1 00:00:18,285 --> 00:00:25,726 (沢嶋雄一)え~ アブソリュートポジション N359 W120 E432 S912➡ 2 00:00:25,726 --> 00:00:29,296 ポジション確認。 3 00:00:29,296 --> 00:00:38,005 アブソリュートタイム B0287394年 37時85分35秒。 4 00:00:38,005 --> 00:00:39,940 西暦変換 しますと➡ 5 00:00:39,940 --> 00:00:44,745 1821年2月12日 7時27分。 6 00:00:44,745 --> 00:00:47,347 無事 タイムワープに 成功しました。 7 00:00:47,347 --> 00:00:50,250 本部 どうぞ。 8 00:00:50,250 --> 00:00:54,621 (古橋ミナミ) こちら 第二調査部 コントロールブース005。 9 00:00:54,621 --> 00:00:58,492 タイムナビゲーターの古橋ミナミです。 そちら 異常は ありませんでしょうか? 10 00:00:58,492 --> 00:01:00,427 確認をお願いします。 11 00:01:00,427 --> 00:01:02,729 ケガなし ウイルス反応なし。 12 00:01:02,729 --> 00:01:04,665 いつものように 軽度の頭痛がしますが➡ 13 00:01:04,665 --> 00:01:07,901 タイムワープ時による セロトニン過剰分泌に よるものだと思われます。 14 00:01:07,901 --> 00:01:10,637 職務には影響ありません。 15 00:01:10,637 --> 00:01:12,639 了解しました。 16 00:01:12,639 --> 00:01:15,475 これから取材態勢に入ります。 17 00:01:15,475 --> 00:01:20,147 この時代 1821年ごろに関する 基本データをお願いします。 18 00:01:20,147 --> 00:01:22,249 了解。 19 00:01:25,652 --> 00:01:29,022 1821年は 江戸時代の後期に当たります。 20 00:01:29,022 --> 00:01:31,325 元号では 文政4年。 21 00:01:35,662 --> 00:01:37,597 政治は 比較的安定しており➡ 22 00:01:37,597 --> 00:01:40,834 町人による文化が 大いに発展しました。 23 00:01:40,834 --> 00:01:45,672 町人とは 都市部に住む 職人や商人の事です。 24 00:01:45,672 --> 00:01:48,942 彼らが文化の担い手となり 江戸を中心として➡ 25 00:01:48,942 --> 00:01:52,279 川柳や浮世絵 滑稽本などが 大流行しました。 26 00:01:52,279 --> 00:01:56,984 また 庶民の娯楽として 歌舞伎や 寄席が最も盛んになった時代です。 27 00:01:56,984 --> 00:02:01,588 これらの町人文化の事を ひとつ前の文化年間と合わせて➡ 28 00:02:01,588 --> 00:02:04,424 化政文化といいます。 以上です。 29 00:02:04,424 --> 00:02:09,630 了解しました。 コードナンバー127432 これから記録を開始します。 30 00:02:09,630 --> 00:02:15,035 沢嶋雄一。 彼は タイムスクープ社より 派遣された ジャーナリストである。 31 00:02:15,035 --> 00:02:16,970 あらゆる時代に タイムワープしながら➡ 32 00:02:16,970 --> 00:02:22,676 時空を超えて 名もなき人々を 記録していく タイムスクープハンターである。 33 00:02:33,553 --> 00:02:38,258 <華やかな町の文化は 人々の 身だしなみにも反映されていた。➡ 34 00:02:38,258 --> 00:02:41,595 今回の取材対象者は廻り髪結い。➡ 35 00:02:41,595 --> 00:02:45,165 道具を持参し 得意先を回って髪を結う。➡ 36 00:02:45,165 --> 00:02:48,068 今で言う 出張理容師である> 37 00:02:48,068 --> 00:02:55,675 この時代の人々にとって 私は時空を超えた存在となります。 38 00:02:55,675 --> 00:02:58,912 彼らにとって 私は 宇宙人のような存在です。 39 00:02:58,912 --> 00:03:01,581 彼らに接触するには 細心の注意が必要です。 40 00:03:01,581 --> 00:03:03,517 私自身の介在によって➡ 41 00:03:03,517 --> 00:03:05,886 この歴史が変わってしまう事も ありえるからです。 42 00:03:05,886 --> 00:03:08,255 彼らに 取材を許してもらうためには➡ 43 00:03:08,255 --> 00:03:10,190 特殊な交渉術を用います。 44 00:03:10,190 --> 00:03:13,093 それは 極秘事項となっているため お見せする事は できませんが➡ 45 00:03:13,093 --> 00:03:16,596 今回も無事 密着取材する事に成功しました。 46 00:03:25,639 --> 00:03:31,078 <髪結いの仕事を始めて 17年になる廻り髪結いである。➡ 47 00:03:31,078 --> 00:03:35,382 客の月代をそり 整え 髷を結っていく。➡ 48 00:03:35,382 --> 00:03:39,352 一連の作業を テキパキとこなす 一流の髪結いだ。➡ 49 00:03:39,352 --> 00:03:44,057 元結と呼ばれる ひもで 髪を一束にまとめ 結び上げる。➡ 50 00:03:44,057 --> 00:03:49,629 仕上げた元結の両端の寸法が 1mmと違う事はない。