1 00:00:32,000 --> 00:00:35,000 なれのはてが ホントに なれのはてになったよ 。 2 00:00:35,000 --> 00:00:37,000 (携帯電話) ( 娘 ) ん? 3 00:00:37,000 --> 00:00:40,000 なれのはての ホントの なれのはてだよ 。 4 00:00:49,000 --> 00:00:53,000 [急を告げる連絡でした] 5 00:00:53,000 --> 00:00:57,000 [ディレクターは 慌てて異国の病院へ] 6 00:01:00,000 --> 00:01:05,000 [幸い 命の危機は脱したようです] 7 00:01:05,000 --> 00:01:07,000 (ディレクター) どうっすか? 8 00:01:29,000 --> 00:01:34,000 [心臓に血栓ができ 血流が滞ったのだとか] 9 00:02:12,000 --> 00:02:16,000 [入院費 およそ 27 万円のうち 10 00:02:16,000 --> 00:02:19,000 7万円を都合し 11 00:02:19,000 --> 00:02:22,000 残りは分割で 退院が決まりました] 12 00:02:33,000 --> 00:02:38,000 [口からは食事ができず 栄養は鼻から] 13 00:02:38,000 --> 00:02:42,000 [そんな状態で 家に帰ることになったんです] 14 00:02:56,000 --> 00:03:03,000 [同居している義理の娘と その親戚に助けられて タクシー へ] 15 00:03:19,000 --> 00:03:21,000 (ディレクター) 大丈夫そうですか? 16 00:03:29,000 --> 00:03:34,000 [日本を離れて すでに 21 年] 17 00:03:36,000 --> 00:03:42,000 [苦しげな まなざしが いったい何を見ているのか…] 18 00:03:42,000 --> 00:03:45,000 [うかがい知ることは できません] 19 00:03:50,000 --> 00:03:55,000 あぁ… あぁ… 。 20 00:04:02,000 --> 00:04:06,000 [その人を知ったのは 2014 年] 21 00:04:06,000 --> 00:04:12,000 [日本から遠く離れた フィリピンで暮らしていました] 22 00:04:12,000 --> 00:04:15,000 ( 鶏の鳴き声 ) 23 00:04:21,000 --> 00:04:26,000 [平山さん このとき 64 歳] 24 00:04:26,000 --> 00:04:36,000 ♬ 「 ふたつの島を つないだ道よ 」 25 00:04:36,000 --> 00:04:46,000 ♬ 「 はるかに遠い 北へとつづけ 」 26 00:04:49,000 --> 00:04:51,000 [訪ねた自宅には 27 00:04:51,000 --> 00:04:55,000 この国でもうけた 3歳の娘がいました] 28 00:04:58,000 --> 00:05:03,000 [マリコさんと その母親のテスさん] 29 00:05:03,000 --> 00:05:07,000 [どうやら 全ては 成り行き任せだったようです] 30 00:05:18,670 --> 00:05:20,670 (ディレクター) ペナルティーって 何ですか? 31 00:05:40,000 --> 00:05:44,000 [5年前に転がり込んだという テスさんの家で 32 00:05:44,000 --> 00:05:47,000 決して 豊かとは言えない暮らしに 33 00:05:47,000 --> 00:05:51,000 平山さんは すっかり なじんでいました] 34 00:06:01,000 --> 00:06:04,000 [家には 親戚に加え 35 00:06:04,000 --> 00:06:10,000 テスさんの前の夫との娘 プリンセス さんも同居しています] 36 00:06:12,000 --> 00:06:14,000 [ディレクターは 37 00:06:14,000 --> 00:06:18,000 平山さんの生き方に 強い興味を覚えました] 38 00:06:21,000 --> 00:06:24,000 [毎晩 10 時すぎから 39 00:06:24,000 --> 00:06:28,000 ジープを改造した乗り合いバスに お客を呼び込むのが 40 00:06:28,000 --> 00:06:31,000 このころの仕事] 41 00:06:31,000 --> 00:06:38,000 ( 平山の呼び掛ける声 ) 42 00:06:38,000 --> 00:06:43,000 [道行く人に行き先を尋ね バスに案内して 43 00:06:43,000 --> 00:06:48,000 運転手からもらうチップが 唯一の収入でした] 44 00:06:52,000 --> 00:06:55,000 [日本では トラックの運転手や 45 00:06:55,000 --> 00:06:59,000 土木作業員などをしていた 平山さん] 46 00:06:59,000 --> 00:07:03,000 [離婚して フィリピンパブにはまり 47 00:07:03,000 --> 00:07:08,000 知人と共に 日本料理店を出そうと 海を渡りました] 48 00:07:08,000 --> 00:07:11,000 [ 2004 年のことです] 49 00:07:13,000 --> 00:07:16,000 [ところが その知人が 50 00:07:16,000 --> 00:07:19,000 平山さんの有り金を カジノで全て失い 51 00:07:19,000 --> 00:07:22,000 もくろみは ついえます] 52 00:07:22,000 --> 00:07:25,000 ( クラクション ) 53 00:07:25,000 --> 00:07:31,000 [でも 一文無しで なぜ ずるずると日々を送れたのか] 54 00:07:35,000 --> 00:07:40,000 [そこには 取りあえず 食べる物に困らない環境があり 55 00:07:40,000 --> 00:07:44,000 見知らぬ異邦人を 優しく受け入れてしまう 56 00:07:44,000 --> 00:07:48,000 現地の人たちの おおらかさがありました] 57 00:08:00,000 --> 00:08:05,000 ( タガログ語 ) 58 00:08:08,000 --> 00:08:14,000 [テスさんの かいがいしさには ディレクター も驚かされたものです] 59 00:08:33,000 --> 00:08:36,000 (ディレクター) いいですね 。 ( 平山 ) 少々無理でもね 。 60 00:08:58,000 --> 00:09:02,000 [程なく 平山さんは職を変え 61 00:09:02,000 --> 00:09:07,000 魚のすり身を揚げた フィッシュボール の屋台を引き始めます] 62 00:09:13,000 --> 00:09:18,000 [人通りの多い街中であれば まずまずの稼ぎになります] 63 00:09:18,000 --> 00:09:23,000 [でも 新入りが 場所を確保するのは難しく 64 00:09:23,000 --> 00:09:27,000 もっぱら 路地裏での営業] 65 00:09:32,000 --> 00:09:37,000 [集まってくる客の多くは 小銭を握り締めた子供でした] 66 00:09:53,000 --> 00:09:58,000 ( 平山 ) ♬ 「 ちょいと人生 かくれんぼ 」 67 00:09:58,000 --> 00:10:06,000 ♬ 「 泣いて笑って 」 68 00:10:06,000 --> 00:10:13,000 ♬ 「 生きてゆく 」 69 00:10:13,000 --> 00:10:18,000 [五木ひろしさんの 『 人生かくれんぼ 』 です] 70 00:10:23,000 --> 00:10:26,000 (ディレクター) 結婚されて 子供… お孫さんがいるって… 。 71 00:10:50,000 --> 00:10:53,000 [日本の娘さんを捜し出し 72 00:10:53,000 --> 00:10:57,000 平山さんと電話での再会を 実現させたのも 73 00:10:57,000 --> 00:10:59,000 ディレクターでした] 74 00:11:08,000 --> 00:11:15,000 ( 鶏の鳴き声 ) 75 00:11:15,000 --> 00:11:20,000 [娘のマリコさんは 5歳になっていました] 76 00:11:25,000 --> 00:11:32,000 ( タガログ語の会話 ) 77 00:11:50,000 --> 00:11:53,000 バイバイ 。 ( 平山 ) バイバイ 。 78 00:12:03,000 --> 00:12:07,000 [マリコさんも お小遣いの おねだりです] 79 00:12:20,000 --> 00:12:24,000 バイバイ 。 ( マリコ ) バイバ~イ 。 80 00:12:27,000 --> 00:12:32,000 バイバ~イ 。 ( マリコ ) バイバ~イ 。 81 00:12:37,000 --> 00:12:44,000 [3カ月後 平山さんの元には 日本人の居候が1人] 82 00:12:48,000 --> 00:12:53,000 [いつからか親しくなったという 宮崎さんは 83 00:12:53,000 --> 00:12:56,000 お金が尽き それまで身を寄せていた家に 84 00:12:56,000 --> 00:12:59,000 いられなくなったそうです] 85 00:13:03,000 --> 00:13:05,000 ( 宮崎 ) これが そうですよ 。 86 00:13:05,000 --> 00:13:08,000 [怪しげなもうけ話に 87 00:13:08,000 --> 00:13:11,000 なけなしの夢を つないでいました] 88 00:13:27,000 --> 00:13:30,000 これですか? (ディレクター) この金自体は 。 89 00:13:30,000 --> 00:13:32,330 金自体は あのう… 。 