1 00:00:45,000 --> 00:00:47,000 ( 片山 ) いけると思います 。 2 00:00:52,000 --> 00:00:54,000 [令和も7年になるのに 3 00:00:54,000 --> 00:00:58,670 日本には まだ こんな若者たちがいます] 4 00:00:58,670 --> 00:01:02,000 (スピーカー) ( ベルの音 ) 5 00:01:02,000 --> 00:01:06,000 [朝4時半のベルで 一斉に起床するのは 6 00:01:06,000 --> 00:01:10,000 宮大工養成塾の塾生たち] 7 00:01:10,000 --> 00:01:12,000 [彼らは 皆 8 00:01:12,000 --> 00:01:17,000 高校出たての 18 歳から 20 歳までの 若者ばかりです] 9 00:01:22,000 --> 00:01:26,000 [こちらは 3年生になったばかりの片山君] 10 00:01:26,000 --> 00:01:32,330 [この春 入塾した新入生に 朝のルーティンを教えます] 11 00:01:35,000 --> 00:01:42,330 [と 同時に 別の3年生が 朝食の準備をしていました] 12 00:01:42,330 --> 00:01:45,000 ( 木魚をたたく音 ) 13 00:01:45,000 --> 00:01:49,000 [朝6時 朝食] 14 00:01:49,000 --> 00:01:58,000 ( 五観の偈を唱える声 ) 15 00:01:58,000 --> 00:02:04,000 [神社仏閣に携わる者は 神仏に仕える者] 16 00:02:04,000 --> 00:02:07,000 [食事の前は 食べ物に感謝を捧げ 17 00:02:07,000 --> 00:02:11,000 雑念に 心 乱されぬよう 18 00:02:11,000 --> 00:02:15,000 互いに背中を向けたまま 黙食でいただきます] 19 00:02:23,000 --> 00:02:26,000 [この食べるスピードも大事] 20 00:02:26,000 --> 00:02:30,000 [先輩たちが 次々と後片付けをする中 21 00:02:30,000 --> 00:02:34,670 2人の1年生が 取り残されてしまいました] 22 00:02:41,330 --> 00:02:48,000 ( 太鼓の音 ) 23 00:02:48,000 --> 00:02:50,000 [朝6時半になると 24 00:02:50,000 --> 00:02:56,000 新人にとっては 驚きの 職人の心得唱和が始まります] 25 00:03:02,000 --> 00:03:09,000 ( 一同 ) 早くご飯を食べる人から 仕事があります 。 26 00:03:26,000 --> 00:03:32,000 ( 一同 ) 明るくて元気な人から 仕事があります 。 27 00:03:38,000 --> 00:03:42,000 ( 一同 ) 返事がしっかりとできる人から 28 00:03:42,000 --> 00:03:44,000 仕事があります 。 29 00:03:52,000 --> 00:03:58,000 [と ここまで終わって やっと 実習の開始] 30 00:03:58,000 --> 00:04:03,000 [卒業までの3年間は 気の散るスマホも禁止です] 31 00:04:08,000 --> 00:04:10,000 (スタッフ) 色… 。 ( 片山 ) 色 塗ります 。 32 00:04:10,000 --> 00:04:13,000 (スタッフ) 全部に? ( 片山 ) はい 。 33 00:04:13,000 --> 00:04:17,000 [宮大工とは 神社仏閣を専門に 34 00:04:17,000 --> 00:04:20,000 建てたり 直したりする 大工のこと] 35 00:04:20,000 --> 00:04:24,000 [柱一本を塗るにも 向こう 100 年 36 00:04:24,000 --> 00:04:27,000 1,000 年を見据えた技が 求められます] 37 00:04:30,000 --> 00:04:34,670 [そんな世界に魅せられて 塾に飛び込んだのが 38 00:04:34,670 --> 00:04:38,000 この長髪が トレードマークの石井君] 39 00:04:42,000 --> 00:04:44,670 [そんな彼が 突如 40 00:04:44,670 --> 00:04:48,000 バリカンで 自分の頭を刈り上げたのは 41 00:04:48,000 --> 00:04:51,670 2025 年の正月明けでした] 42 00:04:51,670 --> 00:04:54,000 [その心を聞くと] 43 00:05:09,000 --> 00:05:13,000 [同期に後れを取ってしまった] 44 00:05:13,000 --> 00:05:16,000 [それを もう一度 気合を入れ直すことで 45 00:05:16,000 --> 00:05:19,000 取り戻したいという 石井君] 46 00:05:23,000 --> 00:05:27,000 [一方 同じく3年生の片山君は 47 00:05:27,000 --> 00:05:31,000 