1 00:00:35,226 --> 00:00:37,228 大丈夫か? 2 00:00:37,228 --> 00:00:47,228 ♬~ 3 00:00:55,580 --> 00:01:01,052 ♬~ 4 00:01:01,052 --> 00:01:03,387 着いた 着いた! 5 00:01:03,387 --> 00:01:13,397 ♬~ 6 00:01:13,397 --> 00:01:19,070 やあ おかみ。 あら 若先生。 7 00:01:19,070 --> 00:01:21,405 何をされてるんです? 8 00:01:21,405 --> 00:01:24,308 今 牢屋敷の方に。 9 00:01:24,308 --> 00:01:28,746 新助の届け物かね。 ええ。 10 00:01:28,746 --> 00:01:30,681 新助の行く先が➡ 11 00:01:30,681 --> 00:01:35,353 八丈島になるらしいという噂は 聞きましたか? 12 00:01:35,353 --> 00:01:37,353 ええ。 13 00:01:43,027 --> 00:01:46,327 かわいそうに…。 14 00:01:48,699 --> 00:01:51,699 (子どもたちの遊ぶ声) 15 00:01:56,040 --> 00:01:59,040 流人船が着いたぞ! 16 00:02:02,713 --> 00:02:05,049 じゃあ おかみさん よろしく。 17 00:02:05,049 --> 00:02:06,984 ありがとうございます。 ありがとうございました。 18 00:02:06,984 --> 00:02:11,389 <事件が起こったのは ふたつきほど前のことだった> 19 00:02:11,389 --> 00:02:14,725 ちょっと 一畳 足りないよ。 20 00:02:14,725 --> 00:02:17,061 すみません! 21 00:02:17,061 --> 00:02:22,934 <大黒屋は 畳表問屋を営んでいる> 22 00:02:22,934 --> 00:02:24,936 ああ いたたたた…! 23 00:02:24,936 --> 00:02:27,405 ここか。 腫れとるな。 24 00:02:27,405 --> 00:02:32,243 <玄庵が かかりつけ医をしている 主人の吉兵衛は➡ 25 00:02:32,243 --> 00:02:35,012 腎の臓の病に伏し➡ 26 00:02:35,012 --> 00:02:40,012 おかみの おむらが 店の切り盛りをしていた> 27 00:02:42,687 --> 00:02:44,622 (犬のほえ声) 28 00:02:44,622 --> 00:02:47,622 (犬の遠ぼえ) 29 00:02:50,361 --> 00:02:55,032 <吟味によると その夜 手代の新助は➡ 30 00:02:55,032 --> 00:03:00,032 商いのことで 早急に おむらに用があった> 31 00:03:05,042 --> 00:03:06,978 おかみさん。 32 00:03:06,978 --> 00:03:10,381 ≪(物音) 33 00:03:10,381 --> 00:03:13,284 おかみさん 入ります。 34 00:03:13,284 --> 00:03:29,400 ♬~ 35 00:03:29,400 --> 00:03:31,335 何だ 貴様! 36 00:03:31,335 --> 00:03:34,238 槌屋様…。 37 00:03:34,238 --> 00:03:37,675 何してるんですか!? 38 00:03:37,675 --> 00:03:40,344 (槌屋)うるせえ! 邪魔だ! (新助)うっ…! 39 00:03:40,344 --> 00:03:43,247 やめてください! はなせ! 40 00:03:43,247 --> 00:03:45,216 ううっ! 41 00:03:45,216 --> 00:03:47,685 ああっ! やめろ! 42 00:03:47,685 --> 00:03:50,021 ああっ! 43 00:03:50,021 --> 00:04:21,719 ♬~ 44 00:04:21,719 --> 00:04:24,055 新助…! 45 00:04:24,055 --> 00:04:25,990 ああ… うう…。 46 00:04:25,990 --> 00:04:29,290 ああ~! 47 00:04:39,003 --> 00:04:41,906 <おむらを助けるためとはいえ➡ 48 00:04:41,906 --> 00:04:48,679 新助が 槌屋彦三郎を殺したことに 変わりはなかった> 49 00:04:48,679 --> 00:04:53,351 しかし 遠島はやむをえぬだろうな。 50 00:04:53,351 --> 00:04:57,021 でも 私を助けるためにと思うと➡ 51 00:04:57,021 --> 00:04:59,690 たまらない気持ちです。 52 00:04:59,690 --> 00:05:04,562 あの時 私が用心していれば…。 53 00:05:04,562 --> 00:05:07,365 槌屋彦三郎という男だが➡ 54 00:05:07,365 --> 00:05:12,036 以前から おかみに 怪しいそぶりを見せていたのか? 55 00:05:12,036 --> 00:05:16,336 いえ… あの…。 56 00:05:24,382 --> 00:05:26,317 若先生。 57 00:05:26,317 --> 00:05:31,989 新助を見かけたら 私が届け物に来たと 伝えてもらえませんか? 58 00:05:31,989 --> 00:05:34,325 ああ… いいですよ。 59 00:05:34,325 --> 00:05:38,996 いくらかは あの子の 力づけになるかもしれませんから。 60 00:05:38,996 --> 00:05:51,342 ♬~ 61 00:05:51,342 --> 00:05:56,042 [ 回想 ] (おむら)あの時 私が用心していれば…。 62 00:05:57,681 --> 00:06:00,681 いえ… あの…。 63 00:06:04,555 --> 00:06:11,695 <おむらの顔に浮かんだ笑みに 登は 違和感を覚えた> 64 00:06:11,695 --> 00:06:16,033 (戸が開く音) (平塚)立花さん。 