1 00:00:02,169 --> 00:00:18,252 ♬~ 2 00:00:18,252 --> 00:00:24,925 (荒い息遣い) 3 00:00:24,925 --> 00:00:27,761 <大津屋の主人 助右衛門が➡ 4 00:00:27,761 --> 00:00:31,632 妾のおつまを殺した罪で➡ 5 00:00:31,632 --> 00:00:33,634 牢屋敷に送られてきたのは➡ 6 00:00:33,634 --> 00:00:36,270 みつきほど前の事だった> 7 00:00:36,270 --> 00:00:39,172 (悲鳴) 人殺し~! 8 00:00:39,172 --> 00:00:43,143 <助右衛門は 終始 無罪を言い立てたが➡ 9 00:00:43,143 --> 00:00:45,612 多くの目撃証言もあって➡ 10 00:00:45,612 --> 00:00:48,949 その言い分は通らなかった> 11 00:00:48,949 --> 00:00:58,458 ♬~ 12 00:01:13,140 --> 00:01:16,910 (登)おゆきさん。 (おゆき)あっ 若先生。 13 00:01:16,910 --> 00:01:18,845 差し入れですか? ええ。 14 00:01:18,845 --> 00:01:21,782 お父っつぁん 甘い物が好きだから…。 15 00:01:21,782 --> 00:01:25,919 食べてくれると いいんですけど。 ああ。 16 00:01:25,919 --> 00:01:28,755 お父っつぁんの具合は どうなんですか? 17 00:01:28,755 --> 00:01:32,092 ああ… よくもなってないが➡ 18 00:01:32,092 --> 00:01:35,429 これ以上 悪くなるという様子でもない。 19 00:01:35,429 --> 00:01:38,765 是非とも よくなりたいという 気持ちがなければ➡ 20 00:01:38,765 --> 00:01:40,701 いくら手当てをしても➡ 21 00:01:40,701 --> 00:01:43,637 なかなか よくはならんものだよ。 22 00:01:43,637 --> 00:01:46,940 お父っつぁんには よくなりたいという気持ちが➡ 23 00:01:46,940 --> 00:01:49,977 ないんでしょうか? 24 00:01:49,977 --> 00:01:53,714 お父っつぁんは 誰にも信じてもらえないから➡ 25 00:01:53,714 --> 00:01:56,016 諦めたんでしょうか…。 26 00:01:59,286 --> 00:02:03,290 私は信じているのに。 27 00:02:07,561 --> 00:02:11,732 若先生 また 様子を 聞きに来てもいいですか? 28 00:02:11,732 --> 00:02:15,602 もちろん。 いつでも おいで。 29 00:02:15,602 --> 00:02:20,741 <おゆきは 大津屋助右衛門の養女で➡ 30 00:02:20,741 --> 00:02:26,079 もう 婿も決まっている 大津屋の跡取りであった> 31 00:02:26,079 --> 00:02:30,250 ♬~ 32 00:02:30,250 --> 00:02:32,919 (平塚)大津屋とは 古いつきあいだそうですな。 33 00:02:32,919 --> 00:02:36,590 ええ。 叔父が よく 往診に通っていて➡ 34 00:02:36,590 --> 00:02:40,927 私も 何度か 代診で行った事があるんです。 35 00:02:40,927 --> 00:02:46,099 (桂順)しかし あんまり頼られても… ねえ? 36 00:02:46,099 --> 00:02:51,905 死罪が決まって 後は 処刑の日を 待つばかりなんて囚人の病は➡ 37 00:02:51,905 --> 00:02:56,810 いわば 心の病だ。 薬じゃ治らない。➡ 38 00:02:56,810 --> 00:03:00,747 その娘さんの心配は かわいそうだが…➡ 39 00:03:00,747 --> 00:03:04,384 うん。 無駄骨だねえ。 40 00:03:04,384 --> 00:03:08,255 跡取り娘で 婿も 決まってるからっていったって➡ 41 00:03:08,255 --> 00:03:10,557 主人が死罪になったら➡ 42 00:03:10,557 --> 00:03:14,061 家屋敷 身代 全て没収。 43 00:03:14,061 --> 00:03:17,864 一家も ちりぢりになるんでしょうなあ。 44 00:03:40,187 --> 00:03:44,591 (水野)助右衛門 これへ。 45 00:03:44,591 --> 00:03:48,428 んっ… よいしょ。 46 00:03:48,428 --> 00:03:51,098 ⚟ほら しっかりしい。 47 00:03:51,098 --> 00:04:12,419 ♬~ 48 00:04:12,419 --> 00:04:16,723 どうです? もう 痛みはないはずです。 49 00:04:16,723 --> 00:04:19,760 (助右衛門)ああ…。 50 00:04:19,760 --> 00:04:25,398 さっき おゆきさんに 会いましたよ。 51 00:04:25,398 --> 00:04:29,069 あなたの事を心配しているんです。 52 00:04:29,069 --> 00:04:33,740 おゆきさんからの差し入れも 食べないそうですね。 53 00:04:33,740 --> 00:04:36,076 おかゆぐらいは食べないと➡ 54 00:04:36,076 --> 00:04:38,411 このまま どんどん 体が弱って➡ 55 00:04:38,411 --> 00:04:41,214 今に 立てなくなりますよ。 56 00:04:43,583 --> 00:04:50,357 若先生… 私はね…➡ 57 00:04:50,357 --> 00:04:56,163 私の事は もう 諦めてるんです。 58 00:04:58,431 --> 00:05:02,702 でもね…➡ 59 00:05:02,702 --> 00:05:11,211 どうしても諦められない事が 一つある。 60 00:05:11,211 --> 00:05:13,213 何です? 61 00:05:15,382 --> 00:05:19,553 おゆきの事です。 62 00:05:19,553 --> 00:05:24,858 私が逝ってしまったあと…。 63 00:05:27,294 --> 00:05:31,097 おゆきが どうなるのかと 思うと…。 64 00:05:33,900 --> 00:05:37,404 死んでも死にきれない…。 65 00:05:37,404 --> 00:05:40,073 (すすり泣き) 66 00:05:40,073 --> 00:05:42,275 大津屋さん…。 