1 00:00:23,000 --> 00:00:25,000 はぁ? 2 00:00:50,000 --> 00:00:53,000 [東京都心の路地裏に のれんを掲げる 3 00:00:53,000 --> 00:00:56,000 一軒の おすし屋さん] 4 00:00:58,000 --> 00:01:01,000 ( 従業員 ) いらっしゃいませ! ( 従業員 ) いらっしゃいませ 。 5 00:01:01,000 --> 00:01:05,000 [目立たない場所にあるのに 連日 大盛況] 6 00:01:05,000 --> 00:01:07,000 [人気の訳は…] 7 00:01:09,000 --> 00:01:13,000 [こだわりの 南魚沼産コシヒカリと 8 00:01:13,000 --> 00:01:16,330 新鮮なネタで握られた 江戸前ずし] 9 00:01:19,000 --> 00:01:23,000 [そして おすしを握る板前たち] 10 00:01:23,000 --> 00:01:27,000 [女性や 外国人など 11 00:01:27,000 --> 00:01:31,000 個性豊かな職人さんが 板場を任されています] 12 00:01:37,000 --> 00:01:40,000 [そんな職人を目指す 見習も] 13 00:01:44,000 --> 00:01:46,000 [様々な人生を背負って 14 00:01:46,000 --> 00:01:49,000 この店に やって来た人たちばかり] 15 00:01:52,000 --> 00:01:55,000 [彼らをまとめるのが この人] 16 00:02:18,000 --> 00:02:20,000 ( ノック ) ( 阿部 ) はい 。 17 00:02:20,000 --> 00:02:22,000 ( 男性 ) 失礼します 。 ( 阿部 ) はい お疲れさま 。 18 00:02:22,000 --> 00:02:24,000 お疲れさまです 。 19 00:02:24,000 --> 00:02:26,000 [阿部さんのもとに また 20 00:02:26,000 --> 00:02:31,000 入社希望の若者が やって来ました] 21 00:02:31,000 --> 00:02:34,000 [一見 ごく普通の青年ですが 22 00:02:34,000 --> 00:02:38,000 やはり ただ者ではありませんでした] 23 00:02:46,000 --> 00:02:50,000 [何と 現役のプロレスラーでした] 24 00:02:55,000 --> 00:02:57,000 [プロレスラーとして 25 00:02:57,000 --> 00:02:59,000 リングデビューも 果たしたものの 26 00:02:59,000 --> 00:03:03,000 それだけで生活するのは 難しいらしく…] 27 00:03:12,000 --> 00:03:18,000 [プロレスラーと すし職人の 二刀流を目指したいという若者] 28 00:03:18,000 --> 00:03:20,000 [それを聞いた阿部さんは] 29 00:03:24,000 --> 00:03:26,000 はい 。 30 00:03:38,000 --> 00:03:41,000 [何と 採用しちゃいました] 31 00:03:41,000 --> 00:03:45,330 [でも これが 阿部さんという人なんです] 32 00:03:48,000 --> 00:03:50,000 [一方] 33 00:03:54,000 --> 00:03:57,000 [阿部さんには 気に掛けている 従業員がいました] 34 00:03:57,000 --> 00:04:00,000 (携帯電話) (アナウンス) 電話に出ることができません 。 35 00:04:00,000 --> 00:04:02,000 ( 阿部 ) うーん… 。 36 00:04:08,000 --> 00:04:14,000 [それは 突然 姿を消した 18 歳の板前見習] 37 00:04:17,000 --> 00:04:22,670 [阿部さん その見習を ずっと捜し続けていたんです] 38 00:04:32,000 --> 00:04:35,000 [店に来たのは ちょうど1年前] 39 00:04:37,000 --> 00:04:40,000 ( ノック ) 40 00:04:40,000 --> 00:04:42,000 ( 阿部 ) 大丈夫? 41 00:04:42,000 --> 00:04:44,000 [期待の新人でした] 42 00:04:50,000 --> 00:04:53,000 [パンチパーマが トレードマークの…] 43 00:04:53,000 --> 00:04:55,330 [このとき 17 歳] 44 00:05:10,000 --> 00:05:12,000 お願いします 。 はい チーズ 。 