1 00:01:33,027 --> 00:01:38,032 (捕り方たち)御用だ! 御用だ 御用だ 御用だ 御用だ➡ 2 00:01:38,032 --> 00:01:40,034 うわ~! (捕り方)御用だ! 3 00:01:40,034 --> 00:01:43,034 (捕り方たち)御用だ 御用だ 御用だ 御用だ 御用だ 御用だ 4 00:01:53,047 --> 00:02:13,067 ♬~ 5 00:02:13,067 --> 00:02:33,021 ♬~ 6 00:02:33,021 --> 00:02:50,021 ♬~ 7 00:02:54,042 --> 00:02:58,046 <将軍 吉宗公が 幕府隠密の黒幕 偶楽老人と練り上げた➡ 8 00:02:58,046 --> 00:03:01,049 日光御造営に絡まる 大名いじめの 金縛り戦法> 9 00:03:01,049 --> 00:03:04,052 <柳生家の家宝 こけ猿の茶壺が➡ 10 00:03:04,052 --> 00:03:06,054 丹下左膳の手に 転がり込んだことから➡ 11 00:03:06,054 --> 00:03:09,057 太平の世の江戸に 時ならぬ嵐が巻き起こった> 12 00:03:09,057 --> 00:03:13,061 <そして今 偽と本物の 2つの壺は分かれた> 13 00:03:13,061 --> 00:03:15,063 <1つは 再び左膳の手に> 14 00:03:15,063 --> 00:03:19,063 <残る1つは 源三郎の手によって 司馬道場へと向かう> 15 00:03:31,079 --> 00:03:37,018 (久美)まあ 今朝は一段と お美しゅうございますよ 16 00:03:37,018 --> 00:03:41,022 (萩乃)変な気持ちね (久美)えっ? 17 00:03:41,022 --> 00:03:44,025 あれほど冷たかった お蓮様が➡ 18 00:03:44,025 --> 00:03:49,030 ゆうべから 手のひらを 返したように 優しくなったり➡ 19 00:03:49,030 --> 00:03:53,034 私との婚儀は知らぬと➡ 20 00:03:53,034 --> 00:03:56,037 源三郎様のお使者を 玄関払いにした 峰 丹波が➡ 21 00:03:56,037 --> 00:03:59,040 どうして急に… 22 00:03:59,040 --> 00:04:02,043 それは あの方たちに 含みがあってのこと 23 00:04:02,043 --> 00:04:04,045 でも 源三郎様がいらっしゃれば➡ 24 00:04:04,045 --> 00:04:08,049 お嬢様のお味方に 間違いはないのでございますから 25 00:04:08,049 --> 00:04:11,052 会ったこともないお方を… 26 00:04:11,052 --> 00:04:15,056 心の通わないお方を お迎えするのに➡ 27 00:04:15,056 --> 00:04:19,060 女子はどうして お化粧をするのかしら 28 00:04:19,060 --> 00:04:22,063 それは どなたでも 29 00:04:22,063 --> 00:04:26,067 久美も 萩乃のような立場で➡ 30 00:04:26,067 --> 00:04:29,070 こうして装いを新たにすると 思いますか? 31 00:04:29,070 --> 00:04:31,072 はい 多分 32 00:04:31,072 --> 00:04:36,072 女は誰かに頼っていなければ 生きがたいものではないでしょうか 33 00:04:40,014 --> 00:04:43,017 (久美)あっ 御後室様 34 00:04:43,017 --> 00:04:46,020 (お蓮)もう程なく 源三郎様がおみえですよ 35 00:04:46,020 --> 00:04:49,023 そんな さみしそうな顔をしないで➡ 36 00:04:49,023 --> 00:04:52,026 もうちょっと濃いめに 紅を 引いたらいいのじゃないのかい? 37 00:04:52,026 --> 00:04:54,026 はい 38 00:04:56,030 --> 00:04:59,033 今日は 空も秋晴れ 39 00:04:59,033 --> 00:05:03,037 この道場にとって この上もないおめでたい日です 40 00:05:03,037 --> 00:05:07,041 私も たとえ義理の母とは申せ➡ 41 00:05:07,041 --> 00:05:12,046 これで亡き先生に代わっての お役目を果たせると思うと… 42 00:05:12,046 --> 00:05:15,046 胸がいっぱいになりますよ 43 00:05:17,051 --> 00:05:20,051 ありがたいと思っております 44 00:05:22,056 --> 00:05:24,058 御後室様 45 00:05:24,058 --> 00:05:27,061 ただいま 柳生源三郎様が お着きにござります 46 00:05:27,061 --> 00:05:31,999 