1 00:00:02,202 --> 00:00:06,640 (沢嶋)<これは 最も古い 日本の入れ歯である。➡ 2 00:00:06,640 --> 00:00:11,578 1530年代の物で 「木床義歯」という 木でできた入れ歯だ。➡ 3 00:00:11,578 --> 00:00:15,115 木床義歯の始まりは 室町時代末期。➡ 4 00:00:15,115 --> 00:00:19,920 そして 江戸時代になると 一般的に普及していたという。➡ 5 00:00:19,920 --> 00:00:21,922 世界でも類を見ない…> 6 00:00:24,157 --> 00:00:29,563 <それを かいま見るべく 私は 江戸時代へと タイムワープした> 7 00:00:43,310 --> 00:00:46,179 あ… ハァ…。 8 00:00:46,179 --> 00:00:56,423 え~ アブソリュートポジション N365 W884 E697 S213 ポジション確認。 9 00:00:56,423 --> 00:01:03,497 アブソリュートタイム B0184655年 35時12分56秒➡ 10 00:01:03,497 --> 00:01:05,432 西暦変換しますと➡ 11 00:01:05,432 --> 00:01:10,003 1824年2月16日 10時34分20秒。 12 00:01:10,003 --> 00:01:12,072 無事 タイムワープ 成功しました。 13 00:01:12,072 --> 00:01:14,207 コードナンバー 168554➡ 14 00:01:14,207 --> 00:01:16,276 これから記録を 開始します。 15 00:01:16,276 --> 00:01:21,949 沢嶋雄一 彼は タイムスクープ社より 派遣された ジャーナリストである。 16 00:01:21,949 --> 00:01:23,951 あらゆる時代に タイムワープしながら➡ 17 00:01:23,951 --> 00:01:28,755 時空を超えて 名も無き人々を 記録していく タイムスクープハンターである。 18 00:01:40,334 --> 00:01:44,037 <鋭いまなざしで 黙々と木を削る男がいる。➡ 19 00:01:44,037 --> 00:01:47,374 彼が作っているのは 木の入れ歯である。➡ 20 00:01:47,374 --> 00:01:54,081 江戸時代には 入れ歯作りを専業に する者たちが多く存在していた。➡ 21 00:01:54,081 --> 00:01:56,984 今回の取材対象は 「入れ歯師」。➡ 22 00:01:56,984 --> 00:01:59,453 入れ歯が どのように作られていたのか➡ 23 00:01:59,453 --> 00:02:01,855 密着取材をする> 24 00:02:03,423 --> 00:02:08,729 え~ この時代の人々にとって私は 時空を超えた存在となります。 25 00:02:08,729 --> 00:02:11,732 彼らにとって私は 宇宙人のような存在です。 26 00:02:11,732 --> 00:02:14,635 彼らに接触するには 細心の注意が必要です。 27 00:02:14,635 --> 00:02:19,072 私自身の介在によって この歴史が 変わる事も ありえるからです。 28 00:02:19,072 --> 00:02:21,308 彼らに 取材を許してもらうためには➡ 29 00:02:21,308 --> 00:02:23,243 特殊な交渉術を用います。 30 00:02:23,243 --> 00:02:26,013 それは 極秘事項となっており お見せする事はできませんが➡ 31 00:02:26,013 --> 00:02:29,316 今回も 無事 密着取材する事に 成功しました。 32 00:02:38,659 --> 00:02:41,194 <男の名前は 清志朗。➡ 33 00:02:41,194 --> 00:02:43,530 もともとは 仏像の彫り師であった。➡ 34 00:02:43,530 --> 00:02:45,799 入れ歯は 仏像などを彫る➡ 35 00:02:45,799 --> 00:02:48,301 仏師などが作り始めたと 言われている。➡ 36 00:02:48,301 --> 00:02:51,738 高い彫刻技術が 入れ歯に 生かされたのだ。➡ 37 00:02:51,738 --> 00:02:56,843 清志朗は 弟子の佐吉と2人で 店を切り盛りしている> 38 00:02:58,478 --> 00:03:01,081 失礼します。 