1 00:00:15,224 --> 00:00:17,351 (鹿谷門実) あの旧館の中では―― 2 00:00:21,105 --> 00:00:24,233 時間の流れ方そのものが―― 3 00:00:26,068 --> 00:00:28,362 外とは違っていたんですね 4 00:00:28,446 --> 00:00:30,656 (秒針の音) 5 00:00:31,866 --> 00:00:38,873 ♪~ 6 00:01:22,583 --> 00:01:29,590 ~♪ 7 00:01:38,599 --> 00:01:41,477 (セミの鳴き声) 8 00:01:50,986 --> 00:01:52,154 (鹿谷) 伊波さん 9 00:01:53,864 --> 00:01:54,865 あなたのアリバイを―― 10 00:01:54,949 --> 00:01:57,159 疑ってみようとした 段階で―― 11 00:01:57,243 --> 00:01:59,370 僕が まず思いついたのは―― 12 00:02:00,329 --> 00:02:02,248 旧館内の時計を 何時間か―― 13 00:02:02,331 --> 00:02:04,416 進めるなり 遅らせるなりして―― 14 00:02:04,500 --> 00:02:05,626 中にいる人間に―― 15 00:02:05,709 --> 00:02:09,171 時刻を錯誤させると いった方法でした 16 00:02:09,922 --> 00:02:11,423 みんなが 眠っている間に―― 17 00:02:11,507 --> 00:02:12,716 全ての時計を―― 18 00:02:12,800 --> 00:02:14,927 狂わせておくと いうわけです 19 00:02:15,469 --> 00:02:17,847 (江南孝明) でも 館内の時計を―― 20 00:02:17,930 --> 00:02:21,267 全部 狂わせるのは 大変な手間だし―― 21 00:02:21,559 --> 00:02:24,687 それに 伊波さんは―― 22 00:02:24,770 --> 00:02:26,355 僕が懐中時計を1つ―― 23 00:02:26,438 --> 00:02:28,315 こっそり持ち出して 身に着けていたことを―― 24 00:02:28,399 --> 00:02:30,276 知るはずもなかったから 25 00:02:32,111 --> 00:02:33,362 (鹿谷) だから 僕たちは―― 26 00:02:33,821 --> 00:02:37,408 もっと 固定観念から 自由になる必要があった 27 00:02:38,075 --> 00:02:41,203 例えば 時間を作り出し―― 28 00:02:41,287 --> 00:02:44,373 支配している その装置自体が―― 29 00:02:44,456 --> 00:02:48,252 普通とは異なる速さで 動いていたとしたら 30 00:02:50,296 --> 00:02:52,965 最終的な結論から 言ってしまいましょう 31 00:02:53,883 --> 00:02:57,928 (鹿谷) 旧館の中で動いていた 108個の時計たちは―― 32 00:02:58,012 --> 00:03:01,599 コナンくんのポケットにあった 懐中時計も含めて―― 33 00:03:01,682 --> 00:03:03,893 全てが 1つ残らず―― 34 00:03:03,976 --> 00:03:08,480 外よりも速いテンポで 時を刻んでいた 35 00:03:10,149 --> 00:03:13,819 普通の時計の 1・2倍の速度で 36 00:03:13,903 --> 00:03:15,404 違う言い方をすれば―― 37 00:03:15,487 --> 00:03:16,864 外での50分が―― 38 00:03:16,947 --> 00:03:21,076 旧館の中では1時間として 作動していたということです 39 00:03:22,995 --> 00:03:26,040 昨夜 福西くんから話を聞いたあと―― 40 00:03:26,123 --> 00:03:28,459 あなたのアリバイを証明する―― 41 00:03:28,542 --> 00:03:32,338 この対照表の修正作業に 取り組んでみたんです 42 00:03:39,178 --> 00:03:41,138 1.2倍という数字は―― 43 00:03:41,221 --> 00:03:45,517 この作業の中で さまざまな 事実関係に適合するように―― 44 00:03:45,601 --> 00:03:47,728 導き出された値です 45 00:03:48,938 --> 00:03:51,523 コナンくんたち一行が 旧館に入った―― 46 00:03:51,607 --> 00:03:55,736 7月30日の午後6時を起点として―― 47 00:03:57,279 --> 00:03:58,656 旧館内部の時間が―― 48 00:03:58,739 --> 00:04:03,202 外の1.2倍の速さで 進み続けたとすると―― 49 00:04:03,827 --> 00:04:07,581 1分で10秒 1時間で10分 50 00:04:07,665 --> 00:04:11,418 1日で4時間 3日で半日といった具合に―― 51 00:04:11,502 --> 00:04:15,381 内部と外部との時間差が 広がっていくことになる 52 00:04:24,181 --> 00:04:25,891 (鹿谷) 見事なものでしょう? 53 00:04:35,067 --> 00:04:36,902 この修正をもとに―― 54 00:04:36,986 --> 00:04:40,406 旧館内で事件が起こった時刻の―― 55 00:04:40,489 --> 00:04:43,492 あなたのアリバイを 確かめ直してみました 56 00:04:44,743 --> 00:04:46,120 (鹿谷) 光明寺美琴こと―― 57 00:04:46,203 --> 00:04:48,580 寺井光江が 殺された時刻は―― 58 00:04:48,664 --> 00:04:51,959 7月31日の 午前3時半だと―― 59 00:04:52,042 --> 00:04:53,335 思われていましたが… 60 00:04:53,419 --> 00:04:54,920 (テレビ・・福西) こんな時間に… 61 00:04:55,004 --> 00:04:56,338 (鹿谷) 本当の時刻は―― 62 00:04:56,422 --> 00:05:00,634 それよりも早い 午前1時55分 63 00:05:01,510 --> 00:05:03,804 あの電話を かけてくるまでに―― 64 00:05:03,887 --> 00:05:05,723 自由に 行動できる時間が―― 65 00:05:05,806 --> 00:05:09,393 およそ1時間半 あなたには ありました 66 00:05:13,022 --> 00:05:15,941 樫 早紀子と 渡辺涼介が殺され―― 67 00:05:16,025 --> 00:05:19,737 新見こずえが犯人の姿を 目撃したのは―― 68 00:05:20,237 --> 00:05:24,074 8月1日の 午前0時前後ではなく―― 69 00:05:24,158 --> 00:05:28,078 本当は 31日の午後7時から―― 70 00:05:28,162 --> 00:05:30,664 7時半ごろだとすれば―― 71 00:05:31,040 --> 00:05:34,126 僕と福西くんが 時計館を訪れる―― 72 00:05:34,209 --> 00:05:37,004 午後9時の2時間も前 73 00:05:37,087 --> 00:05:38,088 つまり―― 74 00:05:38,630 --> 00:05:41,008 あなたの犯行は 可能になる 75 00:05:41,383 --> 00:05:42,468 更に―― 76 00:05:42,551 --> 00:05:47,723 内海篤志と河原崎潤一が 殺された8月1日の―― 77 00:05:47,806 --> 00:05:50,809 午後0時半から 1時というのも―― 78 00:05:51,268 --> 00:05:56,648 本当は 同じ1日の 午前5時25分以降 79 00:05:56,732 --> 00:05:59,193 その夜 僕と福西くんは―― 80 00:05:59,276 --> 00:06:00,861 あなたに 勧められるまま―― 81 00:06:00,944 --> 00:06:03,739 時計館に 宿泊する運びとなり―― 82 00:06:03,822 --> 00:06:06,658 午前4時には ベッドに入っていた 83 00:06:06,950 --> 00:06:08,160 それ以降なら―― 84 00:06:08,243 --> 00:06:11,830 旧館で犯行を行うことも 当然 可能 85 00:06:14,416 --> 00:06:17,586 瓜生民佐男が殺され コナンくんが襲われた―― 86 00:06:17,669 --> 00:06:21,048 8月2日の 午前1時前後も―― 87 00:06:21,131 --> 00:06:26,678 本当の時刻は8月1日の 午後3時50分ごろとなり 88 00:06:26,887 --> 00:06:28,222 僕と福西くんは―― 89 00:06:28,305 --> 00:06:31,183 老人ホームで 馬淵長平氏と会ったあと 90 00:06:31,266 --> 00:06:33,852 時計館に戻る途中だった 91 00:06:33,936 --> 00:06:38,065 つまり あなたは 時計館に1人でいた 92 00:06:40,734 --> 00:06:43,112 (鹿谷) あなたは 全ての事件において―― 93 00:06:43,195 --> 00:06:47,116 全くアリバイを持たないということが 明らかになったのです 94 00:06:48,367 --> 00:06:51,245 さっき列挙した疑問を 解いていきましょうか 95 00:06:51,829 --> 00:06:56,542 (鹿谷) まず 参加者全員を 霊衣に着替えさせた件ですが 96 00:06:56,625 --> 00:07:01,255 その目的は 腕時計を外させることだった 97 00:07:02,005 --> 00:07:05,342 (江南)“霊は不純物を嫌う”という 理屈をつけて―― 98 00:07:05,425 --> 00:07:07,219 ラジオやテープレコーダーなど―― 99 00:07:07,302 --> 00:07:10,973 正しい時間を知ることができる道具を 持ち込ませない 100 00:07:11,807 --> 00:07:13,559 あらかじめ 光明寺さんに―― 101 00:07:13,642 --> 00:07:16,436 そうするよう 頼んでおいたんですよね? 