さあ 萩乃さん 私と一緒に御挨拶を 47 00:05:31,999 --> 00:05:33,999 はい 48 00:05:45,012 --> 00:05:50,017 (源三郎)義父 司馬先生の み霊に物申す➡ 49 00:05:50,017 --> 00:05:53,020 生前 お目にかかる 機会のなかったことを➡ 50 00:05:53,020 --> 00:05:58,025 伊賀の柳生源三郎 深く 遺憾に存じます 51 00:05:58,025 --> 00:06:01,028 (源三郎) しかも 先生におかせられては➡ 52 00:06:01,028 --> 00:06:07,034 既に 幽明界を異にし 誠に無念の極み 53 00:06:07,034 --> 00:06:11,038 されど 婿 源三郎➡ 54 00:06:11,038 --> 00:06:15,042 萩乃殿と 当道場を 申し受けたるうえは➡ 55 00:06:15,042 --> 00:06:20,047 長く 十方不知火の流儀を 後世に伝えんことを➡ 56 00:06:20,047 --> 00:06:23,047 ここに謹みてお誓いいたします 57 00:06:32,994 --> 00:06:38,994 峰氏 母上と萩乃殿を 御紹介くだされ 58 00:06:41,002 --> 00:06:43,004 (丹波)承知つかまつった 59 00:06:43,004 --> 00:06:46,004 こちらが 御後室 お蓮様 60 00:06:50,011 --> 00:06:53,011 それから こちらが萩乃様 61 00:07:01,022 --> 00:07:04,025 柳生源三郎です 62 00:07:04,025 --> 00:07:08,025 万端 よろしくお引き回しのほどを 63 00:07:12,033 --> 00:07:14,035 (お蓮)こちらこそ 64 00:07:14,035 --> 00:07:18,039 (源三郎) では お約束の引き出物➡ 65 00:07:18,039 --> 00:07:24,039 柳生家代々の家宝 こけ猿の壺を御受納くだされ 66 00:07:32,987 --> 00:07:35,990 確かに お預かりいたします 67 00:07:35,990 --> 00:07:40,995 では萩乃さん 源三郎様と ゆっくりお話をなさい 68 00:07:40,995 --> 00:07:43,998 (萩乃)はい 69 00:07:43,998 --> 00:07:48,002 玄心斉殿 皆様のお部屋は あちらに取ってございます 70 00:07:48,002 --> 00:07:50,002 すぐに御案内させますから 71 00:07:54,008 --> 00:07:56,010 (女性)お呼びでございますか? 72 00:07:56,010 --> 00:07:58,012 御一統を御案内しなさい 73 00:07:58,012 --> 00:08:02,016 (女性)かしこまりました どうぞ こちらでございます 74 00:08:02,016 --> 00:08:06,016 (玄心斉)若 いずれ 参ろう (大八)はっ 75 00:08:09,023 --> 00:08:11,023 では ごゆるりと 76 00:08:29,043 --> 00:08:32,980 萩乃殿 顔を上げられい 77 00:08:32,980 --> 00:08:34,980 はい 78 00:08:37,985 --> 00:08:39,985 あっ 79 00:08:42,990 --> 00:08:45,993 どうなされた 80 00:08:45,993 --> 00:08:50,993 いえ あの ただ… ちょっと… 81 00:08:58,005 --> 00:09:01,008 まさか… (源三郎)そうです 82 00:09:01,008 --> 00:09:03,010 前に一度 あなたに たばこの火を借りようとして➡ 83 00:09:03,010 --> 00:09:05,010 叱られたことがあった 84 00:09:08,015 --> 00:09:11,018 では やっぱり あのときの… 85 00:09:11,018 --> 00:09:14,021 峰 丹波も気が付いているはず 86 00:09:14,021 --> 00:09:17,021 それをとぼけているところに あの男の味があるのでしょう 87 00:09:19,026 --> 00:09:23,030 (丹波)ハハハ… 88 00:09:23,030 --> 00:09:27,034 源三郎め まんまと我らを 欺いたつもりだろうが➡ 89 00:09:27,034 --> 00:09:31,038 かの 門之亟を抱き込んだのが 我らの得策でした 90 00:09:31,038 --> 00:09:33,974 まあ では この壺は偽こけ猿 91 00:09:33,974 --> 00:09:36,977 それを承知で迎え入れたとは➡ 92 00:09:36,977 --> 00:09:39,980 さすがの源三郎も 気が付きますまい 93 00:09:39,980 --> 00:09:41,982 で 誠のこけ猿は? 