1 00:00:18,285 --> 00:00:25,626 (沢嶋雄一)え~ アブソリュートポジション N52 W718 E560 S245。 2 00:00:25,626 --> 00:00:28,529 ポジション確認。 3 00:00:28,529 --> 00:00:36,603 アブソリュートタイム B2754805年 25時75分96秒。 4 00:00:36,603 --> 00:00:42,809 西暦変換しますと 1410年11月5日 8時28分。 5 00:00:42,809 --> 00:00:45,512 無事 タイムワープ 成功しました。 6 00:00:45,512 --> 00:00:47,514 コードナンバー 245638➡ 7 00:00:47,514 --> 00:00:49,516 これから 記録を開始します。 8 00:00:49,516 --> 00:00:54,755 沢嶋雄一。 彼は タイムスクープ社より 派遣された ジャーナリストである。 9 00:00:54,755 --> 00:00:56,990 あらゆる時代に タイムワープしながら➡ 10 00:00:56,990 --> 00:01:04,598 時空を超えて 名もなき人々を 記録していく タイムスクープハンターである。 11 00:01:04,598 --> 00:01:07,935 <コードナンバー 245638。➡ 12 00:01:07,935 --> 00:01:10,537 1410年 若狭国。➡ 13 00:01:10,537 --> 00:01:13,273 投石を繰り返す男たち。➡ 14 00:01:13,273 --> 00:01:16,610 その日 ふだんは静かな町が 騒乱状態に陥っていた。➡ 15 00:01:16,610 --> 00:01:20,247 きっかけは 朝方に起きた ほんのささいな喧嘩であった。➡ 16 00:01:20,247 --> 00:01:24,618 当事者同士に仲間が加わっていき いつの間にか 小さな喧嘩が➡ 17 00:01:24,618 --> 00:01:29,957 町全体や 隣村をも巻き込む 大乱闘に発展していた> 18 00:01:29,957 --> 00:01:32,893 現在 私は時空を超えて➡ 19 00:01:32,893 --> 00:01:37,364 1410年 室町時代の若狭国の とある町に来ております。 20 00:01:37,364 --> 00:01:40,100 本来の目的では 当時の人々が かぶっていた➡ 21 00:01:40,100 --> 00:01:42,135 烏帽子について 取材をする予定でした。 22 00:01:42,135 --> 00:01:45,439 しかし その取材中に とある事件が起きてしまいました。 23 00:01:45,439 --> 00:01:49,276 今回は 本部と協議した結果 予定を大幅に変更して➡ 24 00:01:49,276 --> 00:01:51,945 その事件の一部始終を➡ 25 00:01:51,945 --> 00:01:54,247 ドキュメントとして お送りしたいと 思います。 危ない…。 26 00:02:01,421 --> 00:02:05,926 こっちだ こっち! この野郎! 27 00:02:08,195 --> 00:02:10,130 <飛び交う石を かいくぐり➡ 28 00:02:10,130 --> 00:02:12,100 必死に騒ぎを 静めようとしている男がいる。➡ 29 00:02:12,100 --> 00:02:16,370 中人。 今回の取材対象である。➡ 30 00:02:16,370 --> 00:02:20,574 喧嘩や事件の仲裁に入り 速やかに解決に導く➡ 31 00:02:20,574 --> 00:02:22,676 いわば 紛争調停人だ> 32 00:02:27,347 --> 00:02:30,250 <名前は弥三郎。➡ 33 00:02:30,250 --> 00:02:34,488 世話好きで 人望があつい> 34 00:02:34,488 --> 00:02:37,491 (弥三郎)そなたも下がれ! あ すいません…。 35 00:02:37,491 --> 00:02:40,961 そちら… そちら そちら そちらへ下がれ。 36 00:02:40,961 --> 00:02:43,930 大丈夫か? はい 大丈夫です。 37 00:02:43,930 --> 00:02:46,433 やめろ! やめるんじゃ! 38 00:02:46,433 --> 00:02:51,304 え~ ただいま たくさんの石が 私の上空を飛び交っています。 39 00:02:51,304 --> 00:02:53,807 ちょうど 今から5時間前➡ 40 00:02:53,807 --> 00:02:58,645 一人の町民と 一人の農民の ささいな いざこざから➡ 41 00:02:58,645 --> 00:03:03,450 このように 石つぶてによる 乱闘にまで発展しました。 