宿題だった 木組みの提出が間に合わず] 48 00:05:45,000 --> 00:05:50,000 [釘や ねじを使わずに木材をつぐ 木組み] 49 00:05:50,000 --> 00:05:53,000 [1人4つを提出するはずが 50 00:05:53,000 --> 00:05:56,330 片山君は 1つだけです] 51 00:06:05,330 --> 00:06:07,330 えっ? 52 00:06:22,000 --> 00:06:27,330 [3年生ともなれば あと1年で塾も卒業] 53 00:06:27,330 --> 00:06:33,000 [だからこそ 塾長の金田さんが 厳しく接してくれるのは 54 00:06:33,000 --> 00:06:35,000 本人も分かっています] 55 00:06:51,000 --> 00:06:54,670 [子供のころから 面倒見が良く 56 00:06:54,670 --> 00:06:57,670 高校では テニス部の部長まで務めていた 57 00:06:57,670 --> 00:06:59,670 片山君] 58 00:07:14,000 --> 00:07:16,000 ⚟お昼! 59 00:07:16,000 --> 00:07:21,000 [その謙虚さと 人の良さは 今も健在です] 60 00:07:24,330 --> 00:07:29,000 [食事の時間は まだ 慣れない新入生を気に掛け] 61 00:07:42,000 --> 00:07:45,000 ( 片山 ) はい 。 62 00:07:45,000 --> 00:07:47,670 [それでいて 自分は] 63 00:08:06,670 --> 00:08:11,000 [浮き足立つのには 訳がありました] 64 00:08:11,000 --> 00:08:13,670 間に合わないから より食わなくなって 。 65 00:08:18,000 --> 00:08:21,000 [その一つが 新しく開校する 66 00:08:21,000 --> 00:08:24,670 岡山西大寺校への移籍です] 67 00:08:26,670 --> 00:08:30,670 [塾生として 最後の年を 迎えたにもかかわらず 68 00:08:30,670 --> 00:08:34,000 いまひとつ ピリッとしない片山君に 69 00:08:34,000 --> 00:08:38,000 何かをつかむ チャンスをあげたい] 70 00:08:38,000 --> 00:08:42,670 [それが 塾長である 金田さんの思いでした] 71 00:09:28,000 --> 00:09:31,000 [さらに 浮き足立っていた理由は 72 00:09:31,000 --> 00:09:36,000 正月休みに 故郷で 彼女ができたこと] 73 00:09:36,000 --> 00:09:40,000 [とはいえ スマホ禁止の生活の中] 74 00:09:43,000 --> 00:09:45,000 えっ !? 75 00:09:56,000 --> 00:09:58,000 いつも言うねんけど… 。 76 00:10:04,330 --> 00:10:06,330 いや~… 。 77 00:10:14,000 --> 00:10:16,000 そうなんすかね? 78 00:10:25,000 --> 00:10:27,000 分かりました 。 79 00:10:29,000 --> 00:10:34,670 [彼女なんて修業の邪魔 と言いそうな 金田さんから 80 00:10:34,670 --> 00:10:36,670 意外なアドバイス] 81 00:10:41,000 --> 00:10:44,000 [片山君ら 塾生の生活は 82 00:10:44,000 --> 00:10:48,000 この町に借りた 一軒家を寮として始まります] 83 00:10:56,000 --> 00:10:58,000 ⚟奇麗 。 ( 茜 ) 部屋ある 。 84 00:11:04,000 --> 00:11:09,000 [とはいえ 当初の塾生は 片山君 一人だけ] 85 00:11:09,000 --> 00:11:11,000 [一緒に暮らすのは 86 00:11:11,000 --> 00:11:15,000 23 歳の若さで 塾長に抜てきされた 87 00:11:15,000 --> 00:11:17,000 こちらの田中さんです] 88 00:11:20,000 --> 00:11:24,000 [もともとは 塾の優秀な卒業生] 89 00:11:24,000 --> 00:11:28,000 [いったんは プロの宮大工として 就職しましたが 90 00:11:28,000 --> 00:11:33,000 新校舎設立を聞き 塾長に立候補しました] 91 00:11:53,000 --> 00:11:55,000 ( 茜 ) 炊飯器 。 92 00:12:05,670 --> 00:12:07,670 で 食器布巾 。 