1 00:01:22,198 --> 00:01:24,198 2 00:01:45,088 --> 00:02:05,108 ・~ 3 00:02:05,108 --> 00:02:25,061 ・~ 4 00:02:25,061 --> 00:02:45,081 ・~ 5 00:02:45,081 --> 00:02:49,085 ・~ 6 00:02:49,085 --> 00:03:03,099 ・~ 7 00:03:03,099 --> 00:03:16,112 ・~ 8 00:03:16,112 --> 00:03:18,114 (はぎの)ああ… (女性)はぎのさん 9 00:03:18,114 --> 00:03:22,051 お二階のお客さんも やいのやいのの催促なもんで 10 00:03:22,051 --> 00:03:25,054 (はぎの)あっ… あい 11 00:03:25,054 --> 00:03:27,054 (男性)おい おい… ちょっと待て 12 00:03:29,058 --> 00:03:32,061 お待たせしました (男性)おい 早く来いよ! 13 00:03:32,061 --> 00:03:35,064 何やってんだよ ああっ… (はぎの)ああっ… 14 00:03:35,064 --> 00:03:37,066 あっ… 15 00:03:37,066 --> 00:03:39,068 ちょっ… ちょっ… 16 00:03:39,068 --> 00:03:45,074 (ナレーター)<いつの世も 男は女を求め 女は男を求める> 17 00:03:45,074 --> 00:03:51,080 <それで何事もなければ この世は極楽なのだが…> 18 00:03:51,080 --> 00:03:54,083 誰かー! 誰か この人 捕まえてー! 19 00:03:54,083 --> 00:03:58,087 お願い! お願い その人 捕まえてください! 20 00:03:58,087 --> 00:04:00,087 捕まえてー! (男性)あっ! 21 00:04:03,092 --> 00:04:07,096 お願いでありんす 玉を払ってくんなまし! 22 00:04:07,096 --> 00:04:09,098 ああっ… (才次)おい 兄さん! 23 00:04:09,098 --> 00:04:12,101 遊ぶだけ遊んで カネがねえとは どういう了見だい・ 24 00:04:12,101 --> 00:04:15,104 (喜久造) なんとか工面できねえのか・ (才次)どうなんだい・ 25 00:04:15,104 --> 00:04:19,108 (風)この はぎのさん 泣かしたら わちきらが承知しないよ! 26 00:04:19,108 --> 00:04:24,046 ですけど この人 すぐ次の客の所へ… 27 00:04:24,046 --> 00:04:28,050 (十兵衛)お女郎さんはな 命を削って体を売ってるんだ 28 00:04:28,050 --> 00:04:31,053 その削った命は どんなに小さくても・ 29 00:04:31,053 --> 00:04:35,057 魂と涙がこもってる 30 00:04:35,057 --> 00:04:37,059 それを踏み倒すってことは・ 31 00:04:37,059 --> 00:04:40,062 お女郎さんの命を… いや・ 32 00:04:40,062 --> 00:04:43,065 人間の命を ないがしろにすることと・ 33 00:04:43,065 --> 00:04:46,068 同じことなんだぜ 34 00:04:46,068 --> 00:04:50,072 あの… 工面できなきゃ まさかバッサリってこたあ… 35 00:04:50,072 --> 00:04:53,075 ハハハハハ… 心配すんな 36 00:04:53,075 --> 00:04:56,078 吉原には吉原の定法がある 37 00:04:56,078 --> 00:04:59,081 まっ そんときは 身ぐるみ剥いでもらうだけさ 38 00:04:59,081 --> 00:05:01,083 ・(カンザキ)えーい! 39 00:05:01,083 --> 00:05:04,086 (男性)わあ~っ! 40 00:05:04,086 --> 00:05:06,086 (カンザキ)おケガは? 41 00:05:08,090 --> 00:05:10,092 薪割りか 42 00:05:10,092 --> 00:05:13,095 (カンザキ)はい 粗相いたしまして 申し訳ございません 43 00:05:13,095 --> 00:05:15,097 気にするな 44 00:05:15,097 --> 00:05:19,101 だが その斧は お前さんには ちと重すぎやしねえか? 45 00:05:19,101 --> 00:05:21,103 どれ 貸してみろ ダメです! 46 00:05:21,103 --> 00:05:23,039 修行と仕事の邪魔を しないでください 47 00:05:23,039 --> 00:05:25,041 修行と仕事? 48 00:05:25,041 --> 00:05:27,043 いいんです これで 49 00:05:27,043 --> 00:05:29,045 どんなに重くても 何度も何度もやれば・ 50 00:05:29,045 --> 00:05:31,047 そのうち 体になじみます 51 00:05:31,047 --> 00:05:34,050 それが修行だと 父上が申されました 52 00:05:34,050 --> 00:05:36,052 偉い 53 00:05:36,052 --> 00:05:41,057 と言いてえがな 今の腰つきじゃ そのうち ケガするぞ 54 00:05:41,057 --> 00:05:46,062 否! 元筑後田中藩 剣術指南役 カンザキ・ヒョウエが嫡子・ 55 00:05:46,062 --> 00:05:49,065 カンザキ十兵衛と知っての からかいか・ 56 00:05:49,065 --> 00:05:51,067 待った 57 00:05:51,067 --> 00:05:55,071 おめえさん 十兵衛ってえのかい? 58 00:05:55,071 --> 00:05:58,074 はい それが いかがいたしました? 59 00:05:58,074 --> 00:06:02,074 あっ お連れの方が… なあに 心配無用 60 00:06:05,081 --> 00:06:08,084 (男性)あっ あっ あっ あ~ 61 00:06:08,084 --> 00:06:12,088 あの… お名前を 62 00:06:12,088 --> 00:06:15,091 吉原の十兵衛さんとでも 呼んでもらおうか 63 00:06:15,091 --> 00:06:17,091 ハハハハ… 64 00:06:21,097 --> 00:06:26,097 ・(犬のほえ声) 65 00:06:53,061 --> 00:06:55,063 十兵衛殿 66 00:06:55,063 --> 00:06:57,063 カンザキ十兵衛殿 67 00:07:01,069 --> 00:07:03,069 やあ 68 00:07:05,073 --> 00:07:10,073 (ヒョウエのせき込み) 69 00:07:13,081 --> 00:07:16,084 この姿のどこが 八丁堀の同心に 見えるんだい ハハハハハ… 70 00:07:16,084 --> 00:07:19,087 (カンザキ) おかねさん そそっかしいんです (おかね)嫌ね もう 71 00:07:19,087 --> 00:07:21,089 暗くなると いつも 現れるもんですから・ 72 00:07:21,089 --> 00:07:23,025 もう つい… アハハ… 73 00:07:23,025 --> 00:07:27,029 しかし 八丁堀も こんなに嫌われてるとはな 74 00:07:27,029 --> 00:07:31,033 ええ ええ タカダって旦那だけなんですよ 75 00:07:31,033 --> 00:07:35,037 この長屋の連中 もう片っ端から 追い出しちまったんですから 76 00:07:35,037 --> 00:07:40,042 (ヒョウエ)武士の風上にも 置けぬヤツにござい… ハァ… 77 00:07:40,042 --> 00:07:42,044 ご好意を… 笠に着おって… 78 00:07:42,044 --> 00:07:45,047 (せき込み) (カンザキ)父上! 79 00:07:45,047 --> 00:07:48,050 どうぞ お休みになってください 80 00:07:48,050 --> 00:07:50,052 (せき込み) 81 00:07:50,052 --> 00:07:56,058 ハァ… 客人の前で… さようなことは できません 82 00:07:56,058 --> 00:08:01,063 ハァ… 落ちぶれ果てても… 武士にござる ハァ… 83 00:08:01,063 --> 00:08:06,068 私らも いつ追ん出されることやら 84 00:08:06,068 --> 00:08:09,068 これ 置いとくよ (カンザキ)お待ちください 85 00:08:15,077 --> 00:08:17,079 これ (おかね)ああ いいんだってば 86 00:08:17,079 --> 00:08:19,081 どうせ売れ残りなんだから 87 00:08:19,081 --> 00:08:22,017 いつもいつも タダで頂くわけには… 88 00:08:22,017 --> 00:08:26,021 でも せっかく これは薪割りで… 89 00:08:26,021 --> 00:08:29,024 ハッ… じゃ こんだけ ねっ 90 00:08:29,024 --> 00:08:31,024 (男性)さあさ うん (おかね)はい… 91 00:08:33,028 --> 00:08:35,030 ありがとうございます (戸の開閉音) 92 00:08:35,030 --> 00:08:39,034 あっ… 吉原殿 93 00:08:39,034 --> 00:08:43,038 あっ アハ… あっ 何か? アハハ… 94 00:08:43,038 --> 00:08:48,043 こいつは 帰ってから お手前の話ばかりでな 95 00:08:48,043 --> 00:08:51,046 ハッ… そうですか 96 00:08:51,046 --> 00:08:55,046 いや 俺もな お前さんのことが気になって つい 97 00:08:59,054 --> 00:09:02,057 父上は 達人なのです 98 00:09:02,057 --> 00:09:07,062 達人ならば… ハハッ 腕は斬られん 99 00:09:07,062 --> 00:09:10,065 吉原殿 100 00:09:10,065 --> 00:09:16,071 最前から お見受けしたところ お手前には 打ち込む隙がない 101 00:09:16,071 --> 00:09:20,075 しかも常に自然体 102 00:09:20,075 --> 00:09:23,011 お願いがござる 103 00:09:23,011 --> 00:09:27,015 こいつに 剣を 教えてやってはくださらんか? 104 00:09:27,015 --> 00:09:29,017 私が? 105 00:09:29,017 --> 00:09:36,024 (ヒョウエ)拙者は 見てのとおりの体にござる 106 00:09:36,024 --> 00:09:40,028 何とぞ 拙者に代わって… (カンザキ)嫌です! 107 00:09:40,028 --> 00:09:43,031 私は 父上の剣を受け継ぎたいのです 108 00:09:43,031 --> 00:09:45,033 一刻も早く・ 109 00:09:45,033 --> 00:09:47,035 腕の立つ立派な侍に なりたくはないのか 110 00:09:47,035 --> 00:09:50,038 でも 父上から学びたいのです 111 00:09:50,038 --> 00:09:57,045 (十兵衛の声)その目は 俺の小せえころに そっくりだった 112 00:09:57,045 --> 00:10:00,048 (浮橋太夫)十兵衛さんにも そんなときがあったんですね 113 00:10:00,048 --> 00:10:03,051 ああ あったさ 114 00:10:03,051 --> 00:10:08,056 剣を学びたくて 親父に つきまとってたときがな 115 00:10:08,056 --> 00:10:13,061 (忠輝)俺は 野山を駆け回って 獣から教わったがな 116 00:10:13,061 --> 00:10:15,063 ハハハ フフ… 117 00:10:15,063 --> 00:10:20,068 しかし ハンスケ長屋に まだ人が住んでいたのか 118 00:10:20,068 --> 00:10:22,003 確か あの辺りは・ 119 00:10:22,003 --> 00:10:26,007 呉服問屋のカワチヤが 買い占めたって噂だったな 120 00:10:26,007 --> 00:10:28,009 じゃあ タカダってヤツは・ 121 00:10:28,009 --> 00:10:30,011 カワチヤから賄賂をもらって あの親子たちを? 122 00:10:30,011 --> 00:10:34,015 うん 恐らくな 123 00:10:34,015 --> 00:10:38,019 浮橋 風たちに調べさせてみてくれ 124 00:10:38,019 --> 00:10:40,021 はい 125 00:10:40,021 --> 00:10:44,021 しかし同心が そんなことをして 許されるのかねえ 126 00:10:46,027 --> 00:10:49,030 世の中 腐ってるからなあ 127 00:10:49,030 --> 00:10:51,032 で どうするんだい? 128 00:10:51,032 --> 00:10:53,032 やっとうは教えるのかい? 129 00:10:56,037 --> 00:10:58,037 やーっ! 130 00:11:02,043 --> 00:11:04,043 やーっ! 131 00:11:10,051 --> 00:11:13,054 やーっ! 132 00:11:13,054 --> 00:11:15,056 えーい! 133 00:11:15,056 --> 00:11:18,059 十兵衛さんも なかなか いいところがあるんですね 134 00:11:18,059 --> 00:11:22,063 フフ… 惚れてもいいぜ フッ 135 00:11:22,063 --> 00:11:25,066 んっ! フフフ… 意地悪 136 00:11:25,066 --> 00:11:29,070 でも 十兵衛さんが惚れた 十兵衛って子には会ってみたいわ 137 00:11:29,070 --> 00:11:31,072 やーっ! 138 00:11:31,072 --> 00:11:44,085 ・~ 139 00:11:44,085 --> 00:11:46,087 あっ 吉原殿 140 00:11:46,087 --> 00:11:48,089 やあ 141 00:11:48,089 --> 00:11:52,093 俺でよかったら 教えようか? 142 00:11:52,093 --> 00:11:56,093 ありがとうございます でも 父上から学びます 143 00:12:00,101 --> 00:12:02,101 やーっ! 144 00:12:06,107 --> 00:12:08,109 強情っ張りなところが似ていて・ 145 00:12:08,109 --> 00:12:10,111 そのうえに 名前も同じで 性格も同じ 146 00:12:10,111 --> 00:12:13,114 ハハッ 先が思いやられるぜ ハハハ… 147 00:12:13,114 --> 00:12:15,116 おい 幻さん ハハハ… あの… 148 00:12:15,116 --> 00:12:17,118 おっ? お背中 流しに参りました 149 00:12:17,118 --> 00:12:20,121 お~ はぎの すまんな 入れ入れ… いえ あの… 150 00:12:20,121 --> 00:12:23,058 十兵衛様の 何? 