102 00:07:17,146 --> 00:07:21,650 (鹿谷) 次に どうして犯人は 凶器に時計を使い―― 103 00:07:21,733 --> 00:07:26,363 犯行を終えたあと 旧館内の時計を 全て壊して回ったのか 104 00:07:27,281 --> 00:07:30,742 (鹿谷) 外とは異なる速さで 時を刻んでいた時計は―― 105 00:07:30,826 --> 00:07:33,537 1つ残らず壊す必要がある 106 00:07:33,620 --> 00:07:37,332 しかし 犯行後に 破壊作業だけを行ったのでは―― 107 00:07:37,416 --> 00:07:39,209 あまりに不自然です 108 00:07:39,293 --> 00:07:43,088 そこで 初めから 凶器に使って壊すことで―― 109 00:07:43,172 --> 00:07:45,215 カムフラージュをした 110 00:07:46,175 --> 00:07:47,676 どうして犯人は―― 111 00:07:47,759 --> 00:07:51,346 ポリタンクの飲料水に 睡眠薬を混ぜたのか 112 00:07:51,430 --> 00:07:54,224 (鹿谷) そこには みんなの体内時計を―― 113 00:07:54,308 --> 00:07:57,311 くるわせてしまおうという 意図があった 114 00:07:57,394 --> 00:08:00,564 どんどん時間がズレていくのを 悟られないように―― 115 00:08:00,564 --> 00:08:04,151 全員を睡眠薬漬けの状態にした 116 00:08:04,234 --> 00:08:06,528 なんだか すごく… 117 00:08:08,197 --> 00:08:09,990 眠いんだよ 118 00:08:10,073 --> 00:08:14,244 どうして カメラマンの 内海篤志を殺す必要があったのか 119 00:08:15,078 --> 00:08:16,663 (鹿谷) 最近のカメラには―― 120 00:08:16,747 --> 00:08:20,250 撮った日付や時刻を 写真に写し込むための―― 121 00:08:20,334 --> 00:08:22,252 時計が内蔵されている 122 00:08:22,336 --> 00:08:24,463 あなたは そのことに気づき… 123 00:08:24,546 --> 00:08:26,465 (内海篤志) どうして こんなことが… 124 00:08:26,548 --> 00:08:31,470 (鹿谷) 一刻も早くカメラを奪って 電池を抜く必要に迫られた 125 00:08:32,054 --> 00:08:36,975 だから 彼を殺害して カメラとフィルムを処分した 126 00:08:45,192 --> 00:08:46,360 まだありますよ 127 00:08:46,985 --> 00:08:50,822 (鹿谷) どうして犯人は 最初の2つの殺人のあと―― 128 00:08:50,906 --> 00:08:53,659 新見こずえの部屋をノックしたのか 129 00:08:54,785 --> 00:08:57,704 あなたは わざと 新見さんの部屋をノックして―― 130 00:08:57,788 --> 00:09:00,707 彼女に自分の姿を目撃させ―― 131 00:09:00,791 --> 00:09:06,129 犯人が現れた正確な旧館内時刻を 明示しようとした 132 00:09:06,630 --> 00:09:09,383 いくら 外で完璧なアリバイを作っても―― 133 00:09:09,466 --> 00:09:12,552 中における事件の発生時刻が 曖昧だったら―― 134 00:09:12,636 --> 00:09:14,263 何にもならないからです 135 00:09:15,889 --> 00:09:19,559 (江南) 僕を殺さなかったのも 同じ理由なんですね? 136 00:09:20,310 --> 00:09:23,689 旧館内で 何日の何時に誰が殺され―― 137 00:09:23,772 --> 00:09:25,983 犯人が いつ現れたのか―― 138 00:09:26,066 --> 00:09:29,611 証言できる人間として 生き残らせるため 139 00:09:30,279 --> 00:09:31,530 (江南) ひょっとして… 140 00:09:32,155 --> 00:09:34,283 ダイイング・メッセージ? 141 00:09:34,366 --> 00:09:35,993 (鹿谷) だからこそ―― 142 00:09:36,076 --> 00:09:39,288 あなたは コナンくんの命を 奪うわけにはいかず―― 143 00:09:39,371 --> 00:09:43,709 洗面所に閉じ込め 照明を壊して真っ暗にして―― 144 00:09:43,792 --> 00:09:47,337 なるべく 時間感覚をくるわせようとした 145 00:09:47,879 --> 00:09:50,924 元の時間の流れに引き戻すため―― 146 00:09:51,008 --> 00:09:53,343 そうする必要があったわけです 147 00:09:55,512 --> 00:09:56,888 最後の1つ 148 00:09:57,347 --> 00:10:01,518 どうして犯人は 4人の死体を森に埋めたのか 149 00:10:02,019 --> 00:10:03,603 答えは明白です 150 00:10:04,521 --> 00:10:07,232 (鹿谷) 検視によって 推定される死亡時刻を―― 151 00:10:07,316 --> 00:10:10,152 なるべく 曖昧なものにしたかったから 152 00:10:10,235 --> 00:10:11,528 (鹿谷) そうでしょう? 153 00:10:13,363 --> 00:10:16,533 旧館内時刻と 正しい時刻との差は―― 154 00:10:16,616 --> 00:10:19,661 時間がたてばたつほど 広がっていきます 155 00:10:20,329 --> 00:10:23,415 (江南) 1日で4時間 2日で8時間 156 00:10:23,498 --> 00:10:26,251 旧館を出る予定の3日後には12時間 157 00:10:26,335 --> 00:10:28,337 半日もズレます 158 00:10:28,420 --> 00:10:31,631 (鹿谷) 樫 早紀子と渡辺涼介を 殺したとき―― 159 00:10:31,715 --> 00:10:34,384 5時間程度であった その時差が―― 160 00:10:34,468 --> 00:10:39,097 内海篤志や河原崎潤一のときは 7時間以上となり―― 161 00:10:39,181 --> 00:10:41,558 瓜生民佐男のときには9時間 162 00:10:41,641 --> 00:10:45,187 小早川茂郎に至っては もっと広がっていた 163 00:10:45,270 --> 00:10:47,939 死体が警察の手に渡れば―― 164 00:10:48,023 --> 00:10:50,192 死後経過時間が短い―― 165 00:10:50,275 --> 00:10:52,402 つまり 新しい死体ほど―― 166 00:10:52,486 --> 00:10:56,948 推定される死亡時間の幅が 絞られると予想できる 167 00:10:57,366 --> 00:11:03,246 だから あなたは 新しいものから 順に4つの死体を外へ運び出し―― 168 00:11:03,330 --> 00:11:05,582 森に隠したのです 169 00:11:05,665 --> 00:11:10,879 死体の発見が遅れれば その分 死亡推定時刻も曖昧になる 170 00:11:10,962 --> 00:11:12,506 (鹿谷) そうすれば―― 171 00:11:12,589 --> 00:11:15,884 コナンくんが証言した時刻に 殺されたと―― 172 00:11:15,967 --> 00:11:18,553 警察は判断せざるをえなくなる 173 00:11:19,096 --> 00:11:20,764 そう考えてのことですよね? 174 00:11:25,894 --> 00:11:27,270 (伊波紗世子) 全く… 175 00:11:30,399 --> 00:11:34,194 わたくしには 全く身に覚えのないことでございます 176 00:11:35,278 --> 00:11:36,947 証拠ならばありますよ 177 00:11:46,957 --> 00:11:49,668 (鹿谷) 壊された時計を 何個か修理して―― 178 00:11:49,751 --> 00:11:52,337 針が動く速度を調べてもいい 179 00:11:52,421 --> 00:11:57,509 あるいは 広間の天窓を 調べるという手もある 180 00:11:58,802 --> 00:12:01,054 旧館の広間の12個の天窓には―― 181 00:12:01,138 --> 00:12:04,516 しかるべき仕掛けが 隠されていたはずです 182 00:12:05,308 --> 00:12:08,562 (鹿谷) 恐らく あの天窓は光を通さず―― 183 00:12:08,645 --> 00:12:12,190 中に照明装置が 組み込まれているんでしょう 184 00:12:12,399 --> 00:12:15,735 そして それは 旧館内時間に合わせて―― 185 00:12:15,819 --> 00:12:19,739 明るさの調整が 行われる仕組みになっている 186 00:12:19,823 --> 00:12:22,993 (雷鳴) (雨の音) 187 00:12:23,076 --> 00:12:26,705 (鹿谷)だから あなたは 108個の時計に加え―― 188 00:12:26,788 --> 00:12:29,916 あの天窓も 破壊しなければならなかった 189 00:12:30,500 --> 00:12:31,460 (伊波) ハハッ… 190 00:12:32,544 --> 00:12:34,421 わざわざ わたくしが―― 191 00:12:34,504 --> 00:12:37,591 そんな装置を作ったと おっしゃるのですか? 