1 00:00:12,000 --> 00:00:14,000 幸せいっぱい 腹いっぱい! 2 00:00:14,000 --> 00:00:21,000 [ 1995 年 10 月に始まった 『 ザ ・ ノンフィクション 』 は 3 00:00:21,000 --> 00:00:26,000 2025 年 10 月で 放送 30 周年] 4 00:00:26,000 --> 00:00:30,000 [その間 時代を懸命に 生きる人々の姿を 5 00:00:30,000 --> 00:00:34,000 カメラに収めてきました] 6 00:00:34,000 --> 00:00:36,000 [そこに…] 7 00:00:38,000 --> 00:00:41,000 […を お届けしてきた5週間] 8 00:00:41,000 --> 00:00:43,000 [その最後は] 9 00:00:52,000 --> 00:00:54,000 ( マユミのせき ) 10 00:00:54,000 --> 00:00:58,000 [今から2年前 1人の母親が 11 00:00:58,000 --> 00:01:04,000 日本では 許されない選択をしました] 12 00:01:04,000 --> 00:01:11,000 [自らの意思で死にゆく母親と 見送る夫と娘たち] 13 00:01:13,000 --> 00:01:16,000 [その姿を見つめた番組は…] 14 00:01:21,000 --> 00:01:23,000 […を記録しました] 15 00:01:27,000 --> 00:01:30,000 [そして 放送直後から 16 00:01:30,000 --> 00:01:34,000 SNSでは 多くの声が飛び交いました] 17 00:01:44,000 --> 00:01:46,000 [2人の娘は 18 00:01:46,000 --> 00:01:50,000 母が 最期を迎えたスイスへと 旅立ちます] 19 00:02:06,690 --> 00:02:10,690 ( 娘 ・ マコト ) ♬ 「 ハ ッ ピー ・ バースデ ィ トゥ ・ ユー 」 20 00:02:10,690 --> 00:02:14,690 [マユミさんが亡くなって およそ1年半] 21 00:02:14,690 --> 00:02:18,690 おめでとう 。 ( 拍手 ) 22 00:02:18,690 --> 00:02:22,690 [お姉ちゃんは 二十歳の誕生日を迎えました] 23 00:02:22,690 --> 00:02:25,690 これだと あんまり上手に切られへんので 。 24 00:02:28,690 --> 00:02:32,350 [買ってきたのは いつも マユミさんが 25 00:02:32,350 --> 00:02:35,690 家族のために買っていた 店のケーキ] 26 00:02:37,690 --> 00:02:41,690 [食卓には ママの分も並んでいます] 27 00:02:43,690 --> 00:02:50,690 [娘たちが ママに乗り移ってねと せがんだ猫たちも元気] 28 00:02:52,690 --> 00:02:54,690 [そして…] 29 00:02:54,690 --> 00:02:57,690 手紙の授与 。 はい 。 30 00:03:00,690 --> 00:03:04,690 [パパの手を借りて 渡されたのは…] 31 00:03:19,690 --> 00:03:23,690 [ママが 2人の娘の節目のため 32 00:03:23,690 --> 00:03:28,690 何十通と書きためていた 手紙です] 33 00:03:30,690 --> 00:03:34,690 [そのおかげで 娘たちは ママが旅立ってからも 34 00:03:34,690 --> 00:03:38,690 ずっと その声を聞くことができました] 35 00:03:43,690 --> 00:03:45,690 うん 。 36 00:03:45,690 --> 00:03:48,690 [お墓には 生前のマユミさんが 37 00:03:48,690 --> 00:03:53,690 よく ノートに描いていた 娘や猫たちのイラスト] 38 00:03:56,690 --> 00:03:59,690 はい 。 ( 娘 ) はい 。 39 00:03:59,690 --> 00:04:03,690 [私たちが この家族と出会えたきっかけは 40 00:04:03,690 --> 00:04:05,690 マユミさんがくれた 41 00:04:05,690 --> 00:04:08,690 こんなメッセージでした] 42 00:04:32,690 --> 00:04:35,690 [初めて出会ったのは…] 43 00:04:40,690 --> 00:04:44,690 (スタッフ) すいません 。 お時間 頂いて ありがとうございます 。 44 00:04:44,690 --> 00:04:46,690 [そのときの彼女は 45 00:04:46,690 --> 00:04:50,690 1週間後に 安楽死するなど 信じられないほど 46 00:04:50,690 --> 00:04:52,690 元気そうに見えました] 47 00:04:52,690 --> 00:04:54,690 ( マユミ ・スタッフ) お願いします 。 48 00:04:54,690 --> 00:04:56,690 (スタッフ) すいません 。 