42 00:03:03,450 --> 00:03:06,353 <なぜ このような騒乱に 発展してしまったのか。➡ 43 00:03:06,353 --> 00:03:09,089 始まりは 小さなトラブルだった。➡ 44 00:03:09,089 --> 00:03:11,024 私は偶然 その場に居合わせ➡ 45 00:03:11,024 --> 00:03:14,628 一部始終を カメラに収める事ができた> 46 00:03:18,265 --> 00:03:21,935 <私は 室町時代の人々が かぶっていた➡ 47 00:03:21,935 --> 00:03:25,806 烏帽子を取材するべく 一人の町人を取材していた> 48 00:03:25,806 --> 00:03:27,808 こちらの烏帽子ですが➡ 49 00:03:27,808 --> 00:03:30,811 ほとんどの男性の方が かぶっていますが…。 50 00:03:43,790 --> 00:03:47,094 まあ 外すとしたら 寝る時くらいだな。 51 00:03:58,972 --> 00:04:02,576 いやいや。 駄目ですか。 52 00:04:02,576 --> 00:04:08,081 <烏帽子は ステータスを意味しており 成年男子の証しとなっていたのだ> 53 00:04:13,987 --> 00:04:16,890 <だが このあと インタビューは中断された> 54 00:04:16,890 --> 00:04:19,693 で 何だっけ? 55 00:04:27,534 --> 00:04:30,771 おい。 56 00:04:30,771 --> 00:04:34,741 えっ? いや 笑ったろう お前。 57 00:04:34,741 --> 00:04:38,845 だから? 「だから」じゃねえよ お前。 58 00:04:44,317 --> 00:04:47,621 おい! おい! 59 00:04:47,621 --> 00:04:51,791 いや 無礼って。 そっちでしょ。 60 00:04:51,791 --> 00:04:54,561 <立ち小便を笑われた事に 腹を立てている。➡ 61 00:04:54,561 --> 00:04:57,397 男は 近くの村に住む 農民であった> 62 00:04:57,397 --> 00:05:02,002 笑っただろ。 謝れっつうんだよ。 そちらが おかしいからだろう! 63 00:05:02,002 --> 00:05:04,671 何なんだよ お前よ。 おい。 64 00:05:04,671 --> 00:05:07,674 何なんだ?ちゃんと謝れよ。 なぜ謝る⁉ 65 00:05:11,912 --> 00:05:13,847 <そして…> 66 00:05:13,847 --> 00:05:15,782 おい! 待て! 67 00:05:15,782 --> 00:05:19,419 <烏帽子を落とされた八幡屋が 逆上する> 68 00:05:19,419 --> 00:05:22,422 何だ コラ! 69 00:05:27,527 --> 00:05:30,430 <喧嘩を止めに入ったのが 八幡屋の知り合いで➡ 70 00:05:30,430 --> 00:05:33,967 そこに たまたま通りかかった 弥三郎であった> 71 00:05:33,967 --> 00:05:36,970 八幡屋殿! 72 00:05:39,272 --> 00:05:42,275 <八幡屋が怒りを爆発させたのには 訳がある。➡ 73 00:05:42,275 --> 00:05:46,913 当時 頭を じかにさらす事は 屈辱との認識があった。➡ 74 00:05:46,913 --> 00:05:48,982 烏帽子を取られる事は➡ 75 00:05:48,982 --> 00:05:52,452 裸にされるのと同じぐらい 恥ずべき事だったのだ> 76 00:05:52,452 --> 00:05:57,591 ここは帰ってくれ。 なっ? 77 00:05:57,591 --> 00:06:01,595 覚えとけよ この野郎。 八幡屋殿。 78 00:06:06,900 --> 00:06:11,304 <中人の弥三郎の仲裁で 喧嘩は 何とか 収まったかに見えた。➡ 79 00:06:11,304 --> 00:06:15,275 だが これで 解決したわけではなかった。➡ 80 00:06:15,275 --> 00:06:20,680 事件の発端から 22分後の 10時39分> 81 00:06:20,680 --> 00:06:23,617 先ほどの喧嘩が 一旦 収まったかに見えましたが➡ 82 00:06:23,617 --> 00:06:26,453 仲間なんですかね 村人と 思われる人たちが加勢して➡ 83 00:06:26,453 --> 00:06:28,455 再び 騒ぎが起きてます。 