➡ 51 00:03:49,629 --> 00:03:52,399 その確かな技術と 仕事熱心さで➡ 52 00:03:52,399 --> 00:03:56,803 多くの顧客を 持つようになっていた> 53 00:04:01,141 --> 00:04:04,411 かまいやせんよ。 よいしょ。 54 00:04:04,411 --> 00:04:10,217 え~とでございやすね… まずは こんなもん ございやす。 55 00:04:14,521 --> 00:04:17,724 これで細かい所を チョチョイ チョチョイという形で…。 56 00:04:19,726 --> 00:04:25,432 これで 先ほど お見せしたとおり ここに入れて固定して縛っていく。 57 00:04:33,707 --> 00:04:37,277 <髪結いには 店を構える床髪結いと➡ 58 00:04:37,277 --> 00:04:42,182 喜作のように 得意先へ出張する 廻り髪結いがあった。➡ 59 00:04:42,182 --> 00:04:46,953 多くの庶民は 床髪結いに通い そこが社交場になっていた。➡ 60 00:04:46,953 --> 00:04:50,624 その数は 江戸の前期には およそ800軒。➡ 61 00:04:50,624 --> 00:04:56,630 その後 人口増加に伴い 幕末には およそ2,500軒あったという> 62 00:05:10,944 --> 00:05:15,148 あ~ 相性。 へえ。 例えば 手前が… 63 00:05:24,524 --> 00:05:26,827 まあ それが合図なんでさあ。 64 00:05:29,329 --> 00:05:31,731 なあに なんも 関係ないんですがね。 65 00:05:35,535 --> 00:05:38,471 まあ そんなものでございやすよ。 なるほど。 66 00:05:38,471 --> 00:05:42,609 <喜作は せわしなく 次の顧客のもとへ向かった。➡ 67 00:05:42,609 --> 00:05:47,113 着いた先は とある武家屋敷> 68 00:05:51,952 --> 00:05:55,655 <だが カメラが入るのは 少々 問題があるらしい> 69 00:05:59,726 --> 00:06:02,929 <喜作は 密着取材に 難色を示している> 70 00:06:05,432 --> 00:06:10,437 <私は 顧客に直接 取材交渉を行うために中に入った> 71 00:06:13,106 --> 00:06:15,609 ⚟入れ。 へい。 72 00:06:21,248 --> 00:06:23,550 なんじゃ? 73 00:06:28,655 --> 00:06:32,559 <突然の私の訪問に 不快感を表す 喜作の顧客> 74 00:06:42,936 --> 00:06:46,573 <江戸に定住して 大名に仕える 武士である。➡ 75 00:06:46,573 --> 00:06:51,845 彼は 家中 馬廻組組頭 という役職の他に➡ 76 00:06:51,845 --> 00:06:56,650 その腕を買われて 藩の剣術指南役を兼務していた> 77 00:07:05,225 --> 00:07:07,160 <喜作が いつものように➡ 78 00:07:07,160 --> 00:07:10,096 慣れた手つきで 髷の手入れを始める。➡ 79 00:07:10,096 --> 00:07:15,101 だが このあと 彦左衛門の秘密を 目の当たりにしてしまう> 80 00:07:18,605 --> 00:07:22,809 ちと 痛えかもしれやせんが…。 ああ…。 81 00:07:22,809 --> 00:07:25,445 <あろうことか 髷の髪を➡ 82 00:07:25,445 --> 00:07:28,448 ごっそりと 剥がしていくではないか> 83 00:07:33,186 --> 00:07:36,656 ああ そうか…。 失礼しやす。 よいしょ。 84 00:07:36,656 --> 00:07:41,027 <なんと 彦左衛門の髪は付け毛であった。➡ 85 00:07:41,027 --> 00:07:44,464 喜作が 取材に難色を示していたのは➡ 86 00:07:44,464 --> 00:07:49,269 この彦左衛門の心情を 慮っての 気遣いだったのだ> 87 00:07:55,041 --> 00:07:58,912 <喜作は 彦左衛門の頭を 軽く もみほぐすと➡ 88 00:07:58,912 --> 00:08:03,116 何やら怪しげな薬を取り出した> 89 00:08:11,825 --> 00:08:14,728 ああ これですかい? 90 00:08:29,275 --> 00:08:31,778 では 失礼いたしやす。 91 00:08:34,914 --> 00:08:40,320 <それは 江戸時代の 増毛剤であった> 92 00:08:43,656 --> 00:08:48,194 <私は その成分を調べるべく 本部と コンタクトをとった> 93 00:08:48,194 --> 00:08:52,399 本部 こちら沢嶋 応答願います。 94 00:08:52,399 --> 00:08:55,101 はい。 古橋です。 95 00:08:55,101 --> 00:08:58,338 この液体の材料分析を お願いします。 96 00:08:58,338 --> 00:09:02,175 了解しました。 ターゲットゾーンに入れて下さい。 97 00:09:02,175 --> 00:09:04,477 はい。 98 00:09:14,721 --> 00:09:17,557 <成分は 漢方として扱われる➡ 99 00:09:17,557 --> 00:09:20,927 植物の種子や樹皮などが 主なものであった。➡ 100 00:09:20,927 --> 00:09:25,732 当時刊行された江戸の風俗書 「都風俗化粧伝」には➡ 101 00:09:25,732 --> 00:09:28,768 この増毛剤の製法が 掲載されている。