1 00:01:58,118 --> 00:02:03,123 ・~ 2 00:02:03,123 --> 00:02:06,126 (ナレーター) <どこかで誰かが泣いている> 3 00:02:06,126 --> 00:02:12,132 <誰が助けてくれようか この世は人情 紙風船> 4 00:02:12,132 --> 00:02:18,138 <耳を澄ませた奴は誰 泣き声 目指して走る影> 5 00:02:18,138 --> 00:02:22,138 <この世は闇の助け人> 6 00:02:29,149 --> 00:02:33,149 (村井)津島! 戻れ! 戻らんか! 7 00:02:36,156 --> 00:02:38,156 テヤッ! 8 00:02:41,161 --> 00:02:43,161 タアッ! 9 00:02:47,167 --> 00:02:51,171 (あずさ)お願いでございます! 何とぞ ご助勢を! 何とぞ! 10 00:02:51,171 --> 00:02:55,175 (文十郎)待て 危ないよ! (隅田)なに・ 11 00:02:55,175 --> 00:02:58,111 なんだか知らんがな… こんなに嫌がってるのを無理に… 12 00:02:58,111 --> 00:03:00,111 無理するんじゃねえよ 13 00:03:02,115 --> 00:03:04,117 どけ! 邪魔だ! 素浪人 14 00:03:04,117 --> 00:03:07,120 (吉村)尾羽打ち枯らした 己なんぞが 出る幕ではないわ! 15 00:03:07,120 --> 00:03:10,120 それは そうだけど… デヤッ! 16 00:03:14,127 --> 00:03:16,127 ウウッ! 17 00:03:21,134 --> 00:03:24,134 ウワーッ! (小一郎)あずさどの! 18 00:03:30,143 --> 00:03:33,146 慌てるなよ 峰打ちだよ 19 00:03:33,146 --> 00:03:37,150 ・~ 20 00:03:37,150 --> 00:03:39,152 ダァー! 21 00:03:39,152 --> 00:03:54,167 ・~ 22 00:03:54,167 --> 00:03:56,167 タアッ! 23 00:04:01,108 --> 00:04:04,111 ああっ! 24 00:04:04,111 --> 00:04:06,113 ああ… 25 00:04:06,113 --> 00:04:08,115 あずさどの! 26 00:04:08,115 --> 00:04:12,119 なんでえ てめえたちは… いきなり人の前で・ 27 00:04:12,119 --> 00:04:16,123 命のやり取りなんか 始めやがって… 馬鹿 28 00:04:16,123 --> 00:04:18,123 あずさどの… 29 00:04:27,134 --> 00:04:32,139 おい! お前たち 一体 何だい? ええ? 30 00:04:32,139 --> 00:04:37,144 訳も聞かずに 行くわけにもいかんじゃないか 31 00:04:37,144 --> 00:04:39,146 立て! 32 00:04:39,146 --> 00:04:42,146 あんたも立つんだい! 33 00:04:45,152 --> 00:04:48,155 来るんだよ 俺と一緒に来るんだよ! 34 00:04:48,155 --> 00:05:00,155 ・~ 35 00:05:05,105 --> 00:05:09,109 わたしは 津島小一郎と申す者 危ういところをご助勢いただき… 36 00:05:09,109 --> 00:05:13,113 いやぁ そんなこと どうだっていいんだよ まあ座れ 37 00:05:13,113 --> 00:05:15,115 いやぁ とにかく あんまり いきなりだったんで・ 38 00:05:15,115 --> 00:05:18,118 俺も つい ひどいことしちまった なんとも申し訳ない 39 00:05:18,118 --> 00:05:22,122 俺の名前は 中山文十郎ってんだ 40 00:05:22,122 --> 00:05:26,122 まあ 1杯いこう! ねえ どうぞ (小市郎)はぁ… 41 00:05:29,129 --> 00:05:32,132 傷を受けたな? 42 00:05:32,132 --> 00:05:35,135 おしの 何か きれいな布 頼むわ (しの)はい 43 00:05:35,135 --> 00:05:38,138 いや かすり傷ゆえ 大したことはない 44 00:05:38,138 --> 00:05:40,138 何言ってんでい 45 00:05:42,142 --> 00:05:44,142 ブーッ! 46 00:05:49,149 --> 00:05:52,149 兄さん 47 00:05:54,154 --> 00:06:11,104 ・~ 48 00:06:11,104 --> 00:06:14,107 あの… おぬしたちは? 49 00:06:14,107 --> 00:06:19,112 中山どの… それだけは お聞きくださるな… 50 00:06:19,112 --> 00:06:22,115 ご造作をおかけした 51 00:06:22,115 --> 00:06:24,117 何とお礼を申してよいか 分からぬが 52 00:06:24,117 --> 00:06:29,122 お礼なんかいいんだよ 大丈夫か? もう行くのか? 53 00:06:29,122 --> 00:06:33,126 お許しくだされ 何故 追われているのか・ 54 00:06:33,126 --> 00:06:38,131 お助けいただいたのに 訳も言わずに行くのは 心苦しいが 55 00:06:38,131 --> 00:06:42,135 お願い申す たってお許しいただきたいのだ 56 00:06:42,135 --> 00:06:47,135 そうかい じゃ 気をつけてな ご迷惑をおかけした 57 00:06:49,142 --> 00:06:51,142 あずさどの 58 00:06:55,148 --> 00:06:59,085 (平内)やめたほうがいいよ 表には 侍たちが うろうろしてるぜ 59 00:06:59,085 --> 00:07:01,087 平さん おう あんたが・ 60 00:07:01,087 --> 00:07:04,090 これを忘れてったから 届けようと 思って来たら この騒ぎだ 61 00:07:04,090 --> 00:07:07,093 まあ とにかく 今出るのは やめたほうがいい 62 00:07:07,093 --> 00:07:11,097 出りゃ 今度は捕まるぜ 大分 相手も増えたようだしな 63 00:07:11,097 --> 00:07:15,101 (為吉) でも といって このままじゃ… 64 00:07:15,101 --> 00:07:17,101 ああ そっか 65 00:07:21,107 --> 00:07:25,111 (清兵衛)助けたのは 文十さんの家の近くなんだな 66 00:07:25,111 --> 00:07:27,113 へい 67 00:07:27,113 --> 00:07:31,117 そりゃ まずいな… ぼやぼやしてると かぎつけられて 68 00:07:31,117 --> 00:07:34,120 踏み込まれるかもしれねえな (為吉)それなんですよ… 69 00:07:34,120 --> 00:07:37,123 文十さん 例によって 背中に 「南無妙法蓮華経」って・ 70 00:07:37,123 --> 00:07:39,125 染め抜いた着物 着てるわけでしょう 71 00:07:39,125 --> 00:07:42,128 あれじゃ 近所で聞き込みされたら じき ばれちまいますよ 72 00:07:42,128 --> 00:07:45,131 しょうがねえな… 平内さんも 一緒かい? 73 00:07:45,131 --> 00:07:49,135 へい 万一のときには加勢しなきゃ ならねえとか何とか言っちゃって 74 00:07:49,135 --> 00:07:52,138 やけに張り切っちゃってるんです (清兵衛)冗談じゃねえよ 75 00:07:52,138 --> 00:07:55,141 いくら行きがかり上 引き受けたからって・ 76 00:07:55,141 --> 00:07:57,077 万一のことがあったら どうするつもりなんでい 77 00:07:57,077 --> 00:07:59,077 そうなんですよ 78 00:08:02,082 --> 00:08:05,085 …で? 