねえ➡ 307 00:24:10,980 --> 00:24:17,453 何か 捜しに 入ったんじゃありませんかねえ。 308 00:24:17,453 --> 00:24:23,326 おきぬは 呉服屋で置き引きをしたが 思い直して すぐに捕まった。➡ 309 00:24:23,326 --> 00:24:25,795 風呂敷包みも 手付かずのまま戻って➡ 310 00:24:25,795 --> 00:24:30,466 中をあらためた 杉野屋が 何も盗られちゃいねえと言った。➡ 311 00:24:30,466 --> 00:24:36,272 呉服屋も それで ほっとしたっていうが…。 312 00:24:36,272 --> 00:24:42,272 一人だけ 嘘をついているとしたら どの野郎だと思います? 313 00:24:48,952 --> 00:24:52,088 杉野屋…。 314 00:24:52,088 --> 00:24:55,425 ええ 何も盗られていません。 315 00:24:55,425 --> 00:24:58,094 (藤吉)本当は 何かが盗まれてたんだ。 316 00:24:58,094 --> 00:25:00,997 だけど そいつは 人にゃ言えねえ代物だった。 317 00:25:00,997 --> 00:25:03,967 だから お役人にゃ 何も盗られちゃいねえと言っておいて➡ 318 00:25:03,967 --> 00:25:05,969 あとで 捜しに入ったんだ。 319 00:25:05,969 --> 00:25:08,738 え? どうです? 320 00:25:08,738 --> 00:25:10,673 おお きれいだ。 321 00:25:10,673 --> 00:25:15,645 しかしな… その捜してるものは 一体 何だ? 322 00:25:15,645 --> 00:25:20,350 そいつが何かを知ってんのは 杉野屋と その おきぬって女だけだ。 323 00:25:20,350 --> 00:25:26,789 だけど その おきぬって女は 牢の中にいて 誰も手が出せねえ。 324 00:25:26,789 --> 00:25:31,461 初めっから それを狙ってたとしたら したたかな女だ。➡ 325 00:25:31,461 --> 00:25:34,461 手には負えませんぜ。 326 00:25:38,735 --> 00:25:43,406 (佐七)お父っつぁんの顔は知らないんだ。 327 00:25:43,406 --> 00:25:45,341 俺が まだ ちっちゃい頃に➡ 328 00:25:45,341 --> 00:25:50,079 普請場の櫓が崩れて 死んじまったからな。 329 00:25:50,079 --> 00:25:56,419 (おきぬ) 大工だったのかい? お父っつぁん…。 330 00:25:56,419 --> 00:26:01,090 それから おっ母さんは 一人で俺を育てた。 331 00:26:01,090 --> 00:26:03,790 苦労したんだ…。 332 00:26:06,763 --> 00:26:12,435 俺ぁ 早く一人前になって 恩返しがしたかった。 333 00:26:12,435 --> 00:26:14,771 何の仕事でもいい。 334 00:26:14,771 --> 00:26:18,641 おっ母さんに 楽をさせてやりたかったんだよ。 335 00:26:18,641 --> 00:26:21,110 あたしだって 働ける。 336 00:26:21,110 --> 00:26:26,449 ここを出たら 心を入れ替えて働くよ。 337 00:26:26,449 --> 00:26:31,721 おっ母さんは あたしを気に入ってくれるかねえ…。 338 00:26:31,721 --> 00:26:34,057 ああ 気に入るさ。 339 00:26:34,057 --> 00:26:39,929 おきぬさんの顔を見せたら 大喜びするよ。 340 00:26:39,929 --> 00:26:42,929 うれしいよ 佐七さん。 341 00:26:49,072 --> 00:26:51,007 これ。 342 00:26:51,007 --> 00:27:23,707 ♬~ 343 00:27:25,441 --> 00:27:29,779 (直蔵)杉野屋は 2~3年前に 取り引き上で不祥事を起こして➡ 344 00:27:29,779 --> 00:27:32,048 株仲間から外されてるそうなんで。 345 00:27:32,048 --> 00:27:34,717 株仲間? へえ。 