わざわざ ありがとうございます 。 49 00:05:00,690 --> 00:05:02,690 ( マユミ ) 今は しない 。 50 00:05:16,690 --> 00:05:18,690 (スタッフ) ハハハッ 。 51 00:05:18,690 --> 00:05:22,690 [このとき マユミさん 44 歳] 52 00:05:22,690 --> 00:05:27,690 [がんと診断され 家も生活も変わっていました] 53 00:05:29,690 --> 00:05:33,690 ( マユミ ) 夜に 。 ハハハ… 。 54 00:05:57,020 --> 00:06:00,690 [言葉にすれば 軽過ぎる3年間] 55 00:06:00,690 --> 00:06:04,690 [しかし その3年をたどれば…] 56 00:06:09,690 --> 00:06:12,690 […と すさまじい速さで 57 00:06:12,690 --> 00:06:15,690 全身が侵されていったことが 分かります] 58 00:06:17,690 --> 00:06:23,690 [そして このときは もう 腫瘍が 頭皮にも現れていました] 59 00:06:40,690 --> 00:06:45,690 [それでも 娘たちのため なるべく 料理もしますが…] 60 00:06:47,690 --> 00:06:53,690 すごい 。 山盛りっすよ 。 えっ !? 結構な… 。 61 00:06:53,690 --> 00:06:58,690 [脳に転移したがんの影響で…] 62 00:06:58,690 --> 00:07:02,690 (スタッフ) 結構 見えないんですか? こぼれちゃう… 。 63 00:07:02,690 --> 00:07:05,690 ( マユミ ) そうですね 。 何か… 。 64 00:07:08,690 --> 00:07:12,690 [視界の左側は ほとんど見えません] 65 00:07:25,690 --> 00:07:29,690 緩和ケアって ご存じですか? (スタッフ) はい 。 66 00:07:44,690 --> 00:07:48,690 あとは ホントに どんどん 出てきて… 。 67 00:08:05,690 --> 00:08:09,690 [その苦しみの日々は SNSにも] 68 00:08:32,690 --> 00:08:37,690 [これは 壮絶な闘病を 繰り返していたマユミさんが 69 00:08:37,690 --> 00:08:42,690 安楽死を サポート するスイスの団体に 提出した書類です] 70 00:08:57,690 --> 00:08:59,350 [その決断を 71 00:08:59,350 --> 00:09:03,690 当初 夫のマコトさんは 受け入れられずにいました] 72 00:09:14,690 --> 00:09:16,690 (スタッフ) そうですよね 。 73 00:09:18,690 --> 00:09:20,690 [それでも 家族は 74 00:09:20,690 --> 00:09:23,690 ママの決断を受け入れようと 必死でした] 75 00:09:23,690 --> 00:09:28,690 [いつものように 家族みんなで 楽しく テレビゲーム] 76 00:09:32,690 --> 00:09:40,690 ( せき ) 77 00:09:40,690 --> 00:09:45,690 [もう これ以上 ママが つらい思いをしないように] 78 00:09:51,690 --> 00:09:59,690 [子供のころから優秀で マユミさんは…] 79 00:09:59,690 --> 00:10:05,690 [友人も多く 楽しいお酒も大好き] 80 00:10:07,690 --> 00:10:10,690 [就職した会社では…] 81 00:10:15,690 --> 00:10:19,690 [そこで出会ったのが 同僚だったマコトさん] 82 00:10:19,690 --> 00:10:24,690 [その真面目さにひかれ 24 歳で結婚すると 83 00:10:24,690 --> 00:10:29,690 その2年後には 長女 8年後には 次女と 84 00:10:29,690 --> 00:10:32,690 2人の娘に恵まれますが 85 00:10:32,690 --> 00:10:37,690 平穏な日々は 突然 終わりを迎えます] 86 00:10:39,690 --> 00:10:42,690 [ 41 歳で がんの宣告] 87 00:10:42,690 --> 00:10:46,690 [長女は 15 歳 次女は 9歳でした] 88 00:10:49,690 --> 00:10:52,690 [入院したのは ちょうど コロナ禍] 89 00:10:52,690 --> 00:10:55,690 [面会できなかった母と娘は 90 00:10:55,690 --> 00:10:58,690 ノートで メッセージのやりとりを しました] 91 00:11:10,690 --> 00:11:17,690 [怖くて つらくて 不安なときは 未来のことを考えて] 92 00:11:17,690 --> 00:11:19,690 [私は 大人になって 93 00:11:19,690 --> 00:11:23,690 ママと飲み会するのが めっちゃ楽しみ] 94 00:11:23,690 --> 00:11:28,690 [そう書いた長女は ママが スイスに旅立つその日 95 00:11:28,690 --> 00:11:31,690 メークを教えてほしいと 頼みました] 96 00:11:34,690 --> 00:11:36,690 ( 娘 ) はい 。 