➡ 102 00:09:28,768 --> 00:09:33,072 他にも 甜瓜の葉を搾り その汁を塗る方法や➡ 103 00:09:33,072 --> 00:09:35,975 コウモリを黒焼きにして ゴマの油で溶き➡ 104 00:09:35,975 --> 00:09:38,478 頭部に青松葉をこすりつけて➡ 105 00:09:38,478 --> 00:09:41,481 血を出したあとにつける 方法などがあったという> 106 00:09:43,383 --> 00:09:45,885 えっ? 何ですか? 107 00:09:48,288 --> 00:09:50,423 えっ⁉ そんな効果あるんですか? 108 00:09:50,423 --> 00:09:52,358 今すぐってわけじゃ ございやせんが➡ 109 00:09:52,358 --> 00:09:55,662 そのうち ジワジワッと…。 そうですか すみません。 110 00:09:57,730 --> 00:09:59,732 わしを見てみろ。 111 00:10:06,473 --> 00:10:08,475 相原様。 112 00:10:15,748 --> 00:10:18,618 <加齢とともに 髪が薄くなる。➡ 113 00:10:18,618 --> 00:10:21,454 これは 自然の摂理で しかたのない事である。➡ 114 00:10:21,454 --> 00:10:24,357 この事を 当時の侍は どう思っているのか➡ 115 00:10:24,357 --> 00:10:26,693 彦左衛門に聞いてみる事にした> 116 00:10:26,693 --> 00:10:29,696 ちょっと よろしいでしょうか? ああ。 117 00:10:39,973 --> 00:10:41,975 そうですか…。 118 00:10:46,746 --> 00:10:48,748 えっ? 119 00:11:23,149 --> 00:11:27,420 気力 知力 膂力 どれをとっても… 120 00:11:27,420 --> 00:11:30,023 <武士には原則 定年はない> 121 00:11:45,638 --> 00:11:50,443 <彦左衛門は 52歳。 もう十分 隠居してもよい年齢であった。➡ 122 00:11:50,443 --> 00:11:54,314 だが 彦左衛門は 自分の老いを 認めたくはなかった。➡ 123 00:11:54,314 --> 00:11:57,216 あしたには 剣術の試合が控えている。➡ 124 00:11:57,216 --> 00:11:59,652 絶対に負けるわけにはいかない。➡ 125 00:11:59,652 --> 00:12:04,157 ましてや 付け毛が外れるという 事は あってはならない事だった> 126 00:12:10,096 --> 00:12:12,098 いかがでございやしょう? 127 00:12:21,808 --> 00:12:24,410 う~ん…。 128 00:12:32,852 --> 00:12:34,787 いやあ…。 129 00:12:34,787 --> 00:12:38,157 <それでも 彦左衛門は 納得がいかない様子だ。➡ 130 00:12:38,157 --> 00:12:41,661 両鬢の薄さが気になるらしい> 131 00:12:43,630 --> 00:12:45,932 ちょいと ひとっ走り 行って… 132 00:12:53,973 --> 00:12:55,975 行ってくれるか? 133 00:13:00,146 --> 00:13:03,583 頼む。 134 00:13:03,583 --> 00:13:06,986 <髷を結えなくなり 隠居に追い込まれた武士の例は➡ 135 00:13:06,986 --> 00:13:08,988 いくつか見る事ができる。➡ 136 00:13:08,988 --> 00:13:14,727 1696年 筑後国 柳川藩の藩主 立花鑑虎は➡ 137 00:13:14,727 --> 00:13:16,729 幕府への隠居願いの中で…> 138 00:13:24,237 --> 00:13:29,509 <それほど 髷は 武士にとって 誇りであり ステータスであった。➡ 139 00:13:29,509 --> 00:13:33,179 喜作が向かった先 それは かもじ屋であった。➡ 140 00:13:33,179 --> 00:13:37,483 かもじとは 髪の 頭の文字をとった 女房ことばで➡ 141 00:13:37,483 --> 00:13:41,654 付け毛 つまり 今で言う エクステンションの事である> 142 00:13:41,654 --> 00:13:45,158 今日はよ ちょいとよ 昨日とは違って… 143 00:13:47,327 --> 00:13:49,262 じゃあ 太いやつかい? 144 00:13:49,262 --> 00:13:52,899 <かもじは主に 女性が 髪を結う時に用いられる。➡ 145 00:13:52,899 --> 00:13:56,135 喜作は この女性用のかもじを細工して➡ 146 00:13:56,135 --> 00:14:00,473 彦左衛門に使用していたのだ> 147 00:14:00,473 --> 00:14:05,244 あらま 今日は随分と いっぱいだね。 148 00:14:05,244 --> 00:14:09,449 <店に入ってきたのは 「おちゃない」と呼ばれる女性> 149 00:14:11,351 --> 00:14:15,221 <その奇妙な名前は 「落ちた髪は ないか」という意味の➡ 150 00:14:15,221 --> 00:14:19,058 「おちゃないか」という掛け声に 由来している> 151 00:14:19,058 --> 00:14:22,361 補足データとして 資料映像をアップします。 152 00:14:24,764 --> 00:14:30,136 おちゃないか~。 153 00:14:30,136 --> 00:14:33,639 <彼女たちは 髪を求めて 町を歩いていた> 154 00:14:40,613 --> 00:14:44,117 おちゃないか~。 155 00:14:44,117 --> 00:14:46,052 あいよ。 また来ます。 156 00:14:46,052 --> 00:14:49,555 毎度。 また頼んだよ。 