1 00:00:17,818 --> 00:00:21,288 (沢嶋雄一) え~ アブソリュートポジション➡ 2 00:00:21,288 --> 00:00:25,626 N24 W336 E245 S645。 3 00:00:25,626 --> 00:00:28,428 ポジション確認。 4 00:00:28,428 --> 00:00:36,169 アブソリュートタイム B0554368年 54時65分96秒。 5 00:00:36,169 --> 00:00:43,744 西暦変換しますと 1898年3月18日 7時12分。 6 00:00:43,744 --> 00:00:46,513 無事 タイムワープ 成功しました。 7 00:00:46,513 --> 00:00:48,515 コードナンバー 103668➡ 8 00:00:48,515 --> 00:00:50,851 これから 記録を開始します。 9 00:00:50,851 --> 00:00:56,356 沢嶋雄一。 彼は タイムスクープ社より 派遣された ジャーナリストである。 10 00:00:56,356 --> 00:00:58,659 あらゆる時代に タイムワープしながら➡ 11 00:00:58,659 --> 00:01:04,164 時空を超えて 名もなき人々を 記録していく タイムスクープハンターである。 12 00:01:06,233 --> 00:01:09,136 <コードナンバー 103668。➡ 13 00:01:09,136 --> 00:01:14,541 1898年 明治31年 岡山。➡ 14 00:01:14,541 --> 00:01:17,210 小高い山に登る 2人の男たち。➡ 15 00:01:17,210 --> 00:01:21,081 今回の取材対象者は 「旗振り師」である。➡ 16 00:01:21,081 --> 00:01:24,518 山の頂上で旗を振り リレー形式の通信で➡ 17 00:01:24,518 --> 00:01:27,921 情報を伝達するのが 彼らの仕事である。➡ 18 00:01:27,921 --> 00:01:31,291 伝える情報は 米の価格。➡ 19 00:01:31,291 --> 00:01:36,129 当時 大阪・堂島の米穀取引所で 決められた米の値段は➡ 20 00:01:36,129 --> 00:01:39,032 全国の米価の基準となっていた。➡ 21 00:01:39,032 --> 00:01:41,268 そのため 相場情報を➡ 22 00:01:41,268 --> 00:01:44,104 いち早く 日本各地へ 知らせる必要があった> 23 00:01:44,104 --> 00:01:50,444 え~ 今 旗振り山の 頂上に到着しました。 24 00:01:50,444 --> 00:01:53,480 標高は 約400m。 25 00:01:53,480 --> 00:01:56,617 え~ 山としては それほど高くはありませんが➡ 26 00:01:56,617 --> 00:01:59,486 見晴らしは すごく いい所です。 27 00:01:59,486 --> 00:02:03,824 この時代の人々にとって 私は時空を超えた存在となります。 28 00:02:03,824 --> 00:02:07,260 彼らにとって 私は 宇宙人のような存在です。 29 00:02:07,260 --> 00:02:10,597 彼らに接触する際には 細心の注意が必要です。 30 00:02:10,597 --> 00:02:14,868 私自身の介在によって この歴史が 変わる事も ありえるからです。 31 00:02:14,868 --> 00:02:17,270 彼らに 取材を許してもらうためには➡ 32 00:02:17,270 --> 00:02:19,206 特殊な交渉術を用います。 33 00:02:19,206 --> 00:02:22,442 それは 極秘事項となっており お見せする事はできませんが➡ 34 00:02:22,442 --> 00:02:25,746 今回も無事 密着取材する事に 成功しました。 35 00:02:33,153 --> 00:02:36,957 <彼らの仕事に欠かせないのが 望遠鏡である。➡ 36 00:02:36,957 --> 00:02:40,627 遠くの山から送られてくる 旗振り信号を見るための道具だ。➡ 37 00:02:40,627 --> 00:02:43,964 新人の 川端凪助。➡ 38 00:02:43,964 --> 00:02:48,869 岩村彦右衛門は 旗振り20年のベテランである> 39 00:02:58,311 --> 00:03:00,814 そりゃ そうじゃ。 40 00:03:07,554 --> 00:03:10,357 (彦右衛門)ああ あれじゃ。 41 00:03:19,166 --> 00:03:21,268 はい。 