84 00:06:28,455 --> 00:06:33,226 <一旦は引き下がった惣吉郎が 村の仲間を引き連れ 戻ってきた> 85 00:06:33,226 --> 00:06:38,231 (八幡屋)何だ? やるのか⁉ 86 00:06:43,837 --> 00:06:49,676 逃げよう 逃げよう。 逃げるのか コラ! 87 00:06:49,676 --> 00:06:53,446 何が起きたんだ。 88 00:06:53,446 --> 00:06:57,317 わしの烏帽子を… 89 00:06:57,317 --> 00:07:00,520 それは許し難いな。 どこのやつらだ? そいつら。 90 00:07:03,556 --> 00:07:08,895 ちょっと ちょっと待て。 91 00:07:08,895 --> 00:07:11,197 烏帽子だぞ 烏帽子! 92 00:07:14,034 --> 00:07:17,904 とにかく 気を静めて。 93 00:07:17,904 --> 00:07:22,575 どこ行くんだ? え? 94 00:07:22,575 --> 00:07:26,279 ⚟弥三郎! 待っておれ。 95 00:07:59,279 --> 00:08:01,981 ああ ひどいのう。 96 00:08:16,129 --> 00:08:18,231 笑ったの笑われたの… 97 00:08:20,567 --> 00:08:22,569 さようなことで… 98 00:08:32,579 --> 00:08:36,583 僅かでも 縁があれば まるで待っておったかのように… 99 00:08:47,927 --> 00:08:50,330 つぶて合戦じゃ。 100 00:08:50,330 --> 00:08:53,033 そうなると もう 収拾がつかなくなる。 101 00:08:53,033 --> 00:08:55,301 さような騒ぎに なる前に ともかく➡ 102 00:08:55,301 --> 00:08:57,904 一刻も早う 手を打たんとな。 103 00:08:59,773 --> 00:09:02,776 何だよ お前? 落ち着きなされ。 な? 104 00:09:07,047 --> 00:09:10,383 この度の いさかいの件… 105 00:09:10,383 --> 00:09:13,286 中人だと? お主 あやつの知り合いだろう。 106 00:09:13,286 --> 00:09:18,124 <室町時代の社会では 喧嘩や 刃傷沙汰が日常茶飯事であった。➡ 107 00:09:18,124 --> 00:09:21,995 庶民や武士を問わず ささいな 事から 大きなトラブルに発展。➡ 108 00:09:21,995 --> 00:09:24,798 死傷者を出す事件が 絶えなかった。➡ 109 00:09:24,798 --> 00:09:26,766 そうした争いの仲裁に入り➡ 110 00:09:26,766 --> 00:09:30,737 解決に導く役目を負っていたのが 中人であった。➡ 111 00:09:30,737 --> 00:09:35,375 中人となった者たちは その役目を 大概 ボランティアで行っていた。➡ 112 00:09:35,375 --> 00:09:41,981 法整備が十分ではなく 慣習の一つとして生まれた> 113 00:09:46,019 --> 00:09:48,955 仲を取り持つ立場として 働かせてもらいたい。 114 00:09:48,955 --> 00:09:52,125 <中人は とても重要な役割を担った。➡ 115 00:09:52,125 --> 00:09:54,928 社会の さまざまな階層に存在し➡ 116 00:09:54,928 --> 00:10:02,268 大名の合戦から 庶民のもめ事まで 紛争の調停人として活躍する> 117 00:10:02,268 --> 00:10:06,272 笑われては 誰でも怒るぞえ。 わしとても同じじゃ。 118 00:10:08,842 --> 00:10:12,712 無論 腹立ちもする。 119 00:10:12,712 --> 00:10:14,647 分かるんじゃがのう。 120 00:10:14,647 --> 00:10:18,051 人というのは そういうものであろう。 121 00:10:22,222 --> 00:10:25,625 お主たちも そこのところを気を回して➡ 122 00:10:25,625 --> 00:10:27,627 分かってやってくれぬかのう。 123 00:10:29,329 --> 00:10:31,564 おお! そうして下されや。 124 00:10:31,564 --> 00:10:34,200 <弥三郎の説得が功を奏し➡ 125 00:10:34,200 --> 00:10:38,972 惣吉郎が 落ち着きを取り戻していた> 126 00:10:38,972 --> 00:10:43,476 頼むで。 なっ。 落ち着いて。 127 00:10:45,745 --> 00:10:49,349 <ところが…> 128 00:10:53,052 --> 00:10:56,556 待て! やめるんじゃ! 