346 00:27:34,717 --> 00:27:37,053 薬種問屋のもうけの大方は➡ 347 00:27:37,053 --> 00:27:39,388 砂糖の売り買いにあるらしいんですがね➡ 348 00:27:39,388 --> 00:27:41,324 直売りは許されねえ。 349 00:27:41,324 --> 00:27:44,727 株仲間が取り扱う仕組みに なってるっていうんでさ。 350 00:27:44,727 --> 00:27:48,064 すると 杉野屋は今のままじゃ…。 351 00:27:48,064 --> 00:27:50,733 砂糖の商いはできねえ。 352 00:27:50,733 --> 00:27:57,406 株仲間の肝煎と裏取引をするか 賄賂でも つかませるか。 353 00:27:57,406 --> 00:28:01,077 まあ その辺のところは 俺の手にゃ負えねえ。 354 00:28:01,077 --> 00:28:04,777 藤吉親分が探りを入れてまさあ。 355 00:28:06,415 --> 00:28:08,715 よいしょ…。 356 00:28:13,756 --> 00:28:15,756 うん…。 357 00:28:19,428 --> 00:28:21,364 うん! 358 00:28:21,364 --> 00:28:24,064 フフフ! ハハ…。 359 00:28:25,768 --> 00:28:28,671 佐七が これから外に出ますぜ 先生。 360 00:28:28,671 --> 00:28:33,671 おきぬの使いですか。 どうも そうじゃねえかと思いますがね。 361 00:28:52,395 --> 00:29:10,746 ♬~(囃子) 362 00:29:10,746 --> 00:29:14,446 (からすの鳴き声) 363 00:29:29,765 --> 00:29:31,701 先生。 364 00:29:31,701 --> 00:29:34,036 直蔵。 365 00:29:34,036 --> 00:29:39,375 あの男たちは 家主と そこの若え者でさ。 366 00:29:39,375 --> 00:29:44,046 下っ引きどもを張らせておいたら 動きがあったんでね。 367 00:29:44,046 --> 00:29:46,382 もう一人は 一体…。 368 00:29:46,382 --> 00:29:50,052 牢屋敷の下男の佐七だ。 369 00:29:50,052 --> 00:29:52,388 なるほど…。 370 00:29:52,388 --> 00:29:55,057 おきぬに頼まれたんだ。 371 00:29:55,057 --> 00:29:58,057 捜し物が分かるぞ。 372 00:30:19,282 --> 00:30:21,582 はいよ。 373 00:30:25,755 --> 00:30:28,090 置いとくよ。 へえ。 374 00:30:28,090 --> 00:30:32,090 (鐘の音) 375 00:30:46,776 --> 00:30:50,776 (鐘の音) 376 00:31:06,796 --> 00:31:11,096 (鐘の音) 377 00:31:23,145 --> 00:31:25,481 誰だ? おめえ。 378 00:31:25,481 --> 00:31:27,416 お届け物です。 379 00:31:27,416 --> 00:31:30,820 おきぬさんに頼まれました。 380 00:31:30,820 --> 00:31:33,120 …あ? 381 00:31:44,767 --> 00:31:48,637 一杯おごらなくちゃな。 382 00:31:48,637 --> 00:31:52,441 遠いところを 大事な物を届けてくれたんだ。 383 00:31:52,441 --> 00:31:54,377 あ… いや いいんですよ そんなこと。 384 00:31:54,377 --> 00:31:58,377 いや そうはいかねえよ。 まあ ちょっと つきあってくれ。 385 00:32:04,787 --> 00:32:08,457 あの… どこへ行くんですか? 386 00:32:08,457 --> 00:32:11,794 なに フフ… 心配 要らねえ。 387 00:32:11,794 --> 00:32:15,494 こっちからの方が 近道なんだ。 388 00:32:17,133 --> 00:32:19,068 あっ…! 389 00:32:19,068 --> 00:32:23,068 う… ああ…! 390 00:32:26,475 --> 00:32:28,475 うっ…。 391 00:32:31,147 --> 00:32:33,147 おい 大丈夫か!? うう…。 