65 00:06:16,033 --> 00:06:19,370 土橋先生は 帰っちまったんですか? 66 00:06:19,370 --> 00:06:21,305 ええ ついさっき。 67 00:06:21,305 --> 00:06:28,712 何だ… 例のうまいお茶 一杯 馳走になろうと思ったのに。 68 00:06:28,712 --> 00:06:31,048 どうしました? 69 00:06:31,048 --> 00:06:33,951 何か 気になることでも おありですか? 70 00:06:33,951 --> 00:06:40,324 あ… 先ほど 大黒屋のおかみと会いました。 71 00:06:40,324 --> 00:06:43,227 新助への差し入れを持ってきたんですな。 72 00:06:43,227 --> 00:06:49,227 手代一人のために 店のおかみが来るとは 見上げたもんだ。 73 00:06:52,903 --> 00:06:56,674 薬を出してやるから しばらく横になっていれば治る。 74 00:06:56,674 --> 00:07:03,374 それと よく食べることだ。 ああ… へい。 ありがとうございます。 75 00:07:09,687 --> 00:07:11,622 ありがとうございました。 76 00:07:11,622 --> 00:07:14,922 いてて… いてててて…。 77 00:07:21,699 --> 00:07:24,602 これで終わりですな。 はい。 78 00:07:24,602 --> 00:07:26,602 では。 79 00:07:28,572 --> 00:07:32,272 もうちょっと つきあってくれ。 へい。 80 00:07:36,213 --> 00:07:38,913 新助 いるか? 81 00:07:52,663 --> 00:07:55,566 何か 御用でしょうか? 82 00:07:55,566 --> 00:08:02,006 今日 大黒屋から差し入れがあったろう。 はい。 83 00:08:02,006 --> 00:08:08,679 煮しめと餅菓子 それに手拭いなども。 ありがたいことです。 84 00:08:08,679 --> 00:08:15,019 誰が差し入れに来たか 聞いたか? いえ…。 85 00:08:15,019 --> 00:08:18,689 おかみだ。 86 00:08:18,689 --> 00:08:21,358 来る途中で会ってな。 87 00:08:21,358 --> 00:08:25,696 新助を見たら 声をかけてくれと言われた。 88 00:08:25,696 --> 00:08:30,396 そうですか… おかみさんが ご自分で…。 89 00:08:34,972 --> 00:08:38,842 …用は それだけだ。 90 00:08:38,842 --> 00:08:42,846 ありがとう存じました。 91 00:08:42,846 --> 00:08:46,317 いいことを聞かせてもらいました。 92 00:08:46,317 --> 00:08:51,655 今日は ゆっくり眠れそうです。 93 00:08:51,655 --> 00:09:24,555 ♬~ 94 00:09:24,555 --> 00:09:28,255 (稽古の声) 95 00:09:30,694 --> 00:09:32,994 うっ…。 96 00:09:35,299 --> 00:09:37,299 うっ! 97 00:09:38,969 --> 00:09:44,308 はっ はっ はっ…。 98 00:09:44,308 --> 00:09:47,308 すまん…。 99 00:09:56,320 --> 00:10:01,659 ちょっとした はずみで 人を殺してしまった男がいてな。 100 00:10:01,659 --> 00:10:06,330 その男が 近く 島送りになる。 101 00:10:06,330 --> 00:10:12,002 なんとか 役に立ってやりたいのだが 何もできん。 102 00:10:12,002 --> 00:10:18,876 はずみとはいえ 人を殺したのでしょう? 死罪を免れただけでも…。 103 00:10:18,876 --> 00:10:22,576 そうなんだがなあ…。 104 00:10:34,024 --> 00:10:35,959 ただいま 戻りました。 105 00:10:35,959 --> 00:10:37,895 ああ お帰りなさいませ。 106 00:10:37,895 --> 00:10:42,366 随分 遅いのねえ。 また お稽古に行ってらしたの? 107 00:10:42,366 --> 00:10:44,301 ええ。 108 00:10:44,301 --> 00:10:49,707 庭に 落ち葉やらゴミやら 何やらたまって しょうがないんですよ。 109 00:10:49,707 --> 00:10:51,642 おちえに掃かせればいいんですよ。 110 00:10:51,642 --> 00:10:55,045 掃いても 埋める穴がないじゃありませんか。 111 00:10:55,045 --> 00:10:56,980 じゃあ 燃やせばいいんです。 112 00:10:56,980 --> 00:11:01,385 そんなことをして もし風が吹いてきたら どうします? 113 00:11:01,385 --> 00:11:03,721 おお 怖… おお 怖 怖…。 114 00:11:03,721 --> 00:11:08,592 分かりました。 穴を掘って 庭も掃きますよ。 115 00:11:08,592 --> 00:11:10,592 そうしてちょうだい。 116 00:11:22,740 --> 00:11:25,642 穴 掘るんですか? 117 00:11:25,642 --> 00:11:30,614 うん…。 1つじゃ足りないな。 2つは掘らないと。 118 00:11:30,614 --> 00:11:33,684 日が暮れてしまいますよ。 はあ…。 119 00:11:33,684 --> 00:11:36,019 (松江)だから いつも➡ 120 00:11:36,019 --> 00:11:41,358 お休みの日には早く帰りなさいと 言ってるじゃないですか。 121 00:11:41,358 --> 00:11:47,058 これから 一仕事なんだから たんと召し上がれ。 122 00:11:50,033 --> 00:11:52,369 叔母上。 