129 00:11:00,927 --> 00:11:04,764 <八幡屋が襲われたとの うわさを 聞きつけた 町人の仲間たちが➡ 130 00:11:04,764 --> 00:11:07,100 いつの間にか 彼の所に駆けつけ➡ 131 00:11:07,100 --> 00:11:10,103 この いさかいに 参戦し始めたのだ> 132 00:11:14,541 --> 00:11:17,443 <こちらに向かって 投石を始めている。➡ 133 00:11:17,443 --> 00:11:22,248 ついに つぶて合戦に発展してしまった> 134 00:11:27,987 --> 00:11:33,359 現在午後4時を回ったところです。 依然 騒ぎは収まりません。 135 00:11:33,359 --> 00:11:36,763 すいません。 すいません。 136 00:11:44,304 --> 00:11:47,607 <依然 騒ぎが収まる気配はなかった。➡ 137 00:11:47,607 --> 00:11:51,211 このような 石つぶてによる合戦は 「印地」と呼ばれ➡ 138 00:11:51,211 --> 00:11:53,279 古代より行われてきた。➡ 139 00:11:53,279 --> 00:11:56,649 石を投げ合う印地は 邪気を はらうための意味合いもあり➡ 140 00:11:56,649 --> 00:11:59,485 それ自体が祭りとして 行われていた。➡ 141 00:11:59,485 --> 00:12:02,188 祭りとはいえ 一度 石が飛び交うと➡ 142 00:12:02,188 --> 00:12:05,191 参加者は 集団的な興奮状態に陥る。➡ 143 00:12:05,191 --> 00:12:07,994 そのため 祭りから合戦に発展。➡ 144 00:12:07,994 --> 00:12:11,497 死傷者を出す惨事も 多かったという。➡ 145 00:12:11,497 --> 00:12:14,867 無数の石が飛び交い けが人が出始めている。➡ 146 00:12:14,867 --> 00:12:18,871 危険な状態が続いていた> 147 00:12:25,945 --> 00:12:28,348 <…と その時だった> 148 00:12:28,348 --> 00:12:31,084 あいたっ! 149 00:12:31,084 --> 00:12:34,687 <つぶてが 私の頭に当たった> 150 00:12:43,997 --> 00:12:46,799 あ~ 痛っ…。 151 00:12:48,868 --> 00:12:51,070 駄目じゃ 駄目じゃ! 152 00:12:57,577 --> 00:13:01,981 <ついに 八幡屋の町人側にも 犠牲者が出る> 153 00:13:05,752 --> 00:13:08,988 運べ 運べ! 154 00:13:08,988 --> 00:13:12,292 近くに! 大丈夫か? 155 00:13:17,030 --> 00:13:20,633 平気か? 大丈夫か? 156 00:13:25,171 --> 00:13:28,141 石もっこを? 卑怯者じゃ。 157 00:13:28,141 --> 00:13:31,144 印地となれば 何でもありじゃろう。 158 00:13:37,684 --> 00:13:41,287 <見た目以上に威力があり 小動物の狩りや➡ 159 00:13:41,287 --> 00:13:44,290 戦争に用いられ 危険な武器であった> 160 00:13:50,763 --> 00:13:53,766 みるみる 数が集まってるらしい。 161 00:13:55,535 --> 00:13:58,971 おう!待て! お主は出しゃばるな。 162 00:13:58,971 --> 00:14:00,907 やめろって! 163 00:14:00,907 --> 00:14:03,743 もともとの非は 向こうでござろうに! 164 00:14:03,743 --> 00:14:06,546 あやつらを ぶちのめして やるんだよ!ならぬ! 165 00:14:09,549 --> 00:14:12,351 何度 言うたら 分かるのじゃ。 きりがないだろ もう。 166 00:14:12,351 --> 00:14:15,988 <衝突は もはや 収拾がつかない 状態となっていた。➡ 167 00:14:15,988 --> 00:14:18,725 事態は むしろ 大きくなるばかりであった。➡ 168 00:14:18,725 --> 00:14:22,729 そんな中 八幡屋の表情が 僅かに変化した> 169 00:14:30,370 --> 00:14:33,206 <事の重大さに 気付き始めている。➡ 170 00:14:33,206 --> 00:14:38,111 そう察した 弥三郎が 必死に説得に入る> 171 00:14:41,447 --> 00:14:45,718 (善六)いやいやいや それは なりませぬって。 