392 00:32:52,768 --> 00:32:54,768 先生! 393 00:32:58,107 --> 00:33:05,407 (花火の音) 394 00:33:13,656 --> 00:33:19,395 (花火の音) 395 00:33:19,395 --> 00:33:43,085 ♬~ 396 00:33:43,085 --> 00:33:45,020 うっ…! 397 00:33:45,020 --> 00:33:49,425 ♬~ 398 00:33:49,425 --> 00:33:51,360 先生! 399 00:33:51,360 --> 00:34:17,453 ♬~ 400 00:34:17,453 --> 00:34:19,388 ぬっ! 401 00:34:19,388 --> 00:34:21,323 うっ… うっ! 402 00:34:21,323 --> 00:34:25,327 ♬~ 403 00:34:25,327 --> 00:34:27,463 (花火の音) 404 00:34:27,463 --> 00:34:30,366 うわ~! 405 00:34:30,366 --> 00:34:38,073 ♬~ 406 00:34:38,073 --> 00:34:42,073 つ… 強え…。 407 00:34:47,082 --> 00:34:49,018 (花火の音) 408 00:34:49,018 --> 00:34:52,755 50両の受取証文だ。 409 00:34:52,755 --> 00:34:59,628 薬種問屋の株仲間の肝煎から 杉野屋の主に宛てたもんですなあ。 410 00:34:59,628 --> 00:35:03,399 それじゃあ やっぱり 賄賂の…。 411 00:35:03,399 --> 00:35:05,768 動かぬ証拠だ。 412 00:35:05,768 --> 00:35:11,440 こいつを 脅しに使えば いくらでも 杉野屋から金が取れる。 413 00:35:11,440 --> 00:35:15,778 おい さっきの男は何ていうんだ? 414 00:35:15,778 --> 00:35:18,447 喜三郎と…。 415 00:35:18,447 --> 00:35:25,321 ふん 喜三郎か…。 あの野郎は 間違いなく おきぬの男だ。 416 00:35:25,321 --> 00:35:27,456 2人は 初めからグルだったんだ。 417 00:35:27,456 --> 00:35:30,359 違う そんなはずはない! 418 00:35:30,359 --> 00:35:33,262 おきぬは… おきぬは私と…! 419 00:35:33,262 --> 00:35:36,065 いいかげんにしろ! 420 00:35:36,065 --> 00:35:39,765 てめえは 殺されかけたんだぜ! 421 00:35:43,405 --> 00:35:46,308 女の甘い口には 気を付けな。 422 00:35:46,308 --> 00:35:52,608 鼻の下を伸ばして 言いなりになってると ひでえ目に遭うぜ。 423 00:36:04,093 --> 00:36:08,430 これは 藤吉親分にお任せしよう。 424 00:36:08,430 --> 00:36:10,366 え? 425 00:36:10,366 --> 00:36:14,770 杉野屋の賄賂の証拠 騒ぎ立てれば 大ごとになる。 426 00:36:14,770 --> 00:36:18,641 おきぬも 過怠牢ぐらいでは済まなくなるし➡ 427 00:36:18,641 --> 00:36:22,444 佐七まで 罪に問われかねん。 428 00:36:22,444 --> 00:36:27,783 だが 幸い この証文が 脅しに使われることはなかった。 429 00:36:27,783 --> 00:36:35,083 残っているのは 杉野屋が 株仲間に賄賂を使った事実のみ。 430 00:36:37,059 --> 00:36:39,962 分かりやした。 431 00:36:39,962 --> 00:36:43,932 なに こっから先は 先生とは縁のねえ話だ。 432 00:36:43,932 --> 00:36:47,703 後始末 一切 あっしが お引き受けいたしやしょう。 433 00:36:47,703 --> 00:36:50,703 どうぞ ご安心なすって。 434 00:37:00,082 --> 00:37:06,422 佐七 よく考えろ。 435 00:37:06,422 --> 00:37:10,759 おっ母さんを悲しませてはいかんだろう。 