97 00:11:49,690 --> 00:11:52,690 メークは いらんぐらい… 。 98 00:11:52,690 --> 00:11:55,690 ( 娘 ) ケバ… 。 結構 つやつや! 99 00:11:59,690 --> 00:12:01,690 10 分ぐらい… 。 100 00:12:01,690 --> 00:12:04,690 ( 娘 ) やってあげて 。 101 00:12:04,690 --> 00:12:06,690 ( 娘 ) 怖い 怖い 。 ( マユミ ) 大丈夫 大丈夫 。 102 00:12:06,690 --> 00:12:11,690 目 つぶっといて… 。 ( 娘 ) やだ~! 怖い! 103 00:12:17,690 --> 00:12:19,690 [もし がんにならなければ 104 00:12:19,690 --> 00:12:23,690 もっと いくらでも 教えてあげられたのに…] 105 00:12:29,690 --> 00:12:32,350 ( 娘 ) ここ… 。 106 00:12:32,350 --> 00:12:34,690 ( マユミ ) 付いてる? その辺 あんま見えてない 。 107 00:12:36,690 --> 00:12:38,690 ( 娘 ) 取れた 。 108 00:12:40,690 --> 00:12:46,690 [娘たちは スイスに向かう両親を 空港まで見送りました] 109 00:12:52,690 --> 00:12:56,690 [けれど そこで交わされていた会話は 110 00:12:56,690 --> 00:12:59,690 驚くほど いつもどおりです] 111 00:13:06,690 --> 00:13:08,690 ( マユミ ) そう? 決定? ( 娘 ) えっ? 112 00:13:31,690 --> 00:13:34,690 好み 違うやん 。 いつも 何か 変とか言って 。 113 00:13:34,690 --> 00:13:37,690 ( マユミ ) でも 大学はさ… 。 ( 娘 ) 成人式? 114 00:13:53,690 --> 00:13:57,690 [実は このとき 娘たちは 115 00:13:57,690 --> 00:14:01,690 ママと 笑顔で別れようと 約束していたことを 116 00:14:01,690 --> 00:14:03,690 後で 教えてくれました] 117 00:14:05,690 --> 00:14:07,690 [だから…] 118 00:14:13,690 --> 00:14:16,690 ひじきに 。 ( マユミ ) ひじき 。 はい 。 119 00:14:16,690 --> 00:14:18,690 ひじきを ちゃんと 観察しといて 。 120 00:14:18,690 --> 00:14:22,690 しとくわ 。 今 絶対 いる! みたいな 。 121 00:14:22,690 --> 00:14:25,690 ( 娘 ) バイバイ 。 122 00:14:25,690 --> 00:14:27,690 ( マコト ) じゃあな 。 123 00:14:31,690 --> 00:14:37,690 [ママが見えなくなった途端 あふれた涙] 124 00:14:37,690 --> 00:14:42,690 [これは まだ 小学生だった妹と ママのやりとりです] 125 00:15:08,690 --> 00:15:10,690 [と書き出したマユミさんは 126 00:15:10,690 --> 00:15:15,690 あと1カ月 長く生きれたとしても 痛くて泣き叫んだり 127 00:15:15,690 --> 00:15:19,690 脳の病気で 性格が変わってしまうのが 128 00:15:19,690 --> 00:15:23,690 怖かったと返信しました] 129 00:15:52,690 --> 00:15:55,690 [スイスに着いたのは…] 130 00:15:59,690 --> 00:16:01,690 [向かったのは 131 00:16:01,690 --> 00:16:05,690 外国人の安楽死も受け入れる 支援団体の施設です] 132 00:16:07,690 --> 00:16:10,690 は~い 。 見えてる? 133 00:16:10,690 --> 00:16:12,690 (携帯電話)見えてる 。 ( マユミ ) 見えてる? 134 00:16:12,690 --> 00:16:14,690 これで いける? 135 00:16:21,690 --> 00:16:23,690 (携帯電話) ( 娘 ) みんな… 。 ( マユミ ) みんな 大丈夫? 136 00:16:23,690 --> 00:16:25,690 (携帯電話) ( 娘 ) みんな… 。 137 00:16:28,690 --> 00:16:32,690 [家族で話し合った結果 最期の瞬間まで 138 00:16:32,690 --> 00:16:37,690 テレビ電話をつないでおこうと 決めました] 139 00:16:37,690 --> 00:16:42,690 [家族だけの最後の時間です] 140 00:16:46,690 --> 00:16:51,690 [そして その時は やってきました] 141 00:16:55,690 --> 00:17:00,690 ( 医師の英語 ) 142 00:17:03,690 --> 00:17:07,690 ( 通訳 ) これを開けたら どうなるか理解していますか? 