45 00:05:12,000 --> 00:05:15,000 [愛知の高校を退学となり 46 00:05:15,000 --> 00:05:18,000 その後 1人 上京してきたトワ君] 47 00:05:32,000 --> 00:05:34,000 [先輩にも 48 00:05:34,000 --> 00:05:37,000 まるで友達のように 接していたのです] 49 00:05:49,000 --> 00:05:51,000 友達っす 。 ( 男性 ) 友達ではない 。 50 00:05:53,000 --> 00:05:55,000 [トワ君は すぐに 51 00:05:55,000 --> 00:05:58,670 店で浮いた存在に なってしまいました] 52 00:06:02,000 --> 00:06:04,000 汚ねえんだよ 。 53 00:06:08,000 --> 00:06:12,000 [ついには 阿部さんからも苦言が] 54 00:06:18,000 --> 00:06:20,000 ( 阿部 ) そうね 。 ( トワ ) はい 。 55 00:06:29,000 --> 00:06:33,000 [阿部さんの言葉で 目が覚めた トワ君] 56 00:06:35,000 --> 00:06:37,000 (スタッフ) いいですか? ( トワ ) はい お願いします 。 57 00:06:37,000 --> 00:06:39,670 [パンチパーマも ばっさり] 58 00:06:39,670 --> 00:06:42,670 [トワ君なりの 決意表明です] 59 00:06:52,000 --> 00:06:56,000 [喫煙など 問題行動を繰り返し 60 00:06:56,000 --> 00:06:59,000 高校を退学処分になった トワ君] 61 00:07:02,000 --> 00:07:06,000 [ アルバイト を転々とする生活から 抜け出そうと 62 00:07:06,000 --> 00:07:09,000 飛び込んだのが 板前修業でした] 63 00:07:33,000 --> 00:07:35,000 [気合を入れ直し 64 00:07:35,000 --> 00:07:39,000 休憩時間には 卵焼きの自主練習も] 65 00:07:49,000 --> 00:07:51,000 [変わり始めたトワ君を 66 00:07:51,000 --> 00:07:54,000 先輩たちも 受け入れてくれました] 67 00:07:54,000 --> 00:07:56,330 危ねえ マジで 。 68 00:08:13,000 --> 00:08:17,000 [その矢先 事件が…] 69 00:08:17,000 --> 00:08:19,000 ( 男性 ) はい ずれて… 。 ( 阿部 ) ずれてる? 70 00:08:22,000 --> 00:08:24,000 ですから… 。 71 00:08:24,000 --> 00:08:29,000 [ミャンマー人の見習が 腕を骨折] 72 00:08:29,000 --> 00:08:32,000 [ケガをさせたのは トワ君でした] 73 00:08:46,000 --> 00:08:48,000 [その数日後] 74 00:08:56,000 --> 00:08:58,330 [今度は 寝坊で大遅刻] 75 00:09:01,000 --> 00:09:03,000 ( トワ ) おはようございます 。 76 00:09:06,000 --> 00:09:09,000 [やる気の糸が切れた トワ君] 77 00:09:09,000 --> 00:09:14,330 [ 18 歳になったのをいいことに 休日は パチンコ三昧です] 78 00:09:30,000 --> 00:09:33,000 [元に戻ってしまった トワ君の態度に 79 00:09:33,000 --> 00:09:35,000 先輩たちも再び 80 00:09:35,000 --> 00:09:38,000 距離を取るように なっていました] 81 00:10:20,000 --> 00:10:23,000 [うまくいかない トワ君を見かねて 82 00:10:23,000 --> 00:10:25,000 阿部さんが動きました] 83 00:10:27,000 --> 00:10:29,000 [相談を持ち掛けたのは] 84 00:10:31,000 --> 00:10:33,000 [阿部寿司の…] 85 00:10:41,000 --> 00:10:43,000 ( さんご ) うーん なるほどね 。 86 00:10:43,000 --> 00:10:47,000 まあまあ 何となく… 。 ( 阿部 ) その… 。 