67 00:05:45,412 --> 00:05:47,747 だ~っ! (久坂)ん~! 68 00:05:47,747 --> 00:05:50,784 うう…。 はっ!うっ… あっ! 69 00:05:50,784 --> 00:05:53,086 次! お願いします! 70 00:05:56,923 --> 00:05:59,593 参った! 71 00:05:59,593 --> 00:06:01,861 今日は これまで! 72 00:06:01,861 --> 00:06:06,032 稽古 終わりました。 (左仲)うむ… すまんな。 73 00:06:06,032 --> 00:06:08,702 もはや ご本復同様。 74 00:06:08,702 --> 00:06:10,637 摂生の賜物でございましょうな。 75 00:06:10,637 --> 00:06:14,875 ああ いやいや。 わしの養生のせいではない。 76 00:06:14,875 --> 00:06:17,911 この2人の看病のおかげじゃ。 77 00:06:17,911 --> 00:06:21,648 いや 私など 医学の知識は 一切 ございません。 78 00:06:21,648 --> 00:06:24,217 お手伝いは 専ら 力仕事。 79 00:06:24,217 --> 00:06:26,553 看病の方は 園井様に 任せっきりでございました。 80 00:06:26,553 --> 00:06:29,889 とんでもない! 薪割りに 水くみに 拭き掃除➡ 81 00:06:29,889 --> 00:06:31,825 何から何まで 久坂様に…。 82 00:06:31,825 --> 00:06:33,760 本当に感謝しております。 83 00:06:33,760 --> 00:06:36,663 そんな感謝だなんて そんな…。 84 00:06:36,663 --> 00:06:40,400 よかったな 久坂。 園井様の力になれて。 85 00:06:40,400 --> 00:06:42,902 な… 何を言うんですか 立花さん! 86 00:06:42,902 --> 00:06:46,406 それじゃあ まるで 私が 園井様を好いているような…。 87 00:06:46,406 --> 00:06:49,442 えっ? いや 嫌いではありませんが➡ 88 00:06:49,442 --> 00:06:52,078 何か下心でもあるような…。 フフッ。 89 00:06:52,078 --> 00:06:55,415 私は ただ 鴨井先生のためだけを 思って その…。 90 00:06:55,415 --> 00:06:57,350 分かった 分かった。 91 00:06:57,350 --> 00:07:00,687 よかったな 久坂。 もう~ 立花さん! 92 00:07:00,687 --> 00:07:03,990 ハハハハハハ…! 93 00:07:09,396 --> 00:07:11,398  心の声 同じ病でも➡ 94 00:07:11,398 --> 00:07:16,102 支えてくれる人が いると いないとでは まるで…。 95 00:07:18,538 --> 00:07:21,541 (みき)じゃあね。 うん。 96 00:07:31,718 --> 00:07:36,890 ♬~ 97 00:07:36,890 --> 00:07:50,403 ♬~ 98 00:07:52,072 --> 00:07:54,574 (鳴き声) 99 00:07:54,574 --> 00:07:56,509 (松江)きよ! (きよ)はい!そっち回って。 100 00:07:56,509 --> 00:07:58,445 そっち! えっ えっ? あっち? 101 00:07:58,445 --> 00:08:01,348 いや… そっち! えっ こっち? 102 00:08:01,348 --> 00:08:04,684 ああ…。 あっ… お帰りなさいませ。 103 00:08:04,684 --> 00:08:06,720 ただいま。 ねずみですか? 104 00:08:06,720 --> 00:08:10,490 ねずみじゃありませんよ 野良猫ですよ! 105 00:08:10,490 --> 00:08:12,559 このところ しょっちゅう 台所に入り込んで➡ 106 00:08:12,559 --> 00:08:14,694 魚なんか引いていっちゃって。 107 00:08:14,694 --> 00:08:18,365 そうですよ。 奥様が 餌なんかやるから 癖になって。 108 00:08:18,365 --> 00:08:22,202 たまにですよ たまに! 109 00:08:22,202 --> 00:08:25,538 かわいがっているのに 追いかけ回す。 110 00:08:25,538 --> 00:08:27,841 なんて裏腹な。 111 00:08:31,044 --> 00:08:34,547 登さん あなた ごはんは? 112 00:08:34,547 --> 00:08:37,450 そばを食べてきました。 あっ そう。 113 00:08:37,450 --> 00:08:41,888 じゃあ 今夜は いいのね? 114 00:08:41,888 --> 00:08:44,224 たまに 飯をもらう…。 115 00:08:44,224 --> 00:08:47,560 私の扱いは 猫並みか。 116 00:08:47,560 --> 00:08:49,896 いえ そういう訳では…。 117 00:08:49,896 --> 00:08:53,900 あっ でも 猫は ねずみ 捕ってくれますけどね。 118 00:08:58,905 --> 00:09:00,840 えっ? 119 00:09:00,840 --> 00:09:04,844 あ~… もう~! (猫の鳴き声) 120 00:09:19,225 --> 00:09:21,227 お茶ですよ。 121 00:09:21,227 --> 00:09:25,698 さすがは おちえだ。 気が利く。 122 00:09:25,698 --> 00:09:28,368 私じゃない お母様よ。 123 00:09:28,368 --> 00:09:31,271 おそばだけじゃ おなかが減るでしょって。 124 00:09:31,271 --> 00:09:35,708 そうか。 まあ 叔母上も気が利く。 125 00:09:35,708 --> 00:09:38,211 (2人の笑い声) 126 00:09:38,211 --> 00:09:43,716 登兄さん 私 今日 気になるものを見たの。 127 00:09:43,716 --> 00:09:45,652 何だい? 128 00:09:45,652 --> 00:09:49,222 柳橋に「よしのや」っていう 舟宿があるの。 129 00:09:49,222 --> 00:09:53,393 まあ 舟宿っていっても あそこは 出合い茶屋なのよね。 130 00:09:53,393 --> 00:09:57,263 大津屋のおばさんと 手代の新七さんが出てきたの。 131 00:09:57,263 --> 00:10:00,066 うかつな事を言うなよ。 