39 00:03:03,350 --> 00:03:06,553 <早速 一人の客がやって来た> 40 00:03:12,426 --> 00:03:14,928 お~! 41 00:03:17,931 --> 00:03:19,933 すみません。 42 00:03:21,902 --> 00:03:25,005 あっ どうぞ。 すみません。 43 00:03:26,640 --> 00:03:29,276 <これが 江戸時代の入れ歯である。➡ 44 00:03:29,276 --> 00:03:34,514 歯の部分は 主に ろう石や象牙 動物の骨などが使われていた。➡ 45 00:03:34,514 --> 00:03:37,851 歯の土台となる部分は 全て木でできている。➡ 46 00:03:37,851 --> 00:03:40,554 材料は 主に ツゲの木。➡ 47 00:03:40,554 --> 00:03:43,056 それを 個人個人に合った 顎の形に➡ 48 00:03:43,056 --> 00:03:45,125 手彫りで 仕上げていくのだ。➡ 49 00:03:45,125 --> 00:03:48,662 かみ潰す力が 一番 加わる 奥歯の部分は➡ 50 00:03:48,662 --> 00:03:51,631 強度を増すため 金属の鋲が 打ち込まれている。➡ 51 00:03:51,631 --> 00:03:53,967 かなり精巧な作りだ> 52 00:03:53,967 --> 00:03:58,371 どうも ありがとうございます。 はい。 53 00:03:58,371 --> 00:04:01,274 本部 こちら沢嶋 応答 願います。 54 00:04:01,274 --> 00:04:03,777 (古橋ミナミ)はい 古橋です。 55 00:04:03,777 --> 00:04:07,781 今ですね 江戸時代の日本の 入れ歯を取材しているんですが➡ 56 00:04:07,781 --> 00:04:10,550 世界の入れ歯は どのようなものがあったのか➡ 57 00:04:10,550 --> 00:04:14,254 ちょっと知りたいんですけど。 了解しました。 お待ち下さい。 58 00:04:14,254 --> 00:04:18,158 まず 義歯の歴史は古く➡ 59 00:04:18,158 --> 00:04:20,794 ヨーロッパでは 紀元前から あったようです。 60 00:04:20,794 --> 00:04:25,432 人工の歯は 牛の歯などを加工して 作られていました。 61 00:04:25,432 --> 00:04:27,367 それを隣の健康な歯に➡ 62 00:04:27,367 --> 00:04:30,003 金属でつないで 固定していたようです。 63 00:04:30,003 --> 00:04:33,540 ブリッジのようなものですね。 そうですね。 64 00:04:33,540 --> 00:04:37,511 時代が ずっと下って 1746年になると➡ 65 00:04:37,511 --> 00:04:40,113 総入れ歯の記録が 文献に出てきます。 66 00:04:40,113 --> 00:04:45,619 金属の枠に 象牙や動物の骨を 加工した 人工の歯を並べ➡ 67 00:04:45,619 --> 00:04:48,188 上下を ばねで つなげたものです。 68 00:04:48,188 --> 00:04:51,491 その ばねの力で 口の中に 固定していました。 69 00:04:51,491 --> 00:04:55,095 そのため 実際に ものを かみ砕くのは難しく➡ 70 00:04:55,095 --> 00:04:57,130 食事には 適さなかったようです。 71 00:04:57,130 --> 00:05:01,735 ヨーロッパの入れ歯は 主に見た目の 美しさを追求したもので➡ 72 00:05:01,735 --> 00:05:04,337 日本のような そしゃく機能も 兼ね備えた➡ 73 00:05:04,337 --> 00:05:06,339 上顎に吸着する タイプのものは➡ 74 00:05:06,339 --> 00:05:08,608 まだまだ 発明されていませんでした。 75 00:05:08,608 --> 00:05:12,045 あ~… 日本の入れ歯は 進んでたんですね。 76 00:05:12,045 --> 00:05:13,980 そうですね。 77 00:05:13,980 --> 00:05:15,982 ありがとうございました。 いえ。 78 00:05:19,786 --> 00:05:25,125 <入れ歯の最終仕上げ 「紅合わせ」 と言われる作業である> 79 00:05:25,125 --> 00:05:28,562 では こちらを おはめ下さい。 