1 00:00:03,170 --> 00:00:06,139 (沢嶋雄一) <かつて その川には橋が無く➡ 2 00:00:06,139 --> 00:00:08,609 船で渡る事も禁じられていた。➡ 3 00:00:08,609 --> 00:00:12,946 川を渡る 唯一の手段 「川越人足」。➡ 4 00:00:12,946 --> 00:00:16,149 人や物を担いで 対岸まで運ぶ男たち。➡ 5 00:00:16,149 --> 00:00:19,620 彼らがいなければ 川を越える事はできなかった。➡ 6 00:00:19,620 --> 00:00:22,523 悪天候の中でも 川を渡す 熟練の技と➡ 7 00:00:22,523 --> 00:00:25,292 仲間を助ける チームワーク。➡ 8 00:00:25,292 --> 00:00:30,297 これは 「川越」という危険な仕事に 命を懸けた 男たちの記録である> 9 00:00:44,645 --> 00:00:52,519 え~ アブソリュートポジション N027 W303 E906 S149。 10 00:00:52,519 --> 00:00:55,656 ポジション確認。 11 00:00:55,656 --> 00:01:02,462 アブソリュートタイム B0248912年 32時50分29秒。 12 00:01:02,462 --> 00:01:05,265 西暦変換しますと➡ 13 00:01:05,265 --> 00:01:09,937 1853年7月4日 5時18分35秒。 14 00:01:09,937 --> 00:01:11,872 無事 タイムワープ 成功しました。 15 00:01:11,872 --> 00:01:13,807 コードナンバー 219842➡ 16 00:01:13,807 --> 00:01:16,610 これから 記録を開始します。 17 00:01:16,610 --> 00:01:21,949 沢嶋雄一。 彼は タイムスクープ社より 派遣された ジャーナリストである。➡ 18 00:01:21,949 --> 00:01:24,284 あらゆる時代に タイムワープしながら➡ 19 00:01:24,284 --> 00:01:29,990 時空を超えて 名もなき人々を 記録していく タイムスクープハンターである。 20 00:01:40,634 --> 00:01:43,303 <川原で客を待つ 男たち。➡ 21 00:01:43,303 --> 00:01:45,973 彼らは 川越人足。➡ 22 00:01:45,973 --> 00:01:50,844 大井川の 川渡しを担う 専門集団である。➡ 23 00:01:50,844 --> 00:01:56,316 人足たちは 旅人や荷物を担いで 向こう岸まで送り届ける。➡ 24 00:01:56,316 --> 00:02:01,755 裸一貫で仕事に取り組む 熱き男たちに密着する> 25 00:02:01,755 --> 00:02:07,260 この時代の人々にとって 私は 時空を超えた存在となります。 26 00:02:07,260 --> 00:02:10,597 彼らにとって 私は 宇宙人のような存在です。 27 00:02:10,597 --> 00:02:13,500 彼らに接触するには 細心の注意が必要です。 28 00:02:13,500 --> 00:02:17,471 私自身の介在によって この歴史が 変わる事も ありえるからです。 29 00:02:17,471 --> 00:02:19,940 彼らに 取材を許してもらうためには➡ 30 00:02:19,940 --> 00:02:21,875 特殊な交渉術を用います。 31 00:02:21,875 --> 00:02:24,277 それは 極秘事項となっており お見せする事はできませんが➡ 32 00:02:24,277 --> 00:02:28,281 今回も 無事 密着取材する事に成功しました。 33 00:02:34,921 --> 00:02:39,092 はっ! はあっ! (人足たち)よいしょ! 34 00:02:39,092 --> 00:02:41,995 (人足たち)ヨイトッ! ヨイトッ! 35 00:02:45,298 --> 00:02:48,969 <歌に うたわれたように 東海道を旅する人々にとって➡ 36 00:02:48,969 --> 00:02:52,305 大河の大井川は 最大の難所だった。➡ 37 00:02:52,305 --> 00:02:55,642 大井川は 東海道五十三次の島田宿と➡ 38 00:02:55,642 --> 00:02:57,978 金谷宿を隔てている。➡ 39 00:02:57,978 --> 00:03:00,580 幕府は 江戸の防衛などの理由から➡ 40 00:03:00,580 --> 00:03:04,584 橋を架ける事や 船で渡る事を禁じていた> 41 00:03:11,925 --> 00:03:15,796 <川岸の手前 街道沿いに 川を渡るための人々が➡ 42 00:03:15,796 --> 00:03:20,267 立ち寄らねばならない 場所がある。