十兵衛? 151 00:12:23,058 --> 00:12:26,061 いや… あっ お… 俺は別に いいんだ 152 00:12:26,061 --> 00:12:29,064 あっ… いいえ この前のお礼に 153 00:12:29,064 --> 00:12:31,066 お礼ったって 着物しか取れねえ 付け馬じゃ… 154 00:12:31,066 --> 00:12:35,070 いいえ 2朱にはなりんした 155 00:12:35,070 --> 00:12:38,073 ほう 玉代だけには なったってことか 156 00:12:38,073 --> 00:12:42,077 はい かたじけのうござりました ん? 157 00:12:42,077 --> 00:12:44,079 武士の出かい? 158 00:12:44,079 --> 00:12:47,082 い… いいえ! いいえ… 159 00:12:47,082 --> 00:12:50,085 ああ しかし偉いな 160 00:12:50,085 --> 00:12:54,089 半年もたってねえっていうのに 頑張って稼いでるらしいな 161 00:12:54,089 --> 00:12:56,091 ハッ おい お前も いい客になってやんな 162 00:12:56,091 --> 00:12:58,093 お… おい ん? 163 00:12:58,093 --> 00:13:00,095 1人にするなよ 164 00:13:00,095 --> 00:13:03,098 赤くなる年でもなかろうが 165 00:13:03,098 --> 00:13:06,101 はぎの しっかり あちこち洗ってやんな 166 00:13:06,101 --> 00:13:08,103 幻さん 167 00:13:08,103 --> 00:13:11,106 さあ お背中を… いや いいんだ いいんだ 168 00:13:11,106 --> 00:13:14,109 あっ ホントにいいんだ 169 00:13:14,109 --> 00:13:16,109 ハァ… 170 00:13:22,050 --> 00:13:25,053 はっ… そうだ えっ? 171 00:13:25,053 --> 00:13:27,053 ああ いや… 172 00:13:34,029 --> 00:13:36,029 やーっ 173 00:13:38,033 --> 00:13:40,033 ハァ… 174 00:13:42,037 --> 00:13:44,037 さあ 175 00:13:52,047 --> 00:13:54,047 ありがとうございます 176 00:14:00,055 --> 00:14:02,057 もう一度 やってみな 177 00:14:02,057 --> 00:14:04,057 はい 178 00:14:06,061 --> 00:14:09,064 そうだ そうやって絞るんだ 179 00:14:09,064 --> 00:14:11,064 薪を切るときもな 180 00:14:20,008 --> 00:14:22,008 んっ… 181 00:14:29,017 --> 00:14:32,017 (力み声) 182 00:14:44,032 --> 00:14:46,034 芯を狙うんだ 芯を 183 00:14:46,034 --> 00:14:48,034 はい 184 00:14:52,040 --> 00:14:54,040 くっ… まだまだ! 185 00:14:59,047 --> 00:15:02,050 (宗矩)まだまだ! これしきで柳生の剣が守れるか 186 00:15:02,050 --> 00:15:05,053 はい! 父上! 187 00:15:05,053 --> 00:15:07,055 えーい! 188 00:15:07,055 --> 00:15:09,057 立てい! 189 00:15:09,057 --> 00:15:12,060 えーい! 190 00:15:12,060 --> 00:15:15,063 立て! 立たぬか 十兵衛 191 00:15:15,063 --> 00:15:20,001 心 正しからずば 剣また正しからず 192 00:15:20,001 --> 00:15:23,004 心の目で 芯を斬るのだ 193 00:15:23,004 --> 00:15:25,006 はい! 194 00:15:25,006 --> 00:15:27,006 えい! 195 00:15:30,011 --> 00:15:33,014 その悔しさが 心の糧じゃ 196 00:15:33,014 --> 00:15:35,014 励めよ 197 00:15:37,018 --> 00:15:39,018 えーい! 198 00:15:41,022 --> 00:15:43,022 えーい! 199 00:15:45,026 --> 00:15:47,028 えーい! 200 00:15:47,028 --> 00:15:56,037 ・~ 201 00:15:56,037 --> 00:15:58,037 はっ! 202 00:16:01,042 --> 00:16:03,042 はっ! 203 00:16:07,048 --> 00:16:11,052 十兵衛 目を閉じろ 204 00:16:11,052 --> 00:16:15,052 いいから目を閉じろ はい 205 00:16:18,059 --> 00:16:20,995 ぬれた薪は 簡単には割れぬ 206 00:16:20,995 --> 00:16:22,997 心の目で・ 207 00:16:22,997 --> 00:16:26,000 薪の芯を思い浮かべて割るんだ 208 00:16:26,000 --> 00:16:28,002 はい 209 00:16:28,002 --> 00:16:36,010 ・~ 210 00:16:36,010 --> 00:16:39,010 芯を外しました 211 00:16:43,017 --> 00:16:46,020 なんだか 父上みたい! あっ いや… 212 00:16:46,020 --> 00:16:50,024 (ヒョウエ・十兵衛)ハハハ… いや~ ご立派な お召し物ですね 213 00:16:50,024 --> 00:16:56,030 野菜も満足に買えぬくせにな あっ いや そういう意味では… 214 00:16:56,030 --> 00:17:00,034 それだけは 手放せなくて 215 00:17:00,034 --> 00:17:04,038 死んだ女房が 縫ってくれましてな 216 00:17:04,038 --> 00:17:07,041 剣術指南役を仰せつかった日に 217 00:17:07,041 --> 00:17:10,044 姉上も 一緒に縫ったんです 218 00:17:10,044 --> 00:17:15,049 姉上? はい 今 腰元奉公に出ております 219 00:17:15,049 --> 00:17:18,052 吉原という お大名屋敷に 吉原… 220 00:17:18,052 --> 00:17:19,988 はっ… 221 00:17:19,988 --> 00:17:24,993 ああ… いや… 薪割りのご伝授 かたじけのうござる 222 00:17:24,993 --> 00:17:26,995 いや 大したことなど… 223 00:17:26,995 --> 00:17:29,998 なかなか 薪の芯が割れません (ヒョウエ)当たり前だ! 