132 00:10:00,066 --> 00:10:03,736 大津屋のおかみは おゆきさんの母親だ。 133 00:10:03,736 --> 00:10:08,575 新七は そのおゆきさんの 婿に決まっている男だ。 134 00:10:08,575 --> 00:10:11,478 しかも 主人の助右衛門は➡ 135 00:10:11,478 --> 00:10:14,747 今 牢の中にいるんじゃないか。 136 00:10:14,747 --> 00:10:16,683 そうよ。 知ってるわよ。 137 00:10:16,683 --> 00:10:18,985 だから言ってるんじゃないの。 138 00:10:21,087 --> 00:10:23,990 この事 俺のほかに 誰かに言ったか? 139 00:10:23,990 --> 00:10:26,759 言わないわ。 お母様にだって 言ってない。 140 00:10:26,759 --> 00:10:29,429 当たり前だ。 141 00:10:29,429 --> 00:10:31,364 叔母上に話したら➡ 142 00:10:31,364 --> 00:10:34,100 近所中に触れ回ってくれと 頼むようなものだ。 143 00:10:34,100 --> 00:10:37,437 失礼ね。 (2人の笑い声) 144 00:10:37,437 --> 00:10:42,141 でも 登兄さんに言えて やっと すっきりした。 145 00:10:44,777 --> 00:10:48,948 少し事情を調べてみるから まだ 誰にも言うなよ。 146 00:10:48,948 --> 00:10:51,751 うん。 分かった。 147 00:10:55,822 --> 00:10:57,824 ⚟叔父上。 148 00:11:00,126 --> 00:11:03,997 (絵をかき集める音) 149 00:11:03,997 --> 00:11:07,233 入れ。 150 00:11:07,233 --> 00:11:10,570 あ~ 登か。 どうした? 151 00:11:10,570 --> 00:11:13,907 お加減は いかがです? 心ノ臓の具合は。 152 00:11:13,907 --> 00:11:18,077 え~ 心ノ臓は 少しドキドキ…。 153 00:11:18,077 --> 00:11:21,281 うん。 どうって事もない。 154 00:11:24,250 --> 00:11:26,920 はあ…。 何だ? 155 00:11:26,920 --> 00:11:32,258 あっ… 大津屋のおかみの事で 少々 お聞きしたいのですが。 156 00:11:32,258 --> 00:11:34,594 大津屋のおかみ? どうした? 157 00:11:34,594 --> 00:11:37,263 人柄は どうです? 158 00:11:37,263 --> 00:11:40,166 よくできた おかみだよ。 お前だって知ってるじゃないか。 159 00:11:40,166 --> 00:11:43,603 でも 叔父上ほど 長いつきあいじゃないので。 160 00:11:43,603 --> 00:11:48,274 ああ… それも そうだな。 うむ…。 161 00:11:48,274 --> 00:11:52,145 年は 34だ。 162 00:11:52,145 --> 00:11:57,450 人当たりは やわらかくて 客にも奉公人にも 受けがいい。 163 00:11:57,450 --> 00:12:00,887 美人な上に みんなに好かれている おかみでな。 164 00:12:00,887 --> 00:12:03,723 あ~ まあ その辺が➡ 165 00:12:03,723 --> 00:12:06,226 うちのとは ちょっと 出来が違う。 166 00:12:06,226 --> 00:12:08,161 フッ 確かに。 167 00:12:08,161 --> 00:12:13,900 今度は ご亭主が あんな事になって 気の毒だ。 168 00:12:13,900 --> 00:12:16,236 そんなに いい おかみさんがいながら➡ 169 00:12:16,236 --> 00:12:19,138 大津屋の旦那は どうして 妾なんて…。 170 00:12:19,138 --> 00:12:23,109 それとこれは 話が別だ。 171 00:12:23,109 --> 00:12:26,412 妾を持つのは 男の甲斐性でな。 172 00:12:26,412 --> 00:12:28,915 そのかわり 生涯 面倒を見る。 173 00:12:28,915 --> 00:12:35,088 子が出来れば 学問も学ばせる。 商売も教える。 174 00:12:35,088 --> 00:12:39,259 わしのような貧乏医者には とても まねのできん事だよ。 175 00:12:39,259 --> 00:12:41,928 ああ…。 176 00:12:41,928 --> 00:12:44,764 新七という手代は どうです? 177 00:12:44,764 --> 00:12:47,100 あれは 頭のいい男だ。 178 00:12:47,100 --> 00:12:50,136 そろばんが達者で 弁も立つ。 179 00:12:50,136 --> 00:12:54,774 助右衛門さんも いい奉公人を 雇い入れて助かったって➡ 180 00:12:54,774 --> 00:12:57,443 言ってたな。 雇い入れた? 181 00:12:57,443 --> 00:13:00,113 新七は 子飼いじゃないんですか? 182 00:13:00,113 --> 00:13:03,716 子飼いじゃない。 途中からの奉公人だが➡ 183 00:13:03,716 --> 00:13:07,220 2年ほどで 手代に引き上げられた。 184 00:13:07,220 --> 00:13:13,026 おゆきさんの婿に決めたのも 商いの腕を見込んだんだろうな。 185 00:13:13,026 --> 00:13:15,728 そうですか…。 186 00:13:15,728 --> 00:13:18,564 分かりました。 うん。 187 00:13:18,564 --> 00:13:30,576 ♬~ 188 00:13:30,576 --> 00:13:32,912 見えております。 189 00:13:32,912 --> 00:13:45,258 ♬~ 190 00:13:45,258 --> 00:13:48,928  回想 (助右衛門)若先生…➡ 191 00:13:48,928 --> 00:13:52,265 私の事は➡ 192 00:13:52,265 --> 00:13:56,769 もう 諦めてるんです。 193 00:13:58,771 --> 00:14:02,742 私は信じているのに。 194 00:14:02,742 --> 00:14:12,719 ♬~ 195 00:14:12,719 --> 00:14:15,755 (加瀬)お待たせしました。 加瀬作次郎です。 