➡ 43 00:03:20,267 --> 00:03:25,439 川会所。 ここで 川越しのための手続きを行う> 44 00:03:25,439 --> 00:03:28,942 え~ 島田宿の川会所前です。 45 00:03:28,942 --> 00:03:31,845 旅人の方が どのように川越しするのか➡ 46 00:03:31,845 --> 00:03:33,814 ご紹介したいと思います。 47 00:03:33,814 --> 00:03:35,816 来ましたね。 48 00:03:39,286 --> 00:03:42,589 すいません。 49 00:03:44,624 --> 00:03:46,927 あっ 帰る。 50 00:03:49,496 --> 00:03:51,798 そうなんですか。 51 00:03:59,639 --> 00:04:03,243 掛塚にも 呉服屋はあるんですけど➡ 52 00:04:03,243 --> 00:04:07,114 越野屋みたいに いい色合いの 反物をそろえてる店は➡ 53 00:04:07,114 --> 00:04:09,116 他にありませんから。 54 00:04:12,252 --> 00:04:15,255 ええ。 55 00:04:20,927 --> 00:04:24,231 それで 買い出しに来たんですよ。 そうですか。 56 00:04:26,800 --> 00:04:30,504 早く 川札を 買ってらっしゃいよ! はい。 57 00:04:36,409 --> 00:04:39,212 (川庄屋)名前と在所… 58 00:04:46,153 --> 00:04:51,625 <通行客は まず 住所や名前 旅の目的などを申請。➡ 59 00:04:51,625 --> 00:04:56,296 次に料金を支払い 川札と呼ばれる 通行券を購入する。➡ 60 00:04:56,296 --> 00:05:00,567 値段は 水が流れる 川の深さと幅によって変動する。➡ 61 00:05:00,567 --> 00:05:04,437 雨などで 水かさが増せば それだけ料金が上がる事になる> 62 00:05:04,437 --> 00:05:08,441 (川庄屋)ご案内してくれ。 (立会人)へい。 63 00:05:08,441 --> 00:05:16,116 <客は 係の者によって 川岸まで案内されていく。➡ 64 00:05:16,116 --> 00:05:21,588 川札を 人足たちに渡す。➡ 65 00:05:21,588 --> 00:05:25,926 人足たちは 受け取った川札を 鉢巻きなどに巻きつける。➡ 66 00:05:25,926 --> 00:05:30,263 この川札の数により 一日の賃金が決まる。➡ 67 00:05:30,263 --> 00:05:34,935 川を渡るには 大きく分けて 2種類ある。➡ 68 00:05:34,935 --> 00:05:37,837 「れん台」と呼ばれる台に乗って 渡る方法と➡ 69 00:05:37,837 --> 00:05:40,807 肩車で渡る方法だ。➡ 70 00:05:40,807 --> 00:05:43,944 れん台には さまざまなグレードがあり➡ 71 00:05:43,944 --> 00:05:46,279 必要な人足の人数も 決められている。➡ 72 00:05:46,279 --> 00:05:50,617 それに応じて 料金も高くなる。➡ 73 00:05:50,617 --> 00:05:55,956 お慶はれん台 下女のゆかは 肩車で送られる事になった。➡ 74 00:05:55,956 --> 00:06:01,261 肩車は 「カタクマ」と呼ばれ 料金が一番安い> 75 00:06:02,762 --> 00:06:06,566 <人足たちは 流れに足を取られないように➡ 76 00:06:06,566 --> 00:06:09,870 細心の注意を払って 進んでいく> 77 00:06:13,240 --> 00:06:15,942 (ゆか)きゃっ! 78 00:06:19,579 --> 00:06:22,482 <人を担いで 川の中を進むには➡ 79 00:06:22,482 --> 00:06:25,452 それだけの技術と鍛錬が 必要だった。➡ 80 00:06:25,452 --> 00:06:31,591 皆 厳しい修業を経て人足となった 川越しのプロフェッショナルである。➡ 81 00:06:31,591 --> 00:06:35,929 向こう岸の金谷宿側> 82 00:06:35,929 --> 00:06:39,799 下りますよ。 83 00:06:39,799 --> 00:06:44,804 <無事 客を運び終えた人足たちに 安堵の表情が浮かぶ> 84 00:06:47,274 --> 00:06:51,278 では 気いつけて。 