1 00:00:46,000 --> 00:00:48,000 何か 飲食店のオーナーというより 2 00:00:48,000 --> 00:00:50,000 学校の先生みたいに なってきちゃいましたね 。 3 00:01:00,000 --> 00:01:03,000 [ある入社式が開かれました] 4 00:01:07,000 --> 00:01:11,000 [緊張気味の新入社員たち] 5 00:01:11,000 --> 00:01:14,000 ( 阿部 ) 荷物は 横の椅子に置いといていいよ 。 6 00:01:14,000 --> 00:01:16,000 ( 新入社員 ) はい 。 7 00:01:29,000 --> 00:01:34,000 [挨拶が終わると 新人たちが着替え始めました] 8 00:01:38,000 --> 00:01:43,000 [実は ここ おすし屋さんの会社なんです] 9 00:01:47,000 --> 00:01:52,000 [板前修業に飛び込むのは 経歴も年齢も バラバラな人たち] 10 00:01:52,000 --> 00:01:54,000 入社する中で… 。 11 00:02:21,000 --> 00:02:25,000 [彼らの職場は こちらのお店] 12 00:02:27,000 --> 00:02:29,000 ( 従業員 ) いらっしゃいませ! 13 00:02:31,000 --> 00:02:35,000 [中に入ると 威勢のいい掛け声が響きます] 14 00:02:35,000 --> 00:02:38,000 ( 従業員 ) いらっしゃいませ! 15 00:02:38,000 --> 00:02:41,000 [次々に運ばれていく おすし] 16 00:02:41,000 --> 00:02:43,000 ( 従業員 ) テーブル1 。 17 00:02:45,000 --> 00:02:49,000 [漁港で直接買い付けた 新鮮な魚と 18 00:02:49,000 --> 00:02:54,000 魚沼産コシヒカリのシャリが 自慢のお店] 19 00:02:54,000 --> 00:02:59,000 [熟練の板前が握るすしは どれも絶品です] 20 00:03:01,000 --> 00:03:06,000 [その味が評判を呼び 外国人観光客にも大人気] 21 00:03:10,000 --> 00:03:13,000 おいっす 。 22 00:03:13,000 --> 00:03:18,000 [この繁盛店を率いるのが こちらの男性] 23 00:03:29,000 --> 00:03:31,000 ( 阿部 ) うさんくせえなぁ 。 24 00:03:33,000 --> 00:03:36,000 [板前歴 35 年] 25 00:03:43,000 --> 00:03:47,000 [阿部さんの店は 現在 都内に7店舗] 26 00:03:50,000 --> 00:03:55,000 [年商 16 億を誇る 人気のすし店です] 27 00:03:59,000 --> 00:04:02,000 [板場の奥の 厨房をのぞいてみると] 28 00:04:06,000 --> 00:04:12,000 [外国人の板前見習や 元とび職に 29 00:04:12,000 --> 00:04:15,000 パン工場で働いていた人も] 30 00:04:17,000 --> 00:04:20,000 [そして 入れ墨] 31 00:04:37,000 --> 00:04:40,000 あとは まあ あの… 。 32 00:04:53,000 --> 00:04:56,000 [見どころがあれば 過去は問わない] 33 00:04:56,000 --> 00:05:01,000 [阿部さんは 多くの弟子を 一人前に育て上げ 34 00:05:01,000 --> 00:05:03,000 独立も応援してきました] 35 00:05:03,000 --> 00:05:05,000 ( 阿部 ) 転がして… 。 36 00:05:12,000 --> 00:05:15,000 ( 従業員 ) 六本木の親父ですね 父親ですね 。 37 00:05:28,000 --> 00:05:31,000 ⚟おはようございます 。 ( 阿部 ) おはようございます 。 38 00:05:31,000 --> 00:05:36,000 [また1人 入店希望者が やって来ました] 39 00:05:48,000 --> 00:05:52,000 [髪を緑色に染めた 16 歳] 40 00:05:55,000 --> 00:06:00,000 [果たして 阿部さん 採用するのでしょうか] 41 00:06:03,000 --> 00:06:06,000 はい 分かりました 。 ありがとうございました 。 