172 00:14:45,718 --> 00:14:49,288 やるぞ 八幡屋殿! 黙っとれ! 173 00:14:49,288 --> 00:14:53,393 八幡屋殿! 八幡屋殿! 174 00:14:57,630 --> 00:14:59,932 それじゃ どうじゃろう? 175 00:15:05,371 --> 00:15:07,373 <解死人制。➡ 176 00:15:07,373 --> 00:15:10,376 当時 紛争の解決方法の一つである> 177 00:15:21,587 --> 00:15:25,458 では 同士を寄せるか? ああ。 178 00:15:25,458 --> 00:15:31,364 行くぞ! 待て。 179 00:15:31,364 --> 00:15:34,033 待てって! 聞かん聞かん! 180 00:15:34,033 --> 00:15:36,602 わしの話を…。 181 00:15:36,602 --> 00:15:46,145 ♬~ 182 00:15:46,145 --> 00:15:50,516 <一度 火がついた争いは そう簡単に消せるものではない。➡ 183 00:15:50,516 --> 00:15:53,986 最初は小さな火種が いつの間にか大きくなり➡ 184 00:15:53,986 --> 00:15:56,689 合戦に変貌していく。➡ 185 00:15:56,689 --> 00:16:00,226 いさかいが進んだ段階では きっかけは どうでもよくなり➡ 186 00:16:00,226 --> 00:16:03,896 ただ 争いに参加する事に 意味を見いだしていく。➡ 187 00:16:03,896 --> 00:16:07,800 それゆえに恐ろしいのだ> 188 00:16:23,249 --> 00:16:26,586 現在 午後7時を 回ったところです。 189 00:16:26,586 --> 00:16:29,021 辺りは すっかり 暗くなっています。 190 00:16:29,021 --> 00:16:31,791 ご覧のように 夜になっても 騒ぎは まだ収まりません。 191 00:16:31,791 --> 00:16:34,627 双方に 多数の犠牲者が 出ているもようです。 192 00:16:34,627 --> 00:16:36,562 このまま 暴動が続けば➡ 193 00:16:36,562 --> 00:16:40,766 更に けが人が 増えるものと思われます。 194 00:16:40,766 --> 00:16:43,703 <今回のように ささいな きっかけから➡ 195 00:16:43,703 --> 00:16:46,706 大事件に発展した記録が 多く残っている> 196 00:17:03,556 --> 00:17:06,893 痛むか? 多少… うっ! 197 00:17:06,893 --> 00:17:09,195 寝てろ 寝てろ。 198 00:17:22,241 --> 00:17:26,913 痛みを覚えて 初めて知る事もあるものじゃ。 199 00:17:26,913 --> 00:17:30,616 お主も 知ったであろう? 200 00:17:33,586 --> 00:17:37,590 身を張った いさかいとは いつも そうなんじゃ。 201 00:17:41,427 --> 00:17:44,830 意義のないもんじゃったと その時に悟るんじゃ。 202 00:17:50,603 --> 00:17:53,272 あの者どもは 何も知ろうとせんのじゃ! 203 00:17:53,272 --> 00:17:55,975 いや されど… 204 00:17:57,777 --> 00:18:00,780 だから そこよ! 205 00:18:04,350 --> 00:18:08,888 <当時 人々の名誉意識は 身分を問わず 非常に高かった。➡ 206 00:18:08,888 --> 00:18:12,758 双方が引き下がらないのは その気位の高さに原因があると➡ 207 00:18:12,758 --> 00:18:15,461 弥三郎は理解していた> 208 00:18:17,597 --> 00:18:20,800 <そして 弥三郎は 最後の賭けに出た> 209 00:18:29,208 --> 00:18:31,611 それがしが? 210 00:18:35,548 --> 00:18:39,418 解死人でござるか? さよう。 やるなら今じゃろう。 211 00:18:39,418 --> 00:18:41,654 まだ 深みに はまらぬうちに やれば➡ 212 00:18:41,654 --> 00:18:44,056 向こうとて 手荒なまねは せんじゃろう。 213 00:18:44,056 --> 00:18:49,362 いや この 中人のわしが そんな事は させんし。 214 00:18:49,362 --> 00:18:54,100 な? 