85 00:07:16,236 --> 00:07:18,238 ほら。 86 00:08:01,214 --> 00:08:03,516 せりゃあ せえだ。 87 00:08:15,562 --> 00:08:19,899 (鐘の音) 88 00:08:19,899 --> 00:08:25,905 <夕方 寺の鐘が時刻を知らせると 人足たちの一日の仕事は終わる> 89 00:08:35,915 --> 00:08:38,585 <人足たちの たまり場である。➡ 90 00:08:38,585 --> 00:08:42,255 仕事を終えた男たちが 集まっている> 91 00:08:42,255 --> 00:08:46,126 ご苦労さま。 92 00:08:46,126 --> 00:08:50,597 今日の川札。 (人足たち)へい。 93 00:08:50,597 --> 00:08:52,632 5つだ。 94 00:08:52,632 --> 00:08:56,469 <頭に結び付けていた川札が 回収され 現金に換えられる。➡ 95 00:08:56,469 --> 00:09:00,206 これが 一日の賃金となる。➡ 96 00:09:00,206 --> 00:09:03,109 給金は ベテラン 新人を問わず➡ 97 00:09:03,109 --> 00:09:08,114 また 売り上げに差があっても 公平に分配されたという> 98 00:09:12,786 --> 00:09:17,090 <翌朝の事だった。 ちょっとした事件が起きる> 99 00:09:18,892 --> 00:09:21,227 (小頭)おい! 100 00:09:21,227 --> 00:09:23,163 (竹蔵)へい どうしました? 101 00:09:23,163 --> 00:09:25,565 (小頭) どうしたも こうしたも ねえら。➡ 102 00:09:25,565 --> 00:09:28,234 おめえ とんでもねえ事 やらかしやがって! 103 00:09:28,234 --> 00:09:31,738 何ずら 朝っぱらから。 何の事だか さっぱり分かんねえ。 104 00:09:31,738 --> 00:09:34,240 一体 何だってんだ? 105 00:09:34,240 --> 00:09:38,545 <人足たちを束ねる小頭と 待川越の六三郎> 106 00:09:47,787 --> 00:09:52,792 何も思いつかねえのか! はてなぁ…。 107 00:09:55,261 --> 00:09:59,966 <現れたのは 昨日 川を 越えたばかりの あの下女 ゆか> 108 00:10:06,439 --> 00:10:08,741 だけんが 転んじゃねえら。 109 00:10:16,616 --> 00:10:20,320 (竹蔵)落とし物? 110 00:10:27,260 --> 00:10:30,563 そうですよね? 111 00:10:49,816 --> 00:10:53,319 そんな事があったのに ちゃんと見極めもしねえで➡ 112 00:10:53,319 --> 00:10:55,255 この バカっつらが! 113 00:10:55,255 --> 00:10:57,991 待って下さい。 この方が悪いんじゃないんです。 114 00:10:57,991 --> 00:11:01,995 私が きちんと荷物を 持ってなかったのが悪いんです。 115 00:11:06,799 --> 00:11:09,936 穴埋めなんて そんな…。 116 00:11:09,936 --> 00:11:13,239 (竹蔵)あいすいません。 117 00:11:21,281 --> 00:11:24,284 (竹蔵)何ですって? 118 00:11:31,925 --> 00:11:34,928 見つからねえと…? 119 00:12:02,589 --> 00:12:05,291 竹蔵。 120 00:12:09,929 --> 00:12:12,231 分かりやした。 121 00:12:23,476 --> 00:12:26,779 分かったな。 (竹蔵)へい。 122 00:12:30,250 --> 00:12:34,554 <早速 2人で かんざし捜しを行う> 123 00:12:36,155 --> 00:12:38,625 <人足たちは 客のために➡ 124 00:12:38,625 --> 00:12:41,527 常に最善を尽くして 仕事に当たっていたという。➡ 125 00:12:41,527 --> 00:12:45,298 ドイツの医師 シーボルトも 大井川を渡った際➡ 126 00:12:45,298 --> 00:12:47,634 川越人足たちの 仕事ぶりを見て➡ 127 00:12:47,634 --> 00:12:50,970 感嘆した様子を 記している。