143 00:17:07,690 --> 00:17:10,690 ( 英語 ) 144 00:17:10,690 --> 00:17:13,690 ( 医師の英語 ) 145 00:17:13,690 --> 00:17:15,690 ( 英語 ) 146 00:17:15,690 --> 00:17:19,690 ( 医師の英語 ) 147 00:17:19,690 --> 00:17:22,690 ( 医師 ) OK? 148 00:17:22,690 --> 00:17:27,690 ( 医師の英語 ) 149 00:17:33,690 --> 00:17:35,690 ありがと 。 150 00:17:35,690 --> 00:17:37,690 (携帯電話) ( 娘 ) ありがとう 。 151 00:17:42,690 --> 00:17:44,690 バイバイ 。 152 00:17:44,690 --> 00:17:46,690 またね 。 153 00:17:50,690 --> 00:17:52,690 (携帯電話) ( 娘 ) ありがとう 。 ( マユミ ) ありがとう 。 154 00:17:52,690 --> 00:17:54,690 ありがとう 。 155 00:18:00,690 --> 00:18:02,690 (携帯電話) ( 娘 ) 大丈夫 大丈夫 。 ( マユミ ) ありがとう 。 156 00:18:02,690 --> 00:18:05,690 ありがとうな 。 (携帯電話) ( 娘 ) ありがとう 。 157 00:18:13,690 --> 00:18:16,690 (携帯電話) ( 娘 ) ありがとう 。 158 00:18:16,690 --> 00:18:18,690 (携帯電話) ( 娘 ) 大好き 大好き 。 159 00:18:28,690 --> 00:18:30,690 (携帯電話) ( 娘 ) 大丈夫 ママ… 。 160 00:18:32,690 --> 00:18:34,690 うんうん 元気でね 。 161 00:18:39,690 --> 00:18:41,690 (携帯電話) ( 娘 ) 大好き 。 162 00:18:48,690 --> 00:18:55,690 (携帯電話) ( 娘たちの泣き声 ) 163 00:19:00,690 --> 00:19:03,690 ( はなをすする音 ) 164 00:19:08,690 --> 00:19:12,690 [数時間後 火葬場のスタッフにより 165 00:19:12,690 --> 00:19:15,690 棺に納められた マユミさんの出棺です] 166 00:19:21,690 --> 00:19:26,690 [スイスでは 家族が 火葬場まで見送る習慣がなく 167 00:19:26,690 --> 00:19:28,690 ここで お別れ] 168 00:19:28,690 --> 00:19:33,690 [と そのとき マコトさんが…] 169 00:19:33,690 --> 00:19:35,690 今 聞こえる? 170 00:19:45,350 --> 00:19:47,350 うん 。 171 00:19:52,690 --> 00:19:55,690 (携帯電話) ( 娘 ) ああ… 。 ( マコト ) ああって… 。 172 00:20:04,690 --> 00:20:08,690 ( マコト ) 映ってる? 映ってる? 白いベンツ 。 173 00:20:08,690 --> 00:20:10,690 (携帯電話) ( 娘 ) 映ってる 。 ( マコト ) 映った? 174 00:20:13,690 --> 00:20:18,690 (携帯電話) ( 娘 ) パパ… 。 ( マコト ) もう ここまで 。 175 00:20:18,690 --> 00:20:20,690 (携帯電話) ( 女性 ) ここまで? ( マコト ) うん 。 176 00:20:20,690 --> 00:20:22,690 バイバイ 。 177 00:20:30,690 --> 00:20:32,690 見えた? (携帯電話) ( 娘 ) 見えた 。 178 00:20:40,690 --> 00:20:42,690 [フライトの時間が迫る中 179 00:20:42,690 --> 00:20:46,690 マコトさんが 無理をして立ち寄ったのは 180 00:20:46,690 --> 00:20:51,690 マユミさんが来たがっていたのに 体調を崩し 来られなかった 181 00:20:51,690 --> 00:20:55,690 ライン川の ほとりのカフェでした] 182 00:21:03,690 --> 00:21:05,690 (携帯電話) ( ♬ 『 悲愴 第2楽章 』) 183 00:21:05,690 --> 00:21:07,690 これ 。 (スタッフ) あっ 。 