123 00:11:52,369 --> 00:11:55,069 何です? 124 00:11:57,708 --> 00:11:59,643 (足音) 125 00:11:59,643 --> 00:12:01,578 旦那様! 126 00:12:01,578 --> 00:12:06,049 ああ。 おお 登 帰っとったのか。 ええ。 127 00:12:06,049 --> 00:12:08,952 お茶 いれましょうか? ああ。 128 00:12:08,952 --> 00:12:10,921 煮えたぎってます。 129 00:12:10,921 --> 00:12:13,221 えっ? 130 00:12:18,061 --> 00:12:22,399 登 一休みしたら 往診に行ってくれんか。 131 00:12:22,399 --> 00:12:27,271 登さんには 庭を片づけてくれるよう 言ったばかりなんです。 132 00:12:27,271 --> 00:12:30,741 フフフ 先を越されたか。 133 00:12:30,741 --> 00:12:33,644 火に油を注いでる…! 134 00:12:33,644 --> 00:12:37,014 往診は どこですか? 大黒屋だよ。 135 00:12:37,014 --> 00:12:38,949 あそこの娘が風邪をひいとる。 136 00:12:38,949 --> 00:12:41,885 大黒屋ですか… いいですよ 行きましょう。 137 00:12:41,885 --> 00:12:45,689 登さん! 夕方までには 叔母上の用を済ませて➡ 138 00:12:45,689 --> 00:12:48,358 それから 大黒屋へ行きましょう。 139 00:12:48,358 --> 00:12:50,694 ああ すまんな。 そうしてくれると助かる。 140 00:12:50,694 --> 00:12:55,394 ついでに 旦那の様子もな。 はい。 141 00:12:57,034 --> 00:13:02,906 やっぱり 若い人がいないと駄目ね。 ねっ きよ。 142 00:13:02,906 --> 00:13:06,606 あ… はい。 143 00:13:12,382 --> 00:13:17,254 ねえ あなた あの話 登さんになさったら? 144 00:13:17,254 --> 00:13:22,392 何の話だ? 都築様から 文が来たでしょう? 145 00:13:22,392 --> 00:13:25,062 おお そうだった。 146 00:13:25,062 --> 00:13:30,734 若い頃 机を並べて 切磋琢磨した仲間でな➡ 147 00:13:30,734 --> 00:13:32,669 江戸で開業してたんだが➡ 148 00:13:32,669 --> 00:13:36,340 長崎の蘭方医について 勉強し直した男だ。 149 00:13:36,340 --> 00:13:41,011 都筑良斎といって 今は大坂におる。 150 00:13:41,011 --> 00:13:43,680 その都筑様が 何か? 151 00:13:43,680 --> 00:13:47,017 お前のことを頼んであげたんだよ。 そしたら➡ 152 00:13:47,017 --> 00:13:50,687 快諾の返事が来た。 153 00:13:50,687 --> 00:13:53,590 お弟子にしてくださるというのですよ。 154 00:13:53,590 --> 00:13:55,559 本当ですか? それは! 155 00:13:55,559 --> 00:13:59,029 ああ。 これからは和蘭だ。 156 00:13:59,029 --> 00:14:04,029 そっちを勉強しなければ 時勢に後れる。 157 00:14:11,041 --> 00:14:15,379 おきよ どうしたの? 158 00:14:15,379 --> 00:14:19,249 お嬢様 大変なことになりましたよ。 159 00:14:19,249 --> 00:14:23,053 ん? うん。 160 00:14:23,053 --> 00:14:26,390 しかし 大坂に行くとなると お金が…。 161 00:14:26,390 --> 00:14:31,228 (松江)それは 登さん 私たちが心配することです。 162 00:14:31,228 --> 00:14:34,665 もちろん ただという訳にはいきませんが➡ 163 00:14:34,665 --> 00:14:38,535 あなたが恥をかかずに済むほどの 蓄えはあります。 164 00:14:38,535 --> 00:14:41,338 叔母上…。 165 00:14:41,338 --> 00:14:45,676 まあ 大坂での修業は2年だ。 166 00:14:45,676 --> 00:14:50,676 どうだ? 行く気はあるか? 167 00:15:05,362 --> 00:15:10,701 ありがとうございます。 行かせていただきます。 168 00:15:10,701 --> 00:15:13,036 そのかわり➡ 169 00:15:13,036 --> 00:15:16,907 小牧の家は あなたに継いでもらいますからね。 170 00:15:16,907 --> 00:15:19,910 えっ…! 171 00:15:19,910 --> 00:15:22,045 お… お嬢様…。 172 00:15:22,045 --> 00:15:24,948 そのことは 国元のあなたの親御さんからも➡ 173 00:15:24,948 --> 00:15:27,918 もう承諾をもらっています。 174 00:15:27,918 --> 00:15:30,721 異存はありませんね? 175 00:15:30,721 --> 00:15:34,992 いや… それは あの…。 176 00:15:34,992 --> 00:15:39,663 これっていうのは あの…。 177 00:15:39,663 --> 00:15:54,011 ♬~ 178 00:15:54,011 --> 00:15:58,711 <その日の夕刻のことであった> 179 00:16:00,350 --> 00:16:02,285 うん。 180 00:16:02,285 --> 00:16:04,221 (せきこみ) 181 00:16:04,221 --> 00:16:06,223 せきが ひどいな…。 182 00:16:06,223 --> 00:16:08,225 芥子の湿布をしよう。 183 00:16:08,225 --> 00:16:10,994 女中さん 芥子を練って 湯を沸かしてくれないか? 