向こうの陣へ… 215 00:18:54,100 --> 00:18:57,203 <解死人は 事件の当事者でなくてもよい> 216 00:19:01,407 --> 00:19:05,277 <弥三郎は この慣習を利用し 八幡屋には内密に➡ 217 00:19:05,277 --> 00:19:08,881 彼を解死人として 差し出そうとした> 218 00:19:14,954 --> 00:19:19,325 それゆえ どちらも意地を通す。 そうやもしれぬが…。 219 00:19:19,325 --> 00:19:21,627 今のままなら… 220 00:19:29,902 --> 00:19:33,205 しかし…。 「しかし」ではのうて! 221 00:19:33,205 --> 00:19:35,708 な? 222 00:19:40,312 --> 00:19:43,983 <彼が 必死に争いを止めようと するのには 訳があった。➡ 223 00:19:43,983 --> 00:19:47,319 弥三郎は 4年前 息子を亡くしていた。➡ 224 00:19:47,319 --> 00:19:51,490 村で起きた つぶて合戦の 犠牲となったのだ。➡ 225 00:19:51,490 --> 00:19:55,261 「これ以上 無益な争いで 犠牲者を出したくない」。➡ 226 00:19:55,261 --> 00:20:00,466 彼の強い願いには 特別なものがあった> 227 00:20:06,772 --> 00:20:10,976 惣吉郎殿! 228 00:20:10,976 --> 00:20:14,413 惣吉郎殿! 229 00:20:14,413 --> 00:20:17,349 そこに おったか。 230 00:20:17,349 --> 00:20:21,287 帰れ 帰れ!聞いてくれ! こちらへ来い。 231 00:20:21,287 --> 00:20:25,291 何するんじゃ! お前は。 ちょっと こちらへ…。 232 00:20:27,993 --> 00:20:30,996 こっちだって出てらぁ! ああ そうじゃろう。 233 00:20:40,072 --> 00:20:43,709 なにを ほうけた事を! 234 00:20:43,709 --> 00:20:46,645 向こうにしてみたら 相手が つぶてを打ってよこすから➡ 235 00:20:46,645 --> 00:20:48,981 わしらもじゃ って事なんじゃ。 な? 236 00:20:48,981 --> 00:20:51,884 いや だから あっちが…。 237 00:20:51,884 --> 00:20:56,589 だから どちらか一方が 一旦 手を引かん事には…。 238 00:20:58,657 --> 00:21:01,761 うそだろ⁉ うそでないって。 239 00:21:05,231 --> 00:21:09,101 解死人を? さようじゃ。 内々じゃがな。 240 00:21:09,101 --> 00:21:12,204 どこに いるんだよ。 241 00:21:22,648 --> 00:21:25,151 ならばじゃ! 242 00:21:26,952 --> 00:21:32,091 さもなくば話にならんであろう! 分かった。 承知した。 243 00:21:32,091 --> 00:21:34,994 くれぐれも手は出さぬよう頼むぞ。 244 00:21:34,994 --> 00:21:38,797 <一般的には 解死人の顔を見た 被害者側が納得し➡ 245 00:21:38,797 --> 00:21:42,268 事が 丸く収まるという 習わしとなっていた。➡ 246 00:21:42,268 --> 00:21:45,538 だが 相手側の興奮が 収まっていない場合➡ 247 00:21:45,538 --> 00:21:49,275 解死人は 殺されてしまう事もあった。➡ 248 00:21:49,275 --> 00:21:52,611 町人側の 八幡屋の所に向かう 弥三郎。➡ 249 00:21:52,611 --> 00:21:57,016 だが突如 彼は角を曲がり 別の方向に走りだす> 250 00:22:00,753 --> 00:22:04,456 えっ 「ちょっと」って… 弥三郎さん? 251 00:22:06,559 --> 00:22:10,262 <10分後 暗闇の中から 弥三郎が戻ってきた。➡ 252 00:22:10,262 --> 00:22:13,265 手に 大きな器のようなものを 持っている> 253 00:22:16,135 --> 00:22:20,439 <近隣の知り合いの家から 酒を手に入れたらしい> 254 00:22:25,211 --> 00:22:28,914 <必死に八幡屋を探す> 255 00:22:30,616 --> 00:22:34,620 ああ 危ないです! ああ 危ないです…。 256 00:22:37,056 --> 00:22:40,259 おお おった おった。 