1 00:00:02,202 --> 00:00:04,771 (沢嶋雄一)<「日本書紀」に 初めて その名が登場。➡ 2 00:00:04,771 --> 00:00:08,642 伝統文化として育み 日本が世界に誇る相撲。➡ 3 00:00:08,642 --> 00:00:12,512 その歴史に 女性だけによる 女相撲が存在していた。➡ 4 00:00:12,512 --> 00:00:15,415 男の相撲に負けず劣らず 人気があったという。➡ 5 00:00:15,415 --> 00:00:17,918 果たして どのようなものだったのか。➡ 6 00:00:17,918 --> 00:00:21,321 私は 取材をするべく タイムワープをした> 7 00:00:35,202 --> 00:00:44,411 え~ アブソリュートポジション N275 W466 E738 S287 ポジション確認。 8 00:00:45,946 --> 00:00:53,553 え~ アブソリュートタイム B0273120年 44時64分29秒。 9 00:00:53,553 --> 00:00:55,756 西暦変換しますと… 10 00:00:59,359 --> 00:01:02,829 え~ 5時52分37秒。 11 00:01:02,829 --> 00:01:04,798 え~ 無事 タイムワープ 成功しました。 12 00:01:04,798 --> 00:01:09,069 コードナンバー572899 これから記録を 開始します。 13 00:01:09,069 --> 00:01:14,508 沢嶋雄一。 彼は タイムスクープ社より 派遣された ジャーナリストである。 14 00:01:14,508 --> 00:01:17,711 あらゆる時代に タイムワープしながら 時空を超えて➡ 15 00:01:17,711 --> 00:01:22,115 名もなき人々を記録していく タイムスクープハンターである。 16 00:01:35,128 --> 00:01:37,097 <激しい ぶつかり稽古。➡ 17 00:01:37,097 --> 00:01:40,701 ひたすら稽古に励む この力士たちは 皆 女性である。➡ 18 00:01:40,701 --> 00:01:42,703 今回の取材対象は…> 19 00:01:44,371 --> 00:01:48,308 <相撲に人生を懸けた女性たちを 密着ドキュメントする> 20 00:01:48,308 --> 00:01:51,545 え~ この時代の 人々にとって 私は➡ 21 00:01:51,545 --> 00:01:53,480 時空を超えた存在と なります。 22 00:01:53,480 --> 00:01:56,416 彼女たちにとって私は 宇宙人のような存在です。 23 00:01:56,416 --> 00:01:59,620 彼女たちに接触するには 細心の注意が必要です。 24 00:01:59,620 --> 00:02:03,490 私自身の介在によって この歴史が 変わることも ありえるからです。 25 00:02:03,490 --> 00:02:05,926 え~ 彼女たちに 取材を許してもらうためには➡ 26 00:02:05,926 --> 00:02:07,861 特殊な交渉術を用います。 27 00:02:07,861 --> 00:02:10,664 それは 極秘事項となっており お見せすることは できませんが➡ 28 00:02:10,664 --> 00:02:14,468 今回も 無事 密着取材することに成功しました。 29 00:02:20,674 --> 00:02:23,210 <厳しい表情で 稽古をつけているのは➡ 30 00:02:23,210 --> 00:02:27,581 増岡女相撲代表の 増岡辰江。 興行を取りしきりながら➡ 31 00:02:27,581 --> 00:02:31,385 若桔梗という しこ名で 土俵にもあがる 大関である> 32 00:02:31,385 --> 00:02:33,320 すみません お疲れのところ。 あっ いえ。 33 00:02:33,320 --> 00:02:36,623 初めて女相撲というのを 見せて頂いたんですけど… 34 00:03:06,653 --> 00:03:08,588 <増岡女相撲は かつて➡ 35 00:03:08,588 --> 00:03:11,525 20人の力士を抱える 大所帯であったという。➡ 36 00:03:11,525 --> 00:03:16,329 だが 父の人脈を失ったことで 次第に興行収益が悪化。➡ 37 00:03:16,329 --> 00:03:18,298 女性力士たちも次々とやめて➡ 38 00:03:18,298 --> 00:03:22,135 今では 僅か5人の弱小団体となった> 39 00:03:22,135 --> 00:03:26,873 すみません。 