224 00:17:29,998 --> 00:17:33,001 いや ですが さすがに筋がいい 225 00:17:33,001 --> 00:17:35,003 剣も すぐに上達されましょう 226 00:17:35,003 --> 00:17:37,005 しなければ困ります 焦ることはない 227 00:17:37,005 --> 00:17:39,007 でも 仇討ちが遅れます 228 00:17:39,007 --> 00:17:41,009 仇討ち? はい 229 00:17:41,009 --> 00:17:45,013 で 相手は? 230 00:17:45,013 --> 00:17:47,015 柳生但馬守宗矩 231 00:17:47,015 --> 00:17:57,025 ・~ 232 00:17:57,025 --> 00:18:02,025 我が藩を取り潰し 父の腕を奪った憎きヤツ! 233 00:18:06,034 --> 00:18:09,037 我が藩が 豊臣家と 親しかったというだけで・ 234 00:18:09,037 --> 00:18:12,040 卑劣にも 若君に毒を盛ったんです 235 00:18:12,040 --> 00:18:14,042 毒を? 236 00:18:14,042 --> 00:18:16,042 そうですね? 父上 237 00:18:18,980 --> 00:18:22,984 (ヒョウエ)ちょうど 4年前・ 238 00:18:22,984 --> 00:18:25,984 桜の咲き乱れるころだった 239 00:18:27,989 --> 00:18:30,992 殿が亡くなられて すぐに・ 240 00:18:30,992 --> 00:18:36,998 幕府が 我が藩お取り潰しを 画策しているとの報を得・ 241 00:18:36,998 --> 00:18:39,000 警護を始めた やさきに・ 242 00:18:39,000 --> 00:18:45,006 若君が 毒を盛られて 哀れな ご最期を… 243 00:18:45,006 --> 00:18:49,010 幕府の動きは早かった 244 00:18:49,010 --> 00:18:52,013 そして それを命じたのが… 245 00:18:52,013 --> 00:18:54,015 (力み声) 246 00:18:54,015 --> 00:18:57,018 (侍たちのうめき声) 247 00:18:57,018 --> 00:19:09,030 ・~ 248 00:19:09,030 --> 00:19:12,033 その構え… 柳生か! 249 00:19:12,033 --> 00:19:16,037 (宗矩の力み声) 250 00:19:16,037 --> 00:19:18,037 うわっ! 251 00:19:20,975 --> 00:19:26,975 (ヒョウエの声) それから ひと月もせぬうちの お取り潰しであった 252 00:19:36,991 --> 00:19:40,995 太夫! 十兵衛様が カンザキ十兵衛の元へ・ 253 00:19:40,995 --> 00:19:42,997 通われているというのは 本当ですか・ 254 00:19:42,997 --> 00:19:45,997 (おゆき)はい どうぞ 255 00:19:51,005 --> 00:19:54,008 十兵衛 256 00:19:54,008 --> 00:19:57,011 例の タカダっていう同心だがな・ 257 00:19:57,011 --> 00:20:01,011 浮橋たちの調べによると やはり カワチヤから大枚を… 258 00:20:03,017 --> 00:20:07,021 どうしたんだい? 浮かぬ顔して 259 00:20:07,021 --> 00:20:11,021 ところで 今日は やっとうってのは やらんのか? 260 00:20:21,969 --> 00:20:23,971 ハァー 261 00:20:23,971 --> 00:20:25,973 ハハハハハ… 262 00:20:25,973 --> 00:20:29,977 赤くなったり 青くなったり 263 00:20:29,977 --> 00:20:31,977 未熟者めが! 264 00:20:34,048 --> 00:20:37,051 そう お前は あの子の姉さんだったの 265 00:20:37,051 --> 00:20:39,053 はい 266 00:20:39,053 --> 00:20:43,057 ですから 太夫のお力で 十兵衛様を お止めください 267 00:20:43,057 --> 00:20:46,060 弟は 柳生但馬守を討つことで 頭がいっぱいです 268 00:20:46,060 --> 00:20:50,064 もし 十兵衛様が その御子息だと分かれば・ 269 00:20:50,064 --> 00:20:54,068 弟の心は どれほど傷つくか… 270 00:20:54,068 --> 00:20:58,072 お前は傷つかなかったのですか? (はぎの)えっ? 271 00:20:58,072 --> 00:21:01,075 お前にとっても同じだったはず 272 00:21:01,075 --> 00:21:05,079 十兵衛様は すばらしいお方 273 00:21:05,079 --> 00:21:08,082 憎み続けることなど 私には… 274 00:21:08,082 --> 00:21:11,085 だったら 弟さんとて… (はぎの)いいえ 275 00:21:11,085 --> 00:21:15,089 弟は 父と同じ 侍の道を歩もうと必死です 276 00:21:15,089 --> 00:21:19,093 立派な侍になることしか 考えていないのです 277 00:21:19,093 --> 00:21:23,097 私は… 278 00:21:23,097 --> 00:21:26,100 私は… 医者にしたくて・ 279 00:21:26,100 --> 00:21:29,103 頑張って お客を取っているというのに… 280 00:21:29,103 --> 00:21:31,103 (すすり泣き) 281 00:21:36,110 --> 00:21:40,114 (カンザキ)柳生但馬守宗矩 282 00:21:40,114 --> 00:21:44,118 我が藩を取り潰し 父の腕を奪った憎きヤツ! 283 00:21:44,118 --> 00:21:47,118 卑劣にも 若君に毒を盛ったんです 284 00:21:59,133 --> 00:22:03,137 では 吉原殿は参られなかったのか (カンザキ)はい 285 00:22:03,137 --> 00:22:06,140 昨日の雨で お風邪でも… 286 00:22:06,140 --> 00:22:10,144 お前でも ひかぬものを あのお人がか? ハハハハ… 287 00:22:10,144 --> 00:22:14,148 そうですね 修行をお積みのお方ですから 288 00:22:14,148 --> 00:22:16,148 (ヒョウエ)んー… 289 00:22:19,086 --> 00:22:22,089 待て 290 00:22:22,089 --> 00:22:25,089 もう一度 正眼に構えてみろ (カンザキ)はい 291 00:22:28,095 --> 00:22:38,105 ・~ 292 00:22:38,105 --> 00:22:40,107 吉原殿が それを? 293 00:22:40,107 --> 00:22:43,107 はい 十兵衛さんから習いました 294 00:22:46,113 --> 00:22:48,113 十兵衛? 295 00:22:50,117 --> 00:22:53,120 十兵衛… 296 00:22:53,120 --> 00:22:56,123 柳生十兵衛… 297 00:22:56,123 --> 00:22:58,125 (人々のざわめき) 298 00:22:58,125 --> 00:23:03,130 ♪(囃子) 299 00:23:03,130 --> 00:23:11,138 ♪~ 300 00:23:11,138 --> 00:23:14,141 十兵衛 実は俺は… 301 00:23:14,141 --> 00:23:16,077 (ショウタの父親)どうだ? ショウタ いい面だろ? 