追っ手の侍っていうのは どこの? 79 00:08:05,085 --> 00:08:10,090 それがですね… いや それは あっしも よく分かんないんです 80 00:08:10,090 --> 00:08:13,093 なに? 馬鹿! なんで そいつを確かめてこねえんだよ 81 00:08:13,093 --> 00:08:16,096 子供の使いじゃあるめえし! 82 00:08:16,096 --> 00:08:20,100 まったく! どいつもこいつも 半端なことばっかり… 83 00:08:20,100 --> 00:08:24,104 第一 訳も聞かねえで 助け仕事を 引き受ける馬鹿が どこにある 84 00:08:24,104 --> 00:08:26,106 大体 あの2人は 近ごろ 文句が多すぎよ 85 00:08:26,106 --> 00:08:29,109 ちょっと仕事がつらいと 何だかんだと首を振る 86 00:08:29,109 --> 00:08:34,114 そうかと思や 訳も聞かねえで 助け仕事を… 87 00:08:34,114 --> 00:08:36,116 そこで 猫の番でも する気かい? (為吉)猫… 88 00:08:36,116 --> 00:08:39,116 来い (為吉)ああ はい ただいま 89 00:08:41,121 --> 00:08:46,126 火の用心 (拍子木の音) 90 00:08:46,126 --> 00:08:49,129 火の用心 さっしゃりましょう 91 00:08:49,129 --> 00:08:53,129 火の用心 (拍子木の音) 92 00:08:58,071 --> 00:09:00,073 (利吉)為吉! 93 00:09:00,073 --> 00:09:02,075 ああっ 兄貴! 94 00:09:02,075 --> 00:09:06,079 来た来た! おこもさん この男だ さあ 早いとこ替えてくれ 95 00:09:06,079 --> 00:09:09,082 汚えな (利吉)汚えじゃないんだよ 96 00:09:09,082 --> 00:09:11,084 お前 早いとこ 着物 取り替えていただけ 97 00:09:11,084 --> 00:09:14,087 兄貴… (利吉)お前は こじきの格好して・ 98 00:09:14,087 --> 00:09:18,091 文さんの家の裏口のほう見張れ 俺は これ担いで表口のほうへ行く 99 00:09:18,091 --> 00:09:22,095 兄貴 ひでえよ… 俺 こじき 嫌だ 100 00:09:22,095 --> 00:09:25,098 どうせやるなら そば屋のほうがな (利吉)馬鹿野郎 馬鹿野郎! 101 00:09:25,098 --> 00:09:27,100 これは俺が そば屋に 話つけて借りてきたんだよ 102 00:09:27,100 --> 00:09:30,103 お前は こじきの格好だ 早くしろ 早くしろ! ほら 103 00:09:30,103 --> 00:09:33,106 早く取り替えるんだよ ハハハッ! なかなか似合うじゃないか 104 00:09:33,106 --> 00:09:35,108 なあ おこもさん ハハハハッ! 105 00:09:35,108 --> 00:09:53,126 ・~ 106 00:09:53,126 --> 00:09:56,129 兄さん おう 小便かい? 107 00:09:56,129 --> 00:09:58,129 違うわよ 108 00:10:00,066 --> 00:10:04,070 おしの… あの2人 どう思う? 109 00:10:04,070 --> 00:10:06,072 駆け落ち者だな あの様子では 110 00:10:06,072 --> 00:10:14,080 しかも 女のほうが身分が高い 髪形 飾り物 衣装 それに… 111 00:10:14,080 --> 00:10:16,080 ・(平内)懐刀… 112 00:10:19,085 --> 00:10:25,091 あの懐剣の袋を見たか? あの袋には 紋がある しかも… 113 00:10:25,091 --> 00:10:27,091 丸に 三つ葉葵… 114 00:10:29,095 --> 00:10:32,098 将軍家ゆかりの紋所だ 115 00:10:32,098 --> 00:10:36,102 おい 突き当たりを調べろ (男性)はっ! 116 00:10:36,102 --> 00:10:40,106 文さん こりゃ とんでもねえ もめ事を・ 117 00:10:40,106 --> 00:10:43,109 向こうから飛び込んできたといえ しょい込んだようだな 118 00:10:43,109 --> 00:10:45,111 (あずさ)小一郎さま! 119 00:10:45,111 --> 00:10:48,114 わたしたちが生き延びるには これしか方法はないのだ! 120 00:10:48,114 --> 00:10:52,114 馬鹿な真似を するんじゃありませんぜ 121 00:10:54,120 --> 00:10:58,057 表に出りゃ犬死にだ 30人はいる 122 00:10:58,057 --> 00:11:04,063 どうやら 浜田6万1000石 松平主計頭のご家中らしい侍がね 123 00:11:04,063 --> 00:11:09,068 フフッ… 侍たちは あっしを夜回りと見て そう答えた 124 00:11:09,068 --> 00:11:13,072 怪しい者ではないとね 125 00:11:13,072 --> 00:11:16,075 津島小一郎さまと おっしゃいましたな 126 00:11:16,075 --> 00:11:19,078 それに あずささま… 127 00:11:19,078 --> 00:11:22,081 どうでしょうな 128 00:11:22,081 --> 00:11:25,084 もう この辺で あっしたちに・ 129 00:11:25,084 --> 00:11:29,084 訳を話していただくわけには まいりませんか? 130 00:11:31,090 --> 00:11:37,096 いえ あっしは この辺りの 家主の清兵衛って者でございます 131 00:11:37,096 --> 00:11:41,100 こうなった以上 知らん顔を してるわけにも まいりますまい 132 00:11:41,100 --> 00:11:46,105 そりゃ あんたたちが どうしても おっしゃりたくないって言うなら 133 00:11:46,105 --> 00:11:50,109 無理には お伺いいたしません その代わり そんなら それで・ 134 00:11:50,109 --> 00:11:54,113 黙って ここを出ていって いただきましょうか 清兵衛どの 135 00:11:54,113 --> 00:11:57,116 ここは あんた方とは 何のかかわりもない人の家だ 136 00:11:57,116 --> 00:12:00,119 その あんた方のために あっしたちが迷惑するのは・ 137 00:12:00,119 --> 00:12:03,122 御免被りたいんでね 138 00:12:03,122 --> 00:12:08,127 文十郎さん 平内さんもだが あんたたち・ 139 00:12:08,127 --> 00:12:12,131 訳も分からないで 侍出入りに かかわってもらいたくねえんだよ 140 00:12:12,131 --> 00:12:16,135 勝手な真似がしたいなら あっしと 縁を切ってからにしてもらいたい 141 00:12:16,135 --> 00:12:20,135 もし 万一のことがあったら 迷惑するのは こっちなんだからな 142 00:12:22,141 --> 00:12:25,141 どうでしょう 津島さま 143 00:12:27,146 --> 00:12:30,149 あずささま… わたしが こんなことを言うのは・ 144 00:12:30,149 --> 00:12:33,152 差し出がましいことは 分かってます 145 00:12:33,152 --> 00:12:36,155 でも 聞かせてください 訳さえ分かれば 兄は… 146 00:12:36,155 --> 00:12:40,159 兄さん あずささま方を 逃がしてくれるのね? 