1 00:00:11,211 --> 00:00:19,086 (近づく馬車の音) 2 00:00:19,086 --> 00:00:38,739 ♬~ 3 00:00:38,739 --> 00:00:44,244 (中臣鎌足)じい! おじい! 飛鳥は まだ遠いのか? 4 00:00:44,244 --> 00:00:48,582 (老人)もう少しだ。 「もう少し」と言って➡ 5 00:00:48,582 --> 00:00:53,420 もう 何日もたったぞ。 飛鳥は 神様のおられる国じゃ。➡ 6 00:00:53,420 --> 00:01:00,193 そう簡単には 着かん。 神様か。 母君も そう言った。 7 00:01:00,193 --> 00:01:07,501 「飛鳥の都へ行けば 偉い神様が おられる。 その国で 暮らせ」と。 8 00:01:09,703 --> 00:01:12,739 神様とは どんなお方じゃ? 9 00:01:12,739 --> 00:01:16,576 倭国を 豊かな国にされたお方じゃ。 10 00:01:16,576 --> 00:01:20,080 戦のない 穏やかな国じゃ。 11 00:01:23,216 --> 00:01:28,722 皆 そのお方を 太子と 呼んでおる。 12 00:01:28,722 --> 00:01:34,227 太子か。 会えるかの そのお方に? 13 00:01:34,227 --> 00:01:53,614 ♬~ 14 00:01:53,614 --> 00:02:02,189 <この年 飛鳥の近郊 斑鳩宮で 太子と呼ばれた人物が➡ 15 00:02:02,189 --> 00:02:11,198 48歳の生涯を閉じた。 中国 隋との 交流に手をつけ 仏教を広め➡ 16 00:02:11,198 --> 00:02:17,070 政治家でありながら 後に 聖人と たたえられた この人物➡ 17 00:02:17,070 --> 00:02:24,544 聖徳太子の死は 飛鳥の波乱の始まりであった> 18 00:02:24,544 --> 00:02:40,727 ♬~ 19 00:02:40,727 --> 00:02:46,533 <日本が まだ 倭国と呼ばれていた 時代 朝鮮半島では➡ 20 00:02:46,533 --> 00:02:53,240 百済 新羅 高句麗の3国が しれつな勢力争いを 繰り広げ➡ 21 00:02:53,240 --> 00:02:58,745 中国大陸では 新たに ぼっ興した 唐の国が 巨大な力を持ち➡ 22 00:02:58,745 --> 00:03:04,551 隣国を 圧迫し始めていた。 倭国も これらの国々と➡ 23 00:03:04,551 --> 00:03:08,355 無関係に 生きていく事は できなかった> 24 00:03:10,190 --> 00:03:16,063 <今から およそ 1,400年前 倭国の朝廷は➡ 25 00:03:16,063 --> 00:03:20,534 ここ 奈良県飛鳥地方にあった> 26 00:03:20,534 --> 00:03:36,249 ♬~ 27 00:03:38,719 --> 00:03:47,227 (強頸)中臣の若よ! 若! ちょうど よいところで会うた。 28 00:03:47,227 --> 00:03:50,130 今 汝を 呼びにいこうと 思ってたところじゃ。 29 00:03:50,130 --> 00:03:52,099 祓えを頼む 祓えじゃ。 ちょっと待て。 30 00:03:52,099 --> 00:03:54,901 わしは 行くとこがある。 いやいやいや すぐ そこだ。 31 00:03:54,901 --> 00:03:57,237 祓えだけしてくれれば よい。 すぐ終わる。 32 00:03:57,237 --> 00:04:01,541 ちょっと わしは 急いでいるのだ。 わしも 急いでおるのじゃ。 33 00:04:05,679 --> 00:04:10,183 (強頸)静まれ 静まれ! 中臣の若が 来られたぞ!➡ 34 00:04:10,183 --> 00:04:13,186 今すぐ 祓えをして頂くからな。 35 00:04:16,056 --> 00:04:21,695 中臣の若。 見てのとおりじゃ。 今朝 表に出たら 行き倒れが➡ 36 00:04:21,695 --> 00:04:25,532 おったのじゃ。 こいつらの 父親だという。 恐ろしや~! 37 00:04:25,532 --> 00:04:28,201 (一同)わ~っ! 38 00:04:28,201 --> 00:04:31,705 死人には 汚れがついてると いうからな。 こいつらは➡ 39 00:04:31,705 --> 00:04:34,541 わしの家の前に 汚れを まき散らしたのじゃ! 40 00:04:34,541 --> 00:04:37,878 このままじゃ わしら一族 今日にも よからぬ事が➡ 41 00:04:37,878 --> 00:04:46,219 起きようぞ~! (一同)わ~っ! わ~っ! 42 00:04:46,219 --> 00:04:49,256 汚れを祓うてほしいのじゃ。 43 00:04:49,256 --> 00:04:54,561 礼は こいつらから 取り立てて 払うゆえ➡ 44 00:04:54,561 --> 00:04:59,266 何とぞ 何とぞ 祓えの儀を! 45 00:05:11,678 --> 00:05:15,549 汝らは 東国から? (旅人)郷の命を受け➡ 46 00:05:15,549 --> 00:05:19,186 難波の橋を造る仕事に 使われるため➡ 47 00:05:19,186 --> 00:05:24,691 東国から 参りました。 ここまで来て 急に 父が倒れ…。 48 00:05:24,691 --> 00:05:29,529 郷を出る時から 食が進まぬとは 申していたのですが…。 49 00:05:29,529 --> 00:05:32,866 (泣き声) 50 00:05:32,866 --> 00:05:35,535 (強頸)泣いてごまかそうとしても ダメじゃ! 51 00:05:35,535 --> 00:05:38,872 わしらに取りついた汚れを どうしてくれる! 52 00:05:38,872 --> 00:05:41,374 1か月 わしの土地で ただ働きするか➡ 53 00:05:41,374 --> 00:05:46,713 粟1袋 よこすか どっちじゃ! (男達)汚らわしや! 54 00:05:46,713 --> 00:05:50,217 死者を見ると 汚れが つくというのは 古い迷信じゃ! 55 00:05:50,217 --> 00:05:54,087 それを理由に 旅の者から 粟1袋 取り上げるなど バカげている。 56 00:05:54,087 --> 00:05:57,891 (強頸)バカげている? 悪い風習じゃ。 57 00:05:57,891 --> 00:06:03,163 祓えなども必要ない。 この国では 皆 やってる事ぞ! 58 00:06:03,163 --> 00:06:07,033 それゆえ 倭国は 遅れた国だと 唐の国から 笑われるのじゃ。 59 00:06:07,033 --> 00:06:10,337 もっと 理にかなった 生き方を せねばの。 60 00:06:12,672 --> 00:06:16,543 ここは 気にせず とく 行くがいい。 61 00:06:16,543 --> 00:06:19,546 悪しからず! 62 00:06:19,546 --> 00:06:24,684 待て! 汚れを祓うのは 神に仕える者の役目だろうが!➡ 63 00:06:24,684 --> 00:06:26,620 それを ないがしろにしろ っていうのか! 64 00:06:26,620 --> 00:06:29,189 わしは まだ 中臣家を 継いだわけではない。 65 00:06:29,189 --> 00:06:31,124 それゆえ まだ 神に仕えておらぬ。 66 00:06:31,124 --> 00:06:34,361 (強頸)神官の御子が 神に仕えず 何に仕える!? 67 00:06:34,361 --> 00:06:36,663 目下 それを思案中じゃ! 68 00:06:39,199 --> 00:06:45,705 (旻)「危うき者は 平らかならしめ あなどる者は 傾かしむ」。➡ 69 00:06:45,705 --> 00:06:51,211 すなわち 易の書の要点は 自らを不安と思う者を…。 70 00:06:55,215 --> 00:06:58,518 申し訳ありません。 遅参いたしました。 71 00:07:07,494 --> 00:07:09,496 (蘇我入鹿)鎌足! 72 00:07:11,164 --> 00:07:13,466 ここが 空いてるぞ。 73 00:07:18,038 --> 00:07:25,679 「危うき者は 平らかならしめ あなどる者は 傾かしむ」。➡ 74 00:07:25,679 --> 00:07:31,017 すなわち 易の書の要点は 自らを 不安…。 75 00:07:31,017 --> 00:07:36,523 <中臣鎌足。 朝廷の 神事をつかさどる豪族➡ 76 00:07:36,523 --> 00:07:39,192 中臣家の嫡男である。➡ 77 00:07:39,192 --> 00:07:45,699 中臣家は 朝廷の中では 最も低い位に 属していた。➡ 78 00:07:45,699 --> 00:07:51,204 蘇我入鹿。 朝廷を支える 当時 最大の権力者➡ 79 00:07:51,204 --> 00:07:54,107 蘇我毛人の第一子である。➡ 80 00:07:54,107 --> 00:07:58,078 蘇我家は 長年にわたり 飛鳥を支配してきた➡ 81 00:07:58,078 --> 00:08:01,381 豪族中の豪族である> 82 00:08:04,150 --> 00:08:06,820 遅かったな。 83 00:08:06,820 --> 00:08:10,490 旻先生に 説教でも 食らってたか?食らった。 