➡ 128 00:12:50,970 --> 00:12:54,307 落としてしまった かんざし。 たとえ ささいな事であっても➡ 129 00:12:54,307 --> 00:12:58,645 人足たちにとって あってはならない事だった> 130 00:12:58,645 --> 00:13:07,453 ♬~ 131 00:13:07,453 --> 00:13:11,758 <竹蔵は 必死に川の中を捜す> 132 00:13:28,608 --> 00:13:31,311 (竹蔵) それはそうかもしんねえけど… 133 00:13:32,945 --> 00:13:34,947 えっ? 134 00:13:40,620 --> 00:13:42,955 そうですの? そうずら。 135 00:13:42,955 --> 00:13:45,958 あんたが かわいそすぎらぁ。 136 00:13:56,969 --> 00:14:00,273 ああいうのは… 137 00:14:04,410 --> 00:14:08,581 そんな… 女将さんの事を 悪く言わないで下さい。 138 00:14:08,581 --> 00:14:13,086 こりゃいけねえ。 すいません 口が過ぎやした。 139 00:14:13,086 --> 00:14:17,890 だで まちっと 下流の方を捜すら。はい。 140 00:14:23,796 --> 00:14:28,568 <かんざし捜しは 範囲を広げて 続けられた。➡ 141 00:14:28,568 --> 00:14:32,271 だが 一向に見つからない> 142 00:14:34,273 --> 00:14:37,276 あの~… 143 00:14:47,286 --> 00:14:50,590 迷惑だなんて とんでもねえ。 元はといえば… 144 00:14:53,159 --> 00:14:58,297 ここで 休んでて下せえ。 捜してきます。 145 00:14:58,297 --> 00:15:02,301 そんな…。 どうするんですかい。 146 00:15:11,244 --> 00:15:14,147 (鐘の音) 147 00:15:14,147 --> 00:15:16,916 いけねえ もう しまいだ。 148 00:15:16,916 --> 00:15:20,586 今日は 俺っちの知ってる安宿を ご案内するずら。 149 00:15:20,586 --> 00:15:25,258 なに なじみのやつの所だから 心配要らねえ。 150 00:15:25,258 --> 00:15:30,096 何から何まで ありがとうございます。 151 00:15:30,096 --> 00:15:33,299 おゆかさん… 152 00:15:36,602 --> 00:15:39,272 はい。 153 00:15:39,272 --> 00:15:43,976 <結局 その日 ゆかは 島田宿に一泊する事になった> 154 00:15:46,145 --> 00:15:49,916 <その翌朝。➡ 155 00:15:49,916 --> 00:15:54,821 竹蔵は朝一番で 一人 かんざしの 探索に出かけようとしていた。➡ 156 00:15:54,821 --> 00:15:57,957 しかし 事態は急展開へ> 157 00:15:57,957 --> 00:16:04,564 (永吉)おお~い! おい 竹蔵! 竹蔵! 158 00:16:04,564 --> 00:16:09,268 何だ おめえら。 (永吉)あったぞ かんざし! 159 00:16:10,903 --> 00:16:13,906 (竹蔵)どうしたんだよ これ。 160 00:16:15,575 --> 00:16:18,277 順平の野郎が 見つけやがったんだ。 161 00:16:23,916 --> 00:16:28,254 (竹蔵) でかした 順平! ありがてえ…。 みんな 感謝するぜ! 162 00:16:28,254 --> 00:16:31,591 (永吉)早く あの娘さんに 知らせてやれ!おう。 163 00:16:31,591 --> 00:16:34,494 <仲間たちの協力により 奇跡的に かんざしが見つかった> 164 00:16:34,494 --> 00:16:37,496 おゆかさん! 165 00:16:40,266 --> 00:16:45,271 えっ? 仲間のやつらが 見つけたんです。 166 00:16:49,609 --> 00:16:52,945 はい… ありがとうございます! 167 00:16:52,945 --> 00:16:56,249 本当に ありがとうございます。 よし。 168 00:16:57,817 --> 00:16:59,819 はい。 169 00:16:59,819 --> 00:17:03,222 (六三郎)おめえら 雁首そろえて 何やってんだ⁉ 170 00:17:03,222 --> 00:17:07,560 かんざし 見つかったぜ。 