147 00:12:40,159 --> 00:12:43,162 訳さえ分かれば どんなことをしてでも・ 148 00:12:43,162 --> 00:12:45,164 逃がしてくれるのね? 149 00:12:45,164 --> 00:12:47,166 そりゃ… 150 00:12:47,166 --> 00:12:49,166 (せきばらい) 151 00:12:51,170 --> 00:12:56,175 わたしからも お願いします わたしには あなた方が・ 152 00:12:56,175 --> 00:12:59,112 追われるような悪い方だとは 思えないんです 153 00:12:59,112 --> 00:13:02,115 きっと 何か訳があって… 154 00:13:02,115 --> 00:13:04,117 小一郎さま… 155 00:13:04,117 --> 00:13:07,120 言ってはならん それを言うことは 156 00:13:07,120 --> 00:13:09,120 津島どの… 157 00:13:11,124 --> 00:13:16,129 それだけは! それだけは どうか お許しください! 158 00:13:16,129 --> 00:13:18,131 わたしどもが こうして逃れてきたのは・ 159 00:13:18,131 --> 00:13:22,135 もう これ以外に道はないと 思い余ってのこと 160 00:13:22,135 --> 00:13:27,140 それが 逃れられぬとなれば 行き着くところは ひとつ 161 00:13:27,140 --> 00:13:31,144 共に死出の道を選ぶ以外に 方策はないのだ 162 00:13:31,144 --> 00:13:35,148 だからこそ なぜ そうしなければならないかを・ 163 00:13:35,148 --> 00:13:37,150 言うことは たやすい 164 00:13:37,150 --> 00:13:42,155 しかし それを言って どうなる? 165 00:13:42,155 --> 00:13:47,160 それは繰り言だ 繰り言は言わぬ 過ぎ去ったことは言わぬと・ 166 00:13:47,160 --> 00:13:50,163 あれほど固く 約束したではないか それを… 167 00:13:50,163 --> 00:13:55,168 チッ! 訳の分からねえ お人だな その訳を聞きゃ・ 168 00:13:55,168 --> 00:13:58,104 なんとかしてやろうと 言ってるんじゃねえか 169 00:13:58,104 --> 00:14:00,104 それに第一… ・(物音) 170 00:14:05,111 --> 00:14:07,113 ・(物音) 171 00:14:07,113 --> 00:14:19,125 ・~ 172 00:14:19,125 --> 00:14:21,127 ・(利吉)棟梁… 173 00:14:21,127 --> 00:14:23,129 利吉か? (利吉)へい… 174 00:14:23,129 --> 00:14:28,134 表の侍たちは 業を煮やして 1軒1軒 当たり始めました 175 00:14:28,134 --> 00:14:31,137 そのうち ここへもやって来ます どうしやす? 176 00:14:31,137 --> 00:14:34,140 分かった… もう少し見張れ 177 00:14:34,140 --> 00:14:36,142 いよいよとなったら こっちから出ていく 178 00:14:36,142 --> 00:14:40,146 多分 お2人は そのつもりだ 179 00:14:40,146 --> 00:14:42,148 あずささま! お話しください 180 00:14:42,148 --> 00:14:46,148 理由さえ分かれば みんな 力になるって言ってるんです 181 00:14:48,154 --> 00:14:51,157 (平内)ああ~ しかたがねえな 182 00:14:51,157 --> 00:14:53,159 どうしても死にてえって おっしゃるんなら・ 183 00:14:53,159 --> 00:14:56,162 何も肩入れなんか することはねえやな 184 00:14:56,162 --> 00:15:01,100 まったく もったいねえ話だぜ どうせ逃げてきたからには・ 185 00:15:01,100 --> 00:15:03,102 2人で生きようと 思ったからだろう 186 00:15:03,102 --> 00:15:05,104 それを どうでも 死にてえとおっしゃる 187 00:15:05,104 --> 00:15:07,106 やめだ やめだ 俺は帰らせてもらうぜ 188 00:15:07,106 --> 00:15:12,111 おい 平さん そんなお前… 文さん… やめろよ やめときな 189 00:15:12,111 --> 00:15:16,115 大体 侍ってのはな みんな この人みてえに頭が固えんだ 190 00:15:16,115 --> 00:15:19,118 自分たちが 気が済みゃ それでいいと思ってる 191 00:15:19,118 --> 00:15:23,122 それに命を粗末にするのも 侍の特徴だ 192 00:15:23,122 --> 00:15:26,125 なぁに 死にてえっつってんだもん 死なせてやりゃ いいじゃねえか 193 00:15:26,125 --> 00:15:30,129 平内さん そんな言い方ってある? あんまりじゃありませんか! 194 00:15:30,129 --> 00:15:33,132 おしのちゃん お前さん まだ若いからね 195 00:15:33,132 --> 00:15:36,135 こういう2人を見てると きれい事に見えるかもしれねえが 196 00:15:36,135 --> 00:15:38,135 俺には そうは見えねえな 197 00:15:40,139 --> 00:15:46,145 この2人は できあってるよ しかも 1人は藩の若侍 198 00:15:46,145 --> 00:15:49,148 もう1人は その懐剣の紋から見ると・ 199 00:15:49,148 --> 00:15:52,151 殿さまか何かの持ち物だろう 200 00:15:52,151 --> 00:15:55,154 それが ひょんなことから できあがった 201 00:15:55,154 --> 00:16:00,093 つまり はっきり言やぁ 不義密通ってやつよ! 202 00:16:00,093 --> 00:16:02,093 平内さん! 203 00:16:04,097 --> 00:16:07,100 違うかね それで藩の侍に追われてる 204 00:16:07,100 --> 00:16:12,105 姦夫姦婦は 町奉行でさえ 引き回しのうえ獄門だ 205 00:16:12,105 --> 00:16:15,108 まして 侍となりゃ 切腹なんてもんじゃねえ 206 00:16:15,108 --> 00:16:18,111 ずたずたに斬られて 八つ裂きよ! 207 00:16:18,111 --> 00:16:23,116 耳をそがれて 鼻をそがれて のたうち回る! 208 00:16:23,116 --> 00:16:25,118 これが 不義密通の死にざまでい! 209 00:16:25,118 --> 00:16:28,121 おお そのとおりだ! 210 00:16:28,121 --> 00:16:31,124 わたしたちは 不義密通と言われよう! 211 00:16:31,124 --> 00:16:35,124 しかし… しかし わたしたちは! 