80 00:05:28,562 --> 00:05:32,832 <口の中に紅を塗り 入れ歯を装着する。➡ 81 00:05:32,832 --> 00:05:38,371 すると 出っ張った部分に 色がつく。➡ 82 00:05:38,371 --> 00:05:41,274 そこを削って より 顎に フィットするように➡ 83 00:05:41,274 --> 00:05:43,243 微調整を繰り返す。➡ 84 00:05:43,243 --> 00:05:50,317 細部に至るまで完璧に仕上げる 見事な職人技である> 85 00:05:50,317 --> 00:05:52,285 もう一度 お願いします。 86 00:05:52,285 --> 00:05:55,889 そのまま 先ほどと同じように…。 87 00:06:05,799 --> 00:06:08,501 ありがとうございやす。 88 00:06:12,138 --> 00:06:15,742 いや… なあ 清志朗さんよ。 89 00:06:40,333 --> 00:06:42,535 う~ん…。 90 00:06:50,277 --> 00:06:52,279 いや… いやいや。 91 00:06:56,416 --> 00:06:59,753 おい。 1両 出しなさい。 92 00:06:59,753 --> 00:07:03,556 失礼いたします。 では。 93 00:07:03,556 --> 00:07:08,495 <相場よりも割高な入れ歯。 価格は その品質に裏打ちされている。➡ 94 00:07:08,495 --> 00:07:11,831 清志朗の職人としてのプライドは 揺るぎない。➡ 95 00:07:11,831 --> 00:07:14,834 だが その日の午後…> 96 00:07:14,834 --> 00:07:18,605 おう 邪魔するぜ。 あ…。 97 00:07:18,605 --> 00:07:22,475 ちょっと そこまで来たもんだからよ。 98 00:07:22,475 --> 00:07:25,679 <清志朗が この世界に入る きっかけを作った人物…> 99 00:07:27,447 --> 00:07:30,950 <この界隈の入れ歯師を 束ねる 親分だ。➡ 100 00:07:30,950 --> 00:07:33,853 入れ歯師は 職能集団として組織されていて➡ 101 00:07:33,853 --> 00:07:36,823 その下で商いを行うのが 通例となっている。➡ 102 00:07:36,823 --> 00:07:41,728 清志朗も この親分に認められ 店を開く事を許された> 103 00:07:51,638 --> 00:07:53,740 どうなんだ? 104 00:08:05,285 --> 00:08:07,387 2両? 105 00:08:14,928 --> 00:08:16,930 しかし 親分… 106 00:08:25,572 --> 00:08:28,074 その安さが売りの入れ歯じゃ… 107 00:08:43,723 --> 00:08:49,162 <入れ歯の価格設定を巡る議論が 交わされている。 …と そんな時> 108 00:08:49,162 --> 00:08:51,364 ああ ああ…。 どうも。 109 00:08:54,534 --> 00:08:58,505 <現れたのは 初老の女性 登与> 110 00:08:58,505 --> 00:09:02,275 どうされましたか? 入れ歯の 具合でも悪くなりましたか? 111 00:09:02,275 --> 00:09:08,581 <この界隈では 有名な料亭の 女将で 店の上客である> 112 00:09:08,581 --> 00:09:11,384 そうしやしたら… 113 00:09:25,031 --> 00:09:28,034 4… 4日後? おい 清志朗… 114 00:09:31,805 --> 00:09:35,675 <通常 総入れ歯の製作に 1週間はかかる。➡ 115 00:09:35,675 --> 00:09:37,744 4日間は かなり厳しいスケジュールだ。➡ 116 00:09:37,744 --> 00:09:41,214 だが 難しい仕事ほど 燃える性格らしい。➡ 117 00:09:41,214 --> 00:09:44,517 清志朗は 早速 製作の準備に入った> 118 00:09:48,521 --> 00:09:51,825 <まず お湯で軟らかくした 蜜ろうを使い➡ 119 00:09:51,825 --> 00:09:55,261 口の中の型をとる。➡ 120 00:09:55,261 --> 00:10:00,266 入れ歯製作の大本となる 重要な工程だ> 121 00:10:06,473 --> 00:10:09,375 そうしやしたら 早速 細工に入りやすので…。 