302 00:23:16,077 --> 00:23:18,077 (ショウタ)うん ちゃん ありがとう 303 00:23:25,086 --> 00:23:27,086 (子供たち) おじちゃん これ いくら? 304 00:23:29,090 --> 00:23:32,090 (カンザキ)ずっと前 父上に買っていただいたことが 305 00:23:34,095 --> 00:23:38,095 オヤジ (外商)へい 3文でございます 306 00:23:40,101 --> 00:23:44,105 ありがとうございます (カンザキ)ありがとう 吉原殿! 307 00:23:44,105 --> 00:23:53,114 ♪~ 308 00:23:53,114 --> 00:23:55,114 わあ! (子供たち)わあ! 309 00:24:00,121 --> 00:24:02,123 存じておりまする 310 00:24:02,123 --> 00:24:06,123 柳生十兵衛殿に… ござるな 311 00:24:08,129 --> 00:24:13,134 ゆうべ 息子が正眼に構えるのを見て… 312 00:24:13,134 --> 00:24:16,070 そうですか 313 00:24:16,070 --> 00:24:19,070 十兵衛殿 314 00:24:21,075 --> 00:24:26,080 父は父 子は子にござる 315 00:24:26,080 --> 00:24:29,083 ですが・ 316 00:24:29,083 --> 00:24:32,086 私は 毒殺まで命じた者の子 317 00:24:32,086 --> 00:24:35,089 毒殺か 318 00:24:35,089 --> 00:24:37,091 拙者には できん 319 00:24:37,091 --> 00:24:41,095 したら そのような手が 打てる男であれば・ 320 00:24:41,095 --> 00:24:44,095 ここまで落ちぶれずに 済んだのかもしれん 321 00:24:47,101 --> 00:24:49,103 ヒョウエ殿 322 00:24:49,103 --> 00:24:54,108 拙者は あなたのお父上を・ 323 00:24:54,108 --> 00:24:58,112 とっくに敵とは思ってないのです 324 00:24:58,112 --> 00:25:04,118 剣を選び 剣一筋に生き・ 325 00:25:04,118 --> 00:25:10,118 剣で… 何も守れなかった男なのです 私は 326 00:25:14,128 --> 00:25:17,064 若君 327 00:25:17,064 --> 00:25:20,067 藩 328 00:25:20,067 --> 00:25:24,071 妻 子 329 00:25:24,071 --> 00:25:27,074 そして私自身 330 00:25:27,074 --> 00:25:30,074 何一つ 守れなかった 331 00:25:33,080 --> 00:25:35,080 妻は…・ 332 00:25:39,086 --> 00:25:41,086 貧しさの中で死に・ 333 00:25:43,090 --> 00:25:47,094 子らには 人並みなことをしてやれず・ 334 00:25:47,094 --> 00:25:50,097 それどころか・ 335 00:25:50,097 --> 00:25:53,097 足手まといにすらなっている 336 00:25:55,102 --> 00:25:57,104 全てを人にせいにして・ 337 00:25:57,104 --> 00:26:01,108 あなたのお父上を 敵呼ばわりしたところで・ 338 00:26:01,108 --> 00:26:04,111 私の不甲斐なさは変わらん 339 00:26:04,111 --> 00:26:09,116 余計に みじめになるだけだ 340 00:26:09,116 --> 00:26:11,118 嫌です! 341 00:26:11,118 --> 00:26:14,121 姉上が なんと申されたか 知りませんが・ 342 00:26:14,121 --> 00:26:16,056 医者には なりません 343 00:26:16,056 --> 00:26:19,059 剣に励んで 敵を討ちます! 344 00:26:19,059 --> 00:26:22,062 仇討ちは むなしいものですよ 345 00:26:22,062 --> 00:26:24,064 あなたに言われる筋合いでは ありません 346 00:26:24,064 --> 00:26:27,064 私も 父の仇討ちを 一途に思ったときがありました 347 00:26:29,069 --> 00:26:32,072 他に いろんな生き方が できたかもしれないのに・ 348 00:26:32,072 --> 00:26:35,075 女だてらに 剣を学び・ 349 00:26:35,075 --> 00:26:38,075 全ての道を この手で閉ざしてしまったのです 350 00:26:40,080 --> 00:26:44,080 私と同じ過ちを してほしくはありません 351 00:26:46,086 --> 00:26:48,088 目を大きく見開きなさい 352 00:26:48,088 --> 00:26:52,088 この世には 仇討ち以上のことが 数限りなくあるのですよ 353 00:26:55,095 --> 00:27:00,100 でも 父上の無念を晴らすのは 私しかいません! 354 00:27:00,100 --> 00:27:05,105 息子は 仇討ちを信じている 355 00:27:05,105 --> 00:27:11,111 けなげにも 私の言葉を守っている 356 00:27:11,111 --> 00:27:14,114 時が来て・ 357 00:27:14,114 --> 00:27:19,053 今の私の胸の内が あの子に分かるようになるまで・ 358 00:27:19,053 --> 00:27:24,058 お手前の名前を告げるのは 控えていただけぬか? 359 00:27:24,058 --> 00:27:30,058 そして このまま剣を 教えてやってはくださらんか? 360 00:27:34,068 --> 00:27:36,070 お願いにござる! 361 00:27:36,070 --> 00:27:39,073 仇討ちのためではなく・ 362 00:27:39,073 --> 00:27:43,077 あの子の… 修行のために 363 00:27:43,077 --> 00:27:45,079 修行のため… 364 00:27:45,079 --> 00:27:48,082 私は 全てに負けてしまったが・ 365 00:27:48,082 --> 00:27:51,085 剣でつくった心だけは誰にも 366 00:27:51,085 --> 00:27:54,085 それを あの子にも… 367 00:27:56,090 --> 00:28:01,095 名乗るのだけはやめて 剣を 368 00:28:01,095 --> 00:28:03,097 お願いにござる! 369 00:28:03,097 --> 00:28:11,097 ・~ 370 00:28:25,052 --> 00:28:27,052 吉原殿 371 00:28:32,059 --> 00:28:34,059 さあ 372 00:28:44,071 --> 00:28:48,071 お相手つかまつる でも 剣は父上から… 373 00:28:53,080 --> 00:28:55,080 来い はい 374 00:28:59,086 --> 00:29:02,089 薪割りのように まっすぐ打ってこい 375 00:29:02,089 --> 00:29:04,091 よいか 376 00:29:04,091 --> 00:29:09,096 俺の太刀筋を よーく見極めるのだぞ 377 00:29:09,096 --> 00:29:11,096 やーっ! 378 00:29:14,101 --> 00:29:18,038 よし いま一度 参れ 379 00:29:18,038 --> 00:29:20,040 えーい! 380 00:29:20,040 --> 00:29:23,043 (おかね)十兵衛さん! 