あいよ! 157 00:14:59,632 --> 00:15:04,437 それに あにいさんは まだ お若えから分からねえだろうが… 158 00:15:20,787 --> 00:15:26,793 <屋敷に戻ると 早速 喜作が 新しい付け毛の装着作業に入った> 159 00:15:31,264 --> 00:15:35,568 いささか こう… 重たいように思うがのう。 160 00:15:38,137 --> 00:15:40,339 <…が その時だった> 161 00:15:42,475 --> 00:15:45,978 <廊下から 何者かの足音が 聞こえてくる> 162 00:15:48,014 --> 00:15:50,216 (彦左衛門)入れ。 163 00:15:52,785 --> 00:15:57,356 <入ってきたのは 慎之介。 彦左衛門の長男である> 164 00:15:57,356 --> 00:16:00,560 (彦左衛門)何だ? 用があるなら 申せ。 165 00:16:08,935 --> 00:16:11,437 (彦左衛門)そうか…。 166 00:16:17,710 --> 00:16:20,513 さように。 167 00:16:30,790 --> 00:16:35,361 明日の試合で… 168 00:16:35,361 --> 00:16:37,763 ええ さようでございやすね。 169 00:16:37,763 --> 00:16:39,699 <門下生との稽古は➡ 170 00:16:39,699 --> 00:16:42,268 付け毛が外れないかどうかの シミュレーションにもなる。➡ 171 00:16:42,268 --> 00:16:47,940 彦左衛門は 稽古の申し出を 引き受ける事にした> 172 00:16:47,940 --> 00:17:04,924 ♬~ 173 00:17:04,924 --> 00:17:09,562 <打ち合う彦左衛門と門下生の秋葉 さすがは 彦左衛門。➡ 174 00:17:09,562 --> 00:17:15,368 貫禄の竹刀さばきで 秋葉の攻撃は 寄せつけず 一分の隙も見せない> 175 00:17:15,368 --> 00:17:20,172 慎之介さんに インタビューしたいと思います。 176 00:17:23,109 --> 00:17:25,111 なんでござる? 177 00:17:30,850 --> 00:17:33,953 ええ 剣術家として。 178 00:17:59,979 --> 00:18:04,050 <慎之介は 15歳で元服を迎え 既に10年。➡ 179 00:18:04,050 --> 00:18:06,552 父 彦左衛門が 隠居を拒んでいるため➡ 180 00:18:06,552 --> 00:18:09,455 いまだ 独立できず 部屋住みの身分である> 181 00:18:09,455 --> 00:18:12,358 えい! えい! 182 00:18:12,358 --> 00:18:16,929 <気迫の稽古が続く。 だが その時だった!➡ 183 00:18:16,929 --> 00:18:22,134 次第に剥がれ始める 付け毛。 カメラは その様子を捉えていた!➡ 184 00:18:22,134 --> 00:18:30,543 彦左衛門は気迫で秋葉を押し倒す。 辛うじて ばれてはいないようだ> 185 00:18:36,315 --> 00:18:39,051 今すぐ直しますんで どうぞ お座りになって下さい。 186 00:18:39,051 --> 00:18:41,787 どうなっておるのだ! どうぞ お座り下さい。 187 00:18:41,787 --> 00:18:48,294 なんとでもしやす。 失礼しやす。 恐れ入ります。 188 00:19:01,907 --> 00:19:04,810 <付け毛は 汗には弱かったのだ> 189 00:19:04,810 --> 00:19:06,846 前の付鬢に戻そう。 190 00:19:06,846 --> 00:19:11,751 少々 お待ち下さい。 それも きっと同じでございやすよ。 191 00:19:19,325 --> 00:19:21,594 <明日の試合への不安が募るのか➡ 192 00:19:21,594 --> 00:19:24,463 彦左衛門は 機嫌が悪く いらだっていた> 193 00:19:24,463 --> 00:19:26,699 どうなっとんだ! 194 00:19:26,699 --> 00:19:31,237 <その思いを 喜作は 痛いほど分かっていた。➡ 195 00:19:31,237 --> 00:19:35,174 喜作は数年前より 彦左衛門の 髪の毛を なんとかしようと➡ 196 00:19:35,174 --> 00:19:39,311 増毛剤 付け毛と あらゆる手を 尽くし 闘ってきたのだ。➡ 197 00:19:39,311 --> 00:19:43,749 その奮闘は 喜作 彦左衛門 二人だけの極秘事項として➡ 198 00:19:43,749 --> 00:19:48,754 今日まで続いてきた。 そして 喜作は 最後の手段に出る> 199 00:19:58,097 --> 00:20:00,199 かもじじゃございやせん。 200 00:20:03,235 --> 00:20:08,641 へえ。 といっても 頭の上から かぶせるやつじゃございやせん。 201 00:20:14,747 --> 00:20:17,950 思ってらっしゃるほど… 202 00:20:19,952 --> 00:20:21,954 それしかないか…。 203 00:20:28,561 --> 00:20:30,963 崩れぬか? へえ! 204 00:20:35,668 --> 00:20:37,670 かしこまりやした。 205 00:20:43,209 --> 00:20:45,144 へえ! 206 00:20:45,144 --> 00:20:49,548 ただし今回ばかりは 手前一人って わけには まいりやせん。 207 00:20:54,553 --> 00:20:56,489 それで いいですね? 208 00:20:56,489 --> 00:21:01,894 わしもか…。 へえ。 ちいと寒いでございやすが。 209 00:21:07,566 --> 00:21:09,902 へえ! では 早速。 