42 00:06:26,000 --> 00:06:28,000 [そんな阿部さんには 43 00:06:28,000 --> 00:06:33,000 最近 特に気に掛けている 板前がいます] 44 00:06:33,000 --> 00:06:39,000 [見ているのは その板前から届いたメッセージ] 45 00:06:39,000 --> 00:06:43,000 [穏やかでない言葉が つづられていました] 46 00:06:46,000 --> 00:06:49,000 [ 「 また迷惑をかけている 」 ] 47 00:06:49,000 --> 00:06:53,000 [ 「 自分はみんなに合わせる顔が ないです… 」 ] 48 00:06:53,000 --> 00:06:57,000 [何か 失敗でもしたのでしょうか] 49 00:06:59,000 --> 00:07:02,000 [しかし 阿部さんは あわてることもなく 50 00:07:02,000 --> 00:07:05,000 その板前が暮らす部屋へ] 51 00:07:10,000 --> 00:07:13,000 何が すみません? まず 。 52 00:07:13,000 --> 00:07:16,000 何? ( サワ ) 連絡入れてなかった… 。 53 00:07:25,000 --> 00:07:27,000 [メッセージの送り主…] 54 00:07:31,000 --> 00:07:36,000 [このところ 無断欠勤を 繰り返していました] 55 00:07:41,000 --> 00:07:44,000 ( 阿部 ) どうでもいいんだけど お前… 。 56 00:07:44,000 --> 00:07:46,000 ( サワ ) はい… 。 57 00:07:52,000 --> 00:07:54,000 ( 従業員 ) いらっしゃいませ! 58 00:07:57,000 --> 00:08:00,000 [地元 東北の高校を卒業後 59 00:08:00,000 --> 00:08:04,000 すし職人を目指して 上京したサワさん] 60 00:08:09,000 --> 00:08:15,000 [店では中堅どころ 板場を任されています] 61 00:08:23,000 --> 00:08:28,000 [その腕前は 阿部さんにも 認められています] 62 00:08:31,000 --> 00:08:34,000 [コツコツと 仕事をこなすタイプですが] 63 00:08:40,000 --> 00:08:44,000 [いじられキャラという一面も] 64 00:09:00,000 --> 00:09:04,000 [そして なぜか みんなに心配されています] 65 00:09:06,000 --> 00:09:10,000 [後日 その理由が分かりました] 66 00:09:13,000 --> 00:09:16,000 [この日も 板場に立っていたサワさん] 67 00:09:20,000 --> 00:09:24,000 [いつものように 仕事をしていたのですが 68 00:09:24,000 --> 00:09:27,000 出勤してから3時間後…] 69 00:09:33,000 --> 00:09:35,000 [サワさんに異変が] 70 00:09:35,000 --> 00:09:37,000 ( サワ ) あ痛た… 。 71 00:09:39,000 --> 00:09:44,000 ( サワ ) 痛ててて 前より痛くなっちゃってる 。 72 00:09:44,000 --> 00:09:49,000 [体の痛みを訴え 板場を離れてしまいました] 73 00:09:55,000 --> 00:09:59,000 [我慢できないほどの痛み] 74 00:09:59,000 --> 00:10:03,000 [連絡を受け 阿部さんが駆け付けました] 75 00:10:19,000 --> 00:10:25,000 [店は他の板前に任せ 阿部さんは サワさんと病院へ] 76 00:10:38,000 --> 00:10:42,000 ( 医師 ) まず 採血の結果が出ました 。 77 00:10:51,000 --> 00:10:56,000 [実は サワさん 痛風を患っていました] 78 00:10:56,000 --> 00:10:59,000 ( 医師 ) あのね もっともっと 痛くなったりしますから 。 79 00:11:02,000 --> 00:11:04,000 すいません ありがとうございます 。 80 00:11:04,000 --> 00:11:06,000 ( 医師 ) お大事にしてください 。 81 00:11:25,000 --> 00:11:27,000 [無断欠勤をしたばかりなのに 82 00:11:27,000 --> 00:11:31,000 また休むことになってしまった サワさん] 83 00:11:34,000 --> 00:11:36,000 [そこまで つらいなら 84 00:11:36,000 --> 00:11:41,000 無理に板前修業を続けなくても と思いますが 85 00:11:41,000 --> 00:11:45,000 サワさんには 頑張りたい理由が] 86 00:12:16,000 --> 00:12:19,000 [東北地方の 農家に育ったサワさん] 87 00:12:19,000 --> 00:12:23,000 [板前を目指すきっかけは 高校時代に始めた 88 00:12:23,000 --> 00:12:27,000 新聞配達のアルバイトでした] 89 00:12:29,000 --> 00:12:31,000 [その配達先に 90 00:12:31,000 --> 