84 00:08:10,490 --> 00:08:15,161 「少しは蘇我入鹿を見習え」と しかられた。 ほう。 85 00:08:15,161 --> 00:08:20,467 それで 先生は 遅参を許してくれたか?いや。 86 00:08:22,035 --> 00:08:24,504 罰として この3日間で➡ 87 00:08:24,504 --> 00:08:27,340 わが国に 仏教が伝来した いきさつを調べ➡ 88 00:08:27,340 --> 00:08:29,275 まとめてこいと 言われた。 89 00:08:29,275 --> 00:08:31,478 「それが できなければ 除籍にする」と。 90 00:08:33,146 --> 00:08:37,684 たった3日でだ。 そんなものどうやって調べる? 91 00:08:37,684 --> 00:08:40,019 100年近くも前の話だ。 92 00:08:40,019 --> 00:08:44,824 うん。 そいつは 難題だな。 だろ。 93 00:08:47,694 --> 00:08:51,564 難題だが 「国記」を読めば その辺りの事は➡ 94 00:08:51,564 --> 00:08:55,201 書いてあるかも しれんな。 「国記」? 95 00:08:55,201 --> 00:08:58,104 うん。 96 00:08:58,104 --> 00:09:03,009 「国」の「記」と書く。 97 00:09:03,009 --> 00:09:07,647 昔 聖徳太子が わしの祖父の馬子に命じて➡ 98 00:09:07,647 --> 00:09:13,153 倭国の古い出来事を 調べさせ 書物に まとめたものだ。 99 00:09:13,153 --> 00:09:18,024 聖徳太子? 太子が命じて 作った書物か? 100 00:09:18,024 --> 00:09:23,663 噂には 聞いた事ある。 それは 今 どこにある? 101 00:09:23,663 --> 00:09:25,665 蘇我の館にある。 102 00:09:27,534 --> 00:09:31,337 大臣の書庫に。 大臣は 汝の父君。 103 00:09:31,337 --> 00:09:33,840 頼めば読ませてもらえないか? 104 00:09:36,676 --> 00:09:40,547 多分 無理だろうな。頼んで みてくれ。 その書物 読みたい。 105 00:09:40,547 --> 00:09:43,550 誰にも 読ませてはならぬと 祖父が 命じた。 106 00:09:43,550 --> 00:09:46,186 父も それを守っている。 そんな事 言わず! 107 00:09:46,186 --> 00:09:50,523 誰も 読んでないのだ 無理だ。 幼なじみの鎌足が 頼むのだ! 108 00:09:50,523 --> 00:09:52,725 無理なものは 無理だ! 109 00:09:54,394 --> 00:09:57,864 入鹿! ⚟ダメだ ダメだ! 110 00:09:57,864 --> 00:09:59,866 入鹿! 111 00:10:03,670 --> 00:10:05,738 (蘇我日向) これは どこの誰かと思えば➡ 112 00:10:05,738 --> 00:10:08,575 本宗家の入鹿殿ではないか。➡ 113 00:10:08,575 --> 00:10:10,577 いずこへ 参られる? 114 00:10:12,412 --> 00:10:16,216 豊浦の館へ 参る。 (日向)せっかく 会うたのだ。 115 00:10:16,216 --> 00:10:22,088 一緒に 狩りに行かぬか。 道具は 貸すぞ! 116 00:10:22,088 --> 00:10:24,891 (笑い声) 117 00:10:24,891 --> 00:10:29,729 (日向)どうした? 槍を持って 狩りに ついてこい。 118 00:10:29,729 --> 00:10:37,036 人の道具は 使わぬ。 わしを 他人とぬかすか。 119 00:10:38,738 --> 00:10:42,542 この蘇我日向は 汝の身内ぞ! 120 00:10:46,613 --> 00:10:52,752 身内が 蘇我家の倉から 米を盗むか? 121 00:10:52,752 --> 00:10:54,754 (日向)なに! 122 00:10:58,258 --> 00:11:00,760 憎むべき身内ぞ! 123 00:11:12,372 --> 00:11:18,878 (男達)おっ! 日向殿 日向殿…。 124 00:11:18,878 --> 00:11:25,752 (日向)お前ら 追え! 追え! 逃がすな~! 笑うな~! 125 00:11:25,752 --> 00:11:57,584 ♬~ 126 00:11:57,584 --> 00:12:00,186 隣の鎌足です。 127 00:12:00,186 --> 00:12:03,856 ♬~ 128 00:12:03,856 --> 00:12:09,162 与志古! ⚟(車持与志古)お静かに。 129 00:12:18,705 --> 00:12:21,207 ⚟与志古。 どうした? 130 00:12:24,577 --> 00:12:26,579 与志古! あっ! 131 00:12:29,882 --> 00:12:35,221 もう! 邪魔ばかりするんだから! 132 00:12:35,221 --> 00:12:38,725 あの山鳩めが 毎日 畑を荒らしにくるのです。 133 00:12:38,725 --> 00:12:41,394 捕まえて こらしめてやろうと 思ったのに! 134 00:12:41,394 --> 00:12:45,898 あんな大声 出すなんて! 135 00:12:45,898 --> 00:12:49,902 いっつも そう! おまぬけなんだから! 136 00:12:53,239 --> 00:12:57,910 どこへ 行かれます? 与志古の機嫌が悪いから 帰る。 137 00:12:57,910 --> 00:13:01,681 用があるから 来たのでしょう? 話があるなら➡ 138 00:13:01,681 --> 00:13:05,184 何でも さっさと 言っていけばいいのです。 139 00:13:12,392 --> 00:13:16,596 先ほどまで 蘇我入鹿と 一緒にいた。 140 00:13:18,865 --> 00:13:21,901 汝の話が出た。 141 00:13:21,901 --> 00:13:25,204 入鹿が 会ってみたいと 言いだした。 142 00:13:25,204 --> 00:13:29,208 久しぶりに 幼なじみの与志古に 会ってみたくなったと。 143 00:13:30,877 --> 00:13:34,547 きっと 懐かしいんだろ。 もう7~8年は 会ってないか。 144 00:13:34,547 --> 00:13:37,583 入鹿殿は ゆくゆくは 大臣になって 国を動かすお方。 145 00:13:37,583 --> 00:13:41,220 この与志古は 朝廷へ食材運ぶ 車持の娘。 146 00:13:41,220 --> 00:13:44,257 お会いするには 身分が 違いすぎます!固く考えずとも➡ 147 00:13:44,257 --> 00:13:47,894 昔 一緒に 木トンボ飛ばした仲だ! 昔は 昔! 148 00:13:47,894 --> 00:13:51,731 ちょっとでいいのだ。 ちょっと 顔見るだけで。 149 00:13:51,731 --> 00:13:55,735 会わせると 約束したのだ! 勝手に そんな約束するなんて…。 150 00:13:59,238 --> 00:14:03,543 何か 弱みがあるんだ 入鹿殿に。 何も ない! 151 00:14:06,045 --> 00:14:09,882 嫌なら もう いい。 頼まん。 鎌足殿! 152 00:14:09,882 --> 00:14:12,785 先ほど お母上が お見えになりましたよ。 153 00:14:12,785 --> 00:14:14,721 困っておいででしたよ。 154 00:14:14,721 --> 00:14:18,191 鎌足殿が 中臣家を 継ぐのか 継がないのか 煮えきらず➡ 155 00:14:18,191 --> 00:14:20,526 お父上から 逃げ回って 家へも 寄りつかないと! 156 00:14:20,526 --> 00:14:23,429 それが どうした?逃げ回るのは よくないと思います。 157 00:14:23,429 --> 00:14:25,865 継ぐなら 継ぐ。 継がないのなら継がない。 158 00:14:25,865 --> 00:14:28,201 はっきり お父上に 申し上げるべき…。 言っておる! 159 00:14:28,201 --> 00:14:30,536 言っても 聞き届けてもらえぬだけだ。 160 00:14:30,536 --> 00:14:32,472 もう その話は せぬ。 とにかく➡ 161 00:14:32,472 --> 00:14:35,208 「今日 鎌足殿を見つけたら 必ず 家へ連れ戻ってくれ」と➡ 162 00:14:35,208 --> 00:14:38,878 お母上から 頼まれました。 今すぐ帰って お話をして下さい。 163 00:14:38,878 --> 00:14:41,380 嫌だ。 じゃあ 離さない。 164 00:14:41,380 --> 00:14:45,218 これ以上 お母上を困らせては ダメ!よせよ! 165 00:14:45,218 --> 00:14:49,389 言う事を聞かなければ 入鹿殿にも 会ってあげませんから!えっ? 166 00:14:49,389 --> 00:14:51,390 コラ! 167 00:14:54,560 --> 00:14:57,563 あっ コラ! コラ! 168 00:15:00,833 --> 00:15:04,170 (中臣国子)言うまでもなく この中臣家は➡ 169 00:15:04,170 --> 00:15:08,674 代々 宮廷の神祇祭祀をつかさどる 由緒ある家柄ぞ。