122 00:10:15,215 --> 00:10:18,051 <やはり高い> 123 00:10:18,051 --> 00:10:20,353 ようございます。 124 00:10:23,990 --> 00:10:26,793 何でございましょう。 125 00:10:31,231 --> 00:10:33,433 あ…。 126 00:10:35,101 --> 00:10:37,103 よろしく お願いいたします。 127 00:10:37,103 --> 00:10:40,306 失礼いたします。 ありがとうございます。 128 00:10:40,306 --> 00:10:46,012 <翌日から 本格的な 登与の入れ歯製作が始まった。➡ 129 00:10:46,012 --> 00:10:54,854 まずは 歯の土台となる木材を 切り出し 墨で当たりをつける。➡ 130 00:10:54,854 --> 00:10:59,425 同時に 弟子の佐吉が 昨日 とった型に蜜ろうを当てて➡ 131 00:10:59,425 --> 00:11:01,494 もう一つの型を作る。➡ 132 00:11:01,494 --> 00:11:04,731 客の顎の形を再現するためだ> 133 00:11:04,731 --> 00:11:07,233 清志朗さん。おう。 134 00:11:07,233 --> 00:11:10,737 <それを見ながら 木片を彫る> 135 00:11:18,845 --> 00:11:20,880 <型に 紅を塗り➡ 136 00:11:20,880 --> 00:11:27,620 木に当てては 色のついた箇所を削っていく。➡ 137 00:11:27,620 --> 00:11:31,257 仕上げには 見慣れないものを使っていた> 138 00:11:31,257 --> 00:11:34,060 それは何ですか? 139 00:11:34,060 --> 00:11:37,263 トクサ…? ちょっと見せて下さい。 140 00:11:38,998 --> 00:11:44,170 ザラザラしてますね。 やすり みたいなもんですね。 141 00:11:44,170 --> 00:11:46,973 ありがとうございます。 142 00:11:49,008 --> 00:11:52,045 その葉っぱは…? 143 00:11:52,045 --> 00:11:54,747 ムクの葉? はい。 144 00:11:59,319 --> 00:12:04,157 <作業は 順調に はかどっていた。 その翌日…> 145 00:12:04,157 --> 00:12:09,395 清志朗さん 準備できやした。 そうか。 146 00:12:09,395 --> 00:12:12,599 どこか お出かけするんですか? 147 00:12:19,906 --> 00:12:24,677 <2人は 江戸の町外れに向かう。➡ 148 00:12:24,677 --> 00:12:29,616 裏路地の小さなスペースに到着すると 何やら準備を始めた。➡ 149 00:12:29,616 --> 00:12:34,287 佐吉が配っていたのは 引き札 チラシのようである。➡ 150 00:12:34,287 --> 00:12:36,689 何が行われようとしているのか?> 151 00:12:43,062 --> 00:12:45,665 いよっ! 152 00:12:45,665 --> 00:12:50,169 <居合抜きの大道芸である。 その姿は おぼつかないが…> 153 00:12:52,872 --> 00:12:54,874 (一同)おお! 154 00:12:54,874 --> 00:12:57,277 やるじゃねえか! 155 00:13:00,947 --> 00:13:03,049 おお…。 156 00:13:04,751 --> 00:13:06,986 お見事! 157 00:13:06,986 --> 00:13:08,988 さて… 158 00:13:15,628 --> 00:13:19,499 <実は 清志朗 定期的に江戸の郊外を訪れては➡ 159 00:13:19,499 --> 00:13:22,001 こうして 大道芸で客を集め➡ 160 00:13:22,001 --> 00:13:25,204 虫歯予防に関する啓蒙活動を 行っていたのだ> 161 00:13:25,204 --> 00:13:31,010 飯を食う事も かなわなくなり ついには 早死にしてしまう。 162 00:13:31,010 --> 00:13:34,881 また 虫歯を放っておくと 歯の根が腐り果て…。 