94 00:09:41,982 --> 00:09:43,984 伝八が追っています 95 00:09:43,984 --> 00:09:46,987 時間をかけ 機略をもってすれば➡ 96 00:09:46,987 --> 00:09:51,992 黄金の壺 こけ猿は 必ずや我らの手に 97 00:09:51,992 --> 00:09:56,992 本物と偽物と 一体 どこが違うんだろうね 98 00:09:58,999 --> 00:10:04,004 立派な壺ですな 朝鮮渡りと聞いていますが➡ 99 00:10:04,004 --> 00:10:08,008 色も艶も こりゃ大したものです 100 00:10:08,008 --> 00:10:11,011 でも 偽物は偽物 101 00:10:11,011 --> 00:10:15,015 いや 確かに えてして偽物というものは➡ 102 00:10:15,015 --> 00:10:20,020 刀剣 書画 焼き物 全てが立派に出来てるものです 103 00:10:20,020 --> 00:10:25,025 しかし 薫りがやはり… 何と申しますか➡ 104 00:10:25,025 --> 00:10:28,028 偽にはやはり 品格というものがない 105 00:10:28,028 --> 00:10:31,966 <冗談ではない これは 本物のこけ猿の壺> 106 00:10:31,966 --> 00:10:33,968 <ただし それを知っているのは➡ 107 00:10:33,968 --> 00:10:38,973 源三郎の家来 大林門之亟 ただ一人> 108 00:10:38,973 --> 00:10:41,973 ≪(門之亟) 入ってよろしゅうございますか? 109 00:10:49,984 --> 00:10:51,986 (門之亟)万事計画どおり 110 00:10:51,986 --> 00:10:53,988 (丹波)そうか 気付かれぬように頼むぞ 111 00:10:53,988 --> 00:10:59,994 分かっております そのかわり萩乃殿のことは… 112 00:10:59,994 --> 00:11:03,998 アハハハ… それは私の胸一つ 113 00:11:03,998 --> 00:11:08,002 本物のこけ猿の茶壺が 手に入ったら➡ 114 00:11:08,002 --> 00:11:12,002 そなたに 必ず萩乃を進ぜよう 115 00:11:14,008 --> 00:11:17,011 ただし 壺の中の秘図を 入手したうえであることは➡ 116 00:11:17,011 --> 00:11:20,014 しかと腹中に 畳み込んでおいてもらいたい 117 00:11:20,014 --> 00:11:22,014 承知しております 118 00:11:30,024 --> 00:11:35,024 それにしても この偽こけ猿 よく出来すぎておるのう 119 00:11:37,031 --> 00:11:41,035 さればこそ 源三郎若君も➡ 120 00:11:41,035 --> 00:11:44,038 これならば御後室様を欺けると 121 00:11:44,038 --> 00:11:46,040 オホホホ… 122 00:11:46,040 --> 00:11:50,044 大名の若君などというものは 世間知らず 123 00:11:50,044 --> 00:11:55,049 こちらも 当分 信じ切った顔を しておりましょう 124 00:11:55,049 --> 00:11:58,052 ≪(玄心斉)どこ行ったのかな ≪(源三郎)門之亟のことだ➡ 125 00:11:58,052 --> 00:12:00,052 女の部屋でも のぞきに行ったのであろう 126 00:12:05,059 --> 00:12:07,059 くれぐれも 気をつけるように (門之亟)はっ 127 00:12:14,068 --> 00:12:16,068 うん 128 00:12:19,073 --> 00:12:23,077 いずれ あの男は 欲のために死んでいくことでしょう 129 00:12:23,077 --> 00:12:29,083 フフフ… それは 私たちのことかもしれないよ 130 00:12:29,083 --> 00:12:33,020 いや 全く 131 00:12:33,020 --> 00:12:36,023 ハハハ… 132 00:12:36,023 --> 00:12:39,026 人の命は常ならぬもの 133 00:12:39,026 --> 00:12:45,032 いつ散るか どうせ短い命ならば この丹波➡ 134 00:12:45,032 --> 00:12:51,032 数百万両の黄金に 生まれたかいを懸けてみたい 135 00:12:54,041 --> 00:12:57,044 そなたも変わってきたね 136 00:12:57,044 --> 00:13:00,047 ハハハ… 137 00:13:00,047 --> 00:13:04,047 ただし お蓮殿への恋は別物です 138 00:13:09,056 --> 00:13:14,061 じい 俺はな 