42 00:03:30,811 --> 00:03:32,813 おお~…。 43 00:03:37,284 --> 00:03:41,521 <6km離れた 黒鉄山の映像。➡ 44 00:03:41,521 --> 00:03:43,490 直前の 中継ポイントだ。➡ 45 00:03:43,490 --> 00:03:48,295 赤い旗を用意した旗振り師が 送信に備えている。➡ 46 00:03:48,295 --> 00:03:51,498 そして 待つ事 25分> 47 00:03:54,801 --> 00:04:00,540 <大阪を出た信号が山々を中継して 黒鉄山にやって来た。➡ 48 00:04:00,540 --> 00:04:02,909 旗振り信号を はやく 正確に➡ 49 00:04:02,909 --> 00:04:07,314  次の山に つないでいかなければならない> 50 00:04:09,249 --> 00:04:12,486 えっ? さっさと やらんか。 ほら。 51 00:04:12,486 --> 00:04:16,256 おめぇなら大丈夫じゃ。 ほら さっさとせえ。 52 00:04:16,256 --> 00:04:19,259 <黒鉄山から 合図の旗が あがった> 53 00:04:19,259 --> 00:04:21,495 あがりました。 おう! 54 00:04:21,495 --> 00:04:25,932 <こちらも旗をあげて 受信可能な 事を 黒鉄山に伝えると➡ 55 00:04:25,932 --> 00:04:30,270 すぐさま 相場情報が送られてくる。➡ 56 00:04:30,270 --> 00:04:34,608 向かって左に 3回 右に 2回。➡ 57 00:04:34,608 --> 00:04:38,512 旗の振り方で数値を表す> 58 00:04:44,151 --> 00:04:48,255 <左側が十の位 右側が一の位を示している> 59 00:05:02,235 --> 00:05:04,237 よし。 60 00:05:08,542 --> 00:05:12,412 <受信が終わると すぐに望遠鏡を 別の山の方向へ変える。➡ 61 00:05:12,412 --> 00:05:14,881 送り先の中継ポイントを見つけ➡ 62 00:05:14,881 --> 00:05:17,984 すぐさま 送信の準備に 入らなければならない> 63 00:05:20,253 --> 00:05:22,255 ほら いくぞ もう。 64 00:05:27,127 --> 00:05:29,930 よ~し いくぞ! お願いします。 65 00:05:32,666 --> 00:05:37,470 <送信の合図を送ると 再び 望遠鏡を黒鉄山に戻す。➡ 66 00:05:37,470 --> 00:05:43,276 情報が正確に伝わっているのか 黒鉄山からのチェックが入るのだ> 67 00:05:43,276 --> 00:05:46,079 お願いします。 いくぞ! 68 00:05:46,079 --> 00:05:48,281 三十二番。 69 00:05:54,454 --> 00:05:58,558 直取引。 70 00:06:00,227 --> 00:06:03,930 十一円。 71 00:06:05,899 --> 00:06:08,401 二十五銭。 72 00:06:16,276 --> 00:06:21,815 <送った信号に誤りがないか 黒鉄山からの報告を待つ> 73 00:06:21,815 --> 00:06:23,750 よし。 ほら 急げ! 74 00:06:23,750 --> 00:06:26,987 <今度は 凪助たちが 確認を行う番だ。➡ 75 00:06:26,987 --> 00:06:31,391 次の中継ポイントに また向きを変える。➡ 76 00:06:31,391 --> 00:06:34,861 こちらから送った信号が 正確に リレーされているか➡ 77 00:06:34,861 --> 00:06:37,063 確認しなければならない> 78 00:06:44,271 --> 00:06:48,008 <こうして次々に中継されていった 相場情報は➡ 79 00:06:48,008 --> 00:06:54,114 最終的には 岡山や 各地の取引所まで伝達されていく> 80 00:06:57,584 --> 00:07:00,220 (彦右衛門)おう! 81 00:07:00,220 --> 00:07:05,058 お疲れ。 ほら 貸せ。 へい…。 82 00:07:05,058 --> 00:07:08,962 <今日 1回目の仕事が終了した。➡ 83 00:07:08,962 --> 00:07:14,267 初めて望遠鏡の仕事を任された 凪助 やっと緊張が解ける> 84 00:07:17,771 --> 00:07:21,775 へい まだ… ちょっと…。 85 00:07:25,278 --> 00:07:29,883 おめぇの悪い癖じゃ。 