210 00:21:09,902 --> 00:21:12,805 <もはや 迷っている猶予はない。➡ 211 00:21:12,805 --> 00:21:18,077 早速 二人は 歌舞伎用のかつらを 扱う専門店へと向かう事にした。➡ 212 00:21:18,077 --> 00:21:21,580 果たして かつらは 調達できるのか> 213 00:21:27,753 --> 00:21:31,624 あの~ 今日はちょっと お願いが あって 来たんでございやすが。 214 00:21:31,624 --> 00:21:35,261 何だよ。 こっちは忙しいんだよ。 215 00:21:35,261 --> 00:21:38,597 <喜作と知り合いの かつら職人 為吉。➡ 216 00:21:38,597 --> 00:21:41,500 頑固一徹の江戸っ子職人だ> 217 00:21:41,500 --> 00:21:44,503 どうぞ。 218 00:21:48,340 --> 00:21:52,645 いえ そうじゃございやせん。 219 00:21:52,645 --> 00:21:56,949 実はですね こちらの方の… 220 00:21:59,418 --> 00:22:03,589 知ってると思うけど お前 俺は… 221 00:22:03,589 --> 00:22:07,593 ええ 知ってやす。 でも… 222 00:22:09,395 --> 00:22:12,598 腕 見込んでって言うけどよ おめえ んなもん… 223 00:22:27,913 --> 00:22:31,617 は~…。 224 00:22:31,617 --> 00:22:35,120 そう言わねえで下せえ。 お願いしやす。 225 00:22:35,120 --> 00:22:37,823 おめえなあ… 226 00:22:41,327 --> 00:22:46,131 また 役者の機嫌とって… 227 00:22:46,131 --> 00:22:49,034 いや 払う分は ちょいと弾みやす。 228 00:22:49,034 --> 00:22:52,037 台金 合わせたところで じゃあ… 229 00:22:54,173 --> 00:22:58,177 おめえが? でも もう… 230 00:23:03,849 --> 00:23:07,086 <本来なら 歌舞伎役者のために 作られる かつら。➡ 231 00:23:07,086 --> 00:23:10,489 それを 一般の武士のために しつらえてもらおうというのは➡ 232 00:23:10,489 --> 00:23:12,424 無謀な頼みであった> 233 00:23:12,424 --> 00:23:15,895 お願いしやす。 234 00:23:15,895 --> 00:23:22,401 <それでも喜作は 必死に頼み込む。 見かねた彦左衛門は ついに…> 235 00:23:24,103 --> 00:23:27,773 いけませんよ そんな。 ここまで来て。 236 00:23:27,773 --> 00:23:34,780 おい。 おめえ 今 「いい」っつったか? 237 00:23:36,448 --> 00:23:39,351 言ったが。 238 00:23:39,351 --> 00:23:42,655 ふざけた事 ぬかしてんじゃねえぞ この野郎! 239 00:23:51,463 --> 00:23:55,567 何 考えてんだ おめえはよ。 240 00:23:59,204 --> 00:24:04,310 いいから 向こう向いてくれっつってんだよ。 241 00:24:12,584 --> 00:24:15,587 向こう 向いてくれ。 242 00:24:23,095 --> 00:24:25,064 へえ! 243 00:24:25,064 --> 00:24:29,668 <最終的に 為吉の許しが出た> 244 00:24:31,770 --> 00:24:34,573 ああ…。 245 00:24:37,276 --> 00:24:42,614 <かつらの製作は まず 当人の頭の 形に合わせて土台の形を整える。➡ 246 00:24:42,614 --> 00:24:46,819 そこで 彦左衛門に合いそうな かつらを選ぶ事から 始められた> 247 00:24:50,789 --> 00:24:54,660 <歌舞伎のかつらは 当時の人々の髪形を基に➡ 248 00:24:54,660 --> 00:24:57,563 身分や年齢などにより 使い分けられ➡ 249 00:24:57,563 --> 00:24:59,665 何百種類もあったという> 250 00:25:01,433 --> 00:25:05,437 ほんとですか? ありがとうございやす。 251 00:25:07,139 --> 00:25:09,742 ええ 一応。 252 00:25:12,578 --> 00:25:16,382 痛い。 ああ すいやせん。 253 00:25:21,086 --> 00:25:23,022 失礼しやす。 イタタタ…! 254 00:25:23,022 --> 00:25:25,958 すいやせん。 あい すいやせん。 255 00:25:25,958 --> 00:25:28,260 為さん これ ちっちゃすぎですね。 256 00:25:28,260 --> 00:25:31,697 失礼しやす。 あっ…。 257 00:25:31,697 --> 00:25:34,299 痛えですか? 258 00:25:37,269 --> 00:25:39,204 すいやせん。 失礼しやす。 259 00:25:39,204 --> 00:25:43,008 <しかし なかなか 合う かつらがない> 260 00:25:43,008 --> 00:25:45,277 かぶってみねえと 分かんないですから。 261 00:25:45,277 --> 00:25:47,279 緩いのう。 262 00:25:48,947 --> 00:25:50,949 あい すいやせん。 263 00:25:53,285 --> 00:25:55,521 <そして…> 264 00:25:55,521 --> 00:25:57,923 為さん。 