381 00:29:23,043 --> 00:29:26,043 あんたの父上が 大変だよ! 382 00:29:38,058 --> 00:29:41,061 父上! 父上! 383 00:29:41,061 --> 00:29:45,065 ヒョウエ殿! (男性)タカダのヤツが来やがって 384 00:29:45,065 --> 00:29:48,068 (タカダ) 早々に立ち退けと申したのが 分からんのか! 385 00:29:48,068 --> 00:29:50,070 無礼を申すと 許さんぞ! 386 00:29:50,070 --> 00:29:53,073 (タカダ)ヘヘヘヘ… まだ侍のつもりでおるのか 387 00:29:53,073 --> 00:29:55,075 こんなボロ長屋にしか 住めぬくせして! 388 00:29:55,075 --> 00:29:59,079 (うめき声) (おかねの悲鳴) 389 00:29:59,079 --> 00:30:05,085 あっ… (タカダの力み声) 390 00:30:05,085 --> 00:30:07,087 俺に刃向かうということはな・ 391 00:30:07,087 --> 00:30:09,089 御公儀に 刃向かうということなんだ! 392 00:30:09,089 --> 00:30:11,091 分かっておるのか・ 393 00:30:11,091 --> 00:30:13,093 (男性とおかねのおびえる声) 394 00:30:13,093 --> 00:30:17,031 今日すぐにでも 荷物を畳んで消えうせろ! 395 00:30:17,031 --> 00:30:19,033 (ヒョウエのせき込み) 396 00:30:19,033 --> 00:30:21,035 やめろ! やめんか! 397 00:30:21,035 --> 00:30:23,037 うっ… (おかね)あっ… あっ… 398 00:30:23,037 --> 00:30:27,041 よいしょ… 399 00:30:27,041 --> 00:30:31,045 父上! (ヒョウエ)ああ… 十兵衛 400 00:30:31,045 --> 00:30:34,048 吉原殿も 401 00:30:34,048 --> 00:30:36,048 あっ タカダは? んっ… 402 00:30:39,053 --> 00:30:41,055 この 病なくば・ 403 00:30:41,055 --> 00:30:44,058 捨て置かんものを… 404 00:30:44,058 --> 00:30:46,060 お気を鎮められよ 405 00:30:46,060 --> 00:30:48,060 さあ… 406 00:30:50,064 --> 00:30:53,067 カネがないということは・ 407 00:30:53,067 --> 00:30:56,070 悲しいことよのう 408 00:30:56,070 --> 00:30:59,070 あんなヤツにまで バカにされ… 409 00:31:02,076 --> 00:31:05,079 不甲斐ない父を許してくれ 410 00:31:05,079 --> 00:31:08,082 何を申されます 411 00:31:08,082 --> 00:31:11,085 わしは もう・ 412 00:31:11,085 --> 00:31:17,091 そなたの母御の所に 参りとうなった 413 00:31:17,091 --> 00:31:19,093 気弱なことを申されますな 414 00:31:19,093 --> 00:31:24,098 父上は… 父上は 父上でいてください! 415 00:31:24,098 --> 00:31:26,100 十兵衛… 416 00:31:26,100 --> 00:31:28,100 はぎの… 417 00:31:30,104 --> 00:31:35,109 苦労かけて 相すまん… 418 00:31:35,109 --> 00:31:40,114 苦労などとは 私も姉上も思ってはおりませぬ 419 00:31:40,114 --> 00:31:44,118 生きることは修行だと 申されたではありませんか 420 00:31:44,118 --> 00:31:46,120 すまぬ… 421 00:31:46,120 --> 00:31:50,124 お願いです 謝らないでください 422 00:31:50,124 --> 00:31:54,128 私は… 私は父上が好きなのです! 423 00:31:54,128 --> 00:32:06,140 ・~ 424 00:32:06,140 --> 00:32:08,140 立派な父上だ 425 00:32:12,045 --> 00:32:17,045 (人々のざわめき) 426 00:32:20,988 --> 00:32:23,991 旦那! ねえ 寄ってってくんなまし 427 00:32:23,991 --> 00:32:25,993 ねっ? 428 00:32:25,993 --> 00:32:28,993 はぎのが あの子の… ああ 429 00:32:30,998 --> 00:32:36,003 俺の父 柳生但馬守のしたことで・ 430 00:32:36,003 --> 00:32:40,007 多くの人が 傷つき苦しんでいる 431 00:32:40,007 --> 00:32:43,007 しかも その人たちの心を知らん 432 00:32:47,014 --> 00:32:50,017 父は 御公儀のためなら・ 433 00:32:50,017 --> 00:32:53,020 血も涙もない人間に なってしまった 434 00:32:53,020 --> 00:32:58,025 (ロクロウタ)兄上… 兄上! 435 00:32:58,025 --> 00:33:01,028 ハヤト! 兄上! 436 00:33:01,028 --> 00:33:07,034 (泣き声) 兄上… 437 00:33:07,034 --> 00:33:11,038 父上! 438 00:33:11,038 --> 00:33:14,975 なぜ ハヤトを お手討ちになされた? 439 00:33:14,975 --> 00:33:16,975 なんとか申されよ! 440 00:33:18,979 --> 00:33:21,982 (宗矩) わしの命に背いたからじゃ 441 00:33:21,982 --> 00:33:24,985 命に背いた? 442 00:33:24,985 --> 00:33:30,991 密偵としての出立に 1日の猶予を願い出おった 443 00:33:30,991 --> 00:33:34,995 1日の猶予… 444 00:33:34,995 --> 00:33:37,998 ただ それだけのことで! たわけ! 445 00:33:37,998 --> 00:33:41,001 1日の違いで・ 446 00:33:41,001 --> 00:33:46,006 御公儀に弓引く者が現れたら なんとする 447 00:33:46,006 --> 00:33:48,008 しかも酒を食らい・ 448 00:33:48,008 --> 00:33:52,012 そのような遊び女に うつつを抜かしおった 449 00:33:52,012 --> 00:33:57,017 そのような者は もはや ものの役には立たぬ 450 00:33:57,017 --> 00:33:59,019 ハァ… 451 00:33:59,019 --> 00:34:02,022 うつつなど兄上は… 452 00:34:02,022 --> 00:34:08,022 このミネとて 元は遊び女とはいえ 今では… 453 00:34:11,031 --> 00:34:13,967 申し訳ございません (泣き声) 454 00:34:13,967 --> 00:34:18,972 兄弟同様 稽古に励んだ ハヤトを… 455 00:34:18,972 --> 00:34:21,975 命1つで うろたえるな 456 00:34:21,975 --> 00:34:24,975 御公儀あっての柳生じゃ 457 00:34:28,982 --> 00:34:30,984 んっ… 早まるな ロクロウタ! 