163 00:13:34,881 --> 00:13:40,219 <当時 こま回しや居合抜きなどの 大道芸を披露しながら➡ 164 00:13:40,219 --> 00:13:43,756 歯磨き粉や歯薬を売る 入れ歯師が 多く存在していた。➡ 165 00:13:43,756 --> 00:13:47,660 だが 清志朗は 他の入れ歯師とは ちょっと違う点がある> 166 00:13:52,031 --> 00:13:54,934 <なんと 歯磨き粉を無料で配布している> 167 00:13:54,934 --> 00:13:56,936 すみません。 はい。 168 00:13:56,936 --> 00:13:59,172 ちょっと見せて頂いても よろしいですか? 169 00:13:59,172 --> 00:14:01,174 ああ いいですよ。 170 00:14:03,109 --> 00:14:05,111 あ~ なるほど。 171 00:14:06,913 --> 00:14:10,316 これが歯磨き粉。 ちょっと 見せてもらっていいですか? 172 00:14:12,385 --> 00:14:16,322 これを ここに つけるわけですね。 はい。 173 00:14:16,322 --> 00:14:19,625 縦にですね。 縦に…。 174 00:14:19,625 --> 00:14:26,365 あ。 結構… キュッキュッと削られてる感じがして➡ 175 00:14:26,365 --> 00:14:30,470 汚れが取れそうですね。 ありがとうございます。 176 00:14:32,171 --> 00:14:34,140 相当 痛みましたでしょう。 177 00:14:34,140 --> 00:14:37,777 <更に 清志朗は 歯の無料診療も行っている。➡ 178 00:14:37,777 --> 00:14:43,116 本来 虫歯の治療は 「口中医」と 呼ばれる専門の医師が行う。➡ 179 00:14:43,116 --> 00:14:45,051 入れ歯師とは 区別されていたが➡ 180 00:14:45,051 --> 00:14:48,054 口の中の治療を行う 入れ歯師もいた。➡ 181 00:14:48,054 --> 00:14:51,824 清志朗も また そんな一人だった> 182 00:14:51,824 --> 00:14:55,128 あっ! 183 00:14:55,128 --> 00:14:57,063 では 次の方。 184 00:14:57,063 --> 00:15:02,335 <庶民の虫歯に対する 認識は低かった> 185 00:15:02,335 --> 00:15:04,937 佐吉さん ちょっと よろしいでしょうか。 186 00:15:07,807 --> 00:15:09,809 ああ。 187 00:15:21,254 --> 00:15:23,256 そうなんですか。 188 00:15:39,272 --> 00:15:41,474 あの~ 清志朗さんは… 189 00:16:04,997 --> 00:16:06,999 なるほど。 190 00:16:20,513 --> 00:16:24,750 <貧しい人々を無償で助けたい という 清志朗の熱い思い。➡ 191 00:16:24,750 --> 00:16:28,321 入れ歯の値段を高くしているのは こうした背景があったのだ。➡ 192 00:16:28,321 --> 00:16:31,824 しかし この事が 思いがけない 事態を招く事になる> 193 00:16:53,312 --> 00:16:55,314 ああ? 194 00:17:04,824 --> 00:17:06,893 ああ? お二人ともやめて下さいよ。 195 00:17:06,893 --> 00:17:09,762 お前 黙ってろよ! いいか? 196 00:17:09,762 --> 00:17:13,466 商いってもんはな 商い物を渡して お代をもらうんだよ! 197 00:17:13,466 --> 00:17:15,401 いいえ! そういう問題ではありやせん。 198 00:17:15,401 --> 00:17:18,304 おめえのやってる事は 商いなんだ 商い!虫歯で… 199 00:17:20,907 --> 00:17:22,909 何 言ってんだ そんな事は関係ねえだろうが! 200 00:17:22,909 --> 00:17:26,045 それとこれとは別の話だ。 まず それが大事なんです。 201 00:17:26,045 --> 00:17:28,648 <感情的になる2人。 そして ついに…> 202 00:17:38,758 --> 00:17:40,860 (佐吉)親分 ちょっと…。 