192 00:12:38,675 --> 00:12:41,178 速さの違う時計もそうです 193 00:12:42,345 --> 00:12:44,514 わたくしには 到底 そんな… 194 00:12:44,598 --> 00:12:45,682 (鹿谷) 伊波さん 195 00:12:47,309 --> 00:12:52,939 あなたは ただ 元からあるものを 利用しただけだった 196 00:12:53,565 --> 00:12:55,901 全ては古峨倫典が―― 197 00:12:55,984 --> 00:12:59,446 あの旧館を建てたときに 作らせたものでした 198 00:13:00,155 --> 00:13:04,576 外界とは 時間の流れ方そのものが異なる 199 00:13:04,659 --> 00:13:07,662 そんな空間を作り出すことこそが―― 200 00:13:07,746 --> 00:13:11,917 彼が この時計館を 建てた目的だったのです 201 00:13:16,379 --> 00:13:17,839 (鹿谷) 15年 202 00:13:18,381 --> 00:13:21,760 いや 16年前になるのかもしれませんね 203 00:13:22,010 --> 00:13:27,098 古峨倫典が中村青司に この屋敷の設計を依頼したとき―― 204 00:13:28,016 --> 00:13:32,312 彼の頭には 既に 明確なビジョンが完成していた 205 00:13:32,854 --> 00:13:34,814 そのビジョンとは―― 206 00:13:34,898 --> 00:13:38,235 “時間の流れを 支配する”ということ 207 00:13:38,735 --> 00:13:40,570 言ってしまえば そう… 208 00:13:40,779 --> 00:13:45,367 彼は 外界よりも先に 未来へたどりつくための―― 209 00:13:45,450 --> 00:13:48,870 一種のタイムマシンを 作り出そうとしていたんです 210 00:13:49,246 --> 00:13:51,122 (江南) なんで そんなものを… 211 00:13:52,749 --> 00:13:54,000 もちろん―― 212 00:13:54,834 --> 00:13:57,671 “永遠”と名付けた一人娘のために 213 00:14:00,715 --> 00:14:04,427 永遠は 母親の時代と同じように―― 214 00:14:04,511 --> 00:14:09,266 16歳の誕生日に 幸せな花嫁になることを夢みていた 215 00:14:09,808 --> 00:14:11,476 にもかかわらず… 216 00:14:11,560 --> 00:14:13,436 (野之宮泰斉) あの娘… 217 00:14:13,520 --> 00:14:17,190 永遠は 16歳の誕生日を前に死ぬだろう! 218 00:14:17,274 --> 00:14:21,027 (鹿谷) 野之宮さんの予言を 裏付けるかのように―― 219 00:14:21,111 --> 00:14:26,992 彼女が治療の難しい病に 侵されているという事実が判明した 220 00:14:27,409 --> 00:14:30,662 (鹿谷) 永遠は16までは生きられない 221 00:14:31,121 --> 00:14:33,582 母と同じウエディングドレスを 着たいという―― 222 00:14:33,665 --> 00:14:36,585 ささやかな夢さえ かなわず―― 223 00:14:36,668 --> 00:14:39,838 その予言どおりに 死ぬことになるのだろう 224 00:14:40,755 --> 00:14:45,343 (鹿谷) 早くに逝った妻の分まで 永遠を溺愛していた倫典は―― 225 00:14:45,427 --> 00:14:48,388 悩み抜き そのあげく―― 226 00:14:48,471 --> 00:14:52,183 彼の心に ひとつの悪夢が生まれた 227 00:14:52,934 --> 00:14:56,062 (古峨倫典) この時間の流れの中では―― 228 00:14:56,146 --> 00:15:00,150 永遠は 16歳の誕生日まで生きられない 229 00:15:00,400 --> 00:15:05,071 ならば 普通よりも速く時間が進んでいく―― 230 00:15:05,155 --> 00:15:07,657 そんな空間を作り出し―― 231 00:15:07,741 --> 00:15:10,952 永遠を その中で生きさせることによって―― 232 00:15:11,036 --> 00:15:17,459 16歳の誕生日に花嫁になるという 夢をかなえてやるのだ 233 00:15:19,252 --> 00:15:23,423 (秒針の音) 234 00:15:23,506 --> 00:15:24,883 (扉の閉まる音) 235 00:15:26,009 --> 00:15:29,429 (鹿谷) そうして 15年前の8月5日 236 00:15:29,512 --> 00:15:33,475 完成したばかりの 時計館の旧館の中で―― 237 00:15:33,933 --> 00:15:37,270 永遠の 満10歳の誕生日を始点として―― 238 00:15:37,354 --> 00:15:42,525 108個の時計たちは 独自の時を刻み始めた 239 00:15:47,447 --> 00:15:52,285 1.2倍の速度で時間が進む その空間の中では―― 240 00:15:52,369 --> 00:15:56,373 10か月で 1年が過ぎ去る計算になります 241 00:16:05,840 --> 00:16:08,218 (セミの鳴き声) 242 00:16:08,301 --> 00:16:13,098 外界での5年後には ちょうど 6年が経過していることになる 243 00:16:13,181 --> 00:16:17,894 従って 予言が示す タイムリミットよりも1年早く―― 244 00:16:17,977 --> 00:16:21,690 永遠は 無事に 16歳の誕生日を迎えられる 245 00:16:22,357 --> 00:16:25,568 そんなことが ホントに可能だったんでしょうか? 246 00:16:26,569 --> 00:16:29,698 (鹿谷) 古峨倫典も 苦心したに違いないね 247 00:16:30,782 --> 00:16:33,326 (鹿谷) 旧館内での108個の時計は―― 248 00:16:33,410 --> 00:16:37,247 恐らく 部下の 服部郁夫に作らせた特注品で―― 249 00:16:37,330 --> 00:16:40,291 正しい時を刻む 本物のコレクションは―― 250 00:16:40,375 --> 00:16:42,377 資料室のケースに収めて―― 251 00:16:42,460 --> 00:16:45,296 誰も触れられないように しておいたんだろう 252 00:16:45,380 --> 00:16:49,843 (鹿谷) 天窓の照明装置も 苦心の跡のひとつだし―― 253 00:16:49,926 --> 00:16:53,888 半地下という構造は 外の温度を遮断する効果がある 254 00:16:53,972 --> 00:16:59,477 完璧な空調装置で 館内全体の気温を一定に保ち―― 255 00:16:59,561 --> 00:17:02,814 季節の違いにも 気づかれないようにしていたんだろう 256 00:17:03,398 --> 00:17:07,152 でも 古峨永遠は 屋敷の外にも出たはずじゃ… 257 00:17:07,736 --> 00:17:09,946 (鹿谷) 永遠が外へ散歩に出るのは―― 258 00:17:10,029 --> 00:17:13,450 館内と館外の昼夜が うまく一致し―― 259 00:17:13,533 --> 00:17:16,995 なおかつ 気温や景色などに 矛盾がないような―― 260 00:17:17,078 --> 00:17:20,331 限られた時間にしか 許されなかったはずだ 261 00:17:20,623 --> 00:17:23,668 周りの森には常緑樹が多いし―― 262 00:17:23,752 --> 00:17:28,131 秋の中ごろを初夏と偽ることも 可能だったんじゃないか 263 00:17:28,965 --> 00:17:32,552 永遠を16歳の誕生日まで 生きさせることこそが―― 264 00:17:32,635 --> 00:17:37,348 彼女への最大の愛なのだと 倫典は信じて疑わなかった 265 00:17:37,932 --> 00:17:42,103 (鹿谷) そんな彼のことを 親友の馬淵長平氏は… 266 00:17:42,187 --> 00:17:46,900 (馬淵長平) だがな なにも あそこまでせずともよいものを… 267 00:17:46,983 --> 00:17:48,526 うん? “あそこまで?” 268 00:17:48,610 --> 00:17:50,361 “あそこまで”というのは どういう意味ですか? 269 00:17:50,987 --> 00:17:54,574 (馬淵) 娘の夢をかなえてやるために―― 270 00:17:55,116 --> 00:17:57,577 ヤツはヤツで必死だった 271 00:17:57,660 --> 00:18:01,164 (馬淵) だが 倫典は… 272 00:18:01,498 --> 00:18:06,461 あれは 正気をなくしておったよ 273 00:18:07,212 --> 00:18:10,465 あんな屋敷まで建てて… 274 00:18:10,548 --> 00:18:12,675 あんな… 275 00:18:13,343 --> 00:18:15,220 あんな… 276 00:18:15,303 --> 00:18:19,015 (江南) 振子の部屋のレコード ジャケットは 全部 手作りで―― 277 00:18:19,098 --> 00:18:22,143 レーベルが貼り替えられていたのも 妙だと思いました 278 00:18:22,435 --> 00:18:26,397 (鹿谷) あれも倫典の苦心の跡のひとつさ 279 00:18:27,065 --> 00:18:29,901 ジャケットなどに記載された 曲の演奏時間を―― 280 00:18:29,984 --> 00:18:33,279 永遠の目に触れさせるわけには いかなかったから 281 00:18:34,364 --> 00:18:40,161 こうして 時計館の内部では 外界とは違う時間が流れ―― 282 00:18:40,578 --> 00:18:45,542 不自由な暮らしの中で 体が日に日に弱っていく永遠は―― 283 00:18:45,625 --> 00:18:48,628 至る所に置かれた 時計たちに対して―― 284 00:18:48,711 --> 00:18:51,422 いらだちと憎しみを抱きながらも―― 285 00:18:51,506 --> 00:18:54,509 16歳の誕生日を夢み続けた 286 00:19:01,474 --> 00:19:03,810 (鹿谷) そして 6年が過ぎ―― 287 00:19:03,893 --> 00:19:08,064 あと数日で 待ちに待ったときが やって来るというある日 288 00:19:08,147 --> 00:19:13,069 永遠は 寺井明江に連れられて 久しぶりに庭へ出たのでしょう 289 00:19:13,653 --> 00:19:17,198 それが 外界での1979年 290 00:19:17,740 --> 00:19:21,536 10年前の7月29日のことだった 291 00:19:27,750 --> 00:19:30,503 (鹿谷) 永遠は 明江が目を離した隙に―― 292 00:19:30,587 --> 00:19:32,672 1人 森の中に入り―― 293 00:19:32,755 --> 00:19:37,218 福西くんたち4人と出会い 言葉を交わした 294 00:19:38,553 --> 00:19:40,555 (10歳の早紀子) あなたは 誰? 295 00:19:41,556 --> 00:19:43,182 (古峨永遠) 私は永遠 296 00:19:43,474 --> 00:19:44,893 古峨永遠 297 00:19:44,976 --> 00:19:47,437 (11歳の河原崎) ここで何してるの? 