458 00:34:30,984 --> 00:34:32,986 兄上の後を 追いとうございます 459 00:34:32,986 --> 00:34:36,990 ならん! お離しください 十兵衛様 460 00:34:36,990 --> 00:34:38,992 バカ! 461 00:34:38,992 --> 00:34:40,994 (ロクロウタの泣き声) 462 00:34:40,994 --> 00:34:45,994 御公儀とは さほど大事なものでござるか・ 463 00:34:49,002 --> 00:34:52,005 (ロクロウタの泣き声) 464 00:34:52,005 --> 00:34:54,007 (十兵衛の声)それからの俺は・ 465 00:34:54,007 --> 00:34:59,012 父を憎み 罵り 逆らいだした 466 00:34:59,012 --> 00:35:01,014 フッ… 467 00:35:01,014 --> 00:35:05,018 そのあげくが吉原へか… 468 00:35:05,018 --> 00:35:08,018 女の肌で赤くなる男がな 469 00:35:11,024 --> 00:35:14,962 俺は カンザキ親子に巡り会い・ 470 00:35:14,962 --> 00:35:18,962 初めて父を薄汚いと思った 醜いと思った 471 00:35:20,968 --> 00:35:23,971 御公儀の名の下に・ 472 00:35:23,971 --> 00:35:28,976 毒まで盛って 平然として人を殺していく 473 00:35:28,976 --> 00:35:31,976 そんな父は 父ではない 474 00:35:35,983 --> 00:35:39,987 柳生但馬守か… 475 00:35:39,987 --> 00:35:43,991 よっぽど好きだったんだな 親父さんが 476 00:35:43,991 --> 00:35:49,991 どう罵ろうと 父と呼び 子としての立場を守ろうとする 477 00:35:51,999 --> 00:35:55,002 俺には分からん世界だ 478 00:35:55,002 --> 00:35:57,002 ああ 479 00:36:00,007 --> 00:36:03,010 そして 俺にとっては 大きな壁だった 480 00:36:03,010 --> 00:36:06,013 だが 今じゃもう・ 481 00:36:06,013 --> 00:36:11,018 ただの幕府の役人にしかすぎん 482 00:36:11,018 --> 00:36:15,956 父を あんなに変えた御公儀とは・ 483 00:36:15,956 --> 00:36:18,959 一体なんだったんだ… 484 00:36:18,959 --> 00:36:20,959 俺をこさえた男さ 485 00:36:23,964 --> 00:36:27,968 家康公 そう 486 00:36:27,968 --> 00:36:31,972 その家康が この俺の親父だ 487 00:36:31,972 --> 00:36:33,974 フフッ 488 00:36:33,974 --> 00:36:38,979 いや 親であって 親にあらず 489 00:36:38,979 --> 00:36:41,982 子であって 子にあらず 490 00:36:41,982 --> 00:36:46,987 災いする者は 何人たりとも斬り捨てる 491 00:36:46,987 --> 00:36:50,991 それが公儀に流れる血だ 492 00:36:50,991 --> 00:36:54,995 そして この俺も その血が流れている 493 00:36:54,995 --> 00:36:56,997 いや・ 494 00:36:56,997 --> 00:36:58,999 流れていた 495 00:36:58,999 --> 00:37:00,999 (甚右衛門)殿! 496 00:37:03,003 --> 00:37:06,006 殿… 497 00:37:06,006 --> 00:37:10,010 家康公の六男に お生まれになりながら・ 498 00:37:10,010 --> 00:37:13,947 なぜ忠輝様だけが このような お仕打ちを… 499 00:37:13,947 --> 00:37:18,952 爺は 悔しゅうござりまする! 500 00:37:18,952 --> 00:37:20,952 殿! 501 00:37:27,961 --> 00:37:29,963 爺 502 00:37:29,963 --> 00:37:32,966 余は 鬼っ子じゃ 503 00:37:32,966 --> 00:37:35,969 心配いたすな ハハハハハ… 504 00:37:35,969 --> 00:37:39,973 (泣き声) 505 00:37:39,973 --> 00:37:44,978 ハハハハハ… 506 00:37:44,978 --> 00:38:03,997 ・~ 507 00:38:03,997 --> 00:38:05,997 (浮橋太夫)はぎの 508 00:38:10,003 --> 00:38:13,940 (はぎの)お願いです 名乗ってあげてください 509 00:38:13,940 --> 00:38:17,940 名乗って どうなる? 混乱するだけだ 510 00:38:19,946 --> 00:38:22,949 あの子は今 父親を尊敬し・ 511 00:38:22,949 --> 00:38:26,953 父親の敵を討つことだけしか 考えていない 512 00:38:26,953 --> 00:38:28,955 名乗れば・ 513 00:38:28,955 --> 00:38:33,955 自分が追い求めていた父親とは 違う姿が残るだけだ 514 00:38:35,962 --> 00:38:39,966 たとえ 父が何を言おうと 弟が どう混乱しようと・ 515 00:38:39,966 --> 00:38:42,969 はっきり名乗ってやってください 516 00:38:42,969 --> 00:38:45,972 私は 弟に・ 517 00:38:45,972 --> 00:38:49,976 父と同じ 剣一筋の道を 歩ませたくありません 518 00:38:49,976 --> 00:38:54,981 だが せっかくの修行が… 519 00:38:54,981 --> 00:38:56,983 修行なら どこででもできます 520 00:38:56,983 --> 00:39:00,987 医者になっても 女郎ででも 521 00:39:00,987 --> 00:39:03,990 それに 十兵衛様なら きっと・ 522 00:39:03,990 --> 00:39:05,992 弟も分かってくれます 523 00:39:05,992 --> 00:39:13,934 ・~ 524 00:39:13,934 --> 00:39:16,937 父親を捨てさせることに なるかもしれん 525 00:39:16,937 --> 00:39:18,939 かまいません 526 00:39:18,939 --> 00:39:22,939 それが 弟のためならば 527 00:39:26,947 --> 00:39:28,949 ・ 十兵衛 528 00:39:28,949 --> 00:39:36,957 ・~ 529 00:39:36,957 --> 00:39:40,957 親父さんのことで まだ迷ってるのか 530 00:39:43,964 --> 00:39:46,964 殴って ふんぎりつけてやれ 531 00:39:48,969 --> 00:39:53,974 生きるも死ぬも 所詮は1人だ 532 00:39:53,974 --> 00:39:56,974 よし 名乗ろう 533 00:40:02,048 --> 00:40:07,048 (人々のざわめき) 534 00:40:26,006 --> 00:40:28,008 (男性とおかねのおびえる声) 535 00:40:28,008 --> 00:40:30,010 お前たち貧乏人の 住む所じゃない! 