196 00:14:15,755 --> 00:14:18,224 立花 登です。 197 00:14:18,224 --> 00:14:24,097 大津屋の妾殺し 確かに この俺が あずかったもんですがね➡ 198 00:14:24,097 --> 00:14:26,399 ちと難しいな…。 199 00:14:26,399 --> 00:14:29,902 しかし 加瀬様からの 申し立てがあれば➡ 200 00:14:29,902 --> 00:14:33,773 刑の言い渡し しばらくは 日延べというほどのお慈悲は➡ 201 00:14:33,773 --> 00:14:35,775 頂けるのでは…。 202 00:14:35,775 --> 00:14:39,245 いや~ そう やすやすとは…。 203 00:14:39,245 --> 00:14:42,915 俺は もちろん 調べた上で 吟味方に送ったんだが➡ 204 00:14:42,915 --> 00:14:45,952 殺したと決めつけた訳じゃねえ。 205 00:14:45,952 --> 00:14:48,721 「疑いあり」としただけでな。 206 00:14:48,721 --> 00:14:52,091 「間違いなし」と裁いたのは 吟味方だ。 207 00:14:52,091 --> 00:14:54,427 それで もう 大津屋の身柄は➡ 208 00:14:54,427 --> 00:14:57,096 ご老中のところにまで 行っちまってる。 209 00:14:57,096 --> 00:15:00,533 だから もう 俺たちの手にゃ届かねえ。 210 00:15:00,533 --> 00:15:04,036 諦めてもらうしかねえって訳だ。 211 00:15:04,036 --> 00:15:06,939 もっとも…➡ 212 00:15:06,939 --> 00:15:10,910 何か はっきりした証拠を つかんだとなりゃ 話は別だ。 213 00:15:10,910 --> 00:15:15,381 どうです? いや まだ そこまでは…。 214 00:15:15,381 --> 00:15:19,252 先生。 大津屋の一件を 聞いて回ったのは➡ 215 00:15:19,252 --> 00:15:21,554 吉次って目明しだ。 216 00:15:21,554 --> 00:15:25,224 腑に落ちねえなら 一度 その男に会ってみるといい。 217 00:15:25,224 --> 00:15:27,160 吉次…。 218 00:15:27,160 --> 00:15:29,896 先生のお気持ちは 分かりやすがね➡ 219 00:15:29,896 --> 00:15:34,400 よその縄張りで起きた殺しだ。 しかも もう 片がついてる。 220 00:15:34,400 --> 00:15:37,069 正直 あっしらの出番は ござんせんぜ。 221 00:15:37,069 --> 00:15:39,405 人の命が懸かってるんだ。 222 00:15:39,405 --> 00:15:43,576 処刑の知らせが いつ来るかも 分からない。 一刻を争うんだ。 223 00:15:43,576 --> 00:15:48,414 しかし 大津屋のおかみと手代が できてたからって それだけで➡ 224 00:15:48,414 --> 00:15:51,918 妾殺しが濡れ衣だって事にゃ なりませんからねえ。 225 00:15:51,918 --> 00:15:54,587 何か もう一つ 手がかりがねえと…。 226 00:15:54,587 --> 00:15:58,457 だから それを親分に 探り出してもらいたいんだよ。 227 00:15:58,457 --> 00:16:02,862 気軽に おっしゃいますぜ。 228 00:16:02,862 --> 00:16:07,366 親分 何なら あっしが 行ってめえりやしょうか? 229 00:16:07,366 --> 00:16:09,702 どこへ? 挨拶でさあ。 230 00:16:09,702 --> 00:16:12,205 小柳町の吉次親分に。 231 00:16:12,205 --> 00:16:14,140 もういっぺん 調べさせて頂きやすって。 232 00:16:14,140 --> 00:16:18,878 ばか野郎。 挨拶で行くんなら おめえなんかじゃ話にならねえ。 233 00:16:18,878 --> 00:16:22,715 俺が行くよ。 親分が? 234 00:16:22,715 --> 00:16:25,618 よその縄張りに 足を踏み入れたあげく➡ 235 00:16:25,618 --> 00:16:29,055 扱った殺しの一件を 洗い直そうってんだ。 236 00:16:29,055 --> 00:16:33,726 断りを入れとかねえと 面倒な事になりやすからね。 237 00:16:33,726 --> 00:16:38,598 それじゃあ 親分 私も一緒に。 238 00:16:38,598 --> 00:16:42,401 大津屋は 血だらけの刃物を持って 突っ立ってたんだ。 239 00:16:42,401 --> 00:16:46,239 もぎ取るのも苦労したんだぜ。➡ 240 00:16:46,239 --> 00:16:48,908 しかも それだけで 決めつけた訳じゃねえ。 241 00:16:48,908 --> 00:16:52,411 隣近所 残らず 聞いて回ったんだ。 242 00:16:52,411 --> 00:16:56,082 その聞き込みに 3日は かけたんだぜ。 243 00:16:56,082 --> 00:16:59,952 大津屋の方は調べたんですか? 244 00:16:59,952 --> 00:17:03,356 うるせえ! これ以上 知りたかったら➡ 245 00:17:03,356 --> 00:17:07,526 てめえらで 勝手に調べやがれ! 246 00:17:07,526 --> 00:17:11,397 分かりやした。 やらせて頂きやす。 247 00:17:11,397 --> 00:17:15,868 聞いたな? 直蔵。 お許しが出たぜ。 248 00:17:15,868 --> 00:17:18,371 勝手に調べていいそうだ。 249 00:17:18,371 --> 00:17:23,075 へい。 確かに お聞きしやした。 ありがとうございやす。 250 00:17:26,045 --> 00:17:29,882 八名川町の藤吉親分が 洗い直してくれてるんだ。 251 00:17:29,882 --> 00:17:33,753 えっ? とにかく 急がないと。 252 00:17:33,753 --> 00:17:36,555 奉行所からの検使役が 来るかもしれん。 253 00:17:36,555 --> 00:17:40,059 そうなると もう手遅れだからね。 254 00:17:40,059 --> 00:17:41,994 ありがとうございます。 255 00:17:41,994 --> 00:17:46,232 お父っつぁんに代わって お礼を言います。 