00:12:34,000 一軒の おすし屋さんがあったのです] 91 00:12:53,000 --> 00:12:56,000 [サワさんが 阿部寿司に入社したのは 92 00:12:56,000 --> 00:12:59,000 阿部さんの店が 軌道に乗る前] 93 00:12:59,000 --> 00:13:04,000 [一緒に店を大きくしてきた 仲間なんです] 94 00:13:07,000 --> 00:13:10,000 [同期入社は 10 人いましたが 95 00:13:10,000 --> 00:13:15,000 今も残っているのは サワさん1人だけ] 96 00:13:17,000 --> 00:13:20,000 [苦しい時代を支えてくれた 弟子だからこそ 97 00:13:20,000 --> 00:13:24,000 阿部さんにも 特別な思いがあります] 98 00:13:50,000 --> 00:13:55,000 [足が痛くて 外出できないサワさん] 99 00:13:55,000 --> 00:13:59,000 [阿部さんは この日も サワさんの部屋へ] 100 00:14:05,000 --> 00:14:07,000 ( 阿部 ) サワ 。 ( サワ ) はい 。 101 00:14:25,000 --> 00:14:27,000 そこに 俺が入って… 。 102 00:14:27,000 --> 00:14:30,000 [それなら トイレに行かせてあげようと 103 00:14:30,000 --> 00:14:33,000 サワさんを起こそうとしますが] 104 00:14:35,000 --> 00:14:37,000 いっ… 。 105 00:14:37,000 --> 00:14:41,000 ( 阿部 ) いよっ 。 ( サワ ) あ痛ててて…! 106 00:14:55,000 --> 00:14:58,000 ( サワ ) ハァ ハァ… 。 107 00:15:01,000 --> 00:15:03,000 ( サワ ) ハァ チクショー 。 108 00:15:10,000 --> 00:15:16,000 [阿部さんは 仕事の合間を縫って 病院にも付き添います] 109 00:15:19,000 --> 00:15:22,000 [でも サワさんにとっては 110 00:15:22,000 --> 00:15:26,000 そんな阿部さんの優しさが 心苦しく] 111 00:15:29,000 --> 00:15:34,000 [迷惑を掛けてばかりの自分が 情けなく] 112 00:15:37,000 --> 00:15:41,000 ( サワの泣き声 ) 113 00:15:41,000 --> 00:15:46,000 ( 阿部 ) 分かったよ 。 泣くな 。 114 00:15:46,000 --> 00:15:49,000 分かったから泣くなっつの 。 ( サワの泣き声 ) 115 00:15:51,000 --> 00:16:03,000 ( サワの泣き声 ) 116 00:16:19,000 --> 00:16:21,000 [この日の夜] 117 00:16:26,000 --> 00:16:30,000 どうぞ 。 (スタッフ) ありがとうございます 。 118 00:16:30,000 --> 00:16:34,000 [阿部さんが 自宅に招いてくれました] 119 00:16:34,000 --> 00:16:39,000 [店の すぐそばにある 殺風景なワンルームマンション] 120 00:16:41,000 --> 00:16:43,000 (スタッフ) 引っ越ししたてみたいな 。 121 00:16:49,000 --> 00:16:53,000 [椅子は 100 円ショップで買った お風呂用] 122 00:16:56,000 --> 00:16:59,000 [机は 段ボール箱です] 123 00:17:19,000 --> 00:17:24,000 [家族と離れ 店の近くの部屋を借りています] 124 00:17:24,000 --> 00:17:26,000 [というのも] 125 00:17:36,000 --> 00:17:39,000 [そう 。 店が終わった後も 126 00:17:39,000 --> 00:17:44,000 阿部さんのスマホには 板前たちからのSOSが] 127 00:18:07,000 --> 00:18:09,000 [一方] 128 00:18:11,000 --> 00:18:15,000 [サワさんの休みは 長引いていました] 129 00:18:17,000 --> 00:18:19,000 [阿部さんは 出勤前に 130 00:18:19,000 --> 00:18:23,000 サワさんの部屋を訪ねるのが 日課に] 131 00:18:29,000 --> 00:18:31,000 ( サワ ) おはようございます 。 132 00:18:48,000 --> 00:18:50,000 ( サワ ) ああ そうですね 。 133 00:18:53,330 --> 00:18:55,000 はい 分かった 。 