93 00:12:09,330 --> 00:12:14,000 [片山君も 買い出しの前に キビキビと採寸] 94 00:12:14,000 --> 00:12:16,000 [これほど張りきっているのは 95 00:12:16,000 --> 00:12:19,670 偶然ではありますが できたばかりの彼女が 96 00:12:19,670 --> 00:12:23,000 ここ 岡山市に 暮らしているからです] 97 00:12:28,000 --> 00:12:33,670 [実は 金田さんが片山君を 岡山校に移籍させたのには 98 00:12:33,670 --> 00:12:37,000 そんな事情もありました] 99 00:12:37,000 --> 00:12:39,000 [生活に張りが出れば 100 00:12:39,000 --> 00:12:43,000 彼の目の色も 変わるのではないか] 101 00:12:43,000 --> 00:12:47,670 [今のところ その もくろみは成功のようです] 102 00:12:53,000 --> 00:12:57,000 [ところが 張りきれば 張りきるほど 103 00:12:57,000 --> 00:13:01,000 空回りしてしまうのも 片山君の悪いところ] 104 00:13:03,000 --> 00:13:07,000 [あれほど きっちり 採寸していたはずのカーテンは] 105 00:13:13,000 --> 00:13:15,000 ( 片山 ) えっ? 106 00:13:26,000 --> 00:13:30,670 [メモだって しっかり取っていたはずなのに] 107 00:13:46,000 --> 00:13:49,000 見づらくて… 。 108 00:13:56,000 --> 00:14:00,000 [1と4が ごっちゃになっちゃ っ たようです] 109 00:14:03,000 --> 00:14:05,000 ( 片山 ) はい 。 110 00:14:05,000 --> 00:14:08,670 [報告すると 田中さんは すぐ 111 00:14:08,670 --> 00:14:13,000 「 小さい窓用にしては? 」 と 提案してくれましたが] 112 00:14:20,000 --> 00:14:23,000 それを ここで… 。 113 00:14:35,000 --> 00:14:39,670 まぁ そういう形… かえるしかないかなと… 。 114 00:14:39,670 --> 00:14:41,670 ハハハハ 。 115 00:14:46,000 --> 00:14:51,000 [そう言うと 店まで 交換に行ってくれた 田中さん] 116 00:14:51,000 --> 00:14:53,000 [優しい人です] 117 00:15:09,000 --> 00:15:12,000 [こうして始まった 2人の生活が 118 00:15:12,000 --> 00:15:16,000 いや 新しい塾での共同作業が 119 00:15:16,000 --> 00:15:21,000 やがて あんな不協和音を 生み出すことになるとは] 120 00:15:28,000 --> 00:15:31,000 [新たな塾が立ち上がる 西大寺は 121 00:15:31,000 --> 00:15:36,000 1,200 年以上の歴史を持ち 県の重要文化財にも指定された 122 00:15:36,000 --> 00:15:40,000 三重塔を擁する 堂々たる お寺] 123 00:15:44,670 --> 00:15:48,330 [しかし そんな名高いお寺でも 124 00:15:48,330 --> 00:15:52,000 悩みは尽きないと 住職は言います] 125 00:16:22,000 --> 00:16:24,000 [そんな窮地を救うべく 126 00:16:24,000 --> 00:16:27,000 お寺から敷地を借りて 立ち上がるのが 127 00:16:27,000 --> 00:16:31,000 宮大工養成塾の岡山校でした] 128 00:16:35,000 --> 00:16:37,000 [その代わり 校舎も また 129 00:16:37,000 --> 00:16:41,000 塾生たちによる ゼロからの手作り] 130 00:16:41,000 --> 00:16:45,000 [培ってきた技術が 試されるときです] 131 00:16:47,000 --> 00:16:52,000 [塾長である 田中さんを棟梁に 大掛かりな作業には 132 00:16:52,000 --> 00:16:55,670 大阪校などの塾生も 駆け付けました] 133 00:17:03,670 --> 00:17:08,000 そうですね 。 なかなか… 。 134 00:17:26,000 --> 00:17:30,000 [とはいえ 住職にとって 彼らは 135 00:17:30,000 --> 00:17:34,000 未来の神社仏閣を担う 期待の星] 136 00:17:34,000 --> 00:17:36,670 ( 唱える声 ) 137 00:17:36,670 --> 00:17:41,000 [わざわざ 檀家を集め 2人の紹介までしてくれました] 138 00:18:03,000 --> 00:18:05,000 よろしくお願いします 。 139 00:18:12,000 --> 00:18:14,000 よろしくお願いします 。 140 00:18:14,000 --> 00:18:17,000 ( 拍手 ) 141 00:18:19,000 --> 00:18:23,000 [ところがです 基礎が とっくに出来上がり 142 00:18:23,000 --> 00:18:28,670 足場を組む予定の日が来ても 現場は 何も動きません] 143 00:18:30,330 --> 00:18:32,670 はい 。 ( 金田 ) 止めよ 。 144 00:18:44,670 --> 00:18:46,670 ( 金田 ) 分かる? 145 00:18:55,000 --> 00:18:57,000 [そう指摘され 146 00:18:57,000 --> 00:19:00,000 緊急ミーティングを 開いてみるも] 147 00:19:10,000 --> 00:19:13,000 1回 貫を柱からずらして 148 00:19:13,000 --> 00:19:15,000 組んで戻さなきゃいけない 。 ( 田中 ) うん 。 149 00:19:24,000 --> 00:19:26,000 まぁ そこも ちょっと 。 150 00:19:50,000 --> 00:19:57,000 [とはいえ 3週間がたっても 現場は 遅々として進みません] 151 00:19:57,000 --> 00:20:02,000 [原因は 田中さんが塾生たちに 的確な指示が出せず 152 00:20:02,000 --> 00:20:07,000 自分の仕事に 熱中してしまうことでした] 153 00:20:07,000 --> 00:20:11,000 [金田さんの 堪忍袋の緒が切れます] 154 00:20:27,000 --> 00:20:29,000 ( 田中 ) はい 。 155 00:20:31,000 --> 00:20:33,000 はい 。 156 00:20:39,000 --> 00:20:42,000 [これまでは 任されたパートだけに 157 00:20:42,000 --> 00:20:45,000 集中していれば じゅうぶんでしたが 158 00:20:45,000 --> 00:20:48,000 棟梁になれば そうはいきません] 159 00:20:48,000 --> 00:20:53,670 [ついには あの片山君からも こう言われる始末です] 160 00:21:38,000 --> 00:21:41,330 っていう感じに なってしまってます 。 161 00:21:46,000 --> 00:21:52,000 [もともと 人見知りで 人に意見するのが苦手な 23 歳] 162 00:21:59,000 --> 00:22:03,000 [一方 一見 頼りなさげに見えて 163 00:22:03,000 --> 00:22:07,000 打ち解けると人懐っこい 20 歳の片山君] 164 00:22:09,000 --> 00:22:11,670 ⚟おはようございます 。 165 00:22:11,670 --> 00:22:13,670 ( 片山 ) おはようございます 。 166 00:22:17,000 --> 00:22:19,000 よろしくお願いします 。 (スタッフ) お願いします 。 167 00:22:22,000 --> 00:22:26,000 (スタッフ) フフフ 。 負けてらんないね 。 ( 片山 ) そうです 。 168 00:22:26,000 --> 00:22:31,000 [境内のラジオ体操でも 地域の人々と仲良くなり 169 00:22:31,000 --> 00:22:33,000 この人気っぷりです] 170 00:22:49,000 --> 00:22:54,000 [それなのに 現場に入った途端 この静けさ] 171 00:22:57,000 --> 00:23:02,000 [相変わらず 田中さんは 自分の仕事に集中してしまい 172 00:23:02,000 --> 00:23:06,330 片山君とのキャッチボールは うまくいっていないようです] 173 00:23:09,000 --> 00:23:14,000 ( 木をたたく音 ) 174 00:23:40,000 --> 00:23:44,670 [落ち込み気味の田中さんを 焼き肉に誘ってみました] 175 00:23:46,330 --> 00:23:51,000 [塾長である彼は 外食だってOKなのですが] 176 00:23:51,000 --> 00:23:54,000 [しかし 今の彼には 177 00:23:54,000 --> 00:23:57,330 そんな事実さえ プレッシャーのようです] 178 00:24:13,000 --> 00:24:15,330 今 思います 。 ホントに 。 179 00:24:22,000 --> 00:24:26,000 現状が 今ですので 。 180 00:24:48,000 --> 00:24:52,000 と言ったらあれですけど… 。 181 00:24:55,000 --> 00:24:57,000 そこが 一番 。 182 00:25:00,000 --> 00:25:02,000 [人見知りの自分] 183 00:25:02,000 --> 00:25:06,000 [人に指示できない自分] 184 00:25:06,000 --> 00:25:10,000 [そんな自分を捨てるため 田中さんは 185 00:25:10,000 --> 00:25:15,000 翌日の綿密なシミュレーションを 始めるようになりました] 186 00:25:15,000 --> 00:25:19,330 [自分が変わらなければ 現場は変わらない] 187 00:25:22,000 --> 00:25:26,000 [それは 若き棟梁の 覚悟だったのでしょう] 188 00:25:47,000 --> 00:25:50,000 はい いきましょう 。 