203 00:17:43,195 --> 00:17:45,965 出て行け! 清志朗さん 待って下さいよ! 204 00:17:45,965 --> 00:17:48,000 (彦左衛門)さっさと出てけ ほら! (佐吉)親分!➡ 205 00:17:48,000 --> 00:17:51,270 清志朗さん ちょっと待って下さい 清志朗…! 206 00:17:51,270 --> 00:17:53,372 フン! 207 00:17:59,111 --> 00:18:02,348 清志朗さん いないんじゃ…。 208 00:18:02,348 --> 00:18:04,650 いや でも そうは言っても…。 209 00:18:04,650 --> 00:18:10,056 <その夜 飛び出していった 清志朗の事が気になり➡ 210 00:18:10,056 --> 00:18:15,461 私は 彼の家を訪ねてみる事にした> 211 00:18:15,461 --> 00:18:17,730 あ… どうも。 212 00:18:17,730 --> 00:18:19,732 清志朗さん… 213 00:18:21,434 --> 00:18:23,836 ええ まあ…。 214 00:18:31,043 --> 00:18:33,946 <清志朗の意志は固い> 215 00:18:46,258 --> 00:18:48,661 <結局 登与の入れ歯の仕上げは➡ 216 00:18:48,661 --> 00:18:51,464 弟子の佐吉に 任される事になった。➡ 217 00:18:51,464 --> 00:18:55,167 既婚の女性用には お歯黒の入れ歯を 入れていた。➡ 218 00:18:55,167 --> 00:19:00,373 その材料は 主に 黒柿や黒檀の木などが 用いられる。➡ 219 00:19:00,373 --> 00:19:05,544 削り出された人工の歯に 横穴を開ける。➡ 220 00:19:05,544 --> 00:19:09,782 その穴に糸を通して 土台の木床に固定する。➡ 221 00:19:09,782 --> 00:19:12,985 糸は 三味線の糸などが 使われていた。➡ 222 00:19:12,985 --> 00:19:17,490 奥歯の部分に 金属の鋲を打ち 完成だ> 223 00:19:21,761 --> 00:19:24,697 <翌朝 無事 入れ歯は完成した> 224 00:19:24,697 --> 00:19:27,500 佐吉 行くぞ。 へえ。 225 00:19:27,500 --> 00:19:32,638 <佐吉と彦左衛門は足早に 納品の ため 登与の料亭へと向かう。➡ 226 00:19:32,638 --> 00:19:35,541 だが このあと とんでもない事態が起きる> 227 00:19:35,541 --> 00:19:37,510 ごめんくださいませ。 228 00:19:37,510 --> 00:19:41,414 急がせちゃって すみません。 いやいや そんな事はねえですよ。 229 00:19:44,383 --> 00:19:47,653 どうも 楢橋でございます。 失礼いたします。 230 00:19:47,653 --> 00:19:49,655 どうぞ。 231 00:19:53,459 --> 00:19:56,162 こちらです。 232 00:19:59,665 --> 00:20:01,667 はい。 233 00:20:04,270 --> 00:20:10,076 あれ? これは…? は? 234 00:20:10,076 --> 00:20:12,078 どういう事? 235 00:20:21,253 --> 00:20:23,255 え 一体…? 236 00:20:25,191 --> 00:20:27,193 見合い? 237 00:20:30,663 --> 00:20:33,566 <なんと 登与は未亡人であった。➡ 238 00:20:33,566 --> 00:20:36,836 まさか 高齢の登与が お見合いをするとは…> 239 00:20:36,836 --> 00:20:40,706 本当に 申し訳ございません。 一体 どうしてくれるんですか。 240 00:20:40,706 --> 00:20:43,609 <思い込みによる 完全な手違いだった> 241 00:20:43,609 --> 00:20:45,811 おい! 242 00:20:51,150 --> 00:20:54,186 どうするつもりだ。 243 00:20:54,186 --> 00:20:57,089 できるのか? 244 00:20:59,225 --> 00:21:02,728 じゃあ どうするっていうんだ。 清志朗さん…。 