134 00:18:58,000 --> 00:19:01,000 [少し 甘い気もしますが 135 00:19:01,000 --> 00:19:04,000 阿部さんには 分かっていたんです] 136 00:19:06,000 --> 00:19:12,000 [サワさんの本当の問題は 足の痛みではないことを] 137 00:19:27,000 --> 00:19:31,000 [休みが長引くと ますます行きにくくなるのが 138 00:19:31,000 --> 00:19:33,000 人の常] 139 00:19:33,000 --> 00:19:37,000 [あとは気力 気持ちの問題です] 140 00:19:37,000 --> 00:19:40,000 [でも サワさんは] 141 00:19:44,000 --> 00:19:47,000 ( サワ ) ハァ… 。 142 00:19:47,000 --> 00:19:50,000 ああ… 。 143 00:19:50,000 --> 00:19:54,000 [部屋の中で 一人 悩んでいました] 144 00:20:00,000 --> 00:20:02,000 ( サワ ) 俺… 。 145 00:20:32,000 --> 00:20:35,000 [このままでは駄目だと 分かってはいましたが 146 00:20:35,000 --> 00:20:39,000 気持ちは 空回りするばかり] 147 00:20:42,000 --> 00:20:47,000 [一方 貴重な戦力を 失ったままの店では] 148 00:20:49,000 --> 00:20:54,000 [板前たちが サワさんの復帰を 待ちわびていました] 149 00:21:18,000 --> 00:21:22,000 [そんな中 阿部さんを さらに悩ませる事態が 150 00:21:22,000 --> 00:21:24,000 起きてしまいました] 151 00:21:29,000 --> 00:21:32,000 [この日 サワさんを訪ねてきたのは 152 00:21:32,000 --> 00:21:36,000 部屋を貸している 不動産会社の担当者] 153 00:21:41,000 --> 00:21:45,000 [勤務日数が減り 給料が下がったサワさんは 154 00:21:45,000 --> 00:21:48,000 家賃を滞納していたのです] 155 00:22:28,000 --> 00:22:30,000 ( 阿部 ) いいですか? それで 。 ( 担当者 ) はい 。 一応… 。 156 00:22:47,000 --> 00:22:50,000 ( 阿部 ) 僕の はい 。 157 00:22:50,000 --> 00:22:53,000 [サワさんが滞納した家賃は 158 00:22:53,000 --> 00:22:56,000 阿部さんが立て替えることに] 159 00:22:56,000 --> 00:23:02,000 [仕事ができない場合は 退去するという条件付きです] 160 00:23:04,000 --> 00:23:06,000 ふう… 。 161 00:23:16,000 --> 00:23:18,000 (スタッフ) 見放した方が… 。 162 00:23:32,000 --> 00:23:36,000 [サワさんを見放す] 163 00:23:36,000 --> 00:23:39,000 [それだけは したくない 阿部さん] 164 00:23:39,000 --> 00:23:43,000 [でも 現場を任されている店長は] 165 00:23:54,000 --> 00:23:56,000 ( 阿部 ) そりゃ そうだよな 。 166 00:24:07,000 --> 00:24:10,000 ( 阿部 ) まあな そりゃそうだよな 。 167 00:24:17,000 --> 00:24:20,000 [それでも] 168 00:24:20,000 --> 00:24:25,000 [サワさんは 相変わらず 仕事を休んでいました] 169 00:24:30,000 --> 00:24:32,000 [この日も サワさんの部屋に向かった 170 00:24:32,000 --> 00:24:34,000 阿部さん] 171 00:24:37,000 --> 00:24:45,000 ( チャイム ) 172 00:24:45,000 --> 00:24:48,000 [部屋に いるはずなのですが…] 173 00:24:48,000 --> 00:24:53,000 [すると 阿部さんのスマホに メッセージが] 174 00:24:53,000 --> 00:24:57,000 [ 「 今合わせる顔がないです… 」 ] 175 00:25:03,000 --> 00:25:07,000 ( 阿部 ) サワ 話しようよ 。 176 00:25:07,000 --> 00:25:12,000 サワ 下開けて サワ 。 177 00:25:18,000 --> 00:25:24,000 [何度呼び掛けても 一向に返事はありません] 178 00:25:24,000 --> 00:25:27,000 [そうしている間にも] 179 00:25:27,000 --> 00:25:30,000 あっ 阿部ですー 。 180 00:25:30,000 --> 00:25:35,000 そう そりゃ そうっすよね そりゃ そうっすよね 。 