87 00:10:53,000 --> 00:10:57,000 [ 10 年前に入社した さんごさん] 88 00:10:57,000 --> 00:11:01,000 [かつては トワ君と同じような 問題児でした] 89 00:11:03,000 --> 00:11:05,000 [そこから 心機一転] 90 00:11:05,000 --> 00:11:07,000 [真剣に修業に向き合い 91 00:11:07,000 --> 00:11:11,000 店の2番手にまで 上り詰めたのです] 92 00:11:13,000 --> 00:11:15,000 [そんな さんごさんと働くことで 93 00:11:15,000 --> 00:11:18,000 トワ君にも変わってほしい] 94 00:11:18,000 --> 00:11:21,000 [それが 異動の狙いでした] 95 00:11:23,000 --> 00:11:25,000 [その考えを 96 00:11:25,000 --> 00:11:29,000 トワ君に伝える日が やって来ました] 97 00:11:29,000 --> 00:11:31,000 [ところが…] 98 00:11:58,000 --> 00:12:02,000 [それは 予想外の言葉でした] 99 00:12:02,000 --> 00:12:06,000 [トワ君にとって このお店は 100 00:12:06,000 --> 00:12:09,330 たった一つの 大切な居場所に なっていたんです] 101 00:12:15,000 --> 00:12:18,000 [翌日 私たちは 102 00:12:18,000 --> 00:12:22,000 阿部さんに呼び出されました] 103 00:12:22,000 --> 00:12:24,000 ( 阿部 ) ハァ… 。 104 00:12:27,000 --> 00:12:29,000 うーん… 。 105 00:12:33,000 --> 00:12:36,000 えっと… 。 106 00:12:41,000 --> 00:12:44,000 [友達もいない トワ君の行きつけは 107 00:12:44,000 --> 00:12:46,000 パチンコくらい] 108 00:12:46,000 --> 00:12:49,000 [他に行くところはありません] 109 00:13:02,000 --> 00:13:04,000 今回っていうか… 。 110 00:13:07,000 --> 00:13:09,000 [この東京で 111 00:13:09,000 --> 00:13:14,670 店が たった一つの トワ君の居場所だったのです] 112 00:13:18,000 --> 00:13:20,000 [トワ君のふるさと] 113 00:13:24,000 --> 00:13:29,000 [漁業が盛んな 小さな港町です] 114 00:13:29,000 --> 00:13:33,000 [トワ君は ここで生まれ育ちました] 115 00:13:37,000 --> 00:13:43,000 [店を飛び出した後 すぐに 地元に帰っていたのです] 116 00:13:49,000 --> 00:13:51,000 いや… 。 117 00:14:16,000 --> 00:14:20,000 [高校2年生で退学になった トワ君] 118 00:14:20,000 --> 00:14:24,000 [この町では 人生は変えられない] 119 00:14:24,000 --> 00:14:29,330 [そんな思いを胸に たった1人 上京を決意しました] 120 00:14:33,000 --> 00:14:35,000 [その東京で見つけた 121 00:14:35,000 --> 00:14:39,000 新たな居場所が 阿部寿司だったのです] 122 00:14:39,000 --> 00:14:41,000 [だからこそ 123 00:14:41,000 --> 00:14:44,000 それを どうしても 失いたくありませんでした] 124 00:15:34,000 --> 00:15:37,000 [夜] 125 00:15:37,000 --> 00:15:41,000 [トワ君には どうしても 会いたい人がいました] 126 00:16:04,000 --> 00:16:07,000 [一番の親友です] 127 00:16:11,000 --> 00:16:16,000 [高校入学後 すぐに意気投合した2人] 128 00:16:18,000 --> 00:16:19,670 [仲良く揃って 129 00:16:19,670 --> 00:16:23,000 謹慎処分を受けたことも あったそうです] 130 00:16:27,000 --> 00:16:31,000 ハハハ…! お前は… 。 あー ヤバい ヤバい… 。 131 00:16:34,000 --> 00:16:36,000 フフフ… いや お前… 。 132 00:16:44,000 --> 00:16:50,000 [今も 地元の高校に通い 3年生になった ショウセイ君] 133 00:16:53,000 --> 00:16:55,000 [上京したトワ君のことを 134 00:16:55,000 --> 00:16:58,670 ひそかに 誇りに思っていました] 135 00:17:31,000 --> 00:17:33,000 はぁ? 136 00:17:38,000 --> 00:17:41,000 [うれしいはずの親友の言葉が 137 00:17:41,000 --> 00:17:46,000 今は 逆に 胸に突き刺さります] 138 00:17:46,000 --> 00:17:49,000 [トワ君 どうするんでしょうか?] 