あの 僕も あの 一戦いいですか? 40 00:03:26,873 --> 00:03:28,809 はい。 あ。 41 00:03:28,809 --> 00:03:30,777 親方 いいですか? 42 00:03:30,777 --> 00:03:33,480 ああ いいですよ。 あっ すみません。 43 00:03:33,480 --> 00:03:42,756 ♬~ 44 00:03:42,756 --> 00:03:44,691 頑張れ! 45 00:03:44,691 --> 00:03:50,964 ♬~ 46 00:03:50,964 --> 00:03:55,702 強いですね! ありがとうございました。 47 00:03:55,702 --> 00:03:58,605 ♬~ 48 00:03:58,605 --> 00:04:01,908 ビクともしませんでした。 いや ものすごいパワーです。 49 00:04:03,944 --> 00:04:05,946 はい! 50 00:04:33,340 --> 00:04:35,342 そう親に説得されまして… 51 00:05:08,575 --> 00:05:12,345 <彼女たちは 寝食を共にしながら 各地を巡業し➡ 52 00:05:12,345 --> 00:05:16,983 場所の設営から広報活動まで 全て自らの手で行っている。➡ 53 00:05:16,983 --> 00:05:20,720 この日 彼女たちは 久しぶりの 興行に胸が踊っていた。➡ 54 00:05:20,720 --> 00:05:23,156 なかなか巡業場所を 見つけられずにいたところ➡ 55 00:05:23,156 --> 00:05:27,260 ある人物が 援助を差し伸べて くれたからだ。 その人物とは…> 56 00:05:29,262 --> 00:05:31,264 あっ どうも。 57 00:05:33,133 --> 00:05:36,870 <勧進元と呼ばれる 地方巡業の主催者である。➡ 58 00:05:36,870 --> 00:05:38,939 女相撲のような 巡業スタイルの興行には➡ 59 00:05:38,939 --> 00:05:41,942 こうした資金力のある者からの バックアップが必要であった> 60 00:05:44,077 --> 00:05:47,747 <増岡辰江から 興行の 具体的な説明が行われる。➡ 61 00:05:47,747 --> 00:05:51,952 彼女たちが作った 今回のチラシである。 だが…> 62 00:05:55,021 --> 00:05:56,957 <その内容に不満があるようだ> 63 00:05:56,957 --> 00:06:00,160 これだけか? いけませんか? 64 00:06:06,099 --> 00:06:08,902 いやぁ どういうことでしょうか? 65 00:06:21,581 --> 00:06:24,284 おめえさんも知ってるだろう。 ええ。 存じてますが… 66 00:06:30,156 --> 00:06:32,125 いや そうはまいりません。 67 00:06:32,125 --> 00:06:35,729 同じことをやれって 言ってるんじゃないんだよ。 68 00:06:40,200 --> 00:06:42,202 ですが 社長。 69 00:06:57,484 --> 00:07:00,387 それは 先代の頃から ずっと そうしてきたんで…。 70 00:07:04,224 --> 00:07:06,226 そんなことありません。 71 00:07:10,930 --> 00:07:13,233 先代 先代って言うがね。 72 00:07:15,235 --> 00:07:17,737 それぐらい分かるだろう。 ええ。 それは…。 73 00:07:17,737 --> 00:07:19,739 いいかい? 74 00:07:24,511 --> 00:07:30,250 <男性客を意識した興行を望む副島 相撲の取組で勝負したい辰江> 75 00:07:30,250 --> 00:07:33,153 真剣勝負を お見せしますから。 分かんない人だね。 76 00:07:33,153 --> 00:07:37,457 <興行方針を巡って 鋭く対立する。 …と その時> 77 00:07:39,526 --> 00:07:43,296 おお 待ってたよ! 遅かったな。 入れ 入れ。 78 00:07:43,296 --> 00:07:46,666 元気かい? 今度 店行くから。 ありがとうございます。 79 00:07:46,666 --> 00:07:49,069 どうだ。 いいだろう? あの… 80 00:07:53,473 --> 00:07:57,177 <けばけばしい女性たちの出現に あぜんとする力士たち。