八幡屋殿 こちらへ。 257 00:22:42,628 --> 00:22:45,064 <弥三郎は うそをついた。➡ 258 00:22:45,064 --> 00:22:49,301 「酒は 農民側の 惣吉郎からのものだ」と> 259 00:22:49,301 --> 00:22:52,204 「これを 八幡屋殿の所へ」と。 260 00:22:52,204 --> 00:22:54,907 <和平のためなら 手段は問わない。➡ 261 00:22:54,907 --> 00:22:58,143 できるだけ早く 最小限に 争いを食い止める。➡ 262 00:22:58,143 --> 00:23:01,981 弥三郎の目的は ただ それだけだった> 263 00:23:01,981 --> 00:23:05,251 この事は お主と ここにおる者だけとの➡ 264 00:23:05,251 --> 00:23:08,254 内義という事に してもらえぬか。 な? 265 00:23:10,122 --> 00:23:12,591 <酒を受け取る 八幡屋。➡ 266 00:23:12,591 --> 00:23:15,861 その和平工作が ついに 実を結ぼうとしていた。➡ 267 00:23:15,861 --> 00:23:20,566 …が その時だった!➡ 268 00:23:20,566 --> 00:23:24,570 飛んできた石が 弥三郎の頭を直撃した> 269 00:23:29,275 --> 00:23:34,079 弥三郎殿 しっかりなされ! 270 00:23:42,688 --> 00:23:45,324 手を貸せ。 271 00:23:45,324 --> 00:23:49,328 おい やめ やめ! 272 00:23:55,734 --> 00:23:58,737 大丈夫ですか? 273 00:24:13,819 --> 00:24:17,790 <弥三郎は 額から出血し 脳震とうを起こしながらも➡ 274 00:24:17,790 --> 00:24:20,259 幸い 大事には至らなかった。➡ 275 00:24:20,259 --> 00:24:24,663 つぶてをやめた八幡屋に応じて 惣吉郎側も引き下がった。➡ 276 00:24:24,663 --> 00:24:27,100 弥三郎は 流血しながらも 双方を行き来し➡ 277 00:24:27,100 --> 00:24:30,703 停戦調停のために奔走。➡ 278 00:24:30,703 --> 00:24:35,474 20時間続いた騒乱は ついに収束した> 279 00:24:35,474 --> 00:24:41,280 ただいまから 仲直りの調停が 行われるところです。 280 00:24:41,280 --> 00:25:30,796 ♬~ 281 00:25:36,802 --> 00:26:06,899 ♬~ 282 00:26:15,240 --> 00:26:19,244 よかった よかった。 283 00:26:32,024 --> 00:26:36,562 <戦国時代 近江国の僧侶が 書き残した一文である。➡ 284 00:26:36,562 --> 00:26:42,034 人のもめ事を仲裁しようと 思ったら 仲直りの宴のため➡ 285 00:26:42,034 --> 00:26:47,039 酒三升分の出費は覚悟しろという 意味である> 286 00:26:49,174 --> 00:26:52,945 <中人には なにがしかの役得が あったわけではない。➡ 287 00:26:52,945 --> 00:26:55,981 むしろ 出費や危険をはらむ事が 多かった。➡ 288 00:26:55,981 --> 00:26:59,718 にもかかわらず 社会の秩序を保つために➡ 289 00:26:59,718 --> 00:27:05,524 目の前にある紛争を解決しようと 行動を起こした> 290 00:27:08,026 --> 00:27:12,231 それでは お気をつけて。 291 00:27:18,137 --> 00:27:23,775 <中人制が当時の社会で紛争解決に 果たした役割は大きかった。➡ 292 00:27:23,775 --> 00:27:27,980 もし 彼らがいなければ 歴史が変わったかもしれない。➡ 293 00:27:27,980 --> 00:27:32,885 だが その中人について 多くは語られてはいない。➡ 294 00:27:32,885 --> 00:27:36,788 今回 偶然に巻き込まれた 事件であったが➡ 295 00:27:36,788 --> 00:27:42,928 タイムスクープハンターとして 価値ある記録になった> 296 00:27:42,928 --> 00:27:59,478 ♬~ 297 00:27:59,478 --> 00:28:04,716 以上 コードナンバー 245638 アウトします。 298 00:28:04,716 --> 00:28:24,503 ♬~