212 00:16:38,131 --> 00:16:40,133 清兵衛どのといわれたな… 213 00:16:40,133 --> 00:16:46,139 なるほど ご指摘のとおり わたしは浜田藩江戸詰めの者 214 00:16:46,139 --> 00:16:50,143 あずさどのは 主君 直康の… (あずさ)小一郎さま… 215 00:16:50,143 --> 00:16:54,147 側室だ しかし… 216 00:16:54,147 --> 00:16:59,085 しかし わたしたちは 親が許し合った仲だったのだ 217 00:16:59,085 --> 00:17:03,089 あれはもう 2年ほども前になる… 218 00:17:03,089 --> 00:17:09,095 わたしは 主君 直康と共に 江戸詰めを終えて 国へ帰った… 219 00:17:09,095 --> 00:17:11,097 その年 わたしたちは・ 220 00:17:11,097 --> 00:17:15,101 御側用人 矢崎主水さまの ご媒酌により・ 221 00:17:15,101 --> 00:17:18,104 婚儀を行うことになっていたのだ 222 00:17:18,104 --> 00:17:22,108 だが あの日 わたしは あずさどのと・ 223 00:17:22,108 --> 00:17:24,110 会う約束を しなければ良かった! 224 00:17:24,110 --> 00:17:30,116 わたしは城内の仕事のために その刻限に遅れた… 225 00:17:30,116 --> 00:17:33,119 遅れたばっかりに! 226 00:17:33,119 --> 00:17:53,139 ・~ 227 00:17:53,139 --> 00:17:56,139 ・~ 228 00:18:00,079 --> 00:18:03,079 (直康)駕籠を止めい (矢崎)はっ! 229 00:18:09,088 --> 00:18:11,090 この者は? 230 00:18:11,090 --> 00:18:13,092 (矢崎)はっ! 先日 殿に申し上げました・ 231 00:18:13,092 --> 00:18:18,097 三村左衛門之丞方息女 あずさにてございます 232 00:18:18,097 --> 00:18:21,100 三村? (矢崎)はあ 233 00:18:21,100 --> 00:18:27,106 家中でも相思相愛の噂の高い 津島小一郎と申す者と 234 00:18:27,106 --> 00:18:32,111 おお そのほうが 縁結びをしてやるとか申す 235 00:18:32,111 --> 00:18:36,115 (矢崎)はっ! 236 00:18:36,115 --> 00:18:39,118 三村左衛門之丞方息女とか 237 00:18:39,118 --> 00:18:41,120 はい… 238 00:18:41,120 --> 00:18:45,120 茶を一服たててくれぬか 239 00:18:49,128 --> 00:18:51,128 (直康)頼むぞ 240 00:18:59,071 --> 00:19:04,071 あずさか よい名だのう 241 00:19:08,080 --> 00:19:13,085 津島という者とは 幼いころからの知り合いか? 242 00:19:13,085 --> 00:19:18,090 はい… いいえ 243 00:19:18,090 --> 00:19:23,090 どちらなのだ 申してみい 244 00:19:25,097 --> 00:19:30,102 そのほうたちは 相愛の仲だという… 245 00:19:30,102 --> 00:19:35,107 それは… 体を寄せ合わぬ以前から・ 246 00:19:35,107 --> 00:19:38,107 慈しみ合うている ということか? 247 00:19:41,113 --> 00:19:44,116 余には分からぬ… 248 00:19:44,116 --> 00:19:48,120 肌も寄せ合わぬ以前から 慈しみ合うなどということは・ 249 00:19:48,120 --> 00:19:51,123 書物か能狂言の 作り事としか思われぬ 250 00:19:51,123 --> 00:19:56,128 そのほうたちも その書物か何かのように… 251 00:19:56,128 --> 00:20:01,128 いや いつ知り合い どのようにして 252 00:20:03,069 --> 00:20:06,072 お殿さま お許しくださいませ 253 00:20:06,072 --> 00:20:10,076 お言葉を おかけくださるのさえ おそれおおいものを・ 254 00:20:10,076 --> 00:20:13,079 身分の低い わたしどものような者の… 255 00:20:13,079 --> 00:20:17,083 身分か… 256 00:20:17,083 --> 00:20:21,087 身分が違うからこそ 聞きたいのだ 257 00:20:21,087 --> 00:20:28,087 言いたくないと申せば 余計に尋ねてみたいのう おタマ 258 00:20:35,101 --> 00:20:38,104 猫は嫌いか? 259 00:20:38,104 --> 00:20:42,108 いいえ… (直康)嘘を申せ! 260 00:20:42,108 --> 00:20:46,112 そのほうも… 奥と同じだの 261 00:20:46,112 --> 00:20:50,116 それほどまでに この直康が おぞましいか 262 00:20:50,116 --> 00:20:52,118 お殿さま… 263 00:20:52,118 --> 00:20:57,056 ならば なぜ体を引く・ なぜ この直康を恐れる・ 264 00:20:57,056 --> 00:20:59,058 お殿さま… 265 00:20:59,058 --> 00:21:02,061 それほどまでに この直康が… 266 00:21:02,061 --> 00:21:06,061 お殿さま! お許しを! お殿さま! 267 00:21:08,067 --> 00:21:11,070 お許しを… お許しを… 268 00:21:11,070 --> 00:21:17,076 わたしは あとから寺に来て 事の次第を すべて知った… 269 00:21:17,076 --> 00:21:21,080 そのとき 既に あずさどのは 直康の命によって・ 270 00:21:21,080 --> 00:21:28,087 その場から 側室の住まわれる 奥御殿へ移されていた… 271 00:21:28,087 --> 00:21:32,091 しかし わたしは どうしても殿に… 272 00:21:32,091 --> 00:21:34,093 どうしても 殿にお会いして! 273 00:21:34,093 --> 00:21:37,096 あずさ! (主馬)小一郎! 小一郎! 274 00:21:37,096 --> 00:21:39,098 放せ! 放してくれ 主馬! 275 00:21:39,098 --> 00:21:42,101 ひと言… ひと言 殿に申し上げねば! 276 00:21:42,101 --> 00:21:45,104 小一郎! (矢崎)ええい 控えろ 津島! 277 00:21:45,104 --> 00:21:47,106 矢崎さま! 何とぞ 殿にお目通りを! 278 00:21:47,106 --> 00:21:49,108 委細は寺の者や主馬より 279 00:21:49,108 --> 00:21:52,111 いかに殿とは申せ あまりに ご無体な! 280 00:21:52,111 --> 00:21:56,115 ならん ならん ならん! ここを 何と! 281 00:21:56,115 --> 00:21:59,118 矢崎さま! わたしの 妻となる者を あのように! 282 00:21:59,118 --> 00:22:01,120 それでも黙っておれと 申されるのか! 283 00:22:01,120 --> 00:22:04,123 それが… それが ご主君の家臣に対する… 284 00:22:04,123 --> 00:22:07,126 慮外者! ここを何と心得とる! 285 00:22:07,126 --> 00:22:10,129 思い上がるのも ほどほどにせい! 286 00:22:10,129 --> 00:22:13,132 三村家息女については 前々より 側室に差し出したいという・ 287 00:22:13,132 --> 00:22:17,136 望みがあったからこそ 本日より 奥御殿に入れられたのだ 288 00:22:17,136 --> 00:22:22,141 己が 妻女になると 決めてかかるなど おこがましい 289 00:22:22,141 --> 00:22:26,145 矢崎さまー! 