139 00:17:53,000 --> 00:17:56,000 [後日] 140 00:17:56,000 --> 00:17:59,000 ( 阿部 ) うーん… 。 (携帯電話) 141 00:18:02,000 --> 00:18:04,000 ( 阿部 ) あっ… 。 142 00:18:07,000 --> 00:18:09,670 [阿部さんに インタビューをしていると 143 00:18:09,670 --> 00:18:13,000 スマホに メッセージが届きました] 144 00:18:13,000 --> 00:18:17,000 [送り主は そう トワ君] 145 00:18:17,000 --> 00:18:21,000 [そこには 「 自分勝手ですみません 」 ] 146 00:18:21,000 --> 00:18:26,000 [ 「 また話をしたいです 」 と 書かれていました] 147 00:18:29,000 --> 00:18:33,000 [翌日 トワ君の姿が東京に] 148 00:18:38,000 --> 00:18:41,000 [ある決意を伝えに来たのです] 149 00:18:44,000 --> 00:18:46,000 ( 阿部 ) 狭いとこで あれなんだけど 。 150 00:18:46,000 --> 00:18:48,000 ( トワ ) いや 全然 。 151 00:18:51,000 --> 00:18:55,000 いていい? ( トワ ) はい 大丈夫です 。 152 00:18:55,000 --> 00:18:57,000 まず あの… 水曜日 すいませんでした 。 153 00:20:12,000 --> 00:20:15,000 [そう トワ君は 154 00:20:15,000 --> 00:20:18,000 阿部さんにとっても お店にとっても 155 00:20:18,000 --> 00:20:20,330 必要な存在なんです] 156 00:20:24,000 --> 00:20:26,000 [3日後] 157 00:20:29,000 --> 00:20:33,000 [トワ君が 異動先の 六本木店にやって来ました] 158 00:20:33,000 --> 00:20:35,000 あっ おはようございます 。 159 00:20:35,000 --> 00:20:38,000 [出迎えてくれたのは 阿部さんから 160 00:20:38,000 --> 00:20:40,330 トワ君を任された さんごさん] 161 00:20:45,000 --> 00:20:47,000 ⚟はい 了解です 。 162 00:20:47,000 --> 00:20:50,000 ⚟おはようございます! 163 00:20:50,000 --> 00:20:52,000 ( トワ ) おはようございます 。 ⚟おはよう 。 164 00:20:52,000 --> 00:20:54,000 [そして 店の奥では…] 165 00:20:56,000 --> 00:20:58,330 [阿部さんも 待ってくれていました] 166 00:21:23,000 --> 00:21:25,330 (ナカノメ) ナカノメ ナカノメです 。 ( トワ ) ナカノメさんで 。 167 00:21:25,330 --> 00:21:28,000 (ナカノメ) はい 。 (ナカノメ・ トワ ) お願いします 。 168 00:21:35,000 --> 00:21:39,000 [最初の仕事は 掃き掃除] 169 00:21:39,000 --> 00:21:41,000 [遠回りになりましたが 170 00:21:41,000 --> 00:21:44,000 ここから 再出発です] 171 00:21:52,000 --> 00:21:55,000 ( トワ ) まあ でも やっぱ… 。 172 00:22:10,000 --> 00:22:12,000 [1週間後] 173 00:22:14,670 --> 00:22:17,000 ( トワ ) あー 大丈夫っす 。 174 00:22:17,000 --> 00:22:22,000 [さんごさんが 部屋を訪ねてきました] 175 00:22:22,000 --> 00:22:24,000 ( さんご ) これ ドバーンと開けちゃおうか? 176 00:22:27,670 --> 00:22:29,670 ( トワ ) ありがとうございます 。 ( さんご ) お疲れさまです 。 177 00:22:29,670 --> 00:22:31,670 いただきます 。 ( さんご ) うっす 。 