256 00:17:46,232 --> 00:17:50,403 うまくいくといいが…。 何しろ 時もないから。 257 00:17:50,403 --> 00:17:53,439 いえ もう一度 調べてさえ頂ければ➡ 258 00:17:53,439 --> 00:17:57,076 お父っつぁんも きっと それで…。 259 00:17:57,076 --> 00:18:02,048 私も 若先生のおかげで ようやく恩返しが…。 260 00:18:02,048 --> 00:18:04,050 恩返し? 261 00:18:06,185 --> 00:18:10,056 私は 養女なんです。 262 00:18:10,056 --> 00:18:13,926 子どものなかった大津屋の家に もらわれて➡ 263 00:18:13,926 --> 00:18:16,729 大切に育てられて…。 264 00:18:18,531 --> 00:18:21,567 3日も 何も食べないで…。 265 00:18:21,567 --> 00:18:24,203 体に毒だよ。 266 00:18:24,203 --> 00:18:36,549 ♬~ 267 00:18:36,549 --> 00:18:39,585 誰が何と言おうと➡ 268 00:18:39,585 --> 00:18:42,722 お前は 私の娘だ。 269 00:18:42,722 --> 00:19:18,024 ♬~ 270 00:19:18,024 --> 00:19:23,029 だから… その恩返しがしたいんです。 271 00:19:34,040 --> 00:19:36,542 ⚟(物音) 272 00:19:45,751 --> 00:19:59,465 ⚟(物音) 273 00:20:08,240 --> 00:20:11,444 ちょいと 聞きてえ事がある。 274 00:20:15,114 --> 00:20:19,251 (藤吉)裏木戸を出て 路地を まっつぐ 東へ行くと➡ 275 00:20:19,251 --> 00:20:23,122 富山町二丁目 大津屋の方角でござんす。 276 00:20:23,122 --> 00:20:26,025 裏路地から逃げていける訳だな。 277 00:20:26,025 --> 00:20:28,260 へい。 実はね 先生➡ 278 00:20:28,260 --> 00:20:30,763 ちょうど その頃合いに 近所の女房が➡ 279 00:20:30,763 --> 00:20:35,634 転がるように走り抜けていった 若え男を見たってんでさ。➡ 280 00:20:35,634 --> 00:20:41,474 気になった女房は 近所の連中を 集め 様子を見に行ったんで。 281 00:20:41,474 --> 00:20:45,111 (悲鳴) 282 00:20:45,111 --> 00:20:47,113 ⚟人殺し! 283 00:20:48,781 --> 00:20:51,684 おちえさんが 出合い茶屋から 出てくるのを見かけたと➡ 284 00:20:51,684 --> 00:20:53,652 おっしゃってたのは➡ 285 00:20:53,652 --> 00:20:57,490 大津屋のおかみと 手代の新七でござんしたね。 286 00:20:57,490 --> 00:21:00,392 ああ。 確かに そう言った。 287 00:21:00,392 --> 00:21:04,063 お店の者の話だと 殺しのあった その日➡ 288 00:21:04,063 --> 00:21:06,565 新七は 夕方から 外に出て➡ 289 00:21:06,565 --> 00:21:10,903 夜遅くなって かなり酒に酔って 帰ってきておりやすぜ。 290 00:21:10,903 --> 00:21:15,241 下手人は 新七だと言うのか? 291 00:21:15,241 --> 00:21:18,911 大津屋が いつものように 妾の家に出かけていくと…。 292 00:21:18,911 --> 00:21:21,413 (おつま)うっ…。 293 00:21:21,413 --> 00:21:23,415 ううっ。 294 00:21:25,251 --> 00:21:31,257 (藤吉)後をつけていた新七が 一足先に入って 刺して逃げる。 295 00:21:32,992 --> 00:21:34,960 (藤吉)その すぐ後に入ってきた 大津屋が➡ 296 00:21:34,960 --> 00:21:38,264 仰天して 刃物を抜き取ったところを➡ 297 00:21:38,264 --> 00:21:40,199 近所の連中に見られた。 298 00:21:40,199 --> 00:21:43,135 ⚟人殺し! 299 00:21:43,135 --> 00:21:46,438 しかし 何のために? 300 00:21:46,438 --> 00:21:49,108 おかみと 道ならぬ仲になったとしても➡ 301 00:21:49,108 --> 00:21:53,779 それで 大津屋の旦那に殺しの罪を 着せるというのも腑に落ちん。 302 00:21:53,779 --> 00:21:56,815 といって 身代が目当てかというと➡ 303 00:21:56,815 --> 00:22:00,119 新七は婿になる事が 決まっているんだ。 304 00:22:00,119 --> 00:22:02,555 いずれ 間違いなく 大津屋の身代が➡ 305 00:22:02,555 --> 00:22:04,490 手に入ろうっていうのに➡ 306 00:22:04,490 --> 00:22:09,061 主人が死罪になったら お店は お取り潰しじゃないか。 307 00:22:09,061 --> 00:22:11,564 そうなんだよ 先生。 308 00:22:11,564 --> 00:22:14,400 あっしらも そこで行き詰まった。 309 00:22:14,400 --> 00:22:20,906 だがね 間違えなく 根っこは 新七って手代にある。 310 00:22:20,906 --> 00:22:22,942 大津屋の中にあるんだ。 311 00:22:22,942 --> 00:22:26,712 急がなくちゃならねえ事は 重々承知でござんす。 312 00:22:26,712 --> 00:22:31,250 だからといって 今のままじゃ 野郎をしょっぴく訳にもいかねえ。 313 00:22:31,250 --> 00:22:33,919 なに それほど 手間ひまは かからねえから➡ 314 00:22:33,919 --> 00:22:36,222 もうちょっと お待ち下せえ。 315 00:22:40,426 --> 00:22:43,262 (新七) 青山様のお屋敷には 筆と墨。➡ 316 00:22:43,262 --> 00:22:45,297 丁寧に ご挨拶するんだよ。 (2人)へい! 317 00:22:45,297 --> 00:22:47,600 三河屋さんには➡ 318 00:22:47,600 --> 00:22:51,103 美濃紙50丁。 支払いは晦日になってるからね。 