90 00:13:32,330 --> 00:13:35,000 ( 話し声 ) 91 00:13:35,000 --> 00:13:37,000 おじいさんが 死んじゃったらしいんですよ 。 92 00:13:37,000 --> 00:13:39,000 97 歳の 。 93 00:13:39,000 --> 00:13:41,000 それで 息子が 今 あと もらって 。 94 00:13:41,000 --> 00:13:43,000 (ディレクター) 息子のものですか? ( 宮崎 ) はい そうです 。 95 00:13:43,000 --> 00:13:45,000 (ディレクター) じゃあ 宮崎さんのものじゃない… 。 96 00:13:45,000 --> 00:13:48,000 私のとこ 直接 電話… 。 電話番号 分かりますよ 。 97 00:13:51,000 --> 00:13:54,000 1本から1ミリオンだけでいい って言うんですよ 。 98 00:14:03,000 --> 00:14:08,000 [ 100 万円で金が手に入れば 莫大なもうけになる] 99 00:14:08,000 --> 00:14:13,000 [宮崎さんは 知り合いの日本人に 話を持ち掛け 100 00:14:13,000 --> 00:14:17,000 100 万円が振り込まれるのを 待っているのだといいます] 101 00:14:22,000 --> 00:14:27,000 [まるで 雲をつかむような話でした] 102 00:14:30,000 --> 00:14:34,000 [状況を知るため どこかへ電話] 103 00:14:36,000 --> 00:14:40,000 ( 宮崎の話し声 ) 104 00:14:40,000 --> 00:14:43,000 はい 。 ないですね はい 。 105 00:14:43,000 --> 00:14:46,000 ( 平山 ) 最悪の事態になりました 。 106 00:14:53,000 --> 00:14:56,000 うん 。 107 00:14:56,000 --> 00:14:59,000 ( 宮崎 ) はいはい 。 あっ ホントに… 。 108 00:15:13,000 --> 00:15:16,000 はい 。 109 00:15:16,000 --> 00:15:20,000 はい 。 はい 分かりました 。 はい 待ってます 。 はいはい 。 110 00:15:33,000 --> 00:15:35,000 「 もうちょっと我慢してください 」 111 00:15:54,000 --> 00:16:00,000 ♬ 「 明日が駄目なら 明後日は 」 112 00:16:00,000 --> 00:16:05,000 ♬ 「 きっといい日になりそうな 」 113 00:16:11,000 --> 00:16:16,000 [ディレクターは この年だけで 3回目のフィリピンへ] 114 00:16:19,000 --> 00:16:22,000 [何と 居候が まだいました] 115 00:16:22,000 --> 00:16:25,000 (ディレクター) あら 。 ( 宮崎 ) こんにちは 。 116 00:16:46,000 --> 00:16:54,000 (携帯電話) 117 00:16:54,000 --> 00:16:58,000 もしもし 。 おはようございます 。 118 00:17:00,000 --> 00:17:06,000 [電話の主は 送金を約束していた 日本人でした] 119 00:17:06,000 --> 00:17:21,000 (携帯電話) ( 話し声 ) 120 00:17:21,000 --> 00:17:24,000 ( 平山 ) はい 。 はいはい 。 121 00:17:36,000 --> 00:17:39,000 ハハハハ… 。 122 00:17:41,000 --> 00:17:51,000 ( タガログ語の会話 ) 123 00:17:51,000 --> 00:18:07,000 ( テス ・ 平山の会話 ) 124 00:18:46,000 --> 00:18:48,000 ハハハ! 125 00:18:48,000 --> 00:18:52,000 ( 宮崎 ) 奇麗事 言ってっけど そうじゃないよ ホントに 。 126 00:18:52,000 --> 00:18:58,000 [体調を崩した宮崎さんを見かね 治療費を用立てたことも] 127 00:19:09,000 --> 00:19:14,000 [届かぬお金を当てにしていた 宮崎さんが 亡くなりました] 128 00:19:14,000 --> 00:19:18,000 [享年 76 ] 129 00:19:18,000 --> 00:19:24,000 [果たして訃報は 日本に 届いているのか いないのか] 130 00:19:56,000 --> 00:20:02,000 [伊藤さんとは 宮崎さんに送金を約束した人] 131 00:20:02,000 --> 00:20:06,000 [平山さんは その人を訪ねる決心をします] 132 00:20:45,000 --> 00:20:48,000 これ… 。 133 00:20:56,000 --> 00:20:58,000 マルコスが倒れたでしょ 。 