➡ 81 00:07:57,177 --> 00:07:59,946 それは 副島が集めた女性たちだった。➡ 82 00:07:59,946 --> 00:08:01,881 相撲取りが少ない興行では➡ 83 00:08:01,881 --> 00:08:04,117 満足に お客を呼べないと 考えたのである。➡ 84 00:08:04,117 --> 00:08:06,553 果たして 興行は どうなってしまうのか?> 85 00:08:06,553 --> 00:08:09,856 そちらさんも忙しいだろうが ちょろっと… 86 00:08:17,630 --> 00:08:20,033 おい お前らも 何を ボーッと立ってるんだ。 87 00:08:29,909 --> 00:08:31,845 バカなこと 言わないで下さいよ! 88 00:08:31,845 --> 00:08:35,515 何がバカなことだよ。 急なんだから しかたねえだろ。 89 00:08:35,515 --> 00:08:40,320 <一方的な副島のやり方に ついに 辰江の怒りが爆発する> 90 00:08:43,623 --> 00:08:47,127 <そして このあと 最悪の事態が起きる!> 91 00:08:47,127 --> 00:08:49,629 おい! 何だよ? 92 00:09:03,576 --> 00:09:08,481 何やってんだよ 出て行け! 早く持っていきな! 93 00:09:08,481 --> 00:09:13,686 何で帰るんだよ! おい! てめえらよ! 94 00:09:19,058 --> 00:09:22,162 出て行くのは てめえらだろ! 95 00:09:24,230 --> 00:09:26,833 出て行ってやりますよ! おう! 96 00:09:30,003 --> 00:09:32,105 ほら とっとと準備しろ! ほら! 97 00:09:37,177 --> 00:09:39,479 えっ? 何だよ! 98 00:09:41,881 --> 00:09:43,883 えっ? 99 00:09:45,752 --> 00:09:47,754 <小屋から去る辰江たち。➡ 100 00:09:47,754 --> 00:09:51,257 それを待ち受けていたのは 一人の熱心なファンであった> 101 00:09:56,396 --> 00:09:58,898 どなたか ケガでも? 102 00:10:03,570 --> 00:10:05,505 そうなんですか…。 103 00:10:05,505 --> 00:10:08,241 <かつて いかがわしい興行も 多かった女相撲だが➡ 104 00:10:08,241 --> 00:10:10,810 明治に入ると 規制の対象となった。➡ 105 00:10:10,810 --> 00:10:13,379 しかし 副島は 警察の目を かいくぐり➡ 106 00:10:13,379 --> 00:10:15,448 ひともうけを たくらんでいたのだ。➡ 107 00:10:15,448 --> 00:10:17,784 伝統と誇りを汚された辰江。➡ 108 00:10:17,784 --> 00:10:22,288 今は 相撲を愛する人の存在だけが 心のよりどころだった> 109 00:10:39,506 --> 00:10:41,441 <新たな巡業先も見つからず➡ 110 00:10:41,441 --> 00:10:44,344 先の見通しが 全く立たなくなってしまった。➡ 111 00:10:44,344 --> 00:10:48,281 5人は しばらく 辰江の親類の 家に身を寄せることになった。➡ 112 00:10:48,281 --> 00:10:52,085 しかし 彼女たちに 更なる危機が訪れることになる。➡ 113 00:10:52,085 --> 00:10:56,689 辰江宛てに届けられた1通の手紙。 それは…> 114 00:10:58,358 --> 00:11:01,361 あとで言います。 いや 何でもないんだよ。 115 00:11:12,539 --> 00:11:16,309 <団体を維持するために 多額の借金を背負っていた辰江。➡ 116 00:11:16,309 --> 00:11:20,113 皆 初めて知る事実に 動揺を隠せない> 117 00:11:31,424 --> 00:11:34,093 そうですよ。 118 00:11:34,093 --> 00:11:36,996 そういうことは 一人で解決しようとせずに➡ 119 00:11:36,996 --> 00:11:38,998 あたしらにも 話して頂きたいんですよ。 120 00:11:41,834 --> 00:11:43,836 私も そう思います。 