生娘ってのは苦手なんだ 139 00:13:14,061 --> 00:13:16,063 半時も一緒にいてよ➡ 140 00:13:16,063 --> 00:13:19,066 あの娘は ただ もじもじしていただけだ 141 00:13:19,066 --> 00:13:21,068 これじゃ肩が張って しょうがねえや 142 00:13:21,068 --> 00:13:23,070 (玄心斉) 若 声が大きゅうござります 143 00:13:23,070 --> 00:13:25,072 聞こえやしねえよ 144 00:13:25,072 --> 00:13:28,075 庭一つ隔てて 向こうは峰一統 こっちはこっち 145 00:13:28,075 --> 00:13:30,077 何も遠慮することはない 146 00:13:30,077 --> 00:13:35,015 さりながら 萩乃様は いずれは 正式に若の奥方になられるお方 147 00:13:35,015 --> 00:13:38,018 悪口を言ってはなりません 148 00:13:38,018 --> 00:13:41,021 あ~ 不自由極まる 149 00:13:41,021 --> 00:13:45,025 しかし じい 正式に婚礼を挙げるまでは➡ 150 00:13:45,025 --> 00:13:48,028 拙者は拙者の自由に振る舞って いいのであろう 151 00:13:48,028 --> 00:13:52,032 それは 悪いとは申しませんが➡ 152 00:13:52,032 --> 00:13:54,034 そこには おのずから➡ 153 00:13:54,034 --> 00:13:58,034 限度というか 節度というものがあります 154 00:14:00,040 --> 00:14:04,044 例えば? どんな節度だ 155 00:14:04,044 --> 00:14:07,047 御婚儀が 相済みますまでは➡ 156 00:14:07,047 --> 00:14:09,049 絶対に お慎み願います 157 00:14:09,049 --> 00:14:13,053 だから どんなふうにだと 聞いておるのだ 158 00:14:13,053 --> 00:14:18,053 一つ 萩乃様に 淫らなことを求められぬこと 159 00:14:20,060 --> 00:14:23,063 何だと? (玄心斉)つまり➡ 160 00:14:23,063 --> 00:14:28,068 つまりであります 相手の人格を 尊重することでありまして➡ 161 00:14:28,068 --> 00:14:30,070 それは… (源三郎)はっきり言え 162 00:14:30,070 --> 00:14:35,009 いやつまり… つまり誘惑をしない ということであります 163 00:14:35,009 --> 00:14:37,011 何だ つまらねえ 164 00:14:37,011 --> 00:14:40,014 いや これは重大なことでありまして➡ 165 00:14:40,014 --> 00:14:43,017 もし 許される範囲が あるとすれば➡ 166 00:14:43,017 --> 00:14:48,022 せいぜい 小指と小指を絡ませるとか➡ 167 00:14:48,022 --> 00:14:51,025 あるいは 肩にそっと手を掛けるとか➡ 168 00:14:51,025 --> 00:14:54,028 はたまた… (源三郎)ばか 頭を冷やしてこい! 169 00:14:54,028 --> 00:14:57,031 若! 170 00:14:57,031 --> 00:14:59,033 (大八)申し上げます 171 00:14:59,033 --> 00:15:02,036 ただいま 早かごにて 高 大之進殿が 172 00:15:02,036 --> 00:15:05,036 何? 大之進が? 173 00:15:07,041 --> 00:15:11,045 (門之亟)大丈夫か? (大之進)大丈夫だ 174 00:15:11,045 --> 00:15:13,047 何があったのです 175 00:15:13,047 --> 00:15:15,049 伝八のやつ 成功したらしいです 176 00:15:15,049 --> 00:15:18,052 では 本物のこけ猿を 177 00:15:18,052 --> 00:15:21,052 いよいよもって 運が向いてまいりましたぞ 178 00:15:24,058 --> 00:15:27,061 その馬を走らせて来た者 見覚えのある者か? 179 00:15:27,061 --> 00:15:33,000 (大之進)一向に しかも 瞬く間に こけ猿の壺は➡ 180 00:15:33,000 --> 00:15:39,006 その者の手から 更に 奇っ怪なる浪人者に奪われました 181 00:15:39,006 --> 00:15:43,010 何 奇っ怪なる浪人者? 182 00:15:43,010 --> 00:15:45,012 はい 片目片腕の 183 00:15:45,012 --> 00:15:48,015 あっ 左膳だ (門之亟)丹下左膳に違いない 184 00:15:48,015 --> 00:15:51,018 若 若はその者を御存じで? 