178 00:22:34,000 --> 00:22:39,000 [何かと トワ君のことを 気に掛けてくれています] 179 00:23:04,000 --> 00:23:06,000 …って思ってる 。 180 00:23:09,000 --> 00:23:13,000 [すると さんごさんから 思わぬプレゼントが] 181 00:23:13,000 --> 00:23:15,000 ありがとうございます 。 こんなの 182 00:23:15,000 --> 00:23:17,000 めっちゃ高いっすよね? ( さんご ) そんな高くない 。 183 00:23:37,000 --> 00:23:40,000 [新天地で 再出発したトワ君に 184 00:23:40,000 --> 00:23:44,000 さんごさん 粋な 後押しをしてくれました] 185 00:23:46,000 --> 00:23:48,000 [一方の阿部さん] 186 00:23:51,000 --> 00:23:55,000 [毎年 秋になると 向かう場所がありました] 187 00:24:03,000 --> 00:24:05,000 [阿部さんの ふるさとです] 188 00:24:08,000 --> 00:24:10,330 [実家は 米農家] 189 00:24:10,330 --> 00:24:12,000 [稲刈りの時期になると 190 00:24:12,000 --> 00:24:16,000 手伝いのために 必ず 帰省しています] 191 00:24:23,000 --> 00:24:25,670 ( 信子 ) ご苦労さまです 。 192 00:24:31,000 --> 00:24:35,000 [お米を作っているのは…] 193 00:24:41,000 --> 00:24:45,000 [阿部家の田んぼは 村で 一番の広さ] 194 00:24:45,000 --> 00:24:47,000 [それには 理由が…] 195 00:24:54,000 --> 00:24:57,000 [倉庫の中に 196 00:24:57,000 --> 00:25:00,000 うずたかく積まれているのは 197 00:25:00,000 --> 00:25:03,000 阿部家の田んぼで取れた お米] 198 00:25:03,000 --> 00:25:05,000 [実は 全て] 199 00:25:09,000 --> 00:25:11,000 (スタッフ) すごい規模ですね 。 200 00:25:23,000 --> 00:25:27,000 [もともと 小さな農家だった 阿部さんの実家] 201 00:25:29,000 --> 00:25:31,000 [貧しい家族の暮らし] 202 00:25:31,000 --> 00:25:35,000 [それが 阿部さんが 板前を目指した理由でした] 203 00:25:37,000 --> 00:25:42,000 [成功すれば 自分も家族も人生を変えられる] 204 00:25:42,000 --> 00:25:44,000 [そう考えていたのです] 205 00:26:07,000 --> 00:26:11,000 [高校を卒業後 10 年間の修業を経て 206 00:26:11,000 --> 00:26:14,670 念願だった 自分のお店を持ったのは 207 00:26:14,670 --> 00:26:18,000 30 歳のとき] 208 00:26:18,000 --> 00:26:21,000 [店のメニュー表には 今も 209 00:26:21,000 --> 00:26:26,000 阿部さんの原点といえる 両親の写真を載せています] 210 00:26:35,000 --> 00:26:37,000 [阿部さんのもとに 211 00:26:37,000 --> 00:26:40,000 突然のしらせが 飛び込んできました] 212 00:26:55,000 --> 00:26:59,000 [阿部さんの人生が 突然の岐路に] 213 00:27:02,000 --> 00:27:05,000 ( 阿部 ) 仕事を全部 捨てて 。 214 00:27:11,000 --> 00:27:14,000 [ 2025 年 11 月] 215 00:27:14,000 --> 00:27:18,000 [父 勝さんに がんが見つかりました] 216 00:27:20,000 --> 00:27:24,000 [阿部さんは 急きょ 新潟に帰ることに] 217 00:27:28,000 --> 00:27:32,000 [実家で 阿部さんを迎えてくれたのは 218 00:27:32,000 --> 00:27:35,000 母の信子さんと 219 00:27:35,000 --> 00:27:38,000 県内の銀行に勤める…] 220 00:27:44,000 --> 00:27:48,330 [お米を作ってくれている お父さんの一大事] 221 00:27:51,000 --> 00:27:55,000 [高齢のお母さんのことも 気掛かりです] 222 00:28:15,000 --> 00:28:17,000 うーん… 。 