298 00:19:48,313 --> 00:19:53,693 お庭を散歩していたら 森の中から声が聞こえたの 299 00:19:54,611 --> 00:19:58,615 とても楽しそうな声だったから つい 見に来てしまって 300 00:19:59,282 --> 00:20:01,242 (鹿谷) 僕は想像します 301 00:20:01,743 --> 00:20:05,413 その日 永遠の様子が 急変したのは きっと―― 302 00:20:05,496 --> 00:20:08,041 彼ら4人の子供たちの口から―― 303 00:20:08,124 --> 00:20:12,128 あるショッキングな事実を 聞かされたからに違いない 304 00:20:12,795 --> 00:20:14,464 (永遠) そんなことないわ 305 00:20:15,089 --> 00:20:19,010 だって 今年は80年なんだから 306 00:20:20,762 --> 00:20:21,930 (早紀子) 違うよ 307 00:20:22,889 --> 00:20:24,057 えっ? 308 00:20:25,350 --> 00:20:26,768 (早紀子) 今日はね 309 00:20:27,685 --> 00:20:31,689 79年の7月29日 310 00:20:32,941 --> 00:20:34,025 でしょ? 311 00:20:35,068 --> 00:20:36,402 (11歳の福西) うん 312 00:20:36,486 --> 00:20:42,158 (福西) 今日は1979年の7月29日だけど 313 00:20:42,241 --> 00:20:44,243 (鹿谷) そんな たあいのない会話で―― 314 00:20:44,327 --> 00:20:48,998 永遠は 外界における 正しい時間を知ってしまった 315 00:20:49,415 --> 00:20:50,541 (永遠) ウソよ 316 00:20:53,544 --> 00:20:54,504 ウソ… 317 00:20:54,587 --> 00:20:55,546 ウソ! 318 00:20:56,506 --> 00:20:57,340 イヤ! 319 00:20:57,423 --> 00:21:01,636 (鹿谷) 同時に 自分が15歳にもなっていないこと 320 00:21:01,719 --> 00:21:03,638 16の誕生日までには―― 321 00:21:03,721 --> 00:21:06,599 まだ1年以上もあることに 気づいてしまった 322 00:21:09,727 --> 00:21:11,270 私をダマしてたの? 323 00:21:13,064 --> 00:21:15,316 私は まだ14歳 324 00:21:15,400 --> 00:21:17,944 誕生日が来ても 結婚なんかできないじゃない! 325 00:21:19,237 --> 00:21:20,488 どうして? 326 00:21:20,947 --> 00:21:22,448 どうして? 327 00:21:22,532 --> 00:21:25,201 どうして ずっと 私をダマしてたの!? 328 00:21:26,327 --> 00:21:29,205 ねえ 答えてよ お父さま! 329 00:21:29,288 --> 00:21:30,164 (倫典) ハハッ… 330 00:21:30,248 --> 00:21:32,917 何をバカなことを言ってる 331 00:21:34,877 --> 00:21:38,172 そんなことがあるはずがないだろう 332 00:21:38,256 --> 00:21:40,216 ウソよ ウソ! 333 00:21:40,299 --> 00:21:43,094 みんなが そろって 私をダマしてるの! 334 00:21:43,761 --> 00:21:44,721 イヤ! 335 00:21:46,305 --> 00:21:47,557 イヤーッ! 336 00:21:49,851 --> 00:21:51,227 どうして自分は―― 337 00:21:51,310 --> 00:21:55,314 外の世界とは違う時間の流れの中に 置かれてきたのか 338 00:21:55,398 --> 00:21:56,774 どうして みんなは―― 339 00:21:56,858 --> 00:22:00,361 寄ってたかって 自分のことをダマし続けてきたのか 340 00:22:00,611 --> 00:22:03,906 永遠は考え 答えに行き当たった 341 00:22:04,574 --> 00:22:06,159 それは 自分が―― 342 00:22:06,242 --> 00:22:11,289 本当の16歳の誕生日までは 生きられないからなのだと 343 00:22:12,498 --> 00:22:16,210 (鹿谷) 失意の底に 突き落とされた彼女は… 344 00:22:17,170 --> 00:22:19,589 (ドアをたたく音) 345 00:22:21,174 --> 00:22:24,343 (鹿谷) 母親の形見だった ドレスを切り裂き―― 346 00:22:24,427 --> 00:22:26,054 それを身にまとうと… 347 00:22:27,472 --> 00:22:29,182 (ドアをたたく音) 348 00:22:29,891 --> 00:22:32,101 (ドアをたたく音) 349 00:22:36,647 --> 00:22:37,982 (刺す音) 350 00:22:42,320 --> 00:22:44,530 (鹿谷) 正午まで あまり時間がないな 351 00:22:44,614 --> 00:22:45,740 急ぎましょう 352 00:22:46,574 --> 00:22:48,284 殺人の計画について―― 353 00:22:48,367 --> 00:22:52,413 あなたが光明寺美琴に どのように協力を要請したのか―― 354 00:22:52,497 --> 00:22:54,332 想像に頼るしかありませんが―― 355 00:22:54,415 --> 00:22:55,333 例えば… 356 00:22:56,084 --> 00:22:56,959 (鹿谷) 永遠の死は―― 357 00:22:57,043 --> 00:23:01,798 彼らが掘った落とし穴が原因だったと 信じ込ませたとしたら… 358 00:23:01,881 --> 00:23:03,341 (江南) 彼らのせいで―― 359 00:23:03,424 --> 00:23:06,803 姉の明江さんが 自殺することになったと思い込んで―― 360 00:23:06,886 --> 00:23:09,055 復讐に力を貸した? 361 00:23:09,138 --> 00:23:10,807 (鹿谷) 取材のフリをして―― 362 00:23:10,890 --> 00:23:14,602 4人に 過去の罪を思い知らせてやりたい 363 00:23:14,685 --> 00:23:17,188 そんなふうに 持ちかけたんじゃありませんか? 364 00:23:19,565 --> 00:23:23,236 (鹿谷) 特別企画が実現の運びとなり―― 365 00:23:23,319 --> 00:23:26,781 計画を実行に移す前に あなたが まず行ったこと 366 00:23:26,864 --> 00:23:27,698 それは… 367 00:23:33,329 --> 00:23:35,456 (鹿谷) 確かに 針がありませんね 368 00:23:35,540 --> 00:23:39,752 (鹿谷) この塔の大時計の針を 外してしまうということでした 369 00:23:39,836 --> 00:23:41,379 (店主) あの時計塔ですよ 370 00:23:41,462 --> 00:23:44,632 (店主) いつ見ても 好き勝手な時間を指してるので… 371 00:23:44,715 --> 00:23:47,593 “いつ見ても 好き勝手な時間を 指している”というのは―― 372 00:23:47,677 --> 00:23:49,387 単に狂っているわけじゃない 373 00:23:50,012 --> 00:23:52,390 答えは もはや 明らかです 374 00:23:52,849 --> 00:23:56,811 永遠の死後に建てられた この塔の大時計もまた… 375 00:23:56,894 --> 00:23:58,896 (江南) 1.2倍で進んでいるから―― 376 00:23:58,980 --> 00:24:01,774 いつも勝手な時間を 示しているように見えた 377 00:24:04,402 --> 00:24:08,698 そして 7月30日の午後 あなたは―― 378 00:24:09,240 --> 00:24:12,410 取材班の一行を招き入れた 379 00:24:13,494 --> 00:24:17,165 光明寺美琴が みんなを霊衣に着替えさせ―― 380 00:24:17,248 --> 00:24:21,711 腕時計や装身具を 全て外させている間に―― 381 00:24:21,794 --> 00:24:25,214 午後6時 始まりとなる時刻に―― 382 00:24:25,298 --> 00:24:28,509 旧館の時計も 全て6時を指すように―― 383 00:24:28,593 --> 00:24:30,678 前もって調整しておいた 384 00:24:30,761 --> 00:24:35,224 (江南) この向こうが 時計館の旧館 385 00:24:35,308 --> 00:24:40,021 (時鐘音) 386 00:24:40,521 --> 00:24:45,193 (鹿谷) 更に 由季弥くんの部屋から 例のハンドルを持ち出して―― 387 00:24:48,070 --> 00:24:51,073 31日の午前3時 388 00:24:51,157 --> 00:24:54,076 正しくは 午前1時半 389 00:24:54,160 --> 00:24:55,912 打ち合わせを口実に―― 390 00:24:55,995 --> 00:24:59,540 光明寺美琴を 振子の部屋へ呼び出し… 391 00:25:00,917 --> 00:25:02,376 (殴る音) (江南) ハッ… 392 00:25:04,420 --> 00:25:06,505 (江南) 光明寺さん? 