本当か? 171 00:17:07,560 --> 00:17:10,863 ああ…。 172 00:17:14,901 --> 00:17:16,903 何でだよ? 173 00:17:31,450 --> 00:17:35,454 いや… そんな暇がねえんだよ。 174 00:17:38,124 --> 00:17:42,128 ぎりぎりだな。 今なら まだ平気じゃねえか? 175 00:17:42,128 --> 00:17:44,897 お客の身に 何かあったら どうするんでえ。 176 00:17:44,897 --> 00:17:49,902 そんな危ねえ事は絶対に許さねえ。 川明けまで 待つんだ。 177 00:18:03,883 --> 00:18:07,586 う~ん そうだな… 178 00:18:21,233 --> 00:18:24,136 本部 本部 こちら沢嶋 応答願います。 179 00:18:24,136 --> 00:18:26,572 (古橋ミナミ)はい こちら本部 古橋です。 180 00:18:26,572 --> 00:18:30,242 今 大井川の川越しについて 取材中なんですが➡ 181 00:18:30,242 --> 00:18:33,579 川留めの頻度は どれくらいで あったんでしょうか? 182 00:18:33,579 --> 00:18:36,916 川留めですね… 少々 お待ち下さい。 183 00:18:36,916 --> 00:18:41,253 島田宿組頭が書いた 「地方御用場日誌」に➡ 184 00:18:41,253 --> 00:18:45,257 記述があります。 これによると…。 185 00:18:54,600 --> 00:18:59,271 えっ? ほぼ1か月間もですか?はい。 186 00:18:59,271 --> 00:19:02,174 大井川付近は雨が多く 雨期になると➡ 187 00:19:02,174 --> 00:19:06,178 すぐに川が増水し 川留めになったようです。 188 00:19:17,223 --> 00:19:20,126 なるほど この時代の 人々にとって 川留めは➡ 189 00:19:20,126 --> 00:19:23,095 深刻な問題だったんですね。 そのようですね。 190 00:19:23,095 --> 00:19:27,233 分かりました。 ありがとうございます。はい。 191 00:19:27,233 --> 00:19:31,570 <次第に この辺りにも 雨が落ちてきた。➡ 192 00:19:31,570 --> 00:19:35,908 今日中に 川を越える事は 難しい状況だ。➡ 193 00:19:35,908 --> 00:19:39,245 川留めが発令されると いかなる理由があろうとも➡ 194 00:19:39,245 --> 00:19:41,180 川を渡る事はできない> 195 00:19:41,180 --> 00:19:43,115 すいません。 196 00:19:43,115 --> 00:19:45,584 あ いえ… 竹蔵さんのせいじゃないです。 197 00:19:45,584 --> 00:19:49,455 <ゆかも竹蔵も 諦めかけていた。 その時だった> 198 00:19:49,455 --> 00:19:51,457 (継飛脚)早荷! 199 00:19:53,259 --> 00:19:56,562 <やって来たのは 継飛脚> 200 00:19:58,597 --> 00:20:01,300 早荷! 201 00:20:08,607 --> 00:20:11,944 <夜中や 悪天候の時でも行われ➡ 202 00:20:11,944 --> 00:20:15,614 それを担うのが 川越しの熟練者 待川越である。➡ 203 00:20:15,614 --> 00:20:21,821 安全のため 二人一組で行うのが 決まりとなっていた。 しかし…> 204 00:20:29,128 --> 00:20:32,998 それじゃ おせぇ! 205 00:20:32,998 --> 00:20:36,001 <その時!> 206 00:20:36,001 --> 00:20:39,805 俺っちに行かせてくれ。 (六三郎)なに? 207 00:20:49,315 --> 00:20:52,218 (竹蔵)頼みます。 208 00:20:52,218 --> 00:20:54,987 (川庄屋)六三郎。 (六三郎)へい。 209 00:20:54,987 --> 00:20:59,658 えらい御用だ。 おめえの裁量に任せる。 210 00:20:59,658 --> 00:21:02,428 へい! 211 00:21:02,428 --> 00:21:08,100 竹蔵… 支度するぞ。 (竹蔵)へい! 212 00:21:08,100 --> 00:21:11,604 おゆかさんは こちらで待ってて下せえ。 