184 00:16:10,994 --> 00:16:13,363 はい。 お嬢様。 185 00:16:13,363 --> 00:16:17,363 その間に ご主人の方を診てくる。 はい。 186 00:16:23,707 --> 00:16:27,044 ≪(おむら)心配は病に毒ですよ。 187 00:16:27,044 --> 00:16:35,652 ≪(吉兵衛)私を病人だと思って なめちゃいけないよ…。 188 00:16:35,652 --> 00:16:38,989 ああ…! 189 00:16:38,989 --> 00:16:48,331 それじゃ聞くが 仕入れの百両は どう工面したのだね? 190 00:16:48,331 --> 00:16:51,001 よそから借りたのです。 191 00:16:51,001 --> 00:16:57,340 槌屋でなくて 別のところから 借りたというのなら➡ 192 00:16:57,340 --> 00:17:01,040 証文を見せなさい。 193 00:17:02,679 --> 00:17:05,348 槌屋…。 194 00:17:05,348 --> 00:17:10,020 私は お前を責めてるんじゃないよ。 195 00:17:10,020 --> 00:17:15,692 あの仕入れ金を払えなかったら 大黒屋は今頃 潰れてただろう。 196 00:17:15,692 --> 00:17:21,364 よくしのいだと 褒めているのだ。 197 00:17:21,364 --> 00:17:25,702 それじゃ その話は もういいじゃないですか。 198 00:17:25,702 --> 00:17:30,040 そうは いかない。 199 00:17:30,040 --> 00:17:39,850 あの晩 本当のところは 何があったんだね?➡ 200 00:17:39,850 --> 00:17:42,619 言えなければ 私が言ってやろうか。➡ 201 00:17:42,619 --> 00:17:47,991 あの晩 お前は 槌屋を呼んで 百両を受け取ったんじゃないかね。 202 00:17:47,991 --> 00:17:50,894 証文は書かなかった。 203 00:17:50,894 --> 00:17:58,194 お前は 自分の体を証文代わりにしたのだ。 204 00:18:01,538 --> 00:18:08,311 おむらさん 分かってるね? 205 00:18:08,311 --> 00:18:12,682 (吉兵衛)槌屋とは 初めから そういう約束だったんじゃないかね? 206 00:18:12,682 --> 00:18:15,352 そんな… あなた…。 207 00:18:15,352 --> 00:18:19,022 それに 不思議なのは新助だよ。 208 00:18:19,022 --> 00:18:24,895 あの男は どうして 人を殺すほどに 殺気立ってしまったのかねえ…。 209 00:18:24,895 --> 00:18:28,365 だって 新助は➡ 210 00:18:28,365 --> 00:18:31,968 槌屋さんが 私に乱暴しかけたのを 見たのだから…。 211 00:18:31,968 --> 00:18:35,839 そんなことじゃない… そんなことじゃない。 212 00:18:35,839 --> 00:18:41,311 それぐらいのことで 人一人を殺せるものじゃないよ。 213 00:18:41,311 --> 00:18:50,611 新助を いつごろから 奥の部屋に呼ぶようになったのかね? 214 00:18:53,657 --> 00:18:57,527 槌屋とは あの晩が初めてかな。 215 00:18:57,527 --> 00:19:04,000 それとも もっと前から つきあいがあったのか? 216 00:19:04,000 --> 00:19:06,670 いいかげんにしてくださいな。 217 00:19:06,670 --> 00:19:10,340 ありもしないことを 勝手に勘ぐるのは…。 218 00:19:10,340 --> 00:19:15,212 それにしては 随分 大胆な男じゃないか。 219 00:19:15,212 --> 00:19:23,912 人の家に 商いの話に来て 女房を盗みにかかるとはねえ…。 220 00:19:25,889 --> 00:19:30,026 さっきから言ってるじゃないか。 221 00:19:30,026 --> 00:19:34,297 私は責めてるんじゃない。 222 00:19:34,297 --> 00:19:36,233 おむら…。 223 00:19:36,233 --> 00:19:38,168 あっ…。 224 00:19:38,168 --> 00:19:40,637 ああ… ああ…! 225 00:19:40,637 --> 00:19:46,509 なんという 白い膝小僧だ…。➡ 226 00:19:46,509 --> 00:19:55,185 ああ… なんという温かい腿だ… ああ…。➡ 227 00:19:55,185 --> 00:20:01,658 おむら… お… おむら…。 228 00:20:01,658 --> 00:20:04,327 百両? どういうことです? 229 00:20:04,327 --> 00:20:06,997 あの殺しには 金が絡んでいたと? 230 00:20:06,997 --> 00:20:11,668 はっきりしたことは分からない。 ただ 今言ったことを知りたいだけだ。 231 00:20:11,668 --> 00:20:16,539 すると あのころ 槌屋に百両の不明金が 出ていないかということと…。 232 00:20:16,539 --> 00:20:20,343 東両国 柳橋辺りの出会い茶屋で➡ 233 00:20:20,343 --> 00:20:23,246 槌屋と大黒屋のおかみが 会っていなかったかと…。 234 00:20:23,246 --> 00:20:26,016 当面 それだけを調べればいいんですね。 はい。 235 00:20:26,016 --> 00:20:29,686 槌屋は あっしが当たりやしょう。 それじゃ 料理屋の方は あっしが。 236 00:20:29,686 --> 00:20:32,589 頼みます。 237 00:20:32,589 --> 00:20:35,025 しかし…➡ 238 00:20:35,025 --> 00:20:38,361 どうも それだけじゃねえような気がするなあ。 