矢崎さま! 290 00:22:26,145 --> 00:22:31,150 矢崎さまー! あずさー! 291 00:22:31,150 --> 00:22:33,152 (主馬)忍ぶんだ 小一郎… 292 00:22:33,152 --> 00:22:36,155 矢崎さまが おぬしを閉門にしたのはな・ 293 00:22:36,155 --> 00:22:39,158 しばらくは 家中の者と 顔を合わせては・ 294 00:22:39,158 --> 00:22:42,161 おぬしが気の毒と 思われたればこそだ 295 00:22:42,161 --> 00:22:47,166 三村どのや ご親族もな おぬしに合わせる顔がない 296 00:22:47,166 --> 00:22:49,168 腹かき切って おわびをせねば・ 297 00:22:49,168 --> 00:22:52,171 親 親族としての 分が立たぬと申された 298 00:22:52,171 --> 00:22:54,171 しかし… 299 00:22:56,175 --> 00:23:01,175 何か殿から ご沙汰があったのか 300 00:23:03,115 --> 00:23:08,120 津島 三村両家のうち たとえ1名たりといえども・ 301 00:23:08,120 --> 00:23:12,124 自害切腹に至る者あれば 両家とも取り潰し・ 302 00:23:12,124 --> 00:23:16,128 切腹断罪申しつける… 303 00:23:16,128 --> 00:23:21,133 主君の命に逆らうはおろか 面当てがましく死に至るならば・ 304 00:23:21,133 --> 00:23:25,137 断じて そのままには捨ておかぬ 305 00:23:25,137 --> 00:23:28,140 あずさどのにさえ そう申しつけられたと・ 306 00:23:28,140 --> 00:23:30,140 矢崎さまから… 307 00:23:33,145 --> 00:23:39,151 主馬… 奥御殿のうち いちばん手薄な所は どこだ? 308 00:23:39,151 --> 00:23:43,151 なに・ (小一郎)裏門か? それとも… 309 00:23:45,157 --> 00:23:49,161 (小一郎)わたしが 恥を忍んで 生き長らえたのは・ 310 00:23:49,161 --> 00:23:54,166 今は亡き母が 存命中であったからでもあった… 311 00:23:54,166 --> 00:23:57,102 しかし その閉門も程なく解けた 312 00:23:57,102 --> 00:24:02,107 そして わたしに 突然 ご加増の沙汰があったのだ 313 00:24:02,107 --> 00:24:04,109 ご加増・ 314 00:24:04,109 --> 00:24:06,111 (村井)まあ 長の謹慎・ 315 00:24:06,111 --> 00:24:09,114 おぬしにとっては いわれない 科であったかもしれん 316 00:24:09,114 --> 00:24:12,117 殿も その旨を お考えになられてな 317 00:24:12,117 --> 00:24:15,120 ご加増と共に ご近習ご書院番に取り立てよと 318 00:24:15,120 --> 00:24:17,122 なんと・ (村井)つまり・ 319 00:24:17,122 --> 00:24:19,124 奥の間を守る不寝番として 320 00:24:19,124 --> 00:24:22,127 しばらく しばらくお待ちを! 321 00:24:22,127 --> 00:24:24,129 奥の間と申せば 殿のご寝所 322 00:24:24,129 --> 00:24:28,133 しかも側室の お方と 同室なさる… 323 00:24:28,133 --> 00:24:32,137 村井さま それを承知のうえで わたしに番をせよと! 324 00:24:32,137 --> 00:24:35,140 殿の仰せである しかと (小一郎)村井さま! 325 00:24:35,140 --> 00:24:39,144 いくら殿の仰せとは申せ それだけは承知いたしかねます 326 00:24:39,144 --> 00:24:43,148 わたしの妻となるべき者を あのようにされ しかも その上に 327 00:24:43,148 --> 00:24:45,150 なお 殿のご寝所を守れとは! 328 00:24:45,150 --> 00:24:50,155 黙れ! 殿の仰せである! しかと申し伝えたぞ! 329 00:24:50,155 --> 00:24:54,159 村井さま! 村井さま! 330 00:24:54,159 --> 00:25:01,100 ・~ 331 00:25:01,100 --> 00:25:06,105 おのれ 直康! 直康! 332 00:25:06,105 --> 00:25:12,111 直康… 直康… 直… ウウ… 333 00:25:12,111 --> 00:25:32,131 ・~ 334 00:25:32,131 --> 00:25:35,134 ・~ 335 00:25:35,134 --> 00:25:38,134 小一郎… 336 00:25:40,139 --> 00:25:42,141 今 おぬしのことを聞いた 337 00:25:42,141 --> 00:25:51,150 村井め いかに殿の仰せとはいえ わしに ひと言の断りもなく… 338 00:25:51,150 --> 00:25:55,154 小一郎 一緒に来い 339 00:25:55,154 --> 00:26:00,092 書院へまいって 殿に… 340 00:26:00,092 --> 00:26:04,096 小一郎 わしは どんなに お叱りを受けても・ 341 00:26:04,096 --> 00:26:07,099 必ず お役替えを願い出てやる 342 00:26:07,099 --> 00:26:10,102 よいな? 343 00:26:10,102 --> 00:26:16,108 だから おぬしも たって お断り申すのだ 344 00:26:16,108 --> 00:26:20,112 このままでは… 345 00:26:20,112 --> 00:26:23,115 小一郎 346 00:26:23,115 --> 00:26:32,124 矢崎さま この小一郎めには 既に ご加増もありました… 347 00:26:32,124 --> 00:26:39,131 この上 殿にお断りして 新たなお怒りを買うことも… 348 00:26:39,131 --> 00:26:44,136 なに・ おぬしは… 349 00:26:44,136 --> 00:26:47,139 何の不服もござりませぬ… 350 00:26:47,139 --> 00:26:51,143 主君の命に従うのが 家臣の道 351 00:26:51,143 --> 00:26:54,146 それが武士の生きる道… (矢崎)黙れ! 352 00:26:54,146 --> 00:26:57,082 おのれ ほうけきったか! 353 00:26:57,082 --> 00:27:04,089 矢崎さま… この小一郎 ほうけました 354 00:27:04,089 --> 00:27:07,089 ほうけて ほうけて ほうけきった! 355 00:27:18,103 --> 00:27:20,105 そうか… 356 00:27:20,105 --> 00:27:27,112 おぬしは 何か心に固く決め 策するところがあるのだな? 357 00:27:27,112 --> 00:27:29,114 そうなのだな? 358 00:27:29,114 --> 00:27:32,117 いいえ そのようなことは 一向に 359 00:27:32,117 --> 00:27:34,119 黙れ! そうでなければ・ 360 00:27:34,119 --> 00:27:39,124 己が むざむざと 書院番を受けるわけがない! 361 00:27:39,124 --> 00:27:42,127 小一郎… 362 00:27:42,127 --> 00:27:47,132 おぬしの心中が 分からぬわけではない… 363 00:27:47,132 --> 00:27:52,137 だが 待つのだ! 決して短慮に走るではない! 