223 00:28:32,000 --> 00:28:37,000 [突然 実家を継ぐと言いだした 阿部さん] 224 00:28:37,000 --> 00:28:41,000 [でも 店には 100 人近い 従業員がいます] 225 00:28:41,000 --> 00:28:45,000 [いったい どうするつもりなんでしょうか] 226 00:28:52,000 --> 00:28:54,000 [東京に戻った阿部さんは 227 00:28:54,000 --> 00:28:57,000 1人のスタッフを 呼び出しました] 228 00:29:28,000 --> 00:29:31,000 [系列店の店長を務める 渡邊さん] 229 00:29:31,000 --> 00:29:36,000 [自分の後継者として 副社長に任命していたのです] 230 00:29:49,000 --> 00:29:52,000 [渡邊さんは 15 年前の入社以来 231 00:29:52,000 --> 00:29:57,000 店を支えてきた 阿部さんの右腕] 232 00:29:57,000 --> 00:29:59,000 [でも もともと 233 00:29:59,000 --> 00:30:02,330 板前を目指していたわけでは なかったそう] 234 00:30:17,670 --> 00:30:21,000 [渡邊さんの青春時代は 音楽一筋] 235 00:30:21,000 --> 00:30:25,000 [学生時代 将来は ミュージシャン として食べていくことを 236 00:30:25,000 --> 00:30:27,000 夢見ていました] 237 00:30:29,000 --> 00:30:33,000 [しかし そこには 厳しい現実が] 238 00:30:54,000 --> 00:31:00,000 [そんなときに始めたのが 阿部寿司でのアルバイトでした] 239 00:31:00,000 --> 00:31:04,000 [夢破れた渡邊さんに 阿部さんは 240 00:31:04,000 --> 00:31:08,000 人生を変えることになる 提案をしてくれたのです] 241 00:31:25,000 --> 00:31:30,000 [渡邊さんの副社長就任後 242 00:31:30,000 --> 00:31:35,000 スーツに身を包んだ2人が ある場所を訪ねました] 243 00:31:45,000 --> 00:31:47,000 前回… 244 00:31:47,000 --> 00:31:50,000 擦れ違っちゃって 申し訳ございませんでした 。 245 00:31:50,000 --> 00:31:54,000 よろしくお願いいたします 。 246 00:31:54,000 --> 00:31:57,000 [やって来たのは 取引先のビール会社] 247 00:31:57,000 --> 00:32:01,000 [渡邊さんへの引き継ぎを 進めていました] 248 00:32:14,000 --> 00:32:19,330 [でも 渡邊さんには 一つだけ 拭えない不安が] 249 00:32:23,000 --> 00:32:25,000 [数日後] 250 00:32:28,000 --> 00:32:32,000 [阿部さんのもとにやって来た 渡邊さん] 251 00:32:32,000 --> 00:32:36,000 [抱えている不安を 打ち明けました] 252 00:33:41,000 --> 00:33:44,000 [渡邊さんに 社長業を引き継いで 253 00:33:44,000 --> 00:33:48,000 実家に帰ることを考えていた 阿部さん] 254 00:33:48,000 --> 00:33:50,000 [でも それは 255 00:33:50,000 --> 00:33:52,330 簡単なことでは ありませんでした] 256 00:33:56,000 --> 00:33:59,000 [そして迎えた 年の瀬] 257 00:34:01,000 --> 00:34:03,000 [閉店後の店の奥で 258 00:34:03,000 --> 00:34:07,000 従業員が忙しそうに 何かを作っていました] 259 00:34:11,000 --> 00:34:12,670 [おせち料理です] 260 00:34:12,670 --> 00:34:16,000 [阿部寿司では 毎年恒例] 261 00:34:16,000 --> 00:34:20,330 [ 300 組以上のおせちを 2日間で作り上げます] 262 00:34:28,000 --> 00:34:31,000 あっ 失礼しました 。 