239 00:20:38,361 --> 00:20:43,233 先生 何か つかんでますね? 240 00:20:43,233 --> 00:20:48,705 その何かが分からんから 頼んでいるのです。 241 00:20:48,705 --> 00:20:52,575 槌屋の主人というのは どういう男だったんですか? 242 00:20:52,575 --> 00:20:56,046 あの旦那ですかい…。 243 00:20:56,046 --> 00:20:59,716 まあ 死んだ人の悪口を言うのは 気が進みませんがね➡ 244 00:20:59,716 --> 00:21:03,586 まあ あんまり 褒められた人間じゃなかったね。 245 00:21:03,586 --> 00:21:08,058 …というと? 何しろ えばってた。 246 00:21:08,058 --> 00:21:10,727 誰に? みんなにですよ。 247 00:21:10,727 --> 00:21:14,597 自分が気に入らなければ 誰彼かまわず どなり散らす。 248 00:21:14,597 --> 00:21:19,069 まっ そういう男でした。 249 00:21:19,069 --> 00:21:22,739 槌屋は 女癖の方は どうだったんですか? 250 00:21:22,739 --> 00:21:26,409 いいわけがねえや。 おまけに 金は うなるほど持ってるから➡ 251 00:21:26,409 --> 00:21:29,746 女どもに がたがた言わせることもなかった。 252 00:21:29,746 --> 00:21:33,016 槌屋は 女には不自由してなかったはずです。 253 00:21:33,016 --> 00:21:40,357 それが血迷って 人の女房に手を出し 殺されるとはねえ。 254 00:21:40,357 --> 00:21:44,027 じゃ あっしは 早速 料理屋の方を当たってみやす。 255 00:21:44,027 --> 00:21:46,727 おう。 お願いします。 256 00:21:49,366 --> 00:21:51,301 ねえ 先生。 257 00:21:51,301 --> 00:21:55,038 新助の裁きは まっとうなもんだった。 258 00:21:55,038 --> 00:21:58,375 しかし そこに 金が絡んでたとなると➡ 259 00:21:58,375 --> 00:22:03,075 島流しどころじゃ 済まねえかもしれませんね。 260 00:22:12,389 --> 00:22:14,389 はあ…。 261 00:22:16,726 --> 00:22:22,065 ただいま 戻りました。 ああ 登か。 262 00:22:22,065 --> 00:22:26,403 叔父上 少し お話が…。 263 00:22:26,403 --> 00:22:28,338 何だ? 264 00:22:28,338 --> 00:22:31,074 大黒屋のことですが…。 265 00:22:31,074 --> 00:22:35,345 大黒屋? ああ さっき おかみが 薬 取りに来たな。 266 00:22:35,345 --> 00:22:38,248 あのおかみも 感心なものだな。 267 00:22:38,248 --> 00:22:46,956 旦那の薬だけは 奉公人に任せず ちゃんと 自分で取りに来る。 268 00:22:46,956 --> 00:22:49,692 おっ …で 話って? 269 00:22:49,692 --> 00:22:56,032 はい その… ご主人は ああいう病人ですと➡ 270 00:22:56,032 --> 00:23:00,370 あちらの方は どうなんですかね? あちらの方? 271 00:23:00,370 --> 00:23:03,706 いや これは 医者としての立場から 伺ってるわけです。 272 00:23:03,706 --> 00:23:08,044 えっ? 叔父上の見立ては どうです? 273 00:23:08,044 --> 00:23:10,044 おお…。 274 00:23:13,383 --> 00:23:15,318 あかんな。 275 00:23:15,318 --> 00:23:20,056 えっ? その気があっても 体が言うことを聞かん。 276 00:23:20,056 --> 00:23:25,395 おかみは あのとおり若いから 吉兵衛さんも気をもむこともあろうが➡ 277 00:23:25,395 --> 00:23:27,330 あかんものは あかん。 278 00:23:27,330 --> 00:23:29,265 そうですか…。 279 00:23:29,265 --> 00:23:32,001 おかみも かわいそうだが➡ 280 00:23:32,001 --> 00:23:37,674 ああなると 登 人間 あまり若い女房をもらうのも➡ 281 00:23:37,674 --> 00:23:40,974 考えものだな。 282 00:23:43,012 --> 00:23:45,915 どうしたの? 283 00:23:45,915 --> 00:23:49,886 ねえ 何 話してたの? 2人で。 284 00:23:49,886 --> 00:23:52,021 別に。 285 00:23:52,021 --> 00:23:56,359 あっ 分かった。 私の悪口を言ってたのね。 286 00:23:56,359 --> 00:23:59,696 違う 違う。 妙な勘ぐりはよせ。 287 00:23:59,696 --> 00:24:04,396 だって 何も話してくれないんだもの。 288 00:24:07,370 --> 00:24:09,305 行ってやれ。 289 00:24:09,305 --> 00:24:12,605 えっ? さあさあ さあさあ! 290 00:24:28,057 --> 00:24:30,960 わざわざ 言い訳しに来なくたっていいのに。 291 00:24:30,960 --> 00:24:33,329 そうじゃない。 292 00:24:33,329 --> 00:24:40,003 だったら…! お前の悪口など言うわけがなかろう。 293 00:24:40,003 --> 00:24:42,338 だって…。 294 00:24:42,338 --> 00:24:49,012 叔父上とは 医術の話をしていたのだ。 295 00:24:49,012 --> 00:24:51,681 そう…。 296 00:24:51,681 --> 00:24:57,020 私 このごろ おかしいの。 