お願いします 。 189 00:26:04,000 --> 00:26:07,000 ( 田中 ) その 丸ごと一台 さげて 。 ⚟はい 。 190 00:26:09,670 --> 00:26:11,670 ( 田中 ) 下にある 。 ⚟こっちですか 。 191 00:26:11,670 --> 00:26:18,670 ( 田中 ) せーの 。 ( 木をたたく音 ) 192 00:26:18,670 --> 00:26:22,000 [そんな姿を見て 一番 変わったのは 193 00:26:22,000 --> 00:26:24,000 片山君です] 194 00:26:51,330 --> 00:26:55,000 [こうして 当初の つまずきはあったものの 195 00:26:55,000 --> 00:26:59,000 平均年齢 20 歳の若者たちは 196 00:26:59,000 --> 00:27:02,000 釘や電動工具を ほとんど使わない 197 00:27:02,000 --> 00:27:05,000 木造りの校舎を 完成させました] 198 00:27:07,000 --> 00:27:10,000 [工期は 少し遅れましたが 199 00:27:10,000 --> 00:27:14,000 ご近所さんや檀家へのお披露目は 予定どおり] 200 00:27:25,000 --> 00:27:27,000 ( 女性 ) 物置だったのに 。 201 00:27:33,000 --> 00:27:36,000 (スタッフ) どうですか? 今 出来上がったの ご覧になって 。 202 00:27:47,670 --> 00:27:50,670 [たとえ 小さな校舎といえど 203 00:27:50,670 --> 00:27:54,000 自分たちだけで ゼロから建てた建物は 204 00:27:54,000 --> 00:27:58,000 塾生たちにとって 大きな自信となり 205 00:27:58,000 --> 00:28:02,000 ご近所さんに対しては 自分たちの技を知ってもらう 206 00:28:02,000 --> 00:28:05,000 名刺代わりに なったことでしょう] 207 00:28:25,000 --> 00:28:29,000 [この笑顔が 何よりの証拠です] 208 00:28:38,670 --> 00:28:42,670 言うてもね 。 まぁ けどね… 。 209 00:28:59,000 --> 00:29:03,000 部分ありますけど まあまあ… まあね 。 210 00:29:11,000 --> 00:29:15,000 [新天地での ひと山を乗り越えた 片山君には 211 00:29:15,000 --> 00:29:20,000 もう一つ 岡山に来た 重大な意味がありました] 212 00:29:26,000 --> 00:29:28,000 ☎ ( あやか ) もし~? ( 片山 ) あっ もしもし? 213 00:29:28,000 --> 00:29:30,000 [そう 彼女です] 214 00:29:36,000 --> 00:29:38,000 [岡山校に移籍した 片山君にとって 215 00:29:38,000 --> 00:29:42,000 何より 重大な日がやって来ました] 216 00:29:48,000 --> 00:29:50,000 (スタッフ) ん? 217 00:29:51,670 --> 00:29:53,670 そうですね 。 218 00:29:59,670 --> 00:30:03,000 っていうのがあるので… 。 219 00:30:11,000 --> 00:30:13,670 [そう 。 この日は 220 00:30:13,670 --> 00:30:18,000 正月にできた彼女との 初デート] 221 00:30:18,000 --> 00:30:24,000 [久しぶりに見る 公衆電話に 懐かしの テレホンカード をさして] 222 00:30:30,000 --> 00:30:33,000 ☎ ( あやか ) もし~? ( 片山 ) あっ もしもし? 223 00:30:46,000 --> 00:30:48,000 ☎ ( あやか ) は~い 。 ( 片山 ) はい 。 224 00:30:51,000 --> 00:30:53,000 (スピーカー) (アナウンス) ありがとうございました 。 225 00:30:53,000 --> 00:30:55,000 カードをお取りください 。 226 00:30:55,000 --> 00:30:57,000 (スタッフ) 分かりましたか? 伝わりました? 227 00:30:57,000 --> 00:30:59,000 たぶん 伝わってると思います 。 228 00:30:59,000 --> 00:31:01,000 ( 片山 ) 危ねえ 。 229 00:31:05,000 --> 00:31:07,000 かばん 中 突っ込んでるせいで 。 