184 00:21:07,690 --> 00:21:13,690 (携帯電話) ( ♬ 『 悲愴 第2楽章 』) 185 00:21:26,690 --> 00:21:29,690 (携帯電話) ( ♬ 『 悲愴 第2楽章 』) 186 00:21:29,690 --> 00:21:31,690 [聞かせてくれたのは 187 00:21:31,690 --> 00:21:37,690 家族だけの最後の時間に 繰り返し 聴いていたという曲] 188 00:21:47,690 --> 00:21:52,690 (携帯電話) ( ♬ 『 悲愴 第2楽章 』) 189 00:21:52,690 --> 00:21:59,690 ♬~ 190 00:22:04,690 --> 00:22:09,690 [マユミさんのいない 初めての春です] 191 00:22:09,690 --> 00:22:16,690 [長女は 大学に合格し 次女は もうすぐ 中学生] 192 00:22:16,690 --> 00:22:19,690 [そして マコトさんは…] 193 00:22:25,690 --> 00:22:31,690 [ リモートワーク の多い会社に転職し 料理の腕も上げていました] 194 00:22:47,690 --> 00:22:49,690 ( ノック ) 195 00:22:53,690 --> 00:22:56,690 じゃあ いただきます 。 ( 娘たち ) いただきます 。 196 00:22:56,690 --> 00:23:01,690 [晩ご飯は 週に何度かは 長女も作ります] 197 00:23:18,690 --> 00:23:20,690 [マユミさんは 198 00:23:20,690 --> 00:23:24,690 想像以上に 家族への贈り物を 残していました] 199 00:23:28,690 --> 00:23:30,690 (スタッフ) 何ですか? それ 。 200 00:23:30,690 --> 00:23:33,690 [その一つが これです] 201 00:23:39,690 --> 00:23:42,690 (スタッフ) そうなんですか? ( マコト ) うん 。 202 00:23:42,690 --> 00:23:47,690 [それは きちんと 製本された フォトブック] 203 00:23:47,690 --> 00:23:52,690 [仕事ができた マユミさんらしい サプライズ です] 204 00:23:56,690 --> 00:24:01,690 [かと思えば 2人の娘それぞれに向けた 205 00:24:01,690 --> 00:24:05,690 手作りの メッセージつきアルバムまで] 206 00:24:08,690 --> 00:24:13,690 [苦しい闘病中に作られたはずの そのアルバムには 207 00:24:13,690 --> 00:24:17,690 なぜ 次女の写真が 少ないのかも書かれていました] 208 00:25:00,690 --> 00:25:03,690 [そんな メッセージ を受け取った妹は 209 00:25:03,690 --> 00:25:08,690 まだ売らずにいる元の家が 大好きでした] 210 00:25:08,690 --> 00:25:11,690 [夫婦が 初めて 一緒に買い 211 00:25:11,690 --> 00:25:16,690 次女が生まれたとき 住んでいた一戸建てです] 212 00:25:16,690 --> 00:25:18,690 ( マコト ) 奇麗にするんか? 213 00:25:26,690 --> 00:25:28,690 ここ 奇麗にしたら… 。 214 00:25:31,690 --> 00:25:36,690 [その家は かつて マユミ さんが育てたモッコウバラが 215 00:25:36,690 --> 00:25:38,690 咲き誇っていました] 216 00:25:40,690 --> 00:25:45,690 [自宅前の看板を手作りしたり こだわりのポストを建てたのも 217 00:25:45,690 --> 00:25:50,690 DIYが好きだった マユミさんです] 218 00:25:50,690 --> 00:25:52,690 かたっ 。 219 00:25:54,690 --> 00:25:56,690 (スタッフ) めっちゃ入ってるね 。 220 00:25:58,690 --> 00:26:00,690 [その家の中には 221 00:26:00,690 --> 00:26:05,690 マユミさんと娘の かけがえのない思い出たちが…] 222 00:26:05,690 --> 00:26:07,690 スリッパを履いて… 。 223 00:26:14,690 --> 00:26:16,690 [家族が かつて 住んでいた家には 224 00:26:16,690 --> 00:26:19,690 マユミさんのこだわりが 詰まっていました] 225 00:26:43,690 --> 00:26:46,690 (スタッフ) ちっちゃい まだ 。 ( マコト ) そうですね 。 226 00:26:48,690 --> 00:26:51,690 (スタッフ) おしゃれっすね 。 これ マユミさんが… 。 227 00:26:51,690 --> 00:26:54,690 そうそう… 。 塗った 。 (スタッフ) えっ !? 228 00:27:00,690 --> 00:27:05,690 [大学は 建築科を卒業し DIYが好きだ っ たマユミさんは 229 00:27:05,690 --> 00:27:10,690 家じゅうの至る所を 家族色に染めていました] 230 00:27:10,690 --> 00:27:14,690 ( 娘 ) いらない 。 (スタッフ) いらない? 231 00:27:14,690 --> 00:27:17,690 これ お母さんってこと? ( 娘 ) 分かんない 。 232 00:27:20,690 --> 00:27:25,690 (スタッフ) このルールは? ( マコト ) 昔 つくってたな 。 233 00:27:34,690 --> 00:27:40,690 [自分たちの遊び部屋には ピンクの壁紙をは っ てくれたママ] 234 00:27:40,690 --> 00:27:43,690 [次女には まだ 持ち出したいものが 235 00:27:43,690 --> 00:27:45,690 たくさん あるようです] 236 00:27:49,690 --> 00:27:52,690 (スタッフ) それ? ( マコト ) 何か あった? 237 00:27:54,690 --> 00:27:57,690 ( マコト ) それ 定期入れなん? へぇ~ 。 238 00:27:57,690 --> 00:28:02,690 [次女が この家に思い入れるのは 生まれたときから 239 00:28:02,690 --> 00:28:07,690 ママが 家族色に染めたこの家で 育ったからです] 240 00:28:07,690 --> 00:28:09,690 ( マコト ) 写ってる 。 241 00:28:13,690 --> 00:28:18,690 ( 娘 ) 笑ってる 。 ( マコト ) 笑ってる 笑ってる 。 242 00:28:18,690 --> 00:28:21,690 [ただ そのころは 243 00:28:21,690 --> 00:28:26,690 マユミさんだって 思いもしなかったでしょう] 244 00:28:26,690 --> 00:28:29,690 ( マコト ) おめでとう 。 245 00:28:35,690 --> 00:28:38,690 [まさか この8年後に 246 00:28:38,690 --> 00:28:41,690 自ら 死を選ぶような病に かかるとは…] 247 00:28:44,690 --> 00:28:47,690 ( 娘 ) チーズ 。 (携帯電話) ( シャッター音 ) 248 00:28:47,690 --> 00:28:50,690 [当時 夫婦は 新築の家を建てるため 249 00:28:50,690 --> 00:28:53,690 契約を進めていました] 250 00:29:17,690 --> 00:29:20,690 さっきも見てもらったみたいに… 。 251 00:29:32,690 --> 00:29:34,350 [マコトさんから 252 00:29:34,350 --> 00:29:38,690 家族で スイスに行くと 連絡がありました] 253 00:29:38,690 --> 00:29:43,690 [娘たちに ママの旅立った場所を 見せてあげたい] 254 00:30:14,690 --> 00:30:19,690 [それでも 家族にとっての一区切りです] 255 00:30:25,690 --> 00:30:28,690 [スイスに着いた家族が まず 訪れたのは 256 00:30:28,690 --> 00:30:32,690 マユミさんの最後の地 バーゼルでした] 257 00:30:38,690 --> 00:30:42,690 [マコトさんが 娘たちに見せたかったのは 258 00:30:42,690 --> 00:30:47,690 2年前 マユミさんとランチをした店] 259 00:30:47,690 --> 00:30:50,690 [座りたい席も 決まっていました] 260 00:31:04,690 --> 00:31:07,690 [あの日 夫婦で選んだのは 261 00:31:07,690 --> 00:31:11,690 スイスらしい料理が食べたいと 入ったレストラン] 262 00:31:11,690 --> 00:31:14,690 [そのときと同じ席に…] 263 00:31:16,690 --> 00:31:21,690 [今 娘たちが座っています] 264 00:31:21,690 --> 00:31:26,690 [まるで あの日の記憶をなぞるように…] 265 00:31:30,690 --> 00:31:32,690 [2年前 266 00:31:32,690 --> 00:31:37,690 彼女は 確かに この地を踏みしめ 生きていました] 267 00:31:40,690 --> 00:31:46,690 [建築好きのマユミさんは 最後まで 歴史ある建物に夢中] 268 00:31:48,690 --> 00:31:50,690 うん 。 そうそう… 。 269 00:31:56,690 --> 00:31:58,690 [あのレストランでも 270 00:31:58,690 --> 00:32:03,690 むしろ 緊張気味のマコトさんを 和ませてくれました] 271 00:32:11,690 --> 00:32:14,690 ( 2人の笑い声 ) 272 00:32:18,690 --> 00:32:22,690 [けれど その体に 慣れない街の観光は 273 00:32:22,690 --> 00:32:25,690 かなり こたえたのでしょう] 274 00:32:46,690 --> 00:32:49,690 昨日 ひたすら しゃべって… 。 ( マユミ ) そうそう… 。 