319 00:22:51,103 --> 00:22:53,038 へい。 あっ これは これは➡ 320 00:22:53,038 --> 00:22:55,608 おいでなされませ。 おいでなされませ。 321 00:22:55,608 --> 00:22:57,943 どうぞ こちらへ。 322 00:22:57,943 --> 00:23:00,913 いつも お世話になっております。 さあさあ。 323 00:23:00,913 --> 00:23:03,115 おい お茶。 はい! 324 00:23:10,055 --> 00:23:15,060 (藤吉)番頭さん… 久蔵さんって言ったね? 325 00:23:16,729 --> 00:23:21,567 実は 頼みがあるんだ。 新七には ないしょで➡ 326 00:23:21,567 --> 00:23:24,603 大津屋の帳簿を 調べ直してもらいてえ。 327 00:23:24,603 --> 00:23:27,072 帳簿を… でございますか? 328 00:23:27,072 --> 00:23:31,744 そうだ。 そろばんを入れてほしいんだよ。 329 00:23:31,744 --> 00:23:36,081 分かりました。 でも… なぜ? 330 00:23:36,081 --> 00:23:38,751 野郎 小僧の時分に 奉公先から➡ 331 00:23:38,751 --> 00:23:41,654 10両って大金を盗んでやがった。 えっ? 332 00:23:41,654 --> 00:23:44,924 愛嬌があって そこの主人にも かわいがられていたんで➡ 333 00:23:44,924 --> 00:23:47,259 放り出されただけで済んだ。 334 00:23:47,259 --> 00:23:49,194 まっ どこだって➡ 335 00:23:49,194 --> 00:23:53,432 お店から 縄つきを出すのは 嫌がるからねえ。 336 00:23:53,432 --> 00:23:59,938 おかげで 誰にも疑われずに 次の奉公ができたんだ。 337 00:23:59,938 --> 00:24:03,542 大津屋は…➡ 338 00:24:03,542 --> 00:24:05,577 3軒目だぜ。 339 00:24:05,577 --> 00:24:29,768 ♬~ 340 00:24:32,071 --> 00:24:34,106 見つけやしたぜ 帳簿の穴。 341 00:24:34,106 --> 00:24:36,742 ざっと 70両。 何!? 342 00:24:36,742 --> 00:24:40,913 番頭に言い含めやしてね 昨日から そろばんを入れさせたんで。 343 00:24:40,913 --> 00:24:43,816 悔し泣きに泣いてやしたぜ 番頭は。 344 00:24:43,816 --> 00:24:46,785 そうか… なるほど。 345 00:24:46,785 --> 00:24:49,254 70両もの使い込みがあれば➡ 346 00:24:49,254 --> 00:24:52,091 主人を牢屋送りにもしたくなる。 347 00:24:52,091 --> 00:24:55,594 やつめ 露見する前に 先手を打ったんだな。 348 00:24:55,594 --> 00:24:57,930 おかみと いい仲になったのも➡ 349 00:24:57,930 --> 00:25:01,700 使い込みから 目をそらせるための 手なんでござんすよ。 悪党め。 350 00:25:01,700 --> 00:25:04,203 それで やつは 今 どこに? 351 00:25:04,203 --> 00:25:07,039 へい。 話はつけておりやす。 352 00:25:07,039 --> 00:25:20,853 ♬~ 353 00:25:23,222 --> 00:25:25,724 手配は 万事 あたしが致します。 354 00:25:25,724 --> 00:25:28,060 ご心配は いりませんよ。 355 00:25:28,060 --> 00:25:30,729 (おえん)新七…。 356 00:25:30,729 --> 00:25:36,902 私は もう 何が どうなるのか さっぱり分からない。 357 00:25:36,902 --> 00:25:39,238 お前だけが頼りだからね。 358 00:25:39,238 --> 00:25:44,410 分かってます おかみさん。 あたしが守ります。 359 00:25:44,410 --> 00:25:48,247 安心して下さい おかみさん。 360 00:25:48,247 --> 00:25:50,182 おかみさん…。 361 00:25:50,182 --> 00:25:54,420 いけないよ 新七。 こんな事 もう おしまいにしないと。 362 00:25:54,420 --> 00:25:57,089 おゆきに悪いよ。 363 00:25:57,089 --> 00:25:59,925 おゆきちゃんは まだ 子どもです。 364 00:25:59,925 --> 00:26:04,696 何にも分かっちゃいませんよ。➡ 365 00:26:04,696 --> 00:26:06,632 ねえ おかみさん➡ 366 00:26:06,632 --> 00:26:11,470 あたしに お金を預けてくれれば うまく隠して差し上げます。 367 00:26:11,470 --> 00:26:15,340 用心のためです。 368 00:26:15,340 --> 00:26:18,243 手遅れにならないようにね。 369 00:26:18,243 --> 00:26:21,880 ⚟(おえん)はあ…。➡ 370 00:26:21,880 --> 00:26:24,883 お前のいいようにおし。 371 00:26:28,053 --> 00:26:31,723 おかみさん だまされるな。 372 00:26:31,723 --> 00:26:37,229 下手に 金を隠したりすると おめえさんも罪になりますぜ。 373 00:26:37,229 --> 00:26:41,400 新七 おめえにゃ 番屋まで来てもらう。 374 00:26:41,400 --> 00:26:45,070 何の御用ですか!? おかみさんに 金を隠せって言ったからですか? 375 00:26:45,070 --> 00:26:47,105 そうじゃねえ! 376 00:26:47,105 --> 00:26:50,409 70両の使い込みと➡ 377 00:26:50,409 --> 00:26:52,344 妾殺しだ。 378 00:26:52,344 --> 00:26:54,346 えっ? 379 00:26:56,281 --> 00:27:00,686 てめえ 待ちやがれ… この野郎! 380 00:27:00,686 --> 00:27:03,355 寄るんじゃねえ! 381 00:27:03,355 --> 00:27:06,258 てめえ…。 382 00:27:06,258 --> 00:27:09,528 寄るんじゃねえぞ。 