➡ 170 00:15:08,674 --> 00:15:12,545 汝の父上は 今 こうして 病を得たゆえ➡ 171 00:15:12,545 --> 00:15:17,683 一刻も早う 汝に あとを 継がせたいと申しておるのじゃ。➡ 172 00:15:17,683 --> 00:15:20,186 しかと 返答せよ。 173 00:15:20,186 --> 00:15:25,691 聞けば 汝は 近頃 唐帰りの 学僧にかぶれ➡ 174 00:15:25,691 --> 00:15:30,563 仏教を吹き込まれ 何かというと 「仏の道は 優れておる。➡ 175 00:15:30,563 --> 00:15:33,566 わが国 古来の神では 倭国は 救えぬ」と…。 176 00:15:33,566 --> 00:15:36,402 そうは 申しませぬ! 仏教をはじめとし➡ 177 00:15:36,402 --> 00:15:40,206 唐から入った学問には きちんと理屈が通ってると。 178 00:15:40,206 --> 00:15:43,242 それに比べ わが国は いまだ 迷信じみた神や➡ 179 00:15:43,242 --> 00:15:46,379 悪しき習慣が はびこり 国の進歩を妨げてる! 180 00:15:46,379 --> 00:15:48,314 (国子)黙れ! 181 00:15:48,314 --> 00:15:53,553 汝は 才ある子ゆえ 兄上が わざわざ常陸の国から 呼び寄せ➡ 182 00:15:53,553 --> 00:15:56,055 手塩にかけてきたのじゃ! 183 00:15:56,055 --> 00:16:00,560 今さら 唐にかぶれて 中臣家を捨てるのか! 184 00:16:02,495 --> 00:16:05,198 この恩知らずめ! 185 00:16:08,167 --> 00:16:13,339 いま一度聞く。 中臣家を 継ぐ気が あるのか ないのか。 186 00:16:13,339 --> 00:16:19,145 返答によっては… こうだ!➡ 187 00:16:19,145 --> 00:16:25,852 待て! 待て! 鎌足! あっ! 188 00:16:25,852 --> 00:16:28,154 鎌足! 鎌足様! 189 00:16:34,193 --> 00:16:36,863 (門衛の長) 入鹿殿は お出かけになった。➡ 190 00:16:36,863 --> 00:16:38,798 用向きの事なら わしから お伝えする。 191 00:16:38,798 --> 00:16:41,701 出かけた? 日が落ちたらここに来るように➡ 192 00:16:41,701 --> 00:16:44,737 言われたんですが。 とにかく おられぬのだ! いね! 193 00:16:44,737 --> 00:16:47,540 ⚟(船 恵尺)中臣連の子か? 194 00:16:50,209 --> 00:16:52,511 (恵尺)鎌足殿か? 195 00:16:54,080 --> 00:16:56,382 はい。 196 00:16:56,382 --> 00:16:59,685 私は 船 恵尺と申します。 197 00:17:01,988 --> 00:17:06,192 (百済語で) 198 00:17:21,841 --> 00:17:25,711 これ 全部が 「国記」ですか? 199 00:17:25,711 --> 00:17:31,183 そうです。 聖徳太子が 倭国の歴史をつくろうと➡ 200 00:17:31,183 --> 00:17:35,054 集められた 古い言い伝えの記録です。 201 00:17:35,054 --> 00:17:39,692 これを 我々が 書物に書き写してきたのです。 202 00:17:39,692 --> 00:17:44,497 この国の歴史が すべて ここに 収められています。 203 00:17:50,202 --> 00:17:53,906 どの時代を お読みになりたいですか? 204 00:18:04,150 --> 00:18:46,726 ♬~ 205 00:18:46,726 --> 00:18:50,429 何か ご参考になりましたか? 206 00:18:52,865 --> 00:18:58,537 推古帝の12年に すばらしい記述が ありました。 207 00:18:58,537 --> 00:19:06,545 太子が 憲法を 作られた 箇所ですね 十七条の。 208 00:19:08,147 --> 00:19:14,820 太子が 仏教と どのように 向き合われていたのか➡ 209 00:19:14,820 --> 00:19:19,325 倭国を どのような国にしたいと 思われていたのか➡ 210 00:19:19,325 --> 00:19:22,128 この憲法で よく分かります。 211 00:19:26,832 --> 00:19:29,635 「和をもって 貴しとなせ」。 212 00:19:31,670 --> 00:19:35,174 この一条も見事だが 十条目が すばらしい。 213 00:19:37,543 --> 00:19:43,849 「心に 恨みを抱くな。 顔に 憤りを表すな。➡ 214 00:19:43,849 --> 00:19:48,187 人が 自分と違うからといって 怒っては ならない。➡ 215 00:19:48,187 --> 00:19:53,893 人には 皆 心があり 心にはそれぞれの思いがある」。 216 00:19:55,528 --> 00:20:02,201 「自分は 聖人ではなく 相手が 愚かな者でもない。➡ 217 00:20:02,201 --> 00:20:09,708 ともに 凡夫なのである。 何が正しくて➡ 218 00:20:09,708 --> 00:20:15,915 何が間違っているか 一体 誰が定める事が できよう」。 219 00:20:18,217 --> 00:20:26,559 「それゆえ 相手が怒ったら 自分の過失を 恐れよ」。 220 00:20:26,559 --> 00:20:32,732 ♬~ 221 00:20:32,732 --> 00:20:45,444 仏の教えと… 唐の学問と 倭国の 美しさが ここに込められている。 222 00:20:45,444 --> 00:20:50,149 ♬~ 223 00:20:50,149 --> 00:20:56,255 思ったとおりだ。 太子は すばらしい。 224 00:20:56,255 --> 00:21:04,063 太子に それほど 興味があるなら 斑鳩へ お行きになり➡ 225 00:21:04,063 --> 00:21:11,570 ご子息の山背大兄王に お会いになれば よいのです。 226 00:21:14,640 --> 00:21:19,578 大兄は 気さくなお方です。 227 00:21:19,578 --> 00:21:24,583 太子の事なら 喜んで お話しになります。 228 00:21:26,886 --> 00:21:29,789 山背大兄に? 229 00:21:29,789 --> 00:21:41,600 ♬~ 230 00:21:50,576 --> 00:21:53,479 ⚟おい! 231 00:21:53,479 --> 00:21:58,751 何してる こんなところで? いや… ちょっと。 232 00:21:58,751 --> 00:22:03,189 ある方に 会おうと思って。 山背大兄か? 233 00:22:03,189 --> 00:22:05,691 恵尺に 聞いたよ。 234 00:22:05,691 --> 00:22:08,527 昨夜は 留守にしていて 悪かったな。いや いいんだ。 235 00:22:08,527 --> 00:22:10,462 さっき 斑鳩宮へ行ったら➡ 236 00:22:10,462 --> 00:22:13,866 大兄は 今日 ここに来てる と言われ ここで 待つようにと。 237 00:22:13,866 --> 00:22:17,736 今日は 唐の使者が 難波から 遊びに来ていて➡ 238 00:22:17,736 --> 00:22:21,740 皆で おもてなしをしなくては ならんのだ。 239 00:22:21,740 --> 00:22:26,212 飛鳥中のお偉方が ここに 集まっている。 240 00:22:26,212 --> 00:22:31,217 わしも来て 何か手伝えと 言われたが 遅刻してしまった。 241 00:22:34,553 --> 00:22:36,855 まずい! 父上だ! 242 00:22:50,903 --> 00:22:54,406 (蘇我毛人)入鹿!➡ 243 00:22:54,406 --> 00:22:56,408 これへ参れ。 244 00:23:01,180 --> 00:23:06,518 (毛人)汝は 昨夜 石川臣麻呂殿の弟君を➡ 245 00:23:06,518 --> 00:23:08,854 馬で 引きずり回したそうじゃな? 246 00:23:08,854 --> 00:23:12,725 (笑い声) 247 00:23:12,725 --> 00:23:18,197 石川臣麻呂殿は わが一族。 身内の争いは 厳に慎めと➡ 248 00:23:18,197 --> 00:23:20,132 申しつけておいたはず。 249 00:23:20,132 --> 00:23:24,069 この しれ者! (石川臣麻呂)大臣。➡ 250 00:23:24,069 --> 00:23:31,210 もう よろしいのです。 わが弟にも 非がある事ゆえ。 251 00:23:31,210 --> 00:23:33,712 そうであろう 日向? 252 00:23:40,552 --> 00:23:44,723 (毛人)今後は 身内の争いは この毛人が 許さん。➡ 253 00:23:44,723 --> 00:23:49,595 蘇我の者は 一つの束となり 大王を お守りしてきた。 