121 00:12:05,158 --> 00:12:07,260 そうですよ。 122 00:12:09,862 --> 00:12:12,765 5人しかいないんですから…。 123 00:12:12,765 --> 00:12:17,770 <抑えきれない不安感。 静子が 思いもかけないことを口にする> 124 00:12:20,540 --> 00:12:22,742 何 言ってるの? 125 00:12:27,614 --> 00:12:30,550 バカなこと 言わないでよ。 126 00:12:30,550 --> 00:12:33,419 他の人まで どうこうとは 言っちゃいませんよ。 127 00:12:33,419 --> 00:12:36,022 私は かまわないと 言ってるだけの話です。 128 00:12:39,259 --> 00:12:41,260 じゃあ どうすればいいんすか? 129 00:12:43,396 --> 00:12:45,331 たった5人で どうするんすか? 130 00:12:45,331 --> 00:12:47,634 だから それを今 話し合ってんじゃないか。 131 00:12:51,137 --> 00:12:53,139 だから これから…。 借金までしてるんですよ! 132 00:12:53,139 --> 00:12:55,842 これから どう解決しようかって いうとこじゃないか。 133 00:12:55,842 --> 00:12:58,044 何なんだ あんた。 134 00:13:06,252 --> 00:13:10,657 だから どうしようか っていう時だよな 今。 135 00:13:23,269 --> 00:13:25,271 とりあえず落ち着いて。 落ち着こう。 136 00:13:28,741 --> 00:13:30,677 いろいろ だから…。 ないから こういう状況に➡ 137 00:13:30,677 --> 00:13:32,612 なってるんすよね? 138 00:13:32,612 --> 00:13:34,614 相撲が好きじゃないんすか⁉ 139 00:13:34,614 --> 00:13:38,751 <感情的になる静子とヨシ。 そして 取り返しのつかない事態へ…> 140 00:13:38,751 --> 00:13:42,155 好きだから 裸になってでも 相撲 取りたいって言ってるんすよ! 141 00:13:46,959 --> 00:13:50,863 大好きな裸の相撲 取ってくれば いいじゃないか!ヨシさん! 142 00:13:55,735 --> 00:13:58,671 ちょっと! ちょっと…! (ヨシ) いいよ 好きにさしてやりな! 143 00:13:58,671 --> 00:14:00,840 止めて下さいよ! 本気じゃないから! 144 00:14:00,840 --> 00:14:02,775 冷静になって下さいよ! お願い お願い! 145 00:14:02,775 --> 00:14:05,244 あたしは冷静だよ。 146 00:14:05,244 --> 00:14:08,915 もう…静子さん! ほんと出て行っちゃいますよ! 147 00:14:08,915 --> 00:14:11,617 (ヨシ)いいよ かまわない。 出て行かせなよ。 148 00:14:11,617 --> 00:14:14,821 本気じゃないから。 違うんですよ! (閉める音) 149 00:14:14,821 --> 00:14:18,458 行っちゃいますって! 待って 待って! 静子さん! 150 00:14:18,458 --> 00:14:21,461 静子さん! え ほんとに行っちゃいます! 151 00:14:21,461 --> 00:14:24,931 もういいから。 もういいよ。 みんなで追いかけましょうよ! 152 00:14:24,931 --> 00:14:30,436 <仲間の決裂。 辰江には もはや取り繕う気力さえなかった> 153 00:14:33,606 --> 00:14:37,810 <ついに 団体の解散が決まった。➡ 154 00:14:37,810 --> 00:14:40,146 その時…!> 155 00:14:40,146 --> 00:14:42,849 こんにちは~。 あ! 156 00:14:42,849 --> 00:14:47,253 <それは あの熱心な女相撲ファン 小野寺 清であった> 157 00:14:47,253 --> 00:14:49,188 お忙しそうですけど 大丈夫…? 158 00:14:49,188 --> 00:14:51,791 そうですね。 ちょっと 忙しいですけどね。 159 00:14:55,528 --> 00:14:57,830 ちょっと荷造りをね。 160 00:15:00,233 --> 00:15:03,536 いや… まあ そうですね。 