536 00:40:30,010 --> 00:40:33,013 今すぐ立ち退け! 明日の朝 取り壊しと決まったんだ 537 00:40:33,013 --> 00:40:36,016 1日の猶予もならん! (男性)そんな… そんなご無理を 538 00:40:36,016 --> 00:40:38,018 (タカダ)黙れ! (カンザキ)やめろ! 539 00:40:38,018 --> 00:40:41,021 (ヒョウエ)やめろ! 540 00:40:41,021 --> 00:40:47,027 人を… 人を虫けらみたいに扱いおって 541 00:40:47,027 --> 00:40:49,029 もはや許さん! 542 00:40:49,029 --> 00:40:52,032 (うめき声) (タカダ)己! 543 00:40:52,032 --> 00:40:55,035 俺に 御公儀に刃向かう気だな! 544 00:40:55,035 --> 00:41:00,035 (力み声) (ヒョウエのせき込み) 545 00:41:04,044 --> 00:41:06,046 このー… 546 00:41:06,046 --> 00:41:08,048 (ヒョウエとタカダの力み声) 547 00:41:08,048 --> 00:41:11,051 父上ー! 548 00:41:11,051 --> 00:41:15,055 (タカダの力み声) (ヒョウエ)うっ… 549 00:41:15,055 --> 00:41:17,055 (力み声) 550 00:41:19,059 --> 00:41:22,062 ああ… (カンザキ)よくも父上をー! 551 00:41:22,062 --> 00:41:25,065 うっ! 552 00:41:25,065 --> 00:41:27,067 貴様… 553 00:41:27,067 --> 00:41:30,070 小僧とて許さん! 554 00:41:30,070 --> 00:41:32,072 待て! 555 00:41:32,072 --> 00:41:34,072 (カンザキ)十兵衛殿! 556 00:41:38,078 --> 00:41:40,080 カンザキ殿 557 00:41:40,080 --> 00:41:42,082 カンザキ殿! 558 00:41:42,082 --> 00:41:44,084 貴様 身内か? 559 00:41:44,084 --> 00:41:47,084 身内なら 即刻 死にがらを片づけろ! 560 00:41:49,089 --> 00:41:51,091 速やかに立ち退けば・ 561 00:41:51,091 --> 00:41:55,095 無駄に命を落とさずに 済んだものを 562 00:41:55,095 --> 00:41:57,097 お前たちも 今夜中に ここを出ていくんだ! 563 00:41:57,097 --> 00:42:01,101 1日の猶予も許さん! 564 00:42:01,101 --> 00:42:05,105 1日の猶予も与えず 人の命を… 565 00:42:05,105 --> 00:42:08,108 1つや2つの命で うろたえるな 566 00:42:08,108 --> 00:42:10,108 御公儀あっての下々だ 567 00:42:22,055 --> 00:42:26,059 父と同じ言葉を吐くな 568 00:42:26,059 --> 00:42:28,059 父? 569 00:42:32,065 --> 00:42:35,068 柳生但馬守宗矩 570 00:42:35,068 --> 00:42:37,068 柳生? 571 00:42:40,073 --> 00:42:43,076 柳生十兵衛三厳 572 00:42:43,076 --> 00:42:46,076 貴様を斬る 573 00:42:48,081 --> 00:42:51,084 柳生が 御公儀に刃向かうのか! 574 00:42:51,084 --> 00:42:54,087 御公儀など クソ食らえだ! 575 00:42:54,087 --> 00:42:56,089 何をー! (力み声) 576 00:42:56,089 --> 00:42:58,089 (うめき声) 577 00:43:00,093 --> 00:43:02,093 (倒れる音) 578 00:44:01,087 --> 00:44:03,087 父上ー! 579 00:44:05,091 --> 00:44:08,094 父上ー! 580 00:44:08,094 --> 00:44:12,031 父上ー! 父上ー! 581 00:44:12,031 --> 00:44:15,034 うわー! 582 00:44:15,034 --> 00:44:20,034 父上… 父上… 583 00:44:23,042 --> 00:44:25,044 父上ー! 584 00:44:25,044 --> 00:44:30,049 ハァ… ハァ… 585 00:44:30,049 --> 00:44:32,049 父上ー! 586 00:44:36,055 --> 00:44:40,059 <共に父から離れ 独自の一歩を 踏み出そうとしていた> 587 00:44:40,059 --> 00:44:44,063 <その2人の十兵衛の 成長を願いつつ・ 588 00:44:44,063 --> 00:44:47,063 じっと見守る幻之介であった> 589 00:44:49,068 --> 00:44:54,073 ・『黄昏を見たことがない』 590 00:44:54,073 --> 00:44:56,075 ・~ 591 00:44:56,075 --> 00:45:02,081 ・ 黄昏を知らない人に 592 00:45:02,081 --> 00:45:09,088 ・ いつからかなってしまい 593 00:45:09,088 --> 00:45:15,028 ・ 心の中の悲しい影を 594 00:45:15,028 --> 00:45:21,034 ・ みんな気づいていない 595 00:45:21,034 --> 00:45:27,040 ・ しあわせを待ちきれない 596 00:45:27,040 --> 00:45:37,050 ・ 昼と夜の真中あたり 597 00:45:37,050 --> 00:45:43,056 ・ だけど あなた もう泣かないで 598 00:45:43,056 --> 00:45:49,062 ・ このぼくがそばにいる 599 00:45:49,062 --> 00:45:55,068 ・ 黄昏が 黄昏が 600 00:45:55,068 --> 00:46:02,075 ・ あなたの心を透かして見せる 601 00:46:02,075 --> 00:46:04,075 ・~ 602 00:46:07,981 --> 00:46:11,985 <斬る 暴く 舞う> 603 00:46:11,985 --> 00:46:13,987 <吉原で 心中事件が起こった> 604 00:46:13,987 --> 00:46:16,990 <事件の真相に立ち向かう十兵衛> 605 00:46:16,990 --> 00:46:20,994 <陰謀に巻き込まれた 広世の出生の秘密> 606 00:46:20,994 --> 00:46:22,996 <徳川体制の ゆがみ ひずみを背負い・ 607 00:46:22,996 --> 00:46:25,999 弟を思う幻之介> 608 00:46:25,999 --> 00:46:28,999 <次回 『徳川無頼帳』に ご期待ください>