185 00:15:51,018 --> 00:15:56,023 うん しかしなぜ左膳が… 186 00:15:56,023 --> 00:16:00,027 一度は拙者に 返してくれたものを…➡ 187 00:16:00,027 --> 00:16:02,027 どうも 正体がつかめん 188 00:16:06,033 --> 00:16:08,035 (左膳)分からねえ 分からねえ 189 00:16:08,035 --> 00:16:11,038 どう考えても 俺には分からねえ 190 00:16:11,038 --> 00:16:13,040 (与吉)そりゃ旦那 開けてみなきゃ分かりませんよ 191 00:16:13,040 --> 00:16:17,044 そりゃそうだが この壺は源三郎のもんだ 192 00:16:17,044 --> 00:16:22,049 ほら あいつと一緒に 宝の秘密を拝んでみてえのよ 193 00:16:22,049 --> 00:16:24,049 へい 194 00:16:27,054 --> 00:16:28,989 何 壺を返すと言った? 195 00:16:28,989 --> 00:16:32,993 はい 「返してやる ただし条件がある」 196 00:16:32,993 --> 00:16:35,996 「柳生源三郎を取りによこせ」と 197 00:16:35,996 --> 00:16:38,999 若 我ら一統 直ちにこれより 198 00:16:38,999 --> 00:16:41,001 泡を食うな 199 00:16:41,001 --> 00:16:45,005 《ハハハ… 無駄なことはよして 源の字をよこせ》 200 00:16:45,005 --> 00:16:49,009 《多分 今夜はな 星が流れるだろうって伝えてくれ》 201 00:16:49,009 --> 00:16:51,011 《ハハハ…》 202 00:16:51,011 --> 00:16:53,013 分かった 203 00:16:53,013 --> 00:16:56,016 左膳は 壺が欲しいのではない 204 00:16:56,016 --> 00:16:58,016 では (大之進)何か? 205 00:17:01,021 --> 00:17:04,024 預けた勝負をつけたいのだろう 206 00:17:04,024 --> 00:17:06,026 では いつぞやの 207 00:17:06,026 --> 00:17:09,029 そう硬くなるな こけ猿は 左膳が持っていてくれりゃ➡ 208 00:17:09,029 --> 00:17:11,031 むしろ安心ってもんだ 209 00:17:11,031 --> 00:17:14,034 門之亟 (門之亟)はっ 210 00:17:14,034 --> 00:17:16,036 手紙を書く用意をしてくれ 211 00:17:16,036 --> 00:17:18,038 はっ 212 00:17:18,038 --> 00:17:21,041 (大八)左膳のやつ 何かたくらみおったな 213 00:17:21,041 --> 00:17:23,043 (門之亟)《フフフ➡ 214 00:17:23,043 --> 00:17:27,047 これで うるさいのが 共倒れになるだろう》 215 00:17:27,047 --> 00:17:32,986 じい 峰のやつ 偽の壺には 気が付いてないだろうな 216 00:17:32,986 --> 00:17:36,990 それはもう 初めて見る壺に 本物も偽物もありますまい 217 00:17:36,990 --> 00:17:40,990 フフッ まだか? (門之亟)はっ 218 00:17:43,997 --> 00:17:56,009 ♬~ 219 00:17:56,009 --> 00:17:58,011 (与吉)《ちょっとぐらい 見たところでよ➡ 220 00:17:58,011 --> 00:18:00,011 罰が当たるわけでも あるめえし》 221 00:18:08,021 --> 00:18:11,021 《なあに 黙ってりゃ分かりっこねえや》 222 00:18:15,028 --> 00:18:18,028 旦那 ちょっとのぞかせてもらいますぜ 223 00:18:22,035 --> 00:18:27,035 《大丈夫だよ 上を向いてんのは 見えねえ方の目だ》 224 00:18:32,980 --> 00:18:34,982 与吉 あっ 225 00:18:34,982 --> 00:18:36,984 その辺までにしとけよ 226 00:18:36,984 --> 00:18:40,988 何だ たぬき寝入りだったんですか 人が悪いな 227 00:18:40,988 --> 00:18:46,994 ハハハ… 実はな 俺も気になって眠れねえのよ 228 00:18:46,994 --> 00:18:48,996 それ御覧なさいよ 229 00:18:48,996 --> 00:18:51,999 こんな壺を そばに置いてたんじゃ➡ 230 00:18:51,999 --> 00:18:54,001 弁天様に寝顔見られてんのと 同じでさ おいおい 231 00:18:54,001 --> 00:18:56,003 ちょいとのぞいてみるか へっ? 232 00:18:56,003 --> 00:18:58,005 ヘヘッ そうこなくっちゃ 233 00:18:58,005 --> 00:19:01,008 命懸けで守ってやった こけ猿だ 234 00:19:01,008 --> 00:19:03,010 どんな肌してるか 拝んだところで➡ 235 00:19:03,010 --> 00:19:07,014 罰 当たりませんぜ ハハッ そりゃそうだ 236 00:19:07,014 --> 00:19:10,014 こいつを源の字に返しゃ 一生見れねえかもしれねえもんな 237 00:19:12,019 --> 00:19:17,024 ほう いい艶してやがるな 238 00:19:17,024 --> 00:19:22,029 それにしちゃ ちょっと若すぎやしねえかな? 239 00:19:22,029 --> 00:19:26,033 若いったって 旦那 柳生家代々に伝わる壺ともなりゃ➡ 240 00:19:26,033 --> 00:19:30,971 少なくとも70年や80年は… 241 00:19:30,971 --> 00:19:33,974 うん… 242 00:19:33,974 --> 00:19:36,977 あっ おう 与吉 へい? 243 00:19:36,977 --> 00:19:38,977 誰か来たぜ 244 00:19:41,982 --> 00:19:44,982 旦那 柳生の使いの者らしいですぜ 245 00:19:58,999 --> 00:20:03,003 (五十嵐)丹下氏 拙者 柳生家の家臣 五十嵐小十郎 246 00:20:03,003 --> 00:20:05,005 若君 源三郎殿の使者として まかり越した 247 00:20:05,005 --> 00:20:08,008 ハハッ 犬の遠ぼえじゃあるまいし➡ 248 00:20:08,008 --> 00:20:10,010 こっち来て 口上述べろい 249 00:20:10,010 --> 00:20:12,012 はっ されば 250 00:20:12,012 --> 00:20:15,015 源三郎は 来るのか 来ねえのかい 251 00:20:15,015 --> 00:20:19,019 それは この書状に 252 00:20:19,019 --> 00:20:23,023 俺は見たとおりの一本腕だ 封を切って見せてくれ 253 00:20:23,023 --> 00:20:25,023 はっ 失礼 254 00:20:32,966 --> 00:20:36,970 なになに… 「御好意 ありがたく拝聴」 255 00:20:36,970 --> 00:20:39,973 「お預けせし こけ猿の壺 頂戴つかまつるべく➡ 256 00:20:39,973 --> 00:20:42,976 浄楽寺に参上」 257 00:20:42,976 --> 00:20:46,980 「落ち合う場所は五重の塔 柳生源三郎」 258 00:20:46,980 --> 00:20:49,983 フフフ… お分かりくださいましたか? 259 00:20:49,983 --> 00:20:55,989 ああ 分かった 源三郎に 楽しみにしていると伝えてくれ 260 00:20:55,989 --> 00:20:57,991 御苦労だったな はっ 261 00:20:57,991 --> 00:20:59,993 しからば 御免 うん 262 00:20:59,993 --> 00:21:02,996 フフフ… 263 00:21:02,996 --> 00:21:04,998 「必ず参上」ときやがったか 264 00:21:04,998 --> 00:21:08,001 おお 与の公 来るぜ来るぜ 265 00:21:08,001 --> 00:21:11,004 源三郎が壺を受け取りに やって来るとよ 266 00:21:11,004 --> 00:21:14,007 へい 267 00:21:14,007 --> 00:21:17,010 ところで 旦那 この壺は ちょっとくせえですぜ うん? 268 00:21:17,010 --> 00:21:20,013 (においを嗅ぐ音) (与吉)妙なにおいがしますぜ 269 00:21:20,013 --> 00:21:22,015 (においを嗅ぐ音) カビのにおいだろう 270 00:21:22,015 --> 00:21:27,020 人間だって古くなりゃ 妙なにおいがするもんだい 271 00:21:27,020 --> 00:21:31,024 ところが こいつは どうも偽物くせえんで 272 00:21:31,024 --> 00:21:34,027 何だって? 273 00:21:34,027 --> 00:21:36,029 ほら 御覧なさいよ 274 00:21:36,029 --> 00:21:39,029 こいつは 新しく作って 色を塗ったくったもんでさ 275 00:21:46,039 --> 00:21:48,041 このとおりで 276 00:21:48,041 --> 00:21:51,044 こりゃ 一杯食わされたかな? 