297 00:24:57,020 --> 00:25:00,356 何かというと➡ 298 00:25:00,356 --> 00:25:05,228 ピリピリして落ち着かないの。 299 00:25:05,228 --> 00:25:08,528 どうしてか分かる? 300 00:25:11,968 --> 00:25:15,705 私 聞いちゃったの。 301 00:25:15,705 --> 00:25:19,405 登さんが 大坂に行くって…。 302 00:25:21,377 --> 00:25:26,077 2年は帰ってこないって…。 303 00:25:30,053 --> 00:25:38,328 そして 帰ってきた時には この家を継ぐことも…。 304 00:25:38,328 --> 00:25:42,665 おちえ…。 305 00:25:42,665 --> 00:25:47,003 …ということは どういうことか。 306 00:25:47,003 --> 00:25:53,303 なのに 私には何も話してくれなくて…。 307 00:25:57,647 --> 00:26:01,017 おちえ…。 308 00:26:01,017 --> 00:26:06,689 俺は 医者として これまで 何人も見送ってきた。 309 00:26:06,689 --> 00:26:12,689 その中には 助けられた人もいたかもしれない。 310 00:26:15,031 --> 00:26:19,369 だけど できなかった…。 311 00:26:19,369 --> 00:26:23,369 それは 自分の未熟さのせいだ。 312 00:26:28,044 --> 00:26:30,947 知らないことを もっと知りたい。 313 00:26:30,947 --> 00:26:36,319 そのために 大坂に行きたいんだ。 314 00:26:36,319 --> 00:27:05,014 ♬~ 315 00:27:05,014 --> 00:27:10,353 そろそろ 腹を決めんとな。 316 00:27:10,353 --> 00:27:37,353 ♬~ 317 00:27:38,981 --> 00:27:44,854 そうですか。 着々と 策は練られていたということですな。 318 00:27:44,854 --> 00:27:48,991 策? 立花先生の知らぬ間に。 319 00:27:48,991 --> 00:27:52,862 ああ… そうとも とれますな。 320 00:27:52,862 --> 00:27:55,331 まっ いずれにしても➡ 321 00:27:55,331 --> 00:27:59,001 立花先生の気持ち次第では ありませんか? 322 00:27:59,001 --> 00:28:01,671 そう言われましても…。 323 00:28:01,671 --> 00:28:05,341 今は 勉学のことで頭がいっぱいです。 324 00:28:05,341 --> 00:28:07,677 ほう~! ハハ! 325 00:28:07,677 --> 00:28:11,347 感心ですなあ。 はあ…。 326 00:28:11,347 --> 00:28:13,347 ≪(藤吉)失礼します。 327 00:28:15,017 --> 00:28:17,687 ああ…。 328 00:28:17,687 --> 00:28:20,687 立花先生 ちょいといいですか? 329 00:28:26,362 --> 00:28:31,033 すると 百両の金を持ち出した形跡は ないというんですね? 330 00:28:31,033 --> 00:28:33,636 槌屋の帳面づらはね。 331 00:28:33,636 --> 00:28:36,973 だけど 金箱の方は どうか分かりゃしねえと言ってたな。 332 00:28:36,973 --> 00:28:41,644 何しろ あの男は 番頭にも女房にも 手を触れさせなかったらしい。 333 00:28:41,644 --> 00:28:43,579 なるほど…。 334 00:28:43,579 --> 00:28:45,982 借用証文の方も調べましたぜ。 335 00:28:45,982 --> 00:28:49,852 なんせ 高利貸しをするほど 金を持ってた男だからね。 336 00:28:49,852 --> 00:28:53,656 だけど 大黒屋の百両の証文というのは なかった。 337 00:28:53,656 --> 00:28:55,591 そうですか。 338 00:28:55,591 --> 00:29:00,530 …で 直蔵に頼んだ 死んだ槌屋とおかみの あいびきの件ですがね。 339 00:29:00,530 --> 00:29:02,999 どうでした? 会ってたみたいです。 340 00:29:02,999 --> 00:29:07,336 だけど 出会い茶屋で しっぽりと というのではなく➡ 341 00:29:07,336 --> 00:29:10,239 ちゃんとした料理茶屋を使ってたらしい。 342 00:29:10,239 --> 00:29:13,009 まあ 大黒屋のおかみが そういう店を使うのは➡ 343 00:29:13,009 --> 00:29:16,345 なにも 槌屋に限ったわけじゃ なかったらしいです。 344 00:29:16,345 --> 00:29:22,018 商いの話をするためでしょう。 ほかの商人とも会ってたというんだから。 345 00:29:22,018 --> 00:29:24,921 そうか…。 346 00:29:24,921 --> 00:29:27,356 あ… そうそう。 347 00:29:27,356 --> 00:29:30,693 直蔵が 東両国 柳橋と調べてるうちに➡ 348 00:29:30,693 --> 00:29:34,297 大黒屋のおかみを 見かけたってやつがいましてね。 349 00:29:34,297 --> 00:29:36,232 若い男と一緒で➡ 350 00:29:36,232 --> 00:29:41,971 しかも 場所は 柳橋の奧の 出会い茶屋のそばだってんだから…➡ 351 00:29:41,971 --> 00:29:44,874 なんとも色っぽい話ですなあ。 352 00:29:44,874 --> 00:29:48,644 おむらさんが 若い男と…? 353 00:29:48,644 --> 00:30:21,344 ♬~ 354 00:30:21,344 --> 00:30:24,044 いいぞ。 