230 00:31:09,000 --> 00:31:13,000 [偶然ですが 看護学生だという 彼女の住まいは 231 00:31:13,000 --> 00:31:17,000 岡山駅から 電車で 10 分足らずの距離] 232 00:31:19,000 --> 00:31:23,000 [にしても スマホのない待ち合わせは 233 00:31:23,000 --> 00:31:25,330 何ともスリリング] 234 00:31:29,000 --> 00:31:36,000 [どうやら 片山君は見つけたようですが…] 235 00:31:36,000 --> 00:31:39,000 [彼女の方は] 236 00:31:39,000 --> 00:31:42,330 ( あやか ) あっ! ああ! (スタッフ) 初めまして 。 237 00:31:42,330 --> 00:31:44,000 全然 気付いてなかったっすね 。 238 00:31:44,000 --> 00:31:46,000 どこや? と思うて 。 (スタッフ) 何で 239 00:31:46,000 --> 00:31:48,000 気付いてなかったんすか 今 。 240 00:31:48,000 --> 00:31:51,000 (スタッフ) あっ 初めまして 。 すいません お邪魔します 。 241 00:31:51,000 --> 00:31:54,000 東の方 おった? ( あやか ) 間違えとった 。 242 00:31:54,000 --> 00:31:57,000 [片山君 スマホがないので 243 00:31:57,000 --> 00:32:00,000 プランが作れないと 言っていましたが 244 00:32:00,000 --> 00:32:03,000 知り合いから デート向きのお店を聞き出し 245 00:32:03,000 --> 00:32:06,000 彼女をエスコートしました] 246 00:32:12,000 --> 00:32:14,000 (スタッフ) 4カ月ぶりか 。 ( 片山 ) そうです 。 247 00:32:21,670 --> 00:32:23,670 はい 。 248 00:32:28,000 --> 00:32:29,670 (スタッフ) 電話でしか やりとりできない… 。 249 00:32:29,670 --> 00:32:31,670 そう… 。 250 00:32:36,000 --> 00:32:38,000 (スタッフ) 大丈夫なんですか? 251 00:32:38,000 --> 00:32:40,000 (スタッフ) 今は 。 ( あやか ) 今は 。 今は? 252 00:32:40,000 --> 00:32:42,000 今はっていうか 全然 。 ( 片山 ) はい 。 253 00:32:50,000 --> 00:32:53,000 そうそう 。 254 00:32:53,000 --> 00:32:55,000 (スタッフ) あっ そうなんですね 。 ( あやか ) うん 。 255 00:33:00,330 --> 00:33:03,000 そう 。 ( 片山 ) っていうのはあるので 。 256 00:33:03,000 --> 00:33:06,000 (スタッフ) 年1回 。 ( あやか ) 年1回 。 フフフ… 。 257 00:33:09,000 --> 00:33:11,000 (スタッフ) あっ じゃあ そういう スマホも駄目だし 258 00:33:11,000 --> 00:33:14,330 そんな… 。 259 00:33:14,330 --> 00:33:17,000 (スタッフ) それは分かってたんですね 。 260 00:33:17,000 --> 00:33:21,000 [2人は 小学校からの幼なじみ] 261 00:33:21,000 --> 00:33:25,330 [今年の正月 久しぶりに再会しました] 262 00:33:31,000 --> 00:33:35,000 [そのとき 付き合ってほしいと 切りだしたのは 263 00:33:35,000 --> 00:33:38,000 あやかさんの方だったそうです] 264 00:33:40,000 --> 00:33:45,000 [と聞けば どうしたって こんな質問をしたくなります] 265 00:33:49,030 --> 00:33:51,000 ( あやか ・ 片山の笑い声 ) 266 00:34:23,000 --> 00:34:27,670 [だからこそ スマホがなくても 心配ないという2人は] 267 00:34:47,000 --> 00:34:50,000 (スタッフ) 頑張らなきゃ… 。 268 00:34:50,000 --> 00:34:56,000 [お互い まだまだ修業中の 宮大工の卵と看護師の卵] 269 00:34:56,000 --> 00:34:58,000 ( 片山 ・ あやか ) ありがとうございました 。 270 00:34:58,000 --> 00:35:02,000 (スタッフ) あとは ごゆっくり 。 また ご連絡します 。 