364 00:27:52,137 --> 00:27:57,075 今度のことについても たって お役替えを願い出るのだ 365 00:27:57,075 --> 00:28:00,075 そのほうが… 366 00:28:05,083 --> 00:28:09,087 そうか… 367 00:28:09,087 --> 00:28:14,092 それほどならば 何も言うまい 368 00:28:14,092 --> 00:28:21,099 だが しかし 己が 万一 短慮に走るならば・ 369 00:28:21,099 --> 00:28:26,104 たとえ それが 殿の無体な 取り扱いにあったとはいえ・ 370 00:28:26,104 --> 00:28:29,107 逆臣として斬る! 371 00:28:29,107 --> 00:28:35,107 よいな このこと しかと おぬしに伝えたぞ 372 00:28:37,115 --> 00:28:41,115 小一郎 よいな? 373 00:28:46,124 --> 00:28:49,127 (小一郎) だが わたしは既に心に決めていた 374 00:28:49,127 --> 00:28:54,132 誰が何と言おうと 主君 直康を殺害するために・ 375 00:28:54,132 --> 00:28:56,134 わたしは 書院番を受けたのだ! 376 00:28:56,134 --> 00:29:01,073 ・あずさの方さま お入り~ 377 00:29:01,073 --> 00:29:21,093 ・~ 378 00:29:21,093 --> 00:29:24,093 ・(村井)津島! 379 00:29:26,098 --> 00:29:29,101 津島! 380 00:29:29,101 --> 00:29:49,121 ・~ 381 00:29:49,121 --> 00:29:51,123 ・(奥女中)あずさどの 382 00:29:51,123 --> 00:29:56,128 (小一郎)わたしは そのとき あずさを殺してはならぬと思った 383 00:29:56,128 --> 00:30:00,065 なんで 今のあずさに罪科があろう 384 00:30:00,065 --> 00:30:03,068 直康を討って あずさと共に死ぬ 385 00:30:03,068 --> 00:30:07,072 それが 一体 何になるか! 386 00:30:07,072 --> 00:30:11,076 あずさと共に生きるのだ! 何としてでも あずさと生きて! 387 00:30:11,076 --> 00:30:15,080 わたしは 再び江戸詰めとなった… 388 00:30:15,080 --> 00:30:19,084 あずさどのは 直康と共に江戸へ来た… 389 00:30:19,084 --> 00:30:22,087 藩の誰もが わたしたちのことを 忘れかけていた… 390 00:30:22,087 --> 00:30:26,091 しかし わたしたちは ひそかに機会を待ち・ 391 00:30:26,091 --> 00:30:31,096 そして 今夜 屋敷に 能役者が招かれた舞台の隙に 392 00:30:31,096 --> 00:30:36,101 屋敷を出たが 追っ手がかかったってわけですね 393 00:30:36,101 --> 00:30:40,105 兄さん なんとかしてあげて! あずささま方を なんとか… 394 00:30:40,105 --> 00:30:44,109 分かってるよ! 分かってるけど… 395 00:30:44,109 --> 00:30:47,112 この辺は すっかり囲まれてるしな 396 00:30:47,112 --> 00:30:49,114 …といって 訳を聞いておきながら 397 00:30:49,114 --> 00:30:52,117 お助けできねえとも 言えねえでしょう 398 00:30:52,117 --> 00:30:55,120 するってえと 棟梁には 何か・ 399 00:30:55,120 --> 00:30:58,056 道はふさがれているが 屋根裏まで ふさがれてるわけじゃない 400 00:30:58,056 --> 00:31:03,061 屋根伝いに逃げるか それとも 力押しに押して囲みを破るか 401 00:31:03,061 --> 00:31:08,066 いずれにしても こいつは命懸けの 仕事になるかもしれませんがね 402 00:31:08,066 --> 00:31:11,069 それと あずささまの そのお姿は 人目につく 403 00:31:11,069 --> 00:31:14,072 おしのちゃん 何か あんたの着物でも 404 00:31:14,072 --> 00:31:18,072 はい! あずささま 405 00:31:25,083 --> 00:31:28,086 かたじけない ご面倒をおかけして 406 00:31:28,086 --> 00:31:30,088 いやぁ! 人を助けるのが・ 407 00:31:30,088 --> 00:31:36,094 俺たちの商売… みてえな もんなんだよ たださ 408 00:31:36,094 --> 00:31:38,096 ほーら また大きな蚊 409 00:31:38,096 --> 00:31:41,099 まだ生きてたか しぶてえな まったく ハハ… 410 00:31:41,099 --> 00:31:46,104 ここの家はね 見てくれも悪いけど 造作も悪くって まったく 411 00:31:46,104 --> 00:31:49,107 いやぁ 俺のとこなんか もっと ひどいよ 412 00:31:49,107 --> 00:31:52,110 大家が相当なけちだと見えてね どぶ板も取り替えねえんだ 413 00:31:52,110 --> 00:31:57,115 それで家賃だけは きちんと 取るんだから 相当しぶといね 414 00:31:57,115 --> 00:31:59,117 (笑い声) 415 00:31:59,117 --> 00:32:02,120 あっ そうだ… 416 00:32:02,120 --> 00:32:08,126 さっき あんたに不義密通だなんて 言ってしまったが 許してくれ 417 00:32:08,126 --> 00:32:11,129 別に悪気があって 言ったわけじゃねえんだ 418 00:32:11,129 --> 00:32:16,134 それに あれは場合によっちゃ なかなかいいもんだ うん 419 00:32:16,134 --> 00:32:20,138 俺もできたら いっぺんぐらい… おい 平さん 外を見張るんだ 外 420 00:32:20,138 --> 00:32:22,138 立つんだ 早く ほら… 421 00:32:27,145 --> 00:32:31,149 申し訳ございません このようなご心配までおかけして 422 00:32:31,149 --> 00:32:34,152 いいえ いいんです 423 00:32:34,152 --> 00:32:39,157 でも… これから先… 424 00:32:39,157 --> 00:32:42,160 わたしにも分かりません… 425 00:32:42,160 --> 00:32:47,165 でも いいんです 今は あの方と一緒に… 426 00:32:47,165 --> 00:32:50,168 たとえ それが つかの間でも… 427 00:32:50,168 --> 00:32:53,168 わたしには それでいいんです 428 00:33:01,113 --> 00:33:07,119 おしのさま… 何のお礼も 申し上げることができませぬが 429 00:33:07,119 --> 00:33:10,122 これは母の形見です 430 00:33:10,122 --> 00:33:14,126 もし このような物でも お受け取りいただければ 431 00:33:14,126 --> 00:33:19,131 あずささま そんな大切な物を (あずさ)いいのです 432 00:33:19,131 --> 00:33:26,138 もうすぐ私には このような物も 要らなくなりましょう 433 00:33:26,138 --> 00:33:34,146 母は 愛しい方のもとに嫁ぐとき これを挿してと申しました 434 00:33:34,146 --> 00:33:40,152 だから 初めて今夜 これを挿してまいりました 435 00:33:40,152 --> 00:33:46,158 今日の日が 私にとって あの方のもとに嫁ぐ・ 436 00:33:46,158 --> 00:33:51,163 女としての うれしい日だったのでございます 437 00:33:51,163 --> 00:33:53,165 でも もうそれも 終わろうとしています 438 00:33:53,165 --> 00:33:58,103 いいえ そんなこと! あずささまと 小一郎さまは・ 439 00:33:58,103 --> 00:34:01,106 きっと追っ手から 逃れることができます! 