181 00:25:35,000 --> 00:25:39,000 [仕事の連絡が 次々と入ります] 182 00:25:49,000 --> 00:25:53,000 [待ち続けること2時間] 183 00:25:53,000 --> 00:25:56,000 ( 解錠する音 ) 184 00:25:56,000 --> 00:25:59,000 [ようやく 門が開きました] 185 00:26:04,000 --> 00:26:06,000 [しかし] 186 00:26:09,000 --> 00:26:13,000 [ここからが本番だったのです] 187 00:26:21,000 --> 00:26:23,000 ( チャイム ) ( 阿部 ) サワ 怒ってないから 188 00:26:23,000 --> 00:26:25,000 開けて 。 無理やり開けんの やだから 189 00:26:25,000 --> 00:26:27,000 開けて 。 190 00:26:27,000 --> 00:26:29,000 [何とか 191 00:26:29,000 --> 00:26:32,000 サワさんの部屋の前まで来た 阿部さん] 192 00:26:32,000 --> 00:26:34,000 [すると] 193 00:26:37,000 --> 00:26:39,000 ( 阿部 ) 何で そんなあれなんだよ 。 194 00:26:42,000 --> 00:26:44,000 ( 阿部 ) 何で? 195 00:26:49,000 --> 00:26:51,000 [弱音を吐くサワさんに 196 00:26:51,000 --> 00:26:54,000 阿部さんは 努めて明るく接します] 197 00:27:01,000 --> 00:27:03,000 ( 阿部 ) 駄目 。 198 00:27:13,000 --> 00:27:15,000 ねぇ もう… 。 199 00:27:39,000 --> 00:27:41,000 行こう 。 200 00:27:49,000 --> 00:27:55,000 [粘り強く 説得を続けますが 時間だけが過ぎていきます] 201 00:28:03,000 --> 00:28:05,000 ( 阿部 ) ねぇ 。 202 00:28:15,000 --> 00:28:17,000 [そして 203 00:28:17,000 --> 00:28:20,000 阿部さんが マンション に着いてから 5時間後] 204 00:28:31,000 --> 00:28:37,000 [阿部さんに付き添われ 久しぶりの出勤です] 205 00:28:37,000 --> 00:28:42,000 [スタッフたちは サワさんを 温かく迎え入れてくれました] 206 00:28:46,000 --> 00:28:49,000 [そして 板場へ] 207 00:29:04,000 --> 00:29:06,000 頼むな 。 ( サワ ) はい 。 208 00:29:06,000 --> 00:29:08,000 ( 阿部 ) じゃあな 。 209 00:29:22,000 --> 00:29:24,000 すごい大変ですけど 。 210 00:29:40,000 --> 00:29:45,000 ( 阿部 ) うーん うーん どうだろ 。 211 00:29:51,000 --> 00:29:54,000 [そんな阿部さんが 板前たちのために 212 00:29:54,000 --> 00:29:58,000 続けていることがあります] 213 00:29:58,000 --> 00:30:01,000 ( 従業員 ) じゃあ いただきます 。 ( 一同 ) いただきます 。 214 00:30:01,000 --> 00:30:04,000 うまそう! 215 00:30:06,000 --> 00:30:09,000 [こだわりの まかない料理] 216 00:30:09,000 --> 00:30:11,000 [テーブルいっぱいに 並んでいるのは 217 00:30:11,000 --> 00:30:15,000 全て 手作りのおかずです] 218 00:30:28,000 --> 00:30:31,000 ( 従業員 ) ちょっと多いよって 言いながら 。 219 00:30:31,000 --> 00:30:37,000 [弟子にしたら とことん面倒を見る阿部さん] 220 00:30:37,000 --> 00:30:40,000 [でも どうして] 221 00:30:40,000 --> 00:30:44,000 [そのヒントは 店のメニュー表にありました] 222 00:30:44,000 --> 00:30:46,000 [両親の写真] 223 00:30:52,000 --> 00:30:54,000 [阿部さんの故郷です] 224 00:30:57,000 --> 00:31:00,000 [実家は 米農家] 225 00:31:00,000 --> 00:31:03,000 [毎年 稲刈りで人手が必要な秋には 226 00:31:03,000 --> 00:31:07,000 作業を手伝うために 帰省しています] 227 00:31:15,000 --> 00:31:17,000 ( 信子 ) 初めまして ご苦労さまです 。 