383 00:27:09,528 --> 00:27:11,530 ああ…。 384 00:27:13,198 --> 00:27:16,101 どけ! 385 00:27:16,101 --> 00:27:18,871 どけ! 新七! 386 00:27:18,871 --> 00:27:20,806 うわっ! 387 00:27:20,806 --> 00:27:27,045 ♬~ 388 00:27:27,045 --> 00:27:29,882 てめえ… この野郎! 389 00:27:29,882 --> 00:27:34,386 あっ… いたた… ああ…。 390 00:27:42,060 --> 00:27:45,564 人に見られないようにして 帰りなさい。 391 00:27:45,564 --> 00:27:49,868 この事は まだ 誰も知らないから。 392 00:27:55,073 --> 00:27:58,410 (おえんのすすり泣き) 393 00:27:58,410 --> 00:28:11,423 ♬~ 394 00:28:30,042 --> 00:28:31,977 はあ… はあ…。 395 00:28:31,977 --> 00:28:33,912 (桂順)ホホホ…。 396 00:28:33,912 --> 00:28:37,783 あっ おはようございます。 お目覚めですか? 397 00:28:37,783 --> 00:28:41,753 ⚟(物音) 398 00:28:41,753 --> 00:28:45,591 ご検使の与力さんが 見えていますよ。 えっ? 399 00:28:45,591 --> 00:28:51,430 お仕置きになるのは 例の… 大津屋のようです。 400 00:28:51,430 --> 00:28:54,066 何!? 401 00:28:54,066 --> 00:28:59,404 (囚人たち)しっ… しっ しっ。 しっ… しっ しっ。➡ 402 00:28:59,404 --> 00:29:02,007 しっ… しっ しっ。➡ 403 00:29:02,007 --> 00:29:07,512 しっ… しっ しっ。 しっ… しっ しっ。➡ 404 00:29:07,512 --> 00:29:10,015 しっ… しっ しっ。➡ 405 00:29:10,015 --> 00:29:15,687 しっ… しっ しっ。 しっ… しっ しっ。 406 00:29:15,687 --> 00:29:17,623 お待ち下さい。 407 00:29:17,623 --> 00:29:21,193 しばらく お待ち下さい! 408 00:29:21,193 --> 00:29:23,128 お願いがございます。 409 00:29:23,128 --> 00:29:25,063 (辻村)御医師 何じゃ? 410 00:29:25,063 --> 00:29:30,869 大津屋助右衛門の死罪 暫時 ご猶予を頂きたい。 411 00:29:32,704 --> 00:29:35,540 それは どういう事かな? 412 00:29:35,540 --> 00:29:38,443 妾殺しの下手人は 助右衛門ではなく➡ 413 00:29:38,443 --> 00:29:41,213 別人という証拠が 挙がっております。 414 00:29:41,213 --> 00:29:44,249 追って 奉行所からの知らせも 来るかと思われますゆえ➡ 415 00:29:44,249 --> 00:29:47,986 それまで 暫時 死罪の言い渡しを お待ち願いたい! 416 00:29:47,986 --> 00:29:50,722 それは できんな。➡ 417 00:29:50,722 --> 00:29:55,060 我々は ご老中のお指図で ここに参っておる。 418 00:29:55,060 --> 00:29:58,563 私に 刑の執行を引き延ばす事は 許されん! 419 00:29:58,563 --> 00:30:03,402 それは承知しておりますが 何分 事情が事情…。 420 00:30:03,402 --> 00:30:07,239 半刻とは申しません。 暫時の間 ご猶予を! 421 00:30:07,239 --> 00:30:11,109 奉行所からの知らせと申したが それは いつ? 422 00:30:11,109 --> 00:30:13,578 いや… 程なく。 423 00:30:13,578 --> 00:30:15,614 必ずや! 424 00:30:15,614 --> 00:30:20,252 何しろ 一切が判明したのは ゆうべでござりますれば。 425 00:30:20,252 --> 00:30:23,588 どんな事情であれ➡ 426 00:30:23,588 --> 00:30:26,491 刑の執行を遅延する事は 許されん! 427 00:30:26,491 --> 00:30:30,762 しかし… ひと一人の命が 懸かっておりますぞ! 428 00:30:30,762 --> 00:30:35,434 御医師! 立場をわきまえよ。 429 00:30:35,434 --> 00:30:37,636 ⚟(足音) 430 00:30:45,944 --> 00:30:50,148 お待ち下さい! 死罪はなりません! 431 00:30:54,119 --> 00:30:57,022 なりません… なりません! 432 00:30:57,022 --> 00:31:01,226 無実の人を殺してはいけません! 433 00:31:01,226 --> 00:31:05,030 命を軽んじてはいけません! 434 00:31:06,732 --> 00:31:09,768 先生… 何をおっしゃる? 435 00:31:09,768 --> 00:31:11,903 平塚さん 頼む! 436 00:31:11,903 --> 00:31:15,407 しばし… 今しばし! 437 00:31:17,075 --> 00:31:19,010 おい! 438 00:31:19,010 --> 00:31:23,849 ♬~ 439 00:31:23,849 --> 00:31:26,752 しばし…。おい! 今しばし! 440 00:31:26,752 --> 00:31:29,421 (加瀬)待った! 441 00:31:29,421 --> 00:31:33,091 科人は そのじいさんじゃねえ。 早まっちゃいけねえ。 442 00:31:33,091 --> 00:31:35,927 おい 大事の場だ。 控えろ! 443 00:31:35,927 --> 00:31:38,764 今日 死罪になるべきは この男です。 444 00:31:38,764 --> 00:31:41,266 新七…。 445 00:31:41,266 --> 00:31:44,169 昨日 大番屋まで引っ張って➡ 446 00:31:44,169 --> 00:31:46,605 一晩かかって ようやく 口を割らせました。 447 00:31:46,605 --> 00:31:50,108 奉行所に伝えたところ もはや 検使が出たと聞き 仰天。 448 00:31:50,108 --> 00:31:54,412 本人引き連れ はせ参じました。 