161 00:15:05,838 --> 00:15:09,742 <「解散」という言葉に息をのむ 清> 162 00:15:17,450 --> 00:15:23,856 あ 先日 お会いした時に あんまり お元気がなかったもんですから… 163 00:15:26,292 --> 00:15:30,062 <清からの思いがけない申し出。 その内容とは…?> 164 00:15:30,062 --> 00:15:32,665 もしよかったら あの… 165 00:15:40,673 --> 00:15:46,546 <清が個人的に動いて 新たな 興行場所を探し出してくれたのだ> 166 00:15:46,546 --> 00:15:52,251 どういうことですか? いや あの~… 167 00:15:59,625 --> 00:16:01,828 ええ…。 168 00:16:06,199 --> 00:16:08,901 興行の話ですか? そうみたいだ。 169 00:16:10,870 --> 00:16:12,872 もちろんです。 170 00:16:17,743 --> 00:16:21,247 どうですか? 171 00:16:21,247 --> 00:16:23,616 やっぱり 柔道場だと 駄目ですか? 172 00:16:23,616 --> 00:16:25,985 <千葉での2日間だけの 興行だという。➡ 173 00:16:25,985 --> 00:16:29,188 だが 辰江は 素直に 受け入れることができない。➡ 174 00:16:29,188 --> 00:16:31,457 静子のことが 気がかりだったからだ> 175 00:16:31,457 --> 00:16:33,392 やらせて下さい! 176 00:16:33,392 --> 00:16:36,929 迷ってるんですか? だけど… 177 00:16:36,929 --> 00:16:39,298 できますよ! 何とかなりますよ 大丈夫です。 178 00:16:39,298 --> 00:16:42,335 大丈夫です。 あ でも… 179 00:16:42,335 --> 00:16:44,971 何とかなる! 大丈夫。 そうですよ。 何とかなります。 180 00:16:44,971 --> 00:16:48,975 そうですよ! いや どこにもいないですよ。 181 00:16:55,348 --> 00:16:58,684 アハハッ! ほら! 親方! ほんとに お願いできるんですか? 182 00:16:58,684 --> 00:17:02,388 <清も 行司として 参加することになった> 183 00:17:04,557 --> 00:17:07,293 相撲が取れるんですよ! 184 00:17:07,293 --> 00:17:10,096 <そして 辰江はついに…> 185 00:17:12,098 --> 00:17:17,904 <女相撲の興行が決まった!> 186 00:17:22,642 --> 00:17:27,813 <興行の日の朝 部屋は 久しぶりの笑顔に包まれていた。➡ 187 00:17:27,813 --> 00:17:34,520 荷造りを終え いよいよ出発。 だが その時だった…!> 188 00:17:37,490 --> 00:17:40,192 <突然の訪問者。 その正体は…?> 189 00:17:42,862 --> 00:17:45,865 <男は 借金の取り立て屋だった> 190 00:17:47,733 --> 00:17:52,004 せっかく来て頂いて なんなんですが… 191 00:17:52,004 --> 00:17:55,908 あさって しあさって 帰ってきますから… 192 00:18:03,182 --> 00:18:05,584 伺ってないんですか? 193 00:18:12,425 --> 00:18:14,427 ふざけんなよ! 194 00:18:16,729 --> 00:18:18,664 何もありませんよ。 195 00:18:18,664 --> 00:18:22,368 <行く手を遮り 動こうとしない 取り立て屋。 そして…!> 196 00:18:24,070 --> 00:18:26,005 何するんだい! 197 00:18:26,005 --> 00:18:30,943 <なんと 大事な化粧まわしを 奪っていってしまった。➡ 198 00:18:30,943 --> 00:18:33,679 必死に追いかける! ところが 次の瞬間…!> 199 00:18:33,679 --> 00:18:35,614 わ~! 200 00:18:35,614 --> 00:18:37,883 <一体 何が起きたのか?