228 00:31:17,000 --> 00:31:21,000 田舎までね 足運ばして すいません 。 229 00:31:23,000 --> 00:31:25,000 [阿部さんの実家] 230 00:31:29,000 --> 00:31:32,000 [あるものを見せてくれました] 231 00:31:35,000 --> 00:31:39,000 この中に みんな ほらね こうやって 。 232 00:31:46,000 --> 00:31:50,000 [それは 店で板前たちが食べていた 233 00:31:50,000 --> 00:31:52,000 あの まかないでした] 234 00:31:52,000 --> 00:31:58,000 [実は 全て 母 信子さんの手作りなんです] 235 00:31:58,000 --> 00:32:02,000 [毎日欠かさず 東京まで送っています] 236 00:32:04,000 --> 00:32:09,000 [ 23 年間 信子さんは 毎朝3時に起きて 237 00:32:09,000 --> 00:32:12,000 まかないを作り続けてきました] 238 00:32:16,000 --> 00:32:18,000 […も手伝っています] 239 00:32:23,000 --> 00:32:27,000 ( 信子 ) だいたい あのね… 。 240 00:32:39,000 --> 00:32:41,000 ( 信子 ) あれが… 。 241 00:32:46,000 --> 00:32:51,000 [東京で 板前として成功した 自慢の息子] 242 00:32:53,000 --> 00:32:56,000 [しかし その少年時代は 243 00:32:56,000 --> 00:33:00,000 恵まれたものでは ありませんでした] 244 00:33:31,000 --> 00:33:35,000 [阿部さんが 板前を目指したきっかけ] 245 00:33:35,000 --> 00:33:39,000 [それも 幼少期の体験にありました] 246 00:33:55,000 --> 00:33:59,000 [高校を卒業後 上京] 247 00:33:59,000 --> 00:34:04,000 [板前修業に 全力を傾けた阿部さん] 248 00:34:04,000 --> 00:34:07,000 [ 30 歳での独立を夢見て 249 00:34:07,000 --> 00:34:10,000 厳しい修業を 乗り越えてきました] 250 00:34:15,000 --> 00:34:17,000 [そして 目標どおり 251 00:34:17,000 --> 00:34:23,000 30 歳のとき 最初の店を持ったのです] 252 00:34:23,000 --> 00:34:27,000 [店名には こんなこだわりが] 253 00:34:41,000 --> 00:34:43,000 いや いや いや 。 254 00:35:08,000 --> 00:35:10,000 [その阿部さんには 255 00:35:10,000 --> 00:35:14,000 かつての自分を重ねている 板前がいました] 256 00:35:16,000 --> 00:35:18,000 [そう] 257 00:35:18,000 --> 00:35:20,000 [サワさんです] 258 00:35:37,000 --> 00:35:39,000 [自分が夢をかなえたように 259 00:35:39,000 --> 00:35:43,000 サワさんにも 夢をかなえてほしい] 260 00:35:43,000 --> 00:35:45,000 [そう考えていたんです] 261 00:35:49,000 --> 00:35:51,000 [ところが] 262 00:35:53,000 --> 00:35:55,000 [阿部さんへの 取材中でした] 263 00:35:55,000 --> 00:35:58,000 3年前か 新入社員で… 。 264 00:35:58,000 --> 00:36:02,000 (携帯電話) 265 00:36:02,000 --> 00:36:08,000 もしもし お疲れさま 。 はい 。 266 00:36:24,000 --> 00:36:26,000 また話します 。 (スタッフ) 分かりました 。 267 00:36:28,000 --> 00:36:32,000 [サワさんが 姿を消したのです] 268 00:36:38,000 --> 00:36:42,000 [この日 阿部さんに入った 急な知らせ] 269 00:36:42,000 --> 00:36:44,000 [店のスタッフが サワさんと 270 00:36:44,000 --> 00:36:47,000 連絡を 取れなくなったというのです] 271 00:36:47,000 --> 00:36:50,000 ( チャイム ) 272 00:36:52,000 --> 00:36:54,000 ( ノック ) 273 00:36:54,000 --> 00:36:57,000 ( 解錠する音 ) 274 00:36:57,000 --> 00:37:02,000 [不動産屋から預かった鍵で 中へ] 275 00:37:14,000 --> 00:37:17,000 [ロフトも確認しますが] 276 00:37:38,000 --> 00:37:44,000 [いったい どこに行ったのか 。 