すんません。 86 00:07:29,883 --> 00:07:33,286 飲め飲め。 87 00:07:37,624 --> 00:07:42,429 次 来るからのう 今度は しっかりせえよ。 へい。 88 00:07:42,429 --> 00:07:46,833 え~ 凪助さんに インタビューしたいと思います。 89 00:07:50,170 --> 00:07:52,172 へい。 90 00:08:13,426 --> 00:08:17,130 で たまたま わしが… 91 00:08:42,922 --> 00:08:45,225 そりゃそうじゃ。 92 00:09:04,210 --> 00:09:07,514 これが もし… 93 00:09:33,907 --> 00:09:37,510 <旗振り通信の歴史は 江戸時代に遡る。➡ 94 00:09:37,510 --> 00:09:41,381 当初は 飛脚の職を保護するため 幕府から 禁令が出されていた。➡ 95 00:09:41,381 --> 00:09:43,316 だが とがめられても➡ 96 00:09:43,316 --> 00:09:47,053 商人たちは 米相場の情報を いち早く 知りたがった。➡ 97 00:09:47,053 --> 00:09:50,757 需要は衰えず 抜け商いとして 発達してきたという。➡ 98 00:09:50,757 --> 00:09:53,960 やがて 旗振り通信は 幕末に禁令が解かれ➡ 99 00:09:53,960 --> 00:09:57,597 職業として公認されるに至った。➡ 100 00:09:57,597 --> 00:10:01,935 どのくらいの速さで 大阪から 岡山まで信号が伝わるのか➡ 101 00:10:01,935 --> 00:10:04,704 私は タイムスクープ本部に要請し➡ 102 00:10:04,704 --> 00:10:08,341 中継スポットに センサーを設置してもらった。➡ 103 00:10:08,341 --> 00:10:14,147 午前11時 堂島の米穀取引所から 相場情報が送信される。➡ 104 00:10:14,147 --> 00:10:18,151 最初の中継点は 6km離れた 尼崎の辰巳橋。➡ 105 00:10:18,151 --> 00:10:21,955 そこから 14km離れた 金鳥山へ。➡ 106 00:10:21,955 --> 00:10:25,625 その2分後 高取山で受信。➡ 107 00:10:25,625 --> 00:10:29,996 すぐさま 18km先の 金ヶ崎山へ送信。➡ 108 00:10:29,996 --> 00:10:33,800 大平山を経て 金輪山へ送信。➡ 109 00:10:33,800 --> 00:10:39,105 そこから 黒鉄山へ 1分足らずで送信完了。➡ 110 00:10:39,105 --> 00:10:43,643 続く9番目の中継点が ここ 寒河の旗振り山だ。➡ 111 00:10:43,643 --> 00:10:46,646 残る中継点は あと2つ。➡ 112 00:10:46,646 --> 00:10:50,083 1分後 16km先の 熊山が受信。➡ 113 00:10:50,083 --> 00:10:52,986 その後 操山に到着。➡ 114 00:10:52,986 --> 00:10:56,656 そして 天瀬の岡山米穀取引所に 到達したのが➡ 115 00:10:56,656 --> 00:10:59,325 午前11時18分。➡ 116 00:10:59,325 --> 00:11:03,663 総距離 およそ158km。 所用時間18分。➡ 117 00:11:03,663 --> 00:11:06,666 驚異のスピードであった!> 118 00:11:08,334 --> 00:11:10,937 <旗振り信号を送受信するのは➡ 119 00:11:10,937 --> 00:11:13,840 日に 数回から 多い時は 10回ほど。➡ 120 00:11:13,840 --> 00:11:18,578 彼らは 朝から晩まで 一日中 この山頂で過ごす。➡ 121 00:11:18,578 --> 00:11:23,216 変動する米相場の情報を はやく 正確に伝えなければならない。➡ 122 00:11:23,216 --> 00:11:26,252 単調だが 気を張る仕事である。➡ 123 00:11:26,252 --> 00:11:29,989 昼食は 彼らが一息つける 唯一の時間だ> 124 00:11:29,989 --> 00:11:31,991 なんじゃ 実家が恋しくなったんか? 125 00:11:31,991 --> 00:11:34,627 <だが その時だった> 126 00:11:34,627 --> 00:11:36,563 あっ! あれ…。 