> 201 00:18:37,883 --> 00:18:40,786 何ですか? あ! 202 00:18:40,786 --> 00:18:42,722 <そこに いたのは…> 203 00:18:42,722 --> 00:18:44,957 静子! 204 00:18:44,957 --> 00:18:49,762 <静子の張り手が 見事 男をとらえたのだ> 205 00:18:59,005 --> 00:19:00,940 そうだよ。 千葉で やるよ。 206 00:19:00,940 --> 00:19:03,175 早く もう汽車が行っちゃうんだ! (静子)でも 私…。 207 00:19:03,175 --> 00:19:07,046 あんたの締め込みの化粧まわしも 若い2人がちゃんと荷入れして…。 208 00:19:07,046 --> 00:19:09,515 急がないと 汽車が…。 早く! 209 00:19:09,515 --> 00:19:12,351 あの時は…。 そんなのいいから! 210 00:19:12,351 --> 00:19:15,888 <彼女たちには もう わだかまりは なかった。➡ 211 00:19:15,888 --> 00:19:19,392 こうして 元のメンバーに戻った 増岡女相撲。➡ 212 00:19:19,392 --> 00:19:22,795 急ぎ 開催地へ向かった。 そして…> 213 00:19:26,032 --> 00:19:30,636 <既に 会場には たくさんの 観客が詰めかけていた> 214 00:19:33,205 --> 00:19:36,609 こちら 沢嶋。 本部 応答 願います。 215 00:19:36,609 --> 00:19:38,644 (古橋ミナミ)はい こちら本部 古橋です。 216 00:19:38,644 --> 00:19:41,547 これから 増岡興行の 取組が始まります。 217 00:19:41,547 --> 00:19:43,949 取組のもようを マルチで 収録したいので➡ 218 00:19:43,949 --> 00:19:46,452 映像機器の追加補充を お願いします。 219 00:19:46,452 --> 00:19:48,854 了解しました。 220 00:19:55,094 --> 00:19:57,830 はい。 221 00:19:57,830 --> 00:19:59,765 あ そうですよね。 222 00:19:59,765 --> 00:20:01,700 一度 いらっしゃったことが あるんですか?はい。 223 00:20:01,700 --> 00:20:03,736 楽しかったですか? その時は。 224 00:20:03,736 --> 00:20:06,839 え~ 会場も 非常に盛り上がってきました。 225 00:20:06,839 --> 00:20:10,509 増岡興行 女相撲の取組 間もなくです! 226 00:20:10,509 --> 00:20:13,079 (拍子木) 227 00:20:13,079 --> 00:20:16,282 <増岡女相撲の興行が とうとう開幕した。➡ 228 00:20:16,282 --> 00:20:20,553 まずは 全力士による土俵入り> 229 00:20:20,553 --> 00:20:32,465 (拍子木) (拍手と歓声) 230 00:20:34,967 --> 00:20:36,936 (一同)よいしょ! 231 00:20:36,936 --> 00:20:40,606 <女性による珍しい しこ踏みに 観客が沸き立つ。➡ 232 00:20:40,606 --> 00:20:44,977 その雰囲気は いかがわしさと 程遠く すがすがしさがある。➡ 233 00:20:44,977 --> 00:20:48,848 女相撲は 家族そろって楽しめる 数少ない娯楽だった。➡ 234 00:20:48,848 --> 00:20:50,850 このような健全な興行は➡ 235 00:20:50,850 --> 00:20:55,121 さまざまな団体により 日本各地で 開催されていたという。➡ 236 00:20:55,121 --> 00:20:58,424 土俵入りが終わると いよいよ取組。➡ 237 00:20:58,424 --> 00:21:02,895 まずは みどり里(すず) 対 桃乃山(あやの)の一番> 238 00:21:02,895 --> 00:21:07,099 西 桃乃山。 桃乃山~! 239 00:21:07,099 --> 00:21:10,002 <行司は 小野寺 清> 240 00:21:10,002 --> 00:21:15,407 (拍手) みどり里 頑張れよ 負けるな~! 