213 00:21:11,604 --> 00:21:14,907 この かんざし… 214 00:21:16,942 --> 00:21:21,447 ありがとうございます。 くれぐれも お気をつけて。 215 00:21:21,447 --> 00:21:25,951 <竹蔵は 緊急書簡の川越しに 便乗する事にした。➡ 216 00:21:25,951 --> 00:21:30,122 全ては 大切な お客のために。➡ 217 00:21:30,122 --> 00:21:35,928 書簡の入った箱を 防水のため 油紙で包んでいく> 218 00:21:35,928 --> 00:21:37,863 じゃあ 行ってめえりやす。 219 00:21:37,863 --> 00:21:39,832 おう! 220 00:21:39,832 --> 00:21:43,135 <そして 急ぎ 川へ向かう。➡ 221 00:21:43,135 --> 00:21:46,939 降りしきる雨により 川は かなり増水している> 222 00:21:50,876 --> 00:21:54,847 <ベテランの六三郎が 安全なポイントを探る。➡ 223 00:21:54,847 --> 00:22:00,152 川下にある 比較的 浅瀬の場所を 選んで渡る事になった> 224 00:22:03,923 --> 00:22:07,760 ええか。 へい。 225 00:22:07,760 --> 00:22:10,596 これから 六三郎さんと竹蔵さんによる➡ 226 00:22:10,596 --> 00:22:13,933 決死の川越しが 行われようとしてます。 227 00:22:13,933 --> 00:22:18,604 <果敢にも 川に挑んでいく 竹蔵と六三郎。➡ 228 00:22:18,604 --> 00:22:21,941 果たして 川を越える事ができるのか?➡ 229 00:22:21,941 --> 00:22:25,811 私は 彼らが運ぶ箱に マイクロカメラを装着。➡ 230 00:22:25,811 --> 00:22:30,616 川越えの様子を カメラに収める事にした。➡ 231 00:22:30,616 --> 00:22:35,921 川原では 仲間たちが 2人の無事を祈っていた> 232 00:22:38,290 --> 00:22:43,162 <川の中間地点。 急に深くなり 足を取られる。➡ 233 00:22:43,162 --> 00:22:45,965 危険な状況だ。➡ 234 00:22:45,965 --> 00:22:48,667 次の瞬間!> 235 00:22:54,974 --> 00:22:59,645 <竹蔵と六三郎の姿が消えた。 一体 どこへ行ったのか?➡ 236 00:22:59,645 --> 00:23:03,515 緊張が走る。➡ 237 00:23:03,515 --> 00:23:07,253 必死に 2人の行方を捜す> 238 00:23:07,253 --> 00:23:10,589 え~ たった今 2人の行方が 分からなくなってしまいました。 239 00:23:10,589 --> 00:23:12,524 マイクロカメラの映像も途切れています。 240 00:23:12,524 --> 00:23:15,461 緊急事態です。 どうしたんでしょうか? 241 00:23:15,461 --> 00:23:20,165 <依然として 2人の姿は見当たらない> 242 00:23:21,934 --> 00:23:26,272 捜せ! へい。 243 00:23:26,272 --> 00:23:29,608 順平! 危ねえずら! 244 00:23:29,608 --> 00:23:33,946 <二次災害のおそれがあるため どうする事もできない。➡ 245 00:23:33,946 --> 00:23:37,816 水温は15℃。 危険な状態となる。➡ 246 00:23:37,816 --> 00:23:44,823 無情にも 時間だけが過ぎていく。 皆 祈るしかなかった> 247 00:23:57,636 --> 00:23:59,571 <その時だった!> 248 00:23:59,571 --> 00:24:03,442 あっこ! 竹蔵! 249 00:24:03,442 --> 00:24:07,079 <向こう岸に かすかだが 人の姿が見える> 250 00:24:07,079 --> 00:24:09,581 竹蔵! お~い! 251 00:24:09,581 --> 00:24:11,517 竹蔵さ~ん! 252 00:24:11,517 --> 00:24:15,454 <史料によれば 待川越は 緊急書簡を運ぶため➡ 253 00:24:15,454 --> 00:24:19,258 危険を顧みず 激流に飛び込んでいったという。➡ 254 00:24:19,258 --> 00:24:22,161 川岸には 安否を気遣う人々が集まり➡ 255 00:24:22,161 --> 00:24:25,597 対岸に たどりついた時には 歓声が沸き上がったという。