271 00:35:02,000 --> 00:35:05,000 [何とも お似合いのカップルです] 272 00:35:11,000 --> 00:35:13,000 [それから しばらくして 273 00:35:13,000 --> 00:35:17,000 西大寺に詰める片山君と 塾長の田中さんに 274 00:35:17,000 --> 00:35:20,000 大きな仕事が舞い込みました] 275 00:35:30,000 --> 00:35:34,000 [西大寺の住職が 2人に依頼したのは 276 00:35:34,000 --> 00:35:37,330 念願だった 風鈴棚の制作でした] 277 00:35:41,000 --> 00:35:43,670 [寺を盛り上げるため 278 00:35:43,670 --> 00:35:47,000 ずっとやりたかった 風鈴まつり] 279 00:35:47,000 --> 00:35:51,000 [外注すれば 高額になってしまう風鈴棚も 280 00:35:51,000 --> 00:35:54,000 彼らがいてくれれば 安く済み 281 00:35:54,000 --> 00:35:56,000 その上 釘を使わないから 282 00:35:56,000 --> 00:35:59,670 また 来年も同じように使えます] 283 00:36:02,000 --> 00:36:04,000 えーっと こっち… 。 284 00:36:06,000 --> 00:36:09,000 [しかも 以前と違い] 285 00:36:11,000 --> 00:36:13,000 ( 片山 ) 角度は 。 286 00:36:20,000 --> 00:36:24,000 [声を掛け合う 2人の息は ぴったりです] 287 00:36:34,000 --> 00:36:37,000 (スタッフ) チームワーク 何か でも 2人 いい感じじゃないっすか? 288 00:36:37,000 --> 00:36:40,000 そうですね 。 まぁ 前よりかはね 。 289 00:36:51,000 --> 00:36:58,000 [自分の手で立ち上げたものが 次々と形になっていく充実感] 290 00:36:58,000 --> 00:37:01,000 ( 風鈴の音 ) 291 00:37:01,000 --> 00:37:06,000 [そして その仕事に対し 多くの人が喜んでくれる時間は 292 00:37:06,000 --> 00:37:09,670 あらためて 宮大工というなりわいを 293 00:37:09,670 --> 00:37:12,330 選んでよかったと 思える瞬間です] 294 00:37:12,330 --> 00:37:17,670 ( 風鈴の音 ) 295 00:37:32,000 --> 00:37:36,000 これに お願い事 書いてもらって 引っ掛けてもらって 。 296 00:37:36,000 --> 00:37:38,000 まぁ つるすという… 。 297 00:37:38,000 --> 00:37:41,000 2つですね 。 600 円になります 。 298 00:37:41,000 --> 00:37:46,670 [片山君も 大工仕事だけでなく 接客まで手伝って] 299 00:37:48,670 --> 00:37:50,670 あっ はい 。 300 00:37:53,000 --> 00:38:00,000 ( 風鈴の音 ) 301 00:38:00,000 --> 00:38:04,000 [と そこに なじみの住民から] 302 00:38:04,000 --> 00:38:06,000 失礼します 。 303 00:38:13,000 --> 00:38:15,000 ( 片山 ) あっ… 。 ( 住民 ) いらん? 304 00:38:15,000 --> 00:38:17,000 もらったらいけんのかい? ( 片山 ) いや 大丈夫… 。 305 00:38:17,000 --> 00:38:20,000 ( 片山 ) いいんですか? ( 住民 ) うん 。 306 00:38:20,000 --> 00:38:22,000 ( 片山 ) すいません 頂きます 。 307 00:38:25,000 --> 00:38:27,000 ( 片山 ) 何となくは 。 308 00:38:29,000 --> 00:38:31,000 その方が 。 309 00:38:33,000 --> 00:38:36,000 えー まぁ… 。 310 00:38:47,000 --> 00:38:50,000 [自信がつくと 不思議なもので 311 00:38:50,000 --> 00:38:52,330 苦手だったカンナ掛けも] 312 00:38:52,330 --> 00:38:54,000 ( 女性 ) あ~ 上手~! ( 子供 ) 奇麗! 313 00:38:54,000 --> 00:38:56,000 ( 男性 ) すごっ! ( 拍手 ) 314 00:38:56,000 --> 00:38:59,000 こんな感じです 。 315 00:38:59,000 --> 00:39:03,000 ( 片山 ) そのまま… ゆっくり ゆっくり ゆっくり 。 316 00:39:03,000 --> 00:39:05,000 あー 。 ( 片山 ) あー 惜しい! 317 00:39:05,000 --> 00:39:08,000 ( 男性 ) あー むずっ! 318 00:39:08,000 --> 00:39:11,000 あっ でも この引っ掛かる感じが 。 ( 片山 ) 分かりますか? 319 00:39:11,000 --> 00:39:13,000 分かりますね 。 320 00:39:13,000 --> 00:39:19,000 [こうなると 本来の人懐っこさと 優しさも全開で] 321 00:39:19,000 --> 00:39:21,000 最後 ゆーっくり 引いてってください 。 