127 00:11:36,563 --> 00:11:39,866 <凪助が 向かいの山に 何かを発見した> 128 00:11:44,003 --> 00:11:48,374 (彦右衛門)何人おる? 2人か。 129 00:11:48,374 --> 00:11:51,411 <隣の山に 怪しい人影。➡ 130 00:11:51,411 --> 00:11:53,813 逃げるように 山を下りていく> 131 00:12:02,889 --> 00:12:05,191 盗人いうても… 132 00:12:10,563 --> 00:12:12,932 待ったらんかい! 133 00:12:12,932 --> 00:12:15,735 ほっとけ言うたがじゃろ。 せやけど…。 134 00:12:15,735 --> 00:12:18,938 ほっとけばええんじゃ。 135 00:12:22,976 --> 00:12:27,880 ああ わしらが送っちょる値は… 136 00:12:27,880 --> 00:12:30,083 例えば そうじゃな… 137 00:12:42,629 --> 00:12:45,131 <米の価格情報を盗み見て➡ 138 00:12:45,131 --> 00:12:48,001 ひともうけしようと たくらむ者がいるという。➡ 139 00:12:48,001 --> 00:12:52,605 当時 大阪の堂島市場では 米を証券化し 売買する➡ 140 00:12:52,605 --> 00:12:56,776 延べ取引と呼ばれる取引が 盛んに行われていた。➡ 141 00:12:56,776 --> 00:13:00,680 これは 現代の先物取引の 始まりとされている。➡ 142 00:13:00,680 --> 00:13:04,484 米の取引は 投機の対象となっていたのだ> 143 00:13:07,920 --> 00:13:11,424 <日が暮れても 彼らの仕事は まだ終わらない。➡ 144 00:13:11,424 --> 00:13:16,729 旗を 松明に替え 通信は続けられる> 145 00:13:31,344 --> 00:13:34,580 <松明での送信が 無事に済んだ。➡ 146 00:13:34,580 --> 00:13:39,485 ようやく 長い一日が 終わろうとしていた> 147 00:13:39,485 --> 00:13:42,588 足元 気ぃ付けや。 148 00:13:45,224 --> 00:13:47,894 <しかし 山を下り始めた その時!> 149 00:13:47,894 --> 00:13:51,631 (彦右衛門)うわっ! 150 00:13:51,631 --> 00:13:55,601 親方! 大丈夫ですか⁉ 151 00:13:55,601 --> 00:13:59,972 <彦右衛門が足を滑らせ 斜面を滑り落ちてしまった> 152 00:13:59,972 --> 00:14:04,143 いてえ… ああっ! 153 00:14:04,143 --> 00:14:06,079 <右脚に 激痛が走る。➡ 154 00:14:06,079 --> 00:14:08,981 もはや 立って歩く事ができない 状況であった> 155 00:14:08,981 --> 00:14:11,884 ちょっと待って下さい。 156 00:14:11,884 --> 00:14:16,189 持ちましょうか? 大丈夫です。 157 00:14:17,790 --> 00:14:21,561 うっ… うう…。 158 00:14:21,561 --> 00:14:35,775 ♬~ 159 00:14:35,775 --> 00:14:38,644 お~ お~! 160 00:14:38,644 --> 00:14:40,646 うるさいわ。 ほい。 161 00:14:40,646 --> 00:14:42,949 うわあっ! イテテテ… 何すんじゃ! 162 00:14:42,949 --> 00:14:45,218 何すんじゃって 治療しとんのやんけ。 163 00:14:45,218 --> 00:14:51,457 <診断の結果 彦右衛門は 右脚を骨折する 大けがであった> 164 00:14:51,457 --> 00:14:54,794 そら痛いやろうが。 きれいに折れてるからな。 165 00:14:54,794 --> 00:14:57,897 うるさいわ。 はい 手ぇ のけて。 166 00:15:00,233 --> 00:15:02,235 いつ歩けるて… 167 00:15:04,570 --> 00:15:09,409 あんなぁ 彦さん これだけは きつう言うとくぞ。 何じゃ。 168 00:15:09,409 --> 00:15:11,778 こんな半端な状態で 無理しとったら➡ 169 00:15:11,778 --> 00:15:15,648 残りの人生 脚 よじれたまんまやぞ! 