275 00:32:51,690 --> 00:32:57,690 [亡くなる前日 とうとう マユミさんは 体調を崩し 276 00:32:57,690 --> 00:33:01,690 ホテルから出ることさえ できなくなりました] 277 00:33:04,690 --> 00:33:06,690 (スタッフ) 体調 。 278 00:33:17,690 --> 00:33:19,690 (スタッフ) やっぱ きてますか 。 279 00:33:21,690 --> 00:33:24,690 [せめて 人生の最後は 280 00:33:24,690 --> 00:33:28,690 少しでも食べ慣れたものを 食べさせたいと…] 281 00:33:34,690 --> 00:33:36,690 ( 英語 ) 282 00:33:40,690 --> 00:33:45,690 [見つけたのは テークアウト ができる和食屋さんです] 283 00:33:55,690 --> 00:33:57,690 (スタッフ) そうですね 。 284 00:33:59,690 --> 00:34:03,690 [そんな中 マユミさんは 娘たちに 285 00:34:03,690 --> 00:34:06,690 スイスで撮った ありったけの写真と 286 00:34:06,690 --> 00:34:09,690 こんなメッセージを 送っていました] 287 00:34:39,690 --> 00:34:43,690 で 何ていうんですかね 。 288 00:35:06,690 --> 00:35:09,690 まあ だから… 。 289 00:35:12,690 --> 00:35:16,690 そういうことを たぶん… 。 290 00:35:23,690 --> 00:35:25,690 それでも 何か こう… 。 291 00:35:52,690 --> 00:35:56,690 それは 何か すごく… 。 292 00:35:59,690 --> 00:36:02,690 っていう気持ちがありますね 。 293 00:36:06,690 --> 00:36:11,690 [私には もう返せるものがない] 294 00:36:11,690 --> 00:36:14,690 [そんな言葉を打ち消すように マコトさんは 295 00:36:14,690 --> 00:36:17,690 生前のマユミさんが 行った場所や 296 00:36:17,690 --> 00:36:20,690 行きたかったけれど 行けなかった場所を 297 00:36:20,690 --> 00:36:23,690 娘たちに見せて回りました] 298 00:36:39,690 --> 00:36:42,690 そうですね 。 来れて 。 299 00:36:49,690 --> 00:36:53,690 [そして バーゼルで 最後に向かったのは 300 00:36:53,690 --> 00:36:55,690 ライン川沿いの…] 301 00:37:05,690 --> 00:37:10,690 [あの日 1人で座った あのカフェです] 302 00:37:15,690 --> 00:37:19,690 [そこで マコトさんが差し出したのは…] 303 00:37:19,690 --> 00:37:21,690 あんまり 聞こえないかな 。 304 00:37:21,690 --> 00:37:27,690 (携帯電話) ( ♬ 『 悲愴 第2楽章 』) 305 00:37:27,690 --> 00:37:32,690 [死の直前まで 家族で聴いていた曲です] 306 00:37:32,690 --> 00:37:37,690 (携帯電話) ( ♬ 『 悲愴 第2楽章 』) 307 00:37:37,690 --> 00:37:40,690 ♬~ 308 00:37:40,690 --> 00:37:42,690 覚えてる 。 309 00:37:42,690 --> 00:37:46,690 (携帯電話) ( ♬ 『 悲愴 第2楽章 』) 310 00:37:46,690 --> 00:37:50,690 [そのとき ひときわ ママっ子だった長女は…] 311 00:37:50,690 --> 00:37:54,690 (携帯電話) ( ♬ 『 悲愴 第2楽章 』) 312 00:37:54,690 --> 00:37:59,690 [どこかに ママの姿を 探しているようでした] 313 00:38:07,690 --> 00:38:10,690 [本当は ママが 一番 行きたかったけれど 314 00:38:10,690 --> 00:38:14,690 行けなかった山の麓の街 ツェルマット] 315 00:38:22,690 --> 00:38:24,690 [登山鉄道の待合室で 316 00:38:24,690 --> 00:38:28,690 3人は 何やら ノートを回し始めました] 317 00:38:42,690 --> 00:38:46,690 [やっていたのは 絵しり取り] 318 00:38:50,690 --> 00:38:55,690 [絵が苦手なマコトさんは いつも 苦戦していたと言いますが 319 00:38:55,690 --> 00:38:57,690 ママが生きていたころは 320 00:38:57,690 --> 00:39:00,690 よく ホワイトボード でやっていた 321 00:39:00,690 --> 00:39:03,690 家族の大切な思い出です] 322 00:39:12,690 --> 00:39:17,690 [見えてきたのは アルプス山脈のマッターホルン] 323 