263 00:34:31,000 --> 00:34:35,000 [板場に立つことが少なくなった 阿部さんですが 264 00:34:35,000 --> 00:34:38,000 この日は 店で陣頭指揮] 265 00:34:57,000 --> 00:35:01,000 ( いびき ) 266 00:35:01,000 --> 00:35:08,000 [身も心も疲れ切っていた 阿部さんの つかの間の休息] 267 00:35:08,000 --> 00:35:13,000 [でも その間に またしても大変な出来事が] 268 00:35:13,000 --> 00:35:15,000 ( いびき ) 269 00:35:17,000 --> 00:35:19,000 [大晦日の早朝] 270 00:35:21,000 --> 00:35:26,000 [阿部さんのもとに 一本の電話が掛かってきました] 271 00:35:26,000 --> 00:35:28,000 ( 阿部 ) あっ 分かった… 。 272 00:35:38,000 --> 00:35:40,000 (スタッフ) えっ? 273 00:35:48,000 --> 00:35:52,000 [阿部さんのもとに入った 一本の電話] 274 00:35:52,000 --> 00:35:55,000 [それは 大晦日の未明 275 00:35:55,000 --> 00:36:00,000 お母さんが 救急搬送されたという しらせでした] 276 00:36:22,000 --> 00:36:25,000 [すぐにでも帰りたいのは やまやま] 277 00:36:25,000 --> 00:36:29,000 [でも 一年で 一番忙しいこの日に 278 00:36:29,000 --> 00:36:32,000 社長の自分が 抜けるわけにはいきません] 279 00:36:39,000 --> 00:36:42,000 ⚟全然? 280 00:36:42,000 --> 00:36:46,000 あっ 分かりました 。 ( 阿部 ) だから これが… 。 281 00:36:46,000 --> 00:36:50,000 [阿部さんがいないと 現場が回らないのです] 282 00:36:52,000 --> 00:36:55,000 [全ての作業が終わったのは 元旦] 283 00:36:55,000 --> 00:37:00,000 [新年は 仕事場で迎えました] 284 00:37:00,000 --> 00:37:03,000 ( 阿部 ) じゃあ みんな頼むね 。 ⚟お疲れっす 。 285 00:37:03,000 --> 00:37:05,000 ( 阿部 ) みんな ありがとね 。 お疲れさま 。 286 00:37:05,000 --> 00:37:07,000 じゃあ 頼むね 。 287 00:37:07,000 --> 00:37:10,000 ⚟お疲れさまです 。 288 00:37:15,000 --> 00:37:20,000 [疲れが抜けないまま 新潟にやって来た 阿部さん] 289 00:37:20,000 --> 00:37:22,330 [すぐに向かったのは] 290 00:37:27,000 --> 00:37:30,000 [お母さんが搬送された 病院です] 291 00:37:33,000 --> 00:37:36,000 [不測の事態も 頭をよぎりましたが 292 00:37:36,000 --> 00:37:40,000 何とか大事に至らず この日で退院] 293 00:37:43,000 --> 00:37:48,000 [倒れた原因は 心労による意識障害でした] 294 00:37:52,000 --> 00:37:57,000 [しばらくは 自宅で経過を観察することに] 295 00:37:57,000 --> 00:37:59,000 ( 阿部 ) はーい 閉めます 。 296 00:38:05,000 --> 00:38:10,000 [がんの手術を終えて 退院したばかりのお父さんと 297 00:38:10,000 --> 00:38:12,670 心労で倒れたお母さん] 298 00:38:15,000 --> 00:38:18,000 [そんな両親の姿に] 299 00:38:38,000 --> 00:38:42,000 [すぐにでも 実家を継ぐか 300 00:38:42,000 --> 00:38:46,000 もうしばらくは 社長業を続けるか] 301 00:38:46,000 --> 00:38:47,670 [阿部さん 302 00:38:47,670 --> 00:38:52,000 人生の大きな岐路に 立たされていました] 303 00:38:54,000 --> 00:38:58,000 [結論を出せずにいた ある日のこと] 304 00:39:01,000 --> 00:39:05,000 [阿部さんを 訪ねてくる人がいました] 305 00:39:05,000 --> 00:39:08,000 ⚟よかったよ 乗れて 。 306 00:39:08,000 --> 00:39:10,000 ( 阿部 ) どんだけ荷物多いのよ 。 