440 00:34:01,106 --> 00:34:03,108 そうでなければ あんまりじゃありませんか! 441 00:34:03,108 --> 00:34:06,111 せっかく こうして ここまで来たのに・ 442 00:34:06,111 --> 00:34:08,113 そんなことって あるもんですか! 443 00:34:08,113 --> 00:34:12,117 そんな気の弱いことで どうするんです! 444 00:34:12,117 --> 00:34:16,121 強くなりたい… 445 00:34:16,121 --> 00:34:18,123 でも… 446 00:34:18,123 --> 00:34:23,128 ・(清兵衛)ごめんくださいまし ご用意はできましたかな? 447 00:34:23,128 --> 00:34:29,134 ほう これなら どっから見ても 町方の娘さんそっくりだ 448 00:34:29,134 --> 00:34:32,137 いいですか 津島さま あっしが まず梁へ上がって・ 449 00:34:32,137 --> 00:34:35,140 この縄を下ろしますからね それを伝って屋根裏へ 450 00:34:35,140 --> 00:34:38,143 そっから 天窓を通って 屋根瓦へ出ますから・ 451 00:34:38,143 --> 00:34:41,146 まず あっしが あずささまを引き上げましょう 452 00:34:41,146 --> 00:34:45,146 おしのちゃん 文十郎さんを (しの)はい 453 00:34:47,152 --> 00:34:50,152 清兵衛さま 454 00:34:52,157 --> 00:34:56,161 これは私どもに万一のときが ありましたとき 455 00:34:56,161 --> 00:34:58,096 あずささま・ 456 00:34:58,096 --> 00:35:03,101 私とて 小一郎さまと 生き延びとう存じます 457 00:35:03,101 --> 00:35:05,103 でも… 458 00:35:05,103 --> 00:35:09,107 清兵衛どの お受け取り願いたい 459 00:35:09,107 --> 00:35:16,107 同封の金子は わずかなものながら それが わたしどもの せめてもの 460 00:35:22,120 --> 00:35:24,122 ウッ… 461 00:35:24,122 --> 00:35:27,125 あずささま どうなさいました・ 462 00:35:27,125 --> 00:35:30,125 いいんです… (小一郎)あずさどの・ 463 00:35:34,132 --> 00:35:37,132 (平内)どうしなすった? 464 00:35:43,141 --> 00:35:47,145 大丈夫 大丈夫 女には よくあるやつだよ 465 00:35:47,145 --> 00:35:50,145 ヘヘッ… こいつは おめでた… 466 00:35:52,150 --> 00:35:55,150 いや… こりゃ… 467 00:35:57,088 --> 00:36:01,092 あずさ… 468 00:36:01,092 --> 00:36:04,095 まことか…? 469 00:36:04,095 --> 00:36:09,100 小一郎さま… (小一郎)まことか? 470 00:36:09,100 --> 00:36:12,103 いいえ 何でもございませぬ! 471 00:36:12,103 --> 00:36:14,103 まことか? 472 00:36:16,107 --> 00:36:21,112 (泣き声) 473 00:36:21,112 --> 00:36:24,115 あずさ! (あずさ)小一郎さま! お許しを! 474 00:36:24,115 --> 00:36:28,119 なにぃ・ (あずさ)どうか お許しを! 475 00:36:28,119 --> 00:36:31,119 エーイ! (清兵衛)津島さま! 476 00:36:33,124 --> 00:36:36,127 (小一郎)放せ! 放すんだ! 477 00:36:36,127 --> 00:36:39,127 ・(しの)あずささま! 478 00:36:41,132 --> 00:36:43,134 あずさ! (銃声) 479 00:36:43,134 --> 00:36:45,136 寄るな! 津島! 480 00:36:45,136 --> 00:36:49,140 (あずさ)小一郎さま! 私のことは おあきらめください! 481 00:36:49,140 --> 00:36:51,142 あずさの方さまは預かっていく 482 00:36:51,142 --> 00:36:55,146 悔しくば 屋敷へ来い! 待ってるぞ! 483 00:36:55,146 --> 00:36:57,082 放してくれ! 484 00:36:57,082 --> 00:36:59,084 やめろ! 向こうには 飛び道具があるんだい 485 00:36:59,084 --> 00:37:01,084 (小一郎)ああっ! 486 00:37:03,088 --> 00:37:05,090 ああっ おしのちゃん! 487 00:37:05,090 --> 00:37:08,093 ・~ 488 00:37:08,093 --> 00:37:11,093 あずさー! 489 00:37:13,098 --> 00:37:17,102 あずさー! 490 00:37:17,102 --> 00:37:21,102 大門を開けろ! (男性)誘い込むんだ! 491 00:37:24,109 --> 00:37:27,112 あずさー! 492 00:37:27,112 --> 00:37:30,112 あずさ! 493 00:37:32,117 --> 00:37:35,120 待て 奴らの罠だよ (小一郎)放せ 放してくれ! 494 00:37:35,120 --> 00:37:37,120 落ち着くんだ! 495 00:37:39,124 --> 00:37:41,126 ああ… 496 00:37:41,126 --> 00:37:44,129 よいか あずさ 不義を犯した者が 497 00:37:44,129 --> 00:37:48,133 どのようなことになるか 覚悟のうえであろうな 498 00:37:48,133 --> 00:37:52,137 ・(小一郎)あずさー! 499 00:37:52,137 --> 00:37:54,137 見ろ! 500 00:37:58,076 --> 00:38:00,078 あずさ! 501 00:38:00,078 --> 00:38:03,081 (笑い声) 502 00:38:03,081 --> 00:38:05,083 (あずさ)小一郎さま! 503 00:38:05,083 --> 00:38:08,086 (笑い声) 504 00:38:08,086 --> 00:38:10,088 よいか 小一郎 505 00:38:10,088 --> 00:38:14,092 生かすも殺すも この直康の心しだい 506 00:38:14,092 --> 00:38:17,095 だが わしは 殺しはせぬ 507 00:38:17,095 --> 00:38:22,100 生かしておくほうが 楽しいのじゃ 508 00:38:22,100 --> 00:38:27,105 不義を犯して男に抱かれ あえいだであろう お前を・ 509 00:38:27,105 --> 00:38:31,109 再び わしの手で 思いのままに なぶってやる! 510 00:38:31,109 --> 00:38:36,114 それが この直康には楽しいのじゃ ハハハハ… 511 00:38:36,114 --> 00:38:39,117 小一郎さまー! 512 00:38:39,117 --> 00:38:44,122 いいか 直康! 俺の妻を迎えに来た! 