436 00:37:10,759 --> 00:37:32,715 ♬~ 437 00:37:32,715 --> 00:37:38,387 <おきぬと喜三郎が 杉野屋をゆすろうとしていた事実は➡ 438 00:37:38,387 --> 00:37:42,387 公にされることはなかった> 439 00:37:44,059 --> 00:37:54,703 ♬~ 440 00:37:54,703 --> 00:37:58,073 おう 涼しくなってきたな。 441 00:37:58,073 --> 00:38:01,373 秋ですかねえ。 うん。 442 00:38:03,412 --> 00:38:07,750 <おきぬのお解き放ちの日が来た> 443 00:38:07,750 --> 00:38:30,773 ♬~ 444 00:38:30,773 --> 00:38:35,773 (足音) 445 00:38:41,383 --> 00:38:46,722 待っていても 佐七は来ないぞ。 446 00:38:46,722 --> 00:38:48,657 そう言ってました? 447 00:38:48,657 --> 00:38:50,592 言ってたさ。 448 00:38:50,592 --> 00:38:57,065 もう二度と会わないとな。 449 00:38:57,065 --> 00:39:00,365 若い子は 臆病だね。 450 00:39:02,938 --> 00:39:08,938 佐七は 喜三郎に殺されかけた。 451 00:39:13,415 --> 00:39:16,752 だが 大事には至っていない。 452 00:39:16,752 --> 00:39:21,089 証文も 杉野屋に返したから 今回のことは➡ 453 00:39:21,089 --> 00:39:29,431 お前さんの気まぐれの 置き引きというだけのものに収まったよ。 454 00:39:29,431 --> 00:39:33,731 あんちくしょう なんてことを…。 455 00:39:36,705 --> 00:39:41,043 信じちゃくださるまいと思うけどね 先生…➡ 456 00:39:41,043 --> 00:39:43,946 あたしゃ 今度の仕事を手伝って➡ 457 00:39:43,946 --> 00:39:48,917 喜三郎とは それで手を切りたかったんだ。 458 00:39:48,917 --> 00:39:52,387 あたしも もうじき30…。 459 00:39:52,387 --> 00:39:56,058 つきあう相手は あんな悪党ばっかりだったから➡ 460 00:39:56,058 --> 00:40:00,758 少しは 別の夢を見たくなったのさ。 461 00:40:09,404 --> 00:40:16,078 あたしゃ… あの子が好きだった。 462 00:40:16,078 --> 00:40:20,415 正直で 優しくて…。 463 00:40:20,415 --> 00:40:29,758 まだ汚れてなかった 子どもの頃 あたしは あんな男が大好きだったんだ。 464 00:40:29,758 --> 00:40:34,429 いつの間にか忘れちまっていた 昔のことを➡ 465 00:40:34,429 --> 00:40:38,767 佐七さんが思い出させてくれたのさ。 466 00:40:38,767 --> 00:40:42,437 (風の音) 467 00:40:42,437 --> 00:40:48,310 この人となら きっと もう一度…。 468 00:40:48,310 --> 00:40:56,451 (風の音) 469 00:40:56,451 --> 00:41:00,451 でも 嫌われたんじゃ しかたないね。 470 00:41:07,095 --> 00:41:09,798 じゃあね。 471 00:41:09,798 --> 00:41:46,635 ♬~ 472 00:41:46,635 --> 00:41:49,771 17年ぶりに 女房のところへ戻った。 473 00:41:49,771 --> 00:41:51,707 ありがとうございます! 474 00:41:51,707 --> 00:41:54,643 夫婦というのは 分からんもんだな。 475 00:41:54,643 --> 00:41:57,112 ちょっとした金が手に入る 当てがあるのよ。 476 00:41:57,112 --> 00:41:59,047 危ねえ言づてさ。 477 00:41:59,047 --> 00:42:02,784 何やってんだか… いつまでも いい年して。 478 00:42:02,784 --> 00:42:06,655 辰平の無念さを晴らしてやりたい。 479 00:42:06,655 --> 00:43:26,655 ♬~