355 00:30:31,354 --> 00:30:35,691 あの時のことを思い出させて悪いが…。 356 00:30:35,691 --> 00:30:38,361 何です? 357 00:30:38,361 --> 00:30:44,033 槌屋は 何の用で来たのか おかみさんに聞いたかね? 358 00:30:44,033 --> 00:30:50,706 いえ… あんなことになってしまって それどころじゃありませんでした。 359 00:30:50,706 --> 00:30:54,377 では 百両の貸し借りの話があった というのは➡ 360 00:30:54,377 --> 00:30:56,712 知らなかったんだな。 361 00:30:56,712 --> 00:30:59,712 百両ですか…!? 362 00:31:02,051 --> 00:31:09,751 お前… あの晩のことを後悔しているかね? 363 00:31:12,695 --> 00:31:16,399 いえ 悔やんじゃいません。 364 00:31:16,399 --> 00:31:23,072 おかみさんに あんなことをされて 黙って見ているわけにはいきませんから。 365 00:31:23,072 --> 00:31:26,943 首を絞めたのは 争いのはずみで➡ 366 00:31:26,943 --> 00:31:32,882 初めから 殺す気があったわけじゃありません。 367 00:31:32,882 --> 00:31:35,882 しかたなかったんです。 368 00:31:51,233 --> 00:31:54,233 ありがとうございました。 369 00:32:01,911 --> 00:32:04,911 若先生…。 370 00:32:10,386 --> 00:32:12,321 ひい ふう みい よう いつ。 371 00:32:12,321 --> 00:32:14,724 へい! 372 00:32:14,724 --> 00:32:18,394 2~3日前 新助を診ましたよ。 373 00:32:18,394 --> 00:32:23,065 どこか 具合でも…!? いや 大したことではありません。 374 00:32:23,065 --> 00:32:27,737 節々が痛むだけで 牢に入った者には よくあることです。 375 00:32:27,737 --> 00:32:30,406 ああ…。 376 00:32:30,406 --> 00:32:38,214 百両の金のことは 新助も知らなかったようですな。 377 00:32:38,214 --> 00:32:42,685 以前 娘さんが風邪をひいて お宅に伺った時➡ 378 00:32:42,685 --> 00:32:47,985 偶然に ご主人とあなたが話しているのを 聞いたのです。 379 00:32:58,034 --> 00:33:04,707 あの時の話を お聞きになったのなら さぞかし 私をお疑いでしょうね。 380 00:33:04,707 --> 00:33:08,044 ええ まあ。 381 00:33:08,044 --> 00:33:13,916 ご主人のおっしゃってたことは 大方 当たっていると 私は思っています。 382 00:33:13,916 --> 00:33:16,719 槌屋との約束のことも➡ 383 00:33:16,719 --> 00:33:23,059 新助との間に 主従の垣根を越えた つながりがあることも。 384 00:33:23,059 --> 00:33:29,932 若先生は 私と新助が示し合わせて 槌屋さんを殺したと➡ 385 00:33:29,932 --> 00:33:32,868 思っておられるのですか? 386 00:33:32,868 --> 00:33:36,338 そんなことができるお人じゃない。 387 00:33:36,338 --> 00:33:40,676 しかし あの部屋で 百両の金が やり取りされたのは➡ 388 00:33:40,676 --> 00:33:43,976 事実だと思う。 389 00:33:46,015 --> 00:33:52,888 私は ふしだらな女なのかもしれません…。 390 00:33:52,888 --> 00:33:55,357 でも 若先生。 391 00:33:55,357 --> 00:34:01,030 私は そんな悪だくみができる女じゃ ないですよ。 392 00:34:01,030 --> 00:34:04,700 あの晩 起こったことは➡ 393 00:34:04,700 --> 00:34:08,571 もっと簡単なことだったんです。 394 00:34:08,571 --> 00:34:25,020 ♬~ 395 00:34:25,020 --> 00:34:32,328 (おむら) 百両の金を 目の前に並べられて…➡ 396 00:34:32,328 --> 00:34:38,028 私は 目をつむる気になったのです。 397 00:34:44,340 --> 00:34:50,012 いっとき 目をつむれば 済むことだと思ったのです。 398 00:34:50,012 --> 00:34:54,884 そこへ 新助が入ってきたのです。 399 00:34:54,884 --> 00:34:56,886 槌屋様…。 400 00:34:56,886 --> 00:34:59,021 何だ 貴様! 401 00:34:59,021 --> 00:35:02,358 何してるんですか!? 402 00:35:02,358 --> 00:35:04,693 だましたな おかみ! 403 00:35:04,693 --> 00:35:06,629 わあ~! 404 00:35:06,629 --> 00:35:09,365 うっ…! 405 00:35:09,365 --> 00:35:11,300 ううっ! 406 00:35:11,300 --> 00:35:13,235 ああっ! うう…! 407 00:35:13,235 --> 00:35:15,704 新助! 408 00:35:15,704 --> 00:35:19,404 うう…! ああ~! 409 00:35:21,043 --> 00:35:26,916 それにしても… 新助は そこまで殺気立つことはなかったんだ。 410 00:35:26,916 --> 00:35:31,053 本当に…。 411 00:35:31,053 --> 00:35:35,324 私が うかつだったのです。 