254 00:23:49,595 --> 00:23:57,803 これからも かくあらねば ならぬ。 両者 この場で 手を結べ。 255 00:23:59,571 --> 00:24:01,774 手を結べ! 256 00:24:09,181 --> 00:24:13,052 いや… さすがよ~! 257 00:24:13,052 --> 00:24:24,196 (歓声) 258 00:24:24,196 --> 00:24:28,067 ♬~ 259 00:24:28,067 --> 00:24:30,069 (石川)大臣。 260 00:24:30,069 --> 00:25:28,060 ♬~ 261 00:25:32,698 --> 00:25:36,201 (宝皇女)唐へ お帰りの節は➡ 262 00:25:36,201 --> 00:25:43,075 天子に よしなに お伝え下さいませ。 263 00:25:43,075 --> 00:25:46,578 (唐語) 264 00:26:12,838 --> 00:26:16,508 よ~っ! (一同)よ~っ! 265 00:26:16,508 --> 00:26:22,181 (歓声) 266 00:26:22,181 --> 00:26:25,083 (男)さすがじゃ! (軽皇子)山背王! 267 00:26:25,083 --> 00:26:28,053 いずくへ参られる? 268 00:26:28,053 --> 00:26:32,691 (軽)唐の大使は まだ 寺の中を 見て歩きたいと 仰せぞ。➡ 269 00:26:32,691 --> 00:26:36,562 今日の接待は われと王の 名の下において 開かれたもの。➡ 270 00:26:36,562 --> 00:26:39,565 今 しばらく ここに とどまられよ。 271 00:26:39,565 --> 00:26:44,703 (山背大兄王)われは 唐の言葉は とんと 分かりませぬゆえ➡ 272 00:26:44,703 --> 00:26:48,574 今日の接待は 不向きと 分かりました。 分かった以上➡ 273 00:26:48,574 --> 00:26:53,712 長居は 無用と思い…。 ここに おわすは 宝皇女ぞ。 274 00:26:53,712 --> 00:26:57,883 皇女は 大王に代わって ご臨席なされておるのじゃ。➡ 275 00:26:57,883 --> 00:27:03,155 その申しよう 無礼なるぞ。 皇女が 大王のご名代なら➡ 276 00:27:03,155 --> 00:27:08,026 唐の大使ごときに 唐の言葉を お使いになるべきではない。➡ 277 00:27:08,026 --> 00:27:11,029 いかに 唐が大国といえ➡ 278 00:27:11,029 --> 00:27:15,167 今日のありさまは いかにも 唐に へりくだっておる。 279 00:27:15,167 --> 00:27:20,038 唐の大使も 倭国に来れば 倭国の 言葉で 挨拶をさせれば よい。➡ 280 00:27:20,038 --> 00:27:24,176 それを 初めから 終わりまで 唐の言葉を➡ 281 00:27:24,176 --> 00:27:27,679 われらに押しつける 態度は 許しがたい! 282 00:27:29,681 --> 00:27:37,422 山背が そう申して 席を立ったと 大王に お伝え下され。 283 00:27:37,422 --> 00:27:42,127 倭国は 唐の属国ではない。 284 00:27:44,863 --> 00:27:47,866 (軽)王! (宝)よいのです。 285 00:27:50,736 --> 00:27:53,539 (毛人)これ はやせ はやせ! 286 00:27:53,539 --> 00:28:46,191 ♬~ 287 00:28:46,191 --> 00:28:48,894 山背大兄王! 288 00:28:51,863 --> 00:28:54,366 船 恵尺殿より ご紹介を頂き➡ 289 00:28:54,366 --> 00:28:56,301 お目通りを願い出ました 鎌足です。 290 00:28:56,301 --> 00:29:00,472 お父上 聖徳太子のお話を伺いたく 非を省みず➡ 291 00:29:00,472 --> 00:29:02,474 お待ち申しておりました。 292 00:29:10,649 --> 00:29:15,320 恵尺より 聞き及んでおる。 汝は わが父を➡ 293 00:29:15,320 --> 00:29:18,824 慕うてくれているそうじゃな。 心より! 294 00:29:35,173 --> 00:29:39,478 父が わしに申された事がある。 295 00:29:41,046 --> 00:29:45,817 「美しきものは 正義である」。 296 00:29:45,817 --> 00:29:49,821 「正義を慕う心である」と。 297 00:29:51,523 --> 00:29:55,394 われら凡俗には 難しい話じゃ。 298 00:29:55,394 --> 00:30:09,374 ♬~ 299 00:30:09,374 --> 00:30:12,277 斑鳩へ 来る事があれば いつでも 寄るがよい。 300 00:30:12,277 --> 00:30:15,881 今日は 先を急ぐ。 また 会おうぞ。 301 00:30:15,881 --> 00:30:26,224 ♬~ 302 00:30:26,224 --> 00:30:29,528 「美しきものは 正義である」か。 303 00:30:32,097 --> 00:30:38,236 確かに われら凡俗には 難しい話じゃ。 304 00:30:38,236 --> 00:30:51,783 ♬~ 305 00:30:51,783 --> 00:30:59,257 <聖徳太子の嫡子 山背大兄王は 倭国を支配する 大王の座には➡ 306 00:30:59,257 --> 00:31:03,128 本来 自分が就くべきだという 自負があった。➡ 307 00:31:03,128 --> 00:31:05,864 蘇我氏をはじめとする 豪族の中にも➡ 308 00:31:05,864 --> 00:31:08,767 山背大兄を 擁護する勢力があり➡ 309 00:31:08,767 --> 00:31:14,539 飛鳥の朝廷は 内部分裂の危機を はらんでいたのである> 310 00:31:14,539 --> 00:31:21,713 ♬~ 311 00:31:21,713 --> 00:31:27,219 <折も折 飛鳥を 揺るがす事件が 起きた。➡ 312 00:31:27,219 --> 00:31:30,889 その年の6月 時の大王➡ 313 00:31:30,889 --> 00:31:36,228 舒明帝の宮殿 岡本宮が 焼失したのである。➡ 314 00:31:36,228 --> 00:31:39,731 宮殿は ただちに 田中宮に うつされたが➡ 315 00:31:39,731 --> 00:31:44,236 舒明帝の呼びかけにもかかわらず 蘇我毛人をはじめ➡ 316 00:31:44,236 --> 00:31:48,106 政権のおもだった豪族達は 朝議を欠席し➡ 317 00:31:48,106 --> 00:31:55,113 規律は 大きく乱れた。 朝廷に 異変が 起き始めていた> 318 00:31:57,783 --> 00:32:04,189 (旻)「子 いわく。 乱の生ずるところは➡ 319 00:32:04,189 --> 00:32:10,695 言語もって 階となす。 君 密ならざれば 臣を失い➡ 320 00:32:10,695 --> 00:32:17,202 臣 密ならざれば 身を失い…」。 321 00:32:19,204 --> 00:32:24,709 今日 旻先生から 奇妙な注意をされた。うん? 322 00:32:24,709 --> 00:32:29,214 ひょっとすると 大王の御所に 火を放ったのは➡ 323 00:32:29,214 --> 00:32:32,884 山背大兄王かもしれないと 申されたのだ。 324 00:32:32,884 --> 00:32:38,690 そういう噂があると 言うのだ。 わしが 太子を心酔するあまり➡ 325 00:32:38,690 --> 00:32:42,227 山背大兄に近づくのは 危険だと 申された。 326 00:32:42,227 --> 00:32:44,229 先に帰って よいぞ。 327 00:32:46,731 --> 00:32:52,904 先生は 申された。 山背大兄は 唐の国に肩入れする大王が➡ 328 00:32:52,904 --> 00:32:57,242 気に入らないのだと。 しかし だからといって➡ 329 00:32:57,242 --> 00:33:01,112 御所に 火などつけさすと思うか? 330 00:33:01,112 --> 00:33:09,187 ない事じゃ ないさ。 火事で 大王に もしもの事があれば➡ 331 00:33:09,187 --> 00:33:12,691 次の大王は 十中八九 山背大兄だからな。 332 00:33:15,060 --> 00:33:18,563 しかし こういう噂もあるというぞ。 333 00:33:20,799 --> 00:33:26,805 火をつけたのは 蘇我毛人ではないかと…。 334 00:33:28,874 --> 00:33:34,212 大王は 毛人に押されて 御門の位におつきになられたが➡ 335 00:33:34,212 --> 00:33:37,048 このところ 朝廷内の 役職の決め方などで➡ 336 00:33:37,048 --> 00:33:40,552 毛人と ことごとく 意見が合わない。 337 00:33:40,552 --> 00:33:47,893 后も 毛人の妹を断り 宝皇女に 勝手に決めてしまわれた。 338 00:33:47,893 --> 00:33:53,698 その腹いせに火をつけ 朝議にも 出なくなったと いうのだ。 