241 00:21:15,407 --> 00:21:29,388 (声援) 242 00:21:29,388 --> 00:21:32,158 <掛け投げで みどり里の勝ち> 243 00:21:32,158 --> 00:21:35,895 (拍手) 244 00:21:35,895 --> 00:21:38,898 <続く 一番> 245 00:21:40,866 --> 00:21:44,370 <梅吹雪(静子) 菖蒲嶽(ヨシ)> 246 00:21:44,370 --> 00:21:48,874 (声援) 247 00:21:48,874 --> 00:21:53,078 <送り出しで 梅吹雪の勝ち> 248 00:21:59,885 --> 00:22:01,821 <そして➡ 249 00:22:01,821 --> 00:22:04,290 桃乃山(あやの) 梅吹雪(静子)の対戦は…> 250 00:22:04,290 --> 00:22:12,531 (声援) 251 00:22:12,531 --> 00:22:16,969 <うっちゃりで 桃乃山の勝ち。➡ 252 00:22:16,969 --> 00:22:20,873 取組が終わる度に 観客の熱が上がっていく。➡ 253 00:22:20,873 --> 00:22:26,278 そして いよいよ 大関 若桔梗(辰江)による三人抜き> 254 00:22:26,278 --> 00:22:31,617 (歓声) 255 00:22:31,617 --> 00:22:37,289 <1人目 対 梅吹雪(静子)> 256 00:22:37,289 --> 00:22:39,225 はっけよい! 257 00:22:39,225 --> 00:22:43,963 (声援) 258 00:22:43,963 --> 00:22:47,399 <押し出しで 辰江の勝ち。➡ 259 00:22:47,399 --> 00:22:50,302 2人目 桃乃山(あやの)> 260 00:22:50,302 --> 00:22:52,271 はっけよい! 261 00:22:52,271 --> 00:22:55,140 (声援) 262 00:22:55,140 --> 00:22:57,743 <渡し込みで 辰江の勝ち> 263 00:22:59,411 --> 00:23:03,282 <そして 結びの一番は 菖蒲嶽(ヨシ)> 264 00:23:03,282 --> 00:23:11,824 (声援) 265 00:23:11,824 --> 00:23:17,296 <吊り出しで 見事 三人抜きで勝利した。➡ 266 00:23:17,296 --> 00:23:19,965 土俵には たくさんの おひねりが舞う。➡ 267 00:23:19,965 --> 00:23:21,900 観客の盛り上がりは最高潮。➡ 268 00:23:21,900 --> 00:23:25,804 増岡女相撲は 大盛況のうちに 幕を閉じようとしていた。➡ 269 00:23:25,804 --> 00:23:29,942 …が その時だった!> (やじ) 270 00:23:29,942 --> 00:23:34,179 客席から聞こえてくる やじ。 何やら ただならぬ雰囲気。➡ 271 00:23:34,179 --> 00:23:38,384 その やじの主は… あの副島だ。➡ 272 00:23:38,384 --> 00:23:41,420 辰江に 勧進元の顔を潰された副島が➡ 273 00:23:41,420 --> 00:23:45,457 復讐に乗り込んできていたのだ。 とんでもない邪魔者の乱入。➡ 274 00:23:45,457 --> 00:23:48,460 このあと 思いも寄らぬ事態に!> 275 00:23:51,297 --> 00:23:54,099 静かにして下さい! うるせえんだ おめえらはよ! 276 00:23:54,099 --> 00:23:59,538 おう! お客さんいるんですよ。 帰って下さい。 277 00:23:59,538 --> 00:24:01,473 (副島)おめえら それでいいのかよ。➡ 278 00:24:01,473 --> 00:24:03,442 インチキで金払っていいのか おめえらは! 279 00:24:03,442 --> 00:24:05,878 インチキなんか してませんよ。 何が 「インチキじゃねえ」だ。➡ 280 00:24:05,878 --> 00:24:08,113 インチキばっかだろ さっきから。 281 00:24:08,113 --> 00:24:12,284 <辰江を挑発する副島。 一触即発の緊迫した空気。➡ 282 00:24:12,284 --> 00:24:14,987 だが 清が必死に制する> 283 00:24:18,791 --> 00:24:23,095 <入り口に警官の姿が…> 284 00:24:29,435 --> 00:24:33,038 <明治に入ると 女相撲は 風紀上の理由により➡ 285 00:24:33,038 --> 00:24:35,307 男性との取組は 禁止されていた。