393 00:25:08,299 --> 00:25:13,095 (江南) でも どうして 協力者だった光明寺さんを? 394 00:25:15,181 --> 00:25:19,101 (鹿谷) この計画の鍵となる 旧館の秘密を知る者は―― 395 00:25:19,185 --> 00:25:21,395 伊波さん以外には4人 396 00:25:21,479 --> 00:25:25,066 (鹿谷) ひとりは 心を病んでいた由季弥くん 397 00:25:25,149 --> 00:25:30,446 ひとりは 年老いて 頭の働きが 弱ってきている野之宮老人 398 00:25:30,529 --> 00:25:33,449 ひとりは 馬淵長平氏で―― 399 00:25:33,532 --> 00:25:37,411 彼もまた 正しく会話ができないような状態 400 00:25:37,495 --> 00:25:42,375 (鹿谷) 従って 残る1人 美琴の口さえ塞いでしまえば―― 401 00:25:42,458 --> 00:25:47,421 旧館と外界で 時間の速さが違うことを隠し通せる 402 00:25:47,713 --> 00:25:49,799 そう考えてのことですよね? 403 00:25:51,634 --> 00:25:56,055 更に言えば 美琴の死体を 旧館から運び出してしまえば―― 404 00:25:56,138 --> 00:26:00,601 このあと起きる連続殺人の容疑を 彼女に向けさせることができる 405 00:26:00,685 --> 00:26:02,687 そんな期待もあったのでしょう 406 00:26:03,396 --> 00:26:08,985 一方で あなたは 予期せぬ人物の来訪を受けた 407 00:26:09,068 --> 00:26:10,695 (鹿谷) こんばんは 408 00:26:10,778 --> 00:26:12,822 どうも いきなり すいません 409 00:26:12,905 --> 00:26:15,408 (鹿谷) この僕と福西くんです 410 00:26:15,491 --> 00:26:18,411 当然 その場は 追い返したわけですが―― 411 00:26:18,494 --> 00:26:22,331 僕が置いていった あの本に 目を通した段階で―― 412 00:26:22,415 --> 00:26:26,752 外での自分のアリバイの 証明役に使えると考えた 413 00:26:26,836 --> 00:26:29,171 (鹿谷) 光江という名前の 妹がいたはずなんだが… 414 00:26:29,255 --> 00:26:30,381 (電話のベル) 415 00:26:30,464 --> 00:26:32,258 (鹿谷) 午前3時半 416 00:26:32,883 --> 00:26:35,720 光明寺美琴を殺した旧館内時刻に―― 417 00:26:35,803 --> 00:26:39,348 最初のアリバイ工作として 僕に電話をかけ… 418 00:26:39,849 --> 00:26:41,058 伊波さんからだった 419 00:26:41,142 --> 00:26:45,438 (鹿谷) その日の午後9時 僕たちが到着する2時間前 420 00:26:45,521 --> 00:26:49,358 美琴から奪った霊衣を着て 仮面を着け―― 421 00:26:49,442 --> 00:26:51,986 旧館に再び忍び込み… 422 00:26:53,779 --> 00:26:57,283 振子の部屋に告発文を残した 423 00:27:04,790 --> 00:27:07,001 これらの犯行を終え―― 424 00:27:07,084 --> 00:27:08,627 納骨堂から出てきた あなたを―― 425 00:27:08,711 --> 00:27:13,799 たまたま 野之宮老人は 目撃してしまったのでしょう 426 00:27:20,014 --> 00:27:21,599 (鹿谷) ところで伊波さん 427 00:27:22,725 --> 00:27:26,645 右耳辺りの髪を触る癖が ありませんか? 428 00:27:26,729 --> 00:27:28,564 ちょっと気になってたんですが 429 00:27:28,647 --> 00:27:31,025 今日は まるで見られませんね 430 00:27:31,108 --> 00:27:33,235 (銅鑼のような音) 431 00:27:34,737 --> 00:27:36,864 (鹿谷) 何ですか? 今の音 432 00:27:36,947 --> 00:27:38,282 (伊波) 音? 433 00:27:38,366 --> 00:27:40,785 さあ? わたくしには何も 434 00:27:41,077 --> 00:27:44,538 (鹿谷) あれは こっそりと耳に装着していた―― 435 00:27:44,622 --> 00:27:46,540 イヤホンを気にして 436 00:27:48,501 --> 00:27:49,960 (鹿谷) 違いますか? 437 00:27:51,128 --> 00:27:55,508 それって 旧館を盗聴していた? 438 00:27:56,342 --> 00:27:57,259 ああ 439 00:27:57,635 --> 00:27:58,803 送信器のほうは―― 440 00:27:58,886 --> 00:28:03,057 おおかた 広間の円卓の下にでも 仕掛けてあったんだろう 441 00:28:03,349 --> 00:28:04,433 ひょっとしたら―― 442 00:28:04,517 --> 00:28:08,729 小早川茂郎が殺された理由は その辺りかもしれない 443 00:28:08,813 --> 00:28:10,856 (小早川茂郎) これは 一体… 444 00:28:12,108 --> 00:28:16,779 (鹿谷) 音について言えば 僕が引っ掛かってた最後の1つ 445 00:28:17,571 --> 00:28:20,783 僕と福西くんが ここへ来た直後 446 00:28:20,866 --> 00:28:23,994 廊下で聞いた妙な物音の正体も―― 447 00:28:25,079 --> 00:28:29,583 新しい対照表を見れば 一目瞭然でした 448 00:28:30,626 --> 00:28:31,794 (鹿谷) 僕と福西くんが―― 449 00:28:31,877 --> 00:28:33,754 あなたに呼ばれて ここに来た―― 450 00:28:33,838 --> 00:28:36,549 31日の午後9時 451 00:28:36,882 --> 00:28:39,427 旧館内の 偽りの時間では―― 452 00:28:39,510 --> 00:28:42,012 1日の午前2時24分 453 00:28:42,096 --> 00:28:44,473 (銅鑼のような音) 454 00:28:44,557 --> 00:28:46,308 (鹿谷) 何です? (河原崎) おい! 455 00:28:46,392 --> 00:28:48,561 (扉をたたく音) 聞こえないのか? 456 00:28:48,644 --> 00:28:50,312 (小早川) ムリだ 457 00:28:50,771 --> 00:28:52,440 (イヤホン:小早川) この外には―― 458 00:28:52,523 --> 00:28:55,317 もう1枚 同じような鉄の扉が閉まってるんだ 459 00:28:57,319 --> 00:29:01,407 (江南) 閉じ込められた僕たちが 旧館から脱出しようとしたときの… 460 00:29:03,534 --> 00:29:06,579 (鹿谷) 当然 あなたも 聞こえていたはずですが 461 00:29:09,457 --> 00:29:12,918 (鹿谷) 僕の車をパンクさせたのも あなたですね 462 00:29:13,002 --> 00:29:15,713 そうやって 僕らを屋敷に引き止め―― 463 00:29:15,796 --> 00:29:20,551 自分のアリバイを証明する役割を 果たさせようと考えたんでしょう 464 00:29:22,011 --> 00:29:26,056 秘密の通路の入り口を 見つけてしまった新見こずえは―― 465 00:29:26,140 --> 00:29:29,518 通路を通り 納骨堂へたどりつき―― 466 00:29:29,602 --> 00:29:32,730 旧館の外へ出ることに 成功したと思われる 467 00:29:32,813 --> 00:29:35,274 (雷鳴) (新見こずえ) 何なの これ 468 00:29:35,941 --> 00:29:39,403 (鹿谷) 彼女は 死ぬほど驚いたに違いない 469 00:29:39,695 --> 00:29:43,824 今は8月1日の真夜中だと 信じていたのに―― 470 00:29:43,908 --> 00:29:46,035 そこに待ち受けていたのは―― 471 00:29:46,118 --> 00:29:50,456 真夜中ではなく 昼間の世界だったのですから 472 00:29:51,040 --> 00:29:52,917 どうして こんな… 473 00:29:58,547 --> 00:30:01,467 (鹿谷) 新見さんの死体を 棺に隠した あなたは―― 474 00:30:01,550 --> 00:30:03,344 旧館に引き返し―― 475 00:30:03,427 --> 00:30:07,640 振子の部屋に彼女を捜しに来た 瓜生民佐男を殺した 476 00:30:08,432 --> 00:30:12,228 彼を追ってコナンくんが来るだろうと 予想した あなたは―― 477 00:30:12,311 --> 00:30:14,980 死体を居間まで運び―― 478 00:30:15,064 --> 00:30:17,358 “由季弥くんが犯人だ”と 暗示する―― 479 00:30:17,441 --> 00:30:20,945 ダイイング・メッセージを 残したかのように偽装した 480 00:30:24,031 --> 00:30:27,743 (鹿谷) こうして 旧館で起きた事件は全て―― 481 00:30:27,826 --> 00:30:30,246 僕と福西くんが 緑園から戻ってきた―― 482 00:30:30,329 --> 00:30:34,625 1日の午後7時以前に 終わってしまっていたわけです 483 00:30:36,085 --> 00:30:40,673 しかし あなたには まだまだ やるべき仕事が残っていた 484 00:30:41,423 --> 00:30:44,218 (鹿谷) その夜 由季弥くんを 部屋へ連れていって―― 485 