170 00:15:15,648 --> 00:15:18,251 2~3日したら 腫れも引くやろうから➡ 171 00:15:18,251 --> 00:15:20,186 その時 相談しよう。 172 00:15:20,186 --> 00:15:22,989 駄目じゃ! 173 00:15:28,761 --> 00:15:31,264 せやけど… 174 00:15:31,264 --> 00:15:33,199 何を弱気 言うとんねん! 175 00:15:33,199 --> 00:15:36,202 やれるか やれんかは 親方が決めんねや。 176 00:15:41,040 --> 00:15:43,142 しゃあないな。 177 00:15:45,845 --> 00:15:48,281 せやけど…。 凪助。 178 00:15:48,281 --> 00:15:51,984 へい。 どんな偉いもんでも… 179 00:15:55,354 --> 00:15:58,858 ええんや それで。 180 00:16:00,726 --> 00:16:04,697 おう。➡ 181 00:16:04,697 --> 00:16:09,135 とにかく あんまり 脚 動かさんようにして➡ 182 00:16:09,135 --> 00:16:12,405 あとは おいしいもん食べさせ。 酒は あかんぞ! 183 00:16:12,405 --> 00:16:14,407 分かっとるわ! 184 00:16:14,407 --> 00:16:18,344 酒飲んだら 治りが遅なるでぇ。 分かっとる言うとろうが! 185 00:16:18,344 --> 00:16:23,683 彦さん 明日 また来るから。 おお すまんのう。 186 00:16:23,683 --> 00:16:27,553 おお。 凪助へい。 頑張れよ。 187 00:16:27,553 --> 00:16:29,789 気ぃ付けてや。 188 00:16:29,789 --> 00:16:31,724 <仕事に 穴はあけられない。➡ 189 00:16:31,724 --> 00:16:34,126 彦右衛門は決断した。➡ 190 00:16:34,126 --> 00:16:39,432 凪助一人に 旗振りを任せる事にした> 191 00:16:43,803 --> 00:16:49,509 覚えちょるか。 いつだったか 近くの山に… 192 00:17:00,553 --> 00:17:02,488 分かっちょるな? へい。 193 00:17:02,488 --> 00:17:05,791 分かっちょったら… 194 00:17:10,229 --> 00:17:12,698 へい。 195 00:17:12,698 --> 00:17:16,569 見ちゃるけえ。 すんません。 196 00:17:16,569 --> 00:17:18,571 あほか! 197 00:17:18,571 --> 00:17:21,073 親方 背負うんで 精いっぱいやったもんで…。 198 00:17:23,175 --> 00:17:27,747 遠眼鏡も 何もかもです。 199 00:17:27,747 --> 00:17:30,983 待てや! 今から行ったら かえって危ないじゃろうが。 200 00:17:30,983 --> 00:17:34,987 せやけど…。 201 00:17:40,660 --> 00:17:44,530 人に見つからん所… 202 00:17:44,530 --> 00:17:48,234 へい。 雨降っても 当たらん所には… 203 00:17:48,234 --> 00:17:52,939 ならええ。 明日 朝一番で ここを出ぇ。 ええな? 204 00:17:52,939 --> 00:17:55,207 へい すんません。 205 00:17:55,207 --> 00:17:57,710 そうじゃ。 206 00:18:00,112 --> 00:18:03,215 急げ! へい。 207 00:18:04,951 --> 00:18:07,887 離しても慌てず 思いっ切り 振り抜け! 208 00:18:07,887 --> 00:18:11,057 振り抜いたら 返す。 必ず返す。 209 00:18:11,057 --> 00:18:15,628 返して 位を回して そして また返す。 210 00:18:15,628 --> 00:18:18,965 返す時は 腰しっかり入れ。 ええな! 211 00:18:18,965 --> 00:18:22,168 行くぞ! 十二番から! 十二番。 212 00:18:22,168 --> 00:18:25,171 1! 2! 213 00:18:25,171 --> 00:18:27,907 ばか野郎! しっかり持たんか! 214 00:18:27,907 --> 00:18:29,875 すんません。 おう。 215 00:18:29,875 --> 00:18:34,347 もう一回 いけ! 