412 00:35:35,324 --> 00:35:37,259 うかつ? 413 00:35:37,259 --> 00:35:46,335 あの晩 新助が部屋に来ることを すっかり忘れていたのですから。 414 00:35:46,335 --> 00:35:52,007 それじゃ あの日 あなたは新助と…。 415 00:35:52,007 --> 00:35:54,677 若先生。 416 00:35:54,677 --> 00:35:59,014 百両の金は お返しした方がよいのでしょうね。 417 00:35:59,014 --> 00:36:02,885 そのことが ずっと気になっているのですけど…。 418 00:36:02,885 --> 00:36:04,887 …さあ。 419 00:36:04,887 --> 00:36:09,358 槌屋は くれると言ったんだから もらっておいてもいいんじゃないのかな。 420 00:36:09,358 --> 00:36:13,028 でも…。 表には出さない方がいいと思います。 421 00:36:13,028 --> 00:36:16,365 下手に言いだすと あなたが疑われ➡ 422 00:36:16,365 --> 00:36:22,065 新助の罪も 島送りじゃ済まなくなるかもしれない。 423 00:36:27,009 --> 00:36:33,649 新助は… おかみのことを好いていたのでしょう。 424 00:36:33,649 --> 00:36:39,321 それが あの行き過ぎにつながった。 425 00:36:39,321 --> 00:36:43,192 そうなのかもしれません。 426 00:36:43,192 --> 00:36:48,330 ですが それを私に言われても。 427 00:36:48,330 --> 00:37:09,351 ♬~ 428 00:37:09,351 --> 00:37:14,223 あなたを思って あの船に乗る 新助の気持ちを➡ 429 00:37:14,223 --> 00:37:17,026 考えたことがありますか? 430 00:37:17,026 --> 00:37:35,311 ♬~ 431 00:37:35,311 --> 00:37:38,981 考えて どうなるというのです。 432 00:37:38,981 --> 00:37:45,854 私にできるのは せいぜい 差し入れをしてやるぐらいです。 433 00:37:45,854 --> 00:38:09,854 ♬~ 434 00:38:16,685 --> 00:38:21,557 <それから しばらく経った日の 夕刻である> 435 00:38:21,557 --> 00:38:25,361 そうですか。 和蘭の医術を学ばれるのですか。 436 00:38:25,361 --> 00:38:29,698 帰ってきたら 小牧家を継ぐことになる。 437 00:38:29,698 --> 00:38:32,601 なるほど そういうことですか。 438 00:38:32,601 --> 00:38:35,504 道場とも しばしの別れだ。 439 00:38:35,504 --> 00:38:40,642 しかし 立花さん まんざらでもないんじゃないですか? 440 00:38:40,642 --> 00:38:43,545 むしろ それを望んでいたようにも 見受けられますが。 441 00:38:43,545 --> 00:38:45,981 おい 久坂! フフフ! 442 00:38:45,981 --> 00:38:50,319 近いうちに 一杯やりましょう。 ああ そうだな。 443 00:38:50,319 --> 00:38:54,990 じっくり おちえさんの のろけでも 聞かせてもらおうかな。 444 00:38:54,990 --> 00:38:56,990 はあ…。 445 00:39:08,337 --> 00:39:25,687 ♬~ 446 00:39:25,687 --> 00:39:29,358 あんた 一足先に お帰り。 447 00:39:29,358 --> 00:39:32,261 でも おかみさん 途中が心配です。 448 00:39:32,261 --> 00:39:38,167 いいから 先にお帰り。 私は 駕籠を頼むから。 449 00:39:38,167 --> 00:39:54,516 ♬~ 450 00:39:54,516 --> 00:39:57,986 (おむら)駕籠屋さん。 へい。 451 00:39:57,986 --> 00:39:59,986 おい。 452 00:40:06,328 --> 00:40:09,231 (駕籠屋)どちらまで? 森田町まで。 453 00:40:09,231 --> 00:40:11,200 (駕籠屋)へい。 454 00:40:11,200 --> 00:40:13,202 よっ! 455 00:40:13,202 --> 00:40:16,502 えい! ほっ! えい! ほっ! 456 00:40:21,877 --> 00:40:29,017 <登は おむらという女の 闇をのぞいたようだった> 457 00:40:29,017 --> 00:40:34,890 鳥も通わぬ 八丈島か…。 458 00:40:34,890 --> 00:40:53,709 ♬~ 459 00:40:53,709 --> 00:40:56,378 (新助)おかみさん…。 460 00:40:56,378 --> 00:41:22,604 ♬~ 461 00:41:22,604 --> 00:41:24,740 <登は➡ 462 00:41:24,740 --> 00:41:33,348 暗い牢の中で 女主人の夢を見ている 男のことを考えていた> 463 00:41:33,348 --> 00:41:46,361 ♬~ 464 00:41:46,361 --> 00:41:50,032 黒雲の銀次って名前を 覚えていらっしゃいますかい? 465 00:41:50,032 --> 00:41:53,368 あの一味が逆恨みをして 命を狙ってるらしいんだ。 466 00:41:53,368 --> 00:41:56,705 どこにいるのか 何人いるのか さっぱり 正体がつかめねえ。 467 00:41:56,705 --> 00:41:59,041 おかみさんは 悪いやつに さらわれたらしいんです。 468 00:41:59,041 --> 00:42:02,377 登さんの気持ちも分からないのに 仮祝言だなんて…。 469 00:42:02,377 --> 00:42:06,248 私は まだまだ未熟者です。 学ぶべきことが 山ほどある。 470 00:42:06,248 --> 00:43:26,248 ♬~