245 00:21:11,604 --> 00:21:13,706 そうは言ってもな…。 246 00:21:15,541 --> 00:21:18,944 (泣き声) 247 00:21:18,944 --> 00:21:21,781 わ… 分かった。 248 00:21:21,781 --> 00:21:24,683 ちょっと待ってて下さい。 249 00:21:24,683 --> 00:21:26,685 失礼します。 250 00:21:29,388 --> 00:21:33,159 <タイムリミットは あと3時間。➡ 251 00:21:33,159 --> 00:21:38,864 親分の彦左衛門が 清志朗の家へと ひた走る。➡ 252 00:21:38,864 --> 00:21:43,736 清志朗が まだ出発していない事を 祈っていた> 253 00:21:43,736 --> 00:21:46,939 ああ いた…。 どうしたんですか? 親分。 254 00:21:50,309 --> 00:21:52,311 お歯黒! 255 00:21:55,648 --> 00:21:58,050 ああ そうなのか。 256 00:21:58,050 --> 00:22:00,152 どこですか? 257 00:22:02,755 --> 00:22:04,690 急いでくれ! 258 00:22:04,690 --> 00:22:07,092 頼むぞ! 259 00:22:07,092 --> 00:22:15,668 ♬~ 260 00:22:15,668 --> 00:22:20,272 お待たせしました。 ああ 清志朗さん! 261 00:22:20,272 --> 00:22:23,475 大変 申し訳ありやせん。 すぐ やりますんで。 262 00:22:23,475 --> 00:22:26,412 <すぐに修整作業に取りかかる。➡ 263 00:22:26,412 --> 00:22:30,583 まずは ろう石を削り 白い歯を作る。➡ 264 00:22:30,583 --> 00:22:36,755 お歯黒の歯を外し 白い歯に付け替えていく。➡ 265 00:22:36,755 --> 00:22:41,994 迫り来る時間の中 繊細な作業が続く。 しかし…> 266 00:22:41,994 --> 00:22:44,096 あっ! どうしやした? 267 00:22:48,767 --> 00:22:53,739 <慌てたためか 歯を固定する糸が 切れてしまった> 268 00:22:53,739 --> 00:22:56,742 ♬~ 269 00:23:00,246 --> 00:23:02,281 何だって? 270 00:23:02,281 --> 00:23:06,352 (佐吉)どうしやす? 271 00:23:06,352 --> 00:23:09,755 何か… 何か ありませんかね? 272 00:23:09,755 --> 00:23:13,459 <最悪の展開。 …と その時だった> 273 00:23:13,459 --> 00:23:15,394 ♬~(三味線) 274 00:23:15,394 --> 00:23:18,297 (佐吉)三味線の音だ。 よし! 275 00:23:18,297 --> 00:23:21,700 (佐吉)清志朗さん…。 すぐ戻りやすんで。 276 00:23:25,104 --> 00:23:29,275 <清志朗は いちもくさんに 表に飛び出した> 277 00:23:29,275 --> 00:23:36,682 ♬~(三味線) 278 00:23:36,682 --> 00:23:40,452 <路地裏を抜け その場所を探り当てた> 279 00:23:40,452 --> 00:23:43,322 ♬~(三味線) 280 00:23:43,322 --> 00:23:45,724 あっ…。 281 00:23:45,724 --> 00:23:47,826 すみません。 282 00:23:49,595 --> 00:23:52,498 だ… 誰ですか? 怪しい者じゃございません。 283 00:23:52,498 --> 00:23:56,302 あの… その糸を少しばかり。 それです そうです それを少し…。 284 00:23:56,302 --> 00:23:58,237 三味線の糸ですか? そうです そうです。 285 00:23:58,237 --> 00:24:02,574 それを少しだけ…。 お代は あとで返しますんで。 286 00:24:02,574 --> 00:24:04,910 失礼しました。 だ… 誰なの? 287 00:24:04,910 --> 00:24:10,582 ♬~ 288 00:24:10,582 --> 00:24:13,285 清志朗さん! 