心当たりを捜しますが…] 277 00:37:46,000 --> 00:37:48,000 いないっすね 。 278 00:37:50,000 --> 00:37:56,000 [今度は交番へ 。 この日の気温は 30 ℃超え] 279 00:37:56,000 --> 00:37:59,000 [足が完全に治ったわけではない サワさん] 280 00:37:59,000 --> 00:38:04,000 [炎天下の中 どこかで 倒れているかもしれません] 281 00:38:35,000 --> 00:38:38,000 [あらゆる可能性を探ります] 282 00:38:38,000 --> 00:38:41,000 [そして] 283 00:38:41,000 --> 00:38:46,000 [サワさんの行方が判明したのは 翌日のこと] 284 00:38:49,000 --> 00:38:54,000 [阿部さんの元に サワさんから メールが入ったのです] 285 00:38:54,000 --> 00:38:56,000 [そこに書かれていたのは] 286 00:39:04,000 --> 00:39:07,000 [通勤で 降りる駅を乗り過ごしてしまい 287 00:39:07,000 --> 00:39:11,000 店に行きづらくなった サワさん] 288 00:39:11,000 --> 00:39:15,000 [そのまま 友人の家に 泊まっていたというのです] 289 00:39:17,000 --> 00:39:21,000 [阿部さんは すぐに店に来るよう 伝えました] 290 00:39:21,000 --> 00:39:23,000 ハァ… 。 291 00:39:26,000 --> 00:39:28,000 [1時間後] 292 00:39:54,000 --> 00:39:56,000 ( 阿部 ) どっかで… 。 293 00:40:40,000 --> 00:40:43,000 足のときも そうだし 。 294 00:40:43,000 --> 00:40:45,000 [出会ってから 14 年] 295 00:40:45,000 --> 00:40:50,000 [阿部さんは 初めて サワさんを突き放しました] 296 00:40:50,000 --> 00:40:55,000 [それは 阿部さんからの 最後通告でした] 297 00:41:01,000 --> 00:41:05,000 [サワさんへの最後通告から 2日後] 298 00:41:08,000 --> 00:41:13,000 [阿部さんの元に サワさんから 連絡が入りました] 299 00:41:13,000 --> 00:41:16,000 [伝えたいことが あるというのです] 300 00:41:24,000 --> 00:41:27,000 何 寝ぼけてんだよ~ 。 301 00:41:35,000 --> 00:41:38,000 ( サワ ) ちょっと… 。 302 00:42:03,000 --> 00:42:06,000 [店長も一緒です] 303 00:42:20,000 --> 00:42:24,000 [サワさんが実家に戻れば また 昔のように 304 00:42:24,000 --> 00:42:27,000 引きこもってしまうかも しれない] 305 00:42:31,000 --> 00:42:34,000 [でも いくら心配でも 306 00:42:34,000 --> 00:42:38,000 サワさんが どんな人生を生きるのか 307 00:42:38,000 --> 00:42:42,000 それを決められるのは 阿部さんではなく 308 00:42:42,000 --> 00:42:45,000 サワさんだけなのです] 309 00:43:19,000 --> 00:43:21,000 ねぇ 。 310 00:43:40,000 --> 00:43:43,000 [そんな ある日のこと] 311 00:43:46,000 --> 00:43:51,000 [私たちは 阿部さんから 突然呼び出されました] 312 00:43:54,000 --> 00:43:58,000 [手にしていたのは 裁判所からの書類です] 313 00:44:11,000 --> 00:44:15,000 [いったい 何が起きたのか] 314 00:44:15,000 --> 00:44:20,000 [それは 阿部さんにとって 青天のへきれきでした] 315 00:44:24,000 --> 00:44:26,000 [さらに] 316 00:44:33,000 --> 00:44:38,000 [突然 阿部さんに突き付けられた 人生の選択] 317 00:44:40,000 --> 00:44:44,000 [そして サワさんのその後] 318 00:44:53,000 --> 00:44:57,000 [それは 意外な結末を迎えます]