513 00:38:44,122 --> 00:38:46,124 今日こそは 貴様の 素っ首を! 514 00:38:46,124 --> 00:38:48,126 (笑い声) 515 00:38:48,126 --> 00:38:53,131 小一郎 惜しくば 取り戻してみよ 516 00:38:53,131 --> 00:38:55,133 ええい! 517 00:38:55,133 --> 00:39:00,133 (笑い声) 518 00:39:02,073 --> 00:39:04,075 アーッ! 519 00:39:04,075 --> 00:39:17,088 ・~ 520 00:39:17,088 --> 00:39:20,091 おのれー! あーっ! 521 00:39:20,091 --> 00:39:24,095 ・~ 522 00:39:24,095 --> 00:39:29,095 (平内)やめるんだ 文さん! 相手には飛び道具がある 文さん! 523 00:39:43,114 --> 00:39:46,117 小一郎さま! 524 00:39:46,117 --> 00:39:49,117 小一郎さまー! 525 00:39:52,123 --> 00:39:57,061 (うめき声) 526 00:39:57,061 --> 00:40:01,061 小一郎さま… (直康)おのれ 不義者め 527 00:40:03,067 --> 00:40:05,069 (銃声) 528 00:40:05,069 --> 00:40:09,073 (悲鳴) 529 00:40:09,073 --> 00:40:16,080 ・~ 530 00:40:16,080 --> 00:40:25,080 (笑い声) 531 00:40:27,091 --> 00:40:29,091 アアッ! 532 00:40:32,096 --> 00:40:34,098 いけねえ 文さん! 533 00:40:34,098 --> 00:40:54,118 ・~ 534 00:40:54,118 --> 00:41:11,069 ・~ 535 00:41:11,069 --> 00:41:17,075 (しの)兄さん… なぜ助けてあげられなかったの? 536 00:41:17,075 --> 00:41:20,075 どうしても駄目だったの? 537 00:41:22,080 --> 00:41:28,086 あの2人は あんなに一生懸命 生きようとしてたのに… 538 00:41:28,086 --> 00:41:33,086 どうして 助けてあげることが できなかったの? 539 00:41:35,093 --> 00:41:40,098 しかしな しの… どうしようも なかったことかもしれん 540 00:41:40,098 --> 00:41:44,102 生きていけばいくだけ 2人は苦しかったかもしれん 541 00:41:44,102 --> 00:41:49,107 でも… あんなに強く 結び合おうとすることが・ 542 00:41:49,107 --> 00:41:53,111 男にも女にもあるのね 543 00:41:53,111 --> 00:41:56,114 あんなに… 544 00:41:56,114 --> 00:42:11,129 ・~ 545 00:42:11,129 --> 00:42:15,133 あのね 棟梁が どうするんだって言ってますよ 546 00:42:15,133 --> 00:42:20,138 どうする? (利吉)助け人が 助けられなかった 547 00:42:20,138 --> 00:42:23,141 このまま 引っ込んでいるつもりかって 548 00:42:23,141 --> 00:42:29,147 この金は あの2人から預かった 手紙の間から出てきた金です 549 00:42:29,147 --> 00:42:32,150 このままじゃ あの2人は浮かばれまい 550 00:42:32,150 --> 00:42:35,153 その2人の 気の済むようにしてあげるのも・ 551 00:42:35,153 --> 00:42:38,153 助け人の仕事じゃねえかって 552 00:42:40,158 --> 00:42:43,161 平内さんにもね 同じことを言ったんですけどね・ 553 00:42:43,161 --> 00:42:47,165 それは俺たちの仕事じゃねえって 言うんですよ 554 00:42:47,165 --> 00:42:50,168 助け人は 人助けのために 人を殺しても・ 555 00:42:50,168 --> 00:42:52,170 殺すために人を殺したりはしない 556 00:42:52,170 --> 00:42:56,174 あの2人を浮かばれるように するのは 坊主の仕事だってね 557 00:42:56,174 --> 00:42:59,110 俺は そうは思わねえんだが 558 00:42:59,110 --> 00:43:19,130 ・~ 559 00:43:19,130 --> 00:43:38,149 ・~ 560 00:43:38,149 --> 00:43:41,152 来たな 561 00:43:41,152 --> 00:43:43,154 よう 562 00:43:43,154 --> 00:43:49,160 やっぱり あの2人を 成仏させるのは坊主の仕事だよ 563 00:43:49,160 --> 00:43:54,160 しかし よく考えたら フッ… 俺も坊主だったんでな 564 00:43:56,167 --> 00:43:59,103 行こうか… 565 00:43:59,103 --> 00:44:09,113 ・~ 566 00:44:09,113 --> 00:44:29,133 ・~ 567 00:44:29,133 --> 00:44:48,152 ・~ 568 00:44:48,152 --> 00:45:00,152 ・~ 569 00:45:49,146 --> 00:45:58,089 ・~ 570 00:45:58,089 --> 00:46:02,093 出合え! 狼藉者じゃ! 571 00:46:02,093 --> 00:46:07,098 直康どの あんたは3人の命を奪った 572 00:46:07,098 --> 00:46:11,102 津島小一郎 その妻 あずさ 573 00:46:11,102 --> 00:46:15,106 そして あんたの子供の命もだ 574 00:46:15,106 --> 00:46:17,108 なにぃ・ 子供? 575 00:46:17,108 --> 00:46:20,111 あずさは お前の子供を 身ごもっていた 576 00:46:20,111 --> 00:46:23,114 その子まで殺しやがって! 577 00:46:23,114 --> 00:46:25,116 地獄へ行きやがれ! 578 00:46:25,116 --> 00:46:37,128 ・~ 579 00:46:37,128 --> 00:46:39,130 殿! 580 00:46:39,130 --> 00:46:59,083 ・~ 581 00:46:59,083 --> 00:47:04,088 ・~ 582 00:47:04,088 --> 00:47:09,093 <助け人の存在を証明する記録は 何も現存していない> 583 00:47:09,093 --> 00:47:13,097 <ただ 江戸の庶民たちは 彼らを 「義賊」という名で 584 00:47:13,097 --> 00:47:19,103 あるいは 「世直し」という名で ひそかに語り続けた> 585 00:47:19,103 --> 00:47:24,103 <伝えられる 闇の助け人の 総数26人> 586 00:47:32,116 --> 00:47:52,136 ・~ 587 00:47:52,136 --> 00:48:12,089 ・~ 588 00:48:12,089 --> 00:48:32,109 ・~ 589 00:48:32,109 --> 00:48:52,129 ・~ 590 00:48:52,129 --> 00:48:54,129 ・~ 591 00:48:59,070 --> 00:49:02,073 <身投げ 首つり 死に化粧> 592 00:49:02,073 --> 00:49:05,076 <これは すべて 覚悟の自殺のように思われた> 593 00:49:05,076 --> 00:49:08,079 <「金にならない奴は消す」> 594 00:49:08,079 --> 00:49:12,083 <虫けらのように 殺されていった女たちの恨み声> 595 00:49:12,083 --> 00:49:15,083 <次週 『助け人走る』に ご期待ください>