ああ? 265 00:26:06,732 --> 00:26:09,635 <何とか 頭に合う かつらを 選ぶ事ができた> 266 00:26:09,635 --> 00:26:12,604 払うものは 払ってくれるって 言ったよな。 267 00:26:12,604 --> 00:26:16,809 そりゃあ 目ん玉が 飛び出るぐれえじゃなきゃ…。 268 00:26:23,749 --> 00:26:26,084 ありがとうございやす。 269 00:26:26,084 --> 00:26:29,922 <だが ここからが 時間のかかる工程になる。➡ 270 00:26:29,922 --> 00:26:32,791 かつらを 彦左衛門の頭に ぴったりと フィットするように➡ 271 00:26:32,791 --> 00:26:34,827 調整しなければならない。➡ 272 00:26:34,827 --> 00:26:41,266 台金という金属製の土台を 木づちで打って 微調整する> 273 00:26:41,266 --> 00:26:46,438 え~ 現在 夜中の12時を回ったところです。 274 00:26:46,438 --> 00:26:49,475 かつら職人の為吉さんの 協力により➡ 275 00:26:49,475 --> 00:26:52,578 彦左衛門さんのかつらが 作られているところです。 276 00:26:52,578 --> 00:26:54,913 朝までに間に合うのでしょうか。 277 00:26:54,913 --> 00:27:05,891 ♬~ 278 00:27:05,891 --> 00:27:10,496 <そして 台金が出来たら それに 髪の毛をつけ 整えていく。➡ 279 00:27:10,496 --> 00:27:14,032 本物の毛のように 自然に仕上げなければならない。➡ 280 00:27:14,032 --> 00:27:18,403 ここからが 髪結い 喜作の 腕の見せどころだ> 281 00:27:18,403 --> 00:27:22,641 現在 朝の4時を回ったところですね。 282 00:27:22,641 --> 00:27:25,744 喜作さんが 最後の仕上げに かかっています。 283 00:27:37,156 --> 00:27:40,058 <髪形を整え 髪を結い上げていく。➡ 284 00:27:40,058 --> 00:27:44,997 彦左衛門は 翌日の試合に備え 屋敷に戻り 就寝をとった。➡ 285 00:27:44,997 --> 00:27:52,004 だが 喜作は一睡もせず 夜通し 作業に精を出した。➡ 286 00:27:52,004 --> 00:27:55,707 そして ついに…> 287 00:28:00,746 --> 00:28:04,583 現在 朝の6時20分ですかね。 288 00:28:04,583 --> 00:28:07,819 ついに かつらが完成したもようです。 289 00:28:07,819 --> 00:28:12,691 喜作さん やりましたね。 へえ! 290 00:28:12,691 --> 00:28:15,694 よいしょ…。 291 00:28:15,694 --> 00:28:25,938 ♬~ 292 00:28:25,938 --> 00:28:29,174 <すぐに 彦左衛門の屋敷に向かい 走っていく。➡ 293 00:28:29,174 --> 00:28:33,779 だが このあと 予想外の展開が待ち受けていた> 294 00:28:35,948 --> 00:28:39,718 おはようございます。 随分 慌ててんじゃねえか。 295 00:28:39,718 --> 00:28:42,921 いや~ ちょっと…。 296 00:28:42,921 --> 00:28:49,061 <喜作を呼び止めた男。 それは 岡っ引きであった。➡ 297 00:28:49,061 --> 00:28:53,365 当時の髪結いたちは さまざまな人を 客に抱えていた> 298 00:28:55,434 --> 00:28:58,904 <そのため 多くの岡っ引きたちは➡ 299 00:28:58,904 --> 00:29:04,309 犯罪検挙のための情報収集として 髪結いとのつきあいを深めていた> 300 00:29:09,047 --> 00:29:13,418 <喜作の抱えていた かつらを 不審に思う 岡っ引き> 301 00:29:13,418 --> 00:29:15,854 これは ちょっと… 302 00:29:15,854 --> 00:29:18,323 すいやせん! 待てよ。 おい! 303 00:29:18,323 --> 00:29:23,095 <秘密を ばらすわけにはいかない。 もはや 逃げるしかなかった> 304 00:29:23,095 --> 00:29:25,597 (岡っ引き)おい! 305 00:29:34,406 --> 00:29:38,410 (岡っ引き)待て! おい 待て! 306 00:29:46,618 --> 00:29:51,089 <何とか 岡っ引きからの追跡を かわし 逃げきる事ができた。➡ 307 00:29:51,089 --> 00:29:55,927 彦左衛門の屋敷に走って向かう> 308 00:29:55,927 --> 00:30:01,466 おはようございます。 髪結いの喜作です。 309 00:30:01,466 --> 00:30:05,303 おはようございます。 お届け物です。 310 00:30:05,303 --> 00:30:07,406 失礼しやす。 311 00:30:11,143 --> 00:30:14,012 失礼しやす。 312 00:30:14,012 --> 00:30:17,215 ⚟(彦左衛門)おお 入れ! 失礼しやす。 313 00:30:17,215 --> 00:30:20,118 これか。 どうぞ お座り下せえ。 314 00:30:20,118 --> 00:30:26,391 <午前8時45分。 かつらは 無事 彦左衛門に届けられた> 315 00:30:26,391 --> 00:30:31,229 よく出来ておるではないか! 大事に お持ち下せえ。 316 00:30:31,229 --> 00:30:39,805 <それは 試合相手の到着まで あと15分と迫った頃だった> 317 00:30:39,805 --> 00:30:43,642 こちら沢嶋。 