00:30:44,301 --> 00:30:45,719 寝かしつけたあと―― 486 00:30:46,303 --> 00:30:49,223 外での 最後のアリバイを作るために―― 487 00:30:49,306 --> 00:30:52,059 ずっと僕たちと離れずにいた 488 00:30:52,560 --> 00:30:56,981 書斎にあった古峨倫典の日記は 本物だったんでしょう 489 00:30:57,064 --> 00:31:00,276 それを 都合の悪い箇所を焦がして―― 490 00:31:00,359 --> 00:31:04,989 判読不可にしたうえで 僕たちに見つけさせた 491 00:31:05,072 --> 00:31:06,657 (伊波) 寝酒をお持ちしました 492 00:31:06,740 --> 00:31:10,202 (鹿谷) 書斎から戻ったあとのブランデー 493 00:31:10,286 --> 00:31:13,622 あの中に 睡眠薬が 入っていたんじゃないかと―― 494 00:31:13,706 --> 00:31:15,374 僕は疑っています 495 00:31:15,916 --> 00:31:20,462 恐らく 田所さんも 同じように眠り込ませておいて―― 496 00:31:20,546 --> 00:31:22,881 あなたは旧館に行き―― 497 00:31:23,507 --> 00:31:25,634 残りの時計を全て壊し―― 498 00:31:28,053 --> 00:31:30,180 天窓も破壊したあと―― 499 00:31:30,806 --> 00:31:34,476 あらかじめ持ち出しておいた 由季弥くんの靴を履いて―― 500 00:31:34,560 --> 00:31:37,021 4人の死体を森へと運び―― 501 00:31:37,521 --> 00:31:43,777 発見を遅らせ 死亡推定時刻を 曖昧なものにするために埋めた 502 00:31:45,404 --> 00:31:48,991 (鹿谷) 更に もう1つ 大きな問題が残っていた 503 00:31:51,619 --> 00:31:55,539 すなわち 福西くんの存在です 504 00:31:56,040 --> 00:31:58,459 (鹿谷) 初めに殺した渡辺涼介は―― 505 00:31:58,542 --> 00:32:01,879 10年前の子供たちの1人ではなかった 506 00:32:02,004 --> 00:32:03,172 あなたは そのことを―― 507 00:32:03,255 --> 00:32:08,052 旧館で瓜生民佐男たちが話すのを 盗聴して知った 508 00:32:08,135 --> 00:32:09,303 (イヤホン:瓜生民佐男) 彼は きっと―― 509 00:32:09,386 --> 00:32:11,472 間違われて殺されたんです 510 00:32:12,056 --> 00:32:13,515 (イヤホン:江南) 間違われて? 511 00:32:14,266 --> 00:32:17,102 (瓜生民佐男) 犯人が 真に狙うべき相手は福西だった 512 00:32:17,186 --> 00:32:18,687 福西涼太 513 00:32:18,771 --> 00:32:22,900 落とし穴を掘った子供の1人が 福西くんだと分かった以上 514 00:32:22,983 --> 00:32:25,861 彼を このまま 放っておくわけにはいかない 515 00:32:26,278 --> 00:32:31,158 あなたは夜中に彼の部屋を訪れ この塔へ誘い出した 516 00:32:31,241 --> 00:32:32,826 (ノック) 517 00:32:35,496 --> 00:32:36,455 (突き落とす音) 518 00:32:45,589 --> 00:32:47,925 (鹿谷) 2日の午後の出来事については―― 519 00:32:48,008 --> 00:32:50,094 あまり言うべきことはありませんね 520 00:32:51,679 --> 00:32:54,264 し… 島田さん 521 00:32:55,224 --> 00:32:56,266 (鹿谷) 振子の部屋で―― 522 00:32:56,350 --> 00:33:00,187 証言者となるコナンくんを 予定どおり助け出す 523 00:33:00,938 --> 00:33:03,816 納骨堂から裏庭に出た僕たちが―― 524 00:33:03,899 --> 00:33:07,361 倒れていた福西くんのもとへ 向かっている間に―― 525 00:33:07,444 --> 00:33:10,823 あなたは 由季弥くんの部屋へと急いだ 526 00:33:11,407 --> 00:33:15,452 ここからは 僕の無責任な想像ですが 527 00:33:16,120 --> 00:33:16,995 (伊波) 由季弥さま 528 00:33:17,079 --> 00:33:21,250 (鹿谷)“機械室の鐘の所で 永遠が あなたを呼んでいる” 529 00:33:21,667 --> 00:33:23,419 そんなふうに言い… 530 00:33:23,836 --> 00:33:25,462 (伊波) 急いで行ってさし上げてください 531 00:33:25,546 --> 00:33:28,257 (古峨由季弥) ホントに? (伊波) はい お姉さまが 532 00:33:33,095 --> 00:33:34,555 (伊波) おやめください! 533 00:33:34,638 --> 00:33:36,056 (突き飛ばす音) 由季弥さま! 534 00:33:36,140 --> 00:33:38,976 (鹿谷) 10年前 我が子を殺した者たちへの―― 535 00:33:39,059 --> 00:33:41,687 復讐を果たしたうえで―― 536 00:33:41,770 --> 00:33:46,150 全ての罪を 由季弥くん1人の身に押しつけた 537 00:33:47,985 --> 00:33:49,069 伊波さん 538 00:33:50,112 --> 00:33:55,659 あなたは どうして それほどまでに あの少年のことを 539 00:33:55,743 --> 00:33:58,746 古峨由季弥くんのことを 憎んでいたのですか? 540 00:34:13,510 --> 00:34:15,554 後悔していたんです 541 00:34:17,055 --> 00:34:18,140 瓜生くんは 542 00:34:24,146 --> 00:34:26,315 10年前の出来事を思い出して―― 543 00:34:27,775 --> 00:34:32,780 自分が掘った落とし穴のせいで 古峨家が不幸に見舞われたこと 544 00:34:36,200 --> 00:34:38,035 それが原因で―― 545 00:34:40,204 --> 00:34:42,748 河原崎くんや 樫さんまで―― 546 00:34:42,831 --> 00:34:45,751 巻き添えを食って 殺されてしまったことにも―― 547 00:34:50,172 --> 00:34:51,965 強い後悔と―― 548 00:34:53,425 --> 00:34:54,927 自責の念を 549 00:34:55,844 --> 00:34:58,722 (瓜生) 君のせいじゃなかったのに… 550 00:35:00,641 --> 00:35:01,934 (江南) それでも… 551 00:35:04,812 --> 00:35:07,189 それでも 彼は必死に―― 552 00:35:10,067 --> 00:35:12,319 真相を明らかにしようと必死で 553 00:35:18,700 --> 00:35:23,288 僕は そんな彼を 助けなきゃいけなかったのに 554 00:35:32,172 --> 00:35:33,298 なのに… 555 00:35:38,303 --> 00:35:39,346 僕は… 556 00:35:42,683 --> 00:35:44,768 何もできなかった 557 00:36:08,500 --> 00:36:09,668 ハァ… 558 00:36:13,046 --> 00:36:15,424 あの夏の出来事を―― 559 00:36:16,466 --> 00:36:18,093 お話ししましょう 560 00:36:22,431 --> 00:36:24,099 あの子が… 561 00:36:26,018 --> 00:36:30,522 私の娘の今日子の姿が 見えなくなったのは―― 562 00:36:31,273 --> 00:36:33,400 8月の15日 563 00:36:34,443 --> 00:36:36,737 永遠さまが亡くなり―― 564 00:36:36,820 --> 00:36:40,782 明江さんが 自殺してしまったあとのことでした 565 00:36:43,035 --> 00:36:46,997 (伊波) わたくしと夫は あちこち捜し回りました 566 00:36:47,080 --> 00:36:48,415 (伊波裕作) 今日子! 567 00:36:49,541 --> 00:36:50,834 今日子! 568 00:36:52,127 --> 00:36:55,213 (伊波) 翌日の午後になって やっと… 569 00:36:55,297 --> 00:36:56,548 今日子! 570 00:36:56,632 --> 00:37:01,887 (伊波) 森の中で 落とし穴に落ちて 動けなくなっているのを―― 571 00:37:01,970 --> 00:37:03,680 発見したのです 572 00:37:04,556 --> 00:37:10,479 転落の際 顔や足に負った傷は かなり ひどいものでした 573 00:37:10,896 --> 00:37:15,025 その傷口から 破傷風に感染してしまい―― 574 00:37:15,525 --> 00:37:16,693 結局… 575 00:37:18,904 --> 00:37:20,656 わたくしは もちろん―― 576 00:37:20,739 --> 00:37:23,700 いたずらで穴を掘った人間を 恨みました 577 00:37:25,077 --> 00:37:26,995 7月の末に見かけた―― 578 00:37:27,079 --> 00:37:31,041 あの子供たちの仕業だろうとも 考えました 579 00:37:32,960 --> 00:37:34,670 けれど まさか… 580 00:37:36,546 --> 00:37:41,593 うん? 由季弥くんが 今日子さんの死に関係していたと? 