322 00:39:27,000 --> 00:39:29,000 ( 男性 ) ヘヘヘ… ちょっとだけなんだ 。 323 00:39:29,000 --> 00:39:32,000 そうですね ちょっとだけです 。 僕も 1回やってみたんですけど 324 00:39:32,000 --> 00:39:36,000 あっ ましにはなってるな っていう 。 325 00:39:36,000 --> 00:39:42,000 [片山君 わずか4カ月で すっかり地元の人気者] 326 00:39:48,000 --> 00:39:53,000 [そんな効果もあってか 立ち上がったばかりの岡山校に 327 00:39:53,000 --> 00:39:56,000 早くも 入塾希望者が] 328 00:40:00,000 --> 00:40:02,000 これが その 329 00:40:02,000 --> 00:40:04,000 こっちを押したことによって出る 刃返りみたいなものです 。 330 00:40:10,000 --> 00:40:13,000 [まだ 出来上がったばかりの 岡山校舎に 331 00:40:13,000 --> 00:40:17,000 初の入塾希望者が やって来ました] 332 00:40:17,000 --> 00:40:21,330 [それは 3年前の片山君も通った道] 333 00:40:34,000 --> 00:40:39,000 [ 18 歳にして 選ぼうとしている宮大工の道] 334 00:40:39,000 --> 00:40:43,000 [彼は なぜ この世界に 引かれたのでしょうか] 335 00:40:58,000 --> 00:41:00,000 (スタッフ) どうですか? いけそうっすか? 336 00:41:00,000 --> 00:41:02,000 いや… 。 337 00:41:34,000 --> 00:41:37,000 どうかな? っていうのは あるんですけど 。 338 00:41:42,000 --> 00:41:45,000 感じです 。 今んとこ 。 339 00:41:45,000 --> 00:41:47,000 (スタッフ) すごいっすね 。 ( 母親 ) すごいですか? 340 00:41:47,000 --> 00:41:49,000 分かんないです 。 341 00:41:50,670 --> 00:41:55,000 [教える片山君にも 本来の面倒見の良さが] 342 00:42:00,000 --> 00:42:02,000 ( 宮脇 ) あー そうですか 。 343 00:42:07,000 --> 00:42:09,000 ( 宮脇 ) ここ? ( 片山 ) はい 。 344 00:42:13,000 --> 00:42:15,000 なら大丈夫です 。 345 00:42:17,000 --> 00:42:20,000 ⚟ ( 母親 ) 大丈夫 。 ( 片山 ) 大丈夫っすか 。 よかった 。 346 00:42:20,000 --> 00:42:23,000 ( 片山 ) ちょっとしか 出てないんですけど 。 347 00:42:23,000 --> 00:42:27,000 [その様子は 金田さんの耳にも 入っているようです] 348 00:43:01,000 --> 00:43:04,000 フフフ… 。 349 00:43:06,000 --> 00:43:10,000 [ここまで来れば 朝4時半起きも 350 00:43:10,000 --> 00:43:16,000 スマホなしも 私語厳禁も 全て 無駄ではなかったはずです] 351 00:43:16,000 --> 00:43:19,000 うまいですね 。 最初から こんな 。 ( 女性 ) ホント !? 352 00:43:32,000 --> 00:43:37,000 [そして 頭を丸めて 気合を入れた石井君にも 353 00:43:37,000 --> 00:43:40,000 就職の誘いが] 354 00:43:40,000 --> 00:43:45,000 [実は 三重のお寺で 黙々と働く石井君を見て 355 00:43:45,000 --> 00:43:49,000 出入りの建具屋さんが 「 卒業したら ぜひ うちに 」 と 356 00:43:49,000 --> 00:43:54,000 大卒平均の 1.5 倍の給料で 迎えてくれるというのです] 357 00:44:14,000 --> 00:44:20,330 [今どきのやり方に背を向けて 己を磨く若者たち] 358 00:44:22,000 --> 00:44:25,000 [辞めていく仲間も多いけど] 359 00:44:27,000 --> 00:44:31,000 [懸命に 何かをやり遂げれば こうやって 360 00:44:31,000 --> 00:44:34,000 彼女だって できるんです] 361 00:44:34,000 --> 00:44:39,000 [さて 今日の あやかさんのご機嫌は?] 362 00:44:39,000 --> 00:44:41,000 ( 受話器を置く音 ) 363 00:44:44,000 --> 00:44:46,000 たぶん あれじゃないですか 。 364 00:44:50,000 --> 00:44:57,000 [やっぱり スマホなしだけは 恋には ちょっと きつそうです]