289 00:24:13,285 --> 00:24:15,220 よかった…。 290 00:24:15,220 --> 00:24:17,156 すぐ やりやすんで。 おお 頼むぞ。 291 00:24:17,156 --> 00:24:21,827 <何とか 三味線の糸を手に入れ 作業再開> 292 00:24:21,827 --> 00:24:24,263 ♬~ 293 00:24:24,263 --> 00:24:27,666 <間に合うのか?> 294 00:24:27,666 --> 00:24:30,402 清志朗さん お急ぎになって! 295 00:24:30,402 --> 00:24:34,173 <見合いの相手は すぐそばまで来ているようだ。➡ 296 00:24:34,173 --> 00:24:39,578 私は モスキートカメラを放って その様子をモニタリングする事にした。➡ 297 00:24:39,578 --> 00:24:42,681 そして ついに完成> 298 00:24:44,416 --> 00:24:46,418 口を開けて下さい。 299 00:24:48,287 --> 00:24:53,158 <急ぎ 登与の口に装着していく> 300 00:24:53,158 --> 00:25:00,466 ♬~ 301 00:25:02,234 --> 00:25:04,169 (清志朗)ありがとうごぜえやす。 302 00:25:04,169 --> 00:25:06,605 <廊下から人影が…> 303 00:25:06,605 --> 00:25:12,277 (みつ)皆様 それじゃあ これを…。 いらっしゃってますから! 304 00:25:12,277 --> 00:25:21,653 ♬~ 305 00:25:21,653 --> 00:25:26,458 <間一髪 間に合った> 306 00:25:28,427 --> 00:25:33,665 <男性と 楽しそうに語らう 登与の姿> 307 00:25:33,665 --> 00:25:36,568 ♬~ 308 00:25:36,568 --> 00:25:43,442 <やがて 料理が運ばれてきた。 無事に食べ物をかめるだろうか。➡ 309 00:25:43,442 --> 00:25:48,180 みんな 固唾をのんで見守った> 310 00:25:48,180 --> 00:25:51,784 ♬~ 311 00:25:51,784 --> 00:25:56,622 <入れ歯は 全く外れる様子はない> 312 00:25:56,622 --> 00:26:02,561 ♬~ 313 00:26:02,561 --> 00:26:09,334 <幸せそうな登与の姿を見て 清志朗たちは 安堵した> 314 00:26:09,334 --> 00:26:13,138 ♬~ 315 00:26:13,138 --> 00:26:16,341 清志朗… 316 00:26:19,878 --> 00:26:22,381 いや… 317 00:26:27,286 --> 00:26:29,388 (佐吉)清志朗さん…。 318 00:26:35,027 --> 00:26:38,030 (佐吉)へい。 319 00:26:38,030 --> 00:26:40,532 親分 佐吉…。 320 00:26:40,532 --> 00:26:45,103 <旅立つ清志朗を見送り 今回の取材を終える事にした> 321 00:26:45,103 --> 00:26:47,573 清志朗さんは… 322 00:26:47,573 --> 00:26:50,275 まあ とりあえず… 323 00:27:14,366 --> 00:27:17,970 ご活躍 期待してます。 ありがとうございやす。 324 00:27:17,970 --> 00:27:21,573 <いつの時代も 自分の信じるものに対し➡ 325 00:27:21,573 --> 00:27:24,276 惜しみない努力を 注ぎ込む人たちがいる。➡ 326 00:27:24,276 --> 00:27:28,247 その一人一人の名が 歴史の教科書に載る事はない。➡ 327 00:27:28,247 --> 00:27:31,950 だが 記録に値する価値あるもので ある事は 間違いない。➡ 328 00:27:31,950 --> 00:27:34,186 彼らの小さな行動が➡ 329 00:27:34,186 --> 00:27:39,124 未来の豊かな生活の礎と なっているのだから> 330 00:27:39,124 --> 00:27:56,542 ♬~ 331 00:27:56,542 --> 00:28:00,646 え~ 以上 コードナンバー 168554 アウトします。 332 00:28:00,646 --> 00:28:19,231 ♬~