134 00:21:05,000 --> 00:21:08,000 これですよ 。 こういう品物 。 135 00:21:42,000 --> 00:21:46,000 [とうてい 真に受けられる 話ではありませんが 136 00:21:46,000 --> 00:21:49,000 問題は 工面したお金です] 137 00:21:49,000 --> 00:21:51,000 [ところが…] 138 00:21:59,000 --> 00:22:02,000 まあ どっちに どう転んでも… 。 139 00:22:16,000 --> 00:22:19,000 すいません どうも 。 (ディレクター) ありがとうございました 。 140 00:22:19,000 --> 00:22:21,000 [ 「 できることはする 」 ] 141 00:22:21,000 --> 00:22:28,000 [そんな空手形を残して やがて伊藤さんも世を去ります] 142 00:22:28,000 --> 00:22:34,000 [往復 14 時間のバスの旅は やっぱり徒労に終わりました] 143 00:22:38,000 --> 00:22:40,330 [深いため息一つで 144 00:22:40,330 --> 00:22:45,000 それきり 不運を忘れてしまう平山さん] 145 00:22:48,000 --> 00:22:51,000 [そんな生き方を 目の当たりにして 146 00:22:51,000 --> 00:22:55,000 ディレクターは思うのです] 147 00:22:55,000 --> 00:22:59,000 [思い煩うことばかり多い 自分の日常が 148 00:22:59,000 --> 00:23:02,000 何だか うつろに感じられ 149 00:23:02,000 --> 00:23:07,000 ここで このまま 溶けてしまいたいような…] 150 00:23:11,000 --> 00:23:16,000 [コロナ禍が世界を覆ったのは この直後でした] 151 00:23:23,000 --> 00:23:27,000 [4年ぶりに 平山さんを訪ねてみると] 152 00:23:29,000 --> 00:23:31,000 (ディレクター) こんちは~ 。 153 00:23:33,000 --> 00:23:35,000 (ディレクター) お久しぶりです 。 154 00:23:35,000 --> 00:23:38,330 ハハハ… ここが僕の指定席で 。 155 00:23:44,000 --> 00:23:47,000 (ディレクター) ああ… 。 テス~ 。 156 00:23:49,000 --> 00:23:52,000 [飾られていたのは 157 00:23:52,000 --> 00:23:56,000 いつも笑顔だった テスさんの遺影] 158 00:24:09,000 --> 00:24:12,000 僕が… 弱いもんだから 。 159 00:24:17,000 --> 00:24:20,000 (ディレクター) 前から具合悪かったんですかね 。 160 00:24:24,000 --> 00:24:27,000 市場で買い物してくると ここで 10 分ぐらいね 161 00:24:27,000 --> 00:24:30,000 ハァハァって… ここで立ってたもんね 。 162 00:25:30,000 --> 00:25:34,000 ここに座って テスの写真見て ずっと思い出して… 。 163 00:25:34,000 --> 00:25:37,000 たまに 涙 流して… 。 164 00:25:48,000 --> 00:25:51,000 テッちゃん テッちゃん… 。 165 00:25:56,000 --> 00:25:59,000 [心臓に 持病を抱えていたらしく 166 00:25:59,000 --> 00:26:03,000 けれど 満足に治療も受けられぬまま 167 00:26:03,000 --> 00:26:06,000 逝ってしまったテスさん] 168 00:26:10,000 --> 00:26:14,000 [平山さん 73 歳] 169 00:26:14,000 --> 00:26:19,000 [言い知れぬ さみしさが 彼を むしばみ始めます] 170 00:26:26,000 --> 00:26:29,000 [テスさんに先立たれ 171 00:26:29,000 --> 00:26:33,000 足腰まで衰えてしまった 平山さん] 172 00:26:33,000 --> 00:26:38,000 ( 笑い声 ) 173 00:26:38,000 --> 00:26:42,000 [車椅子に頼る平山さんを 街の人たちは 174 00:26:42,000 --> 00:26:47,000 大切な友人のように 助けていました] 175 00:26:47,000 --> 00:27:04,000 ( 談笑 ) 176 00:27:04,000 --> 00:27:07,000 [彼らと触れ合うことが 177 00:27:07,000 --> 00:27:10,000 大きな慰めにも なっていたようです] 178 00:27:18,000 --> 00:27:20,670 ( 笑い声 ) 179 00:27:20,670 --> 00:27:22,670 メリークリスマス 。 