339 00:33:53,698 --> 00:33:56,902 汝の父上が? 340 00:33:56,902 --> 00:33:59,204 …あくまで 噂だ。 341 00:34:04,175 --> 00:34:11,683 倭国は 今 そんな 内輪もめを してる場合ではないぞ。 342 00:34:11,683 --> 00:34:15,553 唐の国が 今にも 高句麗に 攻め込もうとしている。 343 00:34:15,553 --> 00:34:21,393 倭国は それに従うのか それとも 反対して 唐の敵になるのか➡ 344 00:34:21,393 --> 00:34:26,231 重大な選択を 迫られている。 …そうだ。 345 00:34:26,231 --> 00:34:29,734 いかに 入鹿の父上とはいえ。 それが 事実なら…。 346 00:34:32,537 --> 00:34:34,539 許せん。 347 00:34:36,408 --> 00:34:41,212 今は 国が 一つに結束すべき時だ。 348 00:34:41,212 --> 00:34:44,215 それを 蘇我家が壊している。 349 00:34:46,084 --> 00:34:52,223 はあ… わしも 日向などと 争っていては いかんのだ。 350 00:34:52,223 --> 00:34:55,560 反省だ。 351 00:34:55,560 --> 00:34:58,229 よし! 父を問いただす! 352 00:34:58,229 --> 00:35:01,833 汝も 来い! ああ。 353 00:35:01,833 --> 00:35:06,171 ⚟そんなところで 何の話じゃ? 354 00:35:06,171 --> 00:35:11,042 あっ 忘れてた! ここに来て 待ってろと 言っておいたのだ。 355 00:35:11,042 --> 00:35:13,044 与志古! 356 00:35:17,782 --> 00:35:20,085 お久しぶりです。 357 00:35:22,721 --> 00:35:24,723 与志古か! 358 00:35:29,394 --> 00:35:34,532 汝を 覚えているのは… これぐらいの時だ。 359 00:35:34,532 --> 00:35:38,403 もっと 大きうございました。 そうか。 360 00:35:38,403 --> 00:35:42,874 ちょうど 鎌足殿が 常陸の国から 来た頃で。 361 00:35:42,874 --> 00:35:46,211 そうだ そうだ! もらわれっ子だと 言われて➡ 362 00:35:46,211 --> 00:35:48,146 近所の悪がきどもに いじめられていたのだ。 363 00:35:48,146 --> 00:35:52,717 どうせ そうだよ。 いつも 入鹿と 与志古に 助けてもらったのだ。 364 00:35:52,717 --> 00:35:54,753 そのかわり 鎌足は 常陸の国の➡ 365 00:35:54,753 --> 00:35:57,222 木のトンボの作り方を わし達に教えてくれた。 366 00:35:57,222 --> 00:36:01,726 そう そう! あれ とっても よく飛ぶの! 367 00:36:03,828 --> 00:36:08,166 噂で 美しうなったと 聞いていた。 368 00:36:08,166 --> 00:36:11,069 もう おばあさんです。 気が強すぎて➡ 369 00:36:11,069 --> 00:36:15,040 お嫁に もらってくれる人も いないし 困ったものです。 370 00:36:15,040 --> 00:36:18,176 早く どこかへ 片づいて もらいたいものだね。 371 00:36:18,176 --> 00:36:21,079 そばにいられると うるさくてしょうがないのだ。 372 00:36:21,079 --> 00:36:25,050 やれ 早く 家を継げだの そんなボロ着て 外に出るな。 373 00:36:25,050 --> 00:36:28,186 中臣家の畑は 草ぼうぼうで 管理が悪い。 374 00:36:28,186 --> 00:36:32,691 いつも わしは ボロクソなのだ。 だって 目につくんだもの! 375 00:36:35,060 --> 00:36:37,062 与志古。 376 00:36:39,798 --> 00:36:44,736 何ゆえ 今まで 独りでおられるのだ? 377 00:36:44,736 --> 00:36:47,439 何ゆえ 独りで…? 378 00:36:49,207 --> 00:36:55,880 やぶから棒ですね。 そうだ。 379 00:36:55,880 --> 00:37:04,155 なぜでしょう。 多分 縁の遠い お方ばかりだったのです。 380 00:37:04,155 --> 00:37:06,858 よいと思ったお方が。 381 00:37:15,500 --> 00:37:20,805 昔 汝から 文をもらった事がある。 382 00:37:23,174 --> 00:37:29,881 わしは まだ 幼うて。 今 思うと…。 383 00:37:32,517 --> 00:37:34,853 明日 もう一度 ここで会えぬか? 384 00:37:34,853 --> 00:37:38,523 今から 鎌足と 行くところがある。 急ぎの用じゃ。 385 00:37:38,523 --> 00:37:40,458 明日 夕方 ここへ 来てくれぬか? 386 00:37:40,458 --> 00:37:42,694 あっ…。 鎌足! 387 00:37:42,694 --> 00:37:45,530 明日 もう一度 ここにお連れしろ。 えっ? 388 00:37:45,530 --> 00:37:47,532 行くぞ! 389 00:37:50,201 --> 00:37:54,539 鎌足殿。 なんだ この花は? 390 00:37:54,539 --> 00:37:57,242 えっ? やめて やめて やめて! 離して。 391 00:38:11,022 --> 00:38:14,492 (毛人)わしが 宮に 火をつけた? 392 00:38:14,492 --> 00:38:21,166 (女の嬌声) 393 00:38:21,166 --> 00:38:27,839 さような噂を流すのは わしの失脚を願うとる輩だ。 394 00:38:27,839 --> 00:38:33,178 おおかた 倭国の石川臣麻呂あたりじゃ。➡ 395 00:38:33,178 --> 00:38:41,052 おい! 直。 石川臣麻呂を殺せ。 396 00:38:41,052 --> 00:38:44,522 もはや 我慢ならん。 麻呂は わしに代わって➡ 397 00:38:44,522 --> 00:38:51,396 蘇我の本宗家たらんと しておるのじゃ。 殺せ。 殺せ。 398 00:38:51,396 --> 00:38:55,700 父上! 先日 飛鳥寺では➡ 399 00:38:55,700 --> 00:38:58,603 われに 日向と 手を握るよう 仰せられましたぞ。 400 00:38:58,603 --> 00:39:03,441 「一族は 結束せねばならぬ」と! あの場ではの。 401 00:39:03,441 --> 00:39:08,146 皆の前では ああ言わねば 示しがつくまい。➡ 402 00:39:08,146 --> 00:39:11,182 本音と建て前を きちんと分けねばならぬ。 403 00:39:11,182 --> 00:39:17,822 それが 政の第一歩だと 父の馬子に 教わった。 404 00:39:17,822 --> 00:39:20,825 馬子は 偉大であったぞ。 405 00:39:24,696 --> 00:39:32,170 聖徳太子の名を使って思うがまま 倭国を牛耳った。 406 00:39:32,170 --> 00:39:37,041 だが 馬子が死ぬと 皆 この蘇我に 背を向け始めた。 407 00:39:37,041 --> 00:39:40,044 朝廷へ行っても 皆の顔に 書いてある。 408 00:39:42,513 --> 00:39:47,185 毛人は 父親ほどの器にあらず。 409 00:39:47,185 --> 00:39:50,521 (嬌声) 410 00:39:50,521 --> 00:39:55,827 わしが 宮に 火を放ったと? 411 00:40:00,865 --> 00:40:04,202 それが真なら どうした? 父上は すみやかに➡ 412 00:40:04,202 --> 00:40:07,705 大臣の位を辞し 政から 身を引かねば なりますまい。 413 00:40:07,705 --> 00:40:11,209 誰が 代わりをやる? 石川臣麻呂か 誰も ついてこんぞ。 414 00:40:11,209 --> 00:40:14,545 ならば この入鹿が やりまする! 415 00:40:14,545 --> 00:40:18,716 うん? 朝廷に 出仕せず➡ 416 00:40:18,716 --> 00:40:23,221 朝から 酒浸りになる。 そういう 大臣より ましやも しれませぬ。 417 00:40:23,221 --> 00:40:25,556 人がついてこねば 大臣は 務まらんぞ。 418 00:40:25,556 --> 00:40:32,230 汝に 誰が ついてくる? 誰が 従うんじゃ。それは…。 419 00:40:32,230 --> 00:40:37,535 汝がごときに 誰が従う!? 恐れがましゅうございますが。 420 00:40:41,239 --> 00:40:47,111 入鹿殿には 旻先生の学堂に 学ぶ者が 皆 従いましょう。 421 00:40:47,111 --> 00:40:50,248 入鹿殿は 学堂一の才子です! あの学堂は➡ 422 00:40:50,248 --> 00:40:54,118 倭国各地の才子の集まりなれば 入鹿殿こそは 倭国一の才子! 