277 00:21:51,044 --> 00:21:54,047 そうかもしれませんぜ 旦那 278 00:21:54,047 --> 00:21:56,049 うん… 279 00:21:56,049 --> 00:21:59,052 本物は 別のやつが 裏街道からでも こっそり運んで➡ 280 00:21:59,052 --> 00:22:04,057 こいつを わざと伊賀の二本棒が 人目に立つように東海道… 281 00:22:04,057 --> 00:22:07,060 ヘッ これは旦那 よく芝居の筋にあるやつですぜ 282 00:22:07,060 --> 00:22:11,064 とすると 筋を変えたのは 源三郎ってことになるな 283 00:22:11,064 --> 00:22:14,067 本物は無事に 伊賀へ突っ走ってるってわけかい 284 00:22:14,067 --> 00:22:17,070 まあ そういうことでございましょうね 285 00:22:17,070 --> 00:22:21,074 それを知らずに夜明かしで 柳生を助けた 旦那とあっしは➡ 286 00:22:21,074 --> 00:22:24,077 お人よしの見本かもしれませんぜ 287 00:22:24,077 --> 00:22:27,080 与の公 そうがっかりするない 288 00:22:27,080 --> 00:22:30,016 頼まれもしねえのに越後から➡ 289 00:22:30,016 --> 00:22:33,019 米をつきに来るやつもあるって いうじゃねえか 290 00:22:33,019 --> 00:22:35,021 それにしてもですよ 旦那 291 00:22:35,021 --> 00:22:37,023 命懸けで この壺を… 292 00:22:37,023 --> 00:22:39,025 とてもじゃございませんが つきあいきれませんよ 293 00:22:39,025 --> 00:22:41,027 ばか野郎! 294 00:22:41,027 --> 00:22:44,030 いいか 与の公 この世の中にはな➡ 295 00:22:44,030 --> 00:22:49,035 何もかも 銭の損得で 割り切れるもんじゃねえ 296 00:22:49,035 --> 00:22:53,039 たまには ばかを承知で 人のために尽くしてみるもんだい 297 00:22:53,039 --> 00:22:55,041 へいへい 分かりやしたよ 298 00:22:55,041 --> 00:22:59,045 それにしちゃ 旦那はあれですぜ 何がよ 299 00:22:59,045 --> 00:23:02,048 それほど 物分かりのいい旦那が… ヘヘヘッ 300 00:23:02,048 --> 00:23:06,052 お藤姉御をさんざん泣かしてるじゃ ござんせんか 301 00:23:06,052 --> 00:23:09,055 お藤か 302 00:23:09,055 --> 00:23:13,055 なあに あいつが勝手に泣いてるのよ 303 00:23:23,069 --> 00:23:26,072 どうだ 与吉 まだ見えねえか 304 00:23:26,072 --> 00:23:29,072 もう そろそろ… あっ 旦那 来やしたぜ 305 00:23:33,013 --> 00:23:35,013 (源三郎)あれが左膳か 306 00:23:45,025 --> 00:23:50,030 来た来た 来た おう 源三郎 待ってたぜ 307 00:23:50,030 --> 00:23:53,033 星の出るのには ちょっと早かったようだな 308 00:23:53,033 --> 00:23:55,035 なあに 秋の日はつるべ落としだ 309 00:23:55,035 --> 00:23:57,037 まあ ゆっくりいこうぜ 310 00:23:57,037 --> 00:24:01,041 ところで この2人は 俺の家来… 311 00:24:01,041 --> 00:24:04,044 というより 兄貴の家臣だが➡ 312 00:24:04,044 --> 00:24:07,047 このじいが 安積玄心斉 313 00:24:07,047 --> 00:24:09,049 拙者は 高 大之進 314 00:24:09,049 --> 00:24:11,051 お預けせし こけ猿の茶壺➡ 315 00:24:11,051 --> 00:24:14,054 お申し出どおり 若君同道にて 受け取りに参った 316 00:24:14,054 --> 00:24:18,058 ハハッ いいとも いいとも 与の公 渡してやれ 317 00:24:18,058 --> 00:24:21,061 へい➡ 318 00:24:21,061 --> 00:24:23,061 渡したぜ (大之進)確かに 319 00:24:26,066 --> 00:24:28,068 で 要件というのは? 