口書きは これに。 449 00:32:08,393 --> 00:32:13,064 暫時 協議する。 それまで 大津屋を牢に戻せ。 450 00:32:13,064 --> 00:32:28,613 ♬~ 451 00:32:28,613 --> 00:32:31,316 ご苦労であった。 452 00:32:35,921 --> 00:32:39,591 加瀬様… ありがとうございました。 453 00:32:39,591 --> 00:32:43,428 これで 大津屋の旦那は 一命を拾いました。 454 00:32:43,428 --> 00:32:46,097 な~に 拾ってくれたのは あんただ。 455 00:32:46,097 --> 00:32:50,936 あんたが一粘りしてなきゃ 今頃 大津屋の首は飛んでたぜ。 456 00:32:50,936 --> 00:32:53,438 (平塚)いや~➡ 457 00:32:53,438 --> 00:32:57,943 しかし すごい やり取りでしたね! 458 00:32:57,943 --> 00:33:02,547 俺には とても検使与力様相手に あそこまでは言えねえ。 459 00:33:02,547 --> 00:33:06,418 立花先生… あんた 立派な医者だ。 460 00:33:06,418 --> 00:33:11,056 いや… 何を そんな。 461 00:33:11,056 --> 00:33:12,991 さて これで こいつを➡ 462 00:33:12,991 --> 00:33:15,393 もういっぺん 大番屋へ持っていって➡ 463 00:33:15,393 --> 00:33:18,897 奉行所から 入牢証文を取らなきゃならねえ。 464 00:33:20,565 --> 00:33:22,501 よく見ときな。 465 00:33:22,501 --> 00:33:25,904 すぐに ここで仕置きを受ける事になる。 466 00:33:25,904 --> 00:33:29,407 おい。 へい。 467 00:33:29,407 --> 00:33:44,890 ♬~ 468 00:33:44,890 --> 00:33:48,593 若先生は 大きなねずみ退治されたよ。 469 00:33:48,593 --> 00:33:50,629 お前も 頑張んなさい。 (鳴き声) 470 00:33:50,629 --> 00:33:55,834 ねっ? ご褒美欲しいだろ? ほれ。 471 00:34:04,976 --> 00:34:10,849 若先生… 恩に着ます。 472 00:34:10,849 --> 00:34:16,988 本当に 生涯 恩に着ます…。 473 00:34:16,988 --> 00:34:21,159 よかったな おゆきさん。 本当に よかった。 474 00:34:21,159 --> 00:34:25,497 う~ん… だが だいぶ 体が弱っとるようだ。 475 00:34:25,497 --> 00:34:28,400 なっ しばらくは 養生せんといかん。 476 00:34:28,400 --> 00:34:30,669 時々 登をやりましょう。 477 00:34:30,669 --> 00:34:32,604 いけません。 えっ? 478 00:34:32,604 --> 00:34:36,841 登には 牢屋敷がありますよ。 そうですが…。 479 00:34:36,841 --> 00:34:40,178 しかし わしは その… 夜は 吉川と大事な話が…。 480 00:34:40,178 --> 00:34:43,682 どうせ お酒でしょう? また 心ノ臓で倒れますよ。 481 00:34:43,682 --> 00:34:47,018 いや そうとは限らん…。 それじゃあ。 482 00:34:47,018 --> 00:34:50,855 今日は わざわざ…。 お気を付けて。 483 00:34:50,855 --> 00:34:54,192 はい… では。 484 00:34:54,192 --> 00:34:57,228 失礼致します。 485 00:34:57,228 --> 00:34:59,230 行こうか。 486 00:35:05,804 --> 00:35:09,307 家つきの あんなきれいな お嬢様のところになんか➡ 487 00:35:09,307 --> 00:35:13,178 登をやれますか! えっ? 488 00:35:13,178 --> 00:35:17,816 登は おちえのものです。 489 00:35:17,816 --> 00:35:29,060 ♬~ 490 00:35:29,060 --> 00:35:32,397 んっ? あっ 登兄さん。 491 00:35:32,397 --> 00:35:37,569 お掃除をしていたのよ。 あっ… そうか ありがとう。 492 00:35:37,569 --> 00:35:40,472 役に立った? えっ? 493 00:35:40,472 --> 00:35:43,375 私が 大津屋のおばさんを見たって 言った事。 494 00:35:43,375 --> 00:35:46,244 ああ… 役に立ったとも。 495 00:35:46,244 --> 00:35:49,748 おちえのおかげで ひと一人の命が助かった。 496 00:35:49,748 --> 00:35:52,584 ご褒美をくれないの? 褒美? 497 00:35:52,584 --> 00:35:55,086 うん。 ご褒美。 498 00:36:00,091 --> 00:36:03,862 褒美は これだ。 499 00:36:03,862 --> 00:36:15,573 ♬~ 500 00:36:15,573 --> 00:36:18,276 湯屋に行ってくる。 501 00:36:21,713 --> 00:36:26,551 登? 登~! 502 00:36:26,551 --> 00:36:38,063 ♬~ 503 00:36:38,063 --> 00:36:42,400 ⚟さあさあ さあさあ くしに かんざし いかがですか? 504 00:36:42,400 --> 00:36:46,071 さあ どうぞ どうぞ~。 さあ どうぞ。 505 00:36:46,071 --> 00:36:49,574 そこの おにいさん お一つ いかがですか? 506 00:36:49,574 --> 00:36:52,077 さあ どうぞ~。 507 00:36:52,077 --> 00:36:54,779 おっ いらっしゃいませ。 508 00:37:02,187 --> 00:37:06,357 ちえに似合うか…。 509 00:37:06,357 --> 00:37:09,661 これをもらおう。 あっ どうも。 510 00:37:11,229 --> 00:37:13,698 ありがとうございます~。 511 00:37:13,698 --> 00:37:24,342 ♬~ 512 00:37:24,342 --> 00:37:27,245 ♬~ 513 00:37:27,245 --> 00:37:55,039 ♬~