423 00:40:54,118 --> 00:40:59,257 その才子が立つなら 皆 従いまする! この鎌足も! 424 00:40:59,257 --> 00:41:06,064 汝は 名を 何と申した? 中臣鎌足でございます。 425 00:41:06,064 --> 00:41:08,766 あ~。 426 00:41:11,836 --> 00:41:20,578 中臣のせがれか。 常陸から来た 位低き 神官の子よの。 427 00:41:20,578 --> 00:41:28,419 父上! 鎌足は わが友。 わが友を 侮辱なさるのか! 428 00:41:28,419 --> 00:41:33,725 あいにくじゃが 宮に 火をつけたのは わしでは ない。 429 00:41:36,894 --> 00:41:39,564 (毛人)あいにくじゃのう。 430 00:41:39,564 --> 00:41:59,250 ♬~ 431 00:41:59,250 --> 00:42:02,687 そうか。➡ 432 00:42:02,687 --> 00:42:08,559 毛人は もはや 大王から 心が 離れておるか。 433 00:42:08,559 --> 00:42:11,028 (恵尺)もともと 毛人殿は➡ 434 00:42:11,028 --> 00:42:15,700 唐の国が お好きな大王とは 反りが合いませぬ。 435 00:42:15,700 --> 00:42:22,473 蘇我家と百済 高句麗のつきあいは 根深いものがございます。 436 00:42:22,473 --> 00:42:26,711 それゆえ 今 王が 決起なされば➡ 437 00:42:26,711 --> 00:42:30,381 毛人は 王に お味方するかと。 438 00:42:30,381 --> 00:42:35,186 (田目連)王が 決起なされるとは いかなる意味じゃ? 439 00:42:58,743 --> 00:43:00,678 もう! 440 00:43:00,678 --> 00:43:02,613 遅いんだから。 441 00:43:02,613 --> 00:43:04,549 入鹿殿を お待たせしては 失礼になりましょう。 442 00:43:04,549 --> 00:43:07,185 気になるなら 先に行けばいいのだ。 443 00:43:07,185 --> 00:43:10,088 だって 一緒に来るようにと…。 あいつは てれているのだ。 444 00:43:10,088 --> 00:43:13,090 本当は わしなんて いなくていいのだ。 445 00:43:16,360 --> 00:43:22,166 今 中臣の一族と 話をつけてきた。 446 00:43:22,166 --> 00:43:25,069 えっ? 447 00:43:25,069 --> 00:43:28,873 叔父上の子が 中臣を継ぐ事になった。 448 00:43:28,873 --> 00:43:30,875 わしは 家を出る。 449 00:43:35,746 --> 00:43:41,452 父も母も 納得した。 わしが 神官に向かんという事を。 450 00:43:43,888 --> 00:43:48,192 今日まで 育てて下された ご恩ある 父上や 母上を…。 451 00:43:49,760 --> 00:43:52,463 わしは 裏切ったのだ。 452 00:44:05,176 --> 00:44:08,079 しばらくは 中臣の田畑のある➡ 453 00:44:08,079 --> 00:44:11,516 摂津三島で暮らすように 命じられた。 454 00:44:11,516 --> 00:44:14,418 三島? 455 00:44:14,418 --> 00:44:18,122 もう ここへは 置いておけぬという訳だ。 456 00:44:22,860 --> 00:44:28,166 当然だ…。 そんな遠くへ…。 457 00:44:49,086 --> 00:44:54,725 いつだ。 明日 たつ。 458 00:44:54,725 --> 00:45:02,233 向こうで 何をする? 畑を耕し 学問を続ける。 459 00:45:04,168 --> 00:45:06,871 向こうでも 学問はできる。 460 00:45:11,509 --> 00:45:15,213 鎌足には かえって 向いてるかもしれんな。 461 00:45:16,847 --> 00:45:19,150 だが わしには 痛い。 462 00:45:21,519 --> 00:45:26,524 今朝 宝皇女に呼ばれて 宮廷へ行った。 463 00:45:28,192 --> 00:45:34,498 うん 飛鳥寺で 汝も見たであろう。 大王の后だ。 464 00:45:36,867 --> 00:45:42,206 ここだけの話だがな。 父に代わって➡ 465 00:45:42,206 --> 00:45:46,077 わしに 朝廷の実務を 握ってもらいたいと言われた。 466 00:45:46,077 --> 00:45:52,550 今 すぐにとは言えぬが それが 后の望みだと。 467 00:45:52,550 --> 00:45:55,886 后は 昔 わしの母方の実家へ➡ 468 00:45:55,886 --> 00:45:58,723 よく 薬草を 採りにこられた事がある。 469 00:45:58,723 --> 00:46:04,228 まだ 后になられる前で。 随分 かわいがられた。 470 00:46:05,830 --> 00:46:08,332 それもあって…。 471 00:46:10,501 --> 00:46:18,175 もし 后の言われるとおり わしが 朝廷に立つべき折には…➡ 472 00:46:18,175 --> 00:46:23,481 汝の助けが欲しい。 そう 思うたのだ。 473 00:46:26,851 --> 00:46:33,190 その折には 呼んでくれ。 三島から 飛んで帰ってくる。 474 00:46:33,190 --> 00:46:36,861 本当か? うん。 475 00:46:36,861 --> 00:46:42,566 約束するか? うん。 約束する! 476 00:46:45,202 --> 00:46:49,540 よし! ならば 安心だ。 心おきなく 三島へ行け! 477 00:46:49,540 --> 00:46:52,243 なんだ それは! 478 00:47:02,486 --> 00:47:05,823 昔 お二人に 作って頂いた 木トンボです。 479 00:47:05,823 --> 00:47:09,160 昨日 物置から 引っ張り出したのです。 480 00:47:09,160 --> 00:47:12,663 まだ ちゃんと 飛びますよ。 481 00:47:12,663 --> 00:47:14,665 ほら! 482 00:47:22,173 --> 00:47:25,509 飛んだ! 飛んだ 飛んだ。 483 00:47:25,509 --> 00:47:30,381 あっ! おい 大丈夫か! 484 00:47:30,381 --> 00:47:32,683 取ったぞ~! 485 00:47:39,056 --> 00:47:43,360 あ~。 あやつは 変わらんな。 うん。 486 00:47:43,360 --> 00:47:45,563 ⚟お~い! 487 00:47:51,869 --> 00:47:54,872 きれいだこと。 488 00:48:01,479 --> 00:48:03,481 与志古。 489 00:48:05,149 --> 00:48:08,152 わしの嫁になる気は ないか? 490 00:48:12,490 --> 00:48:18,829 昨日 汝に会うて ふいに そう思うたのだ。 491 00:48:18,829 --> 00:48:24,535 汝になら 心おきのう 自分の気持ちが 話せると。 492 00:48:27,171 --> 00:48:30,474 そういう姫達に 今まで 会わなかった。 493 00:48:32,042 --> 00:48:35,679 もっと早うに 再会しておけば よかった。 494 00:48:35,679 --> 00:48:38,682 うん。 後悔した。 495 00:48:41,485 --> 00:48:47,491 汝は 昔 わしを好きだと 文に書いてくれた。 496 00:48:49,527 --> 00:48:52,229 子供心に うれしかった。 497 00:48:56,400 --> 00:49:01,705 あのころに 戻れぬか? 498 00:49:03,474 --> 00:49:10,347 いや 今すぐにとは 言わぬ。 明日でも あさってでも…。 499 00:49:10,347 --> 00:49:12,650 もっと先でも…。 500 00:49:15,820 --> 00:49:18,656 そらっ! 501 00:49:18,656 --> 00:49:22,159 鎌足が去ると 寂しうなる。 502 00:49:22,159 --> 00:49:25,463 せめて汝が そばに いてくれたら。 私は…。 503 00:49:31,502 --> 00:49:37,508 私は… 三島へ参りまする。 504 00:49:41,178 --> 00:49:43,881 申し訳ございません。 505 00:49:52,790 --> 00:49:55,092 こいつは よく飛ぶぞ! 506 00:49:56,727 --> 00:49:59,730 どうした 2人とも? 507 00:50:02,199 --> 00:50:09,506 鎌足。 汝は 気づかなかったのか? 何を? 508 00:50:13,811 --> 00:50:17,214 どうした? 何でも ありませぬ。 509 00:50:17,214 --> 00:50:22,519 ただ… 与志古も 三島へ行ってみようかなと。 510 00:50:26,223 --> 00:50:29,927 与志古も 三島に行きたい! おっ! 511 00:50:32,897 --> 00:50:35,566 与志古も…。 