320 00:24:28,068 --> 00:24:31,004 もう その用はなくなったい 321 00:24:31,004 --> 00:24:34,007 水くさいな 言ってくれよ 322 00:24:34,007 --> 00:24:36,009 よし じゃあ 言ってやろう 323 00:24:36,009 --> 00:24:39,012 おう 源の字 俺はてめえ勝手に➡ 324 00:24:39,012 --> 00:24:42,015 幕府にいじめられている 柳生がかわいそうで➡ 325 00:24:42,015 --> 00:24:44,017 その壺を 守ってやったつもりだが➡ 326 00:24:44,017 --> 00:24:46,019 そりゃ 真っ赤な偽物じゃねえか 327 00:24:46,019 --> 00:24:48,021 何! (源三郎)何? 328 00:24:48,021 --> 00:24:53,026 そ~ら そらそらとぼけやがって どっちが水くせえか考えてみろい 329 00:24:53,026 --> 00:24:56,029 旦那 あっしにも言わせて おくんなせえよ 330 00:24:56,029 --> 00:24:58,031 こけ猿を守ろうって しゃしゃり出たのは➡ 331 00:24:58,031 --> 00:25:00,033 こっちの勝手だが この場に及んで まだしら切るのは➡ 332 00:25:00,033 --> 00:25:02,035 男らしくねえってもんですぜ 333 00:25:02,035 --> 00:25:04,037 若に向かって無礼! 334 00:25:04,037 --> 00:25:07,037 大之進 調べてみろ (大之進)はっ 335 00:25:12,045 --> 00:25:15,048 おう 源の字 芝居はよそうぜ 336 00:25:15,048 --> 00:25:20,053 あっ これは まさしく偽 (玄心斉)何? 337 00:25:20,053 --> 00:25:22,055 見ろ ハハハ… 338 00:25:22,055 --> 00:25:26,059 そろいもそろって 芝居の好きなやつらだ 339 00:25:26,059 --> 00:25:29,996 これじゃ 男の友情も泣きたくなるぜ 340 00:25:29,996 --> 00:25:34,000 左膳 今の一言 聞き捨てならんぞ 341 00:25:34,000 --> 00:25:38,004 若に向かって 何たる雑言 許せん! 342 00:25:38,004 --> 00:25:40,006 おう こりゃ面白えや 何だ何だい! 343 00:25:40,006 --> 00:25:43,009 てめえっち うちの大将に 恩を仇で返そうってのかい 344 00:25:43,009 --> 00:25:46,012 ほざくな! 我らが預けしは 誠のこけ猿だ 345 00:25:46,012 --> 00:25:50,016 それを偽の壺とすり替えたのは 黄金の秘密を知っての上だろう! 346 00:25:50,016 --> 00:25:53,019 旦那 こんなちょぼいちに やられてたまるもんか 347 00:25:53,019 --> 00:25:55,019 これじゃまるで盗人呼ばわりだ 348 00:25:57,023 --> 00:26:00,026 おう 源の字 お前もそう思ってるのか 349 00:26:00,026 --> 00:26:04,030 致し方あるまい 大之進に持たせてやったのは➡ 350 00:26:04,030 --> 00:26:07,033 誠のこけ猿であったのだ 351 00:26:07,033 --> 00:26:11,037 抜け! それとも 誠のこけ猿を差し出すか 352 00:26:11,037 --> 00:26:14,040 チェッ ない袖は振りようがあるめえ 353 00:26:14,040 --> 00:26:17,043 (玄心斉)おのれ! 354 00:26:17,043 --> 00:26:20,046 なるほど さすがは柳生三剣士の一人➡ 355 00:26:20,046 --> 00:26:23,049 安積玄心斉 さすがに隙はねえ 356 00:26:23,049 --> 00:26:28,054 若 この者との勝負 拙者と大之進にお任せください 357 00:26:28,054 --> 00:26:31,991 うん 逃げる相手ではない 見ている 358 00:26:31,991 --> 00:26:34,994 ハハハ… 359 00:26:34,994 --> 00:26:36,996 柳生源三郎が介添え人とは面白え 360 00:26:36,996 --> 00:26:38,998 旦那 うん 361 00:26:38,998 --> 00:26:42,001 やーっ! 362 00:26:42,001 --> 00:26:44,003 与吉 雑魚を斬るのとは 訳が違う 363 00:26:44,003 --> 00:26:47,006 性根を据えて よく見てろ! (与吉)へい 364 00:26:47,006 --> 00:27:00,019 ♬~ 365 00:27:00,019 --> 00:27:02,021 (玄心斉)若! 366 00:27:02,021 --> 00:27:18,021 ♬~