➡ 286 00:24:35,307 --> 00:24:40,179 もし戦えば 今後の興行も 中止を 覚悟しなければならない。 だが…> 287 00:24:40,179 --> 00:24:42,414 いけませんよ! 抑えて下さい。 288 00:24:42,414 --> 00:24:44,350 いけません! 289 00:24:44,350 --> 00:24:46,285 さあ いらっしゃって下さいな! 駄目です! 290 00:24:46,285 --> 00:24:49,221 (副島)やってやろうじゃねえか! ハハハッ! 291 00:24:49,221 --> 00:24:51,223 (拍手) 一本勝負でございますよ! 292 00:24:51,223 --> 00:24:54,827 <思わぬ展開に 場内が沸き立った。 そして…> 293 00:24:54,827 --> 00:25:01,433 (声援と拍手) 294 00:25:01,433 --> 00:25:06,305 <増岡女相撲のプライドを懸けた戦いが 今 始まる!> 295 00:25:06,305 --> 00:25:45,811 (声援) 296 00:25:45,811 --> 00:25:50,416 (歓声) 297 00:25:53,052 --> 00:25:56,922 <勝った! 辰江の 腕捻りが 見事 決まった!➡ 298 00:25:56,922 --> 00:25:59,958 飛び交う座布団。 この日 最高の盛り上がりで➡ 299 00:25:59,958 --> 00:26:03,829 会場が大歓声に包まれる> 300 00:26:03,829 --> 00:26:05,964 (拍手と歓声) 301 00:26:05,964 --> 00:26:10,502 <しかし 次の瞬間。 警官が辰江に詰め寄ってきた。➡ 302 00:26:10,502 --> 00:26:15,207 果たして 辰江は…?> 303 00:26:15,207 --> 00:26:17,810 待って下さい! 理由があるんです。 304 00:26:17,810 --> 00:26:20,112 おい おい おい おい! 305 00:26:25,317 --> 00:26:28,220 <全ては 覚悟の上だった。➡ 306 00:26:28,220 --> 00:26:32,925 警官に従い 土俵を後にする。➡ 307 00:26:32,925 --> 00:26:35,761 その時…> 308 00:26:35,761 --> 00:26:38,263 (歓声と拍手) 309 00:26:38,263 --> 00:26:41,266 <去っていく辰江に 拍手と歓声が沸き起こる。➡ 310 00:26:41,266 --> 00:26:43,635 それは 誇りを守りきり➡ 311 00:26:43,635 --> 00:26:47,506 自信に満ちあふれた 女性の姿だった> 312 00:26:47,506 --> 00:27:00,719 ♬~ 313 00:27:00,719 --> 00:27:03,188 (相撲甚句) <興行の終わり。➡ 314 00:27:03,188 --> 00:27:06,992 それは 相撲甚句で締めくくられた。➡ 315 00:27:06,992 --> 00:27:10,863 警察に出頭した辰江に代わり ヨシが代理を務める。➡ 316 00:27:10,863 --> 00:27:14,600 観客への感謝の気持ちが つづられていく。➡ 317 00:27:14,600 --> 00:27:17,803 女相撲の興行は 昭和に入ると減り続け➡ 318 00:27:17,803 --> 00:27:20,472 やがて その姿を 消すことになる。➡ 319 00:27:20,472 --> 00:27:22,407 時代の流れとともに➡ 320 00:27:22,407 --> 00:27:25,077 やがて人々の記憶からも 消えてしまった。➡ 321 00:27:25,077 --> 00:27:27,813 だが 困難にもめげず➡ 322 00:27:27,813 --> 00:27:31,683 自分たちのやり方を貫いた 女性力士たちの姿を➡ 323 00:27:31,683 --> 00:27:34,419 私は 決して忘れることはない> 324 00:27:34,419 --> 00:27:36,855 (歓声と拍手) 325 00:27:36,855 --> 00:27:41,026 え~ 以上 コードナンバー 572899 アウトします。 326 00:27:41,026 --> 00:28:11,390 ♬~ 327 00:28:11,390 --> 00:28:13,759 ♬~ 328 00:28:13,759 --> 00:28:20,265 ♬~