512 00:50:35,566 --> 00:50:55,753 ♬~ 513 00:51:09,566 --> 00:51:23,881 ♬~ 514 00:51:23,881 --> 00:51:26,383 (女の子)あ~ん。 515 00:51:26,383 --> 00:51:29,420 あ~ん。 516 00:51:29,420 --> 00:51:43,233 ♬~ 517 00:51:43,233 --> 00:51:49,907 <この年 倭国は 雨が少なかった。➡ 518 00:51:49,907 --> 00:51:53,777 未曽有の大干ばつであった> 519 00:51:53,777 --> 00:52:50,567 ♬~ 520 00:52:50,567 --> 00:52:54,438 <大干ばつ そして 大飢きんは➡ 521 00:52:54,438 --> 00:53:00,744 6年後の西暦642年に 倭国を襲った> 522 00:53:09,853 --> 00:53:17,194 <蘇我毛人は 朝廷を代表して 雨ごいの大式典を 執り行った。➡ 523 00:53:17,194 --> 00:53:21,698 当時の権力者は 己の神通力で 雨を降らせ➡ 524 00:53:21,698 --> 00:53:25,369 支配者としての力を 示す必要があった。➡ 525 00:53:25,369 --> 00:53:31,175 その成否が 権力の保持に 大きな影響を 与えた> 526 00:53:32,876 --> 00:53:35,579 (毛人)よ~っ! 527 00:53:43,220 --> 00:53:47,925 <毛人は 雨ごいに失敗した> 528 00:53:51,095 --> 00:53:57,568 <数日後 宝皇女が雨ごいを行った。➡ 529 00:53:57,568 --> 00:54:03,340 宝皇女は 前年に 夫である 舒明帝が崩御し➡ 530 00:54:03,340 --> 00:54:07,177 急きょ 大王の座を継いでいた。➡ 531 00:54:07,177 --> 00:54:11,181 大王の力を 試される場であった> 532 00:54:26,563 --> 00:54:30,567 (遠雷) 533 00:54:38,142 --> 00:54:42,079 <宝皇女は 成功した。➡ 534 00:54:42,079 --> 00:54:48,785 降り始めた雨は 5日間 やむ事がなく 大地を潤した> 535 00:54:48,785 --> 00:55:06,170 ♬~ 536 00:55:06,170 --> 00:55:09,072 <大王の座を固めた皇女は➡ 537 00:55:09,072 --> 00:55:14,678 新宮殿 板蓋宮や 巨大な寺院の建設に着手し➡ 538 00:55:14,678 --> 00:55:20,184 諸国に 木材や 労働人員の徴発を 命じた。➡ 539 00:55:20,184 --> 00:55:25,055 こうした命令は 毛人に 何の相談もなく 出された。➡ 540 00:55:25,055 --> 00:55:28,525 政治の実権を握る 毛人にとって➡ 541 00:55:28,525 --> 00:55:32,529 屈辱的な出来事が 続いたのである> 542 00:55:38,702 --> 00:55:43,507 ⚟(宝)入鹿。 この鳥を見よ。 543 00:55:51,415 --> 00:55:59,089 (宝)こは 高句麗の王家で 大事にされていた珍しい鳥ぞ。➡ 544 00:55:59,089 --> 00:56:04,161 昨日 高句麗より届けられた。➡ 545 00:56:04,161 --> 00:56:11,501 何ゆえ 大事な鳥が 倭国へ来たか お分かりか? 546 00:56:11,501 --> 00:56:14,338 いえ。 547 00:56:14,338 --> 00:56:19,509 この鳥の飼い主が消えたからじゃ。 548 00:56:19,509 --> 00:56:25,315 高句麗の王家は 大臣 泉蓋蘇文によって➡ 549 00:56:25,315 --> 00:56:29,853 皆殺しにされ滅ぼされたのじゃ。➡ 550 00:56:29,853 --> 00:56:37,194 そして 大臣 蘇文は 朝廷を乗っ取ったという。 551 00:56:37,194 --> 00:56:44,067 倭国は 大丈夫であろうか。 われは 怖いのじゃ。 552 00:56:44,067 --> 00:56:49,773 汝の父 毛人が 怖いのじゃ。 553 00:56:51,541 --> 00:56:57,547 毛人は 泉蓋蘇文のように われを 殺すつもりではないか? 554 00:56:59,216 --> 00:57:07,824 まさか…。では 何ゆえ 館に あのように 兵を集めておる? 555 00:57:07,824 --> 00:57:11,828 謀反の準備では ないのか? 556 00:57:15,332 --> 00:57:19,670 断じて そのような。 ⚟(軽)われらは 大臣が➡ 557 00:57:19,670 --> 00:57:27,544 近頃 斑鳩辺りで 狩りを装い 山背大兄と 密会しているのを➡ 558 00:57:27,544 --> 00:57:34,184 重大なる裏切りと とらえておる。 559 00:57:34,184 --> 00:57:40,057 山背は かねてより 大王の御位を 欲し 先帝が 崩御した折も➡ 560 00:57:40,057 --> 00:57:46,697 姉君が 皆に推されて 御位に つくのを 一人 異を唱えし者。 561 00:57:46,697 --> 00:57:51,501 斑鳩に近づくのさえ はばかられるものを。 562 00:57:55,706 --> 00:58:03,146 皇子は わが父が 山背大兄に くみしておると? 563 00:58:03,146 --> 00:58:07,651 そう考えれば 兵を集める理由も ふに落ちよう。 564 00:58:07,651 --> 00:58:13,457 毛人は 一度は この宝を推してくれた者。 565 00:58:13,457 --> 00:58:22,165 そのようには 思いたくないが あまりに 不吉な兆しが多い。 566 00:58:22,165 --> 00:58:25,469 それゆえ 汝を呼んだのじゃ。 567 00:58:33,777 --> 00:58:43,854 (宝)入鹿。 われを大王と思うな。 昔 ともに 薬草を摘んで➡ 568 00:58:43,854 --> 00:58:48,525 野原を 渡り歩いた 姉と 思うのじゃ。 569 00:58:48,525 --> 00:58:51,828 その姉を 助けておくれ。 570 00:58:58,535 --> 00:59:04,808 (宝)今こそ 汝の力を試す時ぞ。 571 00:59:04,808 --> 00:59:10,514 父 毛人に代わって 倭国を支えよ。 572 00:59:12,149 --> 00:59:15,852 ともに 謀反の芽を摘むのじゃ。 573 01:00:09,206 --> 01:00:18,915 父上。 このような山中で 山背大兄と 何の相談です? 574 01:00:20,817 --> 01:00:24,521 大王への謀反の相談か? 575 01:00:27,557 --> 01:00:34,231 山背大兄を外し 宝皇女に 倭国を お任せいたすべし。 576 01:00:34,231 --> 01:00:38,235 そう言いだしたのは 父君ではありませぬか。 577 01:00:41,571 --> 01:00:45,876 今頃になって 見苦しいかぎりじゃ。 578 01:00:49,246 --> 01:00:53,950 謀反は この入鹿が許しませんぞ。 579 01:00:56,920 --> 01:01:03,627 今のままでは わしの権威は 地に落ちる。 580 01:01:05,195 --> 01:01:09,866 山背大兄は もともと 蘇我の血が 流れておる。 581 01:01:09,866 --> 01:01:12,369 この際 大兄を立てて。 同意しかねる! 582 01:01:12,369 --> 01:01:14,871 汝の同意など いらぬわ! 583 01:01:18,708 --> 01:01:22,913 動けば… 刺しまする。 584 01:01:29,219 --> 01:01:33,223 (毛人)直。 入鹿を捕らえよ! 585 01:01:34,891 --> 01:01:37,594 こは 大臣の命ぞ! 586 01:01:42,566 --> 01:01:44,568 なっ! 587 01:01:49,906 --> 01:01:56,246 父上。 本日をもって 蘇我一族は➡ 588 01:01:56,246 --> 01:01:59,950 この入鹿が お引き受けいたしまする! 589 01:02:02,519 --> 01:02:07,190 やれるもんなら やってみろ! わしを止めても➡ 590 01:02:07,190 --> 01:02:13,196 山背大兄は 動くぞ! ならば 大兄を 討ち果たすまで。 591 01:02:14,864 --> 01:02:17,701 や~っ! 592 01:02:17,701 --> 01:02:20,036 ⚟鎌足殿! 鎌足殿! 593 01:02:20,036 --> 01:02:22,072 蘇我入鹿殿の使いの方が➡ 594 01:02:22,072 --> 01:02:25,775 すぐに 一緒に 飛鳥に お戻りになるようにと。 595 01:02:29,212 --> 01:02:34,084 (男)あるじ 蘇我入鹿は 近々 山背大兄王と 戦を行います。 596 01:02:34,084 --> 01:02:37,887 ついては 相談したき事があるゆえ 直ちに お会いしたいと。 