180 00:27:26,000 --> 00:27:28,000 うん 。 181 00:27:31,000 --> 00:27:36,000 [でも このころ 望郷の念は断ち難く…] 182 00:27:44,000 --> 00:27:46,000 (ディレクター) どうですか 。 183 00:28:43,000 --> 00:28:45,000 今… 。 184 00:29:06,000 --> 00:29:12,000 [人生のたそがれにあって 自問を重ねるのは 185 00:29:12,000 --> 00:29:15,000 答えのない問いでした] 186 00:29:25,000 --> 00:29:30,000 [それでも時は 静かに刻まれてゆきます] 187 00:29:30,000 --> 00:29:34,000 [実の娘 マリコさんは 中学生] 188 00:29:34,000 --> 00:29:38,000 [義理の娘 プリンセスさんは 189 00:29:38,000 --> 00:29:42,000 働きながら 一家の母親役を務めています] 190 00:29:59,000 --> 00:30:01,000 つかまらないよ なかなか 。 191 00:30:21,000 --> 00:30:23,000 うん 。 192 00:30:38,000 --> 00:30:43,000 (スピーカー)♬ ( 音楽 ) ♬ ( 人々の歌声 ) 193 00:30:43,000 --> 00:30:47,000 ♬~ 194 00:30:47,000 --> 00:30:52,000 [流されるままに重ねてきた この国での歳月] 195 00:30:52,000 --> 00:30:55,000 [もう 20 年を超えました] 196 00:30:55,000 --> 00:30:58,000 ( 掛け声 ) ( 平山 ) イェ~イ! 197 00:30:58,000 --> 00:31:06,000 (スピーカー)♬ ( 音楽 ) ( にぎやかな声 ) 198 00:32:59,000 --> 00:33:06,000 [今 目の前にいる家族の優しさに 報い続けること] 199 00:33:06,000 --> 00:33:09,000 [それしか 道はないんです] 200 00:33:19,000 --> 00:33:23,000 [平山さんが倒れ 病院に運ばれたのは 201 00:33:23,000 --> 00:33:27,000 2025 年7月でした] 202 00:33:29,000 --> 00:33:33,000 [プリンセスさんからの SOSです] 203 00:33:40,000 --> 00:33:46,000 [平山さんが台所で倒れ そのまま意識を失った] 204 00:33:46,000 --> 00:33:49,000 [ディレクターは 取る物も取りあえず 205 00:33:49,000 --> 00:33:52,000 現地に飛びました] 206 00:33:54,000 --> 00:33:58,000 [一命は取り留め 意識は戻ったものの 207 00:33:58,000 --> 00:34:02,000 病院にいれば 入院費は かさむばかり] 208 00:34:02,000 --> 00:34:06,000 [必要な手術を受けるだけの 蓄えもありません] 209 00:34:19,000 --> 00:34:23,000 [これからは 家族で 世話をするのだといいます] 210 00:34:38,000 --> 00:34:46,000 [おもむろに取り出した携帯で 日本の知人に 借金の申し入れ] 211 00:34:51,000 --> 00:34:55,000 心臓って… 。 (携帯電話) ( 知人 ) ん? 212 00:35:26,000 --> 00:35:29,000 [相手は 土地持ちのようです] 213 00:35:41,000 --> 00:35:45,000 (携帯電話)うん 。 ( 平山 ) また電話します 。 214 00:35:45,000 --> 00:35:48,000 (携帯電話)はい 。 どうも 。 ( 平山 ) はい 。 じゃあ おやすみ 。 215 00:36:07,000 --> 00:36:11,000 [今度は 五十半ばになる娘さん] 216 00:36:11,000 --> 00:36:15,000 [入院中に 手術費用の相談をしていました] 217 00:36:15,000 --> 00:36:20,000 (携帯電話) ( 呼び出し音 ) 218 00:36:20,000 --> 00:36:22,000 (携帯電話) ( 娘 ) はーい 。 219 00:36:47,000 --> 00:36:49,000 いいんです 。 220 00:36:59,000 --> 00:37:01,000 (携帯電話)ん? 221 00:37:13,000 --> 00:37:17,000 はい 分かりました 。 じゃあね 。 222 00:37:17,000 --> 00:37:20,000 はい 分かった 。 バイバイ 。 223 00:37:20,000 --> 00:37:23,000 (携帯電話)バイバイ 。 ( 平山 ) おやすみ 。 224 00:37:42,000 --> 00:37:46,000 [プリンセスさんは 平山さんに付きっきり] 225 00:37:48,000 --> 00:37:51,000 [リモートで 仕事をこなす傍らで 226 00:37:51,000 --> 00:37:54,000 栄養剤の投与も忘れません] 227 00:38:06,000 --> 00:38:10,000 [今は この液体が命綱] 228 00:38:25,000 --> 00:38:28,000 ⚟1 2 3 。 229 00:38:42,000 --> 00:38:46,000 [家族に見守ってもらえる 平山さん] 230 00:38:46,000 --> 00:38:50,000 [ある意味で 幸せかもしれません] 231 00:38:54,000 --> 00:38:59,000 [そして ディレクターが帰国した2日後] 232 00:39:02,000 --> 00:39:05,000 [訃報が届いたのです] 233 00:39:11,000 --> 00:39:15,000 [ディレクターが 再び駆け付けた日は 雨] 234 00:39:19,000 --> 00:39:22,000 [真っすぐ向かったのは 自宅です] 235 00:39:39,000 --> 00:39:48,000 ( 話し声 ) 236 00:39:50,000 --> 00:39:56,000 [平山さんは 教会に隣接する 葬儀場に移されていました] 237 00:39:56,000 --> 00:40:02,000 [フィリピンでは 家族や 遠方からの 友人 知人のために 238 00:40:02,000 --> 00:40:05,000 1週間近く遺体を安置して 239 00:40:05,000 --> 00:40:09,000 別れを惜しむ場を つくるそうです] 240 00:40:18,000 --> 00:40:22,000 ( 祈りを唱える声 ) 241 00:40:22,000 --> 00:40:26,000 [おばあさんが口にする 祈りの言葉] 242 00:40:27,670 --> 00:40:35,000 ( 祈りを唱える声 ) 243 00:40:41,000 --> 00:40:45,000 [マリコさんは 穏やかに眠る父の姿を 244 00:40:45,000 --> 00:40:50,000 まぶたに刻み付けるように 棺をのぞき込みます] 245 00:40:56,000 --> 00:41:00,000 [平山さんが テスさんの墓に入るには 246 00:41:00,000 --> 00:41:03,000 埋葬費用が必要でした] 247 00:41:03,000 --> 00:41:05,000 [でも 入院費などで 248 00:41:05,000 --> 00:41:08,000 貯金を使い果たした プリンセスさんに 249 00:41:08,000 --> 00:41:11,000 もう お金はありません] 250 00:41:14,000 --> 00:41:18,000 [今は ひとまず 火葬まで] 251 00:41:22,000 --> 00:41:25,000 [訪れる人も少ない この部屋で 252 00:41:25,000 --> 00:41:29,000 家族は ひっそりと 喪に服しました] 253 00:41:45,000 --> 00:41:47,000 [それから 3カ月] 254 00:41:52,000 --> 00:41:54,000 ダディ? 255 00:41:58,000 --> 00:42:01,000 (ディレクター) あっ そこに… 。 256 00:42:52,000 --> 00:42:58,000 [プリンセスさんの姿は かつてのテスさん そっくり] 257 00:43:10,000 --> 00:43:17,000 [家では 今も 時折 日本語が行き交っています] 258 00:43:17,000 --> 00:43:20,000 (ディレクター) フフフ… 。 (プリンセス) ただいま 。 259 00:43:50,000 --> 00:43:56,000 [ 14 歳で 父も母も失った マリコさん…] 260 00:43:58,000 --> 00:44:01,000 [無理もありません] 261 00:44:17,000 --> 00:44:20,000 (ディレクター) アイディー? (プリンセス)「Information Technology」 262 00:44:20,000 --> 00:44:24,000 (プリンセス) IT 。 (ディレクター) IT? ほう 。 263 00:44:33,000 --> 00:44:38,000 [平山さんが 自宅で過ごした最後の数日 264 00:44:38,000 --> 00:44:44,000 マリコさんは 毎晩 添い寝していたと聞きました] 265 00:44:44,000 --> 00:44:47,000 [本当に大切な思い出は 266 00:44:47,000 --> 00:44:50,000 言葉にできないもの] 267 00:44:50,000 --> 00:44:57,000 [その代わり いつまでも 胸の奥で輝き続けます]