返して! 216 00:18:34,347 --> 00:18:39,185 1回 2回! 延べ取引! 217 00:18:39,185 --> 00:18:44,790 2! 3! 返して2回! もっと きびきび! 218 00:18:44,790 --> 00:18:49,061 <不安を押し払うように 厳しい言葉を投げかける。➡ 219 00:18:49,061 --> 00:18:52,598 特訓は 深夜まで続けられた> 220 00:18:52,598 --> 00:19:03,709 ♬~ 221 00:19:03,709 --> 00:19:06,045 ほんなら。 (彦右衛門)気張りや。 222 00:19:06,045 --> 00:19:12,852 <翌朝 凪助の表情には 力が みなぎっていた> 223 00:19:17,556 --> 00:19:20,893 <師匠のいない 初めての仕事に 不安よりも➡ 224 00:19:20,893 --> 00:19:25,898 これで 一人前になれるという 期待の方が大きかった> 225 00:19:30,936 --> 00:19:34,940 <ところが 思わぬ出来事が 待ち受けていた> 226 00:19:40,246 --> 00:19:43,049 遠眼鏡が…。 227 00:19:56,228 --> 00:20:00,433 どこ行ったんですか? 228 00:20:03,002 --> 00:20:05,304 えっ? あれ。 229 00:20:08,507 --> 00:20:12,211 お前! おい 待て! 230 00:20:15,247 --> 00:20:18,651 待て! おい! 231 00:20:23,522 --> 00:20:27,526 何なんじゃ お前は! 返せ! 232 00:20:40,306 --> 00:20:49,648 (荒い息遣い) 233 00:20:49,648 --> 00:20:51,650 (せきこみ) 234 00:20:55,321 --> 00:20:58,157 大丈夫です…。 235 00:20:58,157 --> 00:21:01,360 <何とか 望遠鏡は奪い返した。➡ 236 00:21:01,360 --> 00:21:03,362 …が その時だった。➡ 237 00:21:03,362 --> 00:21:07,733 調査のため設置していた センサーのアラームが鳴った。➡ 238 00:21:07,733 --> 00:21:11,137 大阪から 既に この日の第一報が発信。➡ 239 00:21:11,137 --> 00:21:14,940 信号は 3つ前の大平山に 到達している。➡ 240 00:21:14,940 --> 00:21:19,245 早く山頂に行かなければ 信号を止めてしまう事になる。➡ 241 00:21:19,245 --> 00:21:22,948 必死に山を駆け登る> 242 00:21:22,948 --> 00:22:12,598 ♬~ 243 00:22:12,598 --> 00:22:17,136 <望遠鏡を設置し 黒鉄山を捉えようとする。➡ 244 00:22:17,136 --> 00:22:20,139 …が その時だった> 245 00:22:20,139 --> 00:22:22,608 そこの! 246 00:22:22,608 --> 00:22:25,344 さっきは うちの若いもん かわいがってくれたらしいのう。 247 00:22:25,344 --> 00:22:27,613 <盗人の仲間が 仕返しに来た> 248 00:22:27,613 --> 00:22:31,250 遠眼鏡 返せや。 おう 返せ返せ! 249 00:22:31,250 --> 00:22:35,254 これ 俺の…。 うるせえ! 拾うたもんや。 250 00:22:36,922 --> 00:22:41,493 とぼけた事 言うてんねん こらぁ! 251 00:22:41,493 --> 00:22:44,997 うっとうしいな こいつは! 何すんじゃ お前。 252 00:22:49,969 --> 00:22:52,204 <絶体絶命の危機。➡ 253 00:22:52,204 --> 00:22:56,675 …が 次の瞬間。➡ 254 00:22:56,675 --> 00:22:59,278 骨接ぎ師の谷五郎だ> 255 00:23:10,356 --> 00:23:15,160 ああ⁉ やるんかい。 ああっ! 256 00:23:18,264 --> 00:23:21,767 (谷五郎) 二度と来るな! あほんだらぁ。 257 00:23:23,602 --> 00:23:25,604 凪助。 258 00:23:28,274 --> 00:23:30,643 どこや。 待てって! 259 00:23:30,643 --> 00:23:34,647 そんなん ほっといたら ええやないか。あかん! 260 00:23:38,150 --> 00:23:41,153 <望遠鏡を立て直し 受信に備える 凪助。