➡ 256 00:24:25,597 --> 00:24:28,634 さながら 英雄のように> 257 00:24:28,634 --> 00:24:31,937 い… いました いました! 対岸に いました。 258 00:24:31,937 --> 00:24:34,940 私も あっちに ワープしたいと思います。 259 00:24:42,581 --> 00:24:46,285 <川の対岸。 竹蔵と六三郎は無事だった> 260 00:24:52,324 --> 00:24:55,461 任しとけっつうんだ…。 261 00:24:55,461 --> 00:24:58,464 荷物…。 262 00:25:00,432 --> 00:25:03,435 ああ。 263 00:25:05,137 --> 00:25:08,107 へへっ…。 ありがてえ! 264 00:25:08,107 --> 00:25:10,609 大丈夫か? 265 00:25:12,411 --> 00:25:15,614 御状箱でございます。 266 00:25:17,249 --> 00:25:22,955 <こうして 緊急書簡と かんざしは 見事に届けられた> 267 00:25:28,260 --> 00:25:33,766 <降り続いていた雨も上がり ようやく 川明けとなった> 268 00:25:33,766 --> 00:25:36,802 竹蔵さん 帰ってきやした! 269 00:25:36,802 --> 00:25:38,937 バカ野郎 待ちくたびれたぞ この野郎。 270 00:25:38,937 --> 00:25:43,809 <島田宿には 対岸から戻ってきた 竹蔵と六三郎の姿があった> 271 00:25:43,809 --> 00:25:48,113 (ゆか)竹蔵さん! ああ おゆかさん。 272 00:25:57,122 --> 00:26:00,826 これは? 273 00:26:02,394 --> 00:26:06,899 <それは ゆかの主人 お慶からの手紙だった。➡ 274 00:26:06,899 --> 00:26:09,568 必死に かんざしを捜してくれた ゆかと➡ 275 00:26:09,568 --> 00:26:11,503 人足たちの仕事ぶりを たたえ➡ 276 00:26:11,503 --> 00:26:14,239 深く感謝する旨が つづられていた。➡ 277 00:26:14,239 --> 00:26:16,909 そして ゆかに 早く戻ってきてほしいと➡ 278 00:26:16,909 --> 00:26:19,411 添えられている> 279 00:26:19,411 --> 00:26:26,285 竹蔵さん 六三郎さん 皆さん 本当に ありがとうございます。 280 00:26:26,285 --> 00:26:30,122 なに 特別な事をしたわけじゃねえら。 281 00:26:30,122 --> 00:26:32,925 当たり前の事をしたまでずら。 なあ。 282 00:26:32,925 --> 00:26:35,260 (永吉)うん。 (順平)ええ。 283 00:26:35,260 --> 00:26:38,263 さあ… 284 00:26:43,001 --> 00:26:46,271 カタクマの方が いいんじゃねえか? アハハハ! 285 00:26:46,271 --> 00:26:50,109 そんな事したら また 足 滑らしちまうずら。 だな! 286 00:26:50,109 --> 00:26:54,313 (笑い声) 287 00:26:57,616 --> 00:27:00,519 <ゆかを対岸に運ぶ 彼らの姿を見送り➡ 288 00:27:00,519 --> 00:27:03,522 今回の取材を終える事にした> 289 00:27:10,562 --> 00:27:13,565 そうかい。 はい。 290 00:27:15,901 --> 00:27:19,738 おう またな。 291 00:27:19,738 --> 00:27:23,375 はっ! はあっ! 292 00:27:23,375 --> 00:27:27,246 <危険を顧みず 仕事に挑んだ 川越人足たち。➡ 293 00:27:27,246 --> 00:27:30,916 その名前が 歴史の教科書に載る事はない。➡ 294 00:27:30,916 --> 00:27:35,787 だが 責任感ある その姿は 記録に値すべきものであった。➡ 295 00:27:35,787 --> 00:27:40,259 彼らのような 名もなき人々の 営みが 歴史をつくっている> 296 00:27:40,259 --> 00:27:55,440 ♬~ 297 00:27:55,440 --> 00:28:00,212 え~ 以上 コードナンバー219842 アウトします。 298 00:28:00,212 --> 00:28:20,299 ♬~