本部 応答願います。 318 00:30:43,642 --> 00:30:47,546 はい 古橋です。 マイクロカメラの追加支給 お願いします。 319 00:30:47,546 --> 00:30:51,383 了解しました。 準備しますので 個数をお願いします。 320 00:30:51,383 --> 00:30:54,886 4台 お願いします。 分かりました。 321 00:30:54,886 --> 00:31:00,559 <試合に備えて 私は 本部にマイクロカメラを追加要請。➡ 322 00:31:00,559 --> 00:31:05,697 対戦相手の到着から 試合まで その一部始終を捉える事にした> 323 00:31:05,697 --> 00:31:08,934 よし 行くか。 へい。 324 00:31:08,934 --> 00:31:12,270 <道場に向かうため 部屋を出ようとする彦左衛門。➡ 325 00:31:12,270 --> 00:31:14,206 だが その時だった> 326 00:31:14,206 --> 00:31:19,144 ⚟(慎之介)慎之介にござりまする。 失礼つかまつる。➡ 327 00:31:19,144 --> 00:31:22,647 無礼を承知で参りました。 なに? 328 00:31:22,647 --> 00:31:25,951 父上… 329 00:31:28,120 --> 00:31:31,123 昨日は昨日で… 330 00:31:51,810 --> 00:31:54,780 <全ては ばれていた事だった。➡ 331 00:31:54,780 --> 00:31:58,316 息子として こらえていた思いが ついに爆発する> 332 00:31:58,316 --> 00:32:01,319 このままでは… 333 00:32:12,364 --> 00:32:15,567 ばかな。 何を言う! 334 00:32:18,603 --> 00:32:21,306 主命により… 335 00:32:22,941 --> 00:32:26,645 そのような重い任を帯びた 御仁を前に… 336 00:32:35,520 --> 00:32:38,790 ばかを言うな。 337 00:32:38,790 --> 00:32:42,194 理由は 何とでも つけられる。 338 00:32:44,663 --> 00:32:49,868 お前が? 引き立て役のお前では… 339 00:32:58,810 --> 00:33:02,347 万が一 付鬢が外れて それを みんなの前で➡ 340 00:33:02,347 --> 00:33:05,016 また さらすのでござるか? この髪は外れぬ! 341 00:33:05,016 --> 00:33:09,521 この間のように その付鬢が外れるであるぞ! 342 00:33:09,521 --> 00:33:14,826 父上! 父上 何でござるか それは。 343 00:33:16,995 --> 00:33:19,965 みっとものうござるぞ。 344 00:33:19,965 --> 00:33:22,767 どけ。 父上…。 345 00:33:25,604 --> 00:33:29,975 どけ! 父上! 346 00:33:29,975 --> 00:33:33,645 おやめ下せえ! ⚟(秋葉)失礼いたします。➡ 347 00:33:33,645 --> 00:33:36,648 秋葉でございまする。 何だ! 348 00:33:41,052 --> 00:33:45,056 あい 分かった。 349 00:33:47,525 --> 00:33:51,530 (彦左衛門)決して ずれぬな⁉ 350 00:33:54,232 --> 00:33:58,436 参る! おやめ下せえ! 351 00:34:00,805 --> 00:34:03,642 どけ! 352 00:34:03,642 --> 00:34:06,611 おやめ下せえませ! 353 00:34:06,611 --> 00:34:10,448 みっともないぞ 父上! お二人とも おやめ下せえ! 354 00:34:10,448 --> 00:34:13,785 <一度 火のついた感情は 止められない。➡ 355 00:34:13,785 --> 00:34:18,290 親子げんかは更にエスカレートしていく。 そして ついに…> 356 00:34:23,161 --> 00:34:25,764 あっ! 357 00:34:27,999 --> 00:34:31,970 <感情的になった慎之介が かつらを 外に投げてしまった> 358 00:34:31,970 --> 00:34:36,408 あんな物があるから みっともない 事になるんでござろうが! 359 00:34:36,408 --> 00:34:41,346 (彦左衛門)慎之介! 何でござる。 360 00:34:41,346 --> 00:34:44,582 <…と その時> 361 00:34:44,582 --> 00:34:47,385 (彦左衛門)秋葉! 362 00:34:52,724 --> 00:34:57,429 ただいま表門に。 363 00:35:01,466 --> 00:35:06,271 父上 その頭でよろしい。 みっともないぞ! 364 00:35:06,271 --> 00:35:11,076 お前のせいで… お前のせいでな! 365 00:35:12,877 --> 00:35:16,281 (彦左衛門)おい 待て! 366 00:35:22,253 --> 00:35:26,257 若く見せようってとこの どこが いけねえんでえ! 367 00:35:30,729 --> 00:35:34,432 そんな ばかがいるか! 368 00:35:39,471 --> 00:35:42,474 お開け下せえ! 369 00:35:44,275 --> 00:35:47,646 <不測の事態。 もはや 残された時間はない。➡ 370 00:35:47,646 --> 00:35:50,148 必死になって かつらを捜す> 371 00:36:08,666 --> 00:36:11,002 何か 長えもんが…。 372 00:36:11,002 --> 00:36:15,306 (秋葉)急げ! 