307 00:39:17,000 --> 00:39:20,000 [実は 2人は その後も 308 00:39:20,000 --> 00:39:24,000 ずっと 話し合いを 重ねていました] 309 00:39:24,000 --> 00:39:29,000 [実家のこと そして それぞれの人生のこと] 310 00:39:58,000 --> 00:40:03,000 [地元の銀行で支店長を務める 兄の正志さん] 311 00:40:03,000 --> 00:40:07,000 [この日 ある決断を明かしました] 312 00:40:31,000 --> 00:40:36,000 [そう 。 従業員の人生を背負う弟のため 313 00:40:36,000 --> 00:40:40,330 お兄さんが 実家を 継いでくれるというのです] 314 00:40:42,000 --> 00:40:45,000 [その言葉を聞いた 阿部さんは] 315 00:40:50,000 --> 00:40:52,000 言っちゃいけない言葉なんだけど 。 316 00:41:03,000 --> 00:41:06,000 [そんな ある日のことでした] 317 00:41:08,000 --> 00:41:12,000 [珍しく 板場に立っていた阿部さん] 318 00:41:15,000 --> 00:41:20,000 [実は 特別なお客さんが 来るというのです] 319 00:41:23,000 --> 00:41:27,000 [社長自ら すしを握る相手とは] 320 00:41:36,000 --> 00:41:40,000 [お店にやって来た 特別なお客さんのため 321 00:41:40,000 --> 00:41:44,000 久々に 自ら すしを握る阿部さん] 322 00:41:44,000 --> 00:41:46,000 [腕を振るう相手は] 323 00:41:49,000 --> 00:41:53,000 [そう 。 お父さんとお母さん] 324 00:41:53,000 --> 00:41:56,000 [お兄さんも一緒です] 325 00:41:56,000 --> 00:42:00,000 ハハハ…! 腹減ったんだ 今日 朝早かったから 。 326 00:42:00,000 --> 00:42:04,000 親父 病院で入院してる間は 結構 ご飯おいしかった? 327 00:42:18,000 --> 00:42:21,000 [すっかり 元気を取り戻した2人が 328 00:42:21,000 --> 00:42:27,000 最初に食べたいのは 息子が握る すしなんです] 329 00:42:27,000 --> 00:42:32,000 [そして 阿部寿司には もう1人 気になる人が] 330 00:42:34,000 --> 00:42:38,000 [六本木店に異動した あのトワ君です] 331 00:42:51,000 --> 00:42:55,000 [修業を始めて 丸一年] 332 00:42:55,000 --> 00:42:58,000 [顔つきも変わっていました] 333 00:43:01,000 --> 00:43:03,000 [さんごさんのおかげで 334 00:43:03,000 --> 00:43:06,000 すっかり 店にも なじんでいる様子] 335 00:43:22,000 --> 00:43:26,000 [でも つい調子に乗っちゃうところは] 336 00:43:28,000 --> 00:43:30,000 ( トワ ) ここっすか? 337 00:43:30,000 --> 00:43:32,000 [相変わらずです] 338 00:43:32,000 --> 00:43:36,000 ⚟絶対 倒すって! 絶対 倒すって! 339 00:43:36,000 --> 00:43:38,000 ⚟絶対 倒すって それ 。 340 00:43:38,000 --> 00:43:43,000 [そんなところも悪くないかも] 341 00:43:43,000 --> 00:43:45,000 ( 卵の殻を割る音 ) 342 00:43:47,000 --> 00:43:49,000 ( 卵の殻を割る音 ) 343 00:43:52,000 --> 00:43:58,000 [トワ君は 新しい店でも 卵焼きの練習を続けていました] 344 00:44:07,000 --> 00:44:09,000 ( トワ ) あの… 。 345 00:44:11,000 --> 00:44:13,000 ( 阿部 ) ホントに !? ( トワ ) はい 。 346 00:44:26,000 --> 00:44:29,000 まあ まあ 最低限 最低限 。 347 00:44:35,000 --> 00:44:40,000 [どこにも焦げ目のない 奇麗な卵焼き] 348 00:44:42,000 --> 00:44:47,000 [それは トワ君の小さな成長の証し] 349 00:44:49,000 --> 00:44:51,000 [いつか すしを握って 350 00:44:51,000 --> 00:44:56,000 人生を変えるための 最初の一歩です]