581 00:37:42,970 --> 00:37:49,226 わたくしが それを知ったのは 翌年の夏になってからでした 582 00:37:50,102 --> 00:37:53,814 新館と この時計塔が完成して―― 583 00:37:53,897 --> 00:37:57,359 由季弥さまの部屋を こちらに移したころ 584 00:37:57,818 --> 00:38:03,115 ふとした きっかけで こんなお話をされたのです 585 00:38:04,992 --> 00:38:07,953 (伊波) 今日子がいなくなった日の夕方 586 00:38:08,495 --> 00:38:13,041 落とし穴に落ちた今日子を 見つけていたというのです 587 00:38:13,917 --> 00:38:15,961 (7歳の由季弥) だけど 僕は―― 588 00:38:16,044 --> 00:38:19,965 誰にも知らせようなんて 思わなかったんだ 589 00:38:20,048 --> 00:38:21,550 どうして… 590 00:38:21,883 --> 00:38:23,885 どうしてでございますか? 591 00:38:24,678 --> 00:38:28,098 (伊波今日子) 誰か 助けて… 592 00:38:30,892 --> 00:38:33,478 助けて! お願い! 593 00:38:33,562 --> 00:38:36,023 (由季弥) このまま放っておいて―― 594 00:38:36,106 --> 00:38:41,194 あの子も お姉さんと同じ 真っ暗な所へ行けばいいんだ 595 00:38:41,278 --> 00:38:43,363 そうすれば お姉さんも―― 596 00:38:43,447 --> 00:38:46,950 独りぼっちで 寂しがらなくても済むから 597 00:38:51,788 --> 00:38:55,625 (由季弥) ごめんね お姉さんのためだったんだ 598 00:39:00,255 --> 00:39:01,715 わたくしは… 599 00:39:05,677 --> 00:39:06,970 確かに… 600 00:39:08,889 --> 00:39:11,892 わたくしが この世で いちばん憎んでいたのは―― 601 00:39:11,975 --> 00:39:14,686 由季弥さまなのかもしれません 602 00:39:15,979 --> 00:39:21,109 もし そのとき 誰かに知らせてくださっていたら―― 603 00:39:21,735 --> 00:39:22,819 今日子が あんなふうに―― 604 00:39:22,903 --> 00:39:26,114 命を落とすことは なかったかもしれない 605 00:39:29,743 --> 00:39:31,828 それでも わたくしは―― 606 00:39:32,496 --> 00:39:33,830 “恨むまい” 607 00:39:34,456 --> 00:39:36,083 (伊波)“憎むまい” 608 00:39:37,250 --> 00:39:39,795 そう自分に言い聞かせて―― 609 00:39:39,878 --> 00:39:43,215 その後の9年間を 生きてまいりました 610 00:39:44,174 --> 00:39:46,968 旦那さまの遺言に従い―― 611 00:39:47,719 --> 00:39:50,138 由季弥さまのお世話をし―― 612 00:39:50,222 --> 00:39:55,644 毎日 旧館の あの狂った時計たちの―― 613 00:39:55,727 --> 00:39:57,479 ネジを巻き続ける 614 00:39:58,230 --> 00:40:01,983 (時計のネジを巻く音) 615 00:40:02,776 --> 00:40:05,403 (時計のネジを巻く音) 616 00:40:07,405 --> 00:40:08,698 (時計のネジを巻く音) 617 00:40:17,707 --> 00:40:19,417 (伊波) 私には―― 618 00:40:19,501 --> 00:40:23,338 それしか なすすべが なかったのです 619 00:40:30,595 --> 00:40:31,763 伊波さん 620 00:40:32,931 --> 00:40:37,477 “沈黙の女神”の詩が 何を意味するものなのか 621 00:40:37,561 --> 00:40:39,688 まだ お伝えしていませんでしたね 622 00:40:46,820 --> 00:40:50,282 (鹿谷)“女神は 沈黙の獄舎に繋がれている” 623 00:40:50,365 --> 00:40:52,742 “1992年8月5日” 624 00:40:52,826 --> 00:40:54,911 “処刑の その日” 625 00:40:55,954 --> 00:41:00,500 この1992年8月5日という日付は―― 626 00:41:00,584 --> 00:41:03,545 もしも永遠が生きていた場合に 迎えるであろう―― 627 00:41:03,628 --> 00:41:06,590 彼女の28歳の誕生日です 628 00:41:06,882 --> 00:41:11,219 そして それは 彼女の母 時代が―― 629 00:41:11,303 --> 00:41:14,556 この世を去ったときの 年齢でもあります 630 00:41:16,099 --> 00:41:19,811 (鹿谷) 例えば こういう想像はできないでしょうか 631 00:41:20,061 --> 00:41:24,399 亡き妻の分身として 娘を愛した倫典の心は―― 632 00:41:24,482 --> 00:41:28,737 ある幻想を自らの内に育んでいった 633 00:41:44,836 --> 00:41:49,674 永遠は 母の時代と同じく 28歳まで生き―― 634 00:41:49,758 --> 00:41:53,053 そして 死ぬべきなのだと 635 00:41:53,929 --> 00:41:58,433 彼自身が館の中に作り出した 時間の中で―― 636 00:41:58,516 --> 00:42:01,895 永遠は 無事に16の誕生日を迎え―― 637 00:42:01,978 --> 00:42:05,732 死の予言も 困難な病をも乗り越えて―― 638 00:42:05,815 --> 00:42:09,027 更に生き続けることができると 639 00:42:10,278 --> 00:42:11,863 (鹿谷) ところが 永遠は―― 640 00:42:11,947 --> 00:42:15,450 16歳の誕生日さえも 迎えることができず―― 641 00:42:15,533 --> 00:42:17,285 死んでしまいました 642 00:42:17,369 --> 00:42:23,708 倫典は 狂気のごとく 嘆き 悲しみ 憤ったことでしょう 643 00:42:23,792 --> 00:42:27,003 そして この時計塔を建てた 644 00:42:28,046 --> 00:42:33,468 だとすれば この詩に出てくる 1992年8月5日というのは―― 645 00:42:33,551 --> 00:42:35,845 本当の日付ではなく―― 646 00:42:35,929 --> 00:42:39,933 倫典が作った この時計館の時間において―― 647 00:42:40,016 --> 00:42:45,146 彼女が迎えるはずだった 28歳の誕生日だと考えるのが―― 648 00:42:45,230 --> 00:42:46,523 妥当ではないか 649 00:42:47,107 --> 00:42:51,903 計算すると 1974年の8月5日から―― 650 00:42:51,987 --> 00:42:55,907 ちょうど15年の時間が経過した 今日こそが―― 651 00:42:55,991 --> 00:42:59,577 “1992年の8月5日”に 当たるんです 652 00:43:00,996 --> 00:43:02,163 (伊波) 永遠さまの 653 00:43:02,247 --> 00:43:04,749 僕の考えが正しければ―― 654 00:43:04,833 --> 00:43:07,002 “時間が果てる”のは―― 655 00:43:07,294 --> 00:43:11,339 永遠の誕生時刻である 正午の可能性が高い 656 00:43:12,632 --> 00:43:14,467 この塔の時計は―― 657 00:43:14,551 --> 00:43:19,889 その時間を計るために この9年間 動き続けてきたということになる 658 00:43:24,686 --> 00:43:27,605 “沈黙の女神”という言葉は―― 659 00:43:28,857 --> 00:43:33,153 あの穴の上方に並んだ 3つの鐘を示す言葉でしょう 660 00:43:34,112 --> 00:43:37,324 9年間 1度も 鳴ることのなかった その鐘が―― 661 00:43:37,407 --> 00:43:41,536 “1992年8月5日”の正午に―― 662 00:43:41,619 --> 00:43:45,498 “ただ一度の歌声”を 奏でるとしたら 663 00:43:45,957 --> 00:43:47,459 (機械の止まる音) 664 00:43:48,251 --> 00:43:53,256 (何かが こすれるような音) 665 00:43:56,926 --> 00:43:57,969 始まった 666 00:44:54,067 --> 00:44:57,195 壁が… 消えていく 667 00:45:08,748 --> 00:45:10,417 砂だったんですよ 668 00:45:12,794 --> 00:45:15,755 壁の随所に はめ込まれた 色ガラスと―― 669 00:45:15,839 --> 00:45:18,758 その外側にあるガラスの間には―― 670 00:45:18,842 --> 00:45:21,177 砂が ぎっしりと詰め込まれていた 671 00:45:21,261 --> 00:45:23,054 その砂が―― 672 00:45:23,138 --> 00:45:28,435 この塔の真下に設けられた空洞へ 落ち始めたんです 673 00:45:31,354 --> 00:45:33,106 (倫典)“女神は――” 674 00:45:33,189 --> 00:45:37,110 “沈黙の獄舎に繋がれている” 675 00:45:37,694 --> 00:45:43,783 “1992年8月5日” 676 00:45:44,117 --> 00:45:46,744 “処刑の その日” 677 00:45:47,412 --> 00:45:50,248 (地響き) 678 00:45:50,790 --> 00:45:56,880 (倫典)“時間は果て 聖堂に七色の光が射し――” 679 00:45:58,131 --> 00:46:01,092 (亀裂の入る音) 680 00:46:04,679 --> 00:46:06,055 (亀裂の入る音) 681 00:46:12,437 --> 00:46:14,564 (衝撃音) 682 00:46:17,400 --> 00:46:19,027 (衝撃音) 683 00:46:19,110 --> 00:46:20,445 (鹿谷) 出ましょう 伊波さん 684 00:46:20,528 --> 00:46:21,988 コナンくん 君もだ 685 00:46:22,071 --> 00:46:23,865 早く 建物の外へ! 