597 01:02:37,887 --> 01:02:40,590 山背大兄と 戦を? 598 01:03:10,186 --> 01:03:12,889 鎌足! 599 01:03:15,859 --> 01:03:17,861 かまうな! 600 01:03:20,730 --> 01:03:24,567 変わりないか?ああ。 与志古殿は?年中 畑だ。 601 01:03:24,567 --> 01:03:28,571 元気が取り柄で やっている。 はは それは いい。 602 01:03:28,571 --> 01:03:33,410 大変らしいな。 いろいろ あってな。 603 01:03:33,410 --> 01:03:35,412 知らせたとおりだ。 604 01:03:37,147 --> 01:03:41,151 大兄を討って 父を 大臣から降ろす。 605 01:03:45,221 --> 01:03:50,727 一緒に 朝廷へ入って 政を取りしきってもらえないか。 606 01:03:50,727 --> 01:03:52,929 それは いいが…。 607 01:03:55,231 --> 01:04:01,004 大兄を討つのは 反対だ。 今は 戦をしている場合ではない。 608 01:04:01,004 --> 01:04:04,040 三島にいると よく分かる。 今年は やはり 干ばつだ。 609 01:04:04,040 --> 01:04:08,745 それも ひどい。 おそらく 大飢きんになる。 民は 飢える。 610 01:04:08,745 --> 01:04:12,549 こんな時に 戦など すべきではない。 611 01:04:21,391 --> 01:04:25,862 飢きんは 1年で終わる。 来年 雨が降れば それで よいのだ。 612 01:04:25,862 --> 01:04:28,765 しかし 国が乱れれば 末代まで たたる。 613 01:04:28,765 --> 01:04:32,035 山背大兄が いるかぎり 大兄を担いで➡ 614 01:04:32,035 --> 01:04:33,970 朝廷を乗っ取ろうとする者は 後を絶たぬ。 615 01:04:33,970 --> 01:04:35,905 いつまでもたっても 国が まとまらぬ! 616 01:04:35,905 --> 01:04:38,208 汝は 飢えて死ぬ者を 見た事があるのか? 617 01:04:38,208 --> 01:04:40,877 百姓の民にとっては この1年が大事なのだ! 618 01:04:40,877 --> 01:04:43,546 大兄を放置せよと 言うのか? 話し合うのだ! 619 01:04:43,546 --> 01:04:45,482 大兄とて 戦を好まれるはずがない! 620 01:04:45,482 --> 01:04:50,887 甘い! 大兄が どれだけ野心家か 汝は 分かっていない! 621 01:04:50,887 --> 01:04:54,758 この戦には 正義が見当たらぬ。 622 01:04:54,758 --> 01:04:59,562 正義を慕う心は 美しい。 聖徳太子は そう申された。 623 01:04:59,562 --> 01:05:01,998 われらは 美しい政を行いたい! 624 01:05:01,998 --> 01:05:04,501 そのために 学んできたのではないのか!? 625 01:05:07,804 --> 01:05:15,512 入鹿! わしは 汝との 友情をかけて 申しておる! 626 01:05:24,187 --> 01:05:27,490 美しきものは 正義。 627 01:05:29,058 --> 01:05:32,061 されど われら凡俗には 難しい。 628 01:05:34,197 --> 01:05:37,534 山背大兄は そう申された。 629 01:05:37,534 --> 01:05:48,545 ♬~ 630 01:05:48,545 --> 01:05:51,881 まことに そのとおりだ。 631 01:05:51,881 --> 01:06:04,828 ♬~ 632 01:06:04,828 --> 01:06:13,837 大兄が 戦支度 解くなら 明日の攻撃 延期してもよい。 633 01:06:13,837 --> 01:06:18,508 話し合いを してくれるのか? 634 01:06:18,508 --> 01:06:23,213 向こうしだいだ。 まことか!? 635 01:06:24,848 --> 01:06:32,722 大兄が 戦わぬのなら…。 それが 分かれば。 636 01:06:32,722 --> 01:06:40,196 よし! わしが斑鳩へ行く。 その事を 直接 大兄に。 637 01:06:40,196 --> 01:06:43,700 すぐに参ろうぞ。 約束だぞ! 638 01:06:43,700 --> 01:06:46,202 構えて 兵は出すな! 戦は なしだ! 639 01:06:46,202 --> 01:06:49,906 これは 蘇我入鹿と 中臣鎌足との…。 640 01:06:54,077 --> 01:06:56,846 約束だ。 641 01:06:56,846 --> 01:07:16,833 ♬~ 642 01:07:16,833 --> 01:07:21,704 (巨瀬)よいか! 西は 竜田川を押さえる。 643 01:07:21,704 --> 01:07:24,707 万が一 生駒へ逃げられた場合! 644 01:07:24,707 --> 01:07:27,176 (土師)その場合は 平群で 押さえれば! 645 01:07:27,176 --> 01:07:30,847 (巨瀬)大和川をはさんで…。 646 01:07:30,847 --> 01:07:36,552 今こそ 汝の力を試す時ぞ。 647 01:07:41,491 --> 01:07:46,496 入鹿! わしは 汝との 友情をかけて 申しておる! 648 01:07:50,867 --> 01:07:55,872 謀反の芽を ともに摘むのじゃ。 649 01:08:14,824 --> 01:08:17,527 入鹿が…。 650 01:08:19,162 --> 01:08:23,499 まことに そう申したのか? はっ! 651 01:08:23,499 --> 01:08:28,171 (山背)田目連。 いましは いかが思う? 652 01:08:28,171 --> 01:08:32,342 (田目)中臣鎌足殿は 旻殿の学堂で➡ 653 01:08:32,342 --> 01:08:36,012 入鹿殿と 一 二を争うた学生なれば➡ 654 01:08:36,012 --> 01:08:42,785 そう やすやすと 入鹿殿の使いを お引き受けには なりますまい。 655 01:08:42,785 --> 01:08:47,724 (山背)信じるに足る 使者と見て よいか? 656 01:08:47,724 --> 01:08:50,727 御心のままに。 657 01:08:58,201 --> 01:09:03,172 (山背)毛人が頼りにならぬ 今となっては 乳部の兵を➡ 658 01:09:03,172 --> 01:09:08,678 頼む他ない。 だが まだ届かぬ。 659 01:09:10,480 --> 01:09:16,786 (山背)今 戦となれば あまたの 民も 巻き込むであろう。 660 01:09:25,828 --> 01:09:31,167 後の世に 大兄の戦のために➡ 661 01:09:31,167 --> 01:09:35,872 父や母を死なせたと 悲しませたくない。 662 01:09:37,840 --> 01:09:42,845 (山背)田目連。 いったん 弓矢を 打ち捨てようぞ。 663 01:09:45,715 --> 01:09:51,187 館の守りを 解くがよい。 (田目)ははっ! 664 01:09:51,187 --> 01:09:53,189 はっ! 665 01:09:56,526 --> 01:10:01,397 (田目)支度を解け。 (一同)はっ! 666 01:10:01,397 --> 01:10:07,403 (田目)夜道 気をつけられよ。 では。 667 01:10:12,075 --> 01:10:14,577 どう。 668 01:10:26,889 --> 01:11:18,875 ♬~ 669 01:11:18,875 --> 01:11:24,213 入鹿…。 入鹿! 670 01:11:24,213 --> 01:11:38,227 ♬~ 671 01:11:38,227 --> 01:11:43,566 (巨瀬)中臣鎌足! どけ~! 672 01:11:43,566 --> 01:11:57,113 ♬~ 673 01:11:57,113 --> 01:12:00,850 敵は 宮中にあり! 674 01:12:00,850 --> 01:12:04,187 やめろ! 戦は せぬと 申したはず! やめろ~! 675 01:12:04,187 --> 01:12:06,122 (兵)どけ! 676 01:12:06,122 --> 01:12:40,890 ♬~ 677 01:12:40,890 --> 01:12:43,793 やめろ~! 678 01:12:43,793 --> 01:12:55,238 ♬~ 679 01:12:55,238 --> 01:12:58,941 やめろ~! 680 01:13:06,849 --> 01:13:12,655 <西暦643年11月 斑鳩宮は➡ 681 01:13:12,655 --> 01:13:17,560 蘇我入鹿の命を受けた軍勢により 不意の襲撃を受けた。➡ 682 01:13:17,560 --> 01:13:21,197 山背大兄は 数日後➡ 683 01:13:21,197 --> 01:13:28,070 一族とともに 斑鳩宮で 短い生涯を 閉じるのである> 684 01:13:28,070 --> 01:13:39,215 ♬~ 685 01:13:39,215 --> 01:13:44,520 ♬~ 686 01:13:46,155 --> 01:14:40,843 ♬~