客人が到着された! 373 00:36:22,614 --> 00:36:26,217 あれです。 お願いしやす! 374 00:36:28,019 --> 00:36:33,024 <その時カメラは 庭に向かって近づく 対戦相手の姿を捉えていた> 375 00:36:37,262 --> 00:36:39,264 へい。 376 00:36:48,606 --> 00:36:50,809 もう少しで…。 377 00:36:52,477 --> 00:36:55,480 <迫り来る 対戦相手> 378 00:37:04,055 --> 00:37:06,257 <そして…> 379 00:37:21,139 --> 00:37:25,543 <何とか 間に合った。➡ 380 00:37:25,543 --> 00:37:30,548 彦左衛門の髷は ばれる事なく 守られた> 381 00:37:33,751 --> 00:37:39,257 <今までの騒ぎが何もなかったかの ように 試合が始まった> 382 00:37:49,934 --> 00:37:51,936 お手柔らかに。 383 00:37:55,740 --> 00:37:57,742 こちらこそ。 384 00:38:02,881 --> 00:38:07,819 <行われる試合は 異なる流派同士が戦う他流試合。➡ 385 00:38:07,819 --> 00:38:14,192 竹刀による 無制限一本勝負。 その戦いの火蓋が切られる> 386 00:38:14,192 --> 00:38:18,196 一本勝負 始め! 387 00:38:36,447 --> 00:38:40,919 <全く隙を見せない二人。➡ 388 00:38:40,919 --> 00:38:46,524 長い にらみ合いが続く。➡ 389 00:38:46,524 --> 00:38:52,630 緊張した空気が張り詰めたまま 時間が過ぎていく > 390 00:38:54,265 --> 00:38:56,201 <そして…> 391 00:38:56,201 --> 00:38:59,137 (彦左衛門)やあっ! えいっ! 392 00:38:59,137 --> 00:39:01,372 <勝負が決まった。➡ 393 00:39:01,372 --> 00:39:07,178 彦左衛門の竹刀が 相手の面を捉える鮮やかな一本。➡ 394 00:39:07,178 --> 00:39:11,883 かつらも無事であった。 彦左衛門の完全勝利> 395 00:39:16,921 --> 00:39:19,123 いや… 396 00:39:21,559 --> 00:39:23,494 いえ…。 397 00:39:23,494 --> 00:39:36,975 ♬~ 398 00:39:36,975 --> 00:39:42,480 <だが この日遅く 彦左衛門は 隠居の申し入れを行った。➡ 399 00:39:42,480 --> 00:39:45,450 翌日 家老を通して 殿から➡ 400 00:39:45,450 --> 00:39:48,586 考え直したらどうかとの意向が 伝えられた。➡ 401 00:39:48,586 --> 00:39:53,691 しかし 彦左衛門は それを拒んだ。 結局 隠居願いは無事受理された> 402 00:40:00,265 --> 00:40:05,003 <数日後。 そこには かつらも付け毛も外した➡ 403 00:40:05,003 --> 00:40:07,839 すがすがしい姿の 彦左衛門がいた。➡ 404 00:40:07,839 --> 00:40:10,742 彦左衛門は 全てを受け入れた> 405 00:40:10,742 --> 00:40:14,245 出来上がりやした。 406 00:40:16,681 --> 00:40:21,019 <相原家は その後 長男の慎之介が家督を継ぎ➡ 407 00:40:21,019 --> 00:40:25,857 相原派一刀流の五代目を 継ぐ事になった。➡ 408 00:40:25,857 --> 00:40:29,727 彦左衛門は 慎之介の後見役として➡ 409 00:40:29,727 --> 00:40:33,097 生涯 相原派を支えていく事となった。➡ 410 00:40:33,097 --> 00:40:37,402 難しい顧客の対応にも 誠実に向かい合った 髪結い。➡ 411 00:40:37,402 --> 00:40:41,105 そこに 髪結いとしての誇りを かいま見た。➡ 412 00:40:41,105 --> 00:40:44,309 せわしなく 客のもとに向かう 喜作の姿を見送り➡ 413 00:40:44,309 --> 00:40:46,511 ここで取材を終える事にした> 414 00:40:51,082 --> 00:40:53,017 そうですか。 415 00:40:53,017 --> 00:40:56,688 あの~ お世話になりましたが 私 今日で戻る事になりました。 416 00:40:56,688 --> 00:41:00,258 おお さいですか。 それはそれは ご苦労さまでございやした。 417 00:41:00,258 --> 00:41:02,627 いろいろと ありがとうございました。 418 00:41:02,627 --> 00:41:05,830 こちらこそ。 では お達者で。 ええ。 419 00:41:05,830 --> 00:41:09,734 喜作さんも ご無理なさらずに。 体が資本ですから。 420 00:41:13,471 --> 00:41:17,775 では ごめん下せえやし。 421 00:41:20,611 --> 00:41:24,449 <今回の騒動は ほんの小さな出来事である。➡ 422 00:41:24,449 --> 00:41:27,952 だが 彼らにとって 忘れる事のできない➡ 423 00:41:27,952 --> 00:41:30,788 人生の歴史となったに違いない> 424 00:41:30,788 --> 00:41:46,637 ♬~ 425 00:41:46,637 --> 00:41:51,976 え~ 以上 コードナンバー127432 アウトします。 426 00:41:51,976 --> 00:42:18,269 ♬~