686 00:46:23,948 --> 00:46:25,867 (江南) そ… 外へですか? 687 00:46:25,950 --> 00:46:30,413 (地響き) 688 00:46:30,497 --> 00:46:33,917 (倫典) “地を揺るがす叫びの中に――” 689 00:46:34,459 --> 00:46:37,045 “お前たちは聴くだろう” 690 00:46:38,463 --> 00:46:40,798 コナンくん! 早く来るんだ! 691 00:46:44,969 --> 00:46:46,346 (鹿谷) 伊波さん! 692 00:46:47,180 --> 00:46:48,848 あなたも早く! 693 00:46:48,932 --> 00:46:52,852 (カラスの鳴き声) 694 00:46:55,396 --> 00:46:57,148 (鹿谷) 裏口から庭へ逃げるんだ! 695 00:46:57,232 --> 00:46:59,067 (江南) でも 伊波さんが まだ! 696 00:47:10,328 --> 00:47:13,498 (鐘の音) 697 00:47:13,581 --> 00:47:17,794 (鐘の音) 698 00:47:17,877 --> 00:47:19,337 沈黙の女神… 699 00:47:22,257 --> 00:47:24,842 (倫典)“お前たちは聴くだろう” 700 00:47:25,552 --> 00:47:30,431 “沈黙の女神の ただ一度の歌声” 701 00:47:31,683 --> 00:47:35,103 “美しき断末魔の調べを” 702 00:47:36,354 --> 00:47:39,440 機械と連動していない3つの鐘 703 00:47:42,402 --> 00:47:47,407 そんな沈黙の女神に 歌を歌わせる方法は ただ1つ 704 00:47:48,074 --> 00:47:52,912 鐘が固定されている この時計塔自体を倒してしまうこと 705 00:48:15,101 --> 00:48:16,185 (刺さる音) 706 00:48:21,190 --> 00:48:22,025 アッ… 707 00:48:22,609 --> 00:48:25,486 (ガレキの落ちる音) 708 00:48:40,585 --> 00:48:44,380 (倫典)“それは嘆きの歌” 709 00:48:44,464 --> 00:48:48,301 “それは祈りの歌” 710 00:48:49,260 --> 00:48:53,222 “罪深き獣たちの骸とともに――” 711 00:48:54,557 --> 00:48:59,562 “我らの墓標に 捧げられるであろう” 712 00:49:03,066 --> 00:49:04,734 (時計塔の倒れる音) 713 00:49:04,817 --> 00:49:08,488 (鐘の音) 714 00:49:24,253 --> 00:49:25,380 (鹿谷) アア… 715 00:49:26,005 --> 00:49:31,302 ハァハァ ハァハァ… 716 00:49:31,719 --> 00:49:33,846 (江南) 女神の歌声が… 717 00:49:34,847 --> 00:49:36,099 消えた… 718 00:49:38,017 --> 00:49:39,602 ハァハァ… 719 00:49:39,686 --> 00:49:43,022 古峨倫典は なんで こんなこと! 720 00:49:43,648 --> 00:49:45,274 あの歌声は―― 721 00:49:46,567 --> 00:49:48,403 やはり 弔鐘だったのか 722 00:49:49,737 --> 00:49:51,239 弔鐘? 723 00:49:51,948 --> 00:49:54,534 (鹿谷) 死者を悼んで鳴らす鐘 724 00:49:55,201 --> 00:49:59,163 あの屋敷にとどまっていた “生きた魂” 725 00:49:59,247 --> 00:50:02,583 倫典自身と時代 永遠の3人が―― 726 00:50:02,667 --> 00:50:06,713 本当の死を迎え 安らかな眠りに就く 727 00:50:07,171 --> 00:50:10,216 そのための 弔鐘だったのかもしれない 728 00:50:17,306 --> 00:50:20,852 (江南) 729 00:50:21,269 --> 00:50:24,605 730 00:50:30,361 --> 00:50:33,823 (鹿谷) 僕自身 最後まで 半信半疑だったんだけどね 731 00:50:35,241 --> 00:50:38,953 (江南) 前もって言っといてくれたら あんなに慌てなくても済んだのに 732 00:50:39,036 --> 00:50:41,622 一歩間違えたら 僕たちも危なかったんですよ 733 00:50:41,706 --> 00:50:43,249 (鹿谷) ごめん ごめん 734 00:50:43,332 --> 00:50:47,545 いや でもね 9年前に 塔の建設を請け負った業者が―― 735 00:50:47,628 --> 00:50:50,590 途中で替わったという話も あったんだよ 736 00:50:50,757 --> 00:50:51,966 まあ 恐らく―― 737 00:50:52,049 --> 00:50:53,885 基礎部分の工事を済ませて―― 738 00:50:53,968 --> 00:50:57,972 そのあと 別の業者に 塔の部分を造らせたんだろうね 739 00:50:58,890 --> 00:51:01,601 (江南) ンン… 設計者である中村青司は―― 740 00:51:01,684 --> 00:51:03,811 難色を示さなかったんでしょうか? 741 00:51:04,604 --> 00:51:07,482 全てを 承知のうえだったかもしれないし―― 742 00:51:07,565 --> 00:51:10,568 倫典に うまく乗せられたのかもしれない 743 00:51:10,902 --> 00:51:12,528 まあ いずれにせよ 744 00:51:12,612 --> 00:51:16,282 責任を追及できる相手は もう誰もいない 745 00:51:23,706 --> 00:51:24,957 ところで 鹿谷さん 746 00:51:25,041 --> 00:51:26,042 (鹿谷) うん? 747 00:51:26,125 --> 00:51:28,169 警察には もう真相を話したんですか? 748 00:51:30,171 --> 00:51:31,255 (鹿谷) うん? 749 00:51:31,839 --> 00:51:33,800 伊波さんが犯人だったってこと? 750 00:51:34,675 --> 00:51:35,510 ううん 751 00:51:36,302 --> 00:51:37,845 言わずに済ますんですか? 752 00:51:39,972 --> 00:51:41,182 コナンくん 753 00:51:42,141 --> 00:51:44,352 僕は刑事じゃないんだ 754 00:51:44,602 --> 00:51:47,396 ただ本当のことが 知りたかっただけだよ 755 00:51:47,772 --> 00:51:49,982 彼女の罪を公にして 糾弾したり―― 756 00:51:50,066 --> 00:51:54,779 裁いたりすることには もうホント興味がないんだ うん 757 00:52:00,493 --> 00:52:04,205 まあ 君と福西くんの 気持ちしだいだがね 758 00:52:04,288 --> 00:52:06,666 それじゃ 気が治まらないというのなら―― 759 00:52:06,749 --> 00:52:09,919 まあ 警察にでも どこにでも 出向いていくさ 760 00:52:17,343 --> 00:52:18,344 うん? 761 00:52:20,888 --> 00:52:22,014 フフッ… 762 00:52:45,454 --> 00:52:47,373 (鹿谷) ひとつ思うんだけども―― 763 00:52:48,666 --> 00:52:54,797 伊波紗世子は 自ら裁かれることを 求めていたのかもしれないな 764 00:52:54,881 --> 00:52:57,133 (江南) 裁かれることを? 765 00:52:57,383 --> 00:52:58,718 どういう意味です? 766 00:52:59,802 --> 00:53:02,430 福西くんを庭に突き落としたあと―― 767 00:53:02,513 --> 00:53:06,434 やろうと思えば 庭に下りて 彼の死を確認することはできた 768 00:53:06,517 --> 00:53:08,686 その時間もあったはずだ 769 00:53:09,020 --> 00:53:12,481 なのに 彼女は あえて それをしなかった 770 00:53:13,941 --> 00:53:15,192 (江南) 確かに 771 00:53:15,985 --> 00:53:20,239 (鹿谷) 万一 福西くんが 命を取り留めたなら―― 772 00:53:20,698 --> 00:53:23,576 それが自らへの裁きだと―― 773 00:53:23,659 --> 00:53:26,871 彼女は そう覚悟していたんじゃないかなぁ 774 00:53:28,497 --> 00:53:32,084 だから 塔が崩れたときも… 775 00:53:32,168 --> 00:53:38,174 (秒針の音) 776 00:53:46,265 --> 00:53:47,266 (タイピング音) 777 00:53:48,726 --> 00:53:49,936 (タイピング音) 778 00:53:53,564 --> 00:53:55,066 (江南) 動いてる 779 00:53:57,777 --> 00:53:59,737 (江南) 鹿谷さん (鹿谷) うん? 780 00:54:02,323 --> 00:54:03,491 (鹿谷) フフッ… 781 00:54:10,456 --> 00:54:11,958 (江南) 福西くんが元気になったら―― 782 00:54:12,041 --> 00:54:14,627 3人で 一度 江ノ島でも行きませんか? 783 00:54:14,877 --> 00:54:17,713 おいしい焼きはまぐりのお店 知ってるんですよ 784 00:54:18,923 --> 00:54:22,927 (秒針の音) 785 00:54:23,010 --> 00:54:30,017 ♪~ 786 00:56:12,620 --> 00:56:19,627 ~♪