➡ 261 00:23:41,153 --> 00:23:43,555 だが すぐに気付く> 262 00:23:45,391 --> 00:23:48,294 旗あらへんって お前 旗 どないしたんや。 263 00:23:48,294 --> 00:23:50,996 <肝心の旗がない!> 264 00:23:50,996 --> 00:23:56,535 どこにや? こら あかんのう! 凪助。 265 00:23:56,535 --> 00:23:58,470 どないしよう…。 266 00:23:58,470 --> 00:24:01,140 どないしようって お前 そんな大事なもん…。 267 00:24:01,140 --> 00:24:03,943 あ~あ~。 268 00:24:03,943 --> 00:24:06,845 <窮地に追い込まれた凪助は とっぴな行動に出た!> 269 00:24:06,845 --> 00:24:10,249 何しとんねん。 向こう 向いとって下さい。 270 00:24:12,017 --> 00:24:16,021 なんや 探すんかい? はい。どこや? 271 00:24:21,694 --> 00:24:26,799 お~い! 短いか? それ短いです。 もっと長いの。 272 00:24:29,368 --> 00:24:34,473 凪助! これは?それでええです。 これでええか。 273 00:24:40,979 --> 00:24:44,283 で これ どない…? 274 00:24:44,283 --> 00:24:48,287 お前 それ ふんどしちゃうんかい。 こっち結んで下さい。 275 00:24:48,287 --> 00:24:52,324 こっち結べって お前… お前のふんどし 触んのかい! 276 00:24:52,324 --> 00:24:55,627 はよう お願いします。 も~! 277 00:24:57,930 --> 00:25:03,669 きつう結んで下さい。 どない? 278 00:25:03,669 --> 00:25:05,671 ありがとうございます。 279 00:25:11,243 --> 00:25:14,246 よっしゃ! 280 00:26:12,204 --> 00:26:15,441 よっしゃ! (谷五郎)うまい事いったか? 281 00:26:15,441 --> 00:26:20,446 <この4分後 岡山米穀取引所に 無事 信号が届いたという> 282 00:26:23,782 --> 00:26:27,486 けが みしてみぃ。 283 00:26:27,486 --> 00:26:31,790 こっちは? こっちは あんまり痛ないです。 284 00:26:31,790 --> 00:26:34,793 大丈夫や 折れてない。 折れてないですか。 285 00:26:34,793 --> 00:26:37,396 いや~ うまい事いって よかったな。 286 00:26:37,396 --> 00:26:39,932 よかったです。 ありがとうございました。 287 00:26:39,932 --> 00:26:43,135 礼は ええから はよう ふんどしはけや お前は。 288 00:26:47,272 --> 00:26:51,577 (谷五郎)そうか。 ハッハハ…! 289 00:26:57,616 --> 00:27:01,520 (彦右衛門)はい 送れ! 290 00:27:08,193 --> 00:27:12,831 二十一番 四十二銭。 291 00:27:12,831 --> 00:27:15,534 四十二銭! 292 00:27:15,534 --> 00:27:18,904 <ふんどしを旗代わりに振った 凪助の行動は➡ 293 00:27:18,904 --> 00:27:21,840 瞬く間に評判となった。➡ 294 00:27:21,840 --> 00:27:26,044 どんな困難に遭っても 仕事を全うしようとした若者を➡ 295 00:27:26,044 --> 00:27:29,848 旗振り師たちは 褒めたたえたという。➡ 296 00:27:29,848 --> 00:27:33,752 彦右衛門は その姿を 誇らしく 見守っていた。➡ 297 00:27:33,752 --> 00:27:37,256 彼らが 歴史の教科書に載る事はない。➡ 298 00:27:37,256 --> 00:27:40,092 だが その営みの一つ一つが➡ 299 00:27:40,092 --> 00:27:44,596 世の中の動きと つながっている事は事実である> 300 00:27:44,596 --> 00:28:01,046 ♬~ 301 00:28:01,046 --> 00:28:06,218 え~ 以上 コードナンバー 103668 アウトします。 302 00:28:06,218 --> 00:28:25,204 ♬~