00:39:17,690 --> 00:39:20,690 [2年前 ここまで来るのは 遠過ぎたけど 324 00:39:20,690 --> 00:39:24,690 今 ママの代わりに 娘たちが 325 00:39:24,690 --> 00:39:27,690 その光景を 目に焼き付けています] 326 00:39:27,690 --> 00:39:43,690 ♬~ 327 00:39:43,690 --> 00:39:46,690 [目の前からはいなくなっても 328 00:39:46,690 --> 00:39:48,690 こんな所まで 連れてきてくれるのは 329 00:39:48,690 --> 00:39:50,690 やっぱり ママ] 330 00:39:52,690 --> 00:39:55,690 えっ? ( 娘 ) 山の写真を 。 331 00:40:01,690 --> 00:40:04,690 ( 娘たちの笑い声 ) 332 00:40:04,690 --> 00:40:09,690 [これまでも たくさんの思い出を 写真に収めてきた家族] 333 00:40:14,690 --> 00:40:19,690 [家族4人で 色々な所に行きました] 334 00:40:21,690 --> 00:40:24,690 [自然の中の写真が多いのは 335 00:40:24,690 --> 00:40:28,690 マユミさんが とりわけ 自然を愛したから] 336 00:40:33,690 --> 00:40:36,690 [いつだって 家族を引っ張り 337 00:40:36,690 --> 00:40:39,690 家族の幸せをつくってきた マユミさんは 338 00:40:39,690 --> 00:40:45,690 がんを宣告されてからも 変わらず 写真を撮り続けました] 339 00:40:54,690 --> 00:40:58,690 [そんな彼女がいなくなった今 340 00:40:58,690 --> 00:41:02,690 自分は 娘たちに 何をしてやれるのか] 341 00:41:14,690 --> 00:41:18,690 そうですね 。 そうですね 。 ホンマですね 。 ホンマや 。 342 00:41:33,690 --> 00:41:36,690 そうやね 。 343 00:41:36,690 --> 00:41:59,690 ♬~ 344 00:41:59,690 --> 00:42:01,690 [マユミさん] 345 00:42:01,690 --> 00:42:07,690 [あなたは きっと 笑顔で この写真を見ているはず] 346 00:42:07,690 --> 00:42:13,690 ( 娘たちの笑い声 ) 347 00:42:13,690 --> 00:42:18,690 [だって 娘たちは こんなにも楽しそうで…] 348 00:42:24,690 --> 00:42:29,690 [パパは ずっと あなたのことを考え続け…] 349 00:42:37,690 --> 00:42:40,690 [3人が歩むべき道を 350 00:42:40,690 --> 00:42:44,690 こんなにも晴れやかに 歩いているのだから] 351 00:42:52,690 --> 00:42:54,690 ( マコト ) あっ いたいた! 352 00:42:58,690 --> 00:43:05,690 [そして 二十歳になった長女は 成人式の前撮りに臨みました] 353 00:43:05,690 --> 00:43:10,690 [お店は マユミさんの ママ友や友人にも 情報を聞き 354 00:43:10,690 --> 00:43:13,690 お姉ちゃん自ら 予約したのだとか] 355 00:43:17,690 --> 00:43:19,690 えっ… 。 356 00:43:19,690 --> 00:43:22,690 ( マコト ) 伸びてくから そりゃ 。 ⚟中学生なんやから 。 357 00:43:46,690 --> 00:43:51,690 [そう スイスで もう一度 ママの生き方をたど っ た2人には 358 00:43:51,690 --> 00:43:57,690 これまで以上に くっきりとした ママ の輪郭が見えているはずです] 359 00:43:57,690 --> 00:44:00,350 ( 女性 ) 撮れてよかったって笑顔で 。 ( 娘 ) はい 。 360 00:44:00,350 --> 00:44:03,690 ( 女性 ) お願いします 。 ( 娘 ) フフフ… 。 361 00:44:07,690 --> 00:44:10,690 [そして 長女からは…] 362 00:44:23,690 --> 00:44:26,690 ⚟ありがとうございます 。 363 00:44:29,690 --> 00:44:33,690 [パパとママ宛ての感謝状が] 364 00:44:37,690 --> 00:44:40,690 [生前 マユミさんは マコトさんに 365 00:44:40,690 --> 00:44:44,690 こんな言付けを していたそうです] 366